JP3951376B2 - 環状オレフィン系共重合体を含む積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状オレフィン系共重合体を含む積層体に関するもので、より詳細には、層間接着性に優れ、しかもボイル殺菌、レトルト殺菌等の高温時において耐層間剥離性に優れた環状オレフィン系共重合体を含む積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、軽量性や耐衝撃性、更にはコストの点からプラスチック容器が有利である点が多く、各種の用途に使用されている。
【0003】
環状オレフィン系共重合体は優れた透明性及び耐水蒸気透過性を有するため、これを容器の形成用素材として使用することについても多くの提案が認められる。
【0004】
特開平3−69356号公報には、オレフィン系ポリマー及び/または炭化水素系熱可塑性エラストマーで形成された中空体を内層とし、該中空体の外周面上に、三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体からなる外層を、内層と一体に形成して成ることを特徴とする中空複合体が記載されている。
【0005】
特開平7−52340号公報には、少なくとも2種以上の樹脂層が積層された構造の多層プラスチック容器において、外層が環状オレフィとエチレンとを共重合させた非結晶性樹脂であり、内層がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする多層プラスチック容器が記載されている。
【0006】
特開平8−72210号公報には、環状オレフィン系共重合体層とオレフィン系(共)重合体層とが積層された包装材料が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
環状オレフィン系共重合体から成る容器は、透明性、耐湿性等には優れたものではあるが、他のオレフィン系樹脂製容器に比して、ヒートシール性に乏しいという欠点が認められる。
【0008】
即ち、カップ容器、トレー容器、インナーシールボトル、PTP(プレス・スルー・パック)包装等においては、内容物を充填後、これを密封する目的で、ヒートシール材を備えた蓋材が使用されるが、環状オレフィン系共重合体を用いた容器では、このような蓋材とのヒートシール強度が小さく、特に内容物の保存性を向上させるための熱間充填、ボイル殺菌、レトルト殺菌等の熱処理を行った場合、ヒートシール強度が極端に低下するという問題を有しているのである。
【0009】
これを防止するため、環状オレフィン系共重合体製容器のヒートシールすべき面、例えば内面を通常のオレフィン系樹脂で構成することが考えられるが、この場合には、オレフィン系樹脂と環状オレフィン系共重合体との間に十分な接着強度が得られず、容器成形または殺菌時の高温状態で容易に層間剥離が発生するという問題がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、環状オレフィン系共重合体に対して優れた層間接着性を示し、しかも形成される積層体が容器成形乃至熱間充填、ボイル殺菌、レトルト殺菌等の熱処理に耐える耐層間剥離性を示す積層体を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、環状オレフィン系共重合体から成る層を含む積層シートにおいて、環状オレフィン系共重合体から成る層が、エチレン含有量が20乃至40重量%で、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチレンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物を含有する接着層を介して他の層と積層されていることを特徴とする積層シートが提供される。
本発明によればまた、環状オレフィン系共重合体から成る層を含む多層容器において、環状オレフィン系共重合体から成る層が、エチレン含有量が20乃至40重量%で、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチレンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物を含有する接着層を介して他の層と積層されていることを特徴とする多層容器が提供される。
本発明においては、
1.エチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物が、エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が20乃至40%で、しかもエチレン・エチレンのダイアッド分率が5乃至24%であること、
2.エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンであること、
が好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明は、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物が、環状オレフィン系共重合体に対して、層間接着性に優れ、しかも熱処理を受けた場合の耐層間剥離性に優れた積層体を形成するとの知見に基づくものである。
【0013】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物では、α−オレフィン主体の重合ブロックから成る連続相とエチレン主体の重合ブロックから成る分散相とを海−島構造で有している。この海−島構造のエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物を用いることにより、このような海−島構造を有しないエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物に比して、層間接着性や、熱処理後の積層体の耐層間剥離性を顕著に向上させることができ、この事実は後述する例を参照することにより、至極明白となる。
【0014】
上記分散構造は、4酸化ルテニウムで染色したサンプルのウルトラミクロトームによる切削面について、走査型電子顕微鏡写真を撮影することにより確認できる。一般に、黒く見える部分がα−オレフィン主体の重合ブロックから成る連続相であり、白く見える部分がエチレン主体の重合ブロックから成る分散相である。
