JP3954740B2 - 上塗り艶消し塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 - Google Patents

上塗り艶消し塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上塗り塗料用硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、例えば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系成形物、プラスチック、木材、紙、繊維などからなる建築物、家電用品、産業機器などの塗装に好適に使用しうる上塗り塗料用硬化性樹脂組成物、および、当該上塗り塗料用硬化性樹脂組成物を塗装した塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、窯業系基材、コンクリートや鉄鋼などからなる建築物、建材などの産業製品などの表面を、例えば、フッ素樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料などの塗料で被覆することによって建築物などの外観をよくしたり、防食性や耐候性等を向上させたりしている。また、同時に近年の都市部を中心とした環境の悪化や美観・景観保護の意識の向上から上記の塗料に耐汚染性能を付与したものが開発上市されるようになってきている。
【0003】
コンクリート上、建築外装、室内用途では、風合いの問題から艶消しを施した塗料が塗装される場合が多くなってきている。その際、艶消し剤として、疎水性シリカ、樹脂ビーズ等を使用した場合、塗膜上に艶消し剤がブリードしたりする場合がある。その結果、高耐候性塗料の性能が損なわれたり、耐汚染性能が低下したりする。この点で、艶消し剤を配合せず硬化塗膜に艶消し効果を付与する手法が必要となってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のごとき実状に鑑みてなされたものであり、艶消し剤を配合せずに、樹脂単独で塗膜に艶消し効果を付与させ、耐候性、耐汚染性等の従来より塗膜に付与している機能を阻害しないことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の反応性シリル基含有モノマーを必須成分として、組成の異なるビニルモノマーを2段重合して得られる相溶性を適度に低下させたアクリル系共重合体(艶消し樹脂)、特定のシリコン化合物、特定の硬化触媒および/または特定のシランカップリング剤を特定の割合で配合した組成物が常温または加熱で硬化性を有し、該組成物からの塗膜が、アクリルシリコン樹脂塗料からの塗膜と同様に優れた耐候性を有するとともに、優れた耐汚染性と密着性、艶消し特性を同時に有するものである。
【0006】
これまでは、反応性シリル基含有モノマーを必須成分として含む1段目重合物と2段目重合物の組成を極端に変えただけでは、得られる樹脂組成物の貯蔵安定性が不十分で、樹脂が分離、ゲル化する傾向にあった。これに対して、2段重合の一方の重合モノマー組成に炭素数5以上の(メタ)アクリル酸エステルを特定の割合で、またもう一方の重合モノマー組成中に(メタ)アクリル酸アミド誘導体を共重合することで樹脂の安定性を改良することができた。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物には、湿分の存在下、室温で硬化性を有するベース樹脂として、加水分解性基と結合したシリル基を有するアクリル系共重合体(A)成分が含有される。
【0008】
アクリル系共重合体(A)成分は、その主鎖が実質的にアクリル系単量体が共重合した主鎖からなる(以下、主鎖が実質的にアクリル系共重合鎖からなるともいう)共重合体であるため、得られる本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物から形成される塗膜の耐候性、耐薬品性などが優れたものとなる。
なお、前記アクリル系共重合体(A)成分の主鎖が実質的にアクリル系共重合鎖からなるとは、アクリル系共重合体(A)成分の主鎖を構成する単位のうちの50%以上、さらには70%以上がアクリル系単量体単位から形成されていることを意味する。
【0009】
また、アクリル系共重合体(A)成分は、反応性シリル基が炭素原子に結合した形式で含有されているため、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、耐酸性などがすぐれたものとなる。アクリル系共重合体(A)成分において、加水分解性基と結合したケイ素数は、アクリル系共重合体(A)成分1分子あたり2個以上、好ましくは3個以上であることが、本発明の組成物から形成される塗膜の耐候性、耐溶剤性などの耐久性が優れるという点から好ましい。
【0010】
前記加水分解性基と結合したシリル基は、アクリル系共重合体(A)成分の主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。加水分解性基と結合したシリル基の導入方法としては、加水分解性基と結合したシリル基を含有する単量体をその他の単量体と共重合する方法、シリケート化合物を反応させる方法、アクリル共重合体(A)成分に導入した加水分解性シリル基にシリケート化合物を反応させる方法、または、水酸基含有共重合体にシリケート化合物を反応させる方法等がある。簡便な方法としては、加水分解性基と結合したシリル基を含有する単量体を他の単量体と共重合する方法である。
