JP3955088B2 - アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法 - Google Patents

アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明はアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチトール粉末は、マルトースを接触水素化し、粉末化することにより製造される糖アルコールであり、甘味質が砂糖に近く、甘味度も他の糖アルコールに比較して砂糖に近く、口内細菌により資化されにくいので虫歯の原因にならず、ヒトの消化酵素では消化されにくいなどの特徴があるため、糖尿病患者、肥満や虫歯を予防したいと考えている人々に広く利用されている。
【0005】
また、マルチトール結晶などに代表されるマルチトール粉末は、非吸湿性、熱などに対する安定性、インシュリン分泌を促さないことや各種ミネラルの吸収に好ましい影響を与えることなど、各種の有用な機能を有することから、前記の特殊な用途に止まらず、一般の食品や医薬品、化粧品の材料等としても広く利用されつつある。
【0006】
一方、アスコルビン酸はビタミンCとして知られ、大量に製造されており、各種酸化防止剤や酸味量等として食品用途に用いられている他、各種工業用途や医薬用途にも広く用いられている。
【0007】
しかし、更に用途を拡大しようとしたときに、アスコルビン酸の酸味が強いことや、保存中に酸化分解してしまい黄色に変色したり、含量が低下すること等が課題として残されていた。
【0008】
また、アスコルビン酸で流通している商品の殆どは微細な結晶品であり、マルチトールのほうは流通している商品の殆どは粉末の粒子が鋭角端を有する破砕品や結晶品であって、共に流動性がやや低いことも課題とされていた。
【0009】
従って、砂糖に類似したまろやかな甘味質のマルチトールとアスコルビン酸との流動性の高い混合粉末組成物が望まれていた。
【0010】
更に、そのような混合粉末組成物を調製する際には、保存、輸送等している間に成分の偏りが生じないことや保存性を改善することも課題とされていた。
【0011】
従って、成分の偏りや流動性などの課題を解決しつつ、アスコルビン酸とマルチトールとの混合粉末組成物を経済的に有利に製造する方法の開発が望まれていたのである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、前述の課題を解決するため、鋭意検討した結果、マルチトールマスキットとアスコルビン酸のマスキットとを各々調製し、特定の割合で噴霧乾燥装置に導入して噴霧乾燥することにより、従来品のような成分の偏りが無く、且つ、経済的に有利な、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末を製造する方法を開発することに成功し、更に、マルチトールとアスコルビン類との高い濃度の混合水溶液を調製した後、冷却して細かい結晶を発生させ、粘度の低いマスキットを調製して噴霧乾燥することによって、流動性が高く、アスコルビン酸の保存性が改善され、従来品のような成分の偏りが無い、アスコルビン酸とマルチトールとの混合粉末を経済的に有利に製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明の課題を解決するための手段は、下記の通りである。
【0015】
第一の本発明は、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を製造する方法において、1)マルチトール純度が85〜99.9重量%で固形分濃度が70〜90重量%のマルチトール水溶液から、懸濁結晶量10〜70重量%のマルチトールマスキットを、純度98以上のアスコルビン酸の水溶液からマスキットを、それぞれ調製する第一工程、2)マルチトールマスキットの導入割合を固形分で5〜80重量%、アスコルビン酸のマスキットの導入割合を固形分で20〜95重量%の割合に保ち、各々のマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温30〜75℃で噴霧乾燥する第二工程、の2工程を逐次的に経由することを特徴とする、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合組成物の製造方法である。
【0016】
第二の本発明は、第一工程において、濃度20〜35%のアスコルビン酸純度98以上の水溶液からアスコルビン酸マスキットを調製し、且つマルチトールマスキットの懸濁結晶量が10〜40重量%に調節されたものである、第一の発明に記載のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法。
【0017】
第三の本発明は、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を製造する方法において、1)純度90〜99.9重量%のマルチトールを固形分比率で5〜80重量%、純度98%以上のアスコルビン酸を固形分比率で20〜95重量%含有する固形分濃度20〜85重量%の水溶液を調製し、温度10〜60℃まで冷却し、必要に応じて種結晶の添加及び希釈をして更に0.5〜10時間程度撹拌し、アスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液のマスキットを調製する第一工程、2)第一工程で得られたアスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液のマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温30〜75℃で噴霧乾燥する第二工程、の2工程を逐次的に経由することを特徴とする、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法である。
