JP3948159B2 - 二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二次電池およびその製造方法に関し、更に詳しくは電池要素を電池収容部材中にコンパクトに収容でき、容積当り電気容量を高くすることの可能な二次電池およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用電子機器の発達に伴って電池の生産が急激に増加しており、また、パーソナルコンピューター、ワープロ等の普及によってそのバックアップ用電池の需要も増大の一途にある。
これ等に使用される電池として、充電が可能で長期間使用可能な二次電池の需要が急増しており起電力物質としてリチウムを使用し、これとリチウムをインターカレーションによって吸蔵し得るカーボンあるいはカルコゲン化合物を用いたリチウム二次電池が注目されている。
【0003】
しかし、リチウムは水に対して極めて活性が高く、液漏れによる発火あるいは空気、湿分の侵入によるリチウムの失活等の問題があり、その封止は高度の密封性が要求される。
このようなトラブルを軽減する手段として、正極と負極間に填充される電解液をゲル化剤等を用いて非流動化して液漏れを防止することが行なわれている。
その結果、電池要素を被覆するハウジングとしては形状保持のための剛性は必要なくなり、可撓性のフィルムを用いることが可能となって、二次電池の小型化が図れると共に形状の自由度が増加する他、リチウム電池として大きな問題であるデントライトの発生が抑制される等の利点から非流動性電解質を用いた薄型の二次電池が注目されている。
【0004】
しかし、高容量でレイト特性のよい二次電池を形成するためには、平板状で薄型の正極材と負極材を多数積層する必要が生じる。
例えば、図1に示すように集電体5の表面に正極材1または負極材2を積層して平板状の電極材を形成し、図2に示すように正極材1と負極材2を非流動性電解質層3を介して複数枚積層して大容量の電池とすることが試みられている。
かかる積層電池は、図3に示すように正極材1の集電体5の一辺の片側にタブ5aを連設し、また、負極材2の集電体5の同じ辺の他の側にタブ5bを連設すると共に、これを図10に示すように正極材のタブ5aと負極材のタブ5bをそれぞれ上下に結束してこれに電流引出線11を結合することにより、電池収容部材の外側に電極を引き出している。
【0005】
しかし、電流引出線11の接続をかかる構造とするときは、タブ5a、5bの結束の際に相手極の電極材あるいは集電体への接触を避けるために、タブ5a、5bの結束部を電池要素4の側壁に対して充分な間隔S1 をおいて形成する必要があり、また、機械的、電気的に強度のある結合を行なうためには結束部の長さS2 も充分な量を必要とする。
このため、電池要素4の側部に電流引出線取付用の大きな空間を必要とし、電池収容部材は電池要素4に対して容積の大きなものとなって、得られる二次電池は容積当りの電気容量が低下する結果となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は電池要素をコンパクトに収容でき容積当りの電気容量が大きく、かつ、耐久性に優れ安全性の高い二次電池およびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果なされたもので、▲1▼ 集電体に結合された平板状の複数の正極材と負極材が、イオン性金属成分を含有する非流動性電解質層を介して積層された電池要素を電池収容部材に装填してなる二次電池において、集電体に電流引出線結合用のタブを連設し、正極材と負極材のそれぞれのタブを結束すると共に電流引出線を結合し、かつタブの結束部を電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げたことを特徴とする二次電池、および、
▲2▼ 集電体に結合された平板状の複数の正極材と負極材を、イオン性金属成分を含有する非流動性電解質層を介して積層し、得られた電池要素を電池収容部材に装填する二次電池の製造方法において、集電体に電流引出線結合用のタブを連設し、正極材と負極材のそれぞれのタブを結束すると共に結束部に電流引出線を結合し、次いでタブの結束部を電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げることを特徴とする二次電池の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明二次電池は、集電体に電気的に結合した正極材と負極材が非流動性電解質層を介して積層されると共にイオン性金属成分を含有した電池要素を、収容部材に装填して封止される。
イオン性金属成分とは、イオンとなって二次電池の充電・放電に電気化学的に関与し、起電力を発生する金属成分で通常リチウムが用いられる。以下リチウム二次電池を例に本発明を説明する。
【0009】
正極材1あるいは負極材2は、従来と同様に図1に示すように集電体5と結合するように板状に形成される。集電体5との結合は、集電体5を芯材としてその両面に電極材を積層することによって行なうことができる。目的に応じて集電体の片面のみに形成したものであってもよい。
集電体5としては、一般的にアルミ箔や銅箔などの金属箔を用いることができる。厚みは適宜選択されるが好ましくは1〜30μmである。薄すぎると機械的強度が弱くなり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体としての容量が低下する。
【0010】
これら集電体表面には予め粗面化処理を行うと電極材の接着強度が高くなるので好ましい。表面の粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法または化学研磨法が挙げられる。機械的研磨法としては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシなどで集電体表面を研磨する方法が挙げられる。また接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
