JP3947820B2 - 圧造成形機の素材移送用チャック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本考案は、パンチと共に圧造ステーションを構成するダイに対して素材を掴んで搬出入する素材移送用チャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の素材移送用チャック装置において、素材を把握する一対のチャックの位置関係を任意に調整可能な調整機構を備えたものとして、たとえば、実開平5−28535号公報に開示され、図10に示したように、パンチの作動に連動して回転される左右一対のチャックアーム取付軸A,Aに、これら取付軸A,Aへの取付用二つ割り部Bを有し、かつ各取付軸Aの回動により開閉される左右一対のチャックアームC,Cを上記二つ割り部B,BへのボルトD,Dの締め付けにより取付けると共に、これらチャックアームC,Cのうち、一方のチャックアームCにチャックアーム取付軸Aの閉方向の回転に対向して接線方向から該取付軸Aに至る調整用ボルトEを螺設し、かつ上記取付軸Aに、調整用ボルトEの先端を受ける切欠段部Fを設けた構成のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した素材移送用チャック装置によれば、一対のチャックアームC,Cの位置関係を調整する場合、ボルトD,Dで二つ割り部を緩めた状態でチャックアームC,Cを芯だし用のピンに合わせて所定の位置にセットし、その状態で二つ割り部をボルトD,Dで締め付けることにより行うのであるが、ボルトD,Dで二つ割り部を締め付けたときの割り締め部の滑りにより位置ずれが発生する。これを防止するために、上記チャックアームC,Cのうち一方に、チャックアーム取付軸Aの切欠段部Fと当接する調整用ボルトEが設けられているが、該ボルトEと切欠段部Fとの当接位置が上記取付軸Aの回動支点近くのため効果が十分に発揮できない問題があった。
【0004】
また、チャックアームCの下部には、該アームCとは別体のチャック爪Gが長さ調整可能にねじHで締結される構造となっており、チャック爪GのDY芯出しピンに対する位置関係を調整する場合、ねじHを緩めた状態でチャック爪Gを所定の位置にセットし、その状態を維持しながらねじHで締め付けることにより行うのであるが、ねじHで締め付けるときの滑りによる位置ずれや、締結部分からの緩みなども上記割り締め部の位置ずれによる狂いに加わってチャックセンターに対する十分な精度が求められにくかった。
【0005】
そこで、本発明は、一対のチャックアームの相対的な姿勢調整が簡単容易にかつ正確にでき、一対のチャック爪の素材に対する掴持が適性に行える素材移送チャック装置の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、パンチと共に圧造ステーションを構成するダイに対して素材を搬出入する素材移送用チャック装置において、左右一対のチャックアーム取付軸の中間部に、これら取付軸への取付部を有し、かつ上記パンチの作動に連動して各取付軸を回転させる左右一対の開閉駆動レバーが設けられていると共に、上記各取付軸の先端部に、これら取付軸への取付部を有し、かつ各取付軸の回動により開閉される左右一対のチャックアームが締付ボルトの締付けにより取付けられている一方、上記開閉駆動レバーにチャックアームに向かって突出する結合軸が設けられると共に、上記チャックアームの取付部側に上記結合軸と対応する大径の貫通孔が形成され、該貫通孔に上記結合軸の貫通を許す長孔を有する角頭部付き上方偏芯スリーブが回動可能に介装されており、該偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームが上記取付軸に対して該取付軸の周方向に微量範囲で揺動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記した請求項1の構成に加えて、チャックアーム取付軸とチャックアームの取付部との間に角頭部付きの下方偏芯スリーブが設けられ、該下方偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームが上記取付軸に対して該取付軸の半径方向に微量範囲で移動するように構成されていると共に、上記チャックアームの先端部にチャック爪が一体形成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、複数の圧造ステーションを備えた多段式圧造成形機1を示し、該成形機1における機台2の所定位置にはダイブロック3が設けられ、このダイブロック3に複数個のダイ4…4が所定の間隔で配置されていると共に、これらのダイ4…4に向かって進退するラム(図示せず)の前面に同数のパンチ(図示せず)がこれらのダイ4…4に対向して配置されている。これらのダイ4…4とパンチとによって複数の圧造ステーションが構成され、かつパンチの進退移動によって、パンチとダイ4…4との間で素材を粗から精に順次段階的に圧造加工するようになされている。
