JP3951473B2 - 無人搬送車位置検出方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無人搬送車位置検出方式に関する。詳しくは、レーザレーダを用いて無人搬送車の位置を検出する方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
無人搬送車の位置検出方式には種々のガイド誘導方式が提案されている。
例えば、走行経路床面にケーブルを埋設し、これに高周波電流を流すことによって発生した電磁波を車体に取り付けた2つのピックアップコイルで検出して、コースずれを検知し、無人搬送車をこのケーブルに沿って誘導させる電磁誘導方式がある。
【0003】
また、走行経路床面に光学反射テープ、磁気テープを張りつけ、無人搬送車をこの光学反射テープ、磁気テープに沿って誘導させる光学誘導方式、磁気誘導方式がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のガイド誘導方式には、以下の欠点がある。
(1)走行経路レイアウトの変更が困難
無人搬送車は、電線、光学反射テープ、磁気テープといった誘導線に沿って走行することしかできないため、走行経路を変更する場合、これらの誘導線を敷設し直さなければならない。
【0005】
(2)誘導線が長距離になると工事費が増大
誘導線の敷設費用は走行距離に比例するので、長距離になるほど費用が増大する。
(3)床面条件の制約
従来の方式は床面に電線を埋設したり、あるいはテープを貼り付ける必要があるので床面条件の制約がある。
例えば、電磁誘導方式の場合、電線を床面に埋設するので床面のカッティング作業が必要となるため、床の薄い場所では、このような作業はできない。
【0006】
光学誘導方式の場合、光沢のある床面では使用が困難であり、また反射テープに汚れがあると無人搬送車の誘導に影響を与える。
磁気誘導方式の場合、床面に磁性体が存在する場合ではこれが無人搬送車の誘導に影響を与え、コースを逸脱して走行してしまうおそれがある。
さらに、これらの方式は非舗装経路、クリーンルームのような床面にメッシュが切られている経路では使用することができない。
【0007】
本発明は、このようなガイドを必要としない無人搬送車のガイドレス誘導方式としてレーザレーダーを用いた方式を提供するものである。
即ち、本発明は、従来方式にて問題であったガイドの敷設工事を不要とし、コースレイアウトの変更が容易で、敷設工事費を削減することができる無人搬送車位置検出方式を提案するものであり、それにより、床面条件の影響も受けない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る無人搬送車位置検出方式は、無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出されたすべての反射板について、予め記憶された各反射板の位置データの中から今回検出された反射板に最も近く、かつ、距離が予め設定した値より短い反射板を、今回検出された反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた反射板のうちから無人搬送車に最も近い方から2個の反射板を選択し、選択された反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び選択された反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る無人搬送車位置検出方式は、無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出した反射板から2個の組合せについて、予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、今回検出して組み合わせた2個の反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より短い2個の反射板を、今回検出して組合せた2個の反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた2個の反射板間の距離が最も近い組を選択し、選択された2個の反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び選択された2個の反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る無人搬送車位置検出方式は、無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出した反射板から2個の組合せについて、予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、今回検出して組み合わせた2個の反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より短い2個の反射板を、今回検出して組合せた2個の反