また、集電体5の形状は、板状であってもよく、網状体、あるいはパンチングメタル等であってもよい。
【0011】
正極材としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であれば無機化合物でも有機化合物でも使用できる。無機化合物として、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物等のカルコゲン化合物等が挙げられる。ここで遷移金属としてはFe、Co、Ni、Mn等が用いられる。具体的には、MnO、V2 O5 、V6 O13、TiO2 等の遷移金属酸化物、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS2 、FeS、MoS2 などの遷移金属硫化物等が挙げられる。これらの化合物はその特性を向上させるために部分的に元素置換したものであってもよい。有機化合物としては、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物等が挙げられる。正極材として、これらの無機化合物、有機化合物を混合して用いてもよい。好ましくは、コバルト酸リチウムまたはマンガン酸リチウム等のマンガンやコバルトを含有する化合物、特にマンガンを含有する化合物である。
正極材の粒径は、それぞれ電池の他の構成要素とのかねあいで適宜選択すればよいが、通常1〜30μm、特に1〜10μmとするのが初期効率、サイクル特性等の電池特性が向上するので好ましい。
【0012】
負極に用いることができるリチウムイオンの吸蔵放出可能な負極材としては、通常、グラファイトやコークス等の炭素系物質が挙げられる。斯かる炭素系物質は、金属、金属塩、酸化物などとの混合体や被覆体の形態で利用することもできる。また、負極材としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の酸化物や硫酸塩、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコン等も使用できる。好ましくは、容量の面からグラファイトまたはコークスである。負極材の平均粒径は、初期効率、レイト特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、通常12μm以下、好ましくは10μm以下とする。この粒径が大きすぎると電子伝導性が悪化する。また、通常は0.5μm以上、好ましくは7μm以上である。
【0013】
これらの正極材および負極材は通常集電体上に結着されるため、バインダーを使用することが好ましい。バインダーとしてはシリケート、ガラスのような無機化合物や、主として高分子からなる各種の樹脂が使用できる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。また上記のポリマーなどの混合物、変性体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。
【0014】
電極中には必要に応じて導電材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有していてもよい。導電材料としては、上記活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限は無いが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属のファイバー、箔などが挙げられる。添加剤としてはトリフルオロプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,6−Dioxaspiro〔4,4〕nonane−2,7−dione、12−クラウン−4−エーテルなどが電池の安定性、寿命を高めるために使用することができる。補強材としては各種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用できる。
【0015】
電極材100重量部に対するバインダーの配合量は好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。樹脂の量が少なすぎると電極の強度が低下する。樹脂の量が多すぎると電極中の空隙量が低下し、後述するイオン移動相の占める割合が低下する。
正極材や負極材を集電体上に形成する手法としては、例えば、粉体状の電極材をバインダーとともに溶剤と混合し、ボールミル、サンドミル、二軸混練機などにより分散塗料化したものを、集電体上に塗布して乾燥する方法が好適に行なわれる。この場合、用いられる溶剤の種類は、電極材に対して不活性であり且つバインダーを溶解しうる限り特に制限されず、例えばN−メチルピロリドン等の一般的に使用される無機、有機溶剤のいずれも使用できる。
また、電極材をバインダーと混合し加熱することにより軟化させた状態で、集電体上に圧着、あるいは吹き付ける手法によって電極材層を形成することもできる。さらには電極材を単独で集電体上に焼成することによって形成することもできる。
【0016】
正極材、負極材内には通常イオン移動相が形成される。電極中におけるイオン移動相の占める割合は、高い方がイオン移動が容易になり、レイト特性上は好ましい一方で低い方が容量的には高くなる。好ましくは10〜50体積%である。また、正極材および負極材の膜厚は容量的には厚い方が、レイト上は薄い方が好ましい。膜厚は通常20μm以上、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、最も好ましくは80μm以上である。一方、電極膜厚の上限としては、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。イオン移動相の材料としては、後述する非流動性電解質層の材料と同様のものが使用できる。
