JP3952321B2 - サックバックバルブ - Google Patents
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- G05D7/005—Control of flow characterised by the use of auxiliary non-electric power combined with the use of electric means
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラムの変位作用下に流体通路を流通する所定量の圧力流体を吸引することにより、例えば、前記圧力流体の供給口の液だれを防止することが可能なサックバックバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、半導体ウェハ等の製造工程においてサックバックバルブ(suck back valve )が使用されている。このサックバックバルブは、半導体ウェハに対するコーティング液の供給を停止した際、供給口から微量のコーティング液が半導体ウェハに向かって滴下する、いわゆる液だれを防止する機能を有する。
【0003】
ここで、従来技術に係るサックバックバルブを図6に示す(例えば、実公平8−10399号公報参照)。
【0004】
このサックバックバルブ1は、流体導入ポート2と流体導出ポート3とを連通させる流体通路4が形成された弁本体5と、前記弁本体5の上部に連結されるボンネット6とを有する。前記流体通路4の中央部には、厚肉部および薄肉部から構成されたダイヤフラム7が設けられている。前記ボンネット6には、図示しない圧力流体供給源に接続され、切換弁(図示せず)の切換作用下に前記ダイヤフラム作動用の圧縮空気を供給する圧力流体供給ポート8が形成される。
【0005】
前記ダイヤフラム7にはピストン9が嵌合され、前記ピストン9には、弁本体5の内壁面を摺動するとともにシール機能を営むvパッキン10が装着されている。また、弁本体5内には、ピストン9を上方に向かって常時押圧するスプリング11が設けられている。
【0006】
ボンネット6の上部には、ねじ込み量の増減作用下に、ピストン9に当接して該ピストン9の変位量を調整することにより、ダイヤフラム7によって吸引されるコーティング液の流量を調整するねじ部材12が設けられる。
【0007】
前記流体導入ポート2には、コーティング液が貯留された図示しないコーティング液供給源がチューブ等の管路を介して接続され、さらに、前記コーティング液供給源と前記流体導入ポート2との間には、サックバックバルブ1と別体で構成されたオン/オフ弁(図示せず)が接続されている。このオン/オフ弁は、その付勢・滅勢作用下に該サックバックバルブ1に対するコーティング液の供給状態と供給停止状態とを切り換える機能を営む。
【0008】
このサックバックバルブ1の概略動作を説明すると、流体導入ポート2から流体導出ポート3に向かってコーティング液が供給されている通常の状態では、圧力流体供給ポート8から供給された圧縮空気の作用下にピストン9およびダイヤフラム7が下方向に向かって一体的に変位し、ピストン9に連結されたダイヤフラム7が、図6中、二点鎖線で示すように流体通路4内に突出している。
【0009】
そこで、図示しないオン/オフ弁の切換作用下に流体通路4内のコーティング液の流通を停止した場合、圧力流体供給ポート8からの圧縮空気の供給を停止させることにより、スプリング11の弾発力の作用下にピストン9およびダイヤフラム7が一体的に上昇し、前記ダイヤフラム7の負圧作用下に流体通路4内に残存する所定量のコーティング液が吸引され、図示しない供給口における液だれが防止される。
【0010】
この場合、コーティング液の吸引量はピストン9の変位量に対応し、前記ピストン9はねじ部材12によってその変位量が調整されている。
【0011】
ところで、前記の従来技術に係るサックバックバルブ1では、圧力流体供給ポート8に供給される圧縮空気の流量を高精度に調整するために、チューブ等の管体を通じて図示しない流体圧制御装置が圧力流体供給ポート8に接続される。この流体圧制御装置は、サックバックバルブ1とは別体で形成され、電気信号を空気圧に変換するバイモル圧電素子(bimorph cell)が配設される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来技術に係るサックバックバルブでは、コーティング液の吸引量の調整を、手動によってねじ部材のねじ込み量の増減作用下に行っているため、前記コーティング液の吸引量を高精度に制御することができないという不都合がある。この場合、一旦設定されたねじ部材のねじ込み量を、コーティング液の供給量に対応してその都度調整しなければならず、煩雑でもある。
