JP3945734B2 - 電子写真用現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用現像剤に関する。詳しくは、少なくとも特定のバインダー樹脂、特定の添加剤、着色剤及び帯電制御剤を含有してなるトナーと磁性を有するキヤリアからなる電子写真用現像剤に関する。本発明の現像剤は、画像濃度が高く、感光体カブリのない、また機内汚染のない、画質の優れた電子写真用現像剤として、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は米国特許第2297691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報などに開示されている通り、一般には光導電物質を含む感光体上に種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、次いでこの潜像をトナーで粉像として現像し、必要に応じて紙等に転写した後、加熱、加圧又は溶剤蒸気等により定着するものである。
【0003】
前記トナーはスチレン系、アクリル系やポリエステル系などの樹脂中に各種染料、顔料を分散させた1〜30μm 程度の粉体であり、表面に静電気力でトナーを担持しつつそれ自身が磁力で感光体近傍まで搬送するキャリアと称される粒径30〜200μm 程度の粒子と混合して2成分現像剤として用いられることが多い。トナーの製造法としては、まずバインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、更に必要に応じてその他の成分を混合機で均一に分散混合し、次いで混合物を密閉式ニーダー、又は一軸若しくは二軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、クラッシャー、ハンマーミル等で粗砕し、ジェットミル、高速ローター回転式ミル等で細粉砕し、風力分級機(例えば、慣性分級方式のエルボジェット、遠心力分級方式のミクロプレックス、DSセパレーター等)等で分級する方法が一般的である。トナーとキャリアの混合装置としては、ダブルコンミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真方式の印刷物の画像品質、特に画像濃度は、2成分現像方式では少なくともトナーとキヤリアで構成される現像剤の帯電性が大きく影響することが知られている。特に、キヤリア表面がトナーとの帯電性に大きな影響を及ぼすことから、表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されている。
たとえば、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン重合体等の樹脂で被覆されたキヤリアは、帯電特性は優れているが、コート表面の臨界表面張力が比較的高く、現像剤ライフにてキヤリア表面にトナー膜が形成され、いわゆるスペント化が生じ、キヤリアの帯電特性が低下し、現像剤ライフに渡って好ましくない。
【0005】
このようなスペント化を防止するために、低表面張力を有するシリコーン樹脂で被覆したキヤリアが提案されている。しかし、シリコーン系樹脂コートのキヤリアでは、シリコーン樹脂自体の電気抵抗が高いため、現像剤として用いた場合、コピー画像の大面積の画像面では、中央部の画像濃度が非常に薄く、端部のみが濃く表現されるいわゆるエッジ現象が発生して、画質劣化を招く。加えて、シリコーン系樹脂コートでは、繰り返し使用によりコート剤の剥離による帯電性の変化もあり、現像剤ライフに渡って画像濃度を一定に保てない。
シリコーン樹脂におけるこのような帯電性の変化を防ぐため、アミノ基を樹脂コートに導入すると、繰り返しの帯電変化は改善される傾向だが、エッジ現象は回避できず、一層悪化する。
【0006】
シリコーン樹脂での高抵抗化によるエッジ現象を緩和すべく、電気導電性を付与するために導電性物質であるカーボンブラックを樹脂に分散すれば、改善が認められる。しかし、一般に所望の電気導電性を得るには多量のカーボンブラックを必要とするため、樹脂へのカーボンブラックの分散には非常な困難性を伴う。そして、このようなキヤリアは、抵抗制御によるエッジ現象の解消はできても、トナーとの摩擦帯電性を極端に悪化させるから、複写機機内を飛散で汚染してしまう。また、逆帯電のトナー比率が増し、感光体表面の非画像部に現像されるいわゆる感光体カブリが高くなる欠点がある。
以上のようにキヤリア表面の変化でライフと共にトナーはコア材との摩擦帯電により帯電量が変化することで、良好な画像品質を維持することは極めて難しく、現在さほど有効な提案がなされておらず、その解決が望まれていた。
