JP3955133B2 - 射出成形同時絵付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形と同時に成形品に絵付シートを一体的に接着して図柄や文字等が施された成形品を得るようにした射出成形同時絵付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
帯状シート又は枚葉シートからなる絵付シートを雌型と雄型との間に供給して射出成形と同時に成形品の表面に絵付シートを一体的に接着する射出成形同時絵付方法としては、熱盤等により絵付シートを予め加熱軟化させた後、真空成形及び/又は圧空成形により雌型のキャビティ面に沿わせて密着させ(予備成形工程)、しかる後、雌型と雄型との型締めを行って前記雌型内に前記雄型側から熔融樹脂を注入充填して射出成形を行うようにしたもの(特公昭50−19132号公報等を参照)、あるいは、予備成形工程なしで絵付シートを平坦なまま雌雄両金型間に挟み込み、雄型側から注入充填される樹脂の熱と圧力で絵付シートを雌型キャビティ面に沿わせると同時に成形品表面に接着するもの(特公平2−42080号公報参照)のいずれかが一般的である。
【0003】
このような射出成形同時絵付に使用される絵付シートとしては、製品種別に応じて貼合わせ積層シート(ラミネートシート)と転写シートのいずれかが用いられ、ラミネートシートである場合には、射出成形によりそのままで絵付けが行われたことになり、射出成形品の外表面にシート全層が接着一体化して化粧層となる。それに対し、絵付シートが転写シートである場合には、成形品外表面に一体化した化粧シートのうちの支持体シートを剥離し、装飾層等の転写層を成形品側に残留させて化粧層となすことにより絵付けが完了する。
【0004】
ところで、上述の如くの射出成形同時絵付を行うにあたっては、雄雌両金型を備えた射出成形同時絵付装置が用いられるが、該装置の雄型には、射出成形機からの熔融樹脂を雌型のキャビティに注入充填するために、通常、ランナー部(いわゆる、コールドランナー)、もしくはホットランナー部が設けられる。
【0005】
しかしながら、コールドランナー方式の射出成形同時絵付装置においては、雌型だけでなく雄型も大きく移動させる必要がある。つまり、絵付成形品の取り出し時に、ランナー部の硬化樹脂を取り除くために、雄型を固定盤から雌型側へ移動させることが必要であるが、雄型を雌型側に移動させた状態では雌型と雄型との離隔距離が短くなり、自動取り出し機がそれらの間に挿入できなくなる等の問題が生じ、かかる問題を回避するには、雌型と雄型との離隔距離、すなわち型開き量を大きくしなければならず、得るべき成形品に比して装置の占有スペースあるいは装置の寸法自体が極めて大きくなるとともに、一サイクルに要する時間が長くなり、生産性の面でも良いとは言えなかった。さらに、金型周辺の機構が複雑となるという難点もある。
【0006】
また、ホットランナー方式の射出成形同時絵付装置においては、ホットランナー部の先端部付近(ゲート部)に冷えて硬化した樹脂が残り、この冷えた硬化樹脂の残渣が次の射出成形時に雌型キャビティ内に射出されて絵付シートに当てられ、該絵付シートとの間に密着不良等を起こし、接着不良や柄(インキ)抜け等の絵付・成形不良を生じるおそれがあった。
【0007】
そこで、上記のような欠点を解消し、成形品に接着不良や柄抜け等の絵付成形不良を生じ難くされ、歩留りや信頼性を向上できるようした射出成形同時絵付装置を本出願人は先に提案している(特開平9−150433号公報参照)。この装置においては、図6に示すように、ホットランナー部13とゲート部16、16との間に、往路9a、流出部9b、及び2本の復路9c、9cからなるUターン部9が設けられ、前記ホットランナー部13からの熔融樹脂を往路9a及びその先端の流出部9bを通じて前記雌型25のキャビティ26における成形品外となる、得るべき成形品1に窓を形成するために設けられている凸部27に導出するとともに、復路9c、9cを通じてそこからU字ないしV字を描くように折り返して前記ゲート部16、16に導き、このゲート部16、16から本来のキャビティ26内(成形品となる部分)に注入充填するようにされる。
【0008】
このようにされることにより、たとえホットランナー部13の先端部付近に冷えて硬化した樹脂が残っていても、この冷えて硬化した樹脂の残渣は、次の射出成形時に、Uターン部9の往路9a及び流出部9bを通じて先頭に立って真っ先に雌型25のキャビティ26における成形品外となる凸部27に導出されて捕捉され、成形品となる部分には導かれない。
【0009】
そのため、成形品に接着不良や柄抜け等の絵付成型不良を生じ難くできる。