【0013】
また、従来技術に係るサックバックバルブでは、流体圧制御装置に設けられたバイモル圧電素子が有するヒステリシスの作用下に印加される電圧に対する変位量の再現性に若干難点があるため、圧力流体供給ポートに供給される圧縮空気の流量を高精度に制御することが困難となり、コーティング液を吸引する際のピストンの変位速度を高精度に制御することができないという不都合がある。
【0014】
さらに、従来技術に係るサックバックバルブを用いた場合、該サックバックバルブと流体制御装置との間、並びに該サックバックバルブとオン/オフ弁との間の配管接続作業が必要となって煩雑であるとともに、サックバックバルブ以外に流体圧制御装置とオン/オフ弁とをそれぞれ付設するための占有スペースが必要となり、設置スペースが増大するという不都合がある。
【0015】
さらにまた、サックバックバルブと流体圧制御装置との間に接続される配管によって流路抵抗が増大し、ダイヤフラムの応答精度が劣化するという不都合がある。
【0016】
またさらに、オン/オフ弁のオン状態とオフ状態とを切り換えるための駆動装置が別途必要となり、前記オン/オフ弁と駆動装置との配管接続作業が煩雑であるとともに、コストが高騰するという不都合がある。
【0017】
本発明は、前記の種々の不都合を悉く克服するためになされたものであり、配管接続作業を不要とするとともに設置スペースの縮小化を図り、ダイヤフラムの応答精度を向上させ、しかもパイロット圧並びに吸引される圧力流体の流量を高精度に制御することが可能なサックバックバルブを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体通路を有し、一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された継手部と、
パイロット圧によって変位する可撓性部材の負圧作用によって前記流体通路内の流体を吸引するサックバック機構と、
前記パイロット圧の作用下に前記流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
前記サックバック機構によって吸引される流体の流量を電気的に制御する吸引量制御手段が設けられた制御部と、
前記可撓性部材の変位量を検出し、その検出信号を前記制御部に導出する変位量検出手段と、
前記制御部に設けられ、前記サックバック機構およびオン/オフ弁にそれぞれ供給されるパイロット圧を制御する流量制御手段と、
を備え、
前記流量制御手段は、熱によって膨張・収縮する流体が封入され、且つ一部が薄膜状に形成された容器と、前記容器の薄膜に臨むノズル部と、前記容器内の流体を加熱制御する発熱体とを有し、前記発熱体の発熱量を制御することにより前記容器内の流体が膨張し、前記容器の薄膜がノズル部側に向かって撓曲し該薄膜とノズル部との離間間隔が調整されることにより、前記サックバック機構およびオン/オフ弁に向かって流通する圧力流体の流量が所定量に制御され、
前記吸引量制御手段は、弾発力の作用下に前記可撓性部材を押圧するばね部材と、前記制御部から導出される付勢信号・滅勢信号によって前記サックバック機構に供給されるパイロット圧を調圧する電磁弁を有し、前記ばね部材の押圧力と前記パイロット圧とを平衡させることにより、前記可撓性部材の変位が規制され、
前記制御部には、前記電磁弁および前記流量制御手段をそれぞれ電気的に制御するメインコントロールユニットが設けられ、
前記継手部、前記サックバック機構、前記オン/オフ弁および前記制御部は、それぞれ一体的に組み付けて設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、吸引量制御手段によって、制御部から電磁弁に対して導出される付勢信号・滅勢信号によってサックバック機構に供給されるパイロット圧を調圧し、可撓性部材を押圧するばね部材の押圧力と前記サックバック機構に供給されるパイロット圧とを平衡させ前記可撓性部材の変位を規制することにより前記サックバック機構によって吸引される流体の流量が高精度に制御される。さらに本発明では、流量制御手段を構成する発熱体に通電することにより容器内の流体が加熱されて膨張し前記容器の薄膜がノズル部側に向かって撓曲し該薄膜とノズル部との離間間隔が調整され、サックバック機構およびオン/オフ弁に向かって流通する圧力流体の流量が所定量に制御される。従って、オン/オフ弁に供給されるパイロット圧およびサックバック機構に供給されるパイロット圧がそれぞれ高精度に制御されることにより、前記オン/オフ弁および前記サックバック機構を構成し負圧作用を営む可撓性部材の応答精度をより一層向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係るサックバックバルブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において参照数字20は、本発明の実施の形態に係るサックバックバルブを示す。