【0007】
特開平4−182673号公報には、PH7以上のカーボンブラックを添加したことを特長とする電子印刷用トナーが開示され、また、特開昭61−260254号公報には、カーボンブラックを含有するシリコーン樹脂で芯体表面を被覆してなることを特長とする静電荷像現像用キャリアが開示されている。
しかしながら、これらによっても上記課題は必ずしも十分に解決されているものではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来の現像剤の課題を改良すべくなされたもので、すなわち、感光体カブリが少なく、飛散がなく、画像濃度やエッジ現象等の画質の優れた電子写真用現像剤を提供することにある。即ち本発明の要旨は、少なくとも着色剤としてカーボンブラックを含み、かつ、少なくともビスフェノールAアルキレンオキシド付加物とテレフタル酸とを主成分とするポリエステル樹脂、並びに帯電制御剤を含むトナー粒子と、少なくともカーボンブラック及びアミノ基含有化合物を有するシリコーン系樹脂被覆層をもつ磁性キヤリア粒子からなる負帯電性を示す電子写真用現像剤において、前記トナー中のカーボンブラックがpH≧7であり、かつ前記シリコーン系樹脂被覆層(キャリア被覆層)中に含まれるカーボンブラックがpH<7であることを特徴とする電子写真用現像剤に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるトナー粒子には、少なくともバインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤及び必要に応じて離型剤、その他の物質を含有するものである。バインダー樹脂としては、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物とテレフタル酸とを主成分とするポリエステル樹脂が用いられる。ポリエステル樹脂を用いた場合、特にカラー用ブラックトナーに好適に用いることができる。
【0010】
トナーの着色剤として用いるカーボンブラックはpH≧7のものである。より好ましくは、7≦pH<10である。このpHを有するカーボンブラックを用いることにより、帯電を安定させ、安定的に良好な画像濃度を得ることができるので好ましい。具体的には、例えばキャボット社製リーガル330R(pH9.0)、同リーガル415R(pH8.5)、バルカンXC72R(pH8.5)、コロンビヤン社製のラーベン2100(pH8.9)、同ラーベン450(pH8.0)などを挙げることができる。
特に、ポリエステル樹脂を用いた場合は、トナー自体の負帯電性が強いので、前記範囲と異なるpH<7のカーボンブラック(いわゆる酸性カーボンブラック)を用いた場合、更に負帯電性を強める傾向があり、所望の画像濃度を得ることができないので好ましくない。また、トナー中のカーボンブラック含有量は、現像により可視像を形成することができるようトナーを着色するに十分な量であればよく、樹脂100重量部に対して1〜20重量部、特に3〜12重量部が好ましい。さらに必要に応じて色調整のために染料及び又は顔料を添加することもできる。
【0011】
本発明で用いられる帯電制御剤としては、負帯電性を示す公知のものが好ましく使用できる。例えば、含金属錯体染料、サリチル酸類金属塩、或いは特開平5−119535号公報等に記載の金属元素を含有しないカリックスアレン化合物などがある。本発明で用いられるトナーに離型剤としてはポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、シリコーンオイル、高級脂肪酸、脂肪酸アミドなどが挙げられる。添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部が好ましい。より好ましくは2〜6重量部が良い。
【0012】
これらの成分を含有するトナーは、通常溶融混練した後、粗粉砕、微粉砕を行い、粒径を5〜10μm の微粒子として得られるが、他の公知の方法、スプレードライ法、懸濁重合造粒法などにより得ることもできる。また、必要に応じて、分級後、トナー表面に流動補助剤、たとえば微粉末シリカなどを付着させることもできる。
本発明に用いられる磁性キヤリア粒子としては、鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉など従来から公知のものを使用できる。キヤリア粒子の平均径としては、20〜110μm のものが好ましい。より好ましくは40〜90μm がよい。
