JP3946604B2 - 飲み口付き水筒のシール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、飲み口付き水筒のシール構造に関するものである。なお、飲み口付き水筒はストロー付き水筒と呼ばれる場合もある。
【0002】
【従来の技術】
蓋付きの栓に出没自在の飲み口を設けた飲み口付き水筒が一般に普及している。この水筒は、一般に、水筒本体の開口部に嵌合された栓に貫通部を設け、該貫通部に飲み口部材を一定のストロークをもって上下動可能に挿通し、その飲み口部材の下端部にチューブを接続し、そのチューブの下端部を水筒本体内部に垂下している。上記の飲み口部材の外周に嵌合したコイルばねの上端部を上記飲み口部材のばね受け部で支持するとともに、その下端部を上記貫通部で支持することにより該飲み口部材に突出方向の付勢力を付与し、上記栓に取付けた蓋によりその付勢力に抗して該飲み口部材を没入させるようにしている。使用者が蓋を開けると、飲み口部材がコイルばねの付勢力により一定ストロークだけ上昇するので、使用者はその先端の飲み口に直接口をつけて水筒本体内部の飲料を吸引して飲むことができる。また、上記の蓋の裏面には、パッキン(シール部材)が取付けられ、蓋を閉鎖した際にそのパッキンを飲み口の上端面に押し当て、該端面のシールを図り、水漏れを防止するようにしている(例えば、特許文献1から3参照)。
【0003】
上記のシール構造において、パッキンを蓋の裏面に取付ける手段として、蓋の中央部表面を上方に突き出してその裏面に凹部を形成するとともに該凹部にパッキンを嵌合し、表面に突き出した部分を隠すために蓋にカバー部材を被せたものが知られている(特許文献1参照)。また、蓋の裏面に環状のリブを設け、そのリブの内側に形成された凹部にパッキンを嵌合したものが知られている(特許文献2参照)。さらに、蓋の裏面に取付けたパッキン押さえ部材によってパッキンを支持するようにしたものも知られている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平6−6739号公報(第3欄43〜49行目、第1図)
【特許文献2】
登録実用新案第3060694号公報(図3の符号8c)
【特許文献3】
特開2000−106947号公報(段落0020、図2、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1及び2に記載されたシール構造は、いずれも凹部にパッキンを嵌合しただけのものであるので、製作の寸法誤差、パッキンの弾性の劣化等により、使用中に脱落し易い問題がある。
【0006】
また、特許文献1のように、蓋の中央部表面を上方に突き出してその裏面に凹部を形成したものは、その突き出し部分を隠すためのカバー部材が必要になり、部品点数が増える問題がある。特許文献2のように、蓋の裏面にリブを設けると、そのリブの形状に沿った成形時のヒケが表面側に生じるため、製品の外観を損なう問題がある。さらに、特許文献3のように、パッキン押さえ部材を用いるものは製品の部品増加の原因となる問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、飲み口付き水筒の蓋のシール構造における上記のような問題を解消し、部品点数の増加がなく、しかも確実にシールが行えるシール構造を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、蓋の裏面に設けた凹部にパッキンを嵌合し、蓋を閉鎖した際にそのパッキンを飲み口端面に押し当てることによりシールするようにした飲み口付き水筒のシール構造において、上記凹部の内周面にアンダーカット部を設け、その凹部に嵌合したパッキンの一部を該アンダーカット部に係合させた構成を採用したものである。
【0009】
上記の構成によると、パッキンが凹部のアンダーカット部に嵌入されるため、製作の寸法誤差、パッキンの弾性の劣化等があっても、パッキンが脱落するおそれがない。
【0010】
また、上記凹部の底面に飲み口の端面形状に応じた小凹部を設けた構成を採用すると、閉栓時の飲み口とパッキンの上下方向の位置関係にバラツキが生じたとしても、パッキンが弾性変形する変形量と、パッキンが小凹部に嵌入する嵌入量の和の範囲内でバラツキを吸収するので、安定したシールが行える。
【0011】
さらに、上記凹部に対応した蓋の表面に平坦な上端面を形成し、その上端面にラベルを貼着した構成を採用すると、前記のアンダーカット部成形のための型抜き穴がそのラベルにより隠されるので、外観を損なうことがない。なお、上記の上端面を前方に傾斜して形成すると、水筒の前方からラベルが見え易くなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態の飲み口付き水筒は、真空二重容器でなる水筒本体1の肩部2から開口部3の範囲にわたりこれらの部分をカバーする肩部材4を嵌合一体化し、その肩部材4に栓5を着脱自在に螺合している。栓5は、肩部材4の外周部に嵌合された栓リング6と、その栓リング6の内側に嵌合された栓体7とにより構成される。
【0013】
