以下の実施形態は、スイッチ用ハンドル及びスイッチに関し、とくにスイッチ本体の前面を覆うようにスイッチ本体に取り付けられるスイッチ用ハンドル、及びこのスイッチ用ハンドルを備えたスイッチに関する。
(1)概要
本実施形態に係るスイッチ用ハンドル10は、図1に示すように、ハンドル本体1と、扉部3と、導光部材6と、表示部(レンズ7)と、を備えている。
ハンドル本体1は、スイッチ本体9(図2参照)の前面91(図2参照)を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられる。ハンドル本体1は、少なくとも一部に光透過性の窓部11を有する。
扉部3は、窓部11の後面111(図3参照)を覆う閉位置と窓部11の後面111を覆わない開位置との間で回転可能となるように、ハンドル本体1に取り付けられる。
導光部材6は、所定方向の両端である第1端61及び第2端62を有している。導光部材6は、所定方向において第1端61と第2端62との間に窓部11の少なくとも一部が位置するようにハンドル本体1とスイッチ本体9との間に配置される。導光部材6は、扉部3が閉位置に位置する状態で、第1端61の後面611(図3参照)に入射した光を第2端62の前面621から出射させる。
表示部は、ハンドル本体1のうち第2端62に対応する部位に設けられている。表示部は、第2端62の前面621から出射される光をハンドル本体1の前面13から前方に出射する。
ここで、扉部3は、閉位置において窓部11の後面111の少なくとも一部を覆っていればよく、窓部11の後面111を完全に覆い隠す必要はない。
すなわち、スイッチ用ハンドル10においては、スイッチ本体9に設けられている発光部からの光を、導光部材6によって第1端61の後面611から第2端62の前面621に導くことができる。ここで、所定方向において第1端61と第2端62との間には、窓部11の少なくとも一部が位置する。要するに、導光部材6は、窓部11の少なくとも一部を跨いで、スイッチ本体9に設けられている発光部からの光をスイッチ用ハンドル10の表示部へと導く。したがって、スイッチ本体9の発光部が、スイッチ本体9の前面91における軸受部143(図3参照)と同じ側に設けられていても、扉部3を挟んで軸受部143とは反対側に表示部が配置可能である。そのため、ユーザは、スイッチ用ハンドル10を押操作する際、ハンドル本体1のうち扉部3に対して表示部と同じ側の一端部を押操作することができ、直感的な操作が可能になる。
また、本実施形態に係るスイッチ100は、図2に示すように、スイッチ用ハンドル10と、スイッチ本体9と、を備えている。スイッチ用ハンドル10は、スイッチ本体9の前面91を覆うように、スイッチ本体9の前面91側に取り付けられる。
スイッチ本体9は、前面91に押釦ハンドル92を有している。さらに、スイッチ本体9は、前面91の一端部に軸部93を有している。スイッチ用ハンドル10は、軸部93を中心に回転可能となるように、軸部93に取り付けられる。これにより、スイッチ用ハンドル10が押操作されると、スイッチ用ハンドル10が軸部93を中心に回転し、スイッチ用ハンドル10にて押釦ハンドル92が後方に押し込まれる。ここでいう「押操作」は、スイッチ用ハンドル10の軸部93とは反対側の端部を後方に押し込む操作である。つまり、スイッチ用ハンドル10は、押釦ハンドル92を押し込むためのピアノハンドルである。
ところで、スイッチ用ハンドル10において、扉部3が閉位置に位置する状態では、光透過性の窓部11の後面111と扉部3の前面31との間に、ネームカード51を収納するためのラベル収納空間5(図5A参照)が存在する。ネームカード51は、例えば、紙製又は合成樹脂製のラベルやシールである。ネームカード51には、必要に応じて、例えば「リビング」、「玄関照明」又は「門灯」のように、スイッチ本体9に対応する回路を特定するための情報(負荷名又は場所名など)が表記される。本実施形態では、ネームカード51はスイッチ用ハンドル10の構成要素に含まれないが、ネームカード51はスイッチ用ハンドル10の構成要素に含まれてもよい。
ここでいう「光透過性」とは、透光性又は透明の意味であって、少なくとも可視光を透過する性質を意味する。とくに、窓部11を通してネームカード51に表記された情報を明確に視認できるように、窓部11の材料は、透過光の拡散が生じにくい透明な性質であることが好ましい。
ネームカード51をラベル収納空間5に出し入れするためには、扉部3を開位置にする必要があるが、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられた状態では、扉部3を開位置に移動させることが難しい。つまり、ラベル収納空間5へのネームカード51の出し入れは、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられていない状態で行われる。
すなわち、スイッチ用ハンドル10が窓部11及び扉部3を有することにより、スイッチ用ハンドル10には、対応する回路を特定するための情報が表記されたネームカード51を取り付けることができる。したがって、対応する回路をユーザが容易に特定可能なスイッチ用ハンドル10及びスイッチ100が得られる、という利点がある。
以下では、特に断りがない限り、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられ、扉部3が閉位置に位置する状態について説明する。
(2)詳細
以下、スイッチ100が住宅等の建物の壁に取り付けられて使用される場合を想定して説明する。以下、特に断りがない限り、壁に取り付けられた状態のスイッチ100を正面から見たときの上、下、左、右を、それぞれ上、下、左、右として、各方向を規定する。また、壁面に直交する方向を前後方向とし、スイッチ本体9の前面91が向いている向きを前方として説明する。つまり、図1等において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに、上、下、左、右、前、後の各方向を規定する。ただし、これらの方向はスイッチ用ハンドル10及びスイッチ100の使用方向を規定する趣旨ではない。つまり、スイッチ本体9の前面91が前方を向いていることは必須ではなく、例えばスイッチ100が天井に取り付けられ、スイッチ本体9の前面91が下方を向いた状態で使用されてもよい。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)スイッチ
まず、スイッチ100の全体構成について、図2を参照して説明する。
スイッチ100は、スイッチ本体9と、スイッチ本体9の前面91を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられるスイッチ用ハンドル10と、を備えている。スイッチ100は、取付枠81(図8参照)を用いて建物の壁に取り付けられる。スイッチ100は、埋込型のスイッチである。そのため、スイッチ用ハンドル10の前面が露出し、かつスイッチ本体9の少なくとも一部が壁内に埋め込まれるように、スイッチ100が壁に取り付けられる。