このサックバックバルブ20は、一組のチューブ22a、22bが着脱自在に所定間隔離間して接続される継手部24と、前記継手部24の上部に設けられ内部にオン/オフ弁26およびサックバック機構28(図2参照)を有する弁駆動部30と、前記オン/オフ弁26およびサックバック機構28にそれぞれ供給される圧力流体を切り換え制御するとともに、前記オン/オフ弁26およびサックバック機構28に供給される圧力流体の圧力(パイロット圧)を制御する制御部32とから構成される。なお、前記継手部24、弁駆動部30および制御部32は、図1に示されるように一体的に組み付けられる。
【0022】
図2に示されるように、継手部24には、一端部に第1ポート34が、他端部に第2ポート36が形成されるとともに、前記第1ポート34と第2ポート36とを連通させる流体通路38が設けられた継手ボデイ40と、前記第1ポート34および第2ポート36にそれぞれ係合し、且つチューブ22a、22bの開口部に挿入されるインナ部材42と、前記継手ボデイ40の端部に刻設されたねじ溝に螺入することによりチューブ22a、22bの接続部位の液密性を保持するロックナット44とを有する。
【0023】
第1ポート34に近接する継手部24の上部にはオン/オフ弁26が配設され、前記オン/オフ弁26は、継手ボデイ40と一体的に連結された第1弁ボデイ46と、前記第1弁ボデイ46の内部に形成されたシリンダ室48に沿って矢印X1 またはX2 方向に変位するピストン50と、前記シリンダ室48を気密に閉塞するカバー部材52とを有する。なお、前記カバー部材52は、サックバック機構28まで延在している。
【0024】
前記ピストン50とカバー部材52との間には、ばね部材54が介装され、前記ばね部材54の弾発力によって該ピストン50が、常時、下方側(矢印X2 方向)に向かって付勢された状態にある。
【0025】
前記ピストン50の下端部には、第1ダイヤフラム56によって閉塞された第1ダイヤフラム室58が形成され、前記第1ダイヤフラム56は、ピストン50の下端部に連結されて該ピストン50と一体的に変位するように設けられる。この場合、前記第1ダイヤフラム56は、継手ボデイ40に形成された着座部59から離間し、または前記着座部59に着座することにより流体通路38を開閉する機能を営む。従って、オン/オフ弁26の開閉作用下に、流体通路38を流通する圧力流体(例えば、コーティング液)の供給状態またはその供給停止状態が切り換えられる。
【0026】
また、第1ダイヤフラム56の上面部には、該第1ダイヤフラム56の薄肉部を保護するリング状の緩衝部材60が設けられ、前記緩衝部材60はピストン50の下端部に連結された断面L字状の保持部材62によって保持される。
【0027】
前記第1弁ボデイ46には、後述する流量制御手段とオン/オフ弁26のシリンダ室48とを連通させる第1パイロット通路64が形成される。この場合、流量制御手段の制御作用下に前記第1パイロット通路64を介してシリンダ室48内に圧力流体(パイロット圧)を供給することにより、ばね部材54の弾発力に抗してピストン50が上昇する。従って、第1ダイヤフラム56が着座部59から所定間隔離間することにより流体通路38が開成し、第1ポート34から第2ポート36側に向かってコーティング液が流通する。
【0028】
また、第1弁ボデイ46には、第1ダイヤフラム室58を大気に連通させる通路66が形成され、前記通路66を介して第1ダイヤフラム室58内のエアーを給排気することにより第1ダイヤフラム56を円滑に作動させることができる。なお、参照数字68は、シリンダ室48の気密性を保持するためのシール部材を示し、参照数字70は、ピストン50に当接して緩衝機能を営む緩衝部材を示す。
【0029】
第2ポート36に近接する継手部24の上部にはサックバック機構28が設けられ、前記サックバック機構28は、継手ボデイ40および第1弁ボデイ46と一体的に連結された第2弁ボデイ72と、前記第2弁ボデイ72の内部に形成された室74に沿って矢印X1 またはX2 方向に変位するステム76とを有する。前記室74内には、ステム76のフランジに係着されその弾発力によって該ステム76を、常時、上方側(矢印X1 方向)に向かって付勢するばね部材78が配設されている。
【0030】