【0018】
また、第四の本発明は、調製後のマスキットに水、アスコルビン酸の水溶液、マルチトール水溶液の何れか1種または2種以上の混合液を加えることにより、固形分濃度を20〜80%に調整してマスキットの粘度を低下させる、第三の発明に記載のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法である。
【0019】
本発明に用いるマルチトールは、本発明の条件下で良好な状態のマルチトールマスキットを生成する品質が要求されるが、澱粉液化液に通常の糖化条件を施して調製した高純度マルトースを還元して得たマルチトール純度が85〜99.9%で固形分濃度が70〜90%、更に好ましくは73〜80%、最も好ましくは75〜78%の水溶液であれば、おおむね本発明に要求される品質を満足するが、分子量が近いマルトトリイトールやマルトテトライトール等はマルチトールの結晶生成を阻害する傾向があるので、それらの成分が少ないものが好ましい。
【0020】
しかし、本発明の中のマルチトールとアスコルビン酸との混合水溶液からマスキットを調製する方法にあっては、結晶の析出が困難になるなどの理由からやや高い純度のマルチトールが要求され、好ましくは純度90〜99.9%、更に好ましくは純度95〜99.9%のマルチトールが採用されるべきである。
【0021】
また、本発明に用いるアスコルビン酸は、本発明実施の際にアスコルビン酸マスキットを生成し易い品質の、高純度のものが好ましいが、市販の食品又は食品添加用途に調製されている製品は99%以上と純度が極めて高いので、本発明に有利に採用することができる。
【0022】
本発明を実施する際に重要な点の一つは、マルチトールのマスキットとアスコルビン酸のマスキットをそれぞれ調製する点であり、特に、本発明を実施する上で有利なマルチトールのマスキットを調製するには、マルチトール水溶液を一度100℃以上に加熱するなどの手段で結晶のエンブリオが残らないように0.8未満の低い飽和度にした後、濃度70〜90%、更に好ましくは76〜79%に調整して、必要に応じて種結晶を加え、冷却しながら撹拌するなどの方法で微細なマルチトール結晶を生成させ、水溶液中に結晶が10〜70%更に好ましくは10〜35%の範囲になった時にそれ以上結晶が生成、成長しないように温度を調節して飽和度を1.0程度に保持しながら5〜10時間程度撹拌することによって本発明に有利に用いられるマルチトールマスキットが得られる。
【0023】
また、マルチトールマスキットを調製する際に徐冷するなどの影響で細長い結晶が多く析出してしまうことがあるが、懸濁する結晶が多すぎたり、結晶が小さ過ぎて粘度が高くなった場合には、十分に撹拌しながら水又はマルチトール水溶液を加えて固形分濃度を下げることも、マスキットの輸送や品質の優れた噴霧乾燥品を得るうえで有利に採用することができる。
【0024】
また、アスコルビン酸のマスキットを調製する際には、アスコルビン酸は結晶速度が速いので、固形分濃度20〜35%に調製したアスコルビン酸水溶液に必要に応じて種結晶を加え、急冷して撹拌するなどの方法で微細なアスコルビン酸結晶を生成させ、水溶液中に懸濁している結晶の量が5〜30%の範囲になった時にそれ以上結晶が生成、成長しないように温度を調節して飽和度を1.0程度に保持することによって本発明に有利に用いられるアスコルビン酸のマスキットが得られる。
【0025】
次に、アスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液からマスキットを調製する方法について説明する。
【0026】
この方法の場合は純度90〜99.9%、更に好ましくは95〜99.9%のマルチトールを採用するが、マルチトールとアスコルビン酸との固形分比率が5:95〜80:20の範囲の混合水溶液を調製し、濃度20〜85%に調節してから温度10〜60℃、好ましくは12〜40℃まで急速に冷却し、やや強く撹拌しながら必要に応じてアスコルビン酸及び/又はマルチトールの種結晶添加や希釈をして更に0.5〜10時間穏やかに撹拌し、微細な結晶を析出させることにより混合液のマスキットを得ることができる。
【0027】
次に、本発明の第二工程について説明する。
【0028】
マルチトールマスキットとアスコルビン酸のマスキットとを別々に調製してから噴霧乾燥装置に導入する場合は、マルチトールマスキットの導入割合を固形分で5〜80重量%、アスコルビン酸の導入割合を固形分で20〜95重量%の割合に保ち、噴霧乾燥装置に入る直前に両方のマスキットを混合させるかまたは各々のマスキットを噴霧乾燥装置に導入したのちにアトマイザーなどの上で混合させるが、噴霧乾燥装置内の送風温を30〜75℃の範囲に調節し、各成分の固形分比率を前記範囲内に調節することが、比較的吸湿性の低い製品を得ることや、流動性の高い均一な組成などの市場が要求する品質を満足すること等の理由から好ましい。
【0029】
本発明の第一工程でアスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液から調製したマスキットを噴霧乾燥する場合は、予めアスコルビン酸とマルチトールとの固形分比率が水溶液の段階で適切に調整してあるので、マスキットをそのまま装置に導入し、噴霧乾燥装置内の送風温を30〜75℃の範囲に調節しながら操作することによって本発明を実施することができる。