スイッチ本体9は、上下方向よりも左右方向に長い直方体状の器体94を有している。器体94の形状及び大きさは規格化されている。器体94は、取付枠81に3個まで取付可能な大きさに形成されている。器体94の前面はスイッチ本体9の前面91である。
前面91の左端部には、一対の軸部93が上下方向に並べて設けられている。各軸部93は、上下方向を軸方向とする円柱状に形成されている。スイッチ本体9は、一対の軸部93にてスイッチ用ハンドル10を回転可能に保持する。これにより、スイッチ本体9にスイッチ用ハンドル10が取り付けられた状態で、スイッチ用ハンドル10は一対の軸部93を中心に回転可能となる。
また、スイッチ本体9は、押釦ハンドル92及び接点901(図7参照)を有している。押釦ハンドル92は、前面91の中心に対して右寄りの位置に配置されている。つまり、押釦ハンドル92は、一対の軸部93の右側に位置する。押釦ハンドル92は、前面91に対して前後方向に移動可能である。接点901は、器体94内に収納されている。スイッチ本体9においては、押釦ハンドル92が後方に押し込まれる度に、接点901のオン/オフが切り替わる。
接点901は、交流電源と負荷(例えば照明器具)との間に電気的に接続される。これにより、スイッチ本体9において接点901のオン/オフが切り替わると、交流電源から負荷への通電/非通電が切り替わる。つまり、スイッチ100は、負荷の通電状態の切り替えを行う。
前面91の右端部には、一対の保持孔96が上下方向に並べて形成されている。一対の保持孔96は、押釦ハンドル92の右側に位置する。スイッチ本体9にスイッチ用ハンドル10が取り付けられた状態では、スイッチ用ハンドル10に設けられた一対の保持片142が一対の保持孔96内に挿入され、一対の保持片142の先端が一対の保持孔96の内周面に引っ掛かる。これにより、スイッチ用ハンドル10の回転範囲が規制される。つまり、一対の保持片142が保持孔96から抜けなくなるから、スイッチ用ハンドル10の回転範囲が規制される。
器体94の右側面及び左側面には、取付枠81に器体94を取り付けるための引掛爪97が一対ずつ設けられている。
前面91の左端部であって一対の軸部93の間には、光透過性のライトカバー95が設けられている。器体94の内部においてライトカバー95の後方には、第1光源902(図7参照)及び第2光源903(図7参照)が設けられている。そのため、第1光源902又は第2光源903が点灯することにより、ライトカバー95の前面から光が放射される。つまり、第1光源902、第2光源903及びライトカバー95が、スイッチ本体9の発光部として機能する。本実施形態では、接点901のオン/オフ、つまり負荷の通電状態に応じて、第1光源902又は第2光源903の点灯状態が変化し、スイッチ本体9の発光部の発光状態(例えば発光色)が変化する。一例として、非通電時には、スイッチ本体9の発光部が白色に発光する。一方、通電時には、スイッチ本体9の発光部が赤色に発光する。
(2.2)スイッチ用ハンドル
次に、スイッチ用ハンドル10の構成について、図1〜図6を参照して説明する。
スイッチ用ハンドル10は、図1及び図2に示すように、ハンドル本体1と、フレーム部材20と、導光部材6と、レンズ7と、を備えている。フレーム部材20は、固定部材2と、扉部3と、ヒンジ部4と、を有している。
ハンドル本体1は、スイッチ本体9の前面91を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられる。ハンドル本体1は、合成樹脂製であって、例えばポリカーボネート等の硬質プラスチック(rigid plastic)からなる。ハンドル本体1は、矩形板状である。ハンドル本体1の前面13は、上下方向よりも左右方向に長い長方形状であって、上下方向及び左右方向のいずれの寸法も押釦ハンドル92の前面より大きい。
ハンドル本体1の一部には、光透過性の窓部11が設けられている。窓部11は、正面視において上下方向よりも左右方向に長い長方形状である。窓部11は、ハンドル本体1の前面13の中心に対して左寄りの位置に配置されている。窓部11が設けられることにより、ハンドル本体1の後方に配置されるネームカード51が、ハンドル本体1の前方から視認可能となる。
ハンドル本体1は、支持部材14と、カバー部材15と、を有している。支持部材14は、窓孔141を有する矩形枠状である。支持部材14は、スイッチ本体9に取り付けられる。カバー部材15は、外周形状が支持部材14と同じである。カバー部材15は、支持部材14の前面を完全に覆うように、支持部材14の前面に配置されている。これにより、支持部材14は、カバー部材15を支持する。カバー部材15は、少なくとも窓孔141を覆う光透過性の部位を有している。支持部材14の後面は、ハンドル本体1の後面12である。カバー部材15の前面は、ハンドル本体1の前面13である。
ここでは、支持部材14とカバー部材15とは、二色成形により一体に形成されている。すなわち、ハンドル本体1は、互いに材料の異なる2つの部分からなり、一方の部分が支持部材14であり、他方の部分がカバー部材15である。支持部材14は顔料が混入された不透明の材料からなる。これに対して、カバー部材15は透明の材料からなるため、カバー部材15の全体が光透過性を有している。そして、カバー部材15のうち、窓孔141を覆っている部位が窓部11を構成する。ハンドル本体1の前面13には、窓部11の前面を除いてシボ加工が施されている。なお、ハンドル本体1は、ポリカーボネート製に限らず、例えば、支持部材14がABS樹脂製又はPC−ABS樹脂製であって、カバー部材15がアクリル樹脂製であってもよい。
支持部材14の後面、つまりハンドル本体1の後面12の右端部には、図3及び図4に示すように、一対の保持片142が設けられている。一対の保持片142は、各々、ハンドル本体1の後面12から後方に突出し、先端部が右方に延長された形状である。また、ハンドル本体1の後面12の左端部には、軸受部143が設けられている。軸受部143は、後面12から後方に突出した形状である。軸受部143には、後面が開口した軸受凹所144が形成されている。軸受凹所144には、板ばね145が収納される。
ハンドル本体1がスイッチ本体9に取り付けられた状態では、軸受部143の軸受凹所144にスイッチ本体9の一対の軸部93が挿入され、一対の保持片142がスイッチ本体9の一対の保持孔96に挿入される。一対の軸部93は、板ばね145によって軸受凹所144内に保持される。すなわち、軸受部143に一対の軸部93が嵌まり込むようにして、ハンドル本体1がスイッチ本体9に取り付けられる。これにより、ハンドル本体1は、スイッチ本体9に取り付けられた状態で、左端部を中心に回転して、右端部が前後方向に移動可能となる。