前記ステム76の上部には該ステム76の上面部に係合する第2ダイヤフラム80が張設され、前記第2ダイヤフラム80の上方にはパイロット圧が供給されることにより該第2ダイヤフラム80を作動させる第2ダイヤフラム室(パイロット室)82が形成される。前記ステム76の上面部には、第2ダイヤフラム80を貫通して連結されたシャフト83が設けられ、前記シャフト83はステム76と一体的に変位するように形成される。この場合、第2ダイヤフラム80の薄肉部とステム76との間には、例えば、ゴム材料等によって形成された緩衝部材84が介装される。
【0031】
一方、ステム76の下端部には第3ダイヤフラム86によって閉塞される第3ダイヤフラム室88が形成され、前記第3ダイヤフラム86は、ステム76に連結されて該ステム76と一体的に変位するように設けられる。
【0032】
前記第3ダイヤフラム86の上面部には、該第3ダイヤフラム86の薄肉部を保護するリング状の緩衝部材90が設けられ、前記緩衝部材90はステム76の下端部に連結された断面L字状の保持部材92によって保持される。
【0033】
前記第2弁ボデイ72には、第3ダイヤフラム室88を大気に連通させる通路98が形成され、一方、カバー部材52には、前記第2ダイヤフラム室82にパイロット圧を供給する第2パイロット通路100が形成されている。
【0034】
前記カバー部材52の凹部91には、シャフト83を介して第2ダイヤフラム80の変位量を検出するエンコーダ93が固設される。このエンコーダ93は、実質的にアブソリュートタイプからなり、エンコーダ本体95側に固定された図示しないフォトセンサと、ガラス基板に一定の間隔でスケール値が形成されシャフト83側に固着された図示しないガラススケールとを有する。
【0035】
この場合、第2ダイヤフラム80と一体的に変位するシャフト83の変位量がガラススケールを介して図示しないフォトセンサによって検出され、前記フォトセンサから導出される検出信号は、図示しないリード線を介してメインコントロールユニット108に入力される。
【0036】
制御部32は、弁駆動部30を構成する第1弁ボデイ46および第2弁ボデイ72と一体的に組み付けられたボンネット102を有し、前記ボンネット102には、圧力流体供給ポート103aおよび圧力流体排出ポート103bが形成されている。
【0037】
前記ボンネット102の内部には、実質的に2ポート弁用3方弁として機能し、前記オン/オフ弁26のシリンダ室48に供給されるパイロット圧を制御する第1電磁弁104と、実質的に2ポート弁用3方弁として機能し、前記サックバック機構28の第2ダイヤフラム室82に供給されるパイロット圧を制御する第2電磁弁106とが配設されている。
【0038】
前記第1電磁弁104および第2電磁弁106は、それぞれノーマルクローズタイプからなり、メインコントロールユニット108からそれぞれ第1電磁弁104、第2電磁弁106の電磁コイル112に対して電流信号を導出することにより、図示しない弁体が矢印X1 方向に吸引されてオン状態となる。
【0039】
さらに、前記ボンネット102の内部には、第1電磁弁104並びに第2電磁弁106から導出された圧力流体の流量をそれぞれ制御し、所定の圧力値に制御された圧力流体(パイロット圧)をオン/オフ弁26のシリンダ室48並びにサックバック機構28の第2ダイヤフラム室82に供給する第1流量制御手段115aおよび第2流量制御手段115bがそれぞれ設けられる。
【0040】
この第1流量制御手段115aおよび第2流量制御手段115bは、同一の構成要素からなり、図4に示されるように、例えば、パイレックスガラスで形成された第1ウェハ117と、前記第1ウェハ117の上面部に固着され、例えば、シリコンサブストレートからなる第2ウェハ119と、前記第2ウェハ119の上面部に固着され、例えば、パイレックスガラスで形成された第3ウェハ121とが一体的に積層されて形成される。
【0041】
前記第1ウェハ117と第2ウェハ119との間には、所定間隔離間する一組の導入ポート123a、123bが形成され、前記導入ポート123a、123bは後述する第2通路並びに第3通路を介して第1電磁弁104並びに第2電磁弁106にそれぞれ連通するように形成される。
【0042】
前記一組の導入ポート123a、123bの間には、ノズル孔127が形成されたノズル部129が設けられ、前記ノズル孔127は、前記第1ウェハ117の底面部に開口する導出ポート131と連通するように形成される。
【0043】
前記第2ウェハ119の内部には断面台形状の室133が形成され、前記室133内には、例えば、シリコン液のように加熱されることにより膨張する流体135が封入される。前記室133の底部は薄膜139状に形成され、この薄膜139は、前記ノズル部129の先端から所定間隔離間し、前記流体135の膨張作用下に該ノズル部129側に向かって撓曲自在に形成される(図4中、二点鎖線参照)。
【0044】