【0030】
また、マスキットを噴霧乾燥装置に導入する方式は通常の噴霧乾燥に採用されている方式であれば格別の制約を受けないが、噴霧乾燥装置の上部にアトマイザーを備えた方式のものがノズル方式のものよりも条件を調節し易いので好ましく、送風温は30℃未満の場合には乾燥効果が不十分で水分が残り過ぎる場合が多く、75℃を超える温度を採用した場合には、アスコルビン酸が黄色くなってしまい品質を損なう場合が多い。
【0031】
このように本発明の第二工程を実施する際に、噴霧乾燥装置の底部に落下したときの粉末は十分に低い水分含量まで乾燥される。
【0032】
しかし、マルチトールの結晶化を高めるためには粉末中に残っている水分が有効に働くので、この時点で必ずしも乾燥を完了させる必要はない。
【0033】
更に、品質の安定した本発明の製品を得るうえで、噴霧乾燥した後の粉末を温度25℃前後に保持して熟成させてから公知の方法で乾燥することも有利に採用することができる。
【0034】
本発明に採用する噴霧乾燥装置は、本発明を実施して得られるマスキットの性質が噴霧乾燥困難なものであるという事情や、流動性の高い製品を得るうえから、直径の大きいものが好ましいが、具体的には直径が5メートル以上、更に好ましくは8メートル以上のものが有利に採用できる。
【0035】
以上に説明したように、本発明の工程は加熱や乾燥操作の部分が比較的短時間に終了するもので、強い加熱やニーダー法のような機械的に強い混練をする必要がないので成分に着色することがなく、複雑な構造の特殊な機器も要求されないので経済的に有利な方法であり、本発明の方法を経由することにより得られる製品は、極めて流動性が高く、輸送や保管の間に振動等によって成分の偏りを生じることがなく、且つ、共存するマルチトールによってアスコルビン酸の分解が抑制されるので保存性が改善されており、従って、各種用途に用いた場合に性質や味、効果などにばらつきが出ないという有利な特徴がある。
【0036】
また、本発明により得られる製品は、従来品に比べて吸湿製が低いので、貯蔵中の固結が生じにくいなどの有利な性質も備えている。
【0037】
【実施例】
【0038】
以下に、実施例、比較例を掲げて更に具体的に本発明の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に制限されるものではない。
【0039】
また、以下の例において、%は特に断らない限り重量%を表わすものとする。
【0040】
(実施例1)
【0041】
<第一工程> 純度99.9%の市販のアスコルビン酸を濃度33%に調整し、撹拌しながら温度15℃まで急激に冷却して微細な結晶を析出させ、そのまま温度を15℃に保持して、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を5時間続け、アスコルビン酸のマスキットを得た。
【0042】
純度95.0%の食品用マルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標アマルティMR]を濃度75%に調整し、加熱して温度を100℃にした後、撹拌しながら30分間で温度15℃まで急激に冷却して微細な結晶を析出させ、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を10時間続けて懸濁結晶量35%のマルチトールマスキットを得た。
【0043】
<第二工程> 第一工程で得た各々のマスキットをポンプで噴霧乾燥装置に送入する際に、アスコルビン酸が60、マルチトールが40の固形分比率とし、噴霧乾燥装置に入る直前に両者の配管が接続して一本の配管から各マスキットが導入されるよう調整し、送風温度70℃、排風温度35℃、噴霧乾燥装置の底部に落下した粉末の温度が35℃で、水分が3%になるように噴霧乾燥して本発明のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を得た。
【0044】
本実施例により得られたアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の組成を液体クロマトグラフ法により測定したところ、マルチトール41%、アスコルビン酸59%であった。
【0045】
また、本実施例により得られたアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の約50メッシュの粉末を安息角測定機具(PT−D型)により測定した結果、安息角は、30°であり、外観は白色のサラサラした極めて流動性の優れた粉末であった。
【0046】
(実施例2)
【0047】
<第一工程> 実施例1と同様にしてアスコルビン酸のマスキットを得た。
【0048】
純度98%の食品用マルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]の水溶液を濃度80%に濃縮し、加熱して温度を100℃にした後、撹拌しながら20分間で温度15℃まで急激に冷却してマルチトール液の固形分に対して3%の微細なマルチトール粉末[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]を添加して微細な結晶を析出させ、水を加えて全体の濃度を78%に調整し、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を10時間続けて懸濁結晶量35%のマルチトールマスキットを得た。
【0049】
