JP3945643B2 - 画像読取方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファス物質で形成された読取用光導電層を備えた固体検出器を用いた画像読取方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、固体検出器を用いた装置、例えばファクシミリ、複写機あるいは放射線撮像装置等が知られている。
【0003】
例えば、医療用X線撮影等において、被験者の受ける被爆線量の減少、診断性能の向上等のために、X線に感応する例えばa−Se(アモルファスセレン)から成るセレン板等の光導電体を有する固体検出器を使用し、この固体検出器に画像情報を担持するX線等の記録光を照射して、画像情報を担持する潜像電荷を固体検出器の蓄電部に蓄積させ、その後レーザビーム等の読取用の電磁波(以下、読取光という)で固体検出器を走査することにより該固体検出器内に生じる電流を該固体検出器両側の平板電極あるいはストライプ電極を介して検出することにより、潜像電荷が担持する静電潜像、すなわち記録された画像情報を読み取るシステムが知られている。
【0004】
