JP3948688B2 - フィラーチューブの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のリアフェンダー等に開口形成された燃料注入口から注入された燃料を下方に設置された燃料タンクに導くフィラーチューブ(インレットホースともいう。)の取付構造に関し、更に詳細には、自動車の衝突時等に車体パネルの端部で、タンクキャップがはずされるのを有効に防止できるフィラーチューブの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリン等の自動車の燃料は、リアフェンダー等に開口形成された燃料注入口から注入されると、該燃料注入口に固定されたフィラーチューブと呼ばれる熱可塑性合成樹脂製のホース部材の中を通過して、燃料注入口よりも下方位置(一般には、車室の下方位置)に設置された燃料タンクに導かれる。
【0003】
かかるフィラーチューブの上方端部は、リアフェンダー等の車体パネルと連結し、外側に開口して燃料注入口を構成する部分となるとともに、タンクキャップが係合する部分でもあることから、自動車の衝突事故等の際には、保護される必要がある。即ち、衝突(特に後面衝突、側面衝突)により衝撃が車体パネルに加わった場合でも、タンクキャップがフィラーチューブからはずれないようにする必要がある。
【0004】
そこで、従来から、フィラーチューブの取付構造に関する一般的な従来技術(特開平1−247883号)を示す図4に示すように、フィラーチューブの上方端部には、タンクキャップ3の雄ねじと係合する雌ねじが内周に形成されたネック部4が形成されるとともに、該ネック部4の外周に延出形成されている外向きフランジ14の上面が、車体パネル2の裏側に接してボルト7で固定され、フィラーチューブ1は、車体パネル2に確実に固定されている。
【0005】
しかし、衝突事故等の際の強い衝撃により、車体パネル2に加わる衝撃力により、外向きフランジ14部分から車体パネル2がはずれてしまう可能性は否定できない(図5参照)。
【0006】
しかも、この場合、図4に示すように、タンクキャップ3の蓋部31は、車体パネル2の開口部13から露出している燃料注入口6上端部の外径よりも更に外側に傘状にせり出して、ネック部6に螺着固定されている。
【0007】
このため、同従来技術において車体パネルがタンクキャップに干渉している様子を示す図5のように、自動車事故等の際の車体パネル2の変形等により、車体パネル2がタンクキャップ3の蓋部31の外周下端部15の下側に入り込んで、該タンクキャップ3が上方にこじ開けられ、該キャップ3のシールリング(Oリング)部10の圧着力が得られなくなり気密漏れとなる事態が生じる可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、衝突事故等の際の強い衝撃により、万が一車体パネルがフィラーチューブのネック部からはずれた場合においても、タンクキャップを該車体パネル端部から確実に保護するために有効なフィラーチューブの取付構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のフィラーチューブの取付構造は、タンクキャップの装着される燃料注入口を構成する合成樹脂製フィラーチューブのネック部に平らな外向きフランジが一体に形成され、車体パネルの開口部の周縁部に前記フランジが固定されて、前記燃料注入口が前記開口部の上方に突出するフィラーチューブの取付構造であって、前記フランジの上面に、前記フランジと一体に前記燃料注入口を取り囲む立壁が突設され、該立壁は、前記燃料注入口に挿着されたタンクキャップの外周下端部より高く突出するとともに水抜き孔が形成され、前記フランジの立壁より外周側には薄肉部が設けられたことを特徴とする。
この燃料注入口を取り囲む立壁は、衝突事故等の際の強い衝撃により発生しうる車体パネル端部の燃料注入口及びタンクキャップ側への侵入を防ぐ、いわば防御壁となる。しかも、立壁には水抜き孔が形成されているので、燃料注入口と立壁の間の空間に雨水等が溜まることが防止される。
【0010】
前記立壁は、燃料注入口に挿着されたタンクキャップの外周下端部より高く突出する。この手段により、車体パネル端部がタンクキャップの外周下端部の下方部分に車体パネル端部のネック部側への侵入を有効に防止して、該車体パネル端部によって、タンクキャップに力が加わるのを防止する。
