JP3953736B2 - 水冷式冷却器のための凝固点保護の方法およびシステム - Google Patents

水冷式冷却器のための凝固点保護の方法およびシステム Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、HVACシステム内の水冷式冷却器内の冷却水の凍結防止方法に関する。本発明はまた、水冷式冷却器内の冷却水の凍結防止システムに関する。
【0002】
背景技術
水冷式冷却器を水の凝固点の数度以内の温度で動作させることが、しばしば必要となる。周知のように、冷却器内の水は、蒸発器内の水から熱を受取る冷媒により水が冷却される熱交換器において冷却される。現在の水冷却器においては、蒸発器の温度が凝固点より低いある温度へ低下するとただちに水冷却器を運転停止するように、制御システムがしばしばプログラムされる。このような温度低下が一時的でありかつ水冷冷却器内の水の凍結を結果として生じることがなくとも、運転停止は発生し得る。このような一時的な温度低下は、変動する建物の負荷あるいは他の理由の幾つかによって生じるシステムの外乱による。このような運転停止は、管内の水が急激に凍結することがないゆえに、しばしば不要である。
【0003】
発明の開示
HVACシステムの運転停止が不要であっても、前記のような外乱の生じる限られた時間だけ冷却器が運転を継続することを許容するシステムを備えることが望ましい。このようなシステムまたは方法は、頻繁な運転停止と関連する高コストを阻止することになる。
【0004】
従って、本発明の目的は、HVACシステムの不必要な運転停止を行うことなくHVACシステムにおける水冷式冷却器を凍結から保護するための改善された方法およびシステムを提供することである。全くの更なる目的および利点については、一部は以降の記述に記載され、一部はこの記述から明らかになろうし、あるいは本発明のプロセスにより習得されよう。本発明の目的および利点は、特に頭書の請求の範囲に指摘される要素と組合わせにより具現獲得されよう。
【0005】
本文において具現され広義に記載される本発明の目的を達成するため、本発明は、冷却水の過度な凍結および冷却器の破損を阻止するため水冷式冷却器を運転停止する方法を含むものである。当該方法は、水冷却器における冷媒の温度を周期的に検知し、検知された温度が所定の凝固温度より低い期間を所定の間隔で周期的にカウントし、カウントされた時間を、所定の凝固温度より低い検知温度で冷却器を破損することなく蒸発器が運転する定められた最長時間と所定の間隔で周期的に比較し、前記の所定の間隔の1つにおいてカウントされた時間が定められた最長時間を越えるならば水冷却器を運転停止するステップを含んでいる。
【0006】
当該方法は、更に他の特質において、検知温度を所定の最低の運転停止温度と周期的に比較し、検知温度が所定の最低運転停止温度より低下するならば冷却器を運転停止するステップを含んでいる。
【0007】
別の特質において、冷却器内の冷媒が所定の凝固温度より低い期間をカウントする前記ステップは、検知温度が所定の凝固温度より低下する予め選定された各間隔中は予め選定された増分だけカウントを増進し、検知温度が所定の凝固温度と等しいかあるいはこれより高くなる予め選定された各間隔中は予め選定された増分だけカウントを低減するステップを含んでいる。
【0008】
当該方法は、更に他の特質においては、カウントの値が定められた最長時間より大きくない場合であっても、検知温度が所定の最短運転停止温度より低ければ冷却器を運転停止するステップを更に含んでいる。当該方法はまた、冷却器が所定の凝固温度より低い検知温度で動作する定められた最長時間を、予め選定された間隔において計算するステップを含んでいる。カウントするステップと比較するステップに対する所定の間隔は同じ間隔である。
【0009】
別の特質において、冷却器を運転停止するステップは、検知温度が所定の凝固温度より低い場合にのみ生じ得る。
別の特質において、冷却器内の冷媒温度を周期的に検知するステップは、直接的な温度検知装置によって行われる。あるいはまた、冷却器内の冷媒温度を周期的に検知するステップは、圧力トランスジューサによって行われる。
【0010】