本発明に用いられる磁性キヤリア粒子の樹脂コート剤は、公知のシリコーン系樹脂を使用できる。オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン及びアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。市販品としては、ストレートシリコーン樹脂は、信越化学製のKR271、KR255、KR152、トーレシリコン製のSR2400、SR2406などがあり、変性シリコーン樹脂では、信越化学製KR206(アルキッド変性)、KR305(ウレタン変性)、ES1001(エポキシ変性)、トーレシリコン製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)などがある。
【0013】
本発明に用いられる樹脂コート剤には分子内にアミノ基を有する化合物(アミノ基含有化合物)が含まれるが、それはアミノシランカップリング剤であるのが好ましい。具体的には、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。添加割合としては、シリコーン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましい。
本発明に用いられる磁性キャリア粒子の樹脂コート剤に含まれるカーボンブラックとしてはpH<7であるものを使用する。より好ましくは2<pH<5であることが良い。pH≧7のカーボンブラックでは、アミノ基含有化合物を含むシリコーンコート剤を用いると、現像剤としてトナーの負帯電性を強調しすぎて、良好な画像濃度が得られない。したがって、pH<7のカーボンブラックを使用することで、現像剤に良好な帯電量を付与し、安定的な画像濃度を得ることができる。キャリアコート剤(シリコーン系樹脂被覆層)に含まれるカーボンブラックの添加量としては、コート剤樹脂固形分100重量部に対し、1〜30重量部であることが好ましい。より好ましくは1〜20重量部がよい。
【0014】
本発明の現像剤が優れた効果を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えている。本発明の現像剤は負帯電性を示すものであり、トナーとキャリアの両方の帯電の安定化の相乗効果により良好な結果を得ているものと考えられる。すなわち、トナー用樹脂として好適なポリエステル樹脂を用いると、ポリエステル樹脂に含まれる酸基により、過度にトナーの負帯電性が強調され、画像濃度の低下等を引き起こす。これにpHが7を超える塩基性カーボンブラックを添加することにより、酸基が中和され、トナー全体として適度な帯電となり、繰り返し使用でのチャージアップによる画質劣化がない。また、キャリアから見ると、高抵抗のシリコーン樹脂をカーボンブラックで低抵抗化する際に、pHが7未満の酸性カーボンブラックを含有させることにより、キャリアとして低抵抗化によるエッジ改良ができるほかに、キャリア被覆層中に負帯電安定化のために含まれるアミノ基含有化合物の塩基性を適度に中和して、トナー同様繰り返し使用時の安定性を高める。従って、トナー飛散や感光体カブリ等の悪化がない。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、「部」は「重量部」である。
実施例1
<キャリア>体積平均粒径60μmの球形Cu−Znフェライトコアを用いた。シリコーン系樹脂被覆層を形成するためのコート剤として、メチルシリコーン樹脂のトルエン溶液の樹脂固形分100部に対し、pH2.5のカーボンブラックを30部添加し、アミノシランカップリング剤としてN−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.4部添加し、ホモジナイザーで分散混合してコート液を準備した。樹脂被覆層を有するキャリアは、フローコーターにコアを仕込み、コーター下部から熱風を吹き込んで流動させ、コーター内部のノズルから前記のコート液を噴霧してコアに樹脂液を吸着させた後、200℃で加熱処理を行い、調整した。なお、キャリアの被覆層の膜厚は、走査型電子顕微鏡の観察で約1μm であった。
【0016】
【表1】
<トナー>
【0017】
トナーの製造は、原材料をヘンシェルミキサーで混合し、2軸押し出し機で溶融混練した後、ハンマーミルで粗粉砕し、ターボミルで微粉砕した後、エルボージェットで分級した。得られたトナーの体積平均粒径は8.3μm であった。トナーの外添は、トナー100部に対して、疎水性シリカ(アエロジルR972、日本エアロジル社製)0.5部をヘンシェルミキサーで実施した。現像剤はV型混合機を用いて、上記トナー5部、上記キャリア95部を混合して得た。実写評価装置は、市販の複写機を改造して用い、評価は初期画質および20000枚の繰り返し実写により行った(補給トナーは、各実施例、比較例で現像剤作成に用いたトナー)。