【0011】
前記加水分解性基と結合したケイ素の加水分解性基は、ハロゲン基、アルコキシ基等がある。その中で、反応の制御の簡便さからアルコキシ基が有用である。この場合、加水分解性基と結合したシリル基は、例えば下記一般式(2)で表される。
【0012】
【化1】
Figure 0003954740
【0013】
一般式(2)中のR3 としては、水素原子または炭素数1〜10、好ましくはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。また、前記アルコキシ基の酸素に結合した基がたとえばフェニル基、ベンジル基などのアルキル基以外の基である場合にも、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。
【0014】
また、前記一般式(2)中のR4 としては水素原子または炭素数1〜10(好ましくはたとえば前記R3 において例示された炭素数1〜4のアルキル基)、たとえばフェニル基などの好ましくは炭素数6〜10のアリール基、および、たとえばベンジル基などの好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。これらの中では、本発明の組成物が硬化性に優れるという点から炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0015】
前記一般式(2)において、(R3 O)3-b は3−bが1以上3以下になるように、すなわちbが0〜2になるように選ばれるが、アクリル系共重合体(A)成分の硬化性が良好になるという点からは、bが0または1であるのが好ましい。したがって、R4 の結合数は0〜1であるのが好ましい。
一般式(2)中に存在する(R3 O)3-b またはR4 b の数が2個以上の場合、2個以上含まれるR3 またはR4 は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0016】
前記一般式(2)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基の具体例としては、たとえば後述する反応性シリル基を含有する単量体に含有される基が挙げられる。
【0017】
また、アクリル系共重合体(A)成分としては、合成の容易さの点から、その分子内に一般式(2)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位を含有したものが好ましい。なお、アクリル系共重合体(A)成分中の前記単量体単位の含有割合に関しては、2段重合の各樹脂組成に含まれる反応性シリル基は、各段(1段目、2段目)のモノマー組成中0〜90重量部である。また、樹脂全体としては、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の耐久性が優れる、強度が大きくなるという点から、3〜90%、さらには10〜70%、とくには10〜50%であるのが好ましい。
【0018】
前記アクリル系共重合体(A)成分に含有される一般式(2)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位以外の単量体単位としては、後述するアクリル系単量体からの単位、後述する必要により用いられるその他の単量体からの単位が挙げられる。
【0019】
アクリル系共重合体(A)成分は、(c)のモノマーを含む樹脂成分の数平均分子量が15000〜100000、好ましくは20000〜70000、更に好ましくは30000〜50000である。また、(d)のモノマーを含む樹脂成分の数平均分子量としては、3000〜25000、好ましくは、5000〜15000、更に好ましくは6000〜10000である。全体の数平均分子量としては、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の耐久性などの物性が優れるという点から、4000〜90000、なかんずく6000〜40000であることが好ましい。
前記のごときアクリル系共重合体(A)成分は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0020】
本発明の樹脂系では、1段目の重合転化率が50%以上であることが必須である。1段目の重合転化率が50%未満である場合には、得られる樹脂の艶消し効果が不充分であるか、重合安定性が不充分となり、重合中に樹脂がゲル化したり分離したりという不具合が生じる。また、重合が滞りなく行えても、貯蔵中に樹脂が増粘や分離、ゲル化したりする場合がある。これは1段目の重合で得られるポリマー生成が不充分な場合に、1段目と2段目のポリマーの相溶性のバランスがくずれることに起因するものと考えられる。
【0021】
つぎに、アクリル系共重合体(A)成分の製法の一例について説明する。
アクリル系共重合体(A)成分は、たとえば重合性二重結合および炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体(a)、その他のビニルモノマー(b)、炭素数が5以上の(メタ)アクリル酸エステル(c)、N−アルキロール(メタ)アクリルアミドおよび/またはアルキル(メタ)アクリルアミド(d)ならびに必要により用いられるその他の単量体を含有するものを重合することによって製造することができる。
