JP3948308B2 - ピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各種のスイッチにおいて、外観を向上させて高級感を得るなどの目的で操作用のハンドル(スイッチ用ハンドル)の前面(操作面)に模様部を設けたものが提供されている。
【0003】
ハンドルの前面に模様部を設けたスイッチの一例として、押操作可能な押釦ハンドルを有する押釦スイッチよりなるスイッチ本体の前面側に、スイッチ本体に一端部が枢着され後面が押釦ハンドルに対向するピアノハンドルを配置したピアノハンドル式スイッチが提供されている。ピアノハンドルはピアノの鍵盤と同様に一端部を支点として他端部を押し込むことができる構成になっている。また、ピアノハンドル式スイッチは、ピアノハンドルの操作面が押釦ハンドルの操作面よりも大型であって、指以外の部位を用いて押操作することも可能になっており、ピアノハンドルの前面に模様部が設けられている。
【0004】
この種のピアノハンドル式スイッチとしては、例えば、図30に示す構成ものが知られている。図30に示したピアノハンドル式スイッチは、器体の前面側に設けた押釦ハンドル14の押圧操作により器体内の接点部の切り換えが行われるスイッチ本体1と、スイッチ本体1の前面に対向する形で配設され一端部がスイッチ本体1に枢着されるとともに押釦ハンドル14を押し込み可能なピアノハンドル2とを備えている。スイッチ本体1の器体は、図31に示すように、矩形枠状であって器具取付用の窓孔4aを有した取付枠4に保持されるように構成されている。ここに、取付枠4の前面側には取付枠4の窓孔4aよりも長寸かつ広幅の開口窓5a,6aを備えるプレート(プレート枠5および化粧プレート6)が重ね合わせて配置される(図32参照)。なお、取付枠4は器具取付手段としての器具取付孔4bを長手方向において3組備えている。
【0005】
スイッチ本体1の器体は直方体状であって、ともに合成樹脂成形品である前面開口したボディ11と、ボディ11の前面側に結合される後面開口したカバー12とにより形成されている。
【0006】
スイッチ本体1の器体の短手方向の寸法は、大角連用形(JIS C8304参照)と称する埋込型の配線器具の施工時に用いる取付枠に3個まで取着可能な寸法に形成してある。つまり、上述した取付枠4の窓孔4aの長手方向の寸法は埋込型の配線器具の施工時に用いる取付枠の窓孔の長手方向の寸法と等しく設定してあり、したがって、スイッチ本体1の器体の短手方向の寸法は取付枠4の窓孔4aの長手方向の寸法の略3分の1の寸法になる。この寸法は大角連用形の配線器具と同様に、「1個モジュール寸法」と呼ばれている。
【0007】
一方、スイッチ本体1の器体の長手方向の寸法は窓孔4aの短手方向の寸法に略等しく、器体の前部を形成するカバー12の長手方向の各側面には、取付枠4の窓孔4aを囲む部位に設けた上記器具取付孔4bに係合可能な取付爪13がそれぞれ一対ずつ突設してあり、取付爪13が器具取付孔4bに係合することによって器体が取付枠4に保持されるようにしてある。
【0008】
ここにおいて、スイッチ本体1の器体のカバー12の前面側端部には、ピアノハンドル2を枢着するために、斜め前方に突出する一対の軸部15が一体に突設してある。軸部15の前端部はカバー12の短手方向に沿った円柱状に形成されている。ピアノハンドル2の合成樹脂製のハンドル本体21の後面の一端部には、図33に示すように、板ばねにより形成された金属製の軸受用ばね体23bをはめ込み用穴23aに装着した軸受部23が設けてある。はめ込み用穴23aは内周面の片側に係止穴23eを備え、はめ込み用穴23aに収納される軸受用ばね体23bの抜け止め爪23cを係止して軸受用ばね体23bを固持している。軸受用ばね体23bは先端をはめ込み用穴23a内へ突出させるように曲げ形成され、突出部23dとはめ込み用穴23aとで軸部15を保持する。
【0009】
はめ込み用穴23aの開口付近には軸受用ばね体23bの突出部23dが設けてあるから、はめ込み用穴23aの内部よりも開口幅が狭く、スイッチ本体1に設けた軸部15を軸受用ばね体23bのばね力に抗してはめ込み用穴23aに弾性的にはめ込むと、軸部15と軸受部23とが枢着され、容易には外れないようにしてある。このように軸部15を軸受部23に回動自在に嵌め込むことでピアノハンドル2を回動自在に枢着することができる。なお、ピアノハンドル2のハンドル本体21の他端部には後方に向かって抜け止め用の抜止片21aを突設してある。抜止片21aはカバー12の前壁に形成した挿入孔12aを通して空所12b内に挿入され、抜止片21aの先端部に設けた係止爪21bが挿入孔12aの周縁に係止されることによって、ピアノハンドル2の回動範囲が規制される。なお、挿入孔12aは器体の短手方向に3個並んで設けられている。
【0010】
上記のようにピアノハンドル2がスイッチ本体1に取り付けられることにより、ピアノハンドル2の上記他端部を押操作すると、軸受部23と軸部15との枢着部を中心にしてピアノハンドル2が回動する。ピアノハンドル2の後面には一対の操作用リブ(図示せず)が突設されており、ピアノハンドル2を押操作すれば上記操作用リブによってスイッチ本体1に設けた押釦ハンドル14が器体に押し込まれるのである。
【0011】
ところで、上述した取付枠4は1個モジュール寸法のスイッチ本体1を3個取り付けることができるものであるから、3個用の取付枠4と呼ばれている。すなわち、取付枠4の窓孔4aの両側の側片には、スイッチ本体1の取付爪13が係止される2個1組の器具取付孔4b,4bが3組ずつ設けてあり、窓孔4a内でスイッチ本体1の取付位置を3箇所選択できるようになっている。ここで、窓孔4aの長手方向にスイッチ本体1の短手方向を一致させてスイッチ本体1を取付枠4に取り付ける場合の3つの取付位置を、それぞれ上端位置、中央位置、下端位置と呼ぶことにする。また、取付枠4に1個モジュール寸法のスイッチ本体1を1個取り付ける際に用いるピアノハンドル2であって、図31および図32に示すようにプレート(プレート枠5および化粧プレート6)の開口窓5a,6aを1個で覆う程度の寸法を有したピアノハンドル2(図34および図35参照)を1個用のピアノハンドル2と呼ぶことにする。同様に、3個用の取付枠4に1個モジュール寸法のスイッチ本体1を2個取り付ける際に用いるピアノハンドル2であって、各スイッチ本体1にそれぞれ取り付けられプレートの開口窓5a,6aを2個で覆う程度の寸法を有したピアノハンドル2(図36参照)を2個用のピアノハンドル2と呼ぶことにし、さらに、3個用の取付枠4に1個モジュール寸法のスイッチ本体1を2個取り付ける際に用いるピアノハンドル2であって、各スイッチ本体1にそれぞれ取り付けられプレートの開口窓5a,6aを3個で覆う程度の寸法を有したピアノハンドル2(図37参照)を3個用のピアノハンドル2と呼ぶことにする。
【0012】
