JP3954210B2 - 直線方向駆動機構の制御装置 - Google Patents

直線方向駆動機構の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板に電子部品を実装する実装機等に装備される直線方向駆動機構の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、作業用部材を保持する可動フレームをモータにより送りねじを介して所定方向に移動させるようにした直線方向駆動機構は各種分野の機械に装備されており、例えばこの種の直線方向駆動機構を備えた機械としてプリント基板に電子部品を実装する実装機がある。
【0003】
図9は従来の一般的な実装機の構造を模式的に示しており、この図に示す実装機は、X軸方向に延びて両端部が実装機本体上の一対のガイドレールa,bに支持されることによりY軸方向に移動可能となった可動フレームcと、この可動フレームcにX軸方向に移動可能に支持された作業用部材としてのヘッドユニットdとを備え、このヘッドユニットdにより部品供給部から電子部品をピックアップして、プリント基板上に装着するようになっている。
【0004】
この実装機において上記可動フレームcを駆動する機構は、可動フレームcの一端側下方(一方のガイドレールa)に配置されたY軸方向のボールねじ軸(送りねじ)eと、このボールねじ軸eに連結されたサーボモータfとを備え、可動フレームcの一端側に設けられたナット部分に上記ボールねじ軸eが螺合しており、ボールねじ軸eがサーボモータにより駆動されて回転することにより可動フレームcがY軸方向に移動するようになっている。サーボモータfにはエンコーダgが設けられており、サーボモータf及びエンコーダgは図外の制御ユニットに接続され、制御ユニットによりサーボモータfの駆動が制御されるようになっている。
【0005】
このように可動フレームcの一端側に送りねじが連結された片側駆動による場合、可動フレームcが目的位置へ移動して減速停止する際、可動フレームcの一端側(駆動側;ボールねじ軸eに連結されている側)と他端側(従動側)の動きは図10のようになる。すなわち、可動フレームcの駆動側及び従動側ではそれぞれ目的位置 ,O に達してからも残留振動が生じ、特に可動フレームcのたわみ等によって従動側の残留振動が大きく、かつ長く続く。そして、プリント基板への部品装着の際にこの残留振動が充分に減衰する前に装着を行なうと実装精度が低下し、実装精度を確保するために可動フレームcが目的位置に達してからも残留振動が充分に減衰するまで待機するようにすると、実装作業の能率低下を招く。
【0006】
また、可動フレームの駆動機構の他の例としては、ボールねじ軸及びこれを駆動するサーボモータを一対ずつ設け、可動フレームの両端部を同時に駆動するようにした両側駆動タイプのものもあるが、このように両側駆動でも、単に各サーボモータを個別に制御するだけでは、後にも詳述するように残留振動を充分に抑制することが難しい(図11参照)。
【0007】
このため、例えば特開平6−296097号公報に示されるように、Xテーブル(可動フレーム)の両端部に設けた一対の送りナットと、その各送りナットに螺合する一対の送りねじと、この一対の送りねじを個別に駆動する一対のモータとからなる両側駆動タイプの駆動機構を備えた実装機において、上記一対のモータに対する制御系統に協調動作制御部を設けて、Xテーブルの振動の抑制を図るようにしたものが提案されている。
【0008】
すなわち、この実装機の制御系統は、上記各モータをそれぞれ駆動する一対のサーボドライバと、各モータに設けられたエンコーダからの信号及び目標位置情報等に基づき、上記各サーボドライバに対してそれぞれ速度指令を送出する一対の速度指令部と、各エンコーダからの信号から求めた上記一対の送りナットの各加速度を比較し、それに応じて上記一対の速度指令部に補正信号を出力する協調動作制御部とを有し、上記各加速度の差をなくすように速度指令を補正している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に示された実装機によると、一対のサーボドライバに対し、一対の速度指令部から個別に速度指令を送出するようにしつつ、その速度指令を上記各加速度の差に応じて補正するようにしているため、サーボドライバ及び速度指令部がそれぞれ一対ずつ必要である等、制御系統の構成が複雑になる。また、上記速度指令が補正されると、それに応じた電流指令値の変化等を経てモータの供給電流が間接的に補正制御されることとなるので、制御の応答性が悪化し易い。