なお、図6の装置においては、雄雌両金型12、25の型開き後に、外表面に絵付シートSが貼り付けられた窓付きの絵付成形品が自動取り出し機により取り出される。この場合、前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂が絵付成形品1に付随したまま取り出されるるとともに、このとき前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂と前記Uターン部9(の復路9c、9c)で硬化した樹脂との連結部が押し切られて分離し、Uターン部9で硬化した樹脂は前記絵付成形品の取り出し時にエジェクターピン等で雄型内から突き出される。これにより、絵付成形品1が製品として得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した如くの、Uターン部が設けられているホットランナー方式の雄型を備えた射出成形同時絵付装置においても、次のような問題があった。
すなわち、図7及び図8に示される如くに、型開き後の成形品1の取り出し時に、前記Uターン部9で硬化したUターン部内樹脂7をエジェクターピン59で雄型12から突き出す際、Uターン部9の復路9cで硬化した復路内樹脂部7c、7cは、復路9が突き出し方向に対して窄まる様に傾斜している関係上、突き出し距離が増加するに従い、復路9c壁面に押されて弾性変形し、図7に示される如くに、Uターン部9の往路9aで硬化した往路内樹脂部7a側に強制的に湾曲せしめられる。
【0011】
そして、さらに突き出し距離が増加すると、前記Uターン部内樹脂7は、図8に示される如くに、前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂8、8より先に雄型12から抜け出る。この場合、前記復路内樹脂部7cは弾性変形せしめられているので、雄型12から抜け出るとき、そのバネ作用により、はじけるように飛び出す。さらにこれに加えて、Uターン部内樹脂7は図8でも概略図示した如く、絵付成形品1よりも少し時間遅れでもって雄型より突き出される。
【0012】
これらの作用のため、絵付シートSに貼りついている前記Uターン部内樹脂7が雄型12から突き出されたとき、絵付シートSを偏った方向に引っ張り、絵付シートSは絵付が必要とされる窓形成面4Aのエッジ部分Eから引き剥がされてしまう。
【0013】
このように絵付シートSが引き剥がされると、得られた成形品は接着不良や柄抜け等を有する絵付成型不良品となる。
本発明は、上述の如くの問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、Uターン部内樹脂の突き出し時のバネ作用をなくし、もって絵付シートの剥がれを防止した射出成形同時絵付装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、本発明に係る射出成形同時絵付装置は、基本的には、雌雄両型を備え、前記雄型内に射出成形機からの液状の樹脂を前記雌型のキャビティに注入充填するためのランナー部とゲート部とが設けられ、前記ランナー部とゲート部との間に、前記ランナー部からの液状の樹脂を前記雌型のキャビティにおける絵付シートが配置される部分であって成形品外となる部分に導出するとともにそこから折り返して前記ゲート部に導くUターン部が設けられており、前記Uターン部のゲート部に向かう流出部ないし復路に、その通路断面積を狭くする方向に凸部が突設されていることを特徴としている。
【0015】
前記流出部ないし復路に突設される凸部は、その通路断面積を狭くする、言い換えれば、Uターン部の流出部ないし復路内で硬化した流出部内樹脂部ないし復路内樹脂部を局部的に薄くするような形状であればよいが、くさび状の突起のように、小さな断面積で前記流出部内樹脂部ないし復路内樹脂部を確実に曲がりやすくすることができるものが好ましい。
【0016】
このような構成とされた本発明に係る射出成形同時絵付装置においては、Uターン部内樹脂のうちの流出部内樹脂部ないし復路内樹脂部には、Uターン部の流出部ないし復路に突設されたくさび状の突起等の凸部と相補関係の凹部が形成される。なお、この凸部の形状は、Uターン部内樹脂のうち、特に復路内樹脂部のUターン部の復路からの離型を損なわないように形成する。具体的には、該凸部がUターン部内樹脂の突出方向に向かって断面積が単調減少する形状とするか、或いは、該凸部がスライドコアを構成し、突出時にUターン部の流出部ないし復路から後退するようにする。
【0017】
このため、Uターン部内樹脂がエジェクターピン等で雄型から突き出されるときには、前記凹部で曲がりやすくなっており、従来のようなバネ作用がほとんどなくなるため、絵付シートの剥がれをなくすことができ、接着不良や柄抜け等を低減できる。
