JP3953566B2 - 流量制御弁の周期的操作方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁式タンク通気弁の遅れ時間の適応方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関により駆動される自動車には、しばしば、供給タンクからの燃料蒸気の周囲への放出を防止する働きをする、いわゆるタンク通気装置が設けられている。タンク内で蒸発した燃料は活性炭フィルタ内に蓄積され、自動車の運転中に、周期的に操作される電磁式タンク通気弁を介して内燃機関の吸気管に供給されて燃焼される。
【0003】
このような弁は、構造上遅れ時間を有している。これは、弁の開口断面が弁の操作信号に追従する時間的遅れと理解されている。弁の実際の開放時間は、この遅れ時間だけ短縮される。これにより、タンク通気弁内を流れるガス量は減少され、このガス量の減少はとくに操作時間が短いときに著しく影響を与えることになる。
【0004】
タンク通気装置において、タンク通気弁内を流れるガス量は、その燃料濃度の関数として、また(開ループまたは閉ループ)制御方式における広い範囲内でのエンジンの実際の負荷−回転速度運転点の関数としても変化される。内燃機関により吸い込まれる全体空気流量が比較的小さいとき、たとえばアイドリングのときもまた、タンク通気弁を介して流れるガス量に対し十分な精度が保証されなければならない。これは、いずれの場合も、遅れ時間の考慮を必要とする。従来、1つのタイプの個々の弁における実験において求められた遅れ時間が、操作信号の形成のときに計算に組み込まれる。
【0005】
しかしながら、遅れ時間は弁ごとに変動し、とくに個々の弁において使用時間と共に変化することがある。
【0006】
この問題はタンク通気弁において発生するばかりでなく、周期的に操作されるほとんどすべての電磁弁において発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
周期的に操作される電磁弁の遅れ時間を、個々の弁ごとに求める方法を提供することが本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
流量制御弁の開口断面が遅れ時間tvだけ遅れてその操作信号に追従し、遅れ時間の値が操作信号の形成のときに考慮される流量制御弁の周期的操作方法において、操作信号の周期が変化され、変数の応答が測定され、前記応答が流量制御弁内を通過する流量と作用結合され、および操作信号の形成のときに考慮される遅れ時間の値が、測定された応答の関数として変化される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、吸気管2、排気管3、タンク通気装置4、タンク5、制御装置6、排気ガスセンサ装置7、内燃機関の運転のときに使用される、回転速度n、吸込み空気量L、温度Tのような複数のセンサを代表して示したセンサ装置8、ならびにたとえば1つまたは複数の噴射弁装置として形成してもよい燃料供給量計量装置(噴射弁)9を備えた内燃機関1を詳細に示している。この場合、噴射弁に対する操作信号は、前制御および制御動作の組合せにより発生される。この場合、前制御は実質的に、内燃機関の回転速度nおよび吸込み空気量Lの関数である操作信号の基準値t1の形成を含む。このとき、この基準値はさらに閉ループ制御回路内で、排気ガスセンサ装置7により測定される排気ガス組成の関数として、乗算により修正される。その他の修正は、内燃機関または吸気の温度の影響ならびにタンク通気またはバッテリ電圧の影響を考慮している。
【0010】
タンク通気装置4は、対応する配管ないし接続口を介して、タンク、周囲空気および内燃機関の吸気管と通じている活性炭フィルタ10から構成され、ここで吸気管への配管内にタンク通気弁11が設けられている。活性炭フィルタ10は、タンク5内で蒸発した燃料を蓄積する。制御装置6により操作されてタンク通気弁11が開かれたとき、活性炭フィルタを通過して周囲から空気が吸い込まれ、この場合、活性炭フィルタは蓄積された燃料を空気に引き渡す。タンク通気混合物または再生ガスともいわれるこの燃料/空気混合物は内燃機関に供給される全体混合物の組成に影響を与え、この混合物はさらに、燃料供給量計量装置9を介して行われる、吸込み空気量に適合された燃料の供給により調節される。この場合、タンク通気装置4を介して吸い込まれた燃料は、極端な場合、合計の燃料の量の約1/3ないし半分の割合を占めることがある。
【0011】
以下の計算例は、自動車のタンク通気の範囲内で発生するようなタンク通気の混合物形成への影響を典型的な値で示している。この例においては、エンジンのアイドリング要求が約10m3/hであると仮定する。連続的に開かれたタンク通気内を約4m3/hが流れるものとする。しかしながら、タンク通気弁は連続的に開かれていないで、たとえば1.67%のデューティ比で操作されるものとする。言い換えると、弁が操作されて開いている時間の、弁が操作されて閉じている時間に対する比が1.67:100である。さらに、開かれたタンク通気弁内を流れる再生ガスは、100%の燃料蒸気からなることから出発している。この再生ガスは約1:30の量論比の空気で燃焼される。この値でタンク通気弁内を流れる燃料蒸気の燃焼のために必要な空気量は、30*1.67/100*4m3/h=2m3/hと計算される。別の表現をすれば、吸込空気量は10m3/hであるが、そのうちの20%すなわち2m3/hは既にタンク通気によりその燃料分を含んでいるので、タンク通気がない場合に必要とされる燃料の量の80%のみが噴射されるだけでよい。タンク通気の影響を混合物バランスに対して修正するために、上記の20%に相当する混合物修正係数が必要となる。この混合物修正係数は、排気ガスセンサ装置7(制御センサ)、制御装置6(制御器)および噴射弁9(制御操作端)からなる混合物制御回路において作用する。
