JP3947803B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のワイパモータやシートスライド用駆動モータ等のモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のモータとして、図7,図8に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図7,図8に示すように、ワイパモータ1は、モータケース2及びギヤケース3に回転自在に支持されたモータ軸4と、このモータ軸4のギヤケース3内の一端近傍にねじの捩じれ方向を互いに逆向きにして形成された一対のウォーム5,6と、モータ軸4を挟んで対向し、一対のウォーム5,6にそれぞれ噛合する大径ギヤ7a,8aと該大径ギヤ7a,8aと同芯であり一体に回転する小径ギヤ7b,8bを有する一対のカウンタギヤ7,8と、この一対のカウンタギヤ7,8の各小径ギヤ7b,8bに噛合された出力ギヤ9とを備えている。
【0004】
そして、図8に示すように、出力ギヤ9の中心には出力軸9Aが固定されており、この出力軸9Aは、ギヤケース3から外へ突出した部分に図示しないワイパリンクが連結されるようになっている。
【0005】
このワイパモータ1では、ねじの捩じれ方向を互いに逆向きにした一対のウォーム5,6に一対のカウンタギヤ7,8が噛み合って回転するようになっているので、一方のウォーム5とカウンタギヤ7の組み合わせによって生じるスラスト荷重の方向が他方のウォーム6とカウンタギヤ8の組み合わせによって生じるスラスト荷重の方向と互いに逆向きとなってキャンセルされ、高精度で強固なスラスト軸受が不要となると共に、モータ軸4のガタ付きがなくなり、ワイパモータ1の回転が円滑なものとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭55−112449号公報(第1頁、図1、図2)
【0007】
【特許文献2】
特開平9−175334号公報(第5頁、図1、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のワイパモータ1では、モータ軸4(各ウォーム5,6)及び各カウンタギヤ7,8が共に金属製であるため、各カウンタギヤ7,8で各ウォーム5,6が摩耗して耐久性が悪かった。これに対処するに、近年、合成樹脂により成形したカウンタギヤを使用してウォームの摩耗を防いでいるが、金属製のものに比べて強度が低かった。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ウォームとカウンタギヤの耐久性及び強度を向上させることができるモータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転自在に支持されたモータ軸と、このモータ軸の一端近傍にねじの捩じれ方向を互いに逆向きにして形成された一対のウォームと、前記モータ軸を挟んで対向し、前記一対のウォームにそれぞれ噛合する大径ギヤと該大径ギヤと同芯であり一体に回転する小径ギヤを有する一対のカウンタギヤと、この一対のカウンタギヤの各小径ギヤに噛合された出力ギヤとを備えたモータにおいて、前記各カウンタギヤの前記大径ギヤを合成樹脂で形成すると共に、前記小径ギヤを金属で形成し、この合成樹脂製の大径ギヤの外周に前記ウォームに噛合する歯部を形成すると共に、該大径ギヤの内周に内側スプラインを形成する一方、前記金属製の各小径ギヤの外周に前記出力ギヤに噛合する歯部と前記大径ギヤの内側スプラインに噛合する外側スプラインとを軸方向に同芯段差状に形成し、前記大径ギヤの内側スプラインと前記小径ギヤの外側スプラインを噛合させて両ギヤを回転方向に固定すると共に、前記大径ギヤの軸方向両端面の内周縁に、それぞれ径方向の中心に向かって一体突出する鍔部を形成し、この一対の鍔部間で前記金属製の小径ギヤの外側スプラインを把持して該小径ギヤを前記大径ギヤの軸方向に固定し、かつ、この金属製の小径ギヤの外側スプラインの軸方向中心と前記ウォームの中心とを略同じ位置になるように配置したことを特徴とする。
【0011】
