JP3950011B2 - 溶融金属の射出成型方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の射出成形方法および装置に関する。
なお、本発明の「溶融金属」とは、「溶融ないし半凝固スラリー状の金属材料」を総称していうものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、金属の半凝固状態を利用し射出成形技術と組合せたチクソモールド法と呼ばれる成形法が実用化されている。半凝固状態を利用した最初の特許は、チクソキャスト法としてM.C.フレミングスらの米国特許第3902544号(1975年9月2日発行)に記載されている。その後スクリュを利用し、固相と液
相の混在する半凝固状態を作り出す技術が特公平1−33541号公報、特公平2−15620号公報に記載され、更に、特表平3−504830号公報に具体的に射出成形法に適用する方法が記載されている。
【0003】
その後、この技術を応用改良した技術は、数多く出願されているがその中でも特に、特許第2832625号公報などは、チクソモールド法とは異なり、ペレット(チップないしは顆粒)状の材料を使うことなくインゴット原料を半溶融状態に加熱し、その後粉砕機にて粒状にし、シリンダへ供給する方法を考案している。
また、半凝固状態で射出する別の方法として、特表平9−508859号公報が公表されている。この技術は溶解炉で溶融された軽合金材料が縦型シリンダの上部に配置されたホッパーから供給され、シリンダの外側に配置された冷却用装置による温度制御で溶湯が冷却され,垂直に配置されるスクリュの回転による攪拌破砕によって樹枝状晶を半凝固状態にし、そのスラリをスクリュ先端部で計量後、その下部に位置する金型内に射出する方法である。
【0004】
前記の溶融あるいは半溶融状態の軽合金(成形材料)を射出する成形法においては、射出ユニットの先端に金型スプール部との接触部をなすノズルを有し、ノズル先端から成形材料の洩れを防止する目的で、ノズルの先端部で成形材料をノズル内に封止するための封止手段を備えている。
この封止手段として、ノズル先端内部の成形材料により、固体あるいは半固体栓を生成する「自己生成プラグ」によるもの(特開2001−71105号公報参照)と、「機械的なバルブ」によるもの(特開平9−239512号公報参照)が知られている。
【0005】
前記自己生成プラグによる場合は、射出に際して、ノズルを高温に加熱すると共に射出圧をかけることで、自己生成プラグを金型内に設けられたプラグキャッチャーに向けて射出し、且つ成形材料をキャビティー内に射出する。
機械的なバルブによる場合は、ノズルを予め射出温度まで高温に加熱しておき、バルブを開くと共に成形材料をキャビティー内に射出する。
なお、このような金属の射出成形法はバッチ処理であり、大別すると、計量と射出の繰り返しである射出サイクル毎に、金型からノズルの当接を解除する所謂「シフト成形」と、金型にノズルを当接させた状態で射出サイクルを繰り返す所謂「タッチ成形」とがある(特開2001−38457号公報参照)。
【0006】
また、金型等のメンテナンス等で、ある一定時間成形を中断する際に、ノズル内の溶融軽合金材料が大気に接触して酸化するのを防止するために、不活性ガスを用いる技術が、特開2001−170749号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開2001−38457号公報には、ノズル先端部が当接する金型の温度が150℃〜200℃と低いため、約600℃に設定されたノズル先端部から熱が奪われ、温度が低下し、プラグが過大に生成されてしまい、プラグの抜け圧が異常に高くなったり、抜けなくなり、計量された液相あるいは半凝固スラリーがホッパー側へ逆流し、計量不良や不安定のトラブルを生じる問題点が記述されている。これらの特別な場合として、前記特開平9−239512号公報に記述されている液相で射出する場合にも、固体プラグの問題点は種々列記されている。そして、解決策としてノズルを自己閉鎖形ノズルとする方法が記述されており、ノズル先端部に固体プラグを作らずに金型に射出するとある。
【0008】