前記室133の上面を構成する第3ウェハ121の下部にはパターン化された電気抵抗体141が設けられ、前記電気抵抗体141は一組の電極143a、143bおよびリード線145を介して前記メインコントロールユニット108と電気的に接続されている。
【0045】
コネクタ118を介して図示しないキー入力装置により設定した設定圧力値は、LED表示器116に表示される。なお、前記メインコントロールユニット108には、制御・判断・処理・演算・記憶の各手段として機能する図示しないMPU(マイクロプロセッサユニット)が設けられ、該MPUから導出される制御信号によって第1電磁弁104および/または第2電磁弁106を付勢・滅勢することにより、オン/オフ弁26のシリンダ室48とサックバック機構28の第2ダイヤフラム室82にそれぞれ供給されるパイロット圧(流量)が制御される。
【0046】
また、前記ボンネット102の内部には、図3に示されるように、圧力流体供給ポート103aから導入された圧力流体を第1電磁弁104および第2電磁弁106にそれぞれ供給する第1通路120と、第1電磁弁104と第1流体制御手段115aとを連通させる第2通路122と、第2電磁弁106と第2流体制御手段115bとを連通させる第3通路124とが形成されている。
【0047】
さらに、ボンネット102の内部には、前記第1流量制御手段115aの導出ポート131に接続されオン/オフ弁26のシリンダ室48にパイロット圧を供給する第1パイロット通路64と、前記第2流量制御手段115bの導出ポート131に接続されサックバック機構28の第2ダイヤフラム室82にパイロット圧を供給する第2パイロット通路100と、第1電磁弁104および第2電磁弁106と圧力流体排出ポート103bとを連通させる第4通路126(図2参照)とが設けられている。
【0048】
この場合、メインコントロールユニット108から第1電磁弁104の電磁コイル112に電流信号が供給されると、図示しない弁体が変位して該第1電磁弁104がオン状態となり、第1通路120および第2通路122が相互に連通する。従って、圧力流体供給ポート103aから供給された圧力流体(パイロット圧)は、第1通路120および第2通路122を介して第1流量制御手段115aに供給される。
【0049】
一方、メインコントロールユニット108から第2電磁弁106の電磁コイル112に電流信号が供給されると、図示しない弁体が変位して第2電磁弁106がオン状態となり、第1通路120と第3通路124とが連通する。従って、圧力流体供給ポート103aから供給された圧力流体(パイロット圧)は、第1通路120および第3通路124を介して第2流量制御手段115bに供給される。
【0050】
本実施の形態に係るサックバックバルブ20は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について、図3に示す回路構成図に沿って説明する。
【0051】
まず、サックバックバルブ20の第1ポート34に連通するチューブ22aには、コーティング液が貯留されたコーティング液供給源130を接続し、一方、第2ポート36に連通するチューブ22bには、図示しない半導体ウェハに向かってコーティング液を滴下するノズル(図示せず)が設けられたコーティング液滴下装置132を接続する。また、圧力流体供給ポート103aには、圧力流体供給源134を接続しておく。
【0052】
このような準備作業を経た後、圧力流体供給源134を付勢し、圧力流体供給ポート103aに対し圧力流体を導入するとともに、図示しない入力手段を介してメインコントロールユニット108に入力信号および電源信号を導入する。
【0053】
メインコントロールユニット108は、前記入力信号に基づいて第1電磁弁104および第2電磁弁106に付勢信号を導出し、前記第1電磁弁104および第2電磁弁106をそれぞれオン状態とする。
【0054】
圧力流体供給ポート103aから導入された圧力流体(パイロット圧)は、相互に連通する第1通路120および第3通路124を介して第2流量制御手段115bに導入される。前記第2流量制御手段115bは、後述するように、薄膜139の撓曲作用下に前記圧力流体を所定のパイロット圧に絞った後、第2パイロット通路100を経由して第2ダイヤフラム室82に前記圧力流体を供給する。前記第2ダイヤフラム室82に供給されたパイロット圧の作用下に第2ダイヤフラム80が撓曲または変形してステム76を矢印X2 方向に押圧する。この結果、ステム76の下端部に連結された第3ダイヤフラム86が変位して図2に示す状態となる。
【0055】