上述した3種類のピアノハンドル2の上下方向(スイッチ本体1の短手方向)の寸法の関係は、(1個用のピアノハンドル2の上下寸法)≒(2個用のピアノハンドル2の上下寸法)×2≒(3個用のピアノハンドル2の上下寸法)×3になる。また、上述したようにプレートの開口窓5a,6aは取付枠4の窓孔4aよりも長寸かつ広幅であり、この窓孔4aにスイッチ本体1を挿入して取り付けるから、3個用のピアノハンドル2の上下寸法はスイッチ本体1の上下寸法よりも大きくなっている。つまり、いずれのピアノハンドル2も押釦ハンドル14よりも操作面の面積が大きく、したがって押釦ハンドル14を押操作するよりもピアノハンドル2を押操作するほうが、操作が容易になっている。
【0013】
ところで、スイッチ本体1の器体内には発光手段(図示せず)が設けてあり、この発光手段からの光を外部に出すための光透過性樹脂カバーが被着された透光窓16がカバー12の軸部15,15間に設けられ、ピアノハンドル2には透光窓16からの光が導光されて発光表示を行う表示部24が設けられている。したがって、発光手段による発光はピアノハンドル2に設けた表示部24で視認できるようになっている。発光手段としては、接点部がオンの場合に発光するものと、接点部がオフの場合に発光するものとがある。ここに、スイッチ本体1に設けた発光手段からの光をピアノハンドル2の表示部24に導光して発光表示するにあたって、ピアノハンドル2には、発光手段の光を表示部24に導光するためのレンズ25を設けてある。なお、レンズ25はピアノハンドル2の後面に固着されている。また、表示部24は、光透過性樹脂により形成され、ハンドル本体21において透光窓16に対応する部位に開口されレンズ25を臨ませた表示孔21cにハンドル本体21の前面側から被着されているもので、中央部にレンズ部24aが形成されている。
【0014】
また、上述の1個用のピアノハンドル2は、図30に示すように、ネームカード26が取り付けられるようになっている。すなわち、ピアノハンドル2は、ハンドル本体21の前面側に凹平面28を設け、該凹平面28の底にネームカード26の出し入れ用のカード取付窓29を設け、このカード取付窓29にはハンドル本体21の後面側から開閉自在に枢支された扉27を設けてある。また、凹平面28内にはカード取付窓29に対応して配置されるネームカード26が見えるように中央部32aが透明なネームカバー32がシート状の接着材を用いて固着されている。なお、ネームカバー32の後面には複数の突起32bが突設されており、凹平面28には突起32bを圧入するための圧入用孔28aが穿設されている。
【0015】
上述の扉27は、一端の両側に軸体27a,27aを突設し、この軸体27a,27aをカード取付孔29の一端部の両側に凹平面28側に開口するように設けた軸受部28b,28bに回動自在に嵌め込んで、軸体27a,27aを中心にカード取付窓29を開閉できるようになっている。この場合、ネームカバー32が上述のように固定されることにより軸受部28b,28bに嵌った軸体27a,27aは脱落しないようになっている。
【0016】
そして、扉27の他端部の両側には突起27b,27bが設けられ、この突起27b,27bはカード取付窓29の他端部の両側に形成した係合部28c,28cに圧入係合して閉じた状態を保持するようになっている。しかして、ネームカード26を収納する場合には扉27を開いてネームカード26をカード取付窓29に嵌めてネームカバー32の後面に載せ、この状態で扉27を閉じれば扉27とネームカバー32との間にネームカード26が挟持され、ネームカバー32の中央部32aより前面側からネームカード26の文字、数字、記号などの表記が視認できることになる。
【0017】
なお、上述した取付枠4は壁面のような施工面に対して3種類の取付方法が選択可能となるように構成してある。すなわち、取付枠4の上片および下片には壁に埋込配設された埋込ボックスの開口側に設けた取付舌片に螺合するボックスねじを挿通するための長孔4cが形成されている。また、施工面が木質壁などの場合には施工面に螺入するねじを用いて取付枠4を直付けする場合があるから、直付け用のねじを挿通するためのねじ挿通孔4dも上片と下片とに形成されている。さらに、上片および下片には、施工面が石膏ボードのようなパネル材であるときに使用するはさみ金具(図示せず)の一端部を係止するはさみ金具取付孔4eと、プレート枠5を取り付ける取付ねじ7を螺合させる取付ねじ孔4fとが設けてある。
【0018】
取付枠4の前面側に取付ねじ7によって取り付けられるプレート枠5は、ABS樹脂のような合成樹脂によって矩形枠状に形成された成形品であって、上片と下片とにそれぞれ取付ねじ7が挿通されるねじ挿通孔5bが設けてある。また、プレート枠5の左片および右片にはそれぞれ化粧プレート6の係止片(図示せず)が挿入係止される係止孔5cがそれぞれ3個ずつ設けてある。
【0019】
プレート枠5に結合される化粧プレート6は、プレート枠5と同様にABS樹脂のような合成樹脂によって矩形枠状に形成されている。また、化粧プレート6の後面にはプレート枠5に結合するための上記係止片が6本突設されている。
【0020】
スイッチ本体1を取り付けた取付枠4に取付ねじ7によってプレート枠5を取り付け、さらに化粧プレート6をプレート枠5に結合するとともに、スイッチ本体1にピアノハンドル2を取り付けると、プレート枠5および化粧プレート6の中央部の開口窓5a,6aを通してピアノハンドル2の一部をプレートの前方に突出させることができ、この状態でピアノハンドル2を押操作することができることになる。
【0021】
ところで、上述のピアノハンドル2では、成形時に成形金型へデザイン用のインク層が裏面に形成されたフィルムを入れることでデザイン用のインク層が前面にインモールド転写されたネームカバー32が用いられている。ここにおいて、ネームカバー32の前面には上記インク層によって多数の化粧ライン33aからなる模様部33が形成されている。なお、ネームカバー32は、後面側に配設されるネームカード26の表記が外部から見えるように中央部32aが透明材料により形成されており、中央部32aおよび周部を除いた部位に多数の化粧ライン33aがストライプ状に配列された模様部33が形成されている。
【0022】
上述のピアノハンドル式スイッチでは、ネームカバー32の前面に模様部33が設けられているので、ピアノハンドル2の外観が向上し高級感が得られるという利点を有している。
【0023】
また、近年では、図38ないし図40に示すような1個用のピアノハンドル2、図41に示すような2個用のピアノハンドル2、図42に示すような3個用のピアノハンドル2も提供されている。これらのピアノハンドル2の前面における模様部33の各化粧ライン33aは、ピアノハンドル2のハンドル本体21の前面に実質的に凹凸が形成されない程度に、ハンドル本体21を構成する合成樹脂成形品にレーザビームを照射して炭化反応させて、他の部分と色差が生じるように発色させることによって形成されている。ここに、ハンドル本体21は、着色材を含有した合成樹脂材料により形成されている。なお、図38〜図42に示したピアノハンドル2の模様部33の形成位置は、上述のインモールド転写により形成した模様部33と同様にレイアウトされている。
【0024】