しかし、この場合でも、ノズル先端部、特に出口近傍には液相状態のMgが存在し、Mgと空気中の酸素との反応が激しく、MgOが生成し易い状態となっている。そのため、その内側にある液相のMgの漏出は防げても、先端部に出来たMgO固体によって、固体プラグを積極的に生成した時以上に、排出圧がかかったり、MgOが金型内へ入った場合に成形品に悪影響を与えることは明らかである。
また、前記特表平9−508859号公報に記載の実施例によれば、ノズル先端部出口はスプリングで閉じるように付勢されたバブルピンで選択的に閉止されている。この方法は、前記特開平9−239512号公報に記載のものと似通った方法ではあるが、閉止バルブの配置がノズル先端部出口に作ることが出来ればある程度問題点は解決される。しかし、この場合でも、閉止のために外部からピンのようなものを引き上げるか、内部から押付けるかの方法となり、開閉部に固相粒が付着したり、温度低下で固体が生成されたりすると、ピンは閉じることができず開いた状態となり、バルブとしての役目をはたさなくなる。また、半凝固スラリーにより発生する圧力がバネ力以上になれば、バルブは開いてしまい、液相あるいは半凝固スラリーは漏出することになり、上記と同様な問題が生じる事になる。
【0009】
また、前記従来の射出成型法を、ノズルの封止手段とバッチ処理方式から見ると、ノズルの封止手段として「自己生成プラグ」を採用し、バッチ処理として「シフト成形」を採用した場合、射出後に金型とノズルとの当接(ノズルタッチ)が解除されたときに、ノズル先端内部に残留している高温の成形材料(例えば、Mg)が雰囲気空気内の酸素と反応して激しく酸化燃焼する惧れがある。
また、成形材料の酸化反応によりノズル先端内部に金属酸化物が生成すると、次のバッチでの射出時に、ノズル温度を上昇させてもプラグが軟化せず異常な高圧がかかったり、また、上流側ホッパヘの逆流が生じたりして、射出ができない等成形工程上の問題を引き起こす惧れがある。
【0010】
また、「自己生成プラグ」と「タッチ成形」の組合せでは、何らかの原因で、成形材料の酸化反応によりノズル先端内部に金属酸化物が生成すると、次のバッチでの射出時に、ノズル温度を上昇させてもプラグが軟化せず異常な高圧がかかったり、また、上流側ホッパヘの逆流が生じたりして、射出ができない等成形工程上の問題を引き起こす惧れがある。
また、温度制御が不十分で固体プラグが溶解してしまった場合や、計量時に不用意に固体プラグが抜け出た場合、スプルーブッシュ内に成形材料が洩れ出てしまい流路を閉塞しまうことがある。このような流路閉塞が発生すると、射出時に金型スプルー部とノズルの接触部(ノズルタッチ部)から高温の成形材料(例えば、Mg)が洩れ出てしまい、雰囲気空気内の酸素と反応して激しく酸化燃焼する惧れがある。
【0011】
ノズルの封止手段として「機械的なバルブ」を採用し、バッチ処理として「シフト成形」を採用した場合は、射出後に金型とノズルとの当接が解除されたときに、バルブより下流のノズル先端内部に残留している高温の成形材料(例えば、Mg)が雰囲気空気内の酸素と反応して激しく酸化燃焼する惧れがある。
また、酸化反応によりバルブより下流のノズル先端内部に、期せずして金属酸化物が生成すると、次のバッチでの射出時に、ノズル温度を上昇させてもプラグが軟化せず異常な高圧がかかったり射出ができない等成形工程上の問題を引き起こす惧れがある。また、上流側ホッパヘの逆流も生じ得る。
【0012】
さらに、バルブタイプを採用する場合の金型には、プラグキャッチャーが無いため、期せずして生成してしまった金属酸化物を材料と共に射出できたとしても、金属酸化物が製品に混入して品質に悪影響を及ぼすことがある。
また、シフト成形の場合でも、タッチ成形の場合でも、金型の段替えやメンテナンス時等で、一時的に金型とノズルとの当接が解除されたときに、ノズル先端内部に残留している高温の成形材料(例えば、Mg)が雰囲気空気内の酸素と反応して激しく酸化燃焼する惧れがある。
【0013】
なお、酸化防止に関しては、前記特開2001−170749号公報に不活性ガスを用いる技術が開示されているが、ノズルが金型から離れてから、不活性ガスが供給されるまでの間に、酸化が起こるおそれがあり、バッチ処理間に於ける問題解決にはならない。
