JP3954038B2 - パラレルハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
本発明は上記諸問題を解決するために開発されたものであり、エンジン始動後、すぐに車両を発進させるときの駆動系の振動を抑制防止することができるパラレルハイブリッド車両を提供することを目的とするものである。
図1は、本発明のハイブリッド車両の一実施形態を示す回転駆動源及び駆動系の概略構成図であり、車両側面視における上半部を示している。本実施形態のハイブリッド車両では、エンジン1及び発電機及び電動機として作用する3相同期モータ/発電機で構成される交流式のモータ/発電機2の出力側が、夫々、トルク合成機構である差動装置(遊星歯車機構)3の入力側に連結され、この差動装置3の出力側がトルクコンバータ等の発進装置を搭載していないトランスミッション4の入力側に接続され、トランスミッション4の出力側が終減速装置20等を介して駆動輪5に連結されている。ちなみに、この実施形態では、前記差動装置3と変速装置4との間に、図外のモータにて駆動されるオイルポンプ13(図2参照)が配設されており、このオイルポンプ13で創成される流体圧が変速装置4の制御並びに差動装置3の直結クラッチ36の締結解放に用いられる。また、モータ/発電機2は、固定側のステータ2Sと回転側のロータ2Rとを備えている。
変速装置4は、周知の前進4段後退1段の有段自動変速機であり、図1に示すように、二つの遊星歯車機構51、52が直列に配設されている。この変速装置4の変速機構は従来既存のものと同様であるので、ここでは符号の説明と、各変速段における摩擦要素の締結条件の説明にとどめる。図中の符号53はハイクラッチ、54はリバースクラッチ、55は2−4ブレーキ、56はロークラッチ、57はローアンドリバースブレーキ、58はローワンウエイクラッチである。前進1段(1速)時、締結される摩擦要素はロークラッチ56だけであり、駆動系の逆転を防止するためにローワンウエイクラッチ58が機能する。前進2段(2速)時、締結される摩擦要素はロークラッチ56と2−4ブレーキ55だけである。前進3段(3速)時、締結される摩擦要素はロークラッチ56とハイクラッチ53だけである。前進4段(4速)時、締結される摩擦要素は2−4ブレーキ55とハイクラッチ53だけである。後退時、締結される摩擦要素はリバースクラッチ54とローアンドリバースブレーキ57だけである。従って、車両停止状態では、電動ポンプにより創成される油圧によって、発進に備えてロークラッチ56だけが締結されている。
モータ/発電機駆動回路7は、蓄電装置6に接続されたチョッパ7aと、このチョッパ7aとモータ/発電機2との間に接続された例えば6つのIGBTを有して直流を3相交流に変換するインバータ7bとで構成され、チョッパ7aにモータ/発電機用コントローラ12からのデューティ制御信号DSが入力されることにより、このデューティ制御信号DSに応じたデューティ比のチョッパ信号をインバータ7bに出力する。このインバータ7bは、モータ/発電機2のロータ2R(図1参照)の回転位置を検出する位置センサの回転位置検出信号に基づいて、モータ/発電機2の正回転時及び逆回転時に電動機又は発電機として作用させるように、その回転に同期した周波数で駆動する3相交流を形成するように、例えば前記各IGBTのゲート制御信号を形成する。ちなみに、モータ/発電機2はエンジン1同様、車両を駆動するためにも用いられるので、車両を駆動する側への回転方向正方向又は正回転とし、その逆方向への回転方向を負方向又は逆回転と定義する。
さらに、変速装置4は、変速装置用コントローラTCによって走行速度とスロットル開度とをもとに予め設定された変速制御マップを参照して決定された例えば第1速〜第4速の変速比に制御される。
入力側インタフェース回路12aには、エンジン回転速度センサ8のエンジン回転速度検出値NE 、モータ/発電機回転速度センサ9のモータ/発電機回転速度検出値NM/G 、走行速度センサ14の走行速度検出値V、インヒビタースイッチ10のレンジ信号RS、スロットル開度センサ11のスロットル開度検出値TH、エンジン用コントローラECのエンジン信号ES及び前記変速装置用コントローラの変速装置信号TSが入力されている。
出力側インタフェース回路12dは、演算処理装置12bの演算結果である駆動デューティ制御信号MS及び発電デューティ制御信号GSと直結クラッチ制御信号CSとをモータ/発電機駆動回路7及びソレノイド36aに供給する。
ステップS3では、エンジン完爆フラグF2 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン完爆フラグF2 がリセット状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS16に移行する。
ステップS4では、エンジン低回転フラグF1 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン低回転フラグF1 がリセット状態である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。
ステップS6では、クラッチガタ詰め制御フラグF4 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該クラッチガタ詰め制御フラグF4 がリセット状態である場合にはステップS7に移行し、そうでない場合にはステップS9に移行する。
