JP7225026B2 - 放射性廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性廃棄物の処理方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば、原子力発電所などで発生する放射性廃棄物を焼却することによって生じる焼却灰の処理に用いて好適な技術に関する。
原子力発電所では様々な活動に伴って発生する種々の放射性廃棄物を焼却することによって焼却灰が生じ、この焼却灰は低レベル放射性廃棄物であるために安易には処分することができず、増大する焼却灰の管理保管/処分が問題になっている。
低レベル放射性廃棄物である焼却灰を保管し易くするために処理する従来の技術として、焼却灰にガラスを添加し混合してから焼成して固化するものがある(特許文献1)。
特開2015-14571号公報
本発明者は、焼却灰を加熱溶融してから冷却して固化させる試験を行う中で、特に原子力関連施設由来の焼却灰は組成変動が大きいことと共に、焼却灰が酸化鉄を多く含む場合には溶融処理を施してもガラス化しないことを、すなわち、焼却灰のガラス化の可否は焼却灰中の酸化鉄の濃度に依存することを突き止めた。
そこで、本発明は、焼却灰の組成に応じて適切にガラス化させることができる放射性廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の放射性廃棄物の処理方法は、処理対象の焼却灰の酸化鉄濃度が計測され、前記酸化鉄濃度が所定の閾値以上である場合に、酸化鉄濃度の低減操作をした上での溶融処理,還元性雰囲気のもとでの溶融処理,及び還元剤の添加をした上での溶融処理のうちの少なくとも一つが行われるようにしている。
したがって、この放射性廃棄物の処理方法によると、酸化鉄濃度の低減操作,還元性雰囲気の利用,及び還元剤の添加のうちの少なくとも一つが行われるようにしているので、焼却灰の酸化鉄濃度が高い場合には溶融処理を施してもガラス化しないという問題が解消され、溶融処理された焼却灰が確実にガラス固化する。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、前記焼却灰の酸化鉄濃度に関する前記所定の閾値が18~22 重量% の範囲に設定されるようにしても良い。この場合には、焼却灰がガラス化するか否かが適確に判断される。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、前記還元性雰囲気のもとでプラズマ溶融処理が行われるようにしても良い。この場合には、プラズマ溶融処理では処理対象物への伝熱が良好に促進されるので、速い処理速度が達成される。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、前記還元剤として使用済みのイオン交換樹脂が用いられるようにしても良い。この場合には、イオン交換樹脂を還元剤として焼却灰に添加することで、焼却灰の酸化鉄濃度を低減させ、イオン交換樹脂の残渣を内包する焼却灰のガラス固化体が作製される。特に、酸化鉄濃度の高い焼却灰であっても、酸化鉄の一部を還元してメタルとして析出させることで、酸化鉄の占める割合を減少させてガラス固化体が作製される。
本発明の放射性廃棄物の処理方法によれば、焼却灰の酸化鉄濃度が高い場合には溶融処理を施してもガラス化しないという問題を解消し、溶融処理された焼却灰を確実にガラス固化させることができるので、放射性廃棄物を確実に安定化させた上で処分することが可能になる。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、酸化鉄濃度に関する閾値が所定の範囲に設定されるようにした場合には、焼却灰がガラス化するか否かを適確に判断することができるので、溶融処理された焼却灰をガラス固化しようとする際の不要な手間を回避することが可能になり、且つ、溶融処理された焼却灰を確実にガラス固化することが可能になり、延いては放射性廃棄物の処理・処分方法としての有用性や信頼性を向上させることが可能になる。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、還元性雰囲気のもとでプラズマ溶融処理が行われるようにした場合には、速い処理速度を達成することができるので、放射性廃棄物の処理・処分方法としての利便性や有用性を向上させることが可能になる。