このように第2ダイヤフラム室82に供給されたパイロット圧の作用下に第2ダイヤフラム80が矢印X2 方向に押圧された状態において、メインコントロールユニット108は、第1流量制御手段115aに電気信号を導出する。前記流量制御手段115aでは電極143a、143bを介して電気抵抗体141に電流が流れ、該電気抵抗体141が発熱する。
【0056】
このため、室133内に充填された流体135が加熱されて膨張し、図4中、二点鎖線で示されるように、薄膜139が押圧されて下方側に向かって撓曲し、前記薄膜139とノズル部129との離間間隔が所定量に設定される。従って、ノズル孔127から導出ポート131に向かって流通する圧力流体の流量は、前記薄膜139とノズル部129との離間間隔によって絞られることにより制御される。この結果、第1流量制御手段115aの導出ポート131から排出される圧力流体の流量が調整されることにより、オン/オフ弁26のシリンダ室48に供給されるパイロット圧が所定値に制御される。
【0057】
なお、第2流量制御手段115bの動作は、前述した第1流量制御手段115aと同様であるために、第2ダイヤフラム室82に供給されるパイロット圧は所定値に制御される。
【0058】
前記シリンダ室48に導入された圧力流体(パイロット圧)は、ばね部材54a、54bの弾発力に抗してピストン50を矢印X1 方向に変位させる。従って、ピストン50に連結された第1ダイヤフラム56が着座部59から離間してオン/オフ弁26がオン状態となる。その際、コーティング液供給源130から供給されたコーティング液は、流体通路38に沿って流通し、コーティング液滴下装置132を介してコーティング液が半導体ウェハに滴下される。この結果、半導体ウェハには、所望の膜厚を有するコーティング被膜(図示せず)が形成される。
【0059】
コーティング液滴下装置132を介して所定量のコーティング液が図示しない半導体ウェハに塗布された後、メインコントロールユニット108は、第1電磁弁104に滅勢信号を導出し、前記第1電磁弁104をオフ状態とする。従って、第2通路122が圧力流体排出ポート103bと連通することにより、シリンダ室48内の圧力流体が前記圧力流体排出ポート103bを介して大気中に排気される。この結果、ばね部材54a、54bの弾発力の作用下にピストン50が矢印X2 方向に変位し、第1ダイヤフラム56が着座部59に着座してオン/オフ弁26がオフ状態となる。
【0060】
オン/オフ弁26がオフ状態となって流体通路38が遮断されることにより半導体ウェハに対するコーティング液の供給が停止し、コーティング液滴下装置132のノズル(図示せず)からの半導体ウェハに対するコーティング液の滴下状態が停止する。この場合、コーティング液滴下装置132のノズル内には、半導体ウェハに滴下される直前のコーティング液が残存しているため、液だれが生ずるおそれがある。
【0061】
そこで、前記メインコントロールユニット108は、第2電磁弁106に滅勢信号を導出して該第2電磁弁106をオフ状態とする。
【0062】
従って、第2電磁弁106がオフ状態となることにより、第3通路124と圧力流体排出ポート103bとが連通した状態となり、第2ダイヤフラム室82内に残存する圧力流体(パイロット圧)は、相互に連通する第2パイロット通路100および第3通路124を経由して圧力流体排出ポート103bから大気中に排出される。この結果、第2ダイヤフラム80は、ばね部材78の弾発力の作用下に矢印X1 方向に上昇し、図5に示す状態に至る。
【0063】
すなわち、第2ダイヤフラム80が上昇し、ステム76を介して第3ダイヤフラム86が矢印X1 方向に向かって一体的に変位することにより負圧作用が発生する。その際、流体通路38内の所定量のコーティング液が、図5中、矢印方向に沿って吸引される。この結果、コーティング液滴下装置132のノズル内に残存する所定量のコーティング液がサックバックバルブ20側に向かって戻されることにより、半導体ウェハに対する液だれを防止することができる。
【0064】
この場合、第3ダイヤフラム86と一体的に上昇する第2ダイヤフラム80の変位量はシャフト83を介してエンコーダ93によって検出され、前記エンコーダ93から導出される検出信号に基づいて、メインコントロールユニット108は、予め設定された位置で第2ダイヤフラム80が停止するように、第2ダイヤフラム室82内の圧力を調圧する。
【0065】
すなわち、第2ダイヤフラム80は、第2ダイヤフラム室82内の圧力とばね部材78の弾発力とが平衡する所定位置で停止するように形成されている。そこで、メインコントロールユニット108は、エンコーダ93から導出される検出信号に基づいて前記第2ダイヤフラム80の変位量を判断し、第2電磁弁106に付勢信号および滅勢信号を導出してオン状態とオフ状態とを適宜切り換えて第2ダイヤフラム室82内の圧力を調圧し前記ばね部材78の弾発力と平衡させることにより、コーティング液の吸引量に対応する位置で該第2ダイヤフラム80を停止させる。