なお、上記においては、電極が、電極材とその中に形成されるイオン移動相とからなる場合について説明したが、勿論、電極としての機能を有する限りその構造に制限はなく、例えば負極をリチウム金属のみで負極とすることもできる。
【0017】
正極材1と負極材2間に介装する非流動性電解質層3としては、通常の電解液と同様に正極と負極を電気化学的に結合する機能を有し、流動性が低く形状保持性を有するものが使用される。
非流動性電解質層に用いられる支持電解質としては、電解質として正極材および負極材に対して安定であり、かつリチウムイオンが正極材あるいは負極材と電気化学反応をするための移動をおこない得る非水物質であればいずれのものでも使用することができる。具体的にはLiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2 、LiSCN、LiSO3 CF2 等のリチウム塩が挙げられる。これらのうちでは特にLiPF6 、LiClO4 が好適である。
【0018】
これら支持電解質を非水系溶媒に溶解した状態で用いる場合の濃度は、一般的に0.5〜2.5mol/Lである。これら支持電解質を溶解する非水系溶媒は特に限定されないが、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。またこれらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0019】
これらのうちでは、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類から選ばれた1種または2種以上の溶媒が好適である。またこれらの分子中の水素原子の一部をハロゲンなどに置換したものも使用できる。またこれらの溶媒に、添加剤などを加えてもよい。添加剤としては例えば、トリフルオロプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,6−Dioxaspiro〔4,4〕nonane−2,7−dione、12−クラウン−4−エーテルなどが電池の安定性、性能、寿命を高める目的で使用できる。
【0020】
非流動性電解質層として、ゲル状の電解質を用いることができる。ゲル状電解質とは、主として支持電解質と溶媒とを含有する電解液に、ゲル化のための高分子を含み、電解液が高分子のネットワーク中に保持されて全体としての流動性が著しく低下したものである。イオン伝導性などの特性は通常の電解液に近い特性を示すが、流動性、揮発性などは著しく抑制され、安全性が高められている。ゲル状電解質中の高分子の比率は好ましくは1〜50%である。低すぎると電解液を保持することができなくなり、液漏れが発生する。高すぎるとイオン伝導度が低下して電池特性が悪くなる。
【0021】
ゲル状電解質層を形成させるためには、モノマーを含有する電解質原料を使用し、これを重合させて高分子化させる方法を挙げることができる。このような反応をおこなえる高分子としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミドなどの重縮合によって生成されるもの、ポリウレタン、ポリウレアなどのように重付加によって生成されるもの、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル誘導体系ポリマーやポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル系などの付加重合で生成されるものなどがあるが、重合の制御が容易で重合時に副生成物が発生しない付加重合により生成される高分子を使用することが望ましい。特に反応性不飽和基を有するモノマーを重合する方法は、生産性に優れ好ましい。
【0022】
このような反応性不飽和基を有するモノマーの例としてはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどが使用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いればよい。
【0023】
これらのモノマーを重合する方法としては、熱、紫外線、電子線などによる手法があるが、生産性の高さから紫外線または熱による手法が有効である。この場合反応を効果的に進行させるため、電解液に紫外線を反応する重合開始剤をいれておくこともできる。利用できる紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ビアセチル、ベンゾイルパーオキサイドなどが使用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いればよい。また熱による重合では、反応の速度の制御が容易で、特に熱重合開始剤の種類、量、モノマー量とモノマー中の反応基数、種類を変えることにより、ゲルの構造制御ができイオン伝導度などを向上させることができる。また全体の反応が一様に進むため均一なゲルができる。
【0024】
熱重合に際して、反応を制御するため、重合開始剤をいれておくこともできる。利用できる熱重合開始剤としては、1,1−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス−〔4,4−ジ(ターシャリブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〕、1,1−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、ターシャリブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、ターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、ジベンゾイルパーオキサイドなどが使用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いればよい。