本発明の放射性廃棄物の処理方法は、還元剤として使用済みのイオン交換樹脂が用いられるようにした場合には、酸化鉄濃度の高い焼却灰であってもガラス化させることができるので、放射性廃棄物の処理・処分方法としての汎用性及び有用性を向上させることが可能になる。
本発明の放射性廃棄物の処理方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の放射性廃棄物の処理方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態の放射性廃棄物の処理方法は、処理対象の焼却灰の酸化鉄濃度が計測され(S1)、酸化鉄濃度がガラス化閾値以上である場合(S2:No)に、酸化鉄濃度の低減操作をした上での溶融処理(S4,S5),還元性雰囲気のもとでの溶融処理(S6),及び還元剤の添加をした上での溶融処理(S7,S8)のうちの少なくとも一つが行われるようにしている。
本発明では、例えば原子力発電所や燃料再処理施設などの原子力関連施設内で廃棄された可燃物を焼却することによって生じる焼却灰を処理対象物とする。なお、前記のような焼却灰は低レベル放射性廃棄物に分類される程度の放射性物質を含有していることが想定される。
本発明の放射性廃棄物の処理方法の実施にあたっては、まず、処理対象の焼却灰中の酸化鉄の濃度の計測が行われる(S1)。
具体的には例えば、処理対象の焼却灰の試料が採取され、当該試料について酸化鉄濃度が計測される。
酸化鉄濃度の計測は、具体的には例えば、焼却灰から微量の試料がサンプリングされ、当該試料が溶液化された上で誘導結合プラズマ発光分光分析法(「ICP発光分光分析法」とも呼ばれる)が用いられて行われる。
次に、S1の処理によって計測された焼却灰中の酸化鉄の濃度がガラス化閾値未満であるか否かの判定が行われる(S2)。
本発明では、焼却灰が酸化鉄を多く含む場合には溶融処理を施してもガラス化しないという本発明者の知見に基づき、焼却灰が成分調整をしないでもガラス化するか否かを区分けする境界の値がガラス化閾値として用いられる。
ガラス化閾値(単位:重量%)は、焼却灰がガラス化するか否かの境界の値に設定され、すなわち、焼却灰がガラス化し得ない酸化鉄濃度の最小値として設定されたり、或いは、焼却灰がガラス化し得る酸化鉄濃度の最大値として設定されたりする(尚この場合には、S2の処理では、酸化鉄濃度がガラス化閾値以下であるか否かの判定が行われる)。
ガラス化閾値は、特定の値に限定されるものではないものの、本発明者の知見によると、例えば(焼却灰がガラス化し得ない酸化鉄濃度の最小値として)18~22 重量% 程度の範囲のうちのいずれかの値に設定されることが考えられ、具体的には20 重量% 程度に設定されるようにしても良い。
ガラス化閾値は、或いは、或る施設由来の焼却灰について複数時点の試料が採取され、これら試料のそれぞれについて酸化鉄濃度が計測されると共に溶融処理後にガラス化するか否かの試験が行われることによって焼却灰がガラス化するか否かの境界の値が見定められ、前記境界の値に基づいて前記施設由来の焼却灰について適用される値(別言すると、前記施設固有の値)として設定されるようにしても良い。
そして、S2の処理の結果、酸化鉄濃度がガラス化閾値未満である場合(S2:Yes)は、処理対象の焼却灰に対して溶融及び固化処理が行われる(S3)。
酸化鉄濃度が低い場合には、焼却灰単独で溶融及び固化の処理が行われたり、必要に応じてガラス原料が適量添加された上で溶融及び固化の処理が行われたりする。ガラス原料としては、具体的には例えばガラスビーズやガラス粉末が用いられることが考えられる。