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた2個の反射板間の距離が前回算出された2個の反射板間の距離に最も近い組を選択し、選択された2個の反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び当該反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る無人搬送車位置検出方式は、請求項1,2又は3記載の無人搬送車位置検出方式において、今回検出された反射板までの距離及び方向が、前回検出された反射板までの距離及び方向と設定値以下である場合には、今回検出された反射板は前回検出された反射板であると対応付けることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る無人搬送車位置検出方式は、無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板の前記無人搬送車からの距離及び方向を求め、検出した反射板の中から3つの組合せを選択し、更に、選択された該組合せである3つの反射板から順に2つの反射板を選択し、各反射板について予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、選択された2つの反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より小さい組合せを、選択された2個の反射板であるとして対応付け、更に、各組合せの全てについて計算した無人車搬送車の位置の平均値の誤差の最大値が最も小さい組合せを選択し、上記平均値を無人搬送車の位置として算出することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る無人搬送車位置検出方式は、無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板の前記無人搬送車からの距離及び方向を求め、検出した反射板の中から3つの組合せを選択し、更に、選択された該組合せである3つの反射板から順に2つの反射板を選択し、各反射板について予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、選択された2つの反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より小さく、しかも、方向差が設定値より小さい組合せを、選択された2個の反射板であるとして対応付け、更に、各組合せの全てについて計算した無人車搬送車の位置の平均値の誤差の最大値が最も小さい組合せを選択し、上記平均値を無人搬送車の位置として算出することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る無人搬送車位置検出方式は、請求項1,2,3又は4記載の無人搬送車位置検出方式において、今回検出された反射板が、予め記憶された反射板の位置データに対応付けできない場合が予め設定した回数以上に連続したときには、上記方式で対応付けができるまで、請求項5又は6に記載した方式で無人搬送車の位置を算出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、無人搬送車のガイドレス誘導方式として、レーザレーダーを用いた方式を提案する。
一般には、レーザレーダはレーザ光を測定対象物に照射し、その反射光を検出し、照射から反射光検出までの時間差から測定対象物までの距離を測定する装置である。
【0017】
本発明で用いるレーザレーダは、図1に示すように、レーザ光を水平面状に回転走査する走査型レーザレーダ10である。
即ち、回転台1上に回転テーブル2を回転自在に載置すると共にこの回転テーブル2上に水平面に対し45度に傾いたミラー3を設置し、このミラー3の直上に水平面に対し45度に傾いたハーフミラー4を配設し、更に、このハーフミラー4の直上、水平方向側方にフォトダイオード5、レーザ6を設置したものである。
【0018】
従って、回転台1上の回転テーブル2、ミラー3を矢印で示すように回転させつつ、レーザ6から水平に出射されたレーザをハーフミラー3で垂直下方に折り曲げ、更に、ミラー3で水平方向に折り曲げて、反射板7へ投射するのである。そして、反射板7から反射した光は、逆に、ミラー3で垂直上向きに折り曲げられ、ハーフミラー4を透過し、フォトダイオード5で検出されることになる。
【0019】
また、回転台1には、回転テーブル2の回転角度を検出するエンコーダ、タコジェネレータ等が設けられている。
このようなレーザレーダ10を、図2に示すように無人搬送車20に搭載し、レーザレーダ10から無人搬送車走行環境に複数配置された反射板30,40,50,60までの距離、方向を検出する。
【0020】
ここで、反射光が反射板30〜60からであるかそれ以外からであるかの識別はフォトダイオード5の受光量の大きさから行う。
即ち、反射板30〜60の反射率はそれ以外の反射対象物に比べ大きい値であるからである。