<第二工程> マスキットの導入比率をアスコルビン酸が90、マルチトールが10とした他は、実施例1と同様にして各々のマスキットをポンプで噴霧乾燥装置に送入し、同様の条件で噴霧乾燥して本発明のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を得た。
【0050】
本実施例により得られたアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の組成を液体クロマトグラフ法により測定したところ、マルチトール10.2%、アスコルビン酸89.8%であった。
【0051】
また、本実施例により得られた水分0.3%のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の約50メッシュの粉末を安息角測定機具(PT−D型)により測定した結果、安息角は、33°であり、外観は白色のサラサラした極めて流動性の優れた粉末であった。
【0052】
(実施例3)
【0053】
<第一工程> 純度99.0%のマルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]とアスコルビン酸の固形分比率が20:80の濃度39%の混合水溶液を温度60℃で調製し、撹拌しながら温度15℃まで急速に冷却し、対混合水溶液の固形分2%の微粉末状マルチトールを種結晶として添加し、0.5時間撹拌を続けて微細結晶を十分に生成させて懸濁結晶量23%のマルチトールとアスコルビン酸ナトリウムとの混合水溶液のマスキットを得た。
【0054】
<第二工程> 第一工程で得たマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温度65℃、排風温度38℃、噴霧乾燥装置の底部に落下した粉末の温度が38℃で、水分が4%になるように噴霧乾燥し、更に、得られた粉末を38℃で1時間保持して熟成してから乾燥して本発明のアスコルビン酸ナトリウムとマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を得た。
【0055】
本実施例により得られたアスコルビン酸ナトリウムとマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の約50メッシュの粉末は水分0.2%で、このものを実施例1と同様にして測定した結果、安息角は34°であり、外観は白色のサラサラした極めて流動性の優れた粉末であった。
【0056】
(実施例4)
【0057】
<第一工程> 純度98%のマルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]と純度99.8%のアスコルビン酸を固形分比率75:25の割合で混合した水溶液を調製し、濃度85%まで濃縮した後、90℃まで加熱してから15℃まで急速に冷却し、混合水溶液の固形分に対して0.5%の微細なアスコルビン酸と0.3%のマルチトール結晶[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]を種結晶として添加し、温度を15℃に保持しながらゆるやかに5時間撹拌した後に水を加えて固形分濃度を78%に調整し、更に5時間撹拌して懸濁結晶量32%のマルチトールとアスコルビン酸との混合水溶液のマスキットを得た。
【0058】
<第二工程> 第一工程で得たマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温度68℃、排風温度38℃、噴霧乾燥装置の底部に落下した粉末の温度が38℃で、水分が3.4%になるように噴霧乾燥し、更に、得られた粉末を38℃で15時間保持して熟成してから乾燥して本発明のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を得た。
【0059】
本実施例により得られたアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の水分は0.3%で、約50メッシュの粉末を実施例1と同様にして測定した結果、安息角は31°であり、外観は白色のサラサラした極めて流動性の優れた粉末であった。
【0060】
【比較例】
【0061】
(比較例1)
【0062】
<第一工程> 純度83%のマルチトールと純度99.9%のアスコルビン酸を固形分比率17:83の割合で混合した水溶液を調製し、濃度85%まで濃縮した後、110℃まで加熱してから15℃まで急速に冷却し、混合水溶液の固形分に対して0.5%の微細なアスコルビン酸を種結晶として添加し、温度を15℃に保持しながらゆるやかに12時間撹拌した後に水を加えて固形分濃度を78%に調整し、更に5時間撹拌してマルチトールとアスコルビン酸との混合水溶液のマスキットを得た。
【0063】
<第二工程> 第一工程で得たマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温度70℃、排風温度40℃の条件で噴霧乾燥した結果、噴霧乾燥装置のアトマイザーの周囲の壁に黄色いガラス状の固形物が付着、堆積してしまい、噴霧乾燥操作を継続することができなかった。
【0064】
また、堆積したガラス状固形物を掻き落としたが、塊状であり、安息角は測定できなかった。
【0065】
(比較例2)
【0066】
<第一工程> 純度99.9%の市販のアスコルビン酸を用いて実施例1と同様にしてアスコルビン酸マスキットを得た。
【0067】