【0022】
前記モノマー(a)の具体例としては、たとえば
【0023】
【化2】
Figure 0003954740
【0024】
などの一般式(3):
【化3】
Figure 0003954740
【0025】
(式中、R3 、R4 、bは前記一般式(2)中のR3 、R4 、bと同じ。R5 は水素原子またはメチル基を示す。)で表される化合物、
【0026】
【化4】
Figure 0003954740
【0027】
などの一般式(4):
【0028】
【化5】
Figure 0003954740
【0029】
(式中、R3 、R4 、R5 およびbは前記一般式(2)および(3)中のR3 、R4 、R5 およびbと同じ。nは1〜12の整数を示す。)で表される化合物、
【0030】
【化6】
Figure 0003954740
【0031】
などの一般式(5):
【0032】
【化7】
Figure 0003954740
【0033】
(式中、R3 、R4 、R5 およびbは前記一般式(2)および(3)中のR3 、R4 、R5 およびbを示す。)で表される化合物、
【0034】
【化8】
Figure 0003954740
【0035】
などの一般式(6):
【0036】
【化9】
Figure 0003954740
【0037】
(式中、R3 、R4 、R5 およびbは前記一般式(2)および(3)中のR3 、R4 、R5 およびbと同じ。mは1〜14の整数を示す。)で表される化合物、
【0038】
【化10】
Figure 0003954740
【0039】
(式中、pは0〜20の整数を示す。)などの一般式(7):
【0040】
【化11】
Figure 0003954740
【0041】
(式中、R3 、R4 、R5 およびaは前記と同じ、pは0〜22の整数を示す)で表される化合物や、炭素原子に結合した反応性シリル基をウレタン結合またはシロキサン結合を介して末端に有する(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの中では、共重合性および重合安定性、ならびに得られる組成物の硬化性および保存安定性が優れるという点から、前記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0042】
これらのモノマー(a)は単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。前記モノマー(a)は、前記のように、得られるアクリル系共重合体(A)成分中に一般式(2)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体が3〜90%、さらには10〜70%、とくには10〜50%含有されるように使用するのが好ましい。
【0043】
前記モノマー(b)の具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、3,3,5,−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリン、アロニクスM−5700、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−6などの化合物(以上、東亜合成化学工業製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類との縮合生成物などのリン酸エステル基含有(メタ)アクリル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでは、得られるアクリル系共重合体(A)成分が後述する一般式(1)で表されるシリコン化合物および/またはその部分加水分解縮合物(B)成分との相溶性に優れるという点から、n−ブチルメタクリレートを含有することが好ましい。
【0044】
モノマー(b)の中で上記(メタ)アクリル酸エステル誘導体以外の単量体の具体例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、これら酸無水物と炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールまたはアミンとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物などが挙げられる。
これらのモノマー(b)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0045】
なお、アクリル系共重合体(A)成分が、分子内に一般式(2)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位を3〜90%含有し、n−ブチルメタクリレート単位を含有する場合には、これらを含有する場合に得られるいずれの効果をも得ることができる。
【0046】
前記モノマー(c)は、2段重合の一方のモノマー組成の重合で生成する樹脂成分に疎水性を付与することができる。それに対して、モノマー(d)はもう一方のモノマー組成の重合で生成する樹脂成分に親水性を付与することができる(1段目、2段目のモノマー組成は入れ替えて重合することができる。)。このため、1段目、2段目の組成(相溶性)の異なる樹脂成分を有機溶剤中で安定に存在させることができる。
【0047】