本発明はまた、冷却水の過度な凍結および冷却器の破損を阻止するため水冷式冷却器を運転停止するシステムを含んでいる。当該システムは、冷却器内の冷媒温度を周期的に計測するセンサと、冷却器を破損することなく冷却器が所定の凝固温度より低い検知温度にあることを許容する最長時間を記憶する手段と、所定の間隔で検知温度が所定の凝固温度より低い期間を周期的にカウントしこの期間を所定の最長時間と比較しかつカウントされた時間が定められた最長時間より大きければ冷却器を運転停止するコントローラとを含んでいる。
【0011】
これまでの一般的記述と以降の詳細な記述がともに事例であり説明に過ぎず、請求の範囲に記載される本発明の限定ではないことが理解されよう。明細書に包含されてその一部をなす添付図面は、本発明の実施の形態を示しており、本文の記述と共に、本発明の原理の説明に役立つ。
【0012】
発明を実施するための最良の態様
まず、添付図面に示される本発明の望ましい実施の形態について詳細に記述する。全図面において、同じかあるいは類似の部分に対しては可能なかぎり同じ参照番号が用いられる。
【0013】
本発明は、水冷却器を冷却器内の水の過度な凍結によって生じる破損から保護するための方法およびシステムに関するものである。図4において、本発明が適用される汎用システムが事例として示される。図示のように、水冷却器は、遠心圧縮機110と凝縮器112と水冷却器(蒸発器)126とシステム用制御パネル140とを含むHVAC冷凍システム100に組込まれている。遠心圧縮機110は、冷媒蒸気を圧縮してこれをライン114を介して凝縮器112へ搬送する。凝縮器は、クーリング・タワー122に接続された熱交換器116を含む。凝縮器112からの凝縮された液状冷媒は、ライン124を介して蒸発器126へ流れる。蒸発器126は、例えば、冷却負荷130に接続された供給ライン128Sと戻りライン128Rとを持つ熱交換器コイル128を含む。水は、戻りライン128Rを経て蒸発器へ流入し、蒸発器から供給ライン128Sを介して流出する。蒸発器は、管内の水の温度を冷却する。熱交換器コイル128は、複数の管束を含む。蒸発器126内の蒸気冷媒は、次に吸込みライン132を介して圧縮機110へ戻り、サイクルを完了する。
【0014】
当該システムは、水冷却器内の温度または圧力を検知するセンサ160を含む。このセンサは、蒸発器シェル内の管束間のある場所にあることが望ましい。センサは典型的に、冷媒流中に配置される。センサからの信号162は、アナログ/ディジタル(A/D)・コンバータ148とマイクロプロセッサ150と不揮発性メモリ144とインターフェース・モジュール146とを含む制御パネル140へ印加される。この制御パネルの動作については、以下において更に詳細に論述する。従来の液体冷却システムは、図4には示されない他の多くの特徴点を含んでいる。これら特徴点については、図示を容易にするため図面を簡単にして意図的に省略した。
【0015】
水冷却器は、しばしば水の凝固点(32°F(0℃))の数度華氏以内の水温にして動作する仕様とされる。始動、変動建築負荷、などにより生じる冷却器の運転条件における遷移は、蒸発器の冷媒飽和温度を前記値より一時的に低下させ得る。実質的な期間このような条件に残されるならば、蒸発器の冷却水管内に氷が生じ得る。極端な場合には、管内の水が固く凍結し得、管を破裂させてユニットに損傷を生じる。
【0016】
本発明の目的は、運転停止を即時行うことなく、限られた期間だけ冷却器における冷媒温度が水の凝固点より低下することを許容する凝固点保護の方法およびシステムを提供することである。本発明の方法およびシステムは、計算されたある期間後に水冷却器を運転停止するが、不必要である種類の運転停止は阻止することになる。一方で、当該方法は、管が凍結することを有効に阻止する。このことを達成するため、冷却器が水の凝固点より低い温度で動作可能である安全時間限度を決定する方法が開発された。水が凍結するのに要する時間が蒸発器温度が凝固点よりどれだけ低いかに依存するから、このような時間限度は異なる冷却器温度に対して調整されねばならない。以下に説明するように、望ましい方法は、冷却器内で検知される冷媒温度に対して適切な安全期間を決定する数学的アルゴリズムを適用することである。本発明によれば、所与のシステムの実験テストであり得るように、このような時間の決定のため異なるアルゴリズムを用いることができる。例えば、特定の水冷却器を異なる凝固温度に露呈し、各温度における所定の段階に水を凍結するのに要する時間を決定することによって、所与の温度に対する安全期間の決定を得ることができる。このような実験的テストにより、データ点の表を決定して、以下に述べる形式のコンピュータ・システムのメモリに配備することができる。しかし、冷媒の所与の検知温度に対して最長安全期間を分析的に決定することができる適切な仮定に基いて、アルゴリズムを用いることが望ましい。