【0012】
この計算例は、遅れ時間のないタンク通気弁ないし正確に正しく考慮された遅れ時間を有する通気弁を使用した理想的な場合に対してのみ適用される。以下に、実際のタンク通気弁において発生する遅れ時間がいかに影響を与えるかが示されている。まず、計算例の基礎となる操作デューティ比の周期は100ms(ミリ秒)とする。実際のスタート遅れは3msであるとする。スタート遅れは、4msの仮定された遅れ時間を計算に組み込むことにより補償されるはずである。
【0013】
タンク通気弁は、この場合、1.67ms+4ms=5.67msの間開いているように操作される。この場合、上記の1.67%のデューティ比が基礎となっている。実際の開放時間として、5.67msと3msとの差2.67msが得られる。したがって、混合物修正の計算には係数1.67ではなく、係数2.67が入り込んでくる。これにより、増加燃料分は32%となる。
【0014】
第2の例においては、周期が100msから50msに半分にされたとする。この場合、1.67%の操作デューティ比においては、修正が行われない操作時間は0.833msとなる。修正を行った操作時間は、それに応じて、0.833ms+4ms=4.833msとなる。しかしながら、実際の開放時間は4.833ms−3ms=1.833msとなる。それに応じて、係数1.833ms/50msが混合物修正係数の計算に取り入れられ、この結果混合物修正は44%となる。
【0015】
言い換えると、周期を100msから50msに切り換えることにより、1msだけ大きく推定した遅れ時間においては、44%−32%=12%の燃料分の変化が得られる。切換え後、それに応じてλ制御器は燃料を低下する方向に制御する。すなわち、燃料蒸気戻し装置からの燃料分の上昇は燃焼混合物における燃料分を上昇させ、これがリッチな混合物として現れてくる。このリッチな混合物は図1における排気ガスセンサ装置7により検出され、排気ガスセンサ7、制御装置6および噴射弁9からなる閉ループ制御回路を介して、噴射すべき燃料の量を低下させることになる。このとき、この検出結果は、本発明により、実際のスタート遅れ時間へ適応させるために利用される。本発明による方法の一実施例が流れ図として図2に示されている。
【0016】
最初のステップS2.1において、タンク通気弁TEVが長い周期t1で開かれるように操作される。第2のステップS2.2においてλ制御器が安定した後、第3のステップS2.3においてより小さい周期t2に切り換えられる。ステップS2.4においてλ制御器の出力が安定した後、ステップS2.5において、大きい周期(t1)と小さい周期(t2)とにおけるλ修正値の差Dが求められる。差Dがしきい値S1より大きいとき、このことは同時に、切換え後制御器が混合物のリーン傾向に応答して混合物をリッチにするように動作することを意味し、これがステップS2.6において決定され、ステップS2.7において、前のスタート遅れ時間tvaltを所定の値δだけ増大することにより新しいスタート遅れ時間tvneuが形成される。一方、差Dが第2のしきい値S2より小さいとき、これは同時に、制御器がリーンにするように動作することを意味し、これがステップS2.8により決定され、ステップS2.9において、前のスタート遅れ時間tvaltと所定の差δとの差として新しいスタート遅れ時間tvneuが形成される。この差DがS1より大きくなく、しかもS2より小さくないとき、計算に組み込まれた遅れ時間が実質的に正しいことになる。したがって、遅れ時間は、ステップS2.10において変えられないで保持される(tvneu=tvalt)。ステップS2.7、S2.9またはS2.10の結果を用いて、次の操作サイクルにおけるタンク通気弁の操作信号が形成される。これらのステップ列を反復して実行することにより、最終的に、真のデューティ比に対応する遅れ時間tvが設定される。
【0017】
本発明による遅れ時間を適応させるためのλ制御回路の応答の評価は、λ制御回路とタンク通気との作用結合により可能となる。この場合、結合は、タンク通気が内燃機関に供給される混合物の量および組成に影響を与えることにより得られる。アイドリング回転速度は混合物の量および組成の関数であるので、上記のこの影響は、アイドリング回転速度を制御するための制御回路にも作用することになる。アイドリング回転速度とタンク通気との間のこの作用結合に基づき、アイドリング回転速度制御の応答もまた原則的に遅れ時間の適応に使用可能である。同様のことは、アイドリング回転速度制御の範囲外においても、ないしは回転速度制御が切り離された場合においても、アイドリング回転速度に対して適応される。
【0018】