図38ないし図42に示したピアノハンドル2のハンドル本体21は、軸受部23を設けている一端部における上下方向の中央部であってスイッチ本体1の透光窓16に対応する部位に表示孔21cが開口されており、表示孔21cにはピアノハンドル2の後面側からレンズ25の前端部が嵌め込んである。ここに、レンズ25は発光手段からの光をピアノハンドル2の前面側に導くように形成された透明合成樹脂の成形品であり、ハンドル本体21に固着され、レンズ25の前端部が表示部を構成している。
【0025】
ピアノハンドル2のハンドル本体21の上下方向の中央部であって表示孔21cよりも上記他端部側にはカード取付窓29が貫設されている。カード取付窓29は透明合成樹脂の成形品であるネームカバー32で覆われる。ネームカバー32は、図40および図43に示すように、ピアノハンドル2の後面側に開閉する扉27とともにカード取付ブロックを構成しており、ネームカバー32においてカード取付窓29を覆う部位と扉27との間に、ネームカード26を保持することができるようになっている。
【0026】
図41に示した2個用のピアノハンドル2は上下寸法が図38に示した1個用のピアノハンドル2と異なるが、他の構成は1個用のピアノハンドル2と同様である。
【0027】
これに対して図42に示した3個用のピアノハンドル2は上下寸法以外にも相違する点がある。以下、この点について説明する。取付枠4の取付窓4aに3個のスイッチ本体1を取り付ける場合には、上述の上端位置と中央位置と下端位置とにそれぞれスイッチ本体1を取り付け、各スイッチ本体1にそれぞれ3個用のピアノハンドル2を取り付ける。3個用のピアノハンドル2の後面の一端部には4個の軸受部23がスイッチ本体1の軸部15に対応する一定間隔で設けられる。また、上2個の軸受部23と下2個の軸受部とに対応する軸受用ばね体23bはそれぞれ一体に形成されている。つまり、4個の軸受部23に対して軸受用ばね体23bを2部材で実現してある。また、3個用のピアノハンドル2では抜止片21aはピアノハンドル2の上下方向の中央付近に1個ずつ設けられる。
【0028】
取付枠4に3個のスイッチ本体1を並設した場合、中央位置のスイッチ本体1に取り付けるピアノハンドル2は、中央の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、中央位置のスイッチ本体1についてはスイッチ本体1の上下方向の中心とピアノハンドル2の上下方向の中心とが一致する。また、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の中央の挿入孔12aに挿入される。一方、上端位置のスイッチ本体1に取り付けられるピアノハンドル2は、下側の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、上端位置についてはスイッチ本体1の上下方向の中心よりもピアノハンドル2の上下方向の中心が上にずれて位置することになり、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の上の挿入孔12aに挿入される。また、下端位置のスイッチ本体1に取り付けられるピアノハンドル2は、上側の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、下端位置についてはスイッチ本体1の上下方向の中心よりもピアノハンドル2の上下方向の中心が下にずれて位置することになり、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の下の挿入孔12aに挿入される。
【0029】
以上の説明からわかるように、取付枠4に3個のスイッチ本体1を取り付ける場合には、上端位置と下端位置とにおいて、スイッチ本体1の上下方向の中心がピアノハンドル2の上下方向の中心に一致しない。そこで、3個用のピアノハンドル2では、表示孔21cに嵌め込んだ表示部24の後面側に光学的に結合されるプリズムよりなるレンズ25を設けてある。レンズ25は、ピアノハンドル2の後面側で表示孔21cよりも上下方向に広がる形状に形成され、透光窓16の位置が表示孔21cに対して上下にずれている場合でも、発光手段からの光を表示部25に導く形状に形成されている。このように、3個用のピアノハンドル2では、上端位置および下端位置において、上下方向の中心位置がスイッチ本体1の上下方向の中心位置とはずれるが、ピアノハンドル2に設けたレンズ25の機能によって発光手段の光を表示孔21cの位置に導くことができる。また、ピアノハンドル2に4個の軸受部23を設け、かつスイッチ本体1に3個の挿入孔12aを形成していることによって、3個用のピアノハンドル2についても、上端位置、中央位置、下端位置を区別することなく共通の部材を用いることができる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようにインモールド転写により模様部33を形成したネームカバー32を備えたピアノハンドル2では、転写用フィルムのコストが高く、しかも、ネームカバー32の成形に専用の成形機が必要で成形コストが高いので、低コスト化が難しいという不具合があった。また、ネームカバー32の前面が頻繁に手で触れる場所であるにもかかわらずネームカバー32の前面に化粧ライン33aが転写されているので、化粧ライン33aの耐久性が十分でないという不具合があった。
【0031】
一方、図38〜図42に示したようなピアノハンドル2では、ハンドル本体21の前面にレーザビームを照射して炭化反応させて発色させることで化粧ライン33aを形成しているので、転写用フィルムが不要になるとともに成形に伴うコストの削減を図ることができるという利点がある。また、レーザビームを照射することにより形成される化粧ライン33aは、インモールド転写により形成される化粧ライン33aの位置精度に比べて精度が高いので良品率が高くなるから、製造コストを低減でき、低コスト化を図ることができるという利点がある。
【0032】
しかしながら、図38〜図42に示したピアノハンドル2では、上述の着色材を含有した成形材料を使用する必要があり、使用材料が限られ、使用材料毎に化粧ライン33aの色品質を確保し且つ化粧ライン33aに起因した面粗さを小さくするためにレーザビームの照射条件を変更する必要が生じコストが高くなるという不具合や、高級感が得られにくく先に述べたピアノハンドル2と比べると安価に見えるという不具合があった。