【0011】
前記フランジの立壁周りには、薄肉部が設けられた。この手段により、フィラーチューブやタンクキャップに衝撃力が加わった時に、薄肉部分で積極的に破断させることにより、衝撃力を緩和させフィラーチューブを有効に保護する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施例について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る実施例であるフィラーチューブの要部断面図、図2は、フィラーチューブ上端部の外観斜視図、図3は、同実施例の立壁周辺の拡大図である。
【0013】
符号1は、熱可塑性の合成樹脂等で成形されたフィラーチューブを示している。図示されていない該フィラーチューブ1の下端は、より下方に配置(図面下方、一般には車室の下)されて、車体に固定されている燃料タンク(図示せず)に連結されている。一方、フィラーチューブ1の上端部には、熱可塑性の合成樹脂等で別体で成形されたネック部4が接合等により一体化されて、フィラーチューブ1は該ネック部4を介して車体パネル2に連結されている(連結手段については後述)。
【0014】
そして、ネック部4の上端は、自動車のリアフェンダー等の車体パネル2から臨み出て燃料注入口6を形成しており、該燃料注入口6は、タンクキャップ3が着脱できるように形成されている。
【0015】
ここで、タンクキャップ3は、燃料注入口6を閉塞する役割を果たす部材であり、大別すると金属製又は樹脂製からなる傘状の蓋31と合成樹脂製の雄ねじ部12を外周部に備えた嵌入部32からなっている。
【0016】
該雄ねじ部12は、燃料注入口6の内周部に形成されている雌ねじ部11に係合するように形成されているため、タンクキャップ3を燃料注入口6に回しながら嵌入すると、燃料注入口6内周に固定され、該注入口6を閉塞する。
【0017】
一方、該タンクキャップ3を回しながらゆるめると、該キャップ3がはずれて、ネック部4の上端の燃料注入口6が露出し、該燃料注入口6に注入されたガソリン、軽油等燃料は、フィラーチューブ1を通過して、下方の燃料タンク(図示せず)に導かれる。
尚、図1に示す符号10は、燃料注入口6上端面とタンクキャップ3の密着性を高めるために、蓋部31の内側に設けられたゴム製のOリングを示している。
【0018】
次に、符号2は、自動車のリアフェンダー等を構成する車体パネルの一部を示している。該車体パネル2には、円形にくり抜かれた開口部13が形成されている。この開口部13には、燃料注入口6を構成するネック部4の上端部分が嵌入されるとともに、該開口部13の周縁部には、ネック部4がボルト7で固定されている。
【0019】
具体的には、ネック部4の上端外筒部には、対向する略菱形の延出部の形成された平らな外向きフランジ14が周設されており、この外向きフランジ14の上面を車体パネル2の裏側の面に接するようにして、ネック部4の上端部が車体パネル2の開口部13から突出するように構成されている。
【0020】
そして、該外向きフランジ14には、車体パネル2に形成されているボルト固定用孔9bに対応するボルト固定用孔9aが形成され、該ボルト固定用孔9a、9bにボルト7を螺着させることにより、車体パネル2と外向きフランジ14を連結固定している。尚、ボルト7の固定箇所は、2カ所に限るものではなく、更に複数箇所設けてもよい。
【0021】
以下、ネック部4の外向きフランジ14に形成された円筒形状の立壁5、即ち、本発明の要部について説明する。
該立壁5は、ネック部4の上端に形成されている燃料注入口6の外周を取り囲むように、即ち、燃料注入口6の外側に同心円状に、外向きフランジ14の上面から該フランジ14と一体に突設されている。
【0022】
この燃料注入口6を取り囲む立壁5は、自動車の衝突事故等の際の強い衝撃により発生し得る車体パネル端部21の燃料注入口6及びタンクキャップ3側への侵入を防ぐために設けられたものであり、いわば車体パネル端部21の侵入を防ぐ防御壁と呼ぶべきものである。
【0023】