前記モノマー(c)の具体例としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デカノイル(メタ)アクリレート、ウンデカノイル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、パルミトイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノレイル(メタ)アクリレート等が挙げられる。得られる樹脂の安定性の点からアルキルエステルの炭素数は5〜20が良く、好ましくは5〜18、さらに好ましくは5〜16である。
【0048】
前記モノマー(d)はジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリン、アロニクスM−5700、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−6などの化合物(以上、東亜合成化学工業製)などが挙げられる。
【0049】
前記モノマー(b)の使用量の合計は、用いるモノマー(a)の種類および使用量に応じて適宜調整すればよいが、通常用いる重合成分全量の5〜90%、さらには30〜85%、とくには50〜85%であるのが好ましい。また、モノマー(a)の使用量としては重合成分の3〜90%、さらに3〜60%、特には、5〜30%が好ましい。なお、モノマー(b)としてn−ブチルメタクリレートを用いる場合には、その使用量は用いる単量体の20〜50%であることが、後述する一般式(1)で表されるシリコン化合物および(または)その加水分解縮合物(B)成分との相溶性、および、得られる硬化性組成物から形成される塗膜の各種特性のバランスが優れるという点から好ましい。
【0050】
また、本発明においては、得られる本発明の組成物から形成される塗膜の耐候性をさらに向上させる目的で、たとえば主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成されたセグメント、モノマー(a)、モノマー(b)、モノマー(c)、モノマー(d)以外の単量体に由来するセグメントなどを、50%を超えない範囲でアクリル系共重合体(A)成分の製造時に導入してもよい。
【0051】
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。アクリル系共重合体(A)成分にはカルボキシル基またはアミノ基などの基が含まれていてもよく、その場合には、硬化性、密着性が向上するが、重合体鎖に結合しているカルボキシル基やアミノ基の場合、活性が弱く、これらを硬化触媒のかわりに使用して硬化させようとしても良好な特性の硬化物が得られない。
【0052】
さらに、本発明の塗料用組成物において、主成分であるアクリル系共重合体(A)成分には、アルコキシシリル基含有共重合体を分散安定剤樹脂として用い、非水系ディスパージョン重合で得られる非水系重合体粒子(NAD)を添加することができる。この成分は、極少量の添加で塗料組成物の低粘度化、ハイソリッド化を達成でき、さらに硬化塗膜の耐衝撃性を向上させることができる。上記添加成分である非水系重合体粒子(NAD)の製造において用いられる単量体はアクリル系共重合体(A)成分に使用される単量体を用いることができる。
【0053】
前記アクリル系共重合体(A)成分は、たとえば特開昭54−36395号公報、特開昭57−55954号公報などに記載のヒドロシリル化法または反応性シリル基を含有する単量体を用いた溶液重合法によって製造することができるが、合成の容易さなどの点から反応性シリル基を含有する単量体を用い、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法によって製造することがとくに好ましい。また、(c)を含むモノマー組成の重合では、比較的高分子量の樹脂成分を、(d)を含むモノマー組成の重合では比較的高分子量の樹脂成分を得ることが樹脂の安定性上好ましいことから、前者の重合は、過酸化物系重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド、後者の重合ではアゾ系ラジカル重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリルを用いることがさらに好ましい。
【0054】
前記溶液重合法に用いられる溶剤は、非水系のものであればよく、とくに制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソロブなどのセロソルブ類;セロソルブアセテートなどのエーテルエステル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、オクタノールなどのアルコール類、さらに弱溶剤タイプのミネラルスピリット、ナフテン系溶剤が挙げられる。
【0055】
また、前記溶液重合の際には、必要に応じて、たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(CH3 O)3 Si−S−S−Si(OCH33 、(CH33 Si−S8 −Si(OCH33 などの連鎖移動剤を単独または2種以上併用することにより、得られるアクリル系共重合体(A)成分の分子量を調整してもよい。とくに、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いた場合には、アクリル系共重合体(A)成分の末端に反応性シリル基を導入することができるので好ましい。かかる連鎖移動剤の使用量は、用いる重合成分全量の0.05〜10%、なかんづく0.1〜8%であることが好ましい。