【0033】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、低コストで外観を向上できるピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルおよびその製造方法を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、合成樹脂の成形品よりなるハンドル本体と、透明合成樹脂の成形品よりなりハンドル本体の前面側に超音波溶着にて被着されるハンドルカバーとを備え、ハンドルカバーは後面側にハンドルカバー自体で化粧模様が形成され、ハンドル本体は、前面が露出面となる突台部と、ハンドルカバーが前面側に被着されるカバー取付部とが並設され、カバー取付部の周部に段部を形成することによりカバー取付部においてハンドルカバーを溶着する部位に段差を設けてなることを特徴とするものであり、ハンドルカバーの後面側にハンドルカバー自体で形成されている化粧模様をハンドルカバーの前方から視認できるので低コストで外観を向上でき、しかも、カバー取付部にハンドルカバーを溶着する際に溶けた部分がハンドルカバーの外側にはみだすことを防止することが可能となる。また、請求項1の発明は、カバー取付部の周部に段部を形成することによりカバー取付部においてハンドルカバーを溶着する部位に段差を設けてなり、ハンドルカバーは、前壁の外周縁から後方に向かって延設された周壁を有し、当該周壁の後縁がカバー取付部の段部の前面に重なる形でカバー取付部に被着されてなり、ハンドルカバーは、前記後面の化粧模様が当該ハンドルカバーの周壁の内側面に跨って形成されているので、スイッチ本体の施工面に沿った方向からも化粧模様を視認でき、しかも、化粧プレートの開口窓内に配置された状態において、ピアノハンドルと化粧プレートとの境界を明確にすることができ、ピアノハンドルと化粧プレートとの間に別の部材が挟まっているように見えて違和感が生じる恐れを少なくすることができる。
【0035】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバー取付部には前記段差を設けた部位に前記ハンドルカバーを超音波溶着にて溶着するための溶着用突起が設けられているので、前記溶着用突起が溶けた際に外側にはみだすのを防止することが可能となる。
【0036】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記カバー取付部には複数の溶着用突起が前記ハンドルカバーが傾かないように配設してあるので、溶着時に前記ハンドルカバーが傾くのを抑制することができ前記各溶着用突起を均一に溶かすことが可能となり、前記ハンドル本体に対する前記ハンドルカバーのがたつきを防止することができる。
【0037】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記ハンドルカバーの前面を前記突台部の前面に揃えてあるので、前記ハンドル本体の前記突台部の前面と前記ハンドルカバーの前面との間に段差が形成されて外観が損なわれるのを防止することができるとともに、手触りが良くなる。
【0038】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記ハンドル本体には、ピアノハンドル式スイッチの用途に応じた表記がなされたネームカードの前面を露出させるカード取付窓が形成され、前記ハンドルカバーは、前記カード取付窓に対応する部位にレンズ部が一体に設けられ、前記レンズ部の後端部がカード取付窓に嵌合する形状に形成されているので、前記ハンドルカバーを前記ハンドル本体に超音波溶着する際に前記ハンドル本体に対する前記ハンドルカバーの位置決めが容易になるとともに位置ずれを規制することができ、外観を向上できる。
【0039】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルの製造方法であって、前記ハンドル本体の前記カバー取付部の前面側に前記ハンドルカバーを被せ、その後、前記ハンドル本体と前記カバー取付部とを超音波溶着にて結合するので、低コストで外観を向上したピアノハンドルを提供することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下の各実施形態では、スイッチ用ハンドルとして、従来の技術で説明したスイッチ本体1(図30参照)の押釦ハンドル14(図30参照)の前面に対向する形で配設され一端部がスイッチ本体1に枢着して用いられるピアノハンドルを説明する。
【0041】
(実施形態1)
以下、本実施形態のピアノハンドル2について図1ないし図12を参照しながら説明する。
【0042】
本実施形態のピアノハンドル2は、1個用のピアノハンドル2であって、図1ないし図5に示すように、外周形状が矩形状に形成された合成樹脂(例えば、ABS樹脂など)の成形品よりなるハンドル本体21と、透明合成樹脂(例えば、アクリル樹脂など)の成形品よりなりハンドル本体21の前面側に被着されるハンドルカバー22とを備えている。以下では従来例と同様、上述の3個用の取付枠4(図6、図7、図31参照)の窓孔4a内に配置される場合に窓孔4aの長手方向に沿った方向をピアノハンドル2の上下方向として説明する。
【0043】
ハンドルカバー22はハンドル本体21に上下方向を揃えた形でハンドル本体21の前面側に被着されるものであり、ハンドルカバー22の上下方向の寸法はハンドル本体21の上下方向の寸法に略等しく、ハンドルカバー22の左右方向の寸法はハンドル本体21の左右方向の寸法よりも短くなっており、ハンドル本体21の上記一端部の前面とハンドルカバー22の前面とを揃えてある(略面一としてある)。なお、上記従来例と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、本実施形態のピアノハンドルの外周形状は従来例で説明した1個用のピアノハンドル2と同じ形状に形成されており、化粧プレート6の開口窓6aを1個で塞ぐことができるようになっている。
【0044】
ハンドル本体21の上記一端部の後面に設けられる軸受部23(図2参照)は、上記従来例と同様、スイッチ本体1に設けた一対の軸部15に対応するように上下方向の中央部付近に2つ設けられており、ハンドル本体21の各軸受部23に取り付けられる軸受用ばね体23bは連続した1部材で形成されている。ピアノハンドル2は、ハンドル本体21の2つの軸受部23にスイッチ本体1の2つの軸部15を嵌め込むことにより、スイッチ本体1の上下方向の中心と1個用のピアノハンドル2の上下方向の中心とが一致するように取り付けられる。また、ピアノハンドル2の他端部の後面には上下方向の中央部付近に2本の抜止片21aが突設され、各抜止片21aはスイッチ本体1の上下の挿入孔12aに挿入される。
【0045】
ピアノハンドル2のハンドル本体21は、軸受部23を設けている一端部における上下方向の中央部であってスイッチ本体1の透光窓16に対応する部位に表示孔21cが開口されており、表示孔21cにはピアノハンドル2の後面側からレンズ25の一部が嵌め込んである。ここに、レンズ25は発光手段からの光をピアノハンドル2の前面側に導くように形成された透明合成樹脂の成形品のレンズであり、ハンドル本体21の後面側からハンドル本体21に固着され、レンズ25の前端部が表示部を構成している。
【0046】
ところで、ハンドル本体21は、図8に示すように、上記一端部に前面が縦長の矩形状の露出面となる突台部21dを設けてあり、突台部21dの右側にハンドルカバー22が被着される外周形状が矩形状のカバー取付部21eを形成してある。ここに、カバー取付部21eの外周形状は突台部21dの外周形状よりも幅広に形成されており、突台部21とカバー取付部21eとを合わせた外周形状がハンドル本体21の外周形状となっている。カバー取付部21eの周部には突台部21側の中央部を除いて段部21fが形成されている。したがって、カバー取付部21eの周部には段差が設けられていることになる。
