JP3946076B2 - 精米機の精白装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は精米機の精白装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−138031号公報には図6〜図9に示すような縦型の精米機1が開示されている。
【0003】
図6、図7に示すように、縦方向に配置された本体ケーシング2内に、図外の駆動モータにより駆動プーリ3を介して回転される中空の駆動軸4が配設され、駆動軸4の上部に送りロール5が、また駆動軸4の下部に突条部を有する精米ロール6がそれぞれ取り付けられ、これらの送りロール5および精米ロール6が駆動軸4とともに一体的に回転する。送りロール5および精米ロール6の外周側には精米室7の外殻部分をなし多数の通気孔8a(図9参照)が開口されている精白網8が配置され、精白網8内の糠を空気とともに吸引して図外の糠用送風機から外部に排出するようになっている。また、本体ケーシング2の上部には、玄米を一時的に溜める玄米タンク13から供給された玄米を精米室7内に送り込む供給用スクリュ9および供給用ケーシング10を配設している。
【0004】
本体ケーシング2の下端部には、精米室7からの開度を調節することで精米の際の圧力などを調整する開度規制部材11と、この開度規制部材11と精米ロール6との間から排出される白米を下方に案内する排出筒12とが、それぞれ昇降自在に嵌合されている。そして、精米ロール6を駆動させる駆動モータの電力量などから精米ロール6の負荷を検出しながら、開度調整用モータ14を作動させて、開度調整用アーム15を介して開度規制部材11の上下位置を変えることで、利用客が選択した精米白度に合った白度の米が得られるように白度制御が行われる。なお、図6は精米時における白米出口開度が小さい状態を示し、図7は白米出口開度が大きい状態を示す。また、図6、図7における2bは本体ケーシング2の外筒部、7aは精米室7における玄米が供給される玄米入口、7bは精米室7における白米(搗精された玄米)が供給される白米出口である。
【0005】
ところで、多数の通気孔8aが開口されている精白網8は、図8、図9に示すように、例えば六角形の筒形状をなす金属板に通気孔8aからなるスリットが多数形成され、本体ケーシング2の網支持枠2aと、挟持枠16と、外側支持枠17とにより、立設姿勢に保持されている。なお、精白網8には糠が付着し易いため、メンテナンス時などに精白網8を取り外した際に精白網8の内側などに付着した糠を除去し易いように、一般に、周方向に対して2分割あるいは3分割されている(図8においては2分割である場合を示す)。
【0006】
また、精白網8は、精米ロール6の回転軸心方向に対しては一体形成されており、精白網8には同じスリット幅(例えば1.0mm)の通気孔8aが形成されている。また、精米網8としては、通気孔8aの壁面内側端部で玄米表面を削り取る作用を有していたり、また、精白網8の内側に少し出っ張る出張り部を形成したりして搗精機能を高めたりしているものもある(図示せず)。
【0007】
精米時には、精米室7の玄米入口7a側寄り箇所では殆ど精米されていない玄米が搗精され、また、精米室7の白米出口7b側寄り箇所では既に玄米の外側が削られて研磨され、その外径が若干小さくなっているため、精米室7の玄米入口7a側寄り箇所の方が糠の発生量が多く、また、高圧となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、精白網8は精米時に常に玄米が圧接されるため、長期にわたって使用すると精白網8自体も磨耗してしまい、特に、精白網8における圧力が高く、殆ど精米されていない玄米が接する箇所である精米室7の玄米入口7a側寄り部分での磨耗が大きい傾向がある。このように精白網8自体に磨耗を生じていると、搗精能力が低下するとともに精米室7の内部圧力が低下気味となるので、精米した白米の白度が設定白度よりも低下する不具合を生じる。
【0009】
したがって、精米機1を管理する係員などは、精白網8の磨耗度合いを定期的に確認することが望ましく、精白網8にある程度以上の磨耗が生じている場合には、精白網8を交換することが好ましい。しかしながら、従来の精米機では、精白網8における精米室7の玄米入口7a側寄り部分だけでの磨耗が大きい場合など、精白網8の一部だけ特に磨耗が激しい場合でも、精白網8全体を交換しなければならないため、交換部品の費用が比較的高額となってしまう課題があった。
【0010】