ステップS9では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を、例えば最大発生トルクTM/GMAXに設定された所定大トルクTM/G-Hi0 の指令値で逆回転制御してからステップS10に移行する。
ステップS10では、前記エンジン回転速度センサ8で検出されたエンジン回転速度検出値NE が、例えば600rpm程度、つまりエンジン1がフリクショントルクに抗して回転できる程度(通常はアイドリング状態の回転速度)の所定低回転速度NE0以上であるか否かを判定し、当該エンジン回転速度検出値NE が所定低回転速度NE0以上である場合にはステップS11に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
ステップS12では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を、前記所定大トルクTM/G-Hi0 より小さく且つエンジン1のフリクショントルク程度に設定された所定小トルクTM/G-LO0 の指令値で逆回転制御してからステップS13に移行する。
ステップS13では、前記エンジン用コントローラECに向けて点火指令を出力してからステップS14に移行する。
ステップS15では、エンジン完爆フラグF2 を“1”にセットしてから前記ステップS16に移行する。
ステップS17では、アクセルペダルがエンジン始動前に踏込まれたか否かを判定し、アクセルペダルがエンジン始動前に踏込まれた場合にはステップS18に移行し、そうでない場合にはステップS19に移行する。
また、ステップS19では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、エンジン1がアイドリング状態となるようにモータ/発電機2を正回転化する制御、つまりモータ/発電機2を正方向のトルクで駆動するアイドリング対応モータ/発電機正回転化制御を行ってからステップS20に移行する。なお、このステップにおける演算処理は、後述する図4の演算処理のステップS181と同等である。
ステップS21では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、直結クラッチ36の完全締結制御を行ってからステップS22に移行する。
ステップS22では、前記直結移行フラグF1 を“1”にセットしてからメインプログラムに復帰する。
T* C =ΔTE 、ΔT* M/G =−(α/(1+α))×ΔTE
次にステップS184に移行して、ステップS183で補正された目標モータ/発電機トルクT* M/G 及びステップS182で算出された目標クラッチトルクT* C を出力してから図3の演算処理のステップS20に移行する。
このうち、ステップS6〜ステップS8では、ステップS5でエンジンの回転始動が必要と判定されたら、クラッチピストンのガタ詰め制御を行う。このクラッチピストンのガタ詰め制御は、前述のように車両を発進させるときにクラッチトルクTC (=目標クラッチトルクT* C )を遅滞なく付与するための準備である。また、ステップS16、ステップS17において、エンジンの始動前に、アクセルペダルが所定値以上踏込まれた場合にはステップS18に移行し、前記図4及び図6の演算処理を行って、モータ/発電機トルク補正値ΔT* M/G で補正した目標モータ/発電機トルクT* M/G 及び目標クラッチトルクT* C を出力し、これによりエンジン回転始動直後の発進時のエンジントルクの減少並びにエンジン回転速度の増大防止を行う。
このように、本実施形態のパラレルハイブリッド車両では、例えばエンジン1が回転始動される以前にアクセルペダルが所定値以上踏込まれるといったように、エンジン1の回転始動後に、車両をすぐに発進する要求があることが検出されたときには、モータ/発電機トルクTM/G に所定の負方向のトルクからなるモータ/発電機トルク補正値ΔT* M/G を付加すると共に、エンジン1の回転始動後に直結クラッチ36を締結して目標クラッチトルクT* C を付与することで差動装置3の第1軸、つまりエンジン1の出力軸に所定のトルクを付与する構成としたため、回転始動直後の大きなエンジンのトルクTC をモータ/発電機トルク補正値ΔT* M/G によって減少することができ、その結果、駆動系の振動を抑制防止することができると共に、目標クラッチトルクT* C によってエンジン回転速度NE の増大も抑制することができる。
また、遊星歯車機構の歯数比をαとし、エンジントルク差分値をΔTE とした場合、目標クラッチトルクT* C 及びモータ/発電機トルク補正値ΔT* M/G は夫々T* C =ΔTE 、ΔT* M/G =−(α/(1+α))×ΔTE とするため、振動の発生とアイドリング後からの発進との違和感とを更に適切に抑制できる。
リングギヤとサンギヤとの間に直結クラッチが設けられているときには、歯数比をαとした場合、目標クラッチトルクT* C 及びモータ/発電機トルク補正値ΔT* M/G は夫々以下のように設定される。
T* C =ΔTE 、ΔT* M/G =−ΔTE
T* C =(1+α)×ΔTE 、ΔT* M/G =−ΔTE
このように設定することで、本実施形態と同様に、振動の発生とアイドリング後からの発進との違和感を更に適切に抑制できる。
また、前記実施形態では、前進4段後退1段の有段自動変速機を変速装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明のパラレルハイブリッドの変速装置に採用されるものはこれに限定されない。
