JP3945786B2 - 折り曲げ罫線入りプラスチックシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、折り曲げ用の罫線が形成された折り曲げ罫線入りプラスチックシートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
プラスチックシートを用いて小型電気製品や各種雑貨、食品等を収納する包装容器等を形成する場合に、プラスチックシートを折り曲げ加工し易くするために、一般には図4に示すように、プラスチックシート1の折り曲げ部分に予め凹状の溝から成る折り曲げ用の罫線2を形成することが行われている。
【0003】
ところがこの場合、プラスチックシート1を折り曲げたり伸ばしたりしたときに、プラスチックシート1の弾性によって容易に戻りが生じ、折り曲げ時に罫線2の部分での変形によりプラスチックシート1が白化し、溝が深すぎたときにはプラスチックシート1が罫線2の部分で劣化して破断するといった問題点があった。
【0004】
この問題を解決するために、例えば実公平4−9345号公報に記載のようなプラスチックシートが提案されており、このプラスチックシートは、凹溝の底部に凹凸を形成したものである。しかしこの場合、プラスチックシートを罫線側及び反対側に大きく折り曲げたときには上記と同様の問題が生じ、十分な解決策とはならなかった。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、これら従来の技術に比べて白化や破断を生じることのない折り曲げ性の優れたプラスチックシートを提供できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、折り曲げ用の罫線が形成された折り曲げ罫線入りプラスチックシートにおいて、前記罫線が、並行する2本の溝と、前記両溝の底部それぞれに所定間隔毎に凹部または孔が形成されることによって前記両溝に形成された凸部とにより構成され、一方の前記溝内の前記各凸部のこの溝の長さ方向における形成位置と、他方の前記溝内の前記各凸部のこの溝の長さ方向における形成位置とが交互にずれていることを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、溝が浅くなる凸部において強度が保持される一方、溝が深くなる凹部または孔において柔軟性が発揮され、しかもこのような溝を2本並行して形成し、一方の溝の各凸部と他方の溝の各凸部とを交互にずらして形成することによって、強度の保持作用及び柔軟性の発揮作用が強化され、折り曲げ性の優れたプラスチックシートが得られる。
【0008】
このとき、請求項2記載のように、前記両溝内ぞれぞれの前記各凸部の前記長さ方向における寸法が、前記溝内ぞれぞれの前記各凸部間の前記凹部または孔の前記長さ方向における寸法よりも大きくすると、一方の溝の凸部と他方の溝の凸部との形成位置が一部重なり、この重なり部分の寸法を調整することによって折り曲げ性を適宜調整できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。但し、図1は一部の拡大斜視図、図2は図1のX−X’における断面図である。
【0010】
図1、図2において、11はプラスチックシートで、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の非発泡の硬質または半硬質シートから成り、その厚さは0.1〜1.0mm程度が好ましい。
【0011】
12、13はプラスチックシート11の折り曲げ用罫線を成すべくプラスチックシート11に並行して形成された2本の溝で、両溝12、13の底部それぞれには所定間隔毎に断面がV字状となる凹部14、15が形成され、各凹部14の形成によって一方の溝12の各凹部14間に凸部16が形成され、同様に各凹部15の形成によって他方の溝13の各凹部15間に凸部17が形成されている。このとき、一方の溝12内の各凸部16のこの溝12の長さ方向における形成位置と、他方の溝13内の各凸部17のこの溝13の長さ方向における形成位置とが交互にずれている。
【0012】
尚、両溝12、13の上端における開口幅Wは0.5〜3.0mm、各凸部16、17の高さTは溝12、13の深さの30〜100%で例えば0.05〜0.8mm、各凸部16、17及び各凹部14、15の長さは0.3〜5.0mmであることが好ましい。
【0013】
ところで、このような溝12、13、凹部14、15及び凸部16、17を形成する場合、例えば所定間隔毎に一部が切り欠かれた刃先を有する一対の罫線刃と、平坦な受け台との間でプラスチックシート11を挟圧することによって、プラスチックシート11の表面に溝12、13及びこれら両溝12、13内それぞれに凹部14、15及び凸部16、17が同時に形成されるのである。