【0017】
事例として、このようなアルゴリズムを開発するためは、典型的な蒸発器管について数学的な遷移誘導分析が行われた。このような方法による凍結の危険を低減するため、冷却器凍結の最悪事態のシナリオに基いて、望ましいアルゴリズムが開発された。水冷却器の凍結が最短の期間において生じるという最悪事態のシナリオは、蒸発器ラインがパス・バッフル・ガスケットまたは他の障害物により部分的あるいは完全に閉塞される場合の可能性にある。当該シナリオにおいては、水は管に流入あるいは管から流出できず、周囲の冷媒蒸気が凝固点より低くなる間、管内に捕捉される。水が伝導により熱を移動することができない(一部の自然対流効果を無視して)ので、主な伝熱モードは半径方向における伝導となる。
【0018】
銅管の伝導率と所与の管の直径対長さの比が既知であるとすれば、フーリエ半径方向伝導式が数学的に解き得る形態に簡単化する。液体の凝固点より低い温度の媒体中に浸漬された長い円形管の内部で凍結する液体の数値的な伝熱の問題は、LondonおよびSebanにより1943年に解決された。無次元の時間パラメータに対する彼らの方程式が、下記の仮定のもとに今日の用途に適用された。すなわち、
1.氷の物理的特性、密度、伝導率および融解の潜熱は一定である。
【0019】
2.液体は最初凝固温度(32°F(0℃))である。
3.管の外側の伝熱係数は、プロセス中一定である。
4.管の外側で蒸発する冷媒の飽和温度は一定である。
【0020】
図1は、液体の完全な凝固に至る無次元の時間に対する解を示している。この場合、無次元の時間θ*は、システムのパラメータh00/kの適正値において横座標の切片r+=r/r0=0に対応する。この値は、管の完全な凝固のための無次元の時間に対応する(但し、r=0)。
【0021】
式1:θ*=(Tfr−T∞)kθ/Lrρr0 2
但し、Lf=氷の融解の潜熱
ρ=固相の密度
fr=凝固点温度
T∞=蒸発器の計測飽和温度
k=氷の熱伝導率
θ=管の完全凝固時間
0=管の内径
0=外側の伝熱係数
管の完全凝固のための無次元時間θ*は、図1から見出される。この値は、管の完全な凝固のための時間θについて解くために式1へ入力することができる。
【0022】
特定の場合に対するシステム・パラメータが上記解へ加えられたとき、種々の飽和温度における標準的な蒸発器管内の水の完全な凝固に至る時間の下記のカーブが図2に示されるように得られた。この表は、標準状態における蒸発器に対する標準的な設計に基くもので、単なる例示である。図2におけるデータの表は、本発明の限定となるものではない。図2は、A.L.LondonおよびR.A.Sebanの「形成の速度(Rates of Formation)」(ASME Transactions、第65巻、アメリカ機械技師協会、1943年)に対応する。本発明の望ましい実施の形態によれば、決められた最長時間限度が適切な安全係数により重みづけされ、次いで本発明の方法およびシステムの制御ロジックへ組込まれる。
【0023】
「巧妙な凝固点保護制御アルゴリズム」については、次に記述される。この制御ロジック・システムは、予め選定された時間間隔で蒸発器の飽和温度を連続的に監視する。冷凍システムに対する制御パネル140の一例が図4に示される。蒸発器の温度または圧力を計測するため、センサ160が設けられる。蒸発器温度を計測するためには、温度計のような直接的な温度検知装置が用いられる。あるいはまた、蒸発器の圧力を計測するためには、圧力トランスジューサのような圧力検知装置が用いられる。他の形式の温度および圧力のセンサもまた用いられる。圧力トランスジューサが用いられるならば、圧力センサ/トランスジューサ160は、蒸発器の圧力に比例するDC電圧信号162を生じる。典型的には、当該信号162は、0.5と4.5V(DC)間にある。