【0011】
また、ダイブロック3の上には、支持フレーム5が摺動可能に取付けられ、この支持フレーム5の一端には、パンチの進退動作に動機して該パンチの進退方向と直交するダイ平設方向に所定のストロークで進退する駆動ロッド6が連結ピン7によって連結され、この駆動ロッド6の進退動作に伴って支持フレーム5が隣接するダイ4,4の間隔に等しい距離だけ、上記パンチが後退している時間内に一往復移動されるようになされている。
【0012】
さらに、上記支持フレームの前面には、ダイ4…4と同数の素材移送用チャック装置(以下、チャックと称す)10…10が配設される。これらチャック10…10は上記駆動ロッド6による支持フレーム5の往復移動に伴い素材Aを図2に示すように掴持してダイ3…3間にわたって移送するようになされている。
その場合、各チャック10…10は、以下に述べる構成とされている。
【0013】
すなわち、該チャック10は、図2〜図4に示されているように上記支持フレーム5に回動自由に支持される左右一対のチャックアーム取付軸11,11と、これら取付軸11,11の中間部に設けられ、各かつ上記パンチの作動に連動して各取付軸11,11を回転させる左右一対の開閉駆動レバー12,12と、上記各取付軸11,11の先端部に設けられ、かつ各取付軸11,11の回動により開閉される左右一対のチャックアーム13,13と、パンチの作動に連動して開閉駆動レバー12,12を揺動させる昇降ロッド14とを備えている。
【0014】
開閉駆動レバー12は、図4及び図5に示されているようにその基部に二つ割り取付部12aと昇降ロッド14との二股状の係合部12bとを有し、先端部にはチャックアーム13に向かって突出するロックボルトでなる結合軸(以下ロックボルトという)15が螺着されている。そして、開閉駆動レバー12はその取付部12aを上記取付軸11の中間部に挿入した状態で該取付部12aを締付ける固定ボルト16により固定される。また、上記係合部12bは、パンチの作動に連動して支持フレーム5に対し昇降自由に支持される昇降ロッド14の下部に設けられた係合ピン17と係合されている。これにより、昇降ロッド14の昇降により開閉駆動レバー12,12が揺動駆動され、両レバー12,12の揺動により取付軸11,11が回転されるようになされている。
【0015】
チャックアーム13は、図4及び図6に示されているようにその基部に上記取付軸11への取付部13aを有し、先端部にチャック爪13bを一体に備えている。該アーム13の取付部13aは上記取付軸13aの先端部に角頭部18a付き下方偏芯スリーブ18を介して支持され、かつ、該取付部13aは下方偏芯スリーブ18と共に締付ボルト19により上記取付軸11に固定される。そして、締付ボルト19を緩めた状態で下方偏芯スリーブ18を左右に回すことにより、チャックアーム13を上記取付軸11に対し該取付軸11の半径方向に図7で示すようにY〜Y′の微量範囲で移動させて、そのチャック爪13bがチャックセンター、つまりダイ4の中心位置に正確に合致するよう微調整可能となされている。
【0016】
また、各チャックアーム13,13における取付部13a,13aのチャック爪13b,13bとは反対側に、上記ロックボルト15,15と対応する大径の貫通孔13cをもつ突出部13d,13dが連設されている。これら突出部13d,13dの各貫通孔13cには、ロックボルト15の貫通を許す長孔20bを有する角頭部20a付き上方偏芯スリーブ20が回動可能に介装されている。そして、各チャックアーム13,13は上方偏芯スリーブ20と共にロックボルト15の締付けにより、開閉駆動レバー12に固定される。ここで上方偏芯スリーブ20にロックボルト15が貫通されたとき、上記長孔20bによりロックボルト15の取付軸側外面とこれに対向する上方偏芯スリーブ20の内面との間に適宜空間が確保されるように構成されている。これにより、ロックボルト15を少し緩めた状態で上方偏芯スリーブ20を左右に回すことによりチャックアーム13が上記取付軸11に対し該取付軸11の周方向に図8及び図9に示すようにXの微量範囲で揺動して、チャック爪13bがチャックセンター、つまりダイ4の中心位置に正確に合致するよう微調整可能となされている。