【0047】
ハンドルカバー22は、前壁22aの外周縁から後方に向かって延設された周壁22bを備え、ハンドル本体21のカバー取付部21eにハンドルカバー22を被せたときに周壁22bの後縁がカバー取付部21eの段部21fの前面に重なるようにしてある。ここで、ハンドルカバー22の周壁22bには、カバー取付部21eの周部において段部21fの形成されていない部位が嵌合する切欠部22g(図9参照)が形成されている。なお、ハンドルカバー22は、周壁22bにおける切欠部22gの前側に成形用金型のゲート跡G(図9参照)が形成されるように成形用金型を設計してあり、ハンドルカバー22をハンドル本体21に結合した状態ではゲート跡Gが前方から見えにくくなっている。
【0048】
一方、ハンドル本体21はハンドルカバー22を超音波溶着するために、図8に示すように、段部21fの前面に複数(本実施形態では、8つ)の溶着用突起21gを連続一体に設けてある(つまり、溶着用突起21gはカバー取付部21eにおいて段差を設けた部位に形成されている)。溶着用突起21gは、図8(c),(d)に示すように、カバー取付部21eの外周からやや離れて設けられ、外周から離れるほど突出量が徐々に大きくなる断面三角形状に形成されている。なお、溶着用突起21gは、カバー取付部21eの左右両側で4つずつ上下方向に離間して設けてある。ここに、上下方向における各溶着用突起21gの形成位置は左右両側で揃えてある。
【0049】
したがって、ハンドル本体21にハンドルカバー22を被着する場合には、ハンドルカバー22をハンドル本体21のカバー取付部21eに被せてカバー取付部21eの段部21fの前面にハンドルカバー22の周壁22bの後縁を対向させ各溶着用突起21gに当接させた状態で超音波ホーンを押し当て溶着用突起21gを超音波により溶融させてハンドル本体21とハンドルカバー21とを超音波溶着すればよいのである。
【0050】
ここにおいて、ハンドル本体21のカバー取付部21eの上下方向の中央部にはカード取付窓29が開口され、ハンドルカバー22の上下方向の中央部には後端部がカード取付窓29に嵌合するように後面から後方へ突出したカードカバー部22dが一体に形成されているので、ハンドルカバー22のカードカバー部22dの後端部をカード取付窓29に嵌合することでハンドル本体21への位置決めを行うことができて上下左右への位置ずれが規制され、溶着用突起21gの溶けた溶着部21g’(図1(c),(d)参照)が外側にはみ出しにくくなり、溶着部21g’により外観が損なわれるのを防止することができる。
【0051】
しかも、ハンドル本体21は、上下方向における各溶着用突起21gの形成位置が左右両側で揃えてあるので、ハンドルカバー22の溶着時にハンドルカバー22が左右で傾くのを防止することができ、各溶着用突起21gが略均一に溶けることになり、ハンドル本体21へのハンドルカバー22の結合強度を高めることができる。したがって、ハンドル本体21に超音波溶着により結合したハンドルカバー22のがたつきを防止することができる。なお、溶着用突起21gはカバー取付部21eの4隅近傍に加えて、長手方向(上下方向)の中間部に設けることが望ましく、本実施形態では、溶着用突起21gを8箇所に設けてある。
【0052】
また、ハンドル本体21の突台部21dとハンドルカバー22との互いの対向面の間には、図3(b)に示すように、両面間の距離を前後方向の中間部よりもやや大きくする傾斜面が前後方向の前側で突台部21に形成されるとともに後側でハンドルカバー22に形成されており、上記対向面の間に微小な隙間が形成されているので、溶着用突起21gが溶けた際に溶着部21g’(図1(c)参照)が突台部21およびハンドルカバー22の各前面にはみ出すことを防止することができ、外観を向上できる。また、図3(c)に示すように、ハンドル本体21の他端部側ではハンドルカバー22の周壁22bの後部には後縁および側面が開放された切欠部22fが形成されており、ハンドルカバー22の周壁22bの後縁とハンドル本体21のカバー取付部21eにおける段部21fの前面との互いの対向面の間に微小な隙間が形成されているので、溶着用突起21gが溶けた際に溶着部21g’(図1(d)参照)がハンドルカバー21の周壁22の外面やハンドル本体21の側縁にはみ出すことを防止することができ、外観を向上できる。
【0053】
ところで、上述のように、ハンドル本体21のカバー取付部21eの上下方向の中央部に、スイッチ本体1を用いる回路に関連した名称(負荷名や場所名)を表記したネームカード26の前面を見えるようにする矩形状のカード取付窓29が貫設されている。ここにおいて、ネームカード26は、透明合成樹脂の成形品であるハンドルカバー22の中央部に一体に形成されたカードカバー部22dと、カバー取付部21eの後面側に開閉自在に枢支された扉27との間に保持されるようになっている。
【0054】
扉27は、図2および図5に示すように、一端部の両側に軸体27a,27aを突設し、この軸体27a,27aをハンドル本体21の後面においてカード取付窓29の一端部の両側にやや離れて設けられた軸受部21j,21jに回動自在に嵌め込んで軸体27a,27aを中心にカード取付窓29を開閉できるようになっている。また、扉27の他端部の両側には突起27b,27bが設けられ、この突起27b,27bはハンドル本体21の後面においてカード取付窓29の他端部の両側に設けられた係合部21k,21kに係合して閉じた状態を保持するようになっている。
【0055】
したがって、例えば制御対象となる負荷名(「換気扇」等)あるいは制御対象となる負荷の場所名(「台所」、「玄関」、「廊下」等)をネームカード26に表記し、このネームカード26をピアノハンドル2に取り付けておけば、カードカバー部22dを通してネームカード26の表記内容を視認することができ、ピアノハンドル2の操作時に負荷名や場所名を区別することができて便利である。また、ネームカード26はピアノハンドル2に着脱可能であるから、必要に応じて交換することができる。なお、カードカバー部22dは、後面が平面状であって前面がハンドルカバー22の前面に沿った曲面状に形成されているが、図13に示すように、後面をネームカード26側に凸となる曲面状に形成すれば、カードカバー部22dがネームカード26を拡大して見せるレンズとしての機能を有することになり、ネームカード26が拡大されて見え、ネームカード26の表記の確認が容易になる。なお、図13に示す構成では、カードカバー部22dがレンズ部を構成する。
【0056】