また、オイルポンプのレイアウトも、前記に限定されるものではない。
また、前記実施形態では、コントローラにマイクロコンピュータを用いた場合について説明したが、これに代えて各種の演算回路を使用することも可能である。
2はモータ/発電機(電動発電機)
3は差動装置
4は変速装置
5は駆動輪
6は蓄電装置
7はモータ/発電機駆動回路
8はエンジン回転速度センサ
9はモータ/発電機回転速度センサ
10はインヒビタスイッチ
11はスロットル開度センサ
12はモータ/発電機用コントローラ
13はオイルポンプ
14は走行速度センサ
36は直結クラッチ
36cはクラッチバルブ
56はロークラッチ
Sはサンギヤ
Rはリングギヤ
Cはピニオンキャリヤ
Claims (8)
- エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備えた電動発電機と、変速装置と、第1軸に前記エンジンの出力軸が接続され、且つ第2軸に前記電動発電機の出力軸が接続され、且つ第3軸に前記変速装置の入力軸が接続された差動装置と、エンジン及び電動発電機及び変速装置の少なくとも何れか二つを締結する直結クラッチと、少なくとも前記電動発電機の運転状態を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジンの回転が停止している状態で、車両を駆動する方向を正方向としたとき、前記電動発電機を負方向に回転させてエンジンを始動し、該エンジン始動後に前記電動発電機を正方向に回転させて発進回転始動可能なパラレルハイブリッド車両において、前記エンジンの始動後に、車両をすぐに発進する要求があることを検出するエンジン始動後即発進要求検出手段と、前記エンジン始動後即発進要求検出手段で、エンジンの始動後に、車両をすぐに発進する要求があることが検出されたときには、前記エンジンの始動直後に前記電動発電機のトルクに所定の負方向のトルクを付加すると共に、前記直結クラッチを締結方向に制御して、前記所定の負方向のトルクの付加に合わせてクラッチトルクを付与することで前記差動装置の第1軸に所定のトルクを付与して発進するエンジン始動後即発進時制御手段とを備えたことを特徴とするパラレルハイブリッド車両。
- 前記エンジン始動後即発進時制御手段は、実際のエンジントルクを算出する実エンジントルク算出手段と、エンジンがアイドリング状態となった後に車両が発進したものであると想定したときのアイドリング後発進時エンジントルクを算出するアイドリング後発進時エンジントルク算出手段と、前記実エンジントルク算出手段で算出された実際のエンジントルクとアイドリング後発進時エンジントルク算出手段で算出されたアイドリング後発進時エンジントルクとの差分値に基づいて前記電動発電機のトルクに付加する所定の負方向のトルク及び差動装置の第1軸に付与する所定のクラッチトルクを算出するエンジン始動後即発進時トルク算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 前記直結クラッチは、オイルポンプからの作動油圧でピストンがストロークすることにより締結するものであり、エンジン始動後即発進時制御手段は、車両が発進する以前に、前記ピストンをストロークさせて直結クラッチを締結方向に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 前記車両が発進する以前のピストンストロークによる直結クラッチ締結制御は、当該ピストンのガタを詰めるものであることを特徴とする請求項3に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 運転者によるアクセルペダルの操作状態を検出するアクセルペダル操作状態検出手段を備え、前記エンジン始動後即発進要求検出手段は、エンジンが始動される以前に、前記アクセルペダル操作状態検出手段で検出されたアクセルペダルの操作状態が所定量以上であるときに、エンジンの回転始動後に、車両をすぐに発進する要求があることを検出するものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 前記直結クラッチを前記差動装置の第1軸と第3軸との間に設け、前記差動装置の歯数比をα、前記エンジントルクの差分値をΔTE としたとき、前記電動発電機に負荷する負方向のトルクを(α/(1+α))×ΔTE 、前記直結クラッチのクラッチトルクをΔTE とすることを特徴とする請求項2に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 前記直結クラッチを前記差動装置の第1軸と第2軸との間に設け、前記差動装置の歯数比をα、前記エンジントルクの差分値をΔTE としたとき、前記電動発電機に負荷する負方向のトルクをΔTE 、前記直結クラッチのクラッチトルクをΔTE とすることを特徴とする請求項2に記載のパラレルハイブリッド車両。
- 前記直結クラッチを前記差動装置の第2軸と第3軸との間に設け、前記差動装置の歯数比をα、前記エンジントルクの差分値をΔTE としたとき、前記電動発電機に負荷する負方向のトルクをΔTE 、前記直結クラッチのクラッチトルクを(1+α)×ΔTE とすることを特徴とする請求項2に記載のパラレルハイブリッド車両。
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