【0017】
次に以上のように構成されたチャック10のセッティング後からの芯出し微調整手順について説明する。ただし、ロックボルト15,15及び締付ボルト19,19はすべて仮締めされた状態のもとで行う。
まず、芯出しピンPをダイ4の成形孔又は芯出し専用の芯出し穴に挿し込んで取付ける。そして、昇降ロッド14が下降位置に位置する状態のもとで、右側チャックアーム13のチャック爪13bを芯出しピンPに押し付ける。この押し付け状態のもとで下方偏芯スリーブ18をその角頭部18aをして適宜治具(図示せず)で回し、図7に示すように左側チャック爪13bの高さの微調整を行う。その場合、下方偏芯スリーブ18をその肉厚部18bが図7の実線で示すように上方に位置するよう回転させれば、チャック爪13bは上方に動き、また、該スリーブ18をその肉厚部18bが図7の仮想線で示すように下方に位置するように回転させるようにれば、チャック爪13bは下方に動く。
【0018】
次に、左側チャックアーム13の上方偏芯スリーブ20をスパナ22で回し、左側チャック爪13bを芯出しピンPに押し付ける。芯出しピンPが少し動いた状態で、下方偏芯スリーブ18をその角頭部18aをして適宜治具(図示せず)で回し、上記した右側チャック爪13bの場合と同様に左側チャック爪13bの高さ合わせを行う。然る後、芯出しピンPをダイ4から抜き出し、両爪13b,13bで芯出しピンPをグリップさせる。芯出しピンPがダイ4の成形孔に引っ掛かりなく入るか、芯出しピンPを確認する。芯出しピンPが入らないときには、左側偏芯スリーブ20を左右に回し、芯出しピンPが引っ掛かりなく入るところを探す。その場合、図8及び図9に示すように、図8に示す状態から上方偏芯スリーブ20を右回転させれば、上記取付軸11を中心にチャック爪13bは右に動き、上方偏芯スリーブ20を左回転させれば、上記取付軸11を中心にチャック爪13bは左に動く。そして、芯出しピンPとダイ4の成形孔の芯が合ったところで各上方偏芯スリーブ20,20の前にあるロックボルト15,15を各スリーブ20,20側に締め込み、さらに、左右の両取付軸11,11の締付ボルト19,19を軽く締め込む。これにより、チャックアーム13,13のチャックアーム取付軸11,11に対する取付角度と、その取付軸11,11の軸芯からチャック爪13b,13bまでの長さ、つまりチャックアーム取付軸11,11に対する周方向と半径方向との2方向による芯出し微調整作業が完了する。
【0019】
以上のように、チャックアーム13のチャックアーム取付軸11に対する取付角度を調整する場合、ロックボルト15を少し緩めた上で、スパナ22により上方偏芯スリーブ20を回すだけの簡単な操作により、チャックアーム13をチャックアーム取付軸11に対して微量範囲で回転させてその取付角度を正確に微調整することができる。
【0020】
また、締付ボルト19を少し緩めた上で、下方偏芯スリーブ18を回すだけの簡単な操作によりチャックアーム取付軸11に対してチャックアーム13を微量範囲で上下動させてその取付軸11の軸芯からチャックアーム先端のチャック爪13bまでの長さYを正確に微調整することができる。
【0021】
さらに、上記した実施の形態では、以上のように上下の偏芯スリーブ18,20の組合せにより、チャックアーム13のチャックアーム取付軸11に対する取付角度と、その取付軸11からチャック爪13bまでの長さとを微調整できる構成とした上で、上記チャックアーム13の先端部にチャック爪13bを一体に形成するようにしたので、従来例のように特別なチャック爪やチャックアームとチャック爪とを長さ調整可能に結合する複雑なねじ調整機構を不要にでき、これにより、チャック全体の構造をシンプルにして計量化を図り、コストを低減できる。その上、従来例のようにチャックアームとチャック爪とを長さ調整可能に結合するねじの緩みによるチャック爪の芯狂いの発生がなくなり、高速運転でも安定した素材移送を行うことが可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明によれば、開閉駆動レバーにチャックアームに向かって突出する結合軸が設けられると共に、チャックアームの取付部側に上記ロックボルトに対応する大径の貫通孔が形成され、該貫通孔に上記結合軸の貫通を許す長孔を有する角頭部付き上方偏芯スリーブが回動可能に介装され、該偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームを上記取付軸に対しその周方向に微量範囲で揺動するように構成されているから、結合軸を緩めた上で、上記上方偏芯スリーブを回すことによりチャックアームをチャックアーム取付軸に対して微量範囲で回転させてその取付角度を調整することができ、正確な芯出しが簡単容易に行える。