純度98%の食品用マルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]を濃度65%に調整し、加熱して温度を110℃にした後、撹拌しながら温度5℃まで急激に冷却して液固形分に対して0.2%の微細なマルチトール結晶を種結晶として添加し、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を10時間続けて懸濁結晶量3%のマルチトールマスキットを得た。
【0068】
<第二工程> 第一工程で得た各々のマスキットをポンプで噴霧乾燥装置に送入する際に、アスコルビン酸が17、マルチトールが83の固形分比率とし、噴霧乾燥装置に入る直前に両者の配管が接続して一本の配管から各マスキットが導入されるよう調整し、送風温度70℃、排風温度40℃の条件で運転したところ、噴霧乾燥装置の壁に液の飛沫が付着して流れ落ち、噴霧乾燥操作が不可能であった。
【0069】
(比較例3)
【0070】
<第一工程> 純度99.9%の市販のアスコルビン酸を濃度32%に調整し、温度100℃まで加熱した後、撹拌しながら温度15℃まで急激に冷却して微細な結晶を析出させ、そのまま温度を15℃に保持して、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を0.5時間続け、アスコルビン酸マスキットを得た。
【0071】
純度98%の食品用マルチトール[東和化成工業(株)製、登録商標レシス]を濃度84%に調整し、加熱して温度を110℃にした後、撹拌しながら温度15℃まで急激に冷却して結晶を析出させ、毎分20回転のゆっくりとした撹拌を10時間続けた後水を加えて濃度を82%に調節し、更に3時間撹拌を続けて懸濁結晶量39%のマルチトールマスキットを得た。
【0072】
<第二工程> 第一工程で得た各々のマスキットをポンプで噴霧乾燥装置に送入しようとしたが、アスコルビン酸マスキットとマルチトールマスキットの両方が配管内で固化し、噴霧乾燥操作ができなかった。
【0073】
【発明の効果】
【0074】
本発明によると、成分の偏りや流動性などの課題を解決しつつ、アスコルビン酸とマルチトールとの混合粉末組成物を経済的に有利に製造できる。
【0075】
すなわち、本発明の方法は、加熱や乾燥操作の部分が比較的短時間に終了するもので、強い加熱やニーダー法のような機械的に強い混練をする必要がないので成分に着色することがなく、複雑な構造の特殊な機器も要求されないので経済的に有利な方法であり、本発明の方法を経由することにより得られる製品は、極めて流動性が高く、輸送や保管の間に振動等によって成分の偏りを生じることがなく、且つ、共存するマルチトールによってアスコルビン酸の分解が抑制されるので保存性が改善されており、従って、各種用途に用いた場合に性質や味、効果などにばらつきが出ないという有利な特徴がある。
【0076】
また、本発明を実施することで得られる製品は、従来品に比べて吸湿性が低いので、貯蔵中の固結が生じにくいなどの有利な性質も備えている。

Claims (3)

  1. アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を製造する方法において、
    1)マルチトール純度が85〜99.9重量%で固形分濃度が70〜90重量%のマルチトール水溶液から、懸濁結晶量10〜70重量%のマルチトールマスキットを、純度98以上のアスコルビン酸の水溶液からマスキットを、それぞれ調製する第一工程、
    2)マルチトールマスキットの導入割合を固形分で5〜80重量%、アスコルビン酸のマスキットの導入割合を固形分で20〜95重量%の割合に保ち、各々のマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温30〜75℃で噴霧乾燥する第二工程、の2工程を逐次的に経由することを特徴とする、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法。
  2. 第一工程において、濃度20〜35%のアスコルビン酸純度98以上の水溶液からアスコルビン酸マスキットを調製し、且つマルチトールマスキットの懸濁結晶量が10〜40重量%に調節されたものである、請求項1に記載のアスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法。
  3. アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物を製造する方法において、
    1)純度90〜99.9重量%のマルチトールを固形分比率で5〜80重量%、純度98%以上のアスコルビン酸を固形分比率で20〜95重量%含有する固形分濃度20〜85重量%の水溶液を調製し、温度10〜60℃まで冷却し、必要に応じて種結晶の添加及び希釈をして更に撹拌し、アスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液のマスキットを調製する第一工程、
    2)第一工程で得られたアスコルビン酸とマルチトールとの混合水溶液のマスキットを噴霧乾燥装置に導入し、送風温30〜75℃で噴霧乾燥する第二工程、の2工程を逐次的に経由することを特徴とする、アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法。
JP34431295A 1995-12-06 1995-12-06 アスコルビン酸とマルチトールとの流動性の高い混合粉末組成物の製造方法 Expired - Lifetime JP3955088B2 (ja)

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