以下では、ハンドル本体1の右端部が可動範囲の前端に位置するときのハンドル本体1の位置を「定常位置」と呼び、ハンドル本体1の右端部が可動範囲の後端に位置にするときのハンドル本体1の位置を「操作位置」と呼ぶ。スイッチ用ハンドル10が押操作されていない状態では、板ばね145によって、ハンドル本体1は定常位置に位置する。スイッチ用ハンドル10が押操作されると、板ばね145を弾性変形させながら、ハンドル本体1は操作位置に移動する。スイッチ用ハンドル10を押操作する力が無くなると、板ばね145の弾性力によって、ハンドル本体1は定常位置に移動する。
また、ハンドル本体1の後面12のうち窓孔141を含む所定範囲には、後面が開口した凹所146が形成されている。凹所146は、開口面が窓孔141よりも一回り大きい。言い換えれば、窓孔141は凹所146の底面に形成されている。凹所146の内周面には、ネームカード51を凹所146内に仮保持するための仮保持突起147が複数(本実施形態では5つ)設けられている。
ハンドル本体1の後面12において、凹所146の上下方向の両側には、一対の押込部148が設けられている。一対の押込部148は、各々、後面12から後方に突出している。一対の押込部148は、上下方向において凹所146を挟んで対向する一対の矩形板である。一対の押込部148のうち互いに対向する一対の面は、各々、凹所146の内周面と面一に形成されている。ハンドル本体1がスイッチ本体9に取り付けられた状態では、一対の押込部148の先端面(後面)は押釦ハンドル92の前面に対向する。したがって、スイッチ用ハンドル10が押操作されてハンドル本体1が定常位置から操作位置に移動すると、押釦ハンドル92は一対の押込部148にて後方に押し込まれる。
一対の押込部148のうち、上側の押込部148の下面には、下方に隆起した接触面17(図6参照)が形成されている。接触面17について詳しくは後述する。
また、ハンドル本体1の後面12には、固定部材2をハンドル本体1に固定するための複数(本実施形態では4つ)の結合部149が設けられている。複数の結合部149は、後面12のうち、凹所146の周囲であって、一対の保持片142及び軸受部143で囲まれた矩形枠状の領域の四隅に配置されている。つまり、複数の結合部149は、上下方向と左右方向の2方向に並んでいるのであって、一直線上には並ばないように配置されている。複数の結合部149は、各々、三又形状であって、先端部(後端部)が左右方向において3つに分割されている。
また、ハンドル本体1において、左右方向における窓部11と一対の保持片142との間には、ハンドル本体1にレンズ7を取り付けるための貫通孔16が形成されている。貫通孔16は、ハンドル本体1を前後方向に貫通する。貫通孔16の開口面は、左右方向よりも上下方向に長い長円形状である。
固定部材2は、図3及び図4に示すように、開口部21を有する矩形枠状である。固定部材2の外周形状は、ハンドル本体1の後面12よりも一回り小さい。開口部21の開口面は凹所146の開口面よりも一回り大きい。また、固定部材2は、ハンドル本体1の後面12のうち凹所146及び貫通孔16が形成された領域の周囲に固定される。つまり、固定部材2は、窓部11及び貫通孔16を開口部21から露出させるようにハンドル本体1の後面12に固定される。ここでは、ハンドル本体1の後面12のうち、固定部材2が固定される領域の周囲には、後方に突出する周壁18が形成されている。固定部材2の外周形状は、周壁18の内周形状と略同じである。
固定部材2には、固定部材2をハンドル本体1に固定するための複数(本実施形態では4つ)の結合孔22が形成されている。複数の結合孔22は、ハンドル本体1の後面12に設けられた複数の結合部149に対応するように、固定部材2の四隅に形成されている。固定部材2がハンドル本体1の後面12に取り付けられた状態では、図4に示すように、複数の結合部149が複数の結合孔22にそれぞれ挿入され、複数の結合部149の先端部(後端部)は固定部材2の後面から後方に突出する。この状態で、複数の結合部149の先端部(後端部)がかしめられる(潰される)と、複数の結合部149が複数の結合孔22から抜け止めされ、固定部材2がハンドル本体1の後面12に固定される。これにより、固定部材2は、複数箇所(本実形態では4箇所)でハンドル本体1に結合される。
扉部3は、矩形板状である。扉部3の前面31は、上下方向よりも左右方向に長い長方形状であって、上下方向及び左右方向のいずれの寸法も開口部21の開口面より小さい。扉部3は、窓部11の後面111を覆う閉位置(図5A参照)と、窓部11の後面111を覆わない開位置(図5B参照)との間で、移動可能である。扉部3の前面31は、扉部3が閉位置にあるときに、窓部11の後面111と対向する面である。扉部3の後面32は、扉部3が閉位置にあるときに、スイッチ本体9の前面91と対向する面、つまり前面31とは反対側の面である。
扉部3が閉位置に位置する状態では、扉部3は固定部材2の開口部21内に位置する。この状態で、扉部3の前面31は固定部材2の前面よりも前方に突出する。さらに、扉部3の前面13は、上下方向及び左右方向のいずれの寸法も凹所146の開口面より、やや小さい。また、扉部3は、凹所146に対応するように、開口部21の中心に対して左寄りの位置に配置されている。これにより、扉部3が閉位置に位置する状態では、扉部3の前端部が凹所146内に挿入され、凹所146の開口が扉部3にて塞がれる。
扉部3の後面32には、扉部3に導光部材6を取り付けるための保持溝33が形成されている。保持溝33は、左右方向に延びる溝であって、後方及び右方に開放されている。保持溝33の内周面には、複数(本実施形態では4つ)の側溝34が形成されている。複数の側溝34は、保持溝33の内周面のうち上下方向に対向する2つの面に、2つずつ形成されている。複数の側溝34は、各々、扉部3を前後方向に貫通する。複数の側溝34内には、導光部材6を保持溝33内に保持するための複数の保持爪35が設けられている。
また、扉部3は、規定方向の両端部である基端部36及び先端部37を有している。本実施形態では、規定方向は上下方向であり、基端部36は扉部3の下端部、先端部37は扉部3の上端部である。先端部37には、基端部36から離れる向き(上向き)に突出する第1突起部38が設けられている。さらに、先端部37には、基端部36から離れる向き(上向き)に突出する第2突起部39が設けられている。第1突起部38は、作業者が扉部3を閉位置から開位置に移動させる際に、作業者が手指を掛けるための突起である。第2突起部39は、扉部3が閉位置に位置する状態でハンドル本体1の接触面17(図6参照)に接触して、扉部3を閉位置に保持するための突起である。第1突起部38は扉部3の後面32側に設けられ、第2突起部39は扉部3の前面31側に設けられている。
さらに、扉部3の前面31のうち第2突起部39の下方には、左右方向に延びた長穴311が形成されている。扉部3における長穴311と第2突起部39との間の部位は、扉部3の他の部位に比べて薄く、弾性変形が可能である。