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、可動フレームに対する駆動系統を一対のモータを用いた両側駆動タイプとするとともに、その一対のモータの駆動を調整して可動フレームの振動を抑制するように制御することができ、しかも、制御系統を比較的簡単な構成とし、かつ、振動抑制のための補正制御を応答性良く行なうことができる直線方向駆動機構の制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定方向に延びるガイドに支持されて直線的に移動可能となった可動フレームと、この可動フレームに保持された作業用部材と、上記可動フレームの移動方向と直交する方向の両端部に設けられたナット部分に螺合する一対の送りねじと、この各送りねじを個別に駆動する一対のモータと、この一対のモータの駆動電流をそれぞれ制御する一対の電流制御手段とを備えた直線方向駆動機構の制御装置であって、上記各モータの駆動状態を検出して位置及び速度に関係するデータを与える一対の検出手段と、位置指令値と一方のモータの位置との比較に基づいて速度指令値を求める両モータに共通の速度指令発生手段と、この速度指令値と一方のモータの速度との比較に基づき電流指令値を求め、その電流指令値を上記一対の電流制御手段に対してそれぞれ出力する両モータに共通の電流指令発生手段と、上記各検出手段の各出力に基づいて上記一対のモータの速度差を演算する演算手段と、この演算手段により演算された速度差に応じ、上記各電流制御手段に与える電流指令値に偏差をもたせるように補正する電流指令補正手段とを備えたものである。
【0012】
この装置によると、上記可動フレームが一対のモータで送りねじを介して駆動され、この一対のモータが上記両モータに共通の速度指令発生手段、両モータに共通の電流指令発生手段及び一対の電流制御手段により制御されるとともに、一対のモータに速度差が生じたとき、それに応じて電流指令値が補正されることにより上記速度差を減少させるようにモータ駆動電流が調整される。これにより上記可動フレームの振動が抑制される。とくに、制御系統が比較的簡単な構成でありながら、上記速度差に応じたモータ駆動電流の調整が応答性良く行なわれ、可動フレームの摺動抑制効果が高められる。
【0013】
上記直線方向駆動機構は例えばプリント基板に電子部品を実装するための実装機に装備されるものであり、この場合、作業用部材として、部品吸着用のノズルを有して部品供給部から電子部品をピックアップするヘッドユニットを備え、このヘッドユニットが可動フレームにX軸方向に移動可能に保持され、この可動フレームが実装機本体にY軸方向に移動可能に支持されるとともに、この可動フレームのX軸方向両端部に設けられたナット部分に螺合する一対の送りねじが互いに平行にY軸方向に延びるように配置され、この一対の送りねじが一対のモータでそれぞれ駆動されるようになっている。
【0014】
このように本発明を実装機に適用した場合、プリント基板への電子部品の装着に際し、可動フレームの減速停止時の振動が抑制され、可動フレームが静止するまでの時間が短縮されることから、実装精度の向上及びタクトタイムの短縮に有効となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1および図2は本発明が適用される直線方向駆動機構を備えた機械の一例として実装機を示している。これらの図において、実装機本体の基台1上には、プリント基板搬送用のコンベア2が配置され、プリント基板3がこのコンベア2上を搬送されて所定の基板設置位置で停止されるようになっている。上記コンベア2の側方には、部品供給部4が配置されている。この部品供給部4は電子部品を供給するためのフィーダーを備え、例えば多数列のテープフィーダー4aを備えている。
【0017】
また、上記基台1の上方には作業用部材としてのヘッドユニット5が装備されている。このヘッドユニット5は、部品供給部から電子部品をピックアップしてプリント基板3に装着するものであり、1乃至複数の吸着ノズル6を有するとともに、この吸着ノズル6を昇降させるZ軸駆動機構(図示せず)及び吸着ノズル6を回転さるR軸駆動機構(図示せず)等を具備している。
【0018】
このヘッドユニット5は可動フレーム11にX軸方向(コンベア2の方向)に移動可能に保持されており、可動フレーム11は実装機本体にY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動可能に支持されている。そして、可動フレーム11のY軸方向の移動とこの可動フレーム11に対するヘッドユニット5のX軸方向の移動とにより、ヘッドユニット5が実装機本体に対してX軸方向及びY軸方向に移動可能となり、部品供給部4とプリント基板3が位置する部品装着部とにわたって移動することができるようになっている。
【0019】