そこで、本発明は、ノズル先端部から液相あるいは半凝固スラリーが漏出することなく、確実にノズル先端で半凝固スラリーの閉止がなされ、また射出時には過大な圧力をかけることなく、射出できると共に、バッチ処理間におけるノズル先端内部での酸化物の生成を抑制するようにした溶融金属の射出成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴とするところは、溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する方法において、前記ノズルが金型から離間したときにバルブ手段により前記溶融金属の漏出を防止し、離間した前記ノズルの先端部に温度制御された高温の不活性ガスを吹き付け前記ノズルの先端部を不活性ガス雰囲気下で加熱して当該ノズル先端部に存在する前記溶融金属を溶湯または半凝固状態とする点にある。
【0015】
他の本発明の特徴とするところは、溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する方法において、前記ノズルが金型から離間したときにバルブ手段により前記溶融金属の漏出を防止し、前記ノズルが金型から離間している間中当該ノズルの先端部に向けて加熱した不活性ガスを供給する点にある。
前記ノズルの先端部に向けて供給する不活性ガスの流量を調節するのが好ましい。
前記ノズルの先端より突出した伸縮自在なカバーによって前記ノズルの周囲を覆って供給範囲を制限しつつ前記不活性ガスの供給を行うのが好ましい。
【0016】
本発明の射出成形装置の特徴とするところは、溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する装置において、前記ノズルには前記溶融金属の漏出を防止するためのバルブ手段が設けられ、前記ノズルが前記金型と離間した位置において不活性ガスを供給して前記ノズルの先端部を不活性ガス雰囲気とするための不活性ガス供給装置を有し、前記不活性ガス供給装置は、前記ノズルの先端部を加熱して前記ノズル内の溶融金属を溶湯または半凝固状態とするための供給不活性ガスの温度調整装置を有している点にある。
【0017】
前記不活性ガス供給装置は、前記ノズルの先端部に向けて不活性ガスを供給し当該ノズルとともに移動自在に設けられているガス出口部を有するのが好ましい。
前記ガス出口部は、前記ノズルと共に移動自在に設けられているのが好ましい。
前記ガス出口部は、前記ノズル先端部を覆うカバーを有し、該カバーは、前記ノズルが前記金型にタッチ可能とする開口部を有すると共に当該ノズルが該金型から離間したとき該ノズルの先端より突出し、当該ノズルが該金型にタッチしたときタッチ方向に縮むように伸縮自在に構成することができる。
【0018】
前記不活性ガス供給装置は、前記不活性ガスの流量を調節する流量調節装置を前記ガス温度調整装置の上流側に有するのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1に示すものは、溶融金属射出成形装置である。この装置は、ベッド1上に載置された射出機2を有する。該射出機2は、溶融シリンダ3を有し、該シリンダ3内にスクリュー4が回転自在に且つ軸方向移動自在に設けられている。このスクリュー4は、前記溶融シリンダ3の後端に設けられた射出用油圧シリンダ5により軸方向に移動され、且つ該油圧シリンダ5の後端に設けられたモータ6により回転駆動される。前記溶融シリンダ3の後部には、軽合金チップ等の金属材料をシリンダ3内へ供給するホッパ7が設けられている。前記溶融シリンダ3の前端には、射出用ノズル8が設けられている。このノズル8の外周部に加熱ヒータ9が取り付けられている。
【0020】
前記ベッド1上には、移動用油圧シリンダ10が設けられ、該移動用油圧シリンダ10により、前記射出機2は軸方向に移動自在とされている。
前記射出機2は、ホッパ7から供給された固形の金属材料を、スクリュー4の回転により混練攪拌溶融し、前記スクリュー4を射出用油圧シリンダ5により一定量押し出して、溶融状態の金属を前記ノズル8から一定量射出するものである。
前記ノズル8の前方には、型締め装置11が配置されている。この型締め装置11は、左右一対の固定盤12,13と、該固定盤12,13に設けられた左右一対の金型14,15を有する。両金型14,15が固定盤12,13により型締めされることにより、両金型14,15の接合部にキャビティー16が形成される。射出機2側の金型14には、前記キャビティー16に連通する通路を有するスプールブッシュ17と固定盤12との位置決めを行うロケートリング18とが設けられている。
