JP3946464B2 - ワイヤハーネスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電線を相互に接続して分岐部を形成するワイヤハーネスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のワイヤハーネスとしては、例えば図4および図5に示すような特開平9−27377号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
このワイヤハーネスの製造方法としては、図4および図5に示すように、幹線51の中間部および枝線52の被覆51b,52bを皮剥きして芯線51a,52aを露出させた後、幹線51の芯線51a部分に枝線52の芯線52a部分を重ね合せて、その重ね合せ部を平坦な挟持面を有する上下の電極チップ54,55によって加圧状態に挟み込み、両電極チップ54,55間に電流を流すことにより、その重ね合せ部を抵抗発熱によって溶融させながら前記2本の電線51,52を溶着して、図5に示すように分岐部を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したワイヤハーネス50を自動車などの配線に用いる場合は、ボディ内壁面にクランプ等を用いて固定しているため、ワイヤハーネス50には、自動車の走行時に発生するかなり大きな振動が与えられる。
【0005】
しかし、従来のワイヤハーネス50では、電線51,52の芯線51a、52aが断面円形状であるため、接続部分の面積が小さくなり、走行時に発生する自動車の振動によって、電線51,52に図5に矢印Aで示す方向に生じる引張り力や矢印Bで示す方向に生じるねじれ力が与えられると、該電線51,52の芯線51a,52aの接続部分の振動による接触抵抗が増加し、接触不良や断線を引き起すことがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の電線の接続部分の振動による接触抵抗の増加を防ぐことができるワイヤハーネスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定箇所で被覆が剥離され、複数の芯線が露呈された芯線露出部が湾曲されてなる湾曲部を有する複数の電線同士が、湾曲部において、互いに他の電線と重ね合わされて電気的に接続されており、重ね合わされた湾曲部同士が導電射出材で互いに一体に固定されていることを特徴とするワイヤハーネスである。
【0008】
このような構成を有するワイヤハーネスでは、所定箇所で被覆が剥離され、複数の芯線が露呈された芯線露出部が湾曲されてなる湾曲部を有する複数の電線同士が、湾曲部において、互いに他の電線と重ね合わされて電気的に接続されており、重ね合わされた湾曲部同士が導電射出材で互いに一体に固定されていることにより、電線の回転方向に対する保持力が大きくなる。このため、電線の回転やそれに伴う振動による接触抵抗の増加を防ぐことができる。したがって、請求項1記載の発明によれば、振動によって引き起こされる接続部分の接触不良や断線を防止できる。
【0009】
請求項2の発明は、複数の電線の各々の所定部分の被覆を剥離して芯線露出部を形成する工程と、芯線露出部を形成する工程で複数の芯線が露呈された芯線露出部を湾曲して湾曲部を形成する工程と、複数の電線の湾曲部同士を重ね合わせる工程と、重ね合わされた湾曲部同士に導電射出材を付着させて固定する工程とを有することを特徴とするワイヤハーネスの製造方法である。
【0010】
このワイヤハーネスの製造方法では、複数の電線の各々の所定部分の被覆を剥離して複数の芯線が露呈された芯線露出部を形成し、複数の芯線が露呈された芯線露出部を湾曲して湾曲部を形成し、複数の電線の湾曲部同士を重ね合わせて、重ね合わせた電線の湾曲部同士に導電射出材を付着させて固定するので、複数の電線の接続部分の面積が大きくなり、振動による接触抵抗の増加を防ぐことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るワイヤハーネスの実施形態について図1及び図2を用いて説明する。
【0012】
図1は、一実施形態のワイヤハーネス1を示す斜視図である。
【0013】
ワイヤハーネス1は、2本の電線2,3を交差させて、それぞれの中間部を相互に接続して形成されている。
【0014】
これら電線2,3のうち一方の電線2の中間部には、被覆2bを剥ぎとって芯線2aを露出させた芯線露出部4が形成されており、また、他方の電線3の中間部にも、被覆3bを剥ぎとって芯線3aを露出させた芯線露出部5が形成されている。
【0015】
これら電線2,3の芯線露出部4,5には、それぞれ凹状の湾曲部6,7が設けられている。
【0016】
そして、一方の電線2に他方の電線3を交差させて、一方の電線2の湾曲部6に他方の電線3の湾曲部7を沿わせるようにして重ね合せ、この重ね合せ部に導電性射出材8を付着させて一体に接続・固定することにより両電線2,3が接続されている。
【0017】
つぎに、上記ワイヤハーネス1の製造手順について図2(a)〜(c)を用いて説明する。
【0018】
まず、図2(a)に示すように、第1工程で、電線2,3のそれぞれの中間部の被覆2b,3bを剥ぎとり芯線2a,3aを露出させて芯線露出部4,5を形成する。
【0019】
次に、第2工程では、図2(b)で示すように、第1工程で電線2,3の中間部に形成された芯線露出部4,5に、それぞれ凹状の湾曲部6,7を設ける。
【0020】
次いで、第3工程では、図2(c)に示すように、導電性射出材8の受けるための受け皿台9上で、一方の電線2の湾曲部6に他方の電線3の湾曲部7を重ね合せる。
【0021】
そして、第4工程では、上記第3工程で受け皿台9上に重ね合された電線2,3の湾曲部6,7をノズル(図示せず)を有する加圧蓋10で加圧状態に挟み込み、前記ノズルから導電性射出材8を射出して湾曲部6,7(芯線露出部4,5)に付着させる。
【0022】
以上のような第1工程から第4工程を経て、本実施形態のワイヤハーネス1が製造される。
【0023】