【0056】
本発明においては、前述のアクリル系共重合体(A)成分100重量部と共に、本発明の組成物から形成される塗膜の耐汚染性を向上させると共に、該塗膜と被塗物との密着性を向上させるための成分である、一般式(1):
(R1 O)4-a −Si−R2 a (1)
(式中、R1 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表されるシリコン化合物をアルコール系溶剤中、酸性条件下で加水分解した化合物(B)成分0〜200重量部(以下、シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分という)が使用される。シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分をアクリル系共重合体(A)成分と混合させたものは常温硬化性および加熱硬化性を有する組成物となり、該組成物を用いて形成される塗膜は優れた耐汚染性を有するが、該塗膜が優れた耐汚染性を有する理由はまだ定かには判明していない。おそらくアクリル系共重合体(A)成分とシリコン化合物(B)成分との相対的硬化速度の違いと相溶性に起因し、表面硬度および親水性が向上することが影響しているものと考えられる。
【0057】
前記一般式(1)において、R1 は炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基)、炭素数6〜10のアリール基(好ましくはたとえばフェニル基などの炭素数6〜9のアリール基)、および、炭素数7〜11のアラルキル基(好ましくはたとえばベンジル基などの炭素数7〜9のアラルキル基)から選ばれた1価の炭化水素基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分の反応性が低下するようになる。また、R1 が前記アルキル基、アリール基、アラルキル基以外の場合にも反応性が低下するようになる。
【0058】
また、前記一般式(1)において、R2 は炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはR1 と同様の炭素数1〜4のアルキル基)、炭素数6〜10のアリール基(好ましくはR1 と同様の炭素数6〜9のアリール基)、および、炭素数7〜11のアラルキル基(好ましくはR1 と同様の炭素数7〜9のアラルキル基)から選ばれた1価の炭化水素である。
【0059】
前記一般式(1)において、(R1 O)4-a は4−aが3以上になるように、すなわちaが0〜1になるように選ばれるが、本発明の組成物から形成される塗膜の硬化性が向上するという点からは、aが0であるのが好ましい。
一般式(1)中に存在する(R1 O)4-a の数が2個以上の場合、2個以上含まれるR1 は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0060】
前記シリコン化合物の具体例としては、たとえばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケートなどのテトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどのシランカップリング剤などが挙げられる。
【0061】
また、前記シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分の具体例としては、たとえば通常の方法で前記テトラアルキルシリケートやトリアルコキシシランに水を添加し、縮合させて得られるものがあげられ、たとえばMSI51、ESI28、ESI40、ESI48(以上、コルコート製)、MS51、MS56、MS56S(以上、三菱化学製)、Mシリケート51、FR−3、シリケート40、シリケート45、シリケート48、ES−48(以上、多摩化学社製)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業製)などのトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。
上記シリコン化合物等(B)成分は単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0062】
前記シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分のうちでは、アクリル系共重合体(A)成分との相溶性、得られる本発明の組成物の硬化性が良好で、該組成物を用いて形成される塗膜の硬度に優れるということより汚染物質の付着を制御するという点から、MSI51、MS51、MS56、MS56S(テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物)やESI48(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いるのが好ましく、特に、重量平均分子量が1000より大きいMS56SおよびESI48のような化合物が、配合量を低減できる点から更に好ましい。
【0063】
シリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分は、前記シリコン化合物及び(または)シリコン化合物の部分加水分解縮合物をアルコール系溶剤中、酸性条件下で加水分解して得られる。
【0064】
なお、前記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうちでは、メタノール、エタノール、イソプロパノールが安定性向上の点から好ましい。
【0065】
前記酸性条件下とは(1)酸性物質を添加する、(2)陽イオン交換樹脂で処理するような条件を指す。
【0066】
(1)酸性物質とは塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、などの無機酸;モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどのリン酸エステル;ぎ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、しゅう酸、コハク酸などのカルボン酸化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸化合物などが挙げられる。
これらの中では酸処理後に酸を除去しやすい点から比較的沸点が低い塩酸、硝酸、亜硫酸、ぎ酸が好ましい。
【0067】
(2)陽イオン交換樹脂とは、例えば、アンバーリスト15(ローム・アンド・ハース社製)、デュオライトC−433(住友化学工業社製)等が挙げられる。陽イオン交換樹脂と水とで処理したのちは、濾過やデカンテーションなどにより陽イオン交換樹脂を除去するのが好ましい。
【0068】
前記(B)成分は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。(B)成分の具体例としてはHAS−1、HAS−10(コルコート社製)などが挙げられる。
これらのシリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分には事前に脱水剤としてオルト酢酸メチルを加えておくことが、(A)成分と配合した後の貯蔵安定性などの点より好ましい。
【0069】
硬化触媒成分(C)としては、酸触媒および/または有機金属系触媒がある。酸触媒としては、リン酸エステル系、スルホン酸系触媒、リン酸に有機アミンを配合した系、スルホン酸に有機アミンを配合した系、有機カルボン酸に有機アミンを配合した系がある。また、有機金属系触媒としては、有機ジルコニウム系、有機チタン系、有機アルミニウム系、有機錫系がある。 硬化性とポットライフのバランスが取れる点から、有機錫系が好ましい。これらは、加水分解性シリル基含有アクリル共重合体(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部配合することができる。配合量としては、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。
また、上記硬化触媒は、単独および2種類以上併用することができる。
【0070】
有機リン酸エステル系の具体例としては、リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジドデシルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステルがある。スルホン酸系では、ドデシルベンゼンスルホン酸が代表的である。
【0071】
酸系化合物と有機アミン系化合物を併用する場合は、後述するシランカップリング剤のうちアミノシランに対する影響を考慮して、酸/アミン当量でアミンが過剰になるように配合することが望ましい。ここでいう有機アミン系化合物の具体例としては、トリエチルアミン、ドデシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルドデシルアミン、モルホリン等がある。
【0072】
有機錫触媒の具体例としては、ジブチル錫ビスエチルマレート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジブチル錫ヘキシルマレート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジブチル錫ビスパルミトイルマレート、ジブチル錫オレイルマレート、ジブチル錫オキサイドとエチルシリケートの反応物等がある。
【0073】
(D)成分のシランカップリング剤としては、ビニルシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン、アミノシランが配合できる。密着性付与の効果から、エポキシシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランが特に好ましい。エポキシシランの具体例としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等がある。アミノシランの具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランがある。さらに、該アミノシランとエポキシシランまたはエポキシ化合物との反応物も使用できる。すなわち、その具体例としては、ビスフェノールA型2官能エポキシ化合物(エピコート828;油化シェルエポキシ社製)とγ−アミノプロピルトリエトキシシランの1:2(モル比)の反応物、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの1:2.2(モル比)反応物等がある。