S3の処理において必要に応じて添加されるガラス原料は、特定の種類に限定されるものではなく、処理対象の焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を促進することが考慮されるなどした上で、適当な種類が適宜選択される。S3の処理におけるガラス原料としては、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、Si-Na系のガラス原料が用いられ得る。Si-Na系のガラス原料が用いられる場合は、Si-Na系のガラス原料はイオン交換樹脂の硫黄分を硫酸塩として除去するのに有効であると考えられ、飛灰に含まれるSOxも併せて除去する可能性が期待できる。
廃棄物を効率良く処理する観点から、溶融固化体の作製や特性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、焼却灰以外の様々な放射性廃棄物も併せて処理されることが好ましい。具体的には例えば、酸化鉄濃度が低い場合に、金属のアルミニウムが添加されるようにしても良い。あるいは、溶融固化体の作製や特性に悪影響を及ぼさないことが確認された上で、金属,可・難燃物,不燃物が適量添加されるようにしても良い。
ここで、放射線の影響でセメントに含まれる水が化学分解して水素などのガスが発生すると、或る程度の大きさの(例えば、掌よりも大きな)塊状のアルミニウムと反応することにより、ドラム缶が膨張して破壊したり発火したりする虞が生じる。このため、金属のアルミニウムはセメント固化では処理が困難である。これに対し、本発明に係る手法によれば、金属のアルミニウムを酸化雰囲気で溶融することで酸化物である酸化アルミニウム(Al)に転換することにより、金属のアルミニウムの処理と溶融固化体作製のためのガラス原料の供給とを同時に行うことが可能になる。
なお、焼却灰(或いは、焼却灰と必要に応じて添加されるガラス原料との混合物)に水が適量添加されるようにしても良い。
ガラス化個体の形成処理としての溶融処理は、例えば、プラズマ溶融処理が用いられて行われることが考えられる。
具体的には、炉体と、当該炉体の内側へとプラズマアーク(即ち、プラズマ化した高温のガス)を照射するプラズマトーチとを有するプラズマ溶融炉が用いられ、プラズマトーチから発生するプラズマアークにより、炉体へと投入・供給された処理対象物(ここでは、焼却灰,必要に応じて添加されるガラス原料)が加熱溶解して溶融物(尚、「溶湯」とも呼ばれる)が生成されることが考えられる。
S3の処理としてのプラズマ溶融処理では、加熱の場の雰囲気(別言すると、作動ガス,プラズマガス)は酸化性雰囲気(例えば、空気雰囲気),不活性雰囲気(例えば、窒素ガス雰囲気),及び還元性雰囲気(例えば、一酸化炭素(CO)雰囲気,メタン系炭化水素(C2n+2)雰囲気)のうちの何れでも良い。
ガラス化個体の形成処理としての溶融処理は、あるいは、誘導加熱溶融処理が用いられて行われるようにしても良い。なお、処理対象物に導電性を有するもの(具体的には、金属)が含まれているか、或いは、導電性を有する器/炉に廃棄物が入れられて溶融処理が行われることが必要である。
具体的には、炉体と、当該炉体の内側に挿入されるキャニスタと、当該キャニスタの外周に配置されるコイル電極とを有する溶融加熱炉(尚、「電気加熱炉」や「誘導加熱炉」とも呼ばれる)が用いられ、500~3000 Hz 程度の周波数で、キャニスタへと投入・供給された処理対象物(ここでは、焼却灰,必要に応じて添加されるガラス原料)が加熱溶解して溶融物(溶湯)が生成されるようにしても良い。
溶融処理の温度は、特定の温度に限定されるものではなく、処理対象物が溶融し得ることが考慮されるなどした上で、適当な温度に適宜設定される。溶融処理の温度は、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、400~1600 ℃ 程度の範囲のうちのいずれかの温度に設定され得る。