このモータでは、ウォームから合成樹脂製の大径ギヤを介して金属製の小径ギヤに加わる回転力が該小径ギヤの外側スプラインの略中央でバランス良く受けられる。これにより、回転力以外のウォームとカウンタギヤの噛み合い反力による影響等を受け難くなり、カウンタギヤを構成する大径ギヤの内側スプラインと小径ギヤの外側スプラインの噛合部の強度及び耐久性の向上が図られ、外力によるウォームとカウンタギヤの破壊が確実に防止される。従って、ウォームとカウンタギヤの耐久性及び強度が向上する。
【0014】
ここで、前記合成樹脂製の大径ギヤと前記金属製の小径ギヤの固定は、大径ギヤを型成型により形成する際にインサートモールドにより行うことが出来る(請求項2)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態のモータを示す平面図、図2は同モータの断面図、図3は同モータのギヤケースカバー等を取り外した状態を示す平面図、図4は図1中A−A線に沿う断面図、図5は同モータに用いられるカウンタギヤの分解斜視図、図6は同カウンタギヤの斜視図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、モータ10は、一端側が開口した略円筒状のヨーク(モータケース)11と、このヨーク11の開口端11aの周りのフランジ部11bをビス20aを介して締結固定したギヤケース21とを備えている。
【0018】
図2に示すように、ヨーク11の内周面11cには一対のマグネット12,12を接着剤等を介して固着してある。そして、ヨーク11の他端の有底筒部11dに嵌合されたラジアル軸受13aと、ギヤケース21の軸穴22の両端近傍に嵌合されたラジアル軸受13b,13cとでアーマチュア軸(モータ軸)14を回転自在に支持してある。
【0019】
アーマチュア軸14は、その一端近傍にねじの捩じれ方向を互いに逆向きにした一対のウォーム15,15′を形成してある。また、アーマチュア軸14の一対のマグネット12,12に対向する位置にはアーマチュア16を取り付けてある。このアーマチュア16は、アーマチュア軸14に固定され、所定のスロット数のコイル巻回部16bを持つアーマチュアコア16aと、このアーマチュアコア16aのコイル巻回部16bに巻き回されたアーマチュアコイル16cとで構成されている。
【0020】
さらに、アーマチュア軸14のヨーク11とギヤケース21との境部分に対向する位置には、コンミュテータ17を固定してある。このコンミュテータ17はアーマチュアコア16aのコイル巻回部16bと同数のコンミュテータ片17aを備えていて、各コンミュテータ片17aとアーマチュアコイル16cとは電気的にそれぞれ接続されている。
【0021】
さらに、ギヤケース21の軸穴22の開口端は大径穴部22aとなっており、この大径穴部22a内のコンミュテータ17に対向する位置には、ホルダ18を介して一対のブラシ19,19をコンミュテータ片17aに接触するように取り付けてある。各ブラシ19は図示しないモータ制御回路にそれぞれ電気的に接続されている。そして、このモータ制御回路のスイッチをオフからオンに切り替えると、電流がアーマチュア16等に流れてアーマチュア軸14が回転するようになっている。
【0022】
図2〜図4に示すように、ギヤケース21の略中央には軸穴22を形成してあり、この軸穴22に連通して凹状の減速機構収納部23を形成してある。この減速機構収納部23の底壁の一対のウォーム15,15′を挟む所定位置には、円筒状のボス(カウンタギヤ用のスラスト軸受)24,24′を一体突出形成してあると共に、該各円筒状のボス24,24′内の中央には円形状の凹部25,25′を形成してある。この各凹部25,25′には金属製でピン状の支軸26の下部26aを圧入等により嵌め込んであり、該各支軸26にはカウンタギヤ30を回転自在に支持してある。また、減速機構収納部23の底壁のウォーム15の図3中先端右寄りの位置には円形孔27aを形成してあり、この円形孔27aの周りには略円環状のリブ27bを一体突出形成してある。この略円環状のリブ27b内にはラジアル軸受28aを介して出力ギヤ40の円筒部41の下端41aを回転自在に支持してある。
【0023】