ヒンジ部4は、扉部3が閉位置と開位置との間で回転可能となるように、扉部3を固定部材2に連結する。ヒンジ部4は、固定部材2のうち開口部21の下側の部位と、扉部3の基端部36とを連結する。つまり、扉部3はヒンジ部4を介して固定部材2に連結されており、扉部3は基端部36を支点にして回転可能となる。
ヒンジ部4は、前後方向に貫通する貫通孔41を有している。ヒンジ部4は、貫通孔41の左右方向の両側に、固定部材2よりも薄い薄肉部42を有している。薄肉部42は、前後方向の両面が湾曲するように窪んだ形状である。とくに、薄肉部42の前面は、薄肉部42の後面よりも大きく窪んでいる。扉部3が閉位置と開位置との間を移動する際には、薄肉部42が変形する。したがって、扉部3は、ヒンジ部4を中心に回転し、とくに薄肉部42を中心に回転する。なお、図4に示すように、貫通孔41には一対の押込部148のうち、下側の押込部148が挿入されており、この押込部148の先端部(後端部)は、ヒンジ部4の後面から後方に突出する。
ヒンジ部4は、固定部材2及び扉部3と一体に形成されている。本実施形態では、フレーム部材20を構成する固定部材2と扉部3とヒンジ部4とは、同一の材料からなる。フレーム部材20は、合成樹脂製であって、例えばポリプロピレン等の軟質プラスチック(non-rigid plastic)又は半硬質プラスチック(semi-rigid plastic)からなる。そのため、フレーム部材20は、硬質プラスチックからなるハンドル本体1よりも軟質である。つまり、固定部材2と扉部3とヒンジ部4とは、いずれもハンドル本体1を構成する支持部材14及びカバー部材15に比べて軟質である。言い換えれば、支持部材14及びカバー部材15は、いずれも固定部材2、扉部3及びヒンジ部4に比べて硬質である。
ここでいう「硬質プラスチック」、「半硬質プラスチック」及び「軟質プラスチック」は、「JIS K6900」に規定されている。つまり、「硬質プラスチップ」は、指定の条件のもとで曲げ弾性率又はもしそれが適用できない場合には引張弾性率が700MPaより大きいプラスチックである。「半硬質プラスチップ」は、同上の曲げ弾性率又は引張弾性率が70MPaと700MPaとの間にあるプラスチックである。「軟質プラスチップ」は、同上の曲げ弾性率又は引張弾性率が70MPaより大きくないプラスチックである。
レンズ7は、合成樹脂製であって、光透過性を有している。ここでは、レンズ7は、例えばアクリル樹脂からなり、透明のプリズムである。レンズ7は、鍔部71と、挿入部72と、を有している。鍔部71と挿入部72とは、一体に形成されている。鍔部71は、左右方向よりも上下方向に長い長円板状である。挿入部72は、鍔部71の前面における上下方向の中央部から前方に突出した形状である。挿入部72は、正面視において貫通孔16と同じ長円形状である。ハンドル本体1の後面12における貫通孔16の周縁に鍔部71が固定されることにより、レンズ7がハンドル本体1に取り付けられる。レンズ7がハンドル本体1に取り付けられた状態で、挿入部72は貫通孔16に挿入される。これにより、ハンドル本体1の前面13から、レンズ7の前面が露出する。レンズ7の前面には、上下方向に延びる溝が複数本形成されている。また、レンズ7の後面には左右方向に延びる溝が複数本形成されている。これにより、レンズ7の後面に入射してレンズ7の前面から出射される光は拡散される。
導光部材6は、合成樹脂製であって、光透過性を有している。ここでは、導光部材6は、例えばアクリル樹脂からなり、透明のプリズムである。導光部材6は、所定方向の両端である第1端61及び第2端62を有している。さらに、導光部材6は、第1端61と第2端62とを連結する中間部63を有している。第1端61、第2端62及び中間部63は、一体に形成されている。中間部63は、上下方向よりも左右方向に長い矩形板状である。本実施形態では、所定方向は左右方向であり、第1端61及び第2端62は、中間部63の左右方向の両側に位置する。導光部材6は、第1端61が中間部63よりも後方に突出した形状である。また、第2端62の上下方向の寸法は中間部63よりも大きい。さらに、第2端62の前面621には、前方に向けて突出する突出部64が形成されている。
導光部材6は、扉部3の後面32に固定されている。具体的には、導光部材6は、中間部63が保持溝33に嵌め込まれることにより、扉部3に取り付けられている。中間部63の上下方向の両面のうち複数の側溝34に対応する部位からは、複数の取付爪65が突出している。複数の取付爪65が複数の保持爪35に引っ掛かることにより、中間部63が保持溝33内に保持される(図5A参照)。これにより、導光部材6は、左右方向において第1端61と第2端62との間に窓部11の少なくとも一部が位置するように、ハンドル本体1とスイッチ本体9との間に配置される。第2端62は保持溝33から右方に突出しており、第2端62の前面621は、開口部21内における扉部3の右側に配置される。
導光部材6のうち、上下方向における先端部37側の端部、つまり上端部には、上下方向に沿って突出する第3突起部612が設けられている。第3突起部612は、第1端61から上方に突出する形状である。第3突起部612は、第1突起部38と同様に、作業者が扉部3を閉位置から開位置に移動させる際に、作業者が手指を掛けるための突起である。
導光部材6は、第1端61の後面611に入射した光を、第2端62の前面621から出射させる。第1端61の後面611は、スイッチ本体9の発光部の前面(ライトカバー95の前面)に対向する。第2端62の前面621は、レンズ7の後面に対向する。したがって、スイッチ本体9の発光部が発光すれば、スイッチ本体9から出射される光は、導光部材6によって、レンズ7へと誘導される。よって、スイッチ本体9の発光部からの光はレンズ7の前面から前方へ放射されることになり、スイッチ本体9の発光部の発光状態が、ハンドル本体1の前方から視認可能となる。そのため、レンズ7は表示部として機能する。ここでいう表示部は、ハンドル本体1のうち第2端62に対応する部位に設けられ、第2端62の前面621から出射される光をハンドル本体1の前面13から前方に出射する部位である。
なお、本実施形態では、複数の取付爪65は、第1端61、第2端62、中間部63及び突出部64と一体に形成されている。ただし、複数の取付爪65は、第1端61の後面611から入射した光を第2端62の前面621から出射させる、という導光部材6の本来の機能には寄与しない。よって、複数の取付爪65は、導光部材6の構成要素には含まれない。
ところで、スイッチ用ハンドル10は、導光部材6と窓部11との間に、光を遮る遮光部材を更に備えることが好ましい。本実施形態では、フレーム部材20は、顔料が混入された不透明の材料からなる。そのため、フレーム部材20のうち、導光部材6と窓部11との間に位置する扉部3が、遮光部材を兼ねている。扉部3は、導光部材6(複数の取付爪65を除く)のうち窓部11の後面111と対向する部位を完全に覆っている。そのため、導光部材6から漏れた光は遮光部材としての扉部3で遮断され、窓部11を通したハンドル本体1の前面13側への漏光が抑制される。