【0021】
前記射出機2及び型締め装置11は、制御装置19によって、その動作が制御されている。即ち、射出用油圧シリンダ5、移動用油圧シリンダ10、モータ6、及び加熱ヒータ9、並びに型締め装置11は、制御装置19に電気的に接続されている。
前記移動用油圧シリンダ10により射出機2を軸方向に移動させることにより、前記ノズル8の先端が前記スプールブッシュ17に着脱自在に当接する。このノズルタッチ状態において、射出機2から溶融金属が金型14,15内のキャビティー16に供給され、射出成形される。
【0022】
本発明の射出成形装置においては、前記ノズル8の先端部を不活性ガス雰囲気とすることができる不活性ガス供給装置20が設けられている。不活性ガスとして、Arガス、窒素ガスなどが利用される。
この不活性ガス供給装置20は、不活性ガス供給源21と、該供給源21からのガスを前記ノズル8の先端部に向けて供給するガス出口部22を有する。このガス出口部22は、前記ノズル8と共に移動自在に設けられている。
即ち、前記ノズル8が型締め装置11に対して軸方向に移動されても、ノズル8先端部は常に不活性ガス雰囲気となるよう構成されている。
【0023】
前記不活性ガス供給装置20は、供給ガスによって前記ノズル8先端部を加熱あるいは冷却するガス温度調整装置23を有している。このガス温度調整装置23は、ガスを加熱する場合は、加熱ヒータにより構成される。
また、前記不活性ガスの流量を調節する流量調節装置24を有する。この流量調節装置24は、前記ガス温度調整装置23の上流側に設けられている。この流量調節装置24は、ガス流量調整弁により構成されている。前記ガス温度調整装置23や流量調節装置24は、前記制御装置19に接続され、そのガス温度や流量が自動制御される。
【0024】
前記流量調節装置24をガス温度調節装置23の上流側に設ける理由は、ガス流量調節弁はある程度の高温に耐え得るものはあるが、その耐熱温度には限界がある(また、高温仕様は非常に高価である)ために、ガスの加熱は流量調節後に行う方が望ましいからである。
なお、高温の不活性がスの温度制御に関しては、加熱ヒータの容量(電圧あるいは電流)とガス流量調整弁により、常温から800℃程度まで可能である。
前記不活性ガス供給装置20は、前記ノズル8が金型14から離間した後、タッチするまでの間中、該ノズル8の先端部を不活性ガス雰囲気とするよう構成されている。
【0025】
即ち、前記制御装置19により、前記期間中所定条件でノズル8先端部が不活性ガス雰囲気になるよう制御されている。
図2に、前記ノズル8の一例として、機械式バルブを設けたものが示されており、ノズル8内部に配置されたピン25により、内側より溶湯あるいは半凝固スラリーの漏出を防止することができるものである。
図3には、自己生成プラグ式のノズル8が示されている。
これらノズル8の詳細については、特開平9−239512号公報に記載のものと同じであるので、その説明は、前記公報記載を援用する。
【0026】
図4に示すものは、前記ガス出口部22を、ノズル8の移動方向に沿って配置された複数のガス噴出口26から構成したものである。図1〜3に示すものは、ガス出口部22がノズル8と共に移動するものであるが、図4に示すように、移動方向に複数のガス噴出口26を設けることで、ガス出口部22を移動しないものとすることができる。
この図4に示す場合は、各ガス噴出口26にバルブを設け、各バルブを、ノズル8先端が当該ガス噴出口26に位置したときに開くよう、前記制御装置19により制御することが望ましい。
【0027】
前記図2に示す機械式バルブを有するノズル8は、従来技術では、その先の先端部に残ったMg合金等の溶融金属は、加熱ヒータ9により加熱された場合は、酸素と反応しMgOとなり、介在物となる。金型14との接触で冷却された場合は、固化して固体プラグとなり、排出に過大な圧力を必要とする。
しかし、本発明では、不活性ガス供給装置20が設けられているので、ノズル8先端部に吹付ける常温の不活性ガスだけで、Mgの酸化(燃焼)が防止できる。
【0028】
また、吹付ける不活性ガスの温度により、ノズル8先端部の温度を固相、半凝固、液相のいずれの状態にも保持することができる。