すなわち、上記基台1上にはY軸方向に延びる一対の直線状のガイド7,8がX軸方向に所定距離をおいて配設されており、このガイド7,8に上記可動フレーム11のX軸方向両端部が、ガイド7,8に沿って移動し得るように支持されている。上記可動フレーム11はX軸方向に長く形成され、この可動フレーム11に、X軸方向のガイド部材13と、X軸方向の送りねじであるボールねじ軸14と、このボールねじ軸14を駆動するX軸サーボモータ15とが配設され、上記ガイド部材13にヘッドユニット5が移動可能に保持されるとともに、このヘッドユニット5に設けられたナット部分(図示せず)が上記ボールねじ軸14に螺合している。そして、上記ボールねじ軸14がX軸サーボモータ15により駆動されて回転するに伴い、ヘッドユニット5がX軸方向に移動するようになっている。16はX軸サーボモータ15に付設されたエンコーダである。
【0020】
また、上記可動フレーム11を駆動する機構としては、Y軸方向の送りねじとこれを駆動するモータが一対ずつ設けられている。すなわち、図3の模式図にも示すように、Y軸方向の送りねじである一対のボールねじ軸17,18が、可動フレーム11の両端部の下方でガイド7,8の近傍に位置し、互いに平行にY軸方向に延びるように配置されている。この各ボールねじ軸17,18は可動フレーム11の両端部に設けられたナット部分19,20に螺合している。そして、一対のY軸サーボモータ21,22が上記各ボールねじ軸17,18にカップリング23,24を介して接続されている。
【0021】
上記各Y軸サーボモータ21,22にはそれぞれ、各モータの駆動状態を検出して位置及び速度に関係するデータを与える検出手段としてのエンコーダ25,26が付設されている。上記各Y軸サーボモータ21,22及びエンコーダ25,26は制御ユニット30に接続されている。
【0022】
上記両Y軸サーボモータ21,22に対する制御系統の構成を、図4によって説明する。なお、以下の説明の中では、両Y軸サーボモータ21,22のうちの一方を第1モータ21、他方を第2モータ22と呼ぶ。
【0023】
図4に示す制御系統は、上記制御ユニット30内に位置指令発生手段31、速度指令発生手段32、電流指令発生手段33、第1,第2の電流制御手段34,35、速度差演算手段36及び電流指令補正手段37を備えている。また、上記制御ユニット30に対し、上記各エンコーダ25,26からは各モータ21,22の回転速度の検出信号が送られるようになっている。
【0024】
上記位置指令発生手段31は、可動フレーム11の移動先までの距離に応じて設定される制御パターンに従い、一定微小時間毎に目標位置を求めて位置指令値を出力する。上記速度指令発生手段32は、上記位置指令値θO と、第1モータ21に付設されたエンコーダ25から出力される速度検出値を積分することにより得られる位置検出値θ1 とを比較し、現実の位置を指令された位置に近づけるように速度を調整すべく、両者の差に応じた速度指令値ωO を出力する。上記電流指令発生手段33は、上記速度指令値ωO とエンコーダ25から出力される速度検出値ω1 とを比較し、現実の速度を指令された速度に近づけるようにモータ駆動電流を調整すべく、両者の差に応じた電流指令値iO を出力する。
【0025】
また、上記各電流制御手段34,35はそれぞれ電流指令値に応じて各モータ21,22の駆動電流を制御する。この電流制御の詳細については図示を省略するが、例えば、実際にモータに供給される電流を検出し、その電流検出値と電流指令値とを比較して両者を一致させるようにモータへの電流供給をコントロールするといった電流フィードバック制御を行なう。
【0026】
この場合に、第1電流制御手段34は電流指令発生手段33から与えられる電流指令値iO1(=iO )に応じて第1モータ21の駆動電流を制御するが、第2電流制御手段35は電流指令補正手段37により補正された電流指令値iO2に応じて第2モータ22の駆動電流を制御する。
【0027】
上記速度差演算手段36は、第1モータ21に付設されたエンコーダ25から出力される速度検出値ω1 と第2モータ22に付設されたエンコーダ26から出力される速度検出値ω2 との差である速度差Δωを演算する。また、電流指令補正手段37は、速度差演算手段36により演算された速度差Δωに応じ、上記各電流制御部に与える電流指令値に偏差を持たせるように、第2電流制御部に与える電流指令値を補正する。
【0028】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図5〜図8を参照しつつ説明する。
【0029】
図5は一対のモータを用いて負荷(ヘッドユニット等)を駆動する場合の、各モータと負荷とからなる3慣性系のモデルを示している。また、図6はこのような3慣性系をブロック線図で示している。
【0030】
これらの図に示す符号は、
e1:第1モータの発生トルク
e2:第2モータの発生トルク
f1:第1モータによる軸トルク
f2:第2モータによる軸トルク
L :外乱トルク
M1:第1モータのイナーシャ
M2:第2モータのイナーシャ