また、反射板30〜60までの距離を測定するには、照射から反射光検出までの時間差を測定することにより行い、また、その時の反射板30〜60の方向を求めるには、回転テーブル2の回転角を検出することにより行う。
【0021】
本発明では、図2に示すように無人搬送車走行環境に反射板30〜60を複数個設置する。
反射板30〜60は、無人搬送車20が常に3つ以上の反射板からの反射光が検出できるような数だけ設置する必要がある。その理由は後述する。
これらの反射板30〜60の設置位置は、まず走行環境をXY平面で定義された座標上で示される。
【0022】
図2の例では4つの反射板30〜60は、図上に示す原点から(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、(X4,Y4)座標上に設置されている。
無人搬送車20の位置はレーザレーダ10を用いて無人搬送車20に対するこれら反射板30〜60の距離、方向を検出することにより求めることができる。ここで、無人搬送車20は、図7に示すように、前輪1輪、後輪2輪であり、前輪1には、駆動モータ21、ロータリーエンコーダ22、ステアリングモータ23、ポテンショメータ24が装着されている。
【0023】
ロータリーエンコーダ22、ポテンショメータ24からの移動距離、ステアリング角はそれぞれコントローラ25、ステアリング・スピードコントローラ26へ入力され、また、ステアリング・スピードコントローラ26は、コントローラ25からの速度指令値、ステアリング角度指令値に基づき、駆動モータ21、ステアンリングモータ23を制御する。
【0024】
コントローラ25は、次の▲1▼〜▲4▼に示す手順により、移動距離、ステアリング角に基づき、速度指令値、ステアリング角度指令値を出力する。
▲1▼ステアリング角と(1サンプリング期間における)移動距離を用いたテッドレコニングによる推定位置・方位を計算する。
【0025】
▲2▼レーザレーダによる推定位置・方位を計算する。
先ず、レーザレーダの出力(レーダ取り付け位置からの角度、距離、反射強度)から、反射強度が設定値以上になっている方向に反射板があるとする。
次に、検出した反射板と、予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかを決定し、位置・方位計算に用いる反射板を選択する。
そして、位置・方位を計算する。
【0026】
▲3▼レーザレーダによる推定位置・方位が正常に求まったときは位置・方位としてレーザレーダによる位置・方位を、そうでない場合(反射板が検出できなかった、検出結果が前回の無人搬送車の位置と著しく異なるなど)はデッドレコニングによる位置・方位を無人搬送車の位置・方位とする。
▲4▼予め設定されたコースに沿って走行するようにステアリング角指令と速度指令を計算し、ステアリング角・速度コントローラに出力する。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕
本発明の第1の実施例を図3に示す。
本実施例では、反射板R1〜R7は図3に示すようなXY平面座標上に配置されている。
無人搬送車20に搭載されたレーザレーダを走査することにより、無人搬送車に対する反射板までの距離、方向を求める。
【0028】
図3における反射板R1〜R7の距離、方向の測定結果を図4に示す。
同図より反射板R1,R2,R3,R4,R5の距離の測定結果はそれぞれL1,L2,L3,L4,L5方向の測定結果はθ1,θ2,θ3,θ4,θ5である。
無人搬送車20は、初期位置Oとして、図5に示す座標(Xp0,Yp0)に配置する。
【0029】
このように予め無人搬送車自身の位置がわかっているのでレーザレーダを走査結果より、どの反射板R1〜R7からの反射光なのかを無人搬送車20は認識することができる。
その後、無人搬送車20の位置演算処理を行うが、まず無人搬送車から最も近い2つの反射板R1〜R7を選択する。
【0030】
ここでも近距離にある反射板を選択する理由は、距離が短いほど測定結果の精度が高いためである。
従って、図5の場合、反射板R1,R2が選択される。
これより無人搬送車の位置(XP,YP)は次式の連立方程式を解くことにより求めることができる。
(X1−XP)2+(Y2−YP)2=L1 2
(X1−XP)2+(Y2−YP)2=L2 2 …(1)
【0031】
ここで、検出した反射板と、予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかは、次の(1)〜(3)のように決定する。
(1)今回の無人搬送車の位置方位が、前回の無人搬送車の位置・方位から著しく隔たることはないとして(移動速度に対し、サンプリング間隔が十分短い)、前回の無人搬送車の位置方向と検出した反射板の方位・距離から反射板の位置を計算する。
【0032】
(2)検出した反射板すべてについて、予め設定された反射板の位置データの中から、検出した反射板に最も近く、かつ距離が予め設定した値より短い反射板を、検出した反射板であるとする。