このような背景から、たとえばタンク通気弁の本発明による方法の本質は、次のように説明することができる。タンク通気弁の開口断面がその遅れ時間tvだけ遅れてその操作信号に追従し、タンク通気弁における遅れ時間の値が操作信号の形成のときに考慮されるようにした、周期的に操作されるタンク通気弁において、操作信号の周期が変化され、かつタンク通気と作用結合された変数が測定される。続いて、測定された応答の関数として、操作信号の形成のときに考慮される遅れ時間の値の新たな形成または修正が行われる。この場合、操作信号の周期の変化がたとえば周期の短縮であってもよい。この場合、タンク通気と作用結合された制御回路の応答が所定量を超えたとき、遅れ時間に対する値が増大され、変数の応答が所定量を下回ったとき、遅れ時間に対する値が減少される。したがって、λ制御回路において、小さい周期に切り換えた後、制御器がリッチな混合物を形成するように働くとき、計算に組み込むべき遅れ時間が増大され、制御器がリーンな混合物を形成するように働くとき、計算に組み込むべき遅れ時間は減少される。
【0019】
これの代替態様として、周期を延長する方向に変化を行ってもよい。この場合、制御器がリッチな混合物を形成するように働くとき、本発明による遅れ時間が減少され、制御器がリーンな混合物を形成するように働くとき、本発明による遅れ時間に対する値は減少される。
【0020】
上記のように、タンク通気と作用結合する変数として内燃機関に供給される燃料/空気混合物の組成の制御のための制御回路からの値が使用されてきた。たとえば、このような変数は、排気ガスセンサの信号、制御器の設定値、または噴射時間の変化である。これらの代替態様として、アイドリング回転速度を制御するための制御回路からの変数が、タンク通気と作用結合された変数として使用されてもよい。このために、たとえば、アイドリング制御回路の制御設定値が、タンク通気と作用結合される変数として使用される。他の代替態様として、アイドリング回転速度それ自身が、タンク通気と作用結合される変数として考慮される。
【0021】
【効果】
タンク通気装置ともいわれる燃料蒸気戻し装置に使用するとき、次の利点がある。すなわち、本発明による方法を実行したときに取得された、操作信号形成における個々の弁の実際の遅れ時間を知ることにより精度が上昇し、少ない量でもこの高い精度で供給することができ、これにより、タンク通気が作動しているとき、すなわちタンク通気弁が操作されて開いているとき、混合物のエラーを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンク通気装置を有する内燃機関のブロック線図である。
【図2】適応方法の流れ図である。
【図3】本発明による方法の技術的背景を説明するための制御信号の時間線図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 吸気管
3 排気管
4 タンク通気装置
5 タンク
6 制御装置
7 排気ガスセンサ装置
8 センサ装置
9 燃料供給量計量装置
10 活性炭フィルタ
11 タンク通気弁
D λ修正値の差
L 吸込空気量(負荷)
n 回転速度
S1、S2 Dのしきい値
T 温度
t1 長い周期
t2 短い周期
TEV タンク通気弁
tv 遅れ時間
tvalt 前のランの遅れ時間
tvneu 次のランの遅れ時間
δ 遅れ時間の修正値

Claims (9)

  1. 流量制御弁の開口断面が遅れ時間tvだけ遅れてその操作信号に追従し、遅れ時間の値が操作信号の形成のときに考慮される流量制御弁の周期的操作方法において、
    操作信号の周期が変化され、変数の応答が測定され、その応答が流量制御弁内を通過する流量と作用結合されること、
    流量制御弁を通過する流量と作用結合される変数として、内燃機関に供給される燃料/空気混合物の組成を制御するための制御回路からの変数を使用すること、
    操作信号の形成のときに考慮される遅れ時間の値が、測定された応答の関数として変化されること、
    を特徴とする流量制御弁の周期的制御方法。
  2. 燃料蒸気戻し装置から内燃機関の吸気管への燃料蒸気および空気の流量を制御する、内燃機関において使用されるタンク通気弁に使用することを特徴とする請求項1の方法。
  3. 操作信号の周期の変化が周期を短縮するように行われることを特徴とする請求項1または2の方法。
  4. 流量制御弁内を通過する流量と作用結合された変数の応答が所定量を超えたとき、遅れ時間が増大され、変数の応答が所定量を下回ったとき、遅れ時間が減少されることを特徴とする請求項3の方法。
  5. 操作信号の周期の変化が周期を延長するように行われることを特徴とする請求項1または2の方法。
  6. 流量制御弁内を通過する流量と作用結合された変数の応答が所定量を超えたとき、遅れ時間が減少され、変数の応答が所定量を下回ったとき、遅れ時間が増大されることを特徴とする請求項5の方法。
  7. 制御回路の応答が、排気ガスセンサの信号、制御器の設定値、または噴射時間の変化から導かれることを特徴とする請求項の方法。
  8. アイドリング回転速度を制御するための制御回路からの変数を、流量制御弁内を通過する流量と作用結合される変数として使用することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの方法。
  9. アイドリング回転速度を、流量制御弁内を通過する流量と作用結合される変数として使用することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの方法。
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