【0066】
この場合、メインコントローラ108は、第2電磁弁106および第2流量制御手段105bのそれぞれに付勢信号および滅勢信号を導出し、前記第2電磁弁106および第2流量制御手段105bとを併用して第2ダイヤフラム室82内の圧力を調圧してもよい。
【0067】
なお、再び、メインコントロールユニット108から第1電磁弁104および第2電磁弁106にそれぞれ付勢信号を導出してオン状態とすることにより図2に示す状態に至り、半導体ウェハに対するコーティング液の滴下が開始される。
【0068】
このように、本実施の形態では、第2ダイヤフラム室82内の圧力とばね部材78の弾発力とが平衡する所定位置で第2ダイヤフラム80を停止させ、第2電磁弁106に対するオン・オフ制御を介して第2ダイヤフラム室82内の圧力を調圧することにより、第3ダイヤフラム86によって吸引されるコーティング液の吸引量を高精度に制御することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態では、第1流量制御手段115aおよび第2流量制御手段115bに供給される電流を増減させて電気抵抗体141の発熱量を増減させることにより薄膜139をノズル129側に向かって撓曲させることができる。従って、前記薄膜139の撓曲作用下にノズル部129と該薄膜139との離間間隔を自在に調整することにより、ノズル孔127を流通する圧力流体の流量を調整することができる。この場合、薄膜139の撓曲作用下にノズル孔127を前記薄膜139によって閉塞することにより、圧力流体の流通を遮断することも可能である。
【0070】
従って、前記第1流量制御手段115a並びに第2流量制御手段115bを介して、オン/オフ弁26に供給されるパイロット圧並びに第2ダイヤフラム室82に供給されるパイロット圧をそれぞれ高精度に制御するとともに、前記オン/オフ弁26の応答精度をより一層向上させることができる。
【0071】
具体的には、第1流量制御手段115a並びに第2流量制御手段115bによってオン/オフ弁26に供給されるパイロット圧を制御することにより、従来技術と比較して、前記オン/オフ弁26の駆動速度を向上させるとともに駆動レンジを大幅に拡大することができる。また、前記オン/オフ弁26のオン状態とオフ状態との切換速度が上昇することにより、半導体ウェハに対して滴下されるコーティング液の流量を高精度に設定することが可能となる。さらに、ノズル部129に臨む薄膜139をシリコンの単結晶、またはこれに類似するガラス等で形成しているため、頻度の高い撓曲作用に十分に耐えることができ、且つクリープが減少されて再現性も高くなる。この結果、駆動部分である薄膜139の疲労が少なく、耐久性に優れ、経年変化もほとんどない。なお、この第1流量制御手段115a並びに第2流量制御手段115bは、半導体製造技術を用いて製造することができるため、高精度にしかも大量生産することができる利点がある。
【0072】
また、本実施の形態では、継手部24、オン/オフ弁26、サックバック機構28および制御部32をそれぞれ一体的に組み付けることにより、前述した従来技術と異なり、サックバックバルブ20と流体圧制御装置との間、並びに該サックバックバルブ20とオン/オフ弁26との間の配管接続作業を不要とし、流体圧制御装置並びにオン/オフ弁26を付設するための占有スペースを設ける必要がないことから、設置スペースの有効利用を図ることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、オン/オフ弁26および制御部32等がサックバック機構28と一体的に形成されているため、従来技術においてそれぞれ別体で構成されたものを一体的に結合したものと比較して、装置の小型化を達成することができる。
【0074】
さらにまた、本実施の形態では、サックバックバルブ20と流体圧制御装置との間に配管を設ける必要がないため、流路抵抗が増大することを回避することができる。
【0075】
またさらに、サックバック機構28とオン/オフ弁26にそれぞれ供給される圧力流体(パイロット圧)を共通化し、第1流量制御手段115a並びに第2流量制御手段115bを介して流量制御することにより、従来技術と異なり、オン/オフ弁26を駆動させる駆動装置が不要となる。この結果、装置全体をさらに小型化することができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、メインコントロールユニット108によって電気的に制御される第1流量制御手段115a並びに第2流量制御手段115bを介してオン/オフ弁26およびサックバック機構28に供給されるパイロット圧を制御している。この場合、パイロット圧によって作動する第2ダイヤフラム80の応答精度を高めることが可能となり、流体通路38内に残存するコーティング液をより一層迅速に吸引することができる。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0078】