【0014】
そして、溝12、13が浅くなる凸部16、17において強度が保持される一方、溝12、13が深くなる凹部14、15において柔軟性が発揮される。しかも、一方の溝12の各凸部16と他方の溝13の各凸部17とを交互にずらして形成することによって、強度の保持作用及び柔軟性の発揮作用がより一層強化されるのである。
【0015】
また、このような構成にすることにより、例えば溝12、13の深さをプラスチックシート11の厚さの30〜50%程度の浅いものにした場合であっても、優れた折り曲げ性が得られる。
【0016】
従って、上記した実施形態によれば、従来のように白化や破断を生じることのない折り曲げ性の優れたプラスチックシートを得ることができる。
【0017】
なお、他の実施形態として、図3に示すように、両溝12、13内ぞれぞれの各凸部16、17の長さ方向における寸法を、溝12、13内ぞれぞれの各凹部14、15の長さ方向における寸法よりも大きくしてもよく、このようにすると一方の溝12の凸部16と他方の溝13の凸部17との形成位置が一部重なり、もし凹部14、15が割れてもプラスチックシート11が破断しないものとなり、更にプラスチックシート11の材質に応じてこの重なり部分の寸法Lを調整することによって折り曲げ性を適宜調整することができる。
【0018】
また、溝12と溝13との間に、例えば0.3〜2mm程度の所要の間隔を設けてもよいのはいうまでもない。
【0019】
さらに、溝12、13には上記した凹部に代えてプラスチックシート11を貫通する孔を所定間隔毎に形成して、これら孔間に凸部を形成するようにしてもよいのは勿論である。
【0020】
また、溝12、13及び凹部14、15の形状は、上記したものに限るものではなく、例えば断面が略U字状等であってもよい。
【0021】
さらに、プラスチックシート11は、上記した材質のものに限定されるものではなく、各種物品のケースや包装容器等に利用でき、かつ折り曲げ加工が比較的容易な材質のものであればよい。
【0022】
また、溝12、13、凹部14、15及び凸部16、17の形成方法は、上記した手法に限定されるものではなく、溝12、13を一旦形成した後で凹部14、15を形成してもよい。
【0023】
さらに、プラスチックシート11が0.5〜2.0mm程度の比較的厚い場合には、上記した2本の溝12、13に並行して補助的な溝を形成してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、2本の溝の底部に凸部を形成し、一方の溝の各凸部と他方の溝の各凸部とを交互にずらして形成するようにしたため、白化や破断を生じることのない折り曲げ性の優れたプラスチックシートを提供することができ、各種物品のケースや包装容器等に用いるのに好適である。
【0025】
また、請求項2記載の発明によれば、一方の溝の凸部と他方の溝の凸部との形成位置が一部重なるため、プラスチックシートの材質に応じてこの重なり部分の寸法を調整することができ、これによって折り曲げ性を適宜調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の一部の拡大斜視図である。
【図2】図1のX−X’におけるの断面図である。
【図3】この発明の他の実施形態の一部の拡大斜視図である。
【図4】この発明の前提となるプラスチックシートの展開状態の平面図である。
【符号の説明】
11 プラスチックシート
12、13 溝
14、15 凹部
16、17 凸部

Claims (2)

  1. 折り曲げ用の罫線が形成された折り曲げ罫線入りプラスチックシートにおいて、
    前記罫線が、並行する2本の溝と、前記両溝の底部それぞれに所定間隔毎に凹部または孔が形成されることによって前記両溝に形成された凸部とにより構成され、
    一方の前記溝内の前記各凸部のこの溝の長さ方向における形成位置と、他方の前記溝内の前記各凸部のこの溝の長さ方向における形成位置とが交互にずれていることを特徴とする折り曲げ罫線入りプラスチックシート。
  2. 前記両溝内ぞれぞれの前記各凸部の前記長さ方向における寸法が、前記溝内ぞれぞれの前記各凸部間の前記凹部または孔の前記長さ方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の折り曲げ罫線入りプラスチックシート。
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