【0018】
本発明において、雄雌両型は、鉄等の金属あるいはセラミックス等で作製され、成形品形状応じて分割構成等としてもよい。また、絵付シートの予備成形を行う場合には、加熱軟化用の熱盤等を付設したり、雌型及び雄型に真空吸引や圧空供給用(予備成形用)に小孔(真空吸引孔等)を設ける。あるいは、雌型を複数の分割部分の集合体で形成し、各分割部分の間隙から吸気を行うようにしてもよい。なお、凹凸の段差が小さい成形形状の場合は予備成形を省略し得る。
【0019】
絵付シートは、ロール状に巻き取られた長尺の連続帯状シートの状態から必要量ずつ(1ショット分ずつ)供給するようにしてもよいし、予め所定寸法に裁断した枚葉シートを供給するようにしてもよい。また、帯状シート(の次ショット部分)もしくは枚葉シートからなる絵付シートを対向配置された雌型と雄型との間に供給するには、巻き出し機及び巻き取り機を用いて帯状シートを連続して毎ショット供給するようにしたロール/ロール方式でもよいし、前記枚葉絵付シートを保持する吸着盤等を備えたロボット(マニュピュレーター)等で搬送する方式でもよいが、生産性の面からはロール/ロール方式が推奨される。
【0020】
また、絵付シートを雌型パーティング面に固定保持すべくクランプ手段を付設してもよい。クランプ手段としては、枠状の押さえ板等を用いることができ、その駆動は、型締め動作等の成形用駆動力を用いたり、エジェクターピン駆動機構の動力を利用したりすることができる他、別途に流体圧アクチュエーター等の駆動手段を設けることによりなされる。
【0021】
絵付シートは、基材シートとその上に積層された装飾層からなり、基材シートを成形品と密着一体化させたまま最終製品として使用する貼り合わせ積層シート(ラミネートシート)、あるいは一旦絵付シートと成形品とを一体化させた後、装飾層Sa(転写層)のみを成形品側に残して基材シートSb(支持体シート)を剥離する転写シートのいずれも使用することができる。
【0022】
前記貼り合わせ積層シートの場合、基材シートとしては、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。基材シートの厚さは、通常20〜500μm程度である。装飾層としては、印刷絵柄、着色又は透明塗装、金属薄膜、あるいは、硬質塗膜、防曇塗料、導電性層等の機能性層等を用いることができる。
【0023】
前記転写シートの場合は、一旦剥離性の支持体シート上に形成した絵柄層等よりなる転写層を、別の被転写体に転移させるためのもので、支持体シート上には必要に応じて離型層を設けても良く、転写層としては、剥離層、装飾層、接着剤層、等からなり、装飾層以外の層は必要に応じて選択する。装飾層としては、絵柄層、金属薄膜層(部分又は全面)あるいは硬質塗膜、防曇塗膜、導電性層等の機能性層から選ばれる。
【0024】
支持体シートは、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等、可撓性を有する熱可塑性樹脂フィルムあるいはそれらの積層体が好ましい。
【0025】
射出成形用の樹脂としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を加熱熔融して液状化したもの、あるいは、二液硬化型、触媒硬化型の樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエステル等の未硬化液状物等の射出成形同時絵付用として従来より知られている材料を使用でき、製品の要求物性やコスト等に応じて選定される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る射出成形同時絵付装置の一実施形態を示す概略図である。図1において、前述した図6に示される射出成形同時絵付装置における各部に対応する部分には同一の符号を付してそれらの重複説明を省略し、以下においては相違点を重点的に説明する。
【0027】
図示の射出成形同時絵付装置10は、前述したものと同一構成の雌型25とそれとは異なる雄型12とを備える。この雄型12は固定盤11に取着され、この雄型12には、射出成形機のノズル70の装着部19から液状樹脂として熔融樹脂が供給される、電熱線等からなるヒーター14に包囲された直線状のホットランナー部13が穿設されており、このホットランナー部13の先端には後述する如くの概略横倒しW字ないしE字状のUターン部9が設けられるとともに、このUターン部9の両端が、雌型25のキャビティ26に前記ホットランナー部13からの熔融樹脂を射出する直線状の2本のゲート部16、16に連結されている。