ハンドルカバー22の前面におけるカードカバー部22dの右側(ピアノハンドル2の他端部の上下方向の中央位置)には、押位置指示突起22eが突設され、ピアノハンドル2に押力を作用させるべき端部が押位置指示突起22e側であることが示されている。したがって、ピアノハンドル2に押力を作用させるべき端部が押位置指示突起22e側であることが明確に示され、また、手触りでも分かるようになる。ここにおいて、ピアノハンドル2は、ハンドル本体21の後面に格子状のリブ21hと、格子状のリブ21hに斜めに交差する複数のリブ21iとをそれぞれ一体に突設することでハンドル本体21の剛性を向上させてあり、ピアノハンドル2の押位置指示突起22e側の端部を押しても操作できるようになっている。
【0057】
ところで、本実施形態のピアノハンドル2におけるハンドルカバー22は、図9ないし図12に示すように、当該ハンドルカバー22の後面にハンドルカバー22自体で化粧模様22cが形成されている。言い換えれば、ハンドルカバー22の後面側に化粧模様22cが一体に形成されている。ここにおいて、化粧模様22cは、ハンドルカバー22の後面おいてカードカバー部22dを除いた部位に設けられ、ハンドルカバー22の後面に形成した波状の凹凸形状からなり、ハンドルカバー22は透明合成樹脂の成形品よりなるので、ハンドルカバー22の後面の化粧模様22cはハンドルカバー22の前方から見るとストライプ状の模様として見える。すなわち、例えば化粧模様22cを形成する波状の凹凸形状の山の部分がハンドルカバー22の前方からは左右方向に走る多数の直線が上下方向に配列されているように見える。
【0058】
しかして、本実施形態では、ハンドル本体21およびハンドルカバー22をそれぞれ一般的な成形材料で安価に製作でき、しかもハンドルカバー22の前面に化粧模様22cに起因した凹凸が形成されることもないので、低コストで外観を向上できる。なお、ハンドル本体21の他端部側では、ハンドルカバー22の後面の化粧模様22cがハンドルカバー22の周壁22bの内側面にも形成されているので、施工面に沿った方向からも化粧模様22cを視認できる(つまり、視野角を広げることができる)。
【0059】
また、上記従来構成の1個用のピアノハンドル2では、プレート(プレート枠5および化粧プレート6)の開口窓内に配置された状態において、模様部33と化粧プレート6との間にピアノハンドル2における模様部33以外の部分の前面が見えることになるので、ピアノハンドル2と化粧プレート6との間に別の部材が挟まっているように見え、違和感を生じる恐れがあるが、本実施形態のピアノハンドル2では、ハンドル本体21の前面側に被着されるハンドルカバー22の外周の3辺が化粧プレート6の開口窓6aの内周縁に対向し上述のように化粧模様22cがハンドルカバー22の周壁22bの内側面にも形成されているので、ピアノハンドル2と化粧プレート6との境界を明確にすることができ、違和感が生じる恐れを少なくすることができる。なお、ハンドルカバー22の後面には、カードカバー部22dを除いた全面に化粧模様22cが形成されている。
【0060】
また、ハンドルカバー22の後面側にはカードカバー部22dを除いた全体にわたってシボ加工が施されており(図10中の破線の斜線を施した部分はシボ加工が施されている部分を示している)、ハンドルカバー22およびハンドル本体21での光の反射が抑制され見栄えを良くすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、ハンドルカバー22を有色の透明合成樹脂の成形品により構成してあり、ハンドルカバー22の色を適宜選択することによりデザイン性を高めることができるとともに、施工時に壁面などの色との調和を図ることが可能になる。
【0062】
(実施形態2)
本実施形態のピアノハンドル2の基本構成は実施形態1と略同じであって、図14ないし図21に示すように、ハンドル本体21とハンドル本体21の前面側に被着されたハンドルカバー22とを備え、化粧プレート6の開口窓6aを2個で塞ぐ大きさに形成された2個用のピアノハンドルであって、上下方向の寸法が実施形態1の1個用のピアノハンドル2の上下方向の寸法の略2分の1に形成されている点が相違する。すなわち、本実施形態のピアノハンドル2の外周形状は従来構成で説明した2個用のピアノハンドル2と同じ形状に形成されており、ハンドル本体21およびハンドルカバー22の各上下方向の寸法が実施形態1におけるハンドル本体21およびハンドルカバー22それぞれの上下方向の略半分の寸法に形成されている。なお、図21中の破線の斜線を施した部分はシボ加工が施されている部分を示している。他の構成は実施形態1と同様であるから、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
(実施形態3)
本実施形態のピアノハンドル2の基本構成は実施形態1と略同じであって、図22ないし図29に示すように、ハンドル本体21とハンドル本体21の前面側に被着されたハンドルカバー22とを備え、化粧プレート6の開口窓6aを3個で塞ぐ大きさに形成された3個用のピアノハンドルであって、上下方向の寸法が実施形態1の1個用のピアノハンドル2の上下方向の寸法の3分の1に形成されている点が相違する。すなわち、本実施形態のピアノハンドル2の外周形状は従来構成で説明した3個用のピアノハンドル2と同じ形状に形成されており、ハンドル本体21およびハンドルカバー22の各上下方向の寸法が実施形態1におけるハンドル本体21およびハンドルカバー22それぞれの上下方向の3分の1の寸法に形成されている。なお、図29中の破線の斜線を施した部分はシボ加工が施されている部分を示している。他の構成は実施形態1と同様であるから、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
これに対して3個用のピアノハンドル2は1個用のピアノハンドル2と比べて上下寸法以外にも相違する点がある。以下、この点について説明する。取付枠4の取付窓4aに3個のスイッチ本体1を取り付ける場合には、上述の上端位置と中央位置と下端位置とにそれぞれスイッチ本体1を取り付け、各スイッチ本体1にそれぞれ3個用のピアノハンドル2を取り付ける。3個用のピアノハンドル2の後面の一端部には4個の軸受部23がスイッチ本体1の軸部15に対応する一定間隔で設けられる。また、上2個の軸受部23と下2個の軸受部23とに対応する軸受用ばね体23bはそれぞれ一体に形成されている。つまり、4個の軸受部23に対して軸受用ばね体23bを2部材で実現してある。また、3個用のピアノハンドル2では抜止片21aはピアノハンドル2の上下方向の中央付近に1個ずつ設けられる。
【0065】