上記の栓リング6の下端部内周面にねじ条8が設けられ、肩部材4のねじ条9と螺合される。栓リング6の上端に開口11が設けられ(図2参照)、その開口11の後端部にヒンジ受け部12が設けられる。上記開口11の内周面に周方向のリブ13が設けられるとともに、ヒンジ受け部12下方の開口11の内面下端に位置決め凹部14が設けられる。また、ヒンジ受け部12に半径方向の一対のガイド壁15、15が設けられる。
【0014】
前記の栓体7の下端外周面には、図1、図2に示すようにパッキン16が装着され、また上端面に開口17を有する深いガイド凹部18が設けられる。そのガイド凹部18の下端に貫通部19が設けられる。ガイド凹部18はその中心線が栓5の前方に傾斜した状態に設けられることから、開口17は図2に示すように、前方に傾斜している。また、下端の貫通部19に近い内周部に段部21が設けられ、その段部21から上端の開口17までの部分が若干大径に形成される。貫通部19の内径面には対向一対のガイド用の切欠き部22、22が設けられる(図2参照)。また、開口17の後端部に半径方向の一対のガイド壁23,23が設けられる。このガイド壁23、23は後述のように、前記栓リング6のガイド壁15、15と突き合され、ロックボタン24のガイド部25を構成する。また、開口17の外周部下方において水平の上端面26が設けられ、さらに、その上端面26の下方の外周面に中間段部27が設けられる。
【0015】
上記の栓体7は栓リング6の下方から挿入され、栓リング6の開口11に栓体7の上端部を差し込むとともに、その上端面26の外周面をリブ13に若干の抵抗をもって嵌合させる。即ち、スナップフィットさせる。また、これと同時に、中間段部27が開口11の下端面に対向して、上方への抜け出しを防止して上下方向の位置決めを行う。また、前記のガイド部25下方に設けた位置決め突片28(図1、図2参照)を、開口11の位置決め凹部14に嵌合させ、栓体7の周方向の位置決めを行う。
【0016】
上記栓体7のガイド凹部18に飲み口部材31が上下方向にスライド可能に挿通される。飲み口部材31はパイプ状の部材で形成され、図2に示すように、中間部につば32が設けられ、そのつば32とその下部に設けたばね受け部33との間にパッキン34が嵌合される。そのつば32から上端までの間が飲み口35となる。つば32とパッキン34は段部21より上部のガイド凹部18の大径部に収納され、つば32が飲み口部材31のスライドを案内する。パッキン34は、飲み口部材31が下端位置にある場合において段部21上に密着しシールを図る。
【0017】
上記ばね受け部33の下方に、飲み口部材31の上下動ストロークより若干長い案内部38が設けられ、さらにその案内部38の下部にねじ部39、そのねじ部39の下部に接続口41が設けられる。上記の案内部38には、その全長にわたり対向一対のガイドリブ42、42が設けられる。このガイドリブ42、42は、ガイド凹部18下端の貫通部19に設けられた前記の切欠き部22、22(図2参照)嵌合され、これにより飲み口部材31の中心線周りの回り止めが図られる。
【0018】
上記の案内部38の周りに前記のコイルばね36が嵌合される。コイルばね36の内径は、その自然な状態で前記のリブ42、42を含む案内部38の外径より大に形成され、コイルばね36は案内部38の長さ方向に自由に移動することができる。
【0019】
上記のコイルばね36は、その下端部を貫通部19に係合させることにより、飲み口部材31に上向きの付勢力を与え上方にスライドさせるが、そのスライドストロークの上限を定めるためのストッパーとしてナット44が前記のねじ部39に螺合される。また、前記の接続口41に柔軟なチューブ45の上端が差し込まれる。チューブ45の下端部は、図1に示すように、水筒本体1の内壁に接触してわん曲され下端部が底面に達する。これにより飲み口部材31が水筒本体1の内部に連通される。
【0020】
前述のヒンジ受け部12に回動自在に取付けられた蓋46は、栓5の上部を閉鎖すると同時にその内面に装着したシール部材としてのパッキン47により飲み口35の上端面を押し込み、コイルばね36を圧縮させつつパッキン34が段部21に当たるまで、即ち飲み口部材31のスライドストロークの下限まで押し込む。蓋46を閉鎖状態にロックするために前述のロックボタン24がガイド部25に挿入される。ロックボタン24は、その先端上部にロック爪48が設けられるとともに、コイルばねにより外向きに付勢される。ロックボタン24が押し込まれると、ロック爪48が蓋46の係合部49に係合され、蓋46を閉鎖状態にロックする(図1の実線の状態参照)。このロックボタン24をさらに押し込むとロックが解除され、蓋46は飲み口部材31を上向きに押上げるコイルばね36の付勢力により押し開かれ、開放される(図1の二点鎖線参照)。
【0021】
前記の蓋46は、図3(a)に示すように、椀状に形成され、水筒の正立状態で水平となる下端縁51に対して傾斜角θを持って前方に傾斜した面で削ぎ落とした形状の円形の上端面52が、その周辺に椀部よりわずかに凹入して形成される(同図(b)参照)。また、蓋46の後端面に下端縁51と平行に突き出したアーム53を介してヒンジ軸54が設けられる。このヒンジ軸54が前記栓リング6のヒンジ受け部12に嵌合され、蓋46が開閉自在に取付けられる。