【0024】
また、チャックアームの取付部とチャックアーム取付軸との間に角頭付き下方偏芯スリーブを設け、該偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームを上記取付軸に対してその半径方向に微量範囲で移動させるように構成すれば、締付ボルトを緩めた上で、上記下方偏芯スリーブを回すことによりチャックアーム取付軸に対してチャックアームを微量範囲で上下動させてその取付軸の軸芯からチャックアーム先端のチャック爪までの長さを微調整することができ、正確な芯出しが簡単容易に行える。
【0025】
さらに、上記したように上下の偏芯スリーブの組合せにより、チャックアームのチャックアーム取付軸に対する取付角度と、取付軸からチャック爪までの長さとを微調整できる構成とした上で、上記チャックアームの先端部にチャック爪を一体形成すれば、従来例のように特別なチャック爪やチャックアームとチャック爪とを長さ調整可能に結合する複雑なねじ調整機構を不要にでき、これにより、チャック全体の構造をシンプルにして計量化を図り、コストを低減できる。その上、従来例のようにチャックアームレバーとチャック爪とを長さ調整可能に結合するねじの緩みによるチャック爪の芯狂いの発生がなくなり、高速運転でも安定した素材移送を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した多段式圧造成形機の要部の正面図である。
【図2】 チャックの挟持状態を示す一部省略正面図である。
【図3】 チャックの開放状態を示す正面図である。
【図4】 同チャックの要部の縦断側面図である。
【図5】 同チャックの開閉駆動レバーの一部切り欠き正面図である。
【図6】 同チャックのチャックアームの一部切り欠き正面図である。
【図7】 チャックアームの上下方向の微調整状態の説明図である。
【図8】 チャックアームの周方向の微調整前の状態の説明図である。
【図9】 チャックアームの周方向の微調整後の状態の説明図である。
【図10】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
10 素材移送用チャック
11 チャックアーム取付軸
12 開閉駆動レバー
12a 取付部
13 チャックアーム
13a 取付部
13c 貫通孔
15 結合軸(ロックボルト)
18 下方偏芯スリーブ
18a 角頭部
19 締付ボルト
20 上方偏芯スリーブ
20a 角頭部
Claims (2)
- パンチと共に圧造ステーションを構成するダイに対して素材を搬出入する素材移送用チャック装置において、左右一対のチャックアーム取付軸の中間部に、これら取付軸への取付部を有し、かつ上記パンチの作動に連動して各取付軸を回転させる左右一対の開閉駆動レバーが設けられていると共に、上記各取付軸の先端部に、これら取付軸への取付部を有し、かつ各取付部の回動により開閉される左右一対のチャックアームが締付ボルトの締付けにより取付けられている一方、上記開閉レバーにチャックアームに向かって突出する結合軸が設けられると共に、上記チャックアームの取付部側に上記結合軸と対応する大径の貫通孔が形成され、該貫通孔に上記結合軸の貫通を許す長孔を有する角頭部付き上方偏芯スリーブが回動可能に介装されており、該偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームが上記取付軸に対して該取付軸の周方向に微量範囲で揺動するように構成されていることを特徴とする圧造成形機の素材移送用チャック装置。
- チャックアーム取付軸とチャックアームの取付部との間に角頭部付きの下方偏芯スリーブが設けられ、該下方偏芯スリーブを左右に回すことによりチャックアームが上記取付軸に対して該取付軸の半径方向に微量範囲で移動するように構成されていると共に、上記チャックアームの先端部にチャック爪が一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧造成形機の素材移送用チャック装置。
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