最も近い反射板との距離が予め設定した距離より長い場合は、対応する反射板がないとする。
(3)近い方から2組の対応する反射板を選び、反射板のデータから位置を計算する。
本実施例は、計算が比較的簡単であり、演算速度が速い、また、アルゴリズムも簡単であり、プログラム容量が少なくて実現できる利点がある。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1において、検出した反射板と予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかを決定する方法を以下の(1)〜(3)のようにする。
【0034】
(1)今回の無人搬送車の位置方位が、前回の無人搬送車の位置・方位から著しく隔たることはないとして(移動速度に対し、サンプリング間隔が十分に短い)、前回の無人搬送車の位置方向と検出した反射板の方位・距離から反射板の位置を計算する。
【0035】
(2)検出した反射板から2個の組み合わせすべてについて、次の処理を行い、距離の最も近い組を選択する。
先ず、選択した2個の反射板に対し、予め設定された反射板の位置データの中から、検出した反射板に最も近く、かつ距離が予め設定した値より短い反射板を、検出した反射板であるとする。
最も近い反射板との距離が予め設定した距離より長い場合は、対応する反射板がないとする。
次に、2個の反射板それぞれに対し、対応する反射板が求まったとき、検出した2個の反射板の間の距離と、対応する2個の反射板の距離を計算する。
【0036】
(3)選択した反射板のデータから位置を計算する。
本実施例は、反射板までの距離は無人搬送車の位置で変化するが、反射板の間の距離は変化しないので、実施例1に比較して安定して検出でき、誤検出を減少できる利点がある。尚、演算量は実施例1に比べ若干多くなる。
【0037】
〔実施例3〕
実施例2において、検出した反射板と予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかを決定する方法を以下の(1)〜(3)のようにする。
【0038】
(1)今回の無人搬送車の位置方位が、前回の無人搬送車の位置・方位から著しく隔たることはないとして(移動速度に対し、サンプリング間隔が十分短い)、前回の無人搬送車の位置方向と検出した反射板の方位・距離から反射板の位置を計算する。
【0039】
(2)検出した反射板から2個の組み合わせすべてについて、以下の処理を行う。
先ず、選択した2個の反射板に対し、予め設定された反射板の位置データの中から、検出した反射板に最も近く、かつ距離が予め設定した値より短い反射板を、検出した反射板であるとする。
最も近い反射板との距離が予め設定した距離より長い場合は、対応する反射板がないとする。
次に、2個の反射板それぞれに対し、対応する反射板が求まったとき、検出した2個の反射板の間の距離と、対応する2個の反射板の距離を計算する。
【0040】
(3)計算した位置が最も前回の無人搬送車の位置に近い値を選択し、方向を計算する。
本実施例は、実施例2に比較してさらに安定して検出でき、誤検出を減少できる場合がある。ただし、演算量は若干多くなる。
【0041】
〔実施例4〕無人搬送車位置検出方式
検出した反射板と、予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかを決定する方法を以下のようにする。
(1)反射板を設置する可能性のある範囲を適当な距離で区切った地図を用意し、予め入力した反射板の位置から、地図の何処にその反射板があるかを記録しておく。
【0042】
(2)以下は、実施例1〜3と同様であるが、対応する反射板を決定するとき、今回の無人搬送車の位置方位が、前回の無人搬送車の位置・方位から著しく隔たることはないとして(移動速度に対し、サンプリング間隔が十分短い)、前回の無人搬送車の位置方向と検出した反射板の方位・距離から反射板の位置を計算し、この結果から、対応する地図を参照し、そこに記録されている反射板のなかから対応する反射板を選択する。
本実施例は、対応付けにかかる演算時間が減少するので、特に、反射板の数が多い場合に効果的である。
【0043】
〔実施例5〕
上記実施例において、検出した反射板と、予め与えられている反射板の位置から、検出した反射板がどの反射板であるかを決定する方法以下の(1)〜(3)のようにする。
【0044】
(1)実施例1〜4または実施例6により、一度検出を行い、どの反射板を検出したかを記録する。
(2)前回検出した反射板が今回も検出できているとして、位置の計算を行う。
(3)計算した位置・方向と前回位置・方向との差が、設定値以下である場合は、その値を検出値とする。
【0045】
(4)計算した位置・方向と前回位置・方向との差が、設定値以上の場合は、他の実施例の様に反射板の対応を行う。これにより、対応付けにかかる演算時間が減少する。
本実施例は、対応付けにかかる演算時間が減少し、また、計算に用いる反射板の切り替わりが少なくなり、検出位置の変動が減る。
【0046】
〔実施例6〕
上記実施例と同様に、図4に示すように反射板までの距離、方向を求める。