L :負荷のイナーシャ
θ1 :第1モータの変位
θ2 :第2モータの変位
θL :負荷の変位
ω1 :第1モータの速度
ω2 :第2モータの速度
ωL :負荷の速度
F1:第1モータ・負荷間のばね定数
F2:第2モータ・負荷間のばね定数
F1:第1モータ・負荷間の粘性摩擦係数
F2:第2モータ・負荷間の粘性摩擦係数
s:ラプラス演算子
である。
【0031】
これらの図に示すように、第1モータ21の発生トルクTe1と軸トルクTf1との差と、第1モータ21のイナーシャJM1とにより、第1モータ21の速度ω1 が定まり、同様に第2モータ22の発生トルクTe2と軸トルクTf2との差と、第2モータ22のイナーシャJM2とにより、第2モータ22の速度ω2 が定まる。また、負荷(可動フレーム11及びヘッドユニット5)には第1,第2モータ21,22による各軸トルクTf1,Tf2と外乱トルクTL とが作用し、これらのトルクTf1,Tf2,TLと負荷のイナーシャJL とにより、負荷の速度ωL が定まる。
【0032】
そして、第1モータ21による軸トルクTf1は、第1モータ21の速度ω1 と負荷の速度ωL との差と、第1モータ・負荷間のバネ定数KF1及び粘性摩擦係数CF1によって定まる。同様に、第2モータ22による軸トルクTf2は、第2モータ22の速度ω2 と負荷の速度ωL との差と、第2モータ・負荷間のバネ定数KF2及び粘性摩擦係数CF2によって定まる。
【0033】
従って、第1,第2モータ21,22が同一諸元のもので、かつ発生トルクTe1,Te2を同一にしたとしても、可動フレーム11におけるヘッドユニット5の位置等によって第1モータ・負荷間と第2モータ・負荷間とでバネ定数KF1,KF2や粘性摩擦係数CF1,CF2が異なると、軸トルクTf1,Tf2が変るために各モータ21,22の速度ω1 ,ω2 に差が生じ、この他にモータのイナーシャ等のばらつきによっても各モータ21,22の速度ω1 ,ω2 に差が生じる。
【0034】
図7は、図6に示すような慣性系のブロック図に、図4に示した制御系統による制御を加えたブロック図を示している。
【0035】
この図のように、上記制御系統では、速度指令手段32により位置指令値θO と位置検出値θ1 との差に所定の位置ループゲインKPPが掛けられて速度指令値ωO が演算され、電流指令手段33により上記速度指令値ωO と速度検出値ω1 と差に基づき速度ループ比例ゲインKSP及び速度ループ積分ゲインKSIを用いた換算が行なわれて電流指令値iO が与えられる。そして、第1電流制御手段34に電流指令値iO1(=iO )が与えられ、この電流指令値iO1に第1モータ21のトルク定数KT1を掛けた値が第1モータ21の発生トルクTe1となる。
【0036】
一方、電流指令補正手段37により、上記第1,第2モータ21,22の速度差Δωに所定のゲインKrmが掛けられることで電流指令補正値ΔiO が演算され、この電流指令補正値ΔiO が上記電流指令値iO に加算されることで第2電流制御手段34に対する電流指令値iO2が求められる。この電流指令値iO2に第2モータ22のトルク定数KT2を掛けた値が第2モータ22の発生トルクTe2となる。
【0037】
こうして、上記速度差Δωに応じて第2モータ22の電流及び発生トルクが調整され、例えば第2モータ22の速度ω2 が第1モータの速度ω1 より小さいとき(上記速度差Δωが正のとき)は第2モータ22の電流及び発生トルクが大きくなるように調整されることにより、両モータ21,22の速度差Δωが減少するように制御される。
【0038】
このような制御が行なわれることにより、可動フレーム11が目的位置まで移動して減速停止する際、可動フレーム11の一端側(第1モータ21により駆動される側)と他端側(第2モータ22により駆動される側)の動きは図8のようになり、従来と比べて残留振動が大幅に減少し、目標位置O1,O2に収束して静止するまでの時間が大幅に短縮される。
【0039】
つまり、前述のように従来の一般的構造である片側駆動タイプの場合、可動フレームのたわみなどにより図10に示すように残留振動が大きくなり、静止までに長時間を要する。また、駆動系統を両側駆動タイプとしても図4中に示す速度差演算手段36及び電流指令補正手段37が設けられていなければ、モータ・負荷間のバネ定数KF1,KF2や粘性摩擦係数CF1,CF2の相違等によって両モータ21,22に速度差が生じ、これにより可動フレーム11の両端の位置に相対変位が生じるため残留振動が充分に抑制されない。これに対し、上記速度差演算手段36及び補正手段37を備えた本発明の装置では、両モータ21,22の速度差が是正されることにより、効果的に残留振動が抑制される。
【0040】