取付枠4に3個のスイッチ本体1を並設した場合、中央位置のスイッチ本体1に取り付けるピアノハンドル2は、中央の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、中央位置のスイッチ本体1についてはスイッチ本体1の上下方向の中心とピアノハンドル2の上下方向の中心とが一致する。また、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の中央の挿入孔12aに挿入される。一方、上端位置のスイッチ本体1に取り付けられるピアノハンドル2は、下側の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、上端位置についてはスイッチ本体1の上下方向の中心よりもピアノハンドル2の上下方向の中心が上にずれて位置することになり、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の上の挿入孔12aに挿入される。また、下端位置のスイッチ本体1に取り付けられるピアノハンドル2は、上側の2個の軸受部23にスイッチ本体1の軸部15をはめ込んで取り付ける。つまり、下端位置についてはスイッチ本体1の上下方向の中心よりもピアノハンドル2の上下方向の中心が下にずれて位置することになり、ピアノハンドル2の抜止片21aはスイッチ本体1の下の挿入孔12aに挿入される。
【0066】
以上の説明からわかるように、取付枠2に3個のスイッチ本体1を取り付ける場合には、上端位置と下端位置とにおいて、スイッチ本体1の上下方向の中心がピアノハンドル2の上下方向の中心に一致しない。そこで、3個用のピアノハンドル2では、表示部24の後面側に光学的に結合されるプリズムよりなるレンズ25を設けてある。レンズ25は、ピアノハンドル2の後面側で表示孔21cよりも上下方向に広がる形状に形成され、透光窓16の位置が表示孔21cに対して上下にずれている場合でも、発光手段からの光をレンズ25に導く形状に形成されている。このように、3個用のピアノハンドル2では、上端位置および下端位置において、上下方向の中心位置がスイッチ本体1の上下方向の中心位置とはずれるが、ピアノハンドル2に設けたレンズ25の機能によって発光手段の光を表示孔21cの位置に導くことができる。また、ピアノハンドル2に4個の軸受部23を設け、かつスイッチ本体1に3個の挿入孔12aを形成していることによって、3個用のピアノハンドル2についても、上端位置、中央位置、下端位置を区別することなく共通の部材を用いることができる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1の発明は、合成樹脂の成形品よりなるハンドル本体と、透明合成樹脂の成形品よりなりハンドル本体の前面側に超音波溶着にて被着されるハンドルカバーとを備え、ハンドルカバーは後面側にハンドルカバー自体で化粧模様が形成され、ハンドル本体は、前面が露出面となる突台部と、ハンドルカバーが前面側に被着されるカバー取付部とが並設され、カバー取付部の周部に段部を形成することによりカバー取付部においてハンドルカバーを溶着する部位に段差を設けてなるものであり、ハンドルカバーの後面側にハンドルカバー自体で形成されている化粧模様をハンドルカバーの前方から視認できるので低コストで外観を向上できるという効果があり、しかも、カバー取付部にハンドルカバーを溶着する際に溶けた部分がハンドルカバーの外側にはみだすことを防止することが可能となるという効果がある。また、請求項1の発明は、カバー取付部の周部に段部を形成することによりカバー取付部においてハンドルカバーを溶着する部位に段差を設けてなり、ハンドルカバーは、前壁の外周縁から後方に向かって延設された周壁を有し、当該周壁の後縁がカバー取付部の段部の前面に重なる形でカバー取付部に被着されてなり、ハンドルカバーは、前記後面の化粧模様が当該ハンドルカバーの周壁の内側面に跨って形成されているので、スイッチ本体の施工面に沿った方向からも化粧模様を視認でき、しかも、化粧プレートの開口窓内に配置された状態において、ピアノハンドルと化粧プレートとの境界を明確にすることができ、ピアノハンドルと化粧プレートとの間に別の部材が挟まっているように見えて違和感が生じる恐れを少なくすることができる。
【0068】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバー取付部には前記段差を設けた部位に前記ハンドルカバーを超音波溶着にて溶着するための溶着用突起が設けられているので、前記溶着用突起が溶けた際に外側にはみだすのを防止することが可能となるという効果がある。
【0069】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記カバー取付部には複数の溶着用突起が前記ハンドルカバーが傾かないように配設してあるので、溶着時に前記ハンドルカバーが傾くのを抑制することができ前記各溶着用突起を均一に溶かすことが可能となり、前記ハンドル本体に対する前記ハンドルカバーのがたつきを防止することができるという効果がある。
【0070】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記ハンドルカバーの前面を前記突台部の前面に揃えてあるので、前記ハンドル本体の前記突台部の前面と前記ハンドルカバーの前面との間に段差が形成されて外観が損なわれるのを防止することができるとともに、手触りが良くなるという効果がある。
【0071】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記ハンドル本体には、ピアノハンドル式スイッチの用途に応じた表記がなされたネームカードの前面を露出させるカード取付窓が形成され、前記ハンドルカバーは、前記カード取付窓に対応する部位にレンズ部が一体に設けられ、前記レンズ部の後端部がカード取付窓に嵌合する形状に形成されているので、前記ハンドルカバーを前記ハンドル本体に超音波溶着する際に前記ハンドル本体に対する前記ハンドルカバーの位置決めが容易になるとともに位置ずれを規制することができ、外観を向上できるという効果がある。
【0072】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルの製造方法であって、前記ハンドル本体の前記カバー取付部の前面側に前記ハンドルカバーを被せ、その後、前記ハンドル本体と前記カバー取付部とを超音波溶着にて結合するので、低コストで外観を向上したピアノハンドルを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における1個用のピアノハンドルを示し、(a)は正面図、(b)は一部破断した右側面図、(c)は要部説明図、(d)は他の要部説明図である。
【図2】同上における1個用のピアノハンドルの背面図である。
【図3】同上における1個用のピアノハンドルを示し、(a)は下面図、(b)は(a)の要部Bの拡大図、(c)は(a)の要部Cの拡大図である。
【図4】同上における1個用のピアノハンドルの断面図である。
【図5】同上における1個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図6】同上における1個用のピアノハンドルの使用形態における右側面図である。
【図7】同上における1個用のピアノハンドルのスイッチ本体への取付方の説明図である。
【図8】同上における1個用のピアノハンドルのハンドル本体を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は(b)の要部Dの拡大図、(d)は(b)の要部Eの拡大図である。