【0015】
添付図面の図1及び図2は、この共重合体における機械長手方向及び横断方向の分散粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真であって、上記の海−島構造の存在がよく了解される。
【0016】
本発明において、前述した分散構造のエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物が、環状オレフィン系共重合体層或いは更に他のオレフィン系樹脂層に対して、層間接着性や、熱処理後の積層体の耐層間剥離性を顕著に向上させるという事実は、多数の実験の結果現象として見い出されたものであり、その理由は正確には不明であるが、次のようなものと考えられる。即ち、このエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物においては、前述したα−オレフィン主体の連続相が存在することにより、このものの耐熱性が顕著に向上している。加えて、エチレン主体の分散相が環状オレフィン系共重合体との絡み合いを増加させることにより、環状オレフィン系共重合体との接着性向上に寄与し、一方、α−オレフィン主体の連続相が他のオレフィン樹脂との絡み合い増大による接着性向上に寄与していると思われる。
【0017】
本発明の目的に特に好適な他のエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物は、この共重合体乃至酸変性物のエチレン・α−オレフィンのダイアッド分率は一般に20乃至40%であり、一方エチレン・エチレンのダイアッド分率は一般に5乃至24%である。このタイプのエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物は、前述した分散構造の発現が顕著であると共に、接着性及び加熱処理後の耐層間剥離性に特に優れている。
【0018】
エチレン・α−オレフィン共重合体におけるダイアッド分率は、13C核磁気共鳴(NMR)のスペクトルのピークから、例えばα−オレフィンがプロピレンの場合、Macromolecules 1982、No 15、1150−1152記載の方法で求めることができ、エチレン・エチレンのダイアッド分率(EE)及びエチレン・α−オレフィンのダイアッド分率(Eα)は、スペクトルの帰属から次式のように求められる。
【0019】
添付図面の図3及び図4に、本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の典型的なものについて、NMRスペクトルを示す。
【0020】
本発明に用いる共重合体のエチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が上記範囲よりも低い場合には、環状オレフィン系共重合体に対して満足すべき接着強度が達成されず、一方エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が上記範囲を上回ると、積層体の接着部の耐熱性が不満足である。
【0021】
また、この共重合体のエチレン・エチレンのダイアッド分率が上記範囲を下回ると、やはり満足すべき接着強度が達成されず、一方エチレン・エチレンのダイアッド分率が上記範囲を上回ると、やはり満足すべき接着強度または耐熱性が達成されない。
【0022】
エチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物における分散構造は、ブロック性の尺度であり、一方、エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率は、共重合体中におけるエチレンとα−オレフィンとのランダム性の尺度であり、また、エチレン・エチレンのダイアッド分率は、共重合体中におけるエチレンのブロック性の尺度であると考えられる。本発明の積層体におけるエチレン・α−オレフィン共重合体が環状オレフィン系共重合体や通常のオレフィン系樹脂に対して優れた接着性を示し、しかも形成される接着部が耐熱性に優れているのは、共重合体主鎖中のランダム性とブロック性とが、環状オレフィン系共重合体や他のオレフィン系樹脂との接着に際して、耐熱性に優れた相互貫入網目構造(IPN)を形成するためと考えられる。
【0023】
[エチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物]
本発明の積層体に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンを55乃至90モル%、特に60乃至80モル%で含有し、前述した海−島の分散構造を有するものである。また、この共重合体は前述したエチレン・α−オレフィンのダイアッド分率と、エチレン・エチレンのダイアッド分率とを有することが好ましい。
【0024】
共重合体を構成するα−オレフィンは、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1、9−メチル−デセン−1、11−メチル−ドデセン−1、12−エチル−テトラデセン−1などが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
これらのうち、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど、最も好適にはプロピレンが用いられる。
【0025】
また、樹脂層の成形性や熱接着性の点で、メルトインデックス(ASTM D−1238E)が0.05乃至50g/10min、特に0.1乃至30g/10minの範囲にあることが望ましい。
【0026】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、決してこれに限定されるものではないが、例えばMontell−JPO(株)のキャタロイ(KS−052,KS−082等)の商品名で入手することができる。
【0027】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、酸変性されていてもよい。