シランカップリング剤(D)成分の配合量としては、(A)成分100重量部に対して、0〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.3〜5重量部である。
【0074】
また、本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物には、通常塗料に用いられるたとえば酸化チタン、群青、紺青、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、鉛白、カーボンブラック、透明酸化鉄、アルミニウム粉などの無機顔料、アゾ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料などの有機顔料などの顔料;希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、タレ防止剤、レベリング剤などの添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの繊維素;エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、ポリビニルブチラール、ポリシロキサンなどの樹脂などを適宜加えてもよい。
【0075】
本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物は、たとえば浸漬、吹き付け、刷毛、スプレーなどを用いた塗布などの通常の方法によって被塗物に塗布され、通常、常温でそのまま、または30℃以上で焼き付けて硬化せしめる。
【0076】
本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物は、たとえば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系成形物、プラスチック、木材、紙、繊維などからなる建築物、家電用品、産業機器、自動車などの上塗り用の塗料として好適に使用される。
【0077】
【実施例】
次に、本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0078】
加水分解性シリル基含有アクリル共重合体の合成例
攪拌機、温度計、冷却還流器、チッ素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器に1段目モノマーを仕込み、チッ素ガスを導入しつつ80℃に昇温し、80℃に保持したまま所定の転化率に達するまで重合した。次に、反応の温度を110℃に昇温し、滴下ロートに入れた2段目のモノマーを3時間かけて等速滴下した。更に、上記反応容器中へ溶剤(2)を1時間かけて等速滴下した。その後、引き続き、110℃で2時間攪拌した後に、室温まで冷却した。最後に溶剤(3)を加えて攪拌し、アルコキシシリル基含有アクリル樹脂(A−1〜A−5、A−7)を得た。
【0079】
また、上記反応容器を用いて、反応器に溶剤(1)を仕込み、重合温度を110℃に調整して、滴下ロートからビニルモノマーを5時間かけて等速滴下した。更に、溶剤(2)を1時間かけて等速滴下した。その後、引き続き、110℃で2時間攪拌した後に、室温まで冷却した。最後に溶剤(3)を加えて攪拌し、アルコキシシリル基含有アクリル樹脂(A−6)を得た。
溶剤(1)、(2)、(3)、およびビニルモノマー組成物は、表1に記載した。
【0080】
得られた上記、常温、熱硬化性樹脂組成物の固形分濃度および該樹脂の数平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003954740
【0082】
表1中のA174は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)である。
【0083】
(ア)上塗り塗料の製造
得られた常温硬化性、熱硬化性有機樹脂溶液(A−1〜7)、シリケート化合物(B)成分、硬化触媒(C)成分、および/またはシランカップリング剤(D)成分を表2に示すように配合して、塗料(AR−1〜8)を得た。
【0084】
【表2】
Figure 0003954740
【0085】
上塗り塗料中の成分の詳細
☆シリケート成分(B)
●MS56S(テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物;三菱化学社製)
●FR−3(テトラメトキシ−テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物;多摩化学社製)
●ESI48(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物;コルコート社製)
【0086】
☆硬化触媒(C)成分
●(C)−1;ジブチル錫ビスブチルマレート
●(C)−2;2−エチルヘキサン酸とジメチルドデシルアミンの配合物(塩基/酸当量=1.04)とジブチル錫ブチルマレートの1:1混合物
【0087】
☆シランカップリング剤(D)成分
●(D)−1;
ビスフェノールA型2官能エポキシ化合物(エピコート828;油化シェルエポキシ社製)とγ−アミノプロピルトリエトキシシランの1:2(モル比)の反応物