温度計が用いられるならば、温度計が温度に比例する抵抗値を提供する。これは、電圧源を介して接続された抵抗分割器を経て電圧信号162へ変換される。電圧信号162は、制御パネル140に対する入力であり、A/Dコンバータ148によりディジタル信号へ変換される。蒸発器の圧力/温度を表わすこのディジタル信号は、次にマイクロプロセッサ150により対応する蒸発器の飽和温度へ変換することができる。この値は、次に次項において更に詳細に記述される凝固点保護ソフトウエア・ルーチンへ入力される。当該制御パネルはまた、凝固点保護ルーチンが運転停止が適正であることを信号するときに、冷却器を運転停止するために用いられるインターフェース・モジュール146を含む。冷却器は、従来の任意の方法により、例えば圧縮機110を運転停止する信号をモータ・スタータ/モータ118へ送ることによって運転停止される。しかし、本発明は、必ずしもこのような運転停止方法に限定されるものではない。
【0024】
図3は、本発明の凝固点ルーチンの実施の一形態を示している。このルーチンの動作は下記のとおりである。装置が始動に先立ってターンオンされたとすると、freeze_countの値は、初期設定の間はゼロに等しくセットされる。freeze_countは、蒸発器温度が凝固点より高いかあるいは低い点にある時間を追跡するカウンタの値である。freeze_countの特性がアクティブでなければ、ルーチンはステップ16(丸Cで示される)へ進む。ステップ16において、運転停止がクリヤされる。運転停止のクリヤ時は、制御ロジックは運転停止が当該制御特性に基いて生じないことを表示する。ルーチンは次にステップ17へ進み、ここで運転停止の状態が表示される。この場合、運転停止が起こらないことが表示されることになる。ステップ17は、運転停止の状態の表示について参照される。ステップ17の後、ルーチンは終了する(この時、ルーチンは、他の制御ルーチンの実行後に再開される)。freeze_countの特性がステップ1においてアクティブであると見出されるならば、ルーチンはステップ2へ進む。ルーチンにおけるこの時点のfreeze_countの値は、ゼロ(ルーチンが初期設定されたばかりならば)か、あるいは前のルーチンの終了に先立ち最後に残ったfreeze_countの値かのいずれかに等しい。ステップ2において、その時の蒸発器の飽和温度が決定され、公差のオフセットがシステムへ組込まれる。このオフセットは、これが生成されるときにソフトウエアへ入れることができ、あるいは特定のアプリケーションに対して手動で(キーボードにより)入力することができる。公差オフセットは、最悪の場合のセンサ誤差を表わすことが望ましい。例えば、この値は温度計については0.8°F(約−17.3℃)に等しく、かつ圧力トランスジューサについては1.0°F(約−17.2℃)に等しくプログラムされた定数であり得る。ルーチンは次に、ステップ3へ進む。
【0025】
freeze_count変数の調時の目的のためには、1秒の規則的な時間間隔がここでは用いられる(しかし、他の間隔も用いられ得る)。freeze_countは毎秒1回増分されあるいは減分されて、これにより1秒の分解能を持つタイマ相当物を達成する。ステップ3において、プログラムの初期設定時に1秒に設定されたタイマが検査される。1秒が経過したならば、タイマはステップ4においてリセットされる。1秒が経過しなかったならば、ルーチンはステップ9へ進み、図3Aと図3B間のつながりは丸Bによって示される。しかし、タイマがステップ4においてリセットされたならば、ルーチンはステップ5へ進む。ステップ5において、蒸発器温度が、freeze_point温度と公差オフセットの和に対比される。このfreeze_point温度は、冷却器内の水のfreeze_pointである。検知された蒸発器の温度がfreeze_pointと公差オフセットの和より小さければ、ルーチンはステップ7へ進み、ここでfreeze_countの値が1だけ増分される。freeze_countの値はこの時前のfreeze_countと1との和に等しくなり、ルーチンはステップ9へ進む。さもなければ、蒸発器温度はfreeze_point温度と公差オフセットの和より小さくなければ、ルーチンはステップ6へ進む。ステップ6におけるfreeze_countがゼロより大きければ、ルーチンはステップ8へ進み、ここでfreeze_countの値が1だけ減分される。freeze_countの値はこの時、前のfreeze_countマイナス1に等しくなり、ルーチンはステップ9へ進む。ステップ6において、freeze_countの値がゼロより大きくなければ、freeze_countの値は減分されず、同じ値のままとなり、ルーチンはステップ9へ進むことになる。