すなわち配管系内に配置されたガス用のガス温度調整装置23の加熱ヒータ、例えば、誘導加熱ヒータによって、瞬時に600℃以上にまで加熱することができるので、任意の温度のガスを温度制御することで、ガス出口部22より、射出ノズル8の出口に吹付けることができる。
600℃程度になった不活性ガスは、Mgの酸化を防止すると共に、ノズル8先端部を加熱するため、射出時に金型14と接触しても、ノズル8の過冷却を防止することができ、射出する時に発生するプラグの排出圧を低くできるばかりか、場合によっては溶湯あるいは半凝固スラリーの状態にすることができるので、金型内への射出圧を低くできる。この場合、プラグキャッチャーは不要となり、従来技術で問題となっていたプラグの回収動作を必要としなくなる。その結果、歩留まりは向上し、より良い成形品を得ることが出来るようになる。
【0029】
なお、自己閉鎖形のバルブとしては、ロータリー式も可能である。
図3に示す自己生成プラグ式のノズル8の場合、ノズル8先端部に向けて供給する不活性ガスの温度を常温とし、そのガス流量を流量調節装置24で調節することで、ノズル8先端部を積極的に冷却して、確実なプラグ生成が行える。
図5、6に示すものは、前記ガス出口部22が、前記ノズル8に取り付けられているものである。
即ち、前記ガス出口部22は、前記ノズル先端部を覆うカバー27を有する。このカバー27は、ノズル8先端部にボルト28により取り付けられた固定カバー29を有する。この固定カバー29は、ノズル8の大径部に嵌合する大径部30と、ノズル8先端の外周域を包囲する小径部31とが同心状に形成された段付き筒状に形成されている。この小径部31に移動カバー32が軸方向摺動自在に嵌合されている。この移動カバー32は、ノズル8先端部の外周と一定の間隔を有するように、先細テーパー状に形成され、その前端部が開口部33とされている。
【0030】
この開口部33を介して、前記ノズル8の先端は前記金型14にタッチ可能とされている。
図6に示すように、前記移動カバー32は、ノズル8が金型14とタッチしていないときは、カバー32の先端がノズル8の先端よりも前方に位置するように、スプリング等の付勢手段(図示省略)で伸張方向に付勢され、図5に示すように、ノズル8が金型14にタッチしたとき、移動カバー32はタッチ方向に縮むように伸縮自在に構成されている。
【0031】
前記カバーの小径部31に、不活性ガス供給管34が接続されて、カバー27内に不活性ガスを供給可能としている。また小径部31には、温度センサ挿通用の孔35が設けられている。
前記ガス供給管34から供給された不活性ガスを射出ノズル8先端部に向けて流すべく、前記カバー27のノズル後端側は閉じられているので、ノズル8先端部に向けて確実に不活性ガスを供給できる。また、射出時に万が一洩れが生じても周囲に飛散することがない。このとき(射出時も)、不活性ガスを供給していれば酸化燃焼を防ぐことができる。
【0032】
このように、金型14あるいは金型14が固定される固定盤12と協働して前記射出ノズル8の先端部または近傍を覆うカバー27を設けたので、金型接触時にガスの流出が抑えられ、ガスの消費を押さえることができる。
なお、前記カバー27は、ガスの消費をできるだけ抑えるため、ノズル8先端に略沿うようにノズル8先端部に向かって縮径する移動カバー32を設けているが、この移動カバー32は縮径しないストレートな筒状とすることもできる。
図5では、移動カバー32が金型14のスプルーブッシュ17に当接するようになっているが、先細テーパーでなく縮径しない場合(ストレートな筒状の場合)は、移動カバー32の先端が金型14のロケートリング18や固定盤12に当接する場合もある。ただし、これらの場合は、ノズル離間時にノズル8先端部を十分な不活性ガスリッチな状態とするために、移動カバー32をノズル8先端よりも大分突出させておく必要がある。
【0033】
また図5,6では、伸縮自在な2重筒状のカバー27により構成されているが、例えば蛇腹や弾性変形を利用して伸縮自在なものとすることもできる。
また、カバーを固定盤12に取付け、その長さをノズル8の可動範囲をカバーするようにすることもできる(図示省略)。この場合、カバーには、少なくともノズル可動方向に沿って複数のガス噴出口を設けることが好ましい。これは、図4に示すものと同じ技術である。
次に、前記構成の溶融金属射出成形装置を用いた成型方法につき説明する。
【0034】