前記導電性射出材8としては、例えば、特開平11−255904号公報に開示されているような導電性プラスチックを用いることができる。この導電性プラスチックは、熱可塑性樹脂と、その融点を前記熱可塑性樹脂の熱可塑化する温度域内に合金成分調整をした鉛フリーハンダと、該鉛フリーハンダを前記熱可塑性樹脂中に細かく分散させることを補助する分散メディアとを含む導電性樹脂組成物からなり、導電性が極めて高く様々な環境下においても導電性の低下を起すことがなく、成形に支障をきたすような大きな金属粒がない信頼性の高いものである。
【0024】
このワイヤハーネス1では、電線2,3の中間部に形成した芯線露出部4,5にそれぞれ湾曲部6,7を設け、電線2の湾曲部6に電線3の湾曲部7を重ね合わせ、この重ね合された湾曲部6,7(芯線露出部4,5)同士を導電性射出材8で一体に接続・固定したことにより、電線2,3の接続部分の面積が大きくなり、振動による接触抵抗の増加を防ぐことができる。
【0025】
したがって、振動による接触部分の接触不良や断線を引き起こすことがない。
【0026】
なお、本実施形態では、他方の電線3の芯線露出部5にも湾曲部7を設けているが、他方の電線3は、芯線3aを露出させて芯線露出部5を形成するだけでもよい。
【0027】
すなわち、複数の電線2,3の芯線露出部4,5を接続する場合、少くとも一本の電線2の芯線露出部4に湾曲部6を設けるだけでよい。
【0028】
図3は、他の実施形態のワイヤハーネス11を示す斜視図である。なお、図1に示すワイヤハーネス1と同構成要素には、同一付号を符して説明する。
【0029】
このワイヤハーネス11は、一方の電線2の中間部に他方の電線12の端末部を相互に接続して形成されている。
【0030】
一方の電線2の中間部には、被覆2bを剥ぎとって芯線2aを露出させた芯線露出部2aが形成されており、この芯線露出部4には凹状の湾曲部6が設けられている。
【0031】
他方の電線12の端末部には、被覆12bを剥ぎとって芯線12aを露出させた芯線露出部13が形成され、この芯線露出部13に凹状の湾曲部14が設けられている。
【0032】
そして、一方の電線2に他方の電線12を交差させて、一方の電線2の湾曲部6に他方の電線12の端末部の湾曲部13を沿わせるように重ね合せ、この重ね合せ部に導電性射出材8を付着させて一体に接続、固定することにより、両電線2,12が接続されている。
【0033】
このワイヤハーネス11では、電線2の中間部と電線12の端末部に形成した芯線露出部4,13にそれぞれ湾曲部6,14を設け、電線2の湾曲部6に電線12の湾曲部14を重ね合せ、この重ね合された湾曲部6,14(芯線露出部4,13)同士を導電性射出材8で一体に接続・固定したことにより、電線2,12の接続部分の面積が大きくなり、振動による接触抵抗の増加を防ぐことができる。
【0034】
したがって、振動による接触部分の接触不良や断線を引き起すことがない。
【0035】
なお、本実施形態では、他方の電線12の端末部の芯線露出部13にも湾曲部14を設けているが、他方の電線12は、芯線12aを露出させて芯線露出部13を形成するだけでもよい。
【0036】
(その他の実施形態)
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、構成の要旨に付随する各種の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、2本の電線を接続する場合について説明したが、3本以上の電線を接続する場合にも本発明を適用することができる。
【0038】
さらに、上記した実施形態のワイヤハーネス1では、電線2、3を略直交させているが、電線同士のなす角度はこれに限定されるものではない。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の発明によれば、所定箇所で被覆が剥離され、複数の芯線が露呈された芯線露出部が湾曲されてなる湾曲部を有する複数の電線同士が、湾曲部において、互いに他の電線と重ね合わされて電気的に接続されており、重ね合わされた湾曲部同士が導電射出材で互いに一体に固定されていることにより、電線の回転方向に対する保持力が大きくなり、電線の回転やそれに伴う振動による接触抵抗の増加を防ぐことができる。
【0040】
したがって、振動による接触部分の接触不良や断線を引き起すことがない。
【0041】
請求項2の発明によれば、分岐部分を有するワイヤハーネスを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るワイヤハーネスの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】 (a)は、図1に示すワイヤハーネスの製造方法の第1工程を示す側面図、(b)は、同第2工程を示す側面図、(c)は、同第3工程及び第4工程を示す斜視図である。
【図3】 本発明に係るワイヤハーネスの他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】 従来例のワイヤハーネスの製造方法を示す側面図である。
【図5】 従来例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【符号の説明】
1,11…ワイヤハーネス
2,3,12…電線
2a,3a,12a…芯線
2b,3b,12b…被覆
4,5,13…芯線露出部
6,7,14…湾曲部
8…導電性射出材

Claims (2)

  1. 所定箇所で被覆が剥離され、複数の芯線が露呈された芯線露出部が湾曲されてなる湾曲部を有する複数の電線同士が、前記湾曲部において、互いに他の電線と重ね合わされて電気的に接続され、重ね合わされた前記湾曲部同士が導電射出材で互いに一体に固定されていることを特徴とするワイヤハーネス。
  2. 複数の電線の各々の所定部分の被覆を剥離して芯線露出部を形成する工程と、
    前記芯線露出部を形成する工程で複数の芯線が露呈された前記芯線露出部を湾曲して湾曲部を形成する工程と、
    前記複数の電線の湾曲部同士を重ね合わせる工程と、
    前記重ね合わされた前記湾曲部同士に導電射出材を付着させて固定する工程と
    を有することを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
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