溶融処理が施された焼却灰(及び、必要に応じて添加されるガラス原料)の溶融物は、冷却されてガラス質/ガラス体として固化し、ガラス固化体として回収される。
一方、S2の処理の結果、酸化鉄濃度がガラス化閾値以上である場合(S2:No)は、下記のS4及びS5の処理,S6の処理,並びにS7及びS8の処理のうちの少なくとも一つが行われる。
酸化鉄濃度がガラス化閾値以上である場合(S2:No)は、まず、処理対象の焼却灰に対して酸化鉄濃度の低減操作が行われる(S4)ようにしても良い。
酸化鉄濃度が高い場合には、焼却灰をそのまま溶融してもガラス化しないので、焼却灰中の酸化鉄の濃度を低減させた上で溶融してガラス質/ガラス体として固化するようにする。
そこで、この処理では、処理対象物の全体の中に占める酸化鉄の割合を下げることによって焼却灰の酸化鉄濃度を低減させるため、処理対象の焼却灰にガラス原料,添加剤,及び/又は他の廃棄物(即ち、処理対象の焼却灰とは異なる廃棄物)が追加的に添加されて酸化鉄成分が希釈される。追加的に添加される物は、一種類でも良く、或いは、複数種類でも良い。
追加的に添加される物としてのガラス原料,添加剤,及び/又は他の廃棄物の種類及び添加量は、処理対象の焼却灰がガラス質/ガラス体として確かに固化し得ることが考慮されるなどした上で、適当な物が選択されたり適当な量に調節されたりする。
S4の処理において追加的に添加されるガラス原料は、処理対象の焼却灰(別言すると、前記焼却灰の溶融物)の酸化鉄濃度を低減させ得ると共に焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を阻害しない(好ましくは、焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を促進する)ものであれば、特定の種類に限定されるものではなく、適当な種類が適宜選択される。S4の処理におけるガラス原料としては、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、二酸化ケイ素(SiO)や酸化アルミニウム(Al)が用いられ得る。
S4の処理において追加的に添加される添加剤は、処理対象の焼却灰(別言すると、前記焼却灰の溶融物)の酸化鉄濃度を低減させ得ると共に焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を阻害しないものであれば、特定の種類/物質に限定されるものではなく、適当な種類/物質が適宜選択される。S4の処理における添加剤としては、例えば、あくまで例として挙げると、塩基度調整剤(具体的には例えば、酸化カルシウム(CaO))が用いられ得る。
S4の処理において追加的に添加される他の廃棄物は、処理対象の焼却灰(別言すると、前記焼却灰の溶融物)の酸化鉄濃度を低減させ得る(したがって、少なくとも、酸化鉄濃度がガラス化閾値よりも低いことが添加される前に確認される)と共に焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を阻害しないものであれば、特定の種類/種別に限定されるものではなく、適当な種類/種別が適宜選択される。S4の処理における他の廃棄物としては、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、処理対象として選択されているものとは異なる焼却灰(特に、例えばクリンカー,ガラス,アルミフォイル,アスベストパッキン,及び/又は保温材などが混入している焼却灰,酸化鉄が相対的に少ない焼却灰)、また、土壌,汚泥,草木,及び落ち葉等の除染除去物、或いは、コンクリート片,鉄筋・金属片,ガラス屑,及び保湿材・断熱材が用いられ得る。
酸化鉄濃度の低減操作として追加的に添加されるガラス原料,添加剤,及び/又は他の廃棄物は、必要に応じて予め裁断されたり粉砕されたりするようにしても良い。