グラフトする不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、または、その誘導体、例えば上記不飽和カルボン酸の酸無水物、イミド、アミド、エステル等を挙げることが出来る。
該誘導体として、具体的には、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレート等を例示できる。
これらの中では、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特に、マレイン酸、ナジック酸、それらの酸無水物がとりわけ好適である。
【0028】
この様な不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーを前記エチレン・α−オレフィン共重合体にグラフト共重合して変性物を製造するには、従来公知の方法を用いることが出来、該4−メチル−1−ペンテン系重合体を溶融させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる溶融変性法、あるいは溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる溶液変性法等を用いることが出来る。
【0029】
エチレン・α−オレフィン共重合体に前記変性用モノマーを効率よくグラフトさせて酸変性物を得るには、ラジカル開始剤の存在下に反応を行うことが好ましく、この場合グラフト化反応は通常60乃至350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して通常0.001乃至2重量部の範囲である。
ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ジーtertーブチルパーオキサイド、2、5ージメチルー2、5ージ(tertーブチルパーオキシ)ヘキシンー3、2、5ージメチルー2、5ージ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1、4ービス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等の有機パーオキサイドが好ましい。
【0030】
本発明で用いられる酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、その変性量が、グラフトモノマー重量(ベースポリマー当たり)として0.01乃至10重量%、特に、1乃至5重量%の範囲で変性されることが好ましく、グラフト変性量が前記範囲にある場合は、オレフィン系樹脂以外の樹脂相に対しても優れた接着性が得られる。
【0031】
本発明に用いるグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、全体が変性されていても、一部分が変性されていてもよく、またグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体と未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体とのブレンド物であってもよい。
【0032】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物には、更に、他のオレフィン樹脂、例えば低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、或いはこれらの酸変性物を、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部当たり250重量部以下の量で配合することができる。
【0033】
[積層体]
本発明の積層体は、前述したエチレン・α−オレフィン共重合体と環状オレフィン系共重合体とが隣接関係で設けられている限り、任意の層構成をとりうる。
【0034】
例えば、積層される他の熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物を挙げることができる。
【0035】
更に、積層される樹脂は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム、各種紙或いは更にこれらのラミネート等が使用される。
【0036】
透明性蓋体やカップ或いはボトル等のように透明性が要求される場合には、前記ナイロン、ポリエステル等のフィルム基材が必要によりガスバリアー性樹脂層との組み合わせで使用される。一方、ガスバリヤー性が厳密に要求される蓋体やカップの場合には、アルミ箔、或いはアルミ箔とフィルム乃至は紙とのラミネートが基材として使用される。また、透明性とガスバリヤー性が要求される蓋体やカップ或いはボトルの場合には、積層体の構成層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリ塩化ビニリデンなどのガスバリヤー性樹脂が使用される。本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体として、酸変性物を用いる場合には、上記の何れの素材層に対しても優れた接着性が得られる。
勿論、これらの積層体の外面側には、印刷や保護塗膜等が設けられていてもよい。
【0037】
これらの積層体において、基材の環状オレフィン系共重合体と接する側には、前述したエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物層が設けられる。勿論、積層体の容器内面側となる部分には、ヒートシーラント層と成る他のオレフィン系樹脂層、例えば低−、中−又は高−密度ポリエチレン、アイソタクテイックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂が設けられていることが好ましい。
【0038】
本発明の積層体は前述した層構成を有するが、その具体例を示すと次の通りである。次の例において、COCは環状オレフィン系共重合体層、EOはエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物の層、Oは他のオレフィン系樹脂層、EVOHはエチレンビニルアルコール共重合体層、Nyはポリアミド層、ESはポリエステル層、Mは金属層を表す。
【0039】
2層構成:COC/EO、