反射板R1,R2,R3,R4,R5の距離の測定結果はそれぞれL1,L2,L3,L4,L5方向の測定結果はθ1,θ2,θ3,θ4,θ5とする。
また、P1,P2,P3,P4,P5方向の測定結果はα1,α2,α3,α4,α5は予め入力された反射板の位置データから求められるはずの値とする。
【0047】
ここで位置検出の初期状態ではどの反射板からの反射光なのかを無人搬送車は認識することはできない。それゆえ最初に反射板の同定を行う必要がある。
その方法は、以下の(1)〜(5)により行う。
(1)検出した反射板から3つの組み合わせを選択する。
(2)さらに、この中から2つの反射板を選択する。
【0048】
(3)選択した2個の反射板間の距離を計算し、予め設定された反射板の位置データから、距離が最も近く、かつ差が予め設定した値より小さい組み合わせを選択することで、対応付けを行う。差が予め設定した距離より長い場合は、対応する反射板がないとする。
【0049】
(4)他のすべての組み合わせについて(3)の対応付けを行い、対応する組み合わせに矛盾がなければ、それぞれの組み合わせについて位置を計算する。また、平均値からの誤差の最大値を求める。
(5)上記(1)〜(4)をすべての組み合わせについて行い、平均値からの誤差の最大値が最も小さい組み合わせを選択し、そのときの平均値を無人搬送車の位置とし、方位を計算する。
本実施例は、現在の無人搬送車の位置・方向に関する情報を必要としないので、確実である。更に、演算時間が多いので、最初の位置を求める場合に適する。
【0050】
〔実施例7〕
実施例6と同様に以下のように位置・方位を計算する。
(1)検出した反射板から3つの組み合わせを選択する。例えば、図6に示すように三つの反射板R1,R2,R3を選択する。
(2)さらに、この中から2個の反射板を選択し、選択した2個の反射板間の距離を計算する。例えば、図6に示すように、反射板R1,R2、反射板R1,R3、反射板R2,R3を選択し、反射板R1,R2の間の距離L12、反射板R1,R3間の距離L13、反射板R2,R3間の距離L23を計算する。
【0051】
(3)予め設定された反射板の位置データから、距離が最も近く、かつ差が予め設定した値より小さい組み合わせを選択し、対応付けを行う。差が予め設定した距離より長い場合は、対応する反射板がないとする。
さらに、この組み合わせについて、式(2)の関係からα1−α2を計算し、θ1−θ2との差が設定値以上の場合は対応していないとする。
(4)他のすべての組み合わせについて(3)の対応付けを行い、対応する組み合わせに矛盾がなければ、それぞれの組み合わせについて位置を計算する。また、平均値からの誤差の最大値を求める。
【0052】
(5)上記(1)〜(4)をすべての組み合わせについて行い、平均値からの誤差の最大値が最も小さい組み合わせを選択し、そのときの平均値を無人搬送車の位置とし、方位を計算する。
P12=P1 2+P2 2−2P1P2cos(α1−α2) …(2)
本実施例は、実施例6と同様であるが、角度も比較するので、より確実である。ただし、演算時間は若干増える。
【0053】
〔実施例8〕
実施例1〜5で検出が出来ない場合が続くと、現在の位置と、推定値との差が大きくなり、前回位置と計算値との差が設定値以下になることがなくなり、位置検出が正常に行われなくなる。
そこで、実施例1〜5で検出不能の状態が、予め設定した回数以上に連続した場合、正常に位置検出が出来るようになるまで、実施例6または実施例7を行う。
本実施例では、実施例1〜5で検出が出来なくなる場合でも、検出できるようになる。
【0054】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて具体的に説明したように、本発明によれば、無人搬送車の位置検出方式としてレーザレーダを用いることにより無人搬送車のガイドレス誘導を実現することができ、この方式は従来のガイド誘導方式のような床面工事を必要としないため、走行経路レイアウトの設定、変更が容易床面条件の制約を受けないため従来のガイド誘導方式よりも幅広い環境で適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザレーダの構造図である。
【図2】無人搬送車の走行環境を示す鳥瞰図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る無人搬送車位置検出方式を示す説明図である。
【図4】反射板R1〜R7の距離、方向の測定結果を示す説明図である。
【図5】無人搬送車の初期位置を示す説明図である。
【図6】本発明の第7の実施例に係る無人搬送車位置検出方式を示す説明図である。
【図7】無人搬送車の構造図である。
【符号の説明】
1 回転台
2 回転テーブル
3 ミラー
4 ハーフミラー
5 フォトダイオード
6 レーザ
7,30,40,50,60 反射板
10 レーザーレーダ
20 無人搬送車
Claims (7)