【0028】
つまり、前記ホットランナー部13とゲート部16、16との間に、往路9a、流出部9b、及び2本の復路9c、9cからなるUターン部9が設けられ、前記ホットランナー部13からの熔融樹脂を往路9a及びその先端の流出部9bを通じて前記雌型25のキャビティ26における成形品外となる、得るべき成形品1に窓4を形成するために設けられている凸部27に導出するとともに、復路9c、9cを通じてそこからU字ないしV字を描くように折り返して前記ゲート部16、16に導き、このゲート部16、16から本来のキャビティ26内(成形品となる部分)に注入充填するようにされる。図2は、雌型25のパーティング面25aに絵付シートを固着するクランパー32を示す斜視図である。ここで、クランパー32は雌型の4隅に嵌挿された摺動桿34によって駆動され、絵付シートを着脱する。
【0029】
上記構成に加えて、本実施形態においては、図3に示される如くに、前記流出部9bと復路9c,9cとの境目部分に、その通路断面積を狭くする方向にくさび状の突起5、5が形成されている。なお、該くさび状の突起5、5は、雌雄両型が隔接する方向において、雌型に向かって(図3では左方向)くさびの断面積は小さくされており、硬化した復路内樹脂部7c,7cが復路9c,9cから離型することを妨げないようになっている。
【0030】
このような雄型12を備えた射出成形同時絵付装置10においては、前述したものと同様にして射出成形同時絵付が行われる。すなわち、雄雌両型12、25の型開き後に、外表面に装飾層Saが転写された窓4付きの絵付成形品1が自動取り出し機(サーボモーター駆動、エアーチェック方式)により取り出されるとともに、それと同時に、前記Uターン部9で硬化したUターン部内樹脂7をエジェクターピン59で雄型12から突き出す。
【0031】
この場合、前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂8、8が絵付成形品1に付随したまま取り出されるるとともに、前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂8、8と前記Uターン部9(の復路9c、9c)で硬化したUターン部内樹脂7(復路内樹脂部7c)との連結部が押し切られて分離する。
【0032】
この場合、前記Uターン部9で硬化したUターン部内樹脂7をエジェクターピン59で雄型12から突き出す際、Uターン部9の復路9cで硬化した復路内樹脂部7c、7cは、復路9が突き出し方向に対して窄まる様に傾斜している関係上、突き出し距離が増加する従い、復路9c壁面に押されて弾性変形する。
【0033】
ここで、本実施形態では、前記流出部9bと復路9c,9cとの境目部分に、その通路断面積を狭くする方向にくさび状の突起5、5が形成されているので、Uターン部内樹脂7のうちの流出部内樹脂部7bと復路内樹脂部7c、7cには、前記くさび状の突起5、5と相補関係の断面三角形状の切欠凹部5’、5’が形成されている。
【0034】
このため、前記復路内樹脂部7c、7cは、突き出し距離の増加に伴い、図4に示される如くに、前記切欠凹部5’、5’を折曲点としてUターン部9の往路9aで硬化した往路内樹脂部7a側に向けて立上る。この場合、前記切欠凹部5’、5’部分は薄くなっているので、曲がりやすくなっている。
【0035】
そして、さらに突き出し距離が増加すると、前記Uターン部内樹脂7は、図5に示される如くに、前記ゲート部16、16で硬化したピン状の樹脂8、8と略同時に雄型12から抜け出る。
【0036】
雄型12から抜け出たときには、従来のようなバネ作用がほとんどなくなるため、従来のもののようにはじけて飛び出すことはなく、したがって、絵付シートSを引っ張ることもない。このため、絵付シートSの剥がれをなくすことができ、接着不良や柄抜け等を低減できる。
上記に加え、Uターン部9を設けたことによって、前述したものと同様に、たとえホットランナー部13の先端部付近に冷えて硬化した樹脂(7’)が残っていても、この冷えて硬化した樹脂の残渣7’は、次の射出成形時にUターン部9の往路9a及び流出部9bを通じて先頭に立って真っ先に雌型のキャビティにおける成形品外となる凸部27に導出されてそこで捕捉され、成形品1となる部分には導かれない。
【0037】
そのため、本実施形態によれば、ホットランナー部13の先端部付近に冷えた硬化樹脂の残渣7’があっても、成形品1となる部分については接着不良や柄抜け等の絵付成形不良は生じ難くでき、歩留りや信頼性を向上できる。なお、以上の実施形態においては、ホットランナーを用い、加熱熔融で液状化した樹脂を射出させる場合について説明したが、本発明において、コールドランナー方式を用いたり、或いは、硬化型樹脂の未硬化液状物を射出させる実施形態も可能である。
