JP3956336B2 - 放射性廃棄物の溶融処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設から発生する放射性廃棄物の溶融処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設から発生する放射性廃液の処理法としては、これを濃縮・乾燥させて放射性濃縮廃液粉体としたうえ、セメント、アスファルト、プラスチックなどの固形材に混合し、そのまま固化体とする方法が普通であった。しかしこの方法では放射性濃縮廃液粉体よりも固形材の体積が大きくなるため、減容効果が小さいという問題があった。また、アスファルト、プラスチックなどの有機系の固形材を用いた場合には、固化体は可燃性であった。
【0003】
そこで特開昭60-42698号公報などに示されているように、放射性濃縮廃液粉体をシリカを主成分とする助剤及び炭素を主成分とする反応促進剤とともに溶融し、生成されたガラス質中に放射性物質を封入した固化体とする溶融固化法が提案されている。この方法では放射性濃縮廃液粉体の主成分である硫酸ソーダがガラス原料となるため助剤の添加量は少なくて済み、大きな減容効果を得ることができる。またガラス質の固化体となるために燃焼のおそれがなく、化学的に安定となる利点がある。ところがこのガラス質の固化体には、下記のような実用的な問題があった。
【0004】
すなわち、作成された固化体は放射性核種であるセシウム及びコバルトの含有量を外部から放射線センサで評価されるのであるが、この放射能評価を適正に行なうことができるように、セシウムについては固化体へ残存する割合を安定させる必要がある。しかし従来法によって製造された固化体はセシウムの残存率が不安定となる場合があった。また、重要核種であるコバルトは100%が固化体中に残存することが確認されているものの、固化体の下部に濃縮・偏在する傾向があるため、外側からの評価が行ないにくいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、減容率が大きく、化学的に安定な固化体が得られるうえ、安定したセシウムの残存率が得られ、またコバルトの評価を容易かつ確実に行なえる固化体を得ることができる放射性廃棄物の溶融処理方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性廃棄物の溶融処理方法は、図1に示すように原子力施設から発生する、硫酸ナトリウムを主成分とし、放射性核種としてセシウムとコバルトを含有する放射性濃縮廃液粉体を、SiO2を主成分とする助剤または無機廃棄物と、還元材と、金属廃棄物とともに溶融し、セシウムを分散含有するガラス層とコバルトを分散含有する金属層とからなる固化体とする放射性廃棄物の溶融処理方法において、還元剤として粒径が3〜5mmの粒状カーボンを使用して前記硫酸ナトリウムを還元し、溶融処理中のSO 3 の発生を防止し、かつ重量比(Na2O+CaO)/SiO2を1以下に調整して、ガラス固化体中のセシウムの残存率を50重量%以上とすることを特徴とするものである。また、溶融物中の金属廃棄物の量を10重量%以上とすることが好ましい。
【0007】
原子力施設から発生する無機廃棄物の大部分は、コンクリート、ガラス屑、ガラス繊維、保温材等であり、SiO2を主成分とするものである。これらを用いれば従来のようにシリカを主成分とする助剤を別途準備する必要がないが、もちろんSiO2を主成分とする助剤を用いても差し支えない。本発明の放射性廃棄物の溶融処理方法は、金属廃棄物を使用する点に大きな特徴がある。特に鉄を含む無機廃棄物を使用することにより、コバルトを金属層中に均一に分散させた固化体を得ることが可能となり、コバルトの評価を容易かつ確実に行なえる固化体を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
まず原子力施設から発生する放射性廃液、特にBWR(沸騰水型原子炉)から発生する放射性廃液を従来と同様に濃縮・乾燥して放射性濃縮廃液粉体とする。この放射性濃縮廃液粉体は硫酸ソーダを主成分とするものであり、放射性核種としてセシウム、コバルト等を含有するものである。
【0009】
この放射性濃縮廃液粉体を、SiO2を主成分とする助剤または無機廃棄物と、還元材と、金属廃棄物とともにるつぼに投入し、1450〜1550℃の高温で溶融する。無機廃棄物としては、前記したような原子力施設から発生するコンクリート、ガラス屑、ガラス繊維、保温材等が用いられる。これらの無機廃棄物の主成分はSiO2であり、Al2O3やCaOを副成分として含むものである。
【0010】
これらの廃棄物は溶融されてガラス質となる。また放射性濃縮廃液粉体の主成分である硫酸ソーダNa2SO4は炭素により還元されてNa2SO3となり、さらに無機廃棄物の主成分であるSiO2と反応してNa2O-SiO2系のガラスとなる。また金属廃棄物は溶融し、比重差によりガラス層から分離した金属層となる。このとき、図2に示すように放射性核種であるセシウムはガラス層1中に分散含有され、コバルトは金属層2中に均一に分散含有される。
【0011】
前記したように、セシウムの残存率を安定させることが必要とされるのであるが、図3に示すようにガラス固化体中のセシウムの残存率は(Na2O+CaO)/SiO2の値により変化する。例えば、セシウムの残存率を50重量%以上で安定させるためには、Na2Oの供給源は放射性濃縮廃液粉体であるから、通常はSiO2を主成分とする助剤または無機廃棄物100重量部に対する放射性濃縮廃液粉体の混合比を100重量部以下とすればよい。また、無機廃棄物中のSiO2含有割合が低い場合は、SiO2を主成分とする助剤を添加し、(Na2O+CaO)/SiO2の値を1以下に調整すればよい。
【0012】