- 無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出されたすべての反射板について、予め記憶された各反射板の位置データの中から今回検出された反射板に最も近く、かつ、距離が予め設定した値より短い反射板を、今回検出された反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた反射板のうちから無人搬送車に最も近い方から2個の反射板を選択し、選択された反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び選択された反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出した反射板から2個の組合せについて、予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、今回検出して組み合わせた2個の反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より短い2個の反射板を、今回検出して組合せた2個の反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた2個の反射板間の距離が最も近い組を選択し、選択された2個の反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び選択された2個の反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板までの距離及び方向を求め、前回算出された無人搬送車の位置、今回検出した反射板の方向及び距離から今回の反射板の位置を算出し、今回検出した反射板から2個の組合せについて、予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、今回検出して組み合わせた2個の反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より短い2個の反射板を、今回検出して組合せた2個の反射板であるとして対応付け、更に、対応付けされた2個の反射板間の距離が前回算出された2個の反射板間の距離に最も近い組を選択し、選択された2個の反射板の前記無人搬送車からの方向、距離及び当該反射板の予め記憶された位置データから前記無人搬送車の位置を算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 請求項1,2又は3記載の無人搬送車位置検出方式において、今回検出された反射板までの距離及び方向が、前回検出された反射板までの距離及び方向と設定値以下である場合には、今回検出された反射板は前回検出された反射板であると対応付けることを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板の前記無人搬送車からの距離及び方向を求め、検出した反射板の中から3つの組合せを選択し、更に、選択された該組合せである3つの反射板から順に2つの反射板を選択し、各反射板について予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、選択された2つの反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より小さい組合せを、選択された2個の反射板であるとして対応付け、更に、各組合せの全てについて計算した無人車搬送車の位置の平均値の誤差の最大値が最も小さい組合せを選択し、上記平均値を無人搬送車の位置として算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 無人搬送車に搭載した走査型レーザレーダからレーザ光を水平面内で回転走査し、反射板からの反射光が帰還するまでの時間及びレーザ光の照射方向とから前記反射板の前記無人搬送車からの距離及び方向を求め、検出した反射板の中から3つの組合せを選択し、更に、選択された該組合せである3つの反射板から順に2つの反射板を選択し、各反射板について予め記憶された各反射板の位置データの中から組合せた2個の反射板間の距離が、選択された2つの反射板間の距離に最も近く、かつ、距離差が予め設定した値より小さく、しかも、方向差が設定値より小さい組合せを、選択された2個の反射板であるとして対応付け、更に、各組合せの全てについて計算した無人車搬送車の位置の平均値の誤差の最大値が最も小さい組合せを選択し、上記平均値を無人搬送車の位置として算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
- 請求項1,2,3又は4記載の無人搬送車位置検出方式において、今回検出された反射板が、予め記憶された反射板の位置データに対応付けできない場合が予め設定した回数以上に連続したときには、上記方式で対応付けができるまで、請求項5又は6に記載した方式で無人搬送車の位置を算出することを特徴とする無人搬送車位置検出方式。
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