【図9】同上における1個用のピアノハンドルのハンドルカバーを示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は一部破断した右側面図である。
【図10】同上における1個用のピアノハンドルのハンドルカバーの背面図である。
【図11】同上における1個用のピアノハンドルのハンドルカバーを示し、(a)は下面図、(b)は(a)の要部Fの拡大図である。
【図12】同上における1個用のピアノハンドルのハンドルカバーの断面図である。
【図13】同上における1個用のピアノハンドルの他の構成例を示す断面図である。
【図14】実施形態2における2個用のピアノハンドルの使用形態における正面図である。
【図15】同上における2個用のピアノハンドルを示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【図16】同上における2個用のピアノハンドルの下面図である。
【図17】同上における2個用のピアノハンドルの断面図である。
【図18】同上における2個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図19】同上における2個用のピアノハンドルのハンドル本体を示し、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図20】同上における2個用のピアノハンドルのハンドルカバーを示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は一部破断した右側面図、(d)は断面図である。
【図21】同上における2個用のピアノハンドルのハンドルカバーの背面図である。
【図22】実施形態3における3個用のピアノハンドルの使用形態における正面図である。
【図23】同上における3個用のピアノハンドルを示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面である。
【図24】同上における3個用のピアノハンドルの下面図である。
【図25】同上における3個用のピアノハンドルの断面図である。
【図26】同上における3個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図27】同上における3個用のピアノハンドルのハンドル本体を示し、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図28】同上における3個用のピアノハンドルのハンドルカバーを示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は一部破断した右側面図、(e)は断面図である。
【図29】同上における3個用のピアノハンドルのハンドルカバーの背面図である。
【図30】従来例を示し、1個用のピアノハンドルを備えたピアノハンドル式スイッチの分解斜視図である。
【図31】同上で1個用のピアノハンドルを用いる使用形態での分解斜視図である。
【図32】同上で1個用のピアノハンドルを用いる使用形態での正面図である。
【図33】同上の軸部近傍を示し、(a)はピアノハンドル取付前の断面図、(b)はピアノハンドル取付後の断面図である。
【図34】同上に用いる1個用のピアノハンドルの正面図である。
【図35】同上に用いる1個用のピアノハンドルの背面図である。
【図36】同上に用いる2個用のピアノハンドルの正面図である。
【図37】同上に用いる3個用のピアノハンドルの正面図である。
【図38】同上に用いる他の1個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図39】同上に用いる他の1個用のピアノハンドルの背面側から見た斜視図である。
【図40】同上に用いる他の1個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図41】同上に用いる他の2個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図42】同上に用いる他の2個用のピアノハンドルの分解斜視図である。
【図43】同上に用いる他の1個用のピアノハンドルにおけるカード取付ブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
2 ピアノハンドル
21 ハンドル本体
21d 突台部
21e カバー取付部
21f 段部
22 ハンドルカバー
22a 前壁
22b 周壁
22c 化粧模様
Claims (6)
- 合成樹脂の成形品よりなるハンドル本体と、透明合成樹脂の成形品よりなりハンドル本体の前面側に超音波溶着にて被着されるハンドルカバーとを備え、ハンドルカバーは後面側にハンドルカバー自体で化粧模様が形成され、ハンドル本体は、前面が露出面となる突台部と、ハンドルカバーが前面側に被着されるカバー取付部とが並設され、カバー取付部の周部に段部を形成することによりカバー取付部においてハンドルカバーを溶着する部位に段差を設けてなり、ハンドルカバーは、前壁の外周縁から後方に向かって延設された周壁を有し、当該周壁の後縁がカバー取付部の段部の前面に重なる形でカバー取付部に被着されてなり、ハンドルカバーは、前記後面の化粧模様が当該ハンドルカバーの周壁の内側面に跨って形成されてなることを特徴とするピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドル。
- 前記カバー取付部には前記段差を設けた部位に前記ハンドルカバーを超音波溶着にて溶着するための溶着用突起が設けられてなることを特徴とする請求項1記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドル。
- 前記カバー取付部には複数の溶着用突起が前記ハンドルカバーが傾かないように配設してあることを特徴とする請求項2記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドル。
- 前記ハンドルカバーの前面を前記突台部の前面に揃えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドル。
- 前記ハンドル本体には、ピアノハンドル式スイッチの用途に応じた表記がなされたネームカードの前面を露出させるカード取付窓が形成され、前記ハンドルカバーは、前記カード取付窓に対応する部位にレンズ部が一体に設けられ、前記レンズ部の後端部がカード取付窓に嵌合する形状に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドル。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルの製造方法であって、前記ハンドル本体の前記カバー取付部の前面側に前記ハンドルカバーを被せ、その後、前記ハンドル本体と前記カバー取付部とを超音波溶着にて結合することを特徴とするピアノハンドル式スイッチに用いるピアノハンドルの製造方法。
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