【0025】
また、ゲル状電解質層を形成させるために冷却によってゲル化可能な高分子が含有された電解質原料を使用し常温迄高分子を冷却する方法も採用することができる。この場合使用できる高分子としては、電解液に対してゲルを形成し、電池材料として安定なものであればどのようなものであっても使用できるが、例えばポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマーなどが挙げられる。また上記のポリマーなどの混合物、変性体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。
【0026】
リチウム電池に使用される電解液、電解質は極性を有するのが通常であるから、上記いずれの方法であっても高分子がある程度の極性を有する方が好ましい。これらの高分子の分子量は好ましくは10000〜5000000の範囲である。分子量が低いとゲルを形成しにくくなる。分子量が高いと粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。高分子の電解液に対する濃度は、分子量に応じて適宜選べばよいが、好ましくは0.1重量%から30重量%である。濃度が0.1重量%以下ではゲルを形成しにくくなり、電解液の保持性が低下して流動、液漏れの問題が生じることがある。濃度が30重量%以上になると粘度が高くなりすぎて工程上困難を生じるとともに、電解液の割合が低下してイオン伝導度が低下しレート特性などの電池特性が低下することがある。
【0027】
電解質層として固体状の電解質層を用いることもできる。固体電解質としては、これまで知られている種々の固体電解質を用いることができる。例えば、上述のゲル状電解質で用いられる高分子と支持電解質塩を適度な比で混合して形成することができる。この場合、伝導度を高めるため、高分子は極性が高いものを使用し、側鎖を多数有するような骨格にすることが好ましい。
非流動性層として、ゲル状電解質、固体電解質を多孔性膜等のスペーサに含浸したものを用いてもよい。電解質層の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
【0028】
多孔性膜としては、具体的には厚さ1μm以上、好ましくは5μm以上、また通常200μm以下、空孔率30〜85%のポリオレフィンまたは水素原子の一部もしくは全部がフッ素置換されたポリオレフィン膜を使用することができる。
具体的には、ポリオレフィン等の合成樹脂を用いて形成した微多孔性膜、不織布、織布等を用いることができる。
【0029】
かかる正極材1、負極材2および非流動性電解質層3からなる電池要素4は、目的に応じた構造とすることができる。
例えば、図1に示すように、集電体5に正極材組成物を積層して板状の正極材1を得る。負極材2も同様の手法で板状に成形され、板状に成形された正極材1と負極材2は、図2に示すように、非流動性電解質層3を介して交互に積層される。
また、必要に応じては、正極材1、非流動性電解質層3および負極材2が積層された単電池要素ユニットを図4に示すように正極材1側あるいは負極材2側がそれぞれ接する方向に積み重ねることもできる。
【0030】
電極材の平面形状は任意であり、四辺形、円形、多角形等にすることができる。集電体5には、電流引出線結合用のタブ5a、5bが連設される。
電極材が四辺形であるときは、図3に示すように電極材の一辺の片側に正極材1より突出するタブ5aを形成し、また、負極材2の集電体5にも同じ辺の反対側にタブ5bを形成して、突出形成されたタブ5aとタブ5bの夫々を上下に結合して正極と負極の電流引出線結合端子を形成することによって大容量の電池要素4とされる。
【0031】
しかして、本発明においては、タブ5a、5bの結合部を電池要素4の側壁に沿った方向に折り曲げるところに特徴を有する。
すなわち、本発明は図5(A)に示すように正極材1、非流動性電解質層3および負極材2を積層すると共にタブ5a、5bを夫々上下に集合させて結束すると共に電流引出線11を結合する。
タブ5a、5bの結合は、超音波溶着機による溶着によって行なうことができ、タブ5a、5bと電流引出線11の結合はスポット溶接等の抵抗溶接、超音波溶着あるいはレーザ溶接によって行なうことができる。
【0032】
タブ5a、5bと電流引出線11は、図5(A)に示すように、電流引出線11が電池要素4側に延びるように重ねられて結合された後、タブ5a、5bあるいは電流引出線11の先端の不要な部分が切断され、結束部は、図5(B)に示すように、電池要素4aの側壁に沿う方向に位置するように折り曲げられる。
なお、電流引出線11は電池要素4の反対方向に延びるように結合してこれを折り曲げることによって形成することも可能であるが、この場合は、タブ5a、5bの先端不要部と電流引出線11の先端不要部分の切断を結合前に、かつ、それぞれを別工程によって行なう必要が生じるため、電流引出線11は電池要素4側に延びるように結合し、タブ5a、5bと電流引出線11の先端不要部を同時に切断することが望ましい。
【0033】
12は、タブ5a、5bの結束部を外圧から保護するためのスペーサで、吸湿剤等を含有する材料を用いることにより電池要素4を湿分から保護する機能を持たせることができる。
こうして電流引出線11が結合された電池要素4は、電池収容部材内に装填されて封止される。