次に、スイッチ用ハンドル10の扉部3の回転動作について、図5A、図5B及び図6を参照して説明する。
扉部3が閉位置に位置する状態では、図5Aに示すように、窓部11の後面111と扉部3の前面31との間に、ラベル収納空間5が存在する。ラベル収納空間5には、ネームカード51が収納される。ネームカード51は、窓部11の後面111と扉部3の前面31との間に挟まれた状態で、ラベル収納空間5に保持される。この状態で、スイッチ用ハンドル10はスイッチ本体9に取り付けられる。したがって、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられたスイッチ100の使用時においては、窓部11の後方にあるネームカード51に表記された情報を窓部11の前方から視認できる。
作業者が扉部3を閉位置から開位置に移動させる場合、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられていない状態で、作業者は、扉部3の第1突起部38又は導光部材6の第3突起部612に手指を掛け、扉部3の先端部37を後方に引く。これにより、ヒンジ部4の薄肉部42が変形し、扉部3が基端部36を支点に回転して、扉部3が閉位置から開位置に移動(回転)する。扉部3が開位置に位置する状態では、図5Bに示すように、ラベル収納空間5は後面が開放された空間となる。したがって、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9から取り外され、かつ扉部3が開位置に位置する状態では、ラベル収納空間5に対するネームカード51の出し入れが可能になる。
また、扉部3が開位置に位置する状態では、凹所146の内周面に設けられた複数の仮保持突起147が、ネームカード51の外周縁に引っ掛かることにより、ネームカード51は凹所146内に仮保持される。そのため、作業者は、扉部3を開けたまま、ラベル収納空間5にネームカード51を設置することができ、ネームカード51を取り付ける作業性が向上する。しかも、扉部3は下端部(基端部36)を支点に回転するので、扉部3が開位置に位置する状態で、凹所146の下方に扉部3が位置することになる。したがって、ラベル収納空間5に対するネームカード51の出し入れの際、作業者は、扉部3の前面31をガイドに用いてネームカード51の出し入れを行うことができ、作業性が向上する。
作業者が扉部3を開位置から閉位置に移動させる場合、スイッチ用ハンドル10がスイッチ本体9に取り付けられていない状態で、作業者は、扉部3の先端部37を前方に押し込む。これにより、ヒンジ部4の薄肉部42が変形し、扉部3が基端部36を支点に回転して、扉部3が開位置から閉位置に移動(回転)する。このとき、扉部3の回転に伴って、第2突起部39がハンドル本体1の接触面17に接触し、扉部3が更に回転することで、図6に示すように、第2突起部39が接触面17に押し付けられる。これにより、長穴311と第2突起部39との部位が弾性変形する。したがって、扉部3が閉位置に位置する状態では、第2突起部39が接触面17に押し付けられ、第2突起部39と接触面17との間の摩擦力が大きくなる。その結果、いわゆるスナップフィット構造により、扉部3は閉位置に保持される。
また、扉部3が移動(回転)すれば、扉部3の後面32に固定されている導光部材6も、扉部3と一緒に移動する。ここで、導光部材6の長手方向、つまり導光部材6の第1端61及び第2端62が並ぶ所定方向と、扉部3の回転時の径方向、つまり扉部3の基端部36及び先端部37が並ぶ規定方向とは、互いに直交する。要するに、本実施形態では、所定方向は左右方向であって、規定方向は上下方向であるので、所定方向と規定方向とは互いに直交する。そのため、扉部3が回転する際、扉部3の後面32に固定されている導光部材6は、第1端61及び第2端62のいずれもがハンドル本体1から離れる向きに移動する。よって、導光部材6がハンドル本体1と干渉することなく、扉部3は回転可能である。なお、ここでいう「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。
(2.3)スイッチ本体の内部構成
次に、スイッチ本体9の器体94の内部の構成(スイッチ本体9の内部構成)について、図7を参照して説明する。
スイッチ本体9は、接点901、第1光源902及び第2光源903に加えて、抵抗904、ダイオード905及び電流トランス906を有している。第1光源902及び第2光源903はそれぞれLED(Light Emitting Diode)である。第1光源902及び抵抗904は電気的に直列に接続されている。第1光源902及び抵抗904の直列回路は、接点901と電気的に並列に接続されている。電流トランス906の一次巻線は接点901と電気的に直列に接続されている。電流トランス906の二次巻線の両端間には、第2光源903及びダイオード905が電気的に並列に接続されている。第2光源903及びダイオード905は電流トランス906の二次巻線に対して互いに逆向きに接続されている。第1光源902と第2光源903とは互いに発光色が異なる。一例として、第1光源902の発光色は白色、第2光源903の発光色は赤色である。
上記構成により、接点901がオフであれば、第1光源902及び抵抗904の直列回路に電流が流れて、第1光源902が点灯し、スイッチ本体9の発光部が白色に発光する。一方、接点901がオンであれば、第2光源903に電流が流れて第2光源903が点灯し、スイッチ本体9の発光部が赤色に発光する。つまり、負荷の通電状態によって、第1光源902又は第2光源903の点灯状態が変化し、スイッチ本体9の発光部の発光状態(例えば発光色)が変化する。
(2.4)スイッチの取付構造
次に、スイッチ100を壁に取り付けるための構造(スイッチ100の取付構造)の一例について、図8を参照して説明する。図8では、同じ構成のスイッチ100が3個、上下方向に並べて配置された状態を図示している。
スイッチ100は、上述したように取付枠81を用いて壁に取り付けられる。取付枠81には、プレート枠82及びプレートカバー83が取り付けられる。つまり、スイッチ100の取付構造は、取付枠81、プレート枠82及びプレートカバー83を含んでいる。
取付枠81は、合成樹脂製又は金属製である。取付枠81は、取付孔811を有する矩形枠状である。取付孔811は、左右方向よりも上下方向に長い長方形状である。取付孔811の形状及び大きさは、スイッチ本体9を上下方向に3個並べた場合の3個のスイッチ本体9の前面91と略同じである。
取付枠81のうち、取付孔811の左右方向の両側の部位には、それぞれ取付枠81にてスイッチ本体9を保持するための引掛孔812が形成されている。これにより、スイッチ本体9は、取付枠81の取付孔811内に装着された状態で、引掛爪97が引掛孔812に嵌って取付枠81に保持される。