3層構成:COC/EO/O、COC/EO/Ny、COC/EO/ES、COC/EO/M、COC/EO/EVOH,EO/COC/EO、
4層構成:EO/COC/EO/O、COC/EO/EVOH/EO、EO/COC/EO/Ny、EO/COC/EO/ES、COC/EO/O/EO、COC/EO/EVOH/EO,COC/EO/Ny/EO、COC/EO/ES/EO、COC/EO/M/EO、EO/COC/EO/M、
5層構成:O/EO/COC/EO/O、O/EO/COC/EO/Ny、O/EO/COC/EO/ES、O/EO/COC/EO/EVOH、EO/COC/EO/EVOH/EO、EO/COC/EO/Ny/EO、EO/COC/EO/M/EO、EO/COC/EO/ES/EO、
6層構成:O/EO/COC/EO/EVOH/EO、O/EO/COC/EO/Ny/EO、O/EO/COC/EO/ES/EO、O/EO/COC/EO/EVOH/EO、O/EO/COC/EO/Ny/EO、O/EO/COC/EO/M/EO、0/EO/COC/EO/ES/EO、
7層構成:O/EO/COC/EO/EVOH/EO/O、O/EO/COC/EO/Ny/EO/O、O/EO/COC/EO/ES/EO/O、O/EO/COC/EO/EVOH/EO/O、O/EO/COC/EO/Ny/EO/O、O/EO/COC/EO/M/EO/O、O/EO/COC/EO/ES/EO/O、O/EO/COC/EO/EVOH/EO/Ny、O/EO/COC/EO/EVOH/EO/Ny、O/EO/COC/EO/EVOH/EO/ES、
8層構成:O/EO/COC/EO/EVOH/EO/Ny/EO/O、
勿論、本発明における積層構造は、上記の例に限定されるものではない。
【0040】
本発明の積層体において、エチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物層の厚みは、用途によっても相違するが、一般に1乃至500μm、特に3乃至200μmの厚みを有することが好ましく、一方積層体の厚みは、10乃至5000μm、特に30乃至2000μmの厚みを有することが好ましい。
【0041】
積層ヒートシール材の製造は、熱接着ラミネーション、サンドイッチラミネーション、押出コーテイングラミネーション、ドライラミネーション、共押出等の任意の手段で行うことができる。
【0042】
[環状オレフィン系共重合体]
本発明において、ヒートシールの対象となる環状オレフィン系共重合体としては、オレフィンと環状オレフィンとの非晶質乃至低結晶性共重合体(COC)が使用される。
【0043】
共重合体を構成するオレフィンとしては、エチレンが好適であるが、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1ーヘキセン、1−オクテン、3ーメチル1−ペンテン、1−デセン等の炭素数3乃至20のα−オレフィンが、単独或いはエチレンとの組み合わせで使用される。
【0044】
環状オレフィンとしては、基本的には、エチレン系不飽和結合とビシクロ環とを有する脂環族炭化水素化合物、特にビシクロ[2、2、1]ヘプト−2−エン骨格を有する炭化水素化合物であり、具体的には次のものが挙げられるが、勿論これに限定されるものではない。
【0045】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体;例えば下記式(1)
【化1】
式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、或いはアルキリデン基であり、nは1〜4の数である(以下同様である)、
で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体。特に、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン。
【0046】
トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン誘導体;例えば、下記式(2)
【化2】
で表されるトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン誘導体。特に、
トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン
2−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン
5−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン。
【0047】
トリシクロ[4.4.0.12.5 ]−3−ウンデセン誘導体;例えば、下記式(3)
【化3】
で表されるトリシクロ[4.4.0.12.5 ]−3−ウンデセン誘導体。特に、
トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−ウンデセン
10−メチルトリシクロ[4.4.0.12.5 ]−3−ウンデセン。
【0048】
テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン誘導体、例えば、下記式(4)
【化4】
で表されるテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン誘導体。特に、
テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
2,7−ジメチル−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン。
【0049】
ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン誘導体;例えば、下記式(5)
【化5】
で表されるペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン誘導体。特に、
ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン
1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン
1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン
14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン。
【0050】
ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン誘導体、例えば下記式(6)
【化6】
で表されるペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン誘導体。特に、
ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン
メチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン。
【0051】
ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン誘導体、例えば下記式(7)
【化7】
で表されるペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン誘導体。特に、
ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン。
【0052】
ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン誘導体、例えば下記式(8)
【化8】
で表されるペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン誘導体。特に、
ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン
11−メチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン
11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン
10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン。
【0053】
ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン誘導体、例えば、下記式(9)
【化9】
で表されるペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン誘導体。特に、
ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン
1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン
1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン
15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン。
【0054】
ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン誘導体、例えば下記式(10)
【化10】
で表されるヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン誘導体。特に、
ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン
12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン
12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン
12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン
1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン。
【0055】
ヘプタシクロ[8.7.0.12.9 .14.7 .111.17 .03.8 .012.16 ]−5−エイコセン誘導体、例えば、下記式(11)
【化11】
で表されるヘプタシクロ[8.7.0.12.9 .14.7 .111.17 .03.8 .012.16 ]−5−エイコセン誘導体。特に、
ヘプタシクロ[8.7.0.12.9 .14.7 .111.17 .03.8 .012.16 ]−5−エイコセン。
【0056】
ヘプタシクロ[8.7.0.13.6 .110.17 .112.15 .02.7 .011.16 ]−4−エイコセン誘導体、例えば、下記式(12)
【化12】
で表されるヘプタシクロ[8.7.0.13.6 .110.17 .112.15 .02.7 .011.16 ]−4−エイコセン誘導体。特に、
ヘプタシクロ[8.7.0.13.6 .110.17 .112.15 .02.7 .011.16 ]−4−エイコセン
ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13.6 .110.17 .112.15 .02.7 .011.16 ]−4−エイコセン。
【0057】
ヘプタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体、例えば、下記式(13)
【化13】
で表されるヘプタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体。特に、
ヘプタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン。
【0058】
ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体、例えば下記式(14)
【化14】
で表されるヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体。特に、
ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン
15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン
トリメチル置換ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ヘンエイコセン。