すなわち、吸引量制御手段を介して、可撓性部材によって吸引される圧力流体の流量を電気的に且つ高精度に制御することができる。
【0079】
また、流量制御手段によってパイロット圧を高精度に制御するとともに、前記オン/オフ弁並びにサックバック機構の応答精度をより一層向上させることができる。
【0080】
さらに、パイロット圧を高精度に制御することができるため、パイロット圧によって作動する可撓性部材の応答精度を高めることが可能となり、流体通路内に残存する圧力流体を迅速に吸引することができる。
【0081】
さらにまた、従来技術と異なり、サックバックバルブと流体制御装置との間、並びに該サックバックバルブとオン/オフ弁との間の配管接続作業が不要となり、しかもサックバックバルブ以外に流体制御装置、オン/オフ弁を駆動させる駆動装置等を付設するための占有スペースが不要となることから、設置スペースの有効利用を図ることができる。
【0082】
またさらに、サックバックバルブと流体制御装置との間、並びに該サックバックバルブとオン/オフ弁との間に配管を設ける必要がないため、流路抵抗が増大することを回避することができる。
【0083】
さらにまた、従来技術と異なって、オン/オフ弁を駆動させる駆動装置が不要となることから、装置全体の小型化を達成することができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るサックバックバルブの斜視図である。
【図2】図1に示すサックバックバルブの縦断面図である。
【図3】図1に示すサックバックバルブの回路構成図である。
【図4】図1に示すサックバックバルブを構成する流量制御手段の縦断面図である。
【図5】図1に示すサックバックバルブの動作説明図である。
【図6】従来技術に係るサックバックバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
20…サックバックバルブ 24…継手部
26…オン/オフ弁 28…サックバック機構
30…弁駆動部 32…制御部
34、36…ポート 38…流体通路
50…ピストン 52…カバー部材
56、80、86…ダイヤフラム 58、82、88…ダイヤフラム室
64、100…パイロット通路 104、106…電磁弁
108…メインコントロールユニット 103a…圧力流体供給ポート
103b…圧力流体排出ポート 115a、115b…流量制御手段
120、122、124…通路
Claims (1)
- 流体通路を有し、一端部に第1ポートが形成され他端部に第2ポートが形成された継手部と、
パイロット圧によって変位する可撓性部材の負圧作用によって前記流体通路内の流体を吸引するサックバック機構と、
前記パイロット圧の作用下に前記流体通路を開閉するオン/オフ弁と、
前記サックバック機構によって吸引される流体の流量を電気的に制御する吸引量制御手段が設けられた制御部と、
前記可撓性部材の変位量を検出し、その検出信号を前記制御部に導出する変位量検出手段と、
前記制御部に設けられ、前記サックバック機構およびオン/オフ弁にそれぞれ供給されるパイロット圧を制御する流量制御手段と、
を備え、
前記流量制御手段は、熱によって膨張・収縮する流体が封入され、且つ一部が薄膜状に形成された容器と、前記容器の薄膜に臨むノズル部と、前記容器内の流体を加熱制御する発熱体とを有し、前記発熱体の発熱量を制御することにより前記容器内の流体が膨張し、前記容器の薄膜がノズル部側に向かって撓曲し該薄膜とノズル部との離間間隔が調整されることにより、前記サックバック機構およびオン/オフ弁に向かって流通する圧力流体の流量が所定量に制御され、
前記吸引量制御手段は、弾発力の作用下に前記可撓性部材を押圧するばね部材と、前記制御部から導出される付勢信号・滅勢信号によって前記サックバック機構に供給されるパイロット圧を調圧する電磁弁を有し、前記ばね部材の押圧力と前記パイロット圧とを平衡させることにより、前記可撓性部材の変位が規制され、
前記制御部には、前記電磁弁および前記流量制御手段をそれぞれ電気的に制御するメインコントロールユニットが設けられ、
前記継手部、前記サックバック機構、前記オン/オフ弁および前記制御部は、それぞれ一体的に組み付けて設けられることを特徴とするサックバックバルブ。
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