【0022】
上記蓋46の裏面において、図3(c)に示すように、上記上端面52の範囲内に、その中心部に中心をもった長円形の凹部55が設けられる。その凹部55の内周面の長軸側の両側円弧部において、幅aの所定長さのアンダーカット部56、56が設けられる。また、各アンダーカット部56、56の幅aより若干幅の広い型抜き穴57、57を上端面52に設け、成形時の型抜きを可能にしている。また、その凹部55の底部に、前記の飲み口35の端面形状に合致する長円形の溝からなる小凹部58が、該凹部55と同芯の相似形状に形成される。
【0023】
上記の凹部55に前記のパッキン47が嵌合されるが、そのパッキン47は、図4に示すように、ゴム等の弾性部材により長円形に形成されるとともに、その長径側の円弧部分に係合リブ59、59が設けられる。パッキン47は、図5に示すように、前記蓋46の凹部55に嵌合され、その係合リブ59、59が凹部55のアンダーカット部56、56に係合される。
【0024】
上記のように、凹部55にパッキン47を嵌合した状態で蓋46を閉鎖すると、そのパッキン47で飲み口35を押下げる。その際、パッキン47は、図5において二点鎖線で示すように、それ自体の弾性による変形と、小凹部58に合致した飲み口35の端面による押圧による変形とが重なった変形量をもって弾性変形する。その変形量により、蓋46と飲み口35の位置関係のバラツキが吸収される。
【0025】
なお、前記の小凹部58の形状は、図6(a)(b)に示すように、中心部の凸部を無くした面状の長円形凹部であってもよい。
【0026】
上記のように、アンダーカット部56,56を設けた場合、その幅aが僅かであると、金型を無理抜きすることにより、型抜き穴57を設けることなく成形することができるが、幅aが一定以上に大きくなると、型抜き穴57が必要になり、上端面52にその穴が露出し外観を損なう。そのため、図5、図6(a)に示すように、円形の上端面52の全面を覆うラベル60を貼着する。前記のように、上端面52は一定の傾斜角θで前方に傾斜しているので、ここに貼着されたラベル60は、傾斜角のない場合に比べ顧客の意識を引き易い利点がある。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、蓋裏面の凹部にアンダーカット部を設け、その凹部に嵌合したパッキンの一部を該アンダーカット部に係合させたことにより、部品を増加させることなく、長期にわたりパッキンが脱落し難く、安定したシールを行うことができる。
【0028】
また、上記の凹部の底部に小凹部を設けることにより、蓋と飲み口の位置関係のバラツキを吸収することができる。さらに、上記凹部に対応した蓋の表面に平坦な上端面を設け、その上端面にラベルを貼着することにより、該上端面に生じた型抜き穴を覆い隠すことができ、さらに、その上端面を前方に傾斜するように形成することにより、ラベルが目立ち易くなる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の断面図
【図2】同上の一部分解斜視図
【図3】(a)同上の蓋の断面図
(b)(a)図の一部省略平面図
(c)(a)図の一部省略底面図
【図4】(a)同上のパッキンの平面図
(b)(a)図の平面図
(c)(a)図の側面図
【図5】同上の蓋部分の一部省略拡大断面図
【図6】(a)蓋部分の他の例の一部省略拡大断面図
(b)(a)図の一部省略底面図
【符号の説明】
1 水筒本体
2 肩部
3 開口部
4 肩部材
5 栓
6 栓リング
7 栓体
8 ねじ条
9 ねじ条
11 開口
12 ヒンジ受け部
13 リブ
14 位置決め凹部
15 ガイド壁
16 パッキン
17 開口
18 ガイド凹部
19 貫通部
21 段部
22 切欠き部
23 ガイド壁
24 ロックボタン
25 ガイド部
26 上端面
27 中間段部
28 位置決め突片
31 飲み口部材
32 つば
33 ばね受け部
34 パッキン
35 飲み口
36 コイルばね
38 案内部
39 ねじ部
41 接続口
42 ガイドリブ
43 係合溝
44 ナット
45 チューブ
46 蓋
47 パッキン
48 ロック爪
49 係合部
51 下端縁
52 上端面
53 アーム
54 ヒンジ軸
55 凹部
56 アンダーカット部
57 型抜き穴
58 小凹部
59 係合リブ
60 ラベル

Claims (1)

  1. 蓋の裏面に設けた凹部にパッキンを嵌合し、蓋を閉鎖した際にそのパッキンを長円形の飲み口端面に押し当てることによりシールするようにした飲み口付き水筒のシール構造において、上記凹部が長円形に形成され、その凹部の内周面の長軸側の両側円弧部においてアンダーカット部を設け、上記凹部に嵌合される長円形のパッキンの長径側の円弧部分に係合リブが設けられ、その凹部に嵌合した上記パッキンの上記係合リブを該アンダーカット部に係合させ、上記凹部の底面に飲み口の端面形状に応じた小凹部を設け、上記凹部に対応した蓋の表面に平坦な上端面を前方に傾斜させて形成し、その上端面にラベルを貼着したことを特徴とする飲み口付き水筒のシール構造。
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