【0038】
〔具体的な実施例〕
透明なアクリルシート(厚み125ミクロン)に対して以下の方法で印刷を施した。
絵柄層…アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体との混合型バインダーに顔料を添加したインキ
接着層…塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系
なお、絵柄層は、柄版を3色組み合わせて木目の意匠を持つ絵柄をグラビア印刷方法で3色刷りして得た。接着剤層は、版深60μmのグラビベタ版を2度用いて2ミクロンの層をグラビア印刷して形成した。
【0039】
成形
成形樹脂として耐熱ABS樹脂を用意した(樹脂温度 240度 金型温度60度)
製品
テスト用に50mm×350mm、深さ方向5mmの車両のドアパネル成形品金型を用意した。
【0040】
型
鉄製の型(金型)を用いた。金型のゲート位置は長方形の一辺に2箇所用意した。ゲート形状は図6及び図1の如きサブマリンゲートとした。また、射出成形同時絵付ができるようにキャビティには真空引き孔を用意した。
(a)の金型 従来のもの(図6のもの)
(b)の金型 復路9cに突起を形成したもの(図1のもの)
成形加工
クランプしたシートをヒータで330°C、3秒加熱した後、雌型から真空引きを行い、さらに5秒後ヒータを金型から退避させた。その後、雌雄両型を閉じ、樹脂を射出してシートと樹脂とを一体化させた。金型を開けた後、成形品をエジェクターピンで突き出した。
【0041】
結果
(a)の場合
復路9cで形成された樹脂が突き出される際に弾けるように飛び出し、且つ、絵付成形品1の部分に比べてUターン部内樹脂7(7a〜7c)が時間的に遅れて突き出され、シートを製品より先に引っ張るためエッジ部分が剥がれた。
(b)の場合
復路9cで形成された樹脂が突き出される際にえぐり部分7cが折れやすくなり、弾ける力が吸収されるため、結果として製品とランナー部分が同時に出るため、フィルムの剥がれ現象が起きなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る射出成形同時絵付装置によれば、ランナー部の流出部ないし復路で硬化した樹脂は、その根元付近に突起による凹部が形成されているため、エジェクターピンで突き出されるとき、凹部で曲がりやすくなっており、バネ作用がほとんどなくなるため、絵付シートのはがれがなくなる。また、接着不良や柄抜け等の絵付成形不良が生じにくく、歩留りや信頼性を向上できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出成形同時絵付装置の一実施形態の射出成形工程を示す概略構成図。
【図2】図1の射出成形同時絵付装置の雌型とその周辺を示す概略斜視図。
【図3】図1の射出成形同時絵付装置の要部を示す拡大図。
【図4】図1の射出成形同時絵付装置の成形品取り出し工程の説明に供される図。
【図5】図1の射出成形同時絵付装置の成形品取り出し工程の説明に供される図。
【図6】従来の射出成形同時絵付装置の一例の射出成形工程を示す概略構成図。
【図7】図6の射出成形同時絵付装置の成形品取り出し工程の説明に供される図。
【図8】図6の射出成形同時絵付装置の成形品取り出し工程の説明に供される図。
【符号の説明】
S 絵付シート
1 絵付成形品
7 Uターン部内樹脂
7a 往路内樹脂部
7b 流出部内樹脂部
7c 復路内樹脂部
9 Uターン部
10 射出成形同時絵付装置
12 雄型
13 ホットランナー部
16 ゲート部
25 雌型
27 凸部
36 真空吸引孔
Claims (2)
- 雌雄両型を備え、前記雄型内に射出成形機からの液状の樹脂を前記雌型のキャビティに注入充填するためのランナー部とゲート部とが設けられ、前記ランナー部とゲート部との間に、前記ランナー部からの液状の樹脂を前記雌型のキャビティにおける絵付シートが配置される部分であって成形品外となる部分に導出するとともにそこから折り返して前記ゲート部に導くUターン部が設けられてなる射出成形同時絵付装置であって、
前記Uターン部のゲート部に向かう流出部ないし復路に、その通路断面積を狭くする方向に凸部が突設されていることを特徴とする射出成形同時絵付装置。 - 前記凸部がくさび状の突起であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形同時絵付装置。
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