【0026】
本発明の特質の一つ、従って本文に説明するサブルーチン例は、温度が凝固点より高く上昇するごとにカウンタが自動的にゼロへリセットされることを阻止するものである。ステップ8において、freeze_countの値(凝固点の時間を表わす)は、蒸発器温度がfreeze_pointとオフセットの和に等しいかあるいはこれより大きければ(freeze_countがゼロより大きいと仮定して)、1だけ減分される。温度が僅かに1秒の間隔において温度閾値まで上昇するごとにカウンタをリセットさせることは危険である。閾値より高い過渡的な各上昇には大量の時間が後に続き得、この場合温度は閾値より低い。温度が閾値まで上昇するときに完全にリセットする代わりに、カウンタは増分を停止して、その代わりに1カウントをゼロへ減分することになる。このように、温度変化が逆方向でありかつ温度が閾値より低く低下するものと仮定すれば、freeze_countの値は、温度が閾値より低かった時間(1秒のような増分吸う)から、温度が閾値より高いかあるいはこれに等しかった時間を差引いた量を表わすことになる。温度が前に閾値より高く上昇しただけでゼロへリセットしないことにより、冷却器は、カウンタがゼロへリセットされたよりも短い時間だけ閾値より低い温度に止まることを許容される。このようなロジックは、冷却器が凝固点の周縁で動作する状況(すなわち、飽和温度が凝固点付近で振動しているとき)に対しては特に必要である。
【0027】
ステップ3において、1秒の間隔が経過しなかったならば、タイマはリセットされず、リセットはステップ9へ進む(図3Aと図3B間のつなぎは、丸Bにより示される)。しかし、freeze_countの値は、1秒の間隔で増分あるいは減分されるに過ぎず、ルーチンは1秒に多数回完了されることもあり得る。
【0028】
図3Aおよび図3Bに示されるように、ルーチンは丸Aと丸Bとして示される部分からステップ9へ進む。ステップ9において、蒸発器の温度はfreeze_pointと公差オフセットの和に対比される。蒸発器温度がfreeze_point温度と公差オフセットの和より小さくなければ、ルーチンはステップ11へ進む。ルーチンがステップ11へ進むならば、運転停止は生じないことになる。ステップ11において、運転停止がクリヤされ、ルーチンはステップ17へ進み、ここで運転停止の状態が表示される。このような場合、運転停止が行われないことが表示され、ルーチンは終了されることになる。
【0029】
しかし、ステップ9において蒸発器の温度がfreeze_point温度と公差オフセットとの和より小さければ、ルーチンはステップ10へ進む。ステップ10において、水が凍結せずに各蒸発器温度に滞留し得る最長時間が、最近検知された温度について計算される。これは蒸発器の管中の水の完全な凝固に要する時間に対応し、その結果冷却器の破損をもたらすことになる。先に述べたように、これは、管中の流れが完全に閉塞される最悪の場合のシナリオに基く。最長時間は、計算のため要求される必要なパラメータと共に先の式1の変形である下記の方程式を用いて計算される。以下に示す変数に対する値は、特定の熱交換器の特性および存在する諸条件に依存する。下記の値は、事例に過ぎない。不都合なことに、(最長時間に対する)秒数は、飽和温度がどれだけ凝固点より低いかに基いて計算される。方程式は下記のとおり。
【0030】
【数1】
最長時間(秒)=[θ*×LF×ρf×[(r0/12)2/(((Tfr+Toffs et)-Tshell)×kice)]]×3600
但し、
fr=32.0度F
offset=0.8から1.0度F
shell=蒸発器の計測飽和温度
f=143.6
ice=1.34
ρf=57.3
0=3000
0=0.325
R=h0×(r0/(12×kice))
Rが10より大きければ、θ*=0.25