取付枠81のうち、取付孔811の上下方向の両側の部位には、それぞれ取付枠81を壁に固定するためのねじを通す固定孔813が形成されている。さらに、各固定孔813に対して取付孔811とは反対側には、プレート枠82を取付枠81に固定するためのねじ孔814が形成されている。
プレート枠82は、合成樹脂製である。プレート枠82は、第1開口孔821を有する矩形枠状である。プレート枠82のうち、第1開口孔821の上下方向の両側の部位には、それぞれプレート枠82を取付枠81に固定するためのねじを通す透孔822が形成されている。プレート枠82のうち、第1開口孔821の左右方向の両側の部位には、それぞれプレート枠82にプレートカバー83を固定するための孔823が形成されている。
プレートカバー83は、合成樹脂製である。プレートカバー83は、第2開口孔831を有する矩形枠状である。プレートカバー83は、プレート枠82の前面を覆うようにプレート枠82に取り付けられる。プレートカバー83の後面には、後方に突出する引掛突起が形成されている。引掛突起がプレート枠82の孔823の周囲に引っ掛かることにより、プレートカバー83がプレート枠82に保持される。
上述したスイッチ100の取付構造により、スイッチ本体9を保持した状態の取付枠81が壁に固定されることで、スイッチ100は壁に取り付けられる。スイッチ100が壁に取り付けられた状態では、スイッチ本体9の少なくとも一部は壁内に埋め込まれ、スイッチ本体9の前面91が取付枠81の取付孔811から前方に露出する。スイッチ本体9に取り付けられたスイッチ用ハンドル10は、プレートカバー83の第2開口孔831から前方に露出する。
(3)利点
以上説明した本実施形態に係るスイッチ用ハンドル10は、ハンドル本体1と、固定部材2と、扉部3と、ヒンジ部4と、を備えている。ハンドル本体1は、スイッチ本体9の前面91を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられる。ハンドル本体1は、少なくとも一部に光透過性の窓部11を有する。固定部材2は、ハンドル本体1の後面12に固定される。ヒンジ部4は、固定部材2及び扉部3と一体に形成されている。ヒンジ部4は、閉位置と開位置との間で扉部3が回転可能となるように、扉部3を固定部材2に連結する。閉位置は、扉部3が窓部11の後面111を覆う位置である。開位置は、扉部3が窓部11の後面111を覆わない位置である。
この構成によれば、窓部11の後面111を覆う閉位置と窓部11の後面111を覆わない開位置との間で回転可能な扉部3が、ヒンジ部4によって固定部材2に連結されている。ここで、固定部材2、扉部3及びヒンジ部4は一体に形成されている。要するに、固定部材2と扉部3とを繋ぐヒンジ部4が変形することによって、固定部材2に対して扉部3が回転可能になる。したがって、スイッチ用ハンドル10においては、多少の寸法誤差が生じたとしても、軸体が軸受部に嵌め込まれる構造に比較して、ハンドル本体1から扉部3が外れにくく、ハンドル本体1に対する扉部3のがたつきが生じにくい。その結果、扉部3を備えているにもかかわらず品質の向上したスイッチ用ハンドル10が得られる、という利点がある。
また、本実施形態のように、ハンドル本体1は、支持部材14と、カバー部材15と、を有することが好ましい。支持部材14は、窓孔141を有し、スイッチ本体9に取り付けられる。カバー部材15は、窓孔141を覆う光透過性の部位を有し、支持部材14の前面に配置される。この場合に、支持部材14の後面は、ハンドル本体1の後面12であり、窓孔141は、窓部11に位置することが好ましい。この構成によれば、ハンドル本体1が、支持部材14及びカバー部材15の2部材を有しているので、ハンドル本体1の中でも部分的に異なる材料を適用可能である。ただし、ハンドル本体1が、支持部材14及びカバー部材15の2部材を有することはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、ハンドル本体1は、1部材で構成されていてもよい。
また、本実施形態のように、扉部3が閉位置に位置する状態で、窓部11の後面111と扉部3の前面31との間にはラベル収納空間5が存在することが好ましい。この構成によれば、扉部3が閉位置に位置する状態で、ラベル収納空間5にネームカード51が収納可能となる。ただし、ラベル収納空間5が存在することはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、ラベル収納空間5が存在しなくてもよい。
また、本実施形態のように、扉部3は、規定方向の両端部である基端部36及び先端部37を有していることが好ましい。この場合、ヒンジ部4は、扉部3の基端部36に設けられており、扉部3の先端部37には、基端部36から離れる向きに突出する突起部(第1突起部38)が設けられていることが好ましい。この構成によれば、作業者が扉部3を閉位置から開位置に移動させる際に、作業者が第1突起部38に手指を掛けることができ、扉部3を開く作業が簡単になる。ただし、第1突起部38はスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、第1突起部38は省略されていてもよい。
また、本実施形態に係るスイッチ100は、上記スイッチ用ハンドル10と、スイッチ本体9と、を備えている。この構成によれば、スイッチ100においては、扉部3を備えているにもかかわらず品質の向上したスイッチ100が得られる、という利点がある。
また、本実施形態に係るスイッチ用ハンドル10は、ハンドル本体1と、扉部3と、導光部材6と、表示部(レンズ7)と、を備えている。ハンドル本体1は、スイッチ本体9の前面91を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられる。ハンドル本体1は、少なくとも一部に光透過性の窓部11を有する。扉部3は、窓部11の後面111を覆う閉位置と窓部11の後面111を覆わない開位置との間で回転可能となるように、ハンドル本体1に取り付けられる。導光部材6は、所定方向の両端である第1端61及び第2端62を有している。導光部材6は、所定方向において第1端61と第2端62との間に窓部11の少なくとも一部が位置するようにハンドル本体1とスイッチ本体9との間に配置される。導光部材6は、扉部3が閉位置に位置する状態で、第1端61の後面611に入射した光を第2端62の前面621から出射させる。表示部は、ハンドル本体1のうち第2端62に対応する部位に設けられている。表示部は、第2端62の前面621から出射される光をハンドル本体1の前面13から前方に出射する。