さらに、図1,図4に示すように、ギヤケース21の減速機構収納部23の一端開口は該ギヤケース21にビス20bで締結された金属製で略三角形板状のギヤケースカバー29で覆われている。このギヤケースカバー29の減速機構収納部23の各凹部25,25′に対向する位置には、円形状の凹部29a,29aを形成してある。この各凹部29aには支軸26の上部26bを圧入等により嵌め込んである。また、ギヤケースカバー29の減速機構収納部23の円形孔27aに対向する位置には、円形孔29bを形成してある。この円形孔29b内にはスラスト兼ラジアル用軸受28bを介して出力ギヤ40の円筒部41の上端41bを回転自在に支持してある。これら一対のウォーム15,15′と一対のカウンタギヤ30,30及び出力ギヤ40はギヤケース22の減速機構収納部23内に収納され、減速機構を構成している。
【0024】
図2,図4〜図6に示すように、各カウンタギヤ30は、合成樹脂製の大径ギヤ31と、金属製の小径ギヤ35とで構成されている。この合成樹脂製の大径ギヤ31の外周には各ウォーム15,15′に噛合する歯部32を形成してあると共に、該大径ギヤ31の内周には内側スプライン33を形成してある。また、金属製の小径ギヤ35の外周には出力ギヤ40の円筒部41に一体突出形成された歯部42に噛合する小径の歯部36と大径ギヤ31の内側スプライン33に噛合する大径の外側スプライン37とを軸方向に同芯段差状にそれぞれ一体形成してある。
【0025】
さらに、図4,図6に示すように、合成樹脂製の大径ギヤ31の軸方向両端面の内周縁には、それぞれ一対の鍔部34a,34bを径方向の中心に向かって円環状に一体突出形成してあり、この一対の鍔部34a,34b間で金属製の小径ギヤ35の外側スプライン37を把持して該小径ギヤ35を大径ギヤ31の軸方向に固定してある。
【0026】
そして、小径ギヤ35の中央に形成された貫通孔38内に支軸26を挿通してあり、この支軸26に小径ギヤ35と該小径ギヤ35の外側スプライン37に噛合した大径ギヤ31とが一体に回転するようになっている。また、図4に示すように、合成樹脂製の大径ギヤ31の歯部32の下面は減速機構収納部23の各円筒状のボス24,24′に摺動自在になっている。さらに、合成樹脂製の大径ギヤ31の内側スプライン33及び金属製の小径ギヤ35の外側スプライン37の軸方向中心O1と各ウォーム15,15′の中心O2とは略同じ水平位置になるように配置してある。即ち、各ウォーム15,15′と各大径ギヤ31の歯部32との噛み合い中心に対して均等な厚みになるように配置してある。
【0027】
尚、図4に示すように、出力ギヤ40の円筒部41内には出力軸43を固定してあり、この出力軸43のギヤケース21から外(図4における下方)へ突出した部分には例えば自動車のワイパリンク(図示省略)が連結されるようになっている。
【0028】
以上実施形態のモータ10によれば、アーマチュア軸14の一端近傍のねじの捩じれ方向を互いに逆向きにした一対のウォーム15,15′に一対のカウンタギヤ30,30が噛み合って回転するようになっているので、一方のウォーム15とカウンタギヤ30の組み合わせによって生じるスラスト荷重の方向が他方のウォーム15′とカウンタギヤ30の組み合わせによって生じるスラスト荷重の方向と互いに逆向きとなってキャンセルされる。これにより、各カウンタギヤ30を回転自在に支持する高精度で強固なスラスト軸受が不要となると共に、モータ10のアーマチュア軸14のガタ付きがなくなり、アーマチュア16がスムーズに回転する。
【0029】
また、アーマチュア軸14の一端近傍の一対のウォーム15,15′に噛合する各カウンタギヤ30の大径ギヤ31を合成樹脂で形成すると共に、出力ギヤ40の歯部42に噛合する各カウンタギヤ30の小径ギヤ35を金属で別々に形成し、この合成樹脂製の大径ギヤ31の内側スプライン33と金属製の小径ギヤ35の外側スプライン37とを噛合させて両ギヤ31,35を一体に回転させるようにしたので、ウォーム15,15′とカウンタギヤ30の耐久性及び強度を向上させることができる。
【0030】
さらに、合成樹脂製の大径ギヤ31の軸方向両端面の内周縁に一体突出形成された一対の鍔部34a,34b間で金属製の小径ギヤ35の外側スプライン37を把持して該小径ギヤ35を大径ギヤ31の軸方向に固定し、かつ、これら合成樹脂製の大径ギヤ31の内側スプライン33及び金属製の小径ギヤ35の外側スプライン37の軸方向中心O1とウォーム15,15′の中心O2とを略同じ水平位置になるように配置したので、ウォーム15,15′から合成樹脂製の大径ギヤ31を介して金属製の小径ギヤ35に加わる回転力を該小径ギヤ35の外側スプライン37の略中央でバランス良く受けることができる。これにより、回転力以外のウォーム15,15′と各カウンタギヤ30,30の噛み合い反力による影響等を受け難くなり、カウンタギヤ30を構成する大径ギヤ31の内側スプライン33と小径ギヤ35の外側スプライン37の噛合部の強度及び耐久性をより向上させることができ、外力によるウォーム15,15′及びカウンタギヤ30の破壊を確実に防止することができる。