蒸発器管が凍結するための最長時間がいったん計算されると、ステップ12においてfreeze_countの値が最長時間値に対比される。freeze_countの値が毎秒に1回増分(あるいは減分)されるので、freeze_countの値は、飽和温度が凍結閾値(飽和温度が凍結閾値より高い時間を差し引いた)より低い秒単位の時間を表わす。freeze_countの値が最長時間値より大きければ、ルーチンはステップ13へ進み、ここで運転停止が設定される。運転停止が設定された後、ルーチンはステップ14へ進む。ステップ12において、freeze_countの値は最長時間値より小さいかあるいはこれと等しい。温度が閾値(高かった時間量を差し引いた)より低かった時間量が凍結が生じるための計算時間量に達しなかったならば、この状態が生じることになる。ルーチンはステップ14へ進む。
【0031】
装置は、蒸発器の温度が所定の最低温度より低く低下したならば、依然として運転停止される。このような最低温度は、短時間であっても凍結が冷却器の運転にとって危険になるほど速く生じる温度を表わす。先の事例の場合は、最低温度は25°F(約−3.9℃)に設定される。ステップ14において、蒸発器の温度が最低温度より低ければ、運転停止がステップ15において設定される。蒸発器温度がこの最低温度より低くなければ、運転停止は設定されない。しかし、運転停止はステップ13の結果としてすでに設定されている。運転停止の状態あるいはこれが行われない状態は、ステップ17において表示される。運転停止がステップ13および15の両方で設定されたとすると、システムは、運転停止がステップ17において表示されるようにプログラムされる。あるいはまた、ステップ12および14に対する応答が否定であったならば、運転停止は設定されず、ステップ17が運転停止が行われないことを表示することになる。ステップ17の後、ルーチンはつねに終了される。ルーチンは、その直後に再開される。
【0032】
上記の方法およびシステムにおいては、制御装置が、運転停止が生じている理由を表示する。運転停止は、凝固点保護のため先に述べたもの以外の理由のために生じ得る。運転停止の理由のこのような表示は、運転停止の表示として参照される。
【0033】
当業者には、本発明の設計、およびかかる凝固点保護の方法およびシステムの構成における種々の修正および変更が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく可能であることが明らかであろう。本発明の他の実施の形態についても、明細書の考察、および本文に開示された本発明の実施から当業者には明らかであろう。明細書および事例は、頭書の請求の範囲の単なる例示と見なされるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 管中の液体の完全な固体化に至る無次元時間を計算するグラフである。
【図2】 種々の冷媒飽和温度における蒸発器管内の停滞水の固体化のための時間を示すグラフである。
【図3】 AおよびBは、高性能な凍結保護ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 本発明による冷媒系統と制御パネルを示す図である。

Claims (18)

  1. 冷却水の過度な凍結と冷却器に対する損傷とを阻止するため、水冷式冷却器を運転停止する方法であって、
    冷却器内の冷媒温度を周期的に検知するステップと、
    前記冷媒が所定の凝固温度より低くなる時間量を所定の間隔で周期的にカウントするステップと、
    冷却器が破損することなく所定の凝固温度より低い検知温度で動作する決定された最長時間とカウントされた時間を、所定の間隔で周期的に比較するステップと、
    前記所定の間隔の1つにおいて前記カウントされた時間が決定された最長時間を越えるならば冷却器を運転停止するステップと、を含み、
    前記冷却器内の冷媒が所定の凝固温度より低い時間量をカウントする前記ステップは、検知された温度が所定の凝固温度より低くなる予め選定した各間隔において予め選定された増分だけカウントを増分するステップと、検知された温度が所定の凝固温度に等しいかあるいはこれより高くなる予め選定された各間隔において予め選定された増分だけカウントを減分するステップとを含む、方法。