また、本発明の装置では、両モータ21,22の速度差Δωに応じて補正を行ない、かつ、電流指令発生手段33で電流指令値を求めた後に補正することにより、一対のモータ21,22に対して速度指令発生手段32や電流指令発生手段33は共通にし、電流制御手段34,35のみ各モータ21,22に対して個別に設けているので、前述の特開平6−296097号公報に示されるように加速度の差を演算するとともに速度指令発生手段及びサーボドライバを各モータに対し個別に設けたものと比べ、制御系統の構成が簡単になる。また、上記速度差Δωに応じ、モータの駆動電流を定める電流指令値を直接補正しているので、上記公報に示されるように速度指令値を補正するものと比べ、制御の応答性が向上される。
【0041】
なお、本発明の装置は、上記実施形態に示す実装機に限らず、直交ロボット等にも適用し得るものである。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明は、作業用部材を保持する可動フレームの駆動を、一対のモータで一対の送りねじを介して行なうようにし、この一対のモータを速度指令発生手段、電流指令発生手段及び一対の電流制御手段により制御するとともに、一対のモータの速度差を演算する演算手段と、この演算手段により演算された速度差に応じ、上記各電流制御部に与える電流指令値に偏差をもたせるように補正する電流指令補正手段とを備えているため、制御系統を比較的簡単な構成としながら、上記速度が生じたときに応答性良くモータ駆動電流の補正制御を行なうことができ、これにより、可動フレームの減速停止時等における振動抑制効果を高めることができる。
【0043】
とくに、プリント基板に電子部品を実装するための実装機に適用した場合、実装精度の向上及びタクトタイムの短縮を図ることかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される実装機の一例を示す概略平面図である。
【図2】上記実装機のヘッドユニットが支持されている部分の正面図である。
【図3】上記実装機における可動フレーム駆動部分の模式図である。
【図4】制御系統の構成を示すブロック図である。
【図5】慣性系のモデルを示す説明図である。
【図6】上記慣性系のブロック図である。
【図7】上記慣性系に図4の制御系統による制御を加えたブロック図である。
【図8】可動フレームが減速停止する際の可動フレームの両端部の動きを示すグラフである。
【図9】従来の一般的な実装機の可動フレーム駆動部分の模式図である。
【図10】図9に示す従来の一般的構造による場合の可動フレーム減速停止時の動きを示すグラフである。
【図11】他の従来構造による場合の可動フレーム減速停止時の動きを示すグラフである。
【符号の説明】
5 ヘッドユニット
11 可動フレーム
17,18 ボールねじ軸
21,22 サーボモータ
25,26 エンコーダ
30 制御ユニット
32 速度指令発生手段
33 電流指令発生手段
34 電流制御手段
36 速度差演算手段
37 電流指令補正手段

Claims (2)

  1. 所定方向に延びるガイドに支持されて直線的に移動可能となった可動フレームと、この可動フレームに保持された作業用部材と、上記可動フレームの移動方向と直交する方向の両端部に設けられたナット部分に螺合する一対の送りねじと、この各送りねじを個別に駆動する一対のモータと、この一対のモータの駆動電流をそれぞれ制御する一対の電流制御手段とを備えた直線方向駆動機構の制御装置であって、上記各モータの駆動状態を検出して位置及び速度に関係するデータを与える一対の検出手段と、位置指令値と一方のモータの位置との比較に基づいて速度指令値を求める両モータに共通の速度指令発生手段と、この速度指令値と一方のモータの速度との比較に基づき電流指令値を求め、その電流指令値を上記一対の電流制御手段に対してそれぞれ出力する両モータに共通の電流指令発生手段と、上記各検出手段の各出力に基づいて上記一対のモータの速度差を演算する演算手段と、この演算手段により演算された速度差に応じ、上記各電流制御手段に与える電流指令値に偏差をもたせるように補正する電流指令補正手段とを備えたことを特徴とする直線方向駆動機構の制御装置。
  2. 直線方向駆動機構はプリント基板に電子部品を実装するための実装機に装備されるものであって、作業用部材として、部品吸着用のノズルを有して部品供給部から電子部品をピックアップするヘッドユニットを備え、このヘッドユニットが可動フレームにX軸方向に移動可能に保持され、この可動フレームが実装機本体にY軸方向に移動可能に支持されるとともに、この可動フレームのX軸方向両端部に設けられたナット部分に螺合する一対の送りねじが互いに平行にY軸方向に延びるように配置され、この一対の送りねじが一対のモータでそれぞれ駆動されるようになっている請求項1記載の直線方向駆動機構の制御装置。
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