【0059】
オクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ドコセン誘導体、例えば、下記式(15)
【化15】
で表されるオクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ドコセン誘導体。特に、
オクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ドコセン
15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17 ]−5−ドコセン
15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7 .111.18 .013.16 .03.8 .012.17 ]−5−ドコセン。
【0060】
ノナシクロ[10.9.1.14.7 .113.20 .115.18 .02.10 .03.8 .012.21 .014.19 ]−5−ペンタコセン誘導体、例えば下記式(16)
【化16】
で表されるノナシクロ[10.9.1.14.7 .113.20 .115.18 .02.10 .03.8 .012.21 .014.19 ]−5−ペンタコセン誘導体。特に、
ノナシクロ[10.9.1.14.7 .113.20 .115.18 .02.10 .03.8 .012.21 .014.19 ]−5−ペンタコセン
ドリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14.7 .113.20 .115.18 .02.10 .03.8 .012.21 .014.19 ]−5−ペンタコセン。
【0061】
ノナシクロ[10.10.1.15.8 .114.21 .116.19 .02.11 .04.9 .013.22 .015.20 ]−6−ヘキサコセン誘導体、例えば、下記式(17)
【化17】
で表されるノナシクロ[10.10.1.15.8 .114.21 .116.19 .02.11 .04.9 .013.22 .015.20 ]−6−ヘキサコセン誘導体。特に、
ノナシクロ[10.10.1.15.8 .114.21 .116.19 .02.11 .04.9 .013.22 .015.20 ]−6−ヘキサコセン。
【0062】
環状オレフィンの他の例として、次のものを挙げることもできる。
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メチル−5−フェニル[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン
8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(ビフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(β−ナフチル)テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(αナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン
(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)にシクロペンタジエンをさらに付加した化合物
11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13 ]−4−ペンタデセン
11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14 ]−4−ヘキサデセン
11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14 ]−4−ヘプタデセン
14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.12.9 .14.7 .111.17 .03.8 .012.16 −5−エイコセン]
【0063】
この共重合体(COC)は、70乃至15モル%、特に65乃至20モル%の環状オレフィン、特に好適にはノルボルネン、テトラシクロドデセンと残余のエチレンとから誘導され且つ200℃以下、特に150乃至60℃のガラス転移点(Tg)を有するのがよい。ボイル殺菌、レトルト殺菌等を施す場合には、殺菌温度より5℃乃至10℃以上高いガラス転移点を持つものが好ましい。
【0064】
この共重合体の分子量は、特に制限はないが、デカリン中135℃で測定して、0.1乃至20dl/gの極限粘度[η]を有するのがよく、また、その結晶化度は、X線回折法で測定して、一般に10%以下、特に5%以下である。
【0065】
上記共重合体(COC)は、オレフィンと環状オレフィンとを、それ自体公知のバナジウム系触媒或いはメタロセン系触媒の存在下にランダム重合させることにより得られる。
好適な共重合体(COC)は、三井石油化学株式会社から、APELの商品名で入手しうる。
【0066】
環状オレフィン系共重合体は、単独で用いることが好ましいが、その本質を損なわない範囲、即ち50重量%よりも少ない量、特に30重量%以下の量で、他のオレフィン系樹脂とのブレンド物の形で使用することもできる。他のオレフィン系樹脂としては、オレフィン系ホモポリマーやコポリマーが好適に使用される。例えば、低密度、中密度或いは高密度のポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、プロピレン−エチレン共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。勿論これらのオレフィン系樹脂は単独でも二種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0067】
ブレンドするこれらのオレフィン系樹脂は、一般に0.1乃至50g/10min、特に0.2乃至30g/10minのMFR(メルトフローレート)を有しているのがよく、成形法に応じて、押出グレードのものや射出グレードのものを適宜選択使用することができる。
【0068】