  2. 前記検知された温度を所定の最低運転停止温度と周期的に比較するステップと、
    前記検知された温度が前記所定の最低運転停止温度より低く低下するならば、冷却器を運転停止するステップと、
    を更に含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記カウントの値が決定された前記最長時間より大きくなくとも、検知された温度が所定の最低運転停止温度より低ければ、冷却器を運転停止するステップを更に含む請求項に記載の方法。
  4. 前記冷却器が所定の凝固温度より低い検知温度で動作する決定された最長時間を予め選定された各間隔において計算するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記冷却器が損傷することなく所定の凝固温度より低い検知温度で動作する前記定められた最長時間が、冷却器内の水が閉塞されて冷却器内の流れが生じないという仮定に基いて決定される、請求項に記載の方法。
  6. 前記冷却器が所定の凝固温度より低い検知された温度で破損することなく動作する前記決定された最長時間が、冷却器の実験テストに基いて決定される、請求項記載の方法。
  7. 前記冷却器が破損することなく所定の凝固温度より低い検知された温度で動作する前記決定された最長時間が、最近検知された温度に対応する時間である、請求項記載の方法。
  8. 前記検知された温度が所定の凝固温度に等しいかあるいはこれより高くなるごとに、予め選定された増分だけカウントを減分する前記ステップは、該カウントの値がゼロより大きい場合にのみ生じる、請求項に記載の方法。
  9. 前記カウント・ステップと前記比較ステップとに対する所定の間隔は同じ間隔である、請求項1記載の方法。
  10. 前記冷却器を運転停止する前記ステップは、前記検知された温度が所定の凝固温度より低い場合にのみ生じる、請求項1に記載の方法。
  11. 前記所定の凝固温度は、前記冷却器内の水の凝固点と温度のオフセットとの和である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記決定された最長時間は、前記冷却器の熱交換特性に基く分析アルゴリズムの適用により決定される、請求項に記載の方法。
  13. 前記冷却器内の冷媒の温度を周期的に検知する前記ステップは、直接的な温度検知装置により実施される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記冷却器内の冷媒の温度を周期的に検知する前記ステップは、圧力トランスジューサにより実施される、請求項1に記載の方法。
  15. 冷却水の過度な凍結と冷却器に対する損傷とを防止するため水冷式冷却器を運転停止するシステムであって、
    前記冷却器内の冷媒の温度を周期的に計測するセンサと、
    前記冷却器が破損することなく所定の凝固温度より低い検知温度にあることが許容される最長時間を記憶する手段と、
    前記検知温度が前記所定の凝固温度より低い時間量を、所定の間隔で周期的にカウントし、前記時間量を前記決定された最長時間と比較し、カウントされた時間が前記決定された最長時間より長ければ前記冷却器を運転停止するコントローラと、
    前記検知された温度は所定の凝固温度より低下する予め選定された各間隔において、予め選定された増分だけカウントを増分し、前記検知された温度が所定の凝固温度に等しいかあるいはこれより高い予め選定された各間隔において予め選定された増分だけカウントを減分するソフトウエアを、前記コントローラは含む、
    を備えるシステム。
  16. 前記冷却器は、破損することなく前記間隔において検知された温度にあることが許容される最長時間を各間隔において決定する決定手段を更に備える、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記記憶手段は、前記冷却器の異なる温度と関連する複数の最長時間を記憶する、請求項15に記載のシステム。
  18. 前記記憶手段はコンピュータのメモリである、請求項15に記載のシステム。
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