本発明の溶融金属射出成形方法は、金型14から離間する際に高温の射出材料を内部に保持した状態の射出ノズル8を、射出を行うに際して金型14にノズルタッチさせるものである。そして、少なくとも射出ノズル8が金型14から離間した後で前記射出材料の酸化する温度に達する前から金型14にノズルタッチ完了するまでの間中、前記射出ノズル8先端部に向けて不活性ガスを供給するものである。
射出ノズル8は、金型14から離間すると金型14への熱伝導がなくなり温度が成形材料である軽合金の溶融点近傍(成形材料が酸化する温度でもある、約580℃乃至600℃)まで上昇する。このとき、シフト成形や金型の段替えでノズルタッチを解除すると空気中の酸素と反応することとなる。
【0035】
そこで、少なくとも射出ノズル8が金型14から離間した後で前記射出材料の酸化する温度に達する前から金型にノズルタッチ完了するまでの間中、前記射出ノズル8先端部に向けて不活性ガス(温度問わず)を供給することで、ノズル8先端内部に溜まった軽合金を酸化させないようにすることができる。
それにより、バルブタイプにおいて、成形品への酸化物の混入は無く、健全な成形品を得ることができる.また、上記成形工程上の問題も起きない。
前記射出ノズル8がバルブ手段を採用した場合、当該射出ノズル8先端部に向けて加熱した不活性ガスを供給する。
【0036】
加熱した不活性ガスをノズル8先端部に吹付けることにより、加熱しない不活性ガスの場合と比ベノズル8の温度低下を抑えることが可能となり、サイクルタイムが短縮できる。このとき、機械式バルブを採用しているため、射出直前に溶融点近傍までノズル8先端部の温度を上げても、ノズル8内部から流出することがない。
また前記射出ノズル8先端部に向けて供給する不活性ガスの流量を調節する。
流量あるいは不活性ガス温度を調整することにより、ノズル8先端部の温度制御が容易になり、成形のステップに合わせてのノズル8先端部の温度制御が可能となる。
【0037】
前記不活性ガスの供給は、前記射出ノズル8先端部に存在する前記射出材料が酸化反応を起さない温度となるよう前記射出ノズル8先端部に向けて行う。
このように前記射出ノズル8先端部に存在する前記射出材料が酸化反応を起さない温度となるよう前記射出ノズル8先端部に向けて不活性ガスを供給することで、ノズル8先端内部に溜まった軽合金を酸化させないようにすることができる。
前記射出ノズル8が自己生成プラグを採用した場合は、当該射出ノズル8先端部に向けて供給する不活性ガスの流量あるいは不活性ガス温度を調節することによりプラグを生成する。
【0038】
このようにプラグタイプにおいて、射出ノズル8先端部に向けて供給する常温の不活性ガスの流量を調節することで、ノズル8先端部積極的な冷却により確実なプラグ生成が行え、その結果サイクルタイムを短縮できる。
不活性ガスの供給を前記射出ノズル8の周囲に設けたカバー27により制限しつつ行うことができる。
このようにカバー27を用いることにより、不活性ガスを有効にノズル8先端部に吹付けることができ、同部の温度制御が容易になる。
【0039】
ノズル8が射出温度(例えば、Mgの場合、溶融点近傍である約600℃)となるようノズルヒータ9で制御されている場合、ノズル8が金型14に接触しているとノズル温度は、約490℃〜500℃となる。そして、ノズル8を金型14から離間させると次第に温度が上昇して射出温度(約600℃)となる。このとき、ノズル8先端での酸化反応を起させないためには、(バルブタイプの場合)少なくとも、酸化温度に達する前からノズルタッチ完了までの間中不活性ガスをノズル先端部に吹き付けるようにすればよいが、離間させた後、いつ酸化温度(約580℃〜)に達するか予測が困難なため、離間し始めから不活性ガスをノズル8先端に吹き付けるようにするとよい。なお、離間させる直前から吹き付けるようにするとより確実に酸化を抑制できる。
【0040】
なお、上記のような場合、ノズル8が離間しているときに常温の不活性ガスをノズル8先端に吹き付けると、ノズル8先端の温度は、約570℃となり酸化温度以下にすることができる。