S4の処理において追加的に添加される物としてのガラス原料,添加剤,及び/又は他の廃棄物の量は、処理対象の焼却灰と追加的に添加される物との全体の中に占める酸化鉄の濃度(尚、S1の処理において計測されている)がガラス化閾値未満になるように調節される。
続いて、S4の処理において酸化鉄濃度の低減操作が施された焼却灰に対して溶融及び固化処理が行われる(S5)。
S5の処理における溶融処理はS3の処理における溶融処理(具体的には、プラズマ溶融処理、或いは、誘導加熱溶融処理)と同様である。
なお、焼却灰と酸化鉄濃度の低減操作として追加的に添加されるガラス原料などとの混合物に水が適量添加されるようにしても良い。
S5の溶融処理としてプラズマ溶融処理が用いられる場合、加熱の場の雰囲気(別言すると、作動ガス,プラズマガス)は酸化性雰囲気(例えば、空気雰囲気),不活性雰囲気(例えば、窒素ガス雰囲気),及び還元性雰囲気(例えば、一酸化炭素(CO)雰囲気,メタン系炭化水素(C2n+2)雰囲気)のうちの何れでも良い。
溶融処理が施された焼却灰及び追加的に添加されるガラス原料などの溶融物は、冷却されてガラス質/ガラス体として固化し、ガラス固化体として回収される。
酸化鉄濃度がガラス化閾値以上である場合(S2:No)は、あるいは、処理対象の焼却灰に対して還元性雰囲気のもとでプラズマ溶融処理及び固化処理が行われる(S6)ようにしても良い。
酸化鉄濃度が高い場合には、焼却灰を単純に溶融してもガラス化しないので、焼却灰中の酸化鉄の濃度を低減させつつ溶融してガラス質/ガラス体として固化するようにする。
そこで、この処理では、処理対象の焼却灰中の酸化鉄の一部を還元させてメタル(別言すると、金属の鉄)として析出させて酸化鉄を少なくすることによって焼却灰の酸化鉄濃度を低減させるため、加熱の場の雰囲気が還元性雰囲気のもとで(別言すると、作動ガス/プラズマガスとして還元性雰囲気が用いられて)プラズマ溶融処理が行われる。
なお、焼却灰に水が適量添加されるようにしても良い。
S6の処理における溶融処理はS3の処理におけるプラズマ溶融処理と同様である。S6の処理では、溶融処理により、ガラス層(別言すると、スラグ層)と金属層とが分離して形成される。
還元性雰囲気のもとでのプラズマ溶融処理が施された焼却灰の溶融物は、焼却灰中の酸化鉄の一部が還元してメタルとして析出することによって酸化鉄濃度が低減するので、冷却されてガラス質/ガラス体として固化してガラス固化体として回収され、また、メタル(具体的には例えば、Fe,Co,Niなどである)が析出して金属体として回収される。
プラズマ溶融処理が行われる場合は、下記のような利点がある。
1)5000 ℃ を越える超高温を容易に発生し、エネルギー密度が高く、処理対象物への伝熱を良好に促進することができるので、速い処理速度を達成することができる。
2)焼却灰に含まれる鉄系金属やアスベストなどの融点の高い廃棄物も1500 ℃ 以上の高温で溶融させることができるので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が定める廃石綿などの中間処理の規制をクリアすることができる。
3)高温で溶融させることができるので、ダイオキシン類が存在した場合は熱分解させ、重金属類はスラグに封じ込めることができる。
4)吸熱量の大きな化学反応や活性化エネルギーの大きな化学反応を促進することができる。また、溶湯の対流や攪拌によって物理的に溶湯全体を効率よく加熱することができる。これにより、樹脂の炭化水素で焼却灰の酸化鉄を容易に還元することができる。
5)燃焼反応と違って加熱エネルギーを電力で供給するため、廃棄物の性状に左右されにくい安定な加熱を達成することができる。
6)加熱の場の雰囲気を酸化性,不活性,又は還元性の中からプロセスの要求に応じて自由に選択することができる。
7)排ガスが少ないため、排ガス処理設備をコンパクトにすることができる。
8)加熱の場の流速が小さいため、ダストや焼却灰のような粉体や切り粉のような微細なものも処理することができる。
酸化鉄濃度がガラス化閾値以上である場合(S2:No)は、あるいは、処理対象の焼却灰に対して還元剤の添加が行われる(S7)ようにしても良い。