ここで、立壁5の外向きフランジ14の上面からの高さH1(図3参照)を、燃料注入口6に装着されたタンクキャップ3の傘状の蓋31の外周下端部15の外向きフランジ14の上面からの高さH2(図3参照)よりも高く形成することにより、車体パネル端部21が、立壁5を乗り越えて燃料注入口6側に侵入してきたとしても、タンクキャップ3の外周下端部15の下側に入り込むことがなくなる。
【0024】
即ち、この構成により、車体パネル端部21によってタンクキャップ3が跳ね上げられたり、押し倒されたりして、燃料注入口6からタンクキャップ3がはずれてしまうような事態をより確実に防ぐことができる。従って、衝突事故で車が横転等した場合でも、フィラーチューブ1を逆流してきた燃料が外部に流出する事態を回避し、火災を引き起こす心配が全くなくなる。
【0025】
尚、図2に示す符号8は、立壁5の一部に形成された水抜き孔であり、燃料注入口6と立壁5の間の空間に雨水等が溜まるのを防止するために設けられたものである。
【0026】
ここで、外向きフランジ14の立壁5の外周に、該フランジ14の裏側から断面V字形状の薄肉部16(図1,図3参照)を周設することにより、衝突等によって車体パネル2に大きな衝撃力が加わった場合に、外向きフランジ14を該薄肉部16の部分で断裂させ、車体パネル2側とフィラーチューブ1側に分断する。
【0027】
このように、フランジ14を衝撃力によって断裂しやすい構造とすることで、車体パネル2にかかる衝撃力は、フィラーチューブ1に伝達されず、フィラーチューブ1及びタンクキャップ3を有効に保護することができる。
【0028】
【発明の効果】
発明の効果を説明すれば、以下の通りである。
(1)タンクキャップの装着される燃料注入口を構成する合成樹脂製フィラーチューブのネック部に平らな外向きフランジを一体に形成して、車体パネルの開口部の周縁部に外向きフランジを固定し、燃料注入口が前記開口部の上方に突出するフィラーチューブの取付構造とし、前記フランジの上面に、前記フランジと一体に燃料注入口を取り囲む立壁を突設したことにより、衝突事故等の際の強い衝撃により発生しうる車体パネル端部の燃料注入口及びタンクキャップ側への侵入を確実に防ぐことができる。しかも、立壁には水抜き孔が形成されているので、燃料注入口と立壁の間の空間に雨水等が溜まることが防止される。
【0029】
(2)立壁は、燃料注入口に挿着されたタンクキャップの外周下端部より高く突設したことにより、車体パネル端部のタンクキャップの外周下端部の下方部分への侵入を有効に防止して、該車体パネル端部によって、タンクキャップが跳ね上げられたり、押し倒されたりして、燃料注入口からはずされるのを確実に防止することができる。
【0030】
(3)外向きフランジの立壁周りに、薄肉部を設けたことにより、車体パネルに衝撃力が加わった時に、薄肉部が破断し、フィラーチューブに衝撃力を伝達しないため、フィラーチューブを有効に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例であるフィラーチューブの要部断面図
【図2】同フィラーチューブ上端部の外観斜視図
【図3】同上端部の立壁周辺の拡大図
【図4】フィラーチューブ上端部の一般的な従来技術を示す図
【図5】同従来技術において車体パネルがタンクキャップに干渉している様子を示す図
【符号の説明】
1 フィラーチューブ
2 車体パネル
3 タンクキャップ
4 ネック部
5 立壁
6 燃料注入口
13 車体パネル開口部
14 外向きフランジ
15 タンクキャップ外周下端部
16 薄肉部

Claims (1)

  1. タンクキャップの装着される燃料注入口を構成する合成樹脂製フィラーチューブのネック部に平らな外向きフランジが一体に形成され、車体パネルの開口部の周縁部に前記フランジが固定されて、前記燃料注入口が前記開口部の上方に突出するフィラーチューブの取付構造であって、
    前記フランジの上面に、前記フランジと一体に前記燃料注入口を取り囲む立壁が突設され、該立壁は、前記燃料注入口に挿着されたタンクキャップの外周下端部より高く突出するとともに水抜き孔が形成され、
    前記フランジの立壁より外周側には薄肉部が設けられたことを特徴とするフィラーチューブの取付構造。
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