なお、本発明は、前記実施の形態に示したものに限定されない。例えば、溶融金属材料として、Mg合金やAl合金などの軽合金が例示されるが、これらの金属に限定されない。射出成形品は、家電製品や自動車などの車両部品として用いられるが、これらの用途に限定されない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、ノズル先端部から液相あるいは半凝固スラリーが漏出することなく、確実にノズル先端で半凝固スラリーの閉止がなされ、また射出時には過大な圧力をかけることなく、射出できると共に、バッチ処理間におけるノズル先端内部での酸化物の生成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の形態を示す溶融金属射出成形装置の構成図である。
【図2】 図2は、機械式バルブのノズルを採用した図1に示す示す溶融金属射出成形装置の要部構成図である。
【図3】 図3は、自己生成プラグのノズルを採用した図1に示す示す溶融金属射出成形装置の要部構成図である。
【図4】 図4は、ガス出口部が固定である本発明の実施の形態を示す要部構成図である。
【図5】 図5は、ガス出口部がノズルに設けられた実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】 図6は、図5に示すノズルが金型から離れた状態を示す一部断面図である。
【符号の説明】
8 ノズル
14、15 金型
20 不活性ガス供給装置
22 出口部
23 ガス温度調整装置
24 流量調節装置
27 カバー
33 開口部
Claims (8)
- 溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する方法において、
前記ノズルが金型から離間したときにバルブ手段により前記溶融金属の漏出を防止し、
離間した前記ノズルの先端部に温度制御された高温の不活性ガスを吹き付け前記ノズルの先端部を不活性ガス雰囲気下で加熱して当該ノズル先端部に存在する前記溶融金属を溶湯または半凝固状態とする
ことを特徴とする溶融金属射出成形方法。 - 溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する方法において、
前記ノズルが金型から離間したときにバルブ手段により前記溶融金属の漏出を防止し、
前記ノズルが金型から離間している間中当該ノズルの先端部に向けて加熱した不活性ガスを供給する
ことを特徴とする溶融金属射出成形方法。 - 前記ノズルの先端部に向けて供給する不活性ガスの流量を調節する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融金属射出成形方法。 - 前記ノズルの先端より突出した伸縮自在なカバーによって前記ノズルの周囲を覆って供給範囲を制限しつつ前記不活性ガスの供給を行う
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の溶融金属射出成形方法。 - 溶融金属を射出機に設けられたノズルを介して金型内に射出成形する装置において、
前記ノズルには前記溶融金属の漏出を防止するためのバルブ手段が設けられ、
前記ノズルが前記金型と離間した位置において不活性ガスを供給して前記ノズルの先端部を不活性ガス雰囲気とするための不活性ガス供給装置を有し、
前記不活性ガス供給装置は、前記ノズルの先端部を加熱して前記ノズル内の溶融金属を溶湯または半凝固状態とするための供給不活性ガスの温度調整装置を有している
ことを特徴とする溶融金属射出成形装置。 - 前記不活性ガス供給装置は、前記ノズルの先端部に向けて不活性ガスを供給し当該ノズルとともに移動自在に設けられているガス出口部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の溶融金属射出成形装置。 - 前記ガス出口部は、前記ノズル先端部を覆うカバーを有し、
該カバーは、
前記ノズルが前記金型にタッチ可能とする開口部を有すると共に当該ノズルが該金型から離間したとき該ノズルの先端より突出し、当該ノズルが該金型にタッチしたときタッチ方向に縮むように伸縮自在に構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の溶融金属射出成形装置。 - 前記不活性ガス供給装置は、前記不活性ガスの流量を調節する流量調節装置を前記温度調整装置の上流側に有する
ことを特徴とする請求項5に記載の溶融金属射出成形装置。
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