【0018】
比較例1
実施例1のキヤリア被覆層中のカーボンブラックをpH8.5のものに変更する以外全く同様にして現像剤を得た。
比較例2
実施例1のトナー中のカーボンブラックをpH2.5のものに変更する以外全く同様にして現像剤を得た。
【0019】
比較例3
実施例1のキヤリア被覆層中のカーボンブラックをpH8.5のものに変更し、更にトナー中のカーボンブラックをpH2.5のものに変更する以外全く同様にして現像剤を得た。
比較例4
実施例1のキヤリア被覆層中にカーボンブラックを含まないこと以外全く同様にして現像剤を得た。
【0020】
比較例5
実施例1のキャリア被覆層中にアミノシランカップリング剤を含まないこと以外全く同様にして現像剤を得た。
実施例2
実施例1のキャリア被覆層中のカーボンブラックをpH4.5のものに変更し、更に、トナー中のカーボンブラックをpH8.5のものに変更する以外は実施例1と全く同様にして現像剤を得た。
【0021】
以上の実施例および比較例の結果をまとめて、表1(初期画質)に示す。結果から明らかなように、本発明の組み合わせになる実施例1、実施例2では画像濃度が高く、感光体カブリの少なく、エッジの画質が特に優れていた。また、20000枚の繰り返し実写でも画質の変化はほとんどなく優秀であった。実写を通じて、トナー飛散も少なかった。比較例1は実施例1のキャリア被覆層中のカーボンブラックのpHを7以上にしたもので、感光体カブリ、エッジが実施例1,2に比べ劣っていた。20000枚実写で、画質の向上は見られず、トナー飛散も悪化する傾向にあった。
【0022】
比較例2は実施例1のトナー中のカーボンブラックのpHを7より小さくしたもので、感光体カブリ、エッジが実施例1,2に比べて劣っていた。20000枚実写後も画質の向上は見られなかった。比較例3は実施例1のトナー中のカーボンブラックのpHが7未満、かつ、キャリア被覆層中のカーボンブラックのpHを7を超えるものとしたもので、感光体カブリ、エッジが実施例1,2に比べ劣っていた。20000枚実写後も画質の向上は見られなかった。
【0023】
比較例4は、実施例1のキャリア被覆層中にカーボンブラックを含まないもので、実施例1に比べ、感光体カブリは同等であるが、画像濃度が低く、エッジが劣り、実用上問題である。20000枚実写後も画質の向上は見られなかった。比較例5は、実施例1のキャリア被覆層中にアミノシランカップリング剤を含まないもので、実施例1に比べ、画像濃度が高いものの、感光体カブリが高く、実用上問題がある。20000枚実写後も画質の向上は見られなかった。
【0024】
【表2】
【0025】
評価方法
画像濃度 :マクベスR914
感光体カブリ:白紙原稿で現像後の感光体表面に透明粘着テープを貼り、剥離後、マクベスRD914にて画像濃度測定する。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、特に負帯電の2成分現像剤において、画像濃度が高く、感光体カブリ、飛散が少なく、エッジ等の画質の優れた電子写真用現像剤が得られる。
Claims (4)
- 少なくとも着色剤としてカーボンブラックを含み、かつ、少なくともビスフェノールAアルキレンオキシド付加物とテレフタル酸とを主成分とするポリエステル樹脂、並びに帯電制御剤を含むトナー粒子と、少なくともカーボンブラック及びアミノ基含有化合物を有するシリコーン系樹脂被覆層をもつ磁性キヤリア粒子からなる負帯電性を示す電子写真用現像剤において、前記トナー中のカーボンブラックがpH≧7であり、かつ前記シリコーン系樹脂被覆層中に含まれるカーボンブラックがpH<7であることを特徴とする電子写真用現像剤。
- トナー中のカーボンブラックが、7≦pH<10であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用現像剤。
- シリコーン系樹脂被覆層中に含まれるカーボンブラックが、2<pH<5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用現像剤。
- アミノ基含有化合物が、アミノシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子写真用現像剤。
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