この構成によれば、スイッチ用ハンドル10が窓部11及び扉部3を有するので、スイッチ用ハンドル10には、対応する回路を特定するための情報が表記されたネームカード51を取り付けることができる。したがって、対応する回路をユーザが容易に特定可能なスイッチ用ハンドル10が得られる、という利点がある。しかも、スイッチ用ハンドル10においては、スイッチ本体9に設けられている発光部からの光を、導光部材6によって第1端61の後面611から第2端62の前面621に導くことができる。ここで、所定方向において第1端61と第2端62との間には、窓部11の少なくとも一部が位置する。要するに、導光部材6は、窓部11の少なくとも一部を跨いで、スイッチ本体9に設けられている発光部からの光をスイッチ用ハンドル10の表示部へと導く。したがって、スイッチ本体9の発光部が、スイッチ本体9の前面91における軸受部143と同じ側に設けられていても、扉部3を挟んで軸受部143とは反対側に表示部が配置可能である。そのため、ユーザは、スイッチ用ハンドル10を押操作する際、ハンドル本体1のうち扉部3に対して表示部と同じ側の一端部を押操作することができ、直感的な操作が可能になる。その結果、扉部3を備えているにもかかわらず直感的な操作が容易なスイッチ用ハンドル10が得られる、という利点がある。
また、本実施形態のように、第2端62の前面621には、前方に向けて突出する突出部64が形成されていることが好ましい。この構成によれば、前面621と表示部(レンズ7)との間の隙間が突出部64の分だけ小さくなり、第2端62の前面621と表示部との間の漏光が抑制される。ただし、突出部64はスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、突出部64は省略されていてもよい。
また、本実施形態のように、導光部材6は、扉部3が閉位置に位置する状態で扉部3の後面32に固定されていることが好ましい。この構成によれば、扉部3と共に導光部材6が移動するので、扉部3と導光部材6との干渉が回避される。さらに、扉部3が開位置に位置する状態でのネームカード51の出し入れ時において、導光部材6が邪魔になりにくい。ただし、導光部材6が扉部3の後面32に固定されていることはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、導光部材6は、扉部3の後面32に固定されていなくてもよい。
また、本実施形態のように、扉部3は、遮光性を有し、扉部3が閉位置に位置する状態で、導光部材6のうち窓部11の後面111と対向する部位を覆ってもよい。この構成によれば、導光部材6から漏れた光は扉部3で遮断され、窓部11を通したハンドル本体1の前面13側への漏光が抑制される。ただし、扉部3が遮光性を有することはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、扉部3は光透過性を有していてもよい。
また、本実施形態のように、扉部3は、規定方向の両端部である基端部36及び先端部37を有しており、閉位置と開位置との間で基端部36を中心に回転することが好ましい。この場合、導光部材6の規定方向における先端部37側の端部には、規定方向に沿って突出する突起部(第3突起部612)が設けられていることが好ましい。この構成によれば、作業者が扉部3を閉位置から開位置に移動させる際に、作業者が第3突起部612に手指を掛けることができ、扉部3を開く作業が簡単になる。ただし、第3突起部612はスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、第3突起部612は省略されていてもよい。
また、本実施形態のように、所定方向と規定方向とは互いに直交することが好ましい。この構成によれば、扉部3が回転する際、扉部3の後面32に固定されている導光部材6は、第1端61及び第2端62のいずれもがハンドル本体1から離れる向きに移動する。よって、導光部材6がハンドル本体1と干渉することなく、扉部3は回転可能である。ただし、所定方向と規定方向とが互いに直交することはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、所定方向と規定方向とは互いに直交していなくてもよい。
また、本実施形態に係るスイッチ100は、上記スイッチ用ハンドル10と、スイッチ本体9と、を備えている。この構成によれば、対応する回路をユーザが容易に特定可能なスイッチ100が得られる、という利点がある。
また、本実施形態に係るスイッチ用ハンドル10は、ハンドル本体1と、固定部材2と、扉部3と、ヒンジ部4と、を備えている。ハンドル本体1は、スイッチ本体9の前面91を覆うようにスイッチ本体9に取り付けられる。ハンドル本体1は、少なくとも一部に光透過性の窓部11を有する。固定部材2は、開口部21を有し、窓部11を開口部21から露出させるようにハンドル本体1の後面12に固定される。ヒンジ部4は、閉位置と開位置との間で扉部3が回転可能となるように、扉部3を固定部材2に連結する。閉位置は、扉部3が窓部11の後面111を覆う位置である。開位置は、扉部3が窓部11の後面111を覆わない位置である。固定部材2は、ハンドル本体1よりも軟質である。
この構成によれば、扉部3は、ハンドル本体1に直接的に取り付けられるのではなく、ヒンジ部4及び固定部材2を介して、ハンドル本体1に取り付けられている。固定部材2は、窓部11を開口部21から露出させるようにハンドル本体1の後面12に固定されるので、窓部11の周囲における比較的広範囲においてハンドル本体1に固定可能である。しかも、固定部材2はハンドル本体1よりも軟質であるので、固定部材2の多少の寸法誤差は固定部材2が変形することで吸収できる。そのため、固定部材2に寸法誤差が生じても、ハンドル本体1に対する固定部材2の取付強度の低下が抑制される。したがって、スイッチ用ハンドル10においては、ハンドル本体1に対する扉部3の取付強度が向上する、という利点がある。
また、本実施形態のように、固定部材2と扉部3とヒンジ部4とは一体に形成され、ヒンジ部4は、ハンドル本体1よりも軟質であって固定部材2よりも薄い薄肉部42を有することが好ましい。この構成によれば、固定部材2から扉部3が外れにくいので、ハンドル本体1に対する扉部3の取付強度がより向上する。しかも、ヒンジ部4の薄肉部42が変形することによって、扉部3が閉位置と開位置との間を移動するので、ハンドル本体1に対する扉部3のがたつきが生じにくい。ただし、ヒンジ部4がハンドル本体1よりも軟質であることはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、ヒンジ部4はハンドル本体1よりも軟質でなくてもよい。
また、本実施形態のように、扉部3はハンドル本体1よりも軟質であることが好ましい。この構成によれば、扉部3が閉位置に位置する状態で、扉部3の一部(第2突起部39)がハンドル本体1の一部(接触面17)に押し付けられることで、スナップフィット構造により扉部3が閉位置に保持される。すなわち、扉部3がハンドル本体1よりも軟質であるから、スナップフィット構造を実現するための扉部3及びハンドル本体1の寸法精度に余裕が生じる。さらに、スナップフィット構造を採用することで、扉部3とハンドル本体1との間の結合力を一定以上に確保しつつ、扉部3の開閉が繰り返されることに対する耐久性が向上する。ただし、扉部3がハンドル本体1よりも軟質であることはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、扉部3はハンドル本体1よりも軟質でなくてもよい。