上記環状オレフィン系共重合体には、それ自体公知の配合剤、例えば顔料、充填剤、酸化防止剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等をそれ自体公知の処方に従って配合しうる。
【0069】
[容器及びその成形]
環状オレフィン系共重合体及びエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物、或いは更に他の重合体を、押出機や射出機に供給し、溶融混練した後に容器等の成形体、或いは容器形成用の予備成形体に熱成形する。また、予備成形体を通常の熱成形或いは延伸成形に付することにより任意の形状の容器に成形する。この際、環状オレフィン系共重合体はガラス転移温度+200℃以下の温度、特にガラス転移温度+150℃以下の温度で溶融混練することが好ましい。
【0070】
押出機としては、任意のスクリュウを備えた押出機が好適に使用される。ダイスとしては、フラットダイやリングダイを使用することができる。
【0071】
射出機としては、射出プランジャまたはスクリューを備えたそれ自体公知のものが使用され、ノズル、スプルー、ゲートを通して前記混合物を射出型中に射出する。これにより、樹脂が射出型キャビティ内に流入し、冷却固化されて容器或いはプリフォーム等の予備成形品が得られる。
【0072】
容器の製造に際して、コールドパリソン法のように、一旦予備成形体を製造し、この予備成形体を最終成形品に延伸成形することができる。例えば、射出成形により、容器よりも小さい形状の有底プリフォームを成形し、この有底プリフォームに気体を吹き込むと共に軸方向に引っ張り延伸して二軸延伸成形ボトルとする。また、シートに熱成形後、真空成形、プラグアシスト成形、圧空成形して、未延伸或いは延伸のカップ状容器とする。固相成形では、器壁は高さ方向(一軸方向)に分子配向される。
【0073】
熱成形では、前述した溶融温度で行われる。
一方、延伸成形は、樹脂の種類(ガラス転移点)にもよるが、一般に70乃至200℃、特に80乃至180℃の範囲から、樹脂の種類によって適切な延伸成形温度を選択する。延伸倍率は、面積倍率で、1.2乃至20倍、特に1.3乃至16倍の範囲が適当である。
【0074】
本発明に用いる包装容器の形状は、例えばボトル、カップ、チューブ、プラスチック缶、PTP(プレス・スルー・パック)等の任意のものであってよい。また、この容器は、勿論前述した積層構造をとる。
【0075】
本発明によれば、環状オレフィン系共重合体に対して強固な接着構造の積層体を形成できるのみならず、内容物を熱間充填し、或いは内容物充填後のヒートシール容器をボイル殺菌やレトルト殺菌に付した場合にも、優れた耐熱性を有するという利点が得られるものである。
【0076】
【実施例】
本発明を次の例を挙げて更に説明する。
【0077】
実施例と比較例で用いたエチレン・α−オレフィン共重合体と環状ポリオレフィン系樹脂をそれぞれ表1と表2に示す。
【0078】
なお、表1中のモノマー組成比、ダイアッド分率は各試料の13C−NMRスペクトルを測定し、公知文献(Macromolecules 1982,15,P1150-1152)による方法で計算し求めた。測定条件を以下に示す。
【0079】
測定装置 日本電子製EX270MHz
観測周波数幅 20000Hz
データポイント 32768
積算回数 10000
溶媒 重ベンゼン:オルトジクロロベンゼン=1:9
測定温度 135℃
サンプル濃度 10wt%
【0080】
【表1】
【0081】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体の内、EP−1乃至EP−2は、図1及び図2に示す海−島分散構造が明確に観察されたのに対して、EP−3乃至EP−5は、図1及び図2に示す海−島分散構造が観察されなかった。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例1〜3、比較例1〜3
ポリプロピレン(PP)を外層として、中間層に表2の環状オレフィン系樹脂を、接着層に表1のエチレン・α−オレフィン共重合体を組み合わせて用い、厚み1mmの外層/接着層/中間層/接着層/外層からなる6種類の3種5層シートを共押出成形した。なお、各層の厚みは0.3mm/0.05mm/0.3mm/0.05mm/0.3mmとした。これらのシートについて、層間接着性および耐レトルト性を評価した。
【0084】
層間接着性は、中間層である環状オレフィン系樹脂と、接着層であるエチレン・α−オレフィン共重合体間の接着強度を引っ張り試験器(オリエンテック社製テンシロン)を用いて測定した。測定は室温(23℃)および120℃下で、クロスヘッド速度300mm/分で行った。
【0085】
耐レトルト性は、シートをヒートシールフランジを有する外径80mmの丸型カップに圧空成形し、水を満注充填した後ヒートシール蓋により密封し、レトルト処理した後にデラミの有無を評価した。ヒートシール蓋には2軸延伸ポリエステルフィルム(12μm)/アルミニウム箔(20μm)/ポリプロピレンフィルム(50μm)をウレタン系接着剤によりラミネートし用いた。ヒートシールはヒートシール温度200℃、ヒートシール時間1.5秒、ヒートシール圧約80kgfの条件で行った。レトルトは120℃、30分の条件で行った。これらの評価結果を表3に示した。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例4
高密度ポリエチレン(HDPE)を外層として、中間層に表2のCOC−1を用い、接着層に表1のEP−1を用いて、厚み1mmの外層/接着層/中間層/接着層/外層からなる3種5層シートを共押出成形した。なお、各層の厚みは0.3mm/0.05mm/0.3mm/0.05mm/0.3mmとした。このシートについて、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例5
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を外層および内層として、中間層に表2のCOC−3を用い、接着層に表1のEP−2を用いて、内層よりLLDPE/EP−1/COC−3/EP−1/LLDPEの構成の、側壁の厚み0.5mm、外径20mmのチューブをブロー成形した。なお、各層の厚みは0.14mm/0.01mm/0.2mm/0.01mm/0.14mmとした。この容器に水を満注充填し、キャップとインナーシール材を用いて高周波シールして密封した。この後、30分煮沸処理を行い、デラミの有無で評価した。結果を表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