酸化鉄濃度が高い場合には、焼却灰をそのまま溶融してもガラス化しないので、焼却灰中の酸化鉄の濃度を低減させた上で溶融してガラス質/ガラス体として固化するようにする。
そこで、この処理では、処理対象の焼却灰中の酸化鉄の一部を還元させてメタル(別言すると、金属の鉄)として析出させて酸化鉄を少なくすることによって焼却灰の酸化鉄濃度を低減させるため、処理対象の焼却灰に還元剤が添加される。添加される還元剤としての物は、一種類でも良く、或いは、複数種類でも良い。
添加される還元剤の種類及び添加量は、処理対象の焼却灰(別言すると、前記焼却灰の溶融物)がガラス質/ガラス体として確かに固化し得ることが考慮されるなどした上で、適当な物が選択されたり適当な量に調節されたりする。
S7の処理において添加される還元剤は、処理対象の焼却灰中の酸化鉄を還元させて析出させ得ると共に焼却灰のガラス質/ガラス体としての固化を阻害しないものであれば、特定の種類に限定されるものではなく、適当な種類が適宜選択される。S7の処理における還元剤としては、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、使用済みのイオン交換樹脂,廃棄物から選別された金属のアルミニウム(尚、アルミニウムが酸化鉄を還元することになり、金属のアルミニウムが酸化アルミニウムに転換されると共に酸化鉄の一部が鉄を析出する),及び/又はコークスが用いられ得る。
イオン交換樹脂は炭化水素を含有しており、この炭化水素により、焼却灰中の酸化鉄が還元される。
添加される還元剤としての例えばイオン交換樹脂や金属は、必要に応じて予め裁断されたり粉砕されたりするようにしても良い。
S7の処理において添加される還元剤の量は、処理対象の焼却灰中の酸化鉄の濃度(尚、S1の処理において計測されている)がガラス化閾値未満になるように調節される。
続いて、S7の処理において還元剤の添加が行われた焼却灰に対して溶融及び固化処理が行われる(S8)。
S8の処理における溶融処理はS3の処理における溶融処理(具体的には、プラズマ溶融処理、或いは、誘導加熱溶融処理)と同様である。S8の処理では、溶融処理により、ガラス層(別言すると、スラグ層)と金属層とが分離して形成される。
なお、還元剤が添加された焼却灰に水が適量添加されるようにしても良い。
S8の溶融処理としてプラズマ溶融処理が用いられる場合、加熱の場の雰囲気(別言すると、作動ガス,プラズマガス)は酸化性雰囲気(例えば、空気雰囲気),不活性雰囲気(例えば、窒素ガス雰囲気),及び還元性雰囲気(例えば、一酸化炭素(CO)雰囲気,メタン系炭化水素(C2n+2)雰囲気)のうちの何れでも良い。
溶融処理が施された焼却灰及び還元剤の溶融物は、焼却灰中の酸化鉄の一部が還元してメタルとして析出することによって酸化鉄濃度が低減するので、冷却されてガラス質/ガラス体として固化してガラス固化体として回収され、また、メタル(具体的には例えば、Fe,Co,Niなどである)が析出して金属体として回収される。
上述のS7及びS8の処理において還元剤として使用済のイオン交換樹脂が用いられて焼却灰と使用済イオン交換樹脂とが一括して処理される場合は、下記のような利点がある。
1)原子力発電所に保管されている焼却灰や高線量の使用済イオン交換樹脂の処理・処分の仕法は確立されていないところ、焼却灰と使用済イオン交換樹脂とを同時に処理することができる。
2)焼却灰に適量のイオン交換樹脂を添加することで、イオン交換樹脂に含まれている水分によって焼却灰の飛散を抑制することができる。
3)高線量の使用済イオン交換樹脂が焼却灰で希釈されるので、一括処理によって作製される固化体の放射線量を抑えることができる。
4)イオン交換樹脂を還元剤として焼却灰に添加することで、焼却灰の酸化鉄濃度を低減させ、イオン交換樹脂の残渣を内包する焼却灰のガラス固化体を作製することができる。特に、酸化鉄濃度がガラス化閾値(具体的には例えば、18~22 重量% 程度)以上である焼却灰を、酸化鉄の一部を還元してメタルとして析出させることで、酸化鉄の占める割合を減少させてガラス固化体とすることができる。