また、精米対象の玄米として、高水分(例えば17%以上)の玄米を精米することがあるが、この場合には、糠の発生量が極めて多くなるため、精白網8の通気孔8a、特に、精米室7における玄米入口7a側寄り部分の精白網8の通気孔8aが、糠で目詰まりしてしまい、精米されて排出される白米に糠が付着するなどの課題を生じていた。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、交換部品の費用を低額に抑えることができ、また、高水分の玄米を精米する場合でも精白網の通気孔が目詰まりすることの少ない精米機の精白装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、1台の精米機の本体ケーシング内に、回転されて玄米を搗精する精米ロールと、精米ロールを外周側から囲むように配置されて1つの精米室の外殻をなし、多数の通気孔が開口されている精白網とが設けられ、この精白網を通して精米室内で発生する糠が空気とともに外部に排出される精米機の精白装置であって、1つの精米室の外殻をなす前記精白網が、精米ロールの回転軸心方向に対して複数に分割されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、精白網が、精米ロールの回転軸心方向に対して複数に分割されているので、精白網の一部だけ特に磨耗が激しい場合には、その磨耗が激しい部分の精白網だけを交換すればよく、交換部品の費用を低額に抑えることができる。
【0014】
また本発明は、1台の精米機の1つの精米室内で複数に分割された前記精白網において、精米された白米が排出される白米出口に近い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅よりも、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅が大きく形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅が大きく形成されているので、高水分の玄米を精米する場合でも、糠の発生が多い、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔から糠が良好に排出され、この通気孔が目詰まりすることを防止できる。また、白米出口から近い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅が小さく形成されているので、搗精されて小さくなった白米が通気孔に詰まることを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、従来の精米機と同様な機能の構成要素には同符号を付して、その説明は省略する。
【0017】
図1〜図5に示すように、この精米機20においては、精米ロール6を外周側から囲むように配置されて精米室7の外殻をなし、多数の通気孔が開口されている精白網が、精米ロール6の回転軸心方向(すなわち、玄米の流れに沿う方向であり、この実施の形態においては上下方向)に対して2分割されており、精米室7の玄米入口7aに近い側(すなわち、玄米流れ方向の上流側)に配置された第1の精白網21と、精米室7の白米出口7bに近い側(玄米流れ方向の下流側)に配置された第2の精白網22とから構成されている。なお、第1、第2の精白網21、22は、従来と同様に、メンテナンス時などに精白網21、22を取り外した際に精白網21、22の内側などに付着した糠を除去し易いように、周方向に対しても2分割されている。
【0018】
また、第1、第2の精白網21、22は、金属板を多角形状(この実施の形態においては全体として平面視して六角形状とされているがこれに限るものではなく八角形またはこれ以上の多角形状でもよい)に屈曲させ、この金属板に多数の通気孔21a、22aを形成した構成とされている。そして特に、精米室7の玄米入口7aに近い側に配置された第1の精白網21の通気孔21aのスリット幅よりも、精米室7の白米出口7bに近い側に配置された第2の精白網22の通気孔22aのスリット幅が大きく形成されおり、例えば、第1の精白網21の通気孔21aのスリット幅は1.2mm、第2の精白網22の通気孔22aのスリット幅は1.0mmとされている。
【0019】
なお、図4、図5における23、24および25、26は、第1、第2の精白網21、22を保持するための挟持枠および外側支持枠である。
上記構成によれば、精白網21、22が、精米ロール6の回転軸心方向に対して2分割されているので、圧力が高くて磨耗しやすい、玄米入口7aに近い側に配置された第1の精白網21だけが特に磨耗が激しい場合でも、この第1の精白網21だけを交換すればよく、精白網全体を交換する場合に比べて、交換部品の費用を低額に抑えることができる。なお、何らかの原因により、第2の精白網21だけが磨耗したり、損傷したりした場合には、第2の精白網22だけを交換すればよく、この場合においても、交換部品の費用を低額に抑えることができる。
【0020】