電池収容部材の形状は特に制限はなく、機械的強度を有し密封性を有するものであればいかなる構造であってもよいが、例えば図6に示すように2枚の複合材6、6間に電池要素4を介装してその周囲を溶封してもよく、図7に示すように合成樹脂等のシート状体13の一部に絞り加工を施して電池要素4を収容する収容部を形成して収容部材10とすることができる。
【0034】
収容部材10としては、アルミニウム、ニッケルメッキをした鉄、銅等の金属、合成樹脂等を用いて成形することができるが、好ましくは金属と合成樹脂が積層された複合材が用いられる。
複合材6としては、図8(A)に示すように、金属層7と合成樹脂層8が積層されたものを使用することができる。複合材6における金属層7は水分の浸入の防止あるいは形状保持性を維持させるもので、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、モリブデン、金、等の単体金属やステンレス、ハステロイ、等の合金、または酸化アルミニウム等の金属酸化物でもよい。特に加工性の優れたアルミニウムが好ましい。
金属層7の形成は、金属箔、金属蒸着膜、金属スパッター等を用いて行なうことができる。
【0035】
本発明において合成樹脂は、収容部材の保護あるいは電解質による浸蝕を防止するもので、本発明において合成樹脂は、弾性率、引張り伸び率は制限されるものではない。従って本発明における合成樹脂は一般にエラストマーと称されるものも含むものとする。
合成樹脂としては、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー類、熱硬化性樹脂、プラスチックアロイが使われる。これらの樹脂にはフィラー等の充填材が混合されているものも含んでいる。
【0036】
また、複合材6は、図8(B)に示すように金属層7の外側面に保護層として機能するための合成樹脂層8aと、内側面に電解質による腐蝕を防止するための耐蝕層として機能する合成樹脂層8bを積層した三層構造体とすることができる。
この場合、保護層に使用する樹脂は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、アイオノマー、非晶性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等耐薬品性や機械的強度に優れた樹脂が望ましい。耐蝕層としては、耐薬品性の合成樹脂が用いられ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、等を用いることができる。
【0037】
また、複合材6は図9に示すように金属層7と保護層形成用合成樹脂8a、耐蝕層形成用合成樹脂層8b間にそれぞれ接着剤層9を設けることもできる。
これ等の金属、合成樹脂あるいは複合材を用いて収容部材10が形成される。収容部材10の成形はフィルム状体の周囲を融着して形成してもよく、シート状体を真空成形、圧空成形、プレス成形等によって絞り成形してもよい。また、合成樹脂を射出成形することによって成形することもできる。射出成形によるときは、金属層はスパッタンリング等によって形成される。
【0038】
【発明の効果】
本発明はかかる構成からなるから、タブの結束のための空間を小さくすることができ、従って、電池要素の収容部材を小さくすることができるから、容積当りの電気容量の大きな二次電池を得ることができ、また、封止性も優れた二次電池とし得るから安全で耐久性の優れた二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電極材の縦断面図
【図2】電極材を積層した電池要素の縦断面図
【図3】図2の電池要素の平面図
【図4】電池要素の他の例を示す縦断面図
【図5】(A)(B)は、タブを電流引出線と結合し、本発明構造とする工程を示す縦断面図
【図6】電池要素が収容部材に封止された二次電池を示す斜視図
【図7】収容部材の他の例を示す斜視図
【図8】(A)(B)はそれぞれ収容部材を形成する複合材を示す縦断面図
【図9】複合材の他の例を示す縦断面図
【図10】従来の電流引出線結合部を示す斜視図
【符号の説明】
1 正極材
2 負極材
3 非流動性電解質層
4 電池要素
5 集電体
5a,5b タブ
6 複合材
7 金属層
8,8a,8b 合成樹脂層
10 収容部材
11 電流引出線
12 スペーサ
Claims (2)
- 集電体に結合された平板状の複数の正極材と負極材が、イオン性金属成分
を含有する非流動性電解質層を介して積層された電池要素を電池収容部材に装填してなる二次電池において、集電体に電流引出線結合用のタブを連設し、正極材と負極材のそれぞれのタブを結束すると共に電流引出線を結合し、かつタブの結束部を電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げたことを特徴とする二次電池であって、電流引出線が電池要素側に延びる状態にタブと電流引出線が結合された後、タブの結束部が電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げられると共に電流引出線が電池要素の反対方向に延びるようにされた二次電池。 - 集電体に結合された平板状の複数の正極材と負極材を、イオン性金属成分を含有する非流動性電解質層を介して積層し、得られた電池要素を電池収容部材に装填する二次電池の製造方法において、集電体に電流引出線結合用のタブを連設し、正極材と負極材のそれぞれのタブを結束すると共に結束部に電流引出線を結合し、次いでタブの結束部を電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げることを特徴とする二次電池の製造方法であって、タブと電流引出線を、電流引出線が電池要素側に延びる状態に結合し、次いでタブの結束部を電池要素の側壁に沿う方向に折り曲げると共に電流引出線を電池方向と反対方向に延びるようにする二次電池の製造方法。
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