【0031】
ここで、大径ギヤ31と小径ギヤ35との回転方向及び軸方向の相対的な固定は、合成樹脂製の大径ギヤ31を型成型により形成する際に、インサートモールドにより行われる。
【0032】
尚、前記実施形態によれば、モータを自動車のワイパモータとした場合について説明したが、シートスライド用駆動モータ等の他のモータに前記実施形態を適用できることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、合成樹脂製の大径ギヤの軸方向両端面の内周縁に一体突出形成された一対の鍔部間で金属製の小径ギヤの外側スプラインを把持して該小径ギヤを大径ギヤの軸方向に固定し、かつ、この金属製の小径ギヤの外側スプラインの軸方向中心とウォームの中心とを略同じ位置になるように配置したので、ウォームから合成樹脂製の大径ギヤを介して金属製の小径ギヤに加わる回転力を該小径ギヤの外側スプラインの略中央でバランス良く受けることができる。これにより、回転力以外のウォームとカウンタギヤの噛み合い反力による影響等を受け難くなり、カウンタギヤを構成する大径ギヤの内側スプラインと小径ギヤの外側スプラインの噛合部の強度及び耐久性を向上させることができ、外力によるウォーム及びカウンタギヤの破壊を確実に防止し、該ウォーム及びカウンタギヤの耐久性及び強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のモータを示す平面図である。
【図2】上記モータの断面図である。
【図3】上記モータのギヤケースカバー等を取り外した状態を示す平面図である。
【図4】図1中A−A線に沿う断面図である。
【図5】上記モータに用いられるカウンタギヤの分解斜視図である。
【図6】上記カウンタギヤの斜視図である。
【図7】従来のモータの部分断面図である。
【図8】図7中B−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10 モータ
14 アーマチュア軸(モータ軸)
15,15′ ウォーム
30,30 一対のカウンタギヤ
31 大径ギヤ
32 歯部
33 内側スプライン
34a,34b 一対の鍔部
35 小径ギヤ
36 歯部
37 外側スプライン
40 出力ギヤ
O1 小径ギヤの外側スプラインの軸方向中心
O2 ウォームの中心
Claims (2)
- 回転自在に支持されたモータ軸と、このモータ軸の一端近傍にねじの捩じれ方向を互いに逆向きにして形成された一対のウォームと、前記モータ軸を挟んで対向し、前記一対のウォームにそれぞれ噛合する大径ギヤと該大径ギヤと同芯であり一体に回転する小径ギヤを有する一対のカウンタギヤと、この一対のカウンタギヤの各小径ギヤに噛合された出力ギヤとを備えたモータにおいて、
前記各カウンタギヤの前記大径ギヤを合成樹脂で形成すると共に、前記小径ギヤを金属で形成し、この合成樹脂製の大径ギヤの外周に前記ウォームに噛合する歯部を形成すると共に、該大径ギヤの内周に内側スプラインを形成する一方、前記金属製の各小径ギヤの外周に前記出力ギヤに噛合する歯部と前記大径ギヤの内側スプラインに噛合する外側スプラインとを軸方向に同芯段差状に形成し、前記大径ギヤの内側スプラインと前記小径ギヤの外側スプラインを噛合させて両ギヤを回転方向に固定すると共に、前記大径ギヤの軸方向両端面の内周縁に、それぞれ径方向の中心に向かって一体突出する鍔部を形成し、この一対の鍔部間で前記金属製の小径ギヤの外側スプラインを把持して該小径ギヤを前記大径ギヤの軸方向に固定し、かつ、この金属製の小径ギヤの外側スプラインの軸方向中心と前記ウォームの中心とを略同じ位置になるように配置したことを特徴とするモータ。 - 請求項1記載のモータであって、
前記合成樹脂製の大径ギヤと前記金属製の小径ギヤの固定は、大径ギヤを型成型により形成する際にインサートモールドにより行うことを特徴とするモータ。
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