また、白米出口7bに近い側に配置された第2の精白網22の通気孔22aのスリット幅よりも、玄米入口7aに近い側に配置された第1の精白網21の通気孔21aのスリット幅が大きく形成されているので、高水分(例えば17%以上)の玄米を精米する場合でも、糠の発生が多い、玄米入口7aに近い側に配置された第1の精白網21の通気孔21aから糠が良好に排出され、この通気孔21aが目詰まりすることを防止できる。
【0021】
また、玄米入口7aに近い側に配置された第1の精白網21の通気孔21aのスリット幅よりも、白米出口7bに近い側に配置された第2の精白網22の通気孔22aのスリット幅が小さく形成されているので、搗精されて小さくなった白米が第2の精白網22の通気孔22aに詰まることを防止することができる。
【0022】
このように、第1、第2の精白網21、22の通気孔21a、22aに糠や、搗精されて小さくなった白米などが詰まることを防止することができる。
なお、上記実施の形態においては、精白網を精米ロール6の回転軸心方向(玄米の流れ方向)に対して2分割した場合を述べたが、これに限るものではなく、3分割や、4分割以上としてもよい。また、3つ以上に分割する場合は、隣り合う精白網において、玄米入口寄り側(玄米流れ方向上流側)ほど、順次、その通気孔のスリット幅が順次大きくなるように構成したり、また、最も玄米入口7a寄り側(玄米流れ方向上流側)のものだけ、他の精米網よりもその通気孔のスリット幅を大きくなるように構成したりしてもよい。ただし、何れの場合も、白米出口7b側ほど、玄米が搗精されて小さくなるので、その流れ位置における処理米(玄米および白米)が通気孔に詰まったりすることのない範囲内で通気孔のスリット幅を設定すればよい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、精白網を、精米ロールの回転軸心方向に対して複数に分割したことにより、精白網の一部だけ特に磨耗が激しい場合には、その磨耗が激しい部分の精白網だけを交換すればよく、交換部品の費用を低額に抑えることができる。
【0024】
また、1台の精米機の1つの精米室内で複数に分割された前記精白網において、精米された白米が排出される白米出口に近い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅よりも、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅を大きく形成することにより、高水分の玄米を精米する場合でも、糠の発生が多い、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔から糠が良好に排出され、この通気孔が目詰まりすることを防止でき、また、搗精されて小さくなった白米が、白米出口に近い側に配置された精白網の通気孔に詰まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる精米機の部分切欠正面図で、精米時における白米出口開度が小さい状態を示す。
【図2】本発明の実施の形態にかかる精米機の部分切欠正面図で、精米時における白米出口開度が大きい状態を示す。
【図3】同精米機の平面断面図である。
【図4】同精米機の精白網近傍箇所の斜視図である。
【図5】同精米機の精白網などの分解斜視図である。
【図6】従来の精米機の部分切欠正面図で、精米時における白米出口開度が小さい状態を示す。
【図7】同従来の精米機の部分切欠正面図で、精米時における白米出口開度が大きい状態を示す。
【図8】同従来の精米機の平面断面図である。
【図9】同従来の精米機の精白網近傍箇所の斜視図である。
【符号の説明】
2 本体ケーシング
4 駆動軸
5 送りロール
6 精米ロール
7 精米室
7a 玄米入口
7b 白米出口
11 開度規制部材
20 精米機
21、22 精白網
21a、22a 通気孔
Claims (1)
- 1台の精米機の本体ケーシング内に、回転されて玄米を搗精する精米ロールと、精米ロールを外周側から囲むように配置されて1つの精米室の外殻をなし、多数の通気孔が開口されている精白網とが設けられ、この精白網を通して精米室内で発生する糠が空気とともに外部に排出される精米機の精白装置であって、
1つの精米室の外殻をなす前記精白網が、精米ロールの回転軸心方向に対して複数に分割され、
1台の精米機の1つの精米室内で複数に分割された前記精白網において、精米された白米が排出される白米出口に近い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅よりも、白米出口から遠い側に配置された精白網の通気孔のスリット幅が大きく形成されていることを特徴とする精米機の精白装置。
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