●(D)−2;
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの1:2.2の反応物
●A1122;β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン☆OK412
疎水性シリカ(デグサジャパン社製)
【0088】
常温、熱硬化性樹脂を用いた白エナメルした処方
(ア)で配合した塗料樹脂およびシリケート安定化化合物に顔料として酸化チタン(CR−95、石原産業社製)40部を添加し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散させ、固形分濃度が60%の白エナメルを得た。該白エナメルの樹脂固形分100重量部に対して(ア)で示した(C)成分および(D)成分を上記で示した量を予め混合しておき、添加した。さらに、シンナーを添加して攪拌機を用いて5分間攪拌して、固形分濃度が45%の組成物を得た。該配合物をエアースプレーでガラス板に塗装し23℃7日間養生して塗膜を得た。
【0089】
得られた塗膜のシリケート化合物の分子量測定、シリケート成分を樹脂に配合した組成物の50℃貯蔵後の濁度、増粘率、塗膜の表面状態、については以下の方法に従って評価した。
(イ) 樹脂組成物の濁度測定
Hazeメーター(日本電色工業製)を使用し測定。
(ロ) 塗膜の光沢測定
光沢計GM268(ミノルタ社製)
(ハ) 汚染性(ΔL)
曝露前後の塗膜のL値(色差計GR−300(ミノルタ社製)で測定)の差(ΔL)で判定。(ΔL値が小さい程、汚染性が悪い。)
【0090】
樹脂の濁度、増粘率、硬化塗膜の光沢値(艶消し状態)、耐候性、雨筋曝露での汚染性評価結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
Figure 0003954740
【0092】
1) 汚染性;大阪府摂津市北面垂直曝露(雨筋曝露)3か月(曝露期間;1998年4月〜7月)
2) 促進耐候性試験(SWOM);カーボンアーク式(スガ試験機社製)
【0093】
表3に示すように、1段のみでビニルモノマーを追加した場合(比較例1)と比較して、2段重合で得られた樹脂系の光沢値は、小さく抑えられており、塗料分野でいうところの全艶消しレベルになっている。次に、1段目重合で炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを3部以上、2段目重合でN−アルキロール基を有する(メタ)アクリルアミドを3部共重合することで、その他のモノマーを使用する場合(比較例2)と比較して、50℃×1ケ月保存した場合の樹脂の増粘率も抑制されている。また、樹脂に艶消し剤を配合した場合(比較例3)と比較して、該樹脂組成物は、耐汚染性、耐候性に優れる結果となっている。更に、常温乾燥、加熱硬化によって得られた塗膜は、良好な汚染性を示している。
【0094】
【発明の効果】
本発明は、特定のモノマーを特定の割合で含有する組成物を多段(2段)重合して得られた樹脂を含む組成物を硬化させた塗膜が優れた艶消し効果を発現する。また、モノマー組成を調整していることから、樹脂の安定性が良好であると共に、シリケート成分を配合していることから、得られた塗膜に良好な耐汚染性を付与することもできている。

Claims (4)

  1. (a)分子内に加水分解性シリル基を有するビニルモノマー1〜90重量部及び(b)その他のビニルモノマー10〜99重量部からなる共重合体を溶液重合法によって2段重合で製造する際、2段重合の一方の重合モノマー組成中に(d)N−アルキロール(メタ)アクリルアミドおよび/またはアルキル(メタ)アクリルアミドおよび/またはアミノアルキル(メタ)アクリル酸エステルを1.5重量部以上含み、1段目の重合転化率が50%以上で重合し、さらに2段目を重合させて得られる艶消し塗料用樹脂(A)成分100重量部、
    一般式(1):
    (RO)4−a−Si−R (1)
    (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜11のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜11のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表されるシリコン化合物の部分加水分解縮合物(B)成分0〜200重量部、
    硬化触媒(C)成分0.1〜20重量部およびシランカップリング剤(D)成分を0〜20重量部含有することを特徴とする艶消し塗料用樹脂組成物。
  2. 2段重合のもう一方の重合モノマー組成中に(c)炭素数が5以上の(メタ)アクリル酸エステル3〜80重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の艶消し塗料用樹脂組成物。
  3. 上記組成において、(c)のモノマーを含有するモノマー組成より重合して得られる部分の樹脂の分子量が、15000〜100000、(d)のモノマーを含有するモノマー組成より重合して得られる部分の樹脂の分子量が3000〜25000であることを特徴とする請求項2記載の艶消し塗料用樹脂組成物。
  4. 請求項1、2又は3の塗料用組成物を塗布してなる塗装物。
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