5)高線量の使用済イオン交換樹脂に含有されている放射性物質をガラス固化体と析出メタルとに分配することで、それぞれの有する放射線量を低減させ、放射能レベルの比較的高い廃棄物(区分L1)を放射能レベルの比較的低い廃棄物(区分L2)や放射能レベルの極めて低い廃棄物(区分L3)とするように放射能レベル区分を緩和して埋設処分できるようにすることができる。なお、例えば、Re,Co,Niがメタルに分配され、Sr,Nb,Ce,Csの一部がガラスに分配される。
ここで、上述した酸化鉄濃度の低減操作(S4),還元性雰囲気のもとでの溶融処理(S6),及び還元剤の添加(S7)は、いずれか一つが単独で用いられるようにしても良く、或いは、複数の操作や処理が組み合わされて用いられるようにしても良い。具体的には例えば、あくまで例として挙げると、酸化鉄濃度の低減操作としてガラス原料などが追加的に添加される(S4)と共に還元剤が添加される(S7)ようにしたり、還元剤として使用済みのイオン交換樹脂が添加される(S7)と共に還元性雰囲気のもとでプラズマ溶融処理が行われる(S6)ようにしたりしても良い。
以上のように構成された放射性廃棄物の処理方法によれば、酸化鉄濃度の低減操作(S4,S5),還元性雰囲気の利用(S6),及び還元剤の添加(S7,S8)のうちの少なくとも一つが行われるようにしているので、焼却灰の酸化鉄濃度が高い場合には溶融処理を施してもガラス化しないという問題を解消し、溶融処理された焼却灰を確実にガラス固化させることができる。このため、放射性廃棄物を確実に安定化させた上で処分することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、酸化鉄濃度がガラス化閾値未満である場合(S2:Yes)は、上述のように金属のアルミニウムが添加されるようにしても良く、さらに必要に応じ、プラズマ溶融処理における加熱の場の雰囲気(別言すると、作動ガス,プラズマガス)として酸化性雰囲気(例えば、空気雰囲気)が積極的に用いられたり酸化剤が追加的に添加されたりするようにしても良い。
また、上述の実施形態では処理対象の焼却灰(別言すると、前記焼却灰の溶融物)の酸化鉄濃度を低減させるために焼却灰に対してガラス原料などが追加的に添加される(S4の処理)ようにしているが、これに限られず、処理対象の焼却灰を溶融処理して生成される溶融物(溶湯)に対してガラス原料などが追加的に添加されるようにしても良い。
また、上述の実施形態では処理対象の焼却灰中の酸化鉄をメタルとして析出させるために焼却灰に対して還元剤が添加される(S7の処理)ようにしているが、これに限られず、処理対象の焼却灰を溶融処理して生成される溶融物(溶湯)に対して還元剤が添加されるようにしても良い。

Claims (4)

  1. 処理対象の焼却灰の酸化鉄濃度が計測され、前記酸化鉄濃度が所定の閾値以上である場合に、酸化鉄濃度の低減操作をした上での溶融処理,還元性雰囲気のもとでの溶融処理,及び還元剤の添加をした上での溶融処理のうちの少なくとも一つが行われることを特徴とする放射性廃棄物の処理方法。
  2. 前記焼却灰の酸化鉄濃度に関する前記所定の閾値が18~22 重量% の範囲に設定されることを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物の処理方法。
  3. 前記還元性雰囲気のもとでプラズマ溶融処理が行われることを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物の処理方法。
  4. 前記還元剤として使用済みのイオン交換樹脂が用いられることを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物の処理方法。
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