また、本実施形態のように、スイッチ用ハンドル10は、導光部材6と、表示部(レンズ7)と、を更に備え、導光部材6は、扉部3が閉位置に位置する状態で扉部3の後面32に固定されていることが好ましい。この構成によれば、扉部3と共に導光部材6が移動するので、扉部3と導光部材6との干渉が回避される。とくに、固定部材2と扉部3とヒンジ部4とが一体に形成され、かつ固定部材2、扉部3及びヒンジ部4のいずれもがハンドル本体1よりも軟質である場合、扉部3が閉位置に位置する状態で、表示部に対する導光部材6の位置ずれが生じにくい。すなわち、この場合、ハンドル本体1に対する扉部3のがたつきが生じにくいので、表示部に対する導光部材6の位置ずれが生じにくい。
また、本実施形態のように、固定部材2は、ハンドル本体1の後面12に設けられた3つ以上の結合部149にて、ハンドル本体1の後面12に固定されており、3つ以上の結合部149は一直線上に並ばないように配置されていることが好ましい。この構成によれば、固定部材2は、ハンドル本体1の後面12に沿う複数の方向に分散して配置された結合部149にて、ハンドル本体1の後面12に固定されるので、ハンドル本体1に対する扉部3の取付強度がより向上する。本実施形態では、左右方向と上下方向との2方向に並ぶ複数の結合部149にて固定部材2がハンドル本体1の後面12に固定されるので、左右方向と上下方向との2方向に対して固定部材2のがたつきが生じにくい。ただし、複数の結合部149が一直線上に並ばないことはスイッチ用ハンドル10に必須の構成ではなく、複数の結合部149が一直線上に並んでいてもよい。
また、本実施形態に係るスイッチ100は、上記スイッチ用ハンドル10と、スイッチ本体9と、を備えている。この構成によれば、スイッチ100においては、ハンドル本体1に対する扉部3の取付強度が向上する、という利点がある。
(4)変形例
上記実施形態は、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。つまり、本発明は、上記実施形態に限定されない。
以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
スイッチ100は、ピアノハンドル式スイッチに限らず、例えばロッカー式(シーソー式)スイッチであってもよい。また、スイッチ100は、片切りスイッチに限らず、例えば三路スイッチ又は四路スイッチであってもよい。
また、スイッチ本体9は、接点901のオン/オフに応じてスイッチ本体9の発光部の発光状態が変化する構成に限らず、負荷の動作状態に応じてスイッチ本体9の発光部の発光状態が変化する構成であってもよい。例えば、負荷が調光可能な照明器具である場合に、照明器具の調光レベルに応じてスイッチ本体9の発光部の発光状態が変化してもよい。又は、スイッチ本体9は、光源を1つのみ有し、接点901のオン/オフに応じて、光源の点灯/消灯が切り替える構成であってもよい。
また、スイッチ用ハンドル10は、1個の取付枠81にスイッチ本体9が3個取り付けられる場合に用いられる、いわゆるトリプルスイッチ用に限らない。例えば1個の取付枠81にスイッチ本体9が1個取り付けられる場合に用いられるシングルスイッチ用、又は1個の取付枠81にスイッチ本体9が2個取り付けられる場合に用いられるダブルスイッチ用であってもよい。シングルスイッチ用であれば、上記一実施形態で例示したトリプルスイッチ用のスイッチ用ハンドル10に比較して、上下方向の寸法が略3倍になる。ダブルスイッチ用であれば、上記一実施形態で例示したトリプルスイッチ用のスイッチ用ハンドル10に比較して、上下方向の寸法が略3/2倍になる。
また、扉部3と導光部材6とは一体に形成されていてもよい。言い換えれば、扉部3が、導光部材6としての機能を兼ねてもよい。この構成によれば、扉部3と導光部材6とが別体である場合に比べて、部品点数が少なくなる。
また、スイッチ用ハンドル10は、導光部材6と窓部11との間に配置され、光を遮る遮光部材を更に備えていてもよい。遮光部材は、例えば遮光性を有する合成樹脂製のシートである。要するに、扉部3とは別に、遮光部材が設けられていてもよい。この構成によれば、扉部3が遮光部材として機能する場合と同様に、導光部材6から漏れた光は遮光部材で遮断され、窓部11を通したハンドル本体1の前面13側への漏光が抑制される。この場合、扉部3は遮光性を有していなくてもよい。
また、導光部材6の長手方向、つまり導光部材6の第1端61及び第2端62が並ぶ所定方向と、扉部3の回転時の径方向、つまり扉部3の基端部36及び先端部37が並ぶ規定方向とは、同じ方向であってもよい。例えば、所定方向と規定方向とがいずれも左右方向であってもよい。この場合、扉部3は、左右方向の両端部が基端部36及び先端部37となる。ヒンジ部4は、扉部3の左右方向の一端部(基端部36)と、固定部材2のうち開口部21の左右方向の一方側の部位とを連結する。
また、第1端61の後面611は、スイッチ本体9の発光部の前面であるライトカバー95の前面と平行でなくてもよく、ライトカバー95の前面に対して傾斜していてもよい。第2端62の前面621は、レンズ7の後面と平行でなくてもよく、レンズ7の後面に対して傾斜していてもよい。
また、レンズ7は省略されていてもよい。この場合、ハンドル本体1の貫通孔16が、表示部として機能する。つまり、第2端62の前面621から出射される光は、貫通孔16を通してハンドル本体1の前面13から前方に出射されることになる。
また、導光部材6は、扉部3の後面32ではなく、例えば固定部材2の後面又はハンドル本体1の後面12に直接的に固定されていてもよい。この場合、扉部3が移動(回転)しても導光部材6は移動しない。
また、固定部材2はハンドル本体1よりも軟質でなくてもよい。例えば、固定部材2とハンドル本体1とがいずれも硬質プラスチップであってもよいし、いずれも半硬質プラスチップであってもよい。又は、固定部材2がハンドル本体1よりも硬質であってもよい。
また、固定部材2は、開口部21を有する枠状に限らず、例えば矩形板状であってもよい。この場合、固定部材2は、ハンドル本体1の後面12における窓部11の周囲に固定される。
また、ヒンジ部4は、固定部材2及び扉部3と一体に形成されていなくてもよく、例えば、扉部3が、ハンドル本体1に直接的に取り付けられていてもよい。この場合、例えばヒンジ部4又は軸受構造によって、扉部3がハンドル本体1に回転可能に取り付けられる。又は、上記実施形態と同様の形状のヒンジ部4、固定部材2及び扉部3が、別部材で構成されていてもよい。