なお、本発明では金属廃棄物を同時に溶融することにより、従来は粒子状となって、るつぼの底部に偏在していたコバルトを、金属層2中に均一分散させることができる。特に鉄中におけるコバルトの分散性は良好である。このため、本発明により得られた固化体はセシウムのみならずコバルトの評価が容易かつ確実に行なえるようになる。しかし金属の含有率が10重量%未満であると金属層2の厚さが薄くなって評価が行ないにくくなるため、10重量%以上の金属を含むものとしておくことが好ましい。
また、るつぼに投入される無機廃棄物中の10重量%程度をAl2O3またはCaOとし、固化体の耐水性を高めることが好ましい。
【0013】
なお、Na2SO4を還元するためにるつぼ中に添加されるカーボン量は、Na2SO4の10〜15重量%とする。粉末状のカーボンは表面積が大きすぎてすぐに燃焼してしまい還元反応に十分に寄与せず、逆に粒径の大きいカーボンは反応しにくいため、粒径が3〜5mm程度の粒状カーボンを用いることが好ましい。
【0014】
通常このような溶融工程においてSOxが発生した場合、その一部が配管腐食や白煙の原因となるSO3となる。しかし還元材として粒状カーボンを用い、またカーボンを含んだるつぼを使用することにより溶融炉内の雰囲気を還元性に保てば、発生するSOxのほとんどがSO2となり、配管腐食や白煙を防止することができる。
【0015】
本発明では、放射性濃縮廃液粉体と不燃性廃棄物を同時に溶融するが、この溶融炉は不燃性廃棄物のみの溶融処理装置としても使用できるから、放射性濃縮廃液粉体の処理と不燃性廃棄物との兼用とすることができる。また、可燃性廃棄物の焼却灰も溶融することができる。
以下に本発明の実施例を示す。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
BWR型原子力発電所から発生する放射性廃液を濃縮し乾燥器で乾燥した放射性濃縮廃液粉体150kgと、原子力発電所から発生する無機廃棄物145kg(SiO2:135kg,CaO+Al2O3:10kg)と、放射性金属廃棄物(配管屑)105kgとを、粒径が3〜5mmの粒状カーボン18kgとともにるつぼに投入し、高周波誘導加熱によって1450℃で溶融した。その結果、るつぼの底部には金属層が、るつぼの上部にはガラス層が分離形成された。これを冷却したガラス固化体をドラム缶に入れ、周囲にセメントを充填してセメント固化した。
【0017】
(実施例2)
BWR型原子力発電所から発生する放射性廃液を濃縮し乾燥器で乾燥した放射性濃縮廃液粉体50kgと、原子力発電所から発生する無機廃棄物である珪酸カルシウム保温材200kgと、放射性金属廃棄物(配管屑)105kgとを、粒径が3〜5mmの粒状カーボン6kgとともにるつぼに投入し、高周波誘導加熱によって1550℃で溶融した。その結果、るつぼの底部には金属層が、るつぼの上部にはガラス層が分離形成された。これを冷却したガラス固化体をドラム缶に入れ、周囲にセメントを充填してセメント固化した。
【0018】
これらの実施例1、2により得られた固化体中のガラス層にはセシウムが分散含有されており、その残存率はいずれも50重量%以上であり安定していた。またコバルトは金属層中に均一に分散含有されているため、外部から放射線センサを用いて行なわれる放射能評価によって、コバルトの量も正確に測定することが可能であった。
【0019】
なお、溶融炉からの排ガスはセラミックフィルタ→HEPAフィルタの排ガス処理設備により処理されるが、実施例1におけるセラミックフィルタの出口におけるSO2の濃度は3800ppmであり、SO3の濃度は0.65ppmであって、配管腐食や白煙の発生はなかった。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の放射性廃棄物の溶融処理方法によれば、放射性の無機廃棄物を用いて放射性濃縮廃液粉体を処理することができるので、大きい減容効果を得ることができる。またセシウムの残存率を安定させることができるうえ、金属廃棄物を同時に溶融することにより、コバルトを金属層中に均一に分散させた固化体を得ることが可能となり、放射能評価を容易かつ確実に行なえる固化体を得ることができる。もちろん得られた固化体は化学的に安定で火災や水にも強く、長期間の保存に十分に耐えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理工程を示すブロック図である。
【図2】ガラス固化体の断面図である。
【図3】セシウムの残存率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス層、2 金属層
Claims (1)
- 原子力施設から発生する、硫酸ナトリウムを主成分とし、放射性核種としてセシウムとコバルトを含有する放射性濃縮廃液粉体を、SiO2を主成分とする助剤または無機廃棄物と、還元材と、金属廃棄物とともに溶融し、セシウムを分散含有するガラス層とコバルトを分散含有する金属層とからなる固化体とする放射性廃棄物の溶融処理方法において、還元剤として粒径が3〜5mmの粒状カーボンを使用して前記硫酸ナトリウムを還元し、溶融処理中のSO 3 の発生を防止し、かつ重量比(Na2O+CaO)/SiO2を1以下に調整して、ガラス固化体中のセシウムの残存率を50重量%以上とすることを特徴とする放射性廃棄物の溶融処理方法。
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JP2001056402A JP3956336B2 (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 放射性廃棄物の溶融処理方法 |
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- 2001-03-01 JP JP2001056402A patent/JP3956336B2/ja not_active Expired - Lifetime
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