実施例6
ポリプロピレン(PP)を外層および内層として、中間層にエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVOH)と表2のCOC−1を用い、接着層には表1のEP−2を無水マレイン酸変性して得られた樹脂(EP−M)を用いて、内層よりPP/EP−M/COC−1/EP−M/EVOH/EP−M/PPの構成の、側壁の厚み1mm、外径20mmのボトルをブロー成形した。なお、各層の厚みは0.25mm/0.01mm/0.2mm/0.01mm/0.2mm/0.01m/0.32mmとした。この容器に水を満注充填し、キャップとインナーシール材を用いて高周波シールして密封した。この後、実施例1と同様に、レトルト処理し評価した。結果を表6に示す。
【0092】
【表6】
【0093】
実施例7
ポリプロピレン(PP)を外層および内層とし、中間層に表2のCOC−4を用い、接着層に表1のEP−1を用いて、厚み0.25mmの内層よりPP/EP−1/COC−4/EP−1/PPの構成のシートを共押出成形した。なお各層の厚みは0.02mm/0.005mm/0.20mm/0.005mm/0.02mmとした。このシートを真空成形して、プレススルーパックのポケット(直径12mm、深さ5mm)を形成した。このように成形した際に白化などが見られない良好な成形性であった。
【0094】
実施例8、9、比較例4
表1のEP−1、EP−4、表2のCOC−4を表7の重量比でブレンドして外層および内層とし、中間層に表2記載のCOC−4を用いて、厚み0.25mmの2種3層構成のシートを共押出成形した。なお、各層の厚みは0.025mm/0.2mm/0.025mmとした。このシートを真空成形して、プレススルーパックのポケット(直径12mm、深さ5mm)を形成した。このときの成形性を評価し、結果を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
比較例5
20μmのプロピレン(PP)フィルムと、表2のCOC−4からなる0.2mmのシートを、ウレタン系の接着剤を用いてドライラミネートし、内層よりPP/COC−4/PPの3層の積層体を得た。この積層体を真空成形して、プレススルーパックのポケット(直径12mm、深さ5mm)を形成した。このように成形した際に白化が見られた。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリ環状オレフィン系共重合体に隣接する層として、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチレンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物、一層好適には、エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が20乃至40%で、しかもエチレン・エチレンのダイアッド分率が5乃至24%であるエチレン・α−オレフィン共重合体乃至酸変性物を用いることにより、環状オレフィン系共重合体に対して、層間接着性及び熱処理時の耐層間剥離性に優れた積層体を形成できる。この積層体から成る容器は、レトルト殺菌等の内容物の保存性を高めるための熱処理に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に用いたエチレン・α−オレフィン共重合体における機械長手方向の分散粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施例1に用いたエチレン・α−オレフィン共重合体における横断方向の分散粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施例1に用いたエチレン・α−オレフィン共重合体のNMRスペクトルである。
【図4】本発明の実施例3に用いたエチレン・α−オレフィン共重合体のNMRスペクトルである。
Claims (6)
- 環状オレフィン系共重合体から成る層を含む積層シートにおいて、環状オレフィン系共重合体から成る層が、エチレン含有量が20乃至40重量%で、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチレンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物を含有する接着層を介して他の層と積層されていることを特徴とする積層シート。
- エチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物が、エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が20乃至40%で、しかもエチレン・エチレンのダイアッド分率が5乃至24%である請求項1記載の積層シート。
- エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンである請求項1又は2記載の積層シート。
- 環状オレフィン系共重合体から成る層を含む多層容器において、環状オレフィン系共重合体から成る層が、エチレン含有量が20乃至40重量%で、融点が130℃以上で且つα−オレフィンブロックを主体とする連続相とエチレンブロックを含有する分散相との相分離構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物を含有する接着層を介して他の層と積層されていることを特徴とする多層容器。
- エチレン・α−オレフィン共重合体或いはその酸変性物が、エチレン・α−オレフィンのダイアッド分率が20乃至40%で、しかもエチレン・エチレンのダイアッド分率が5乃至24%である請求項4記載の多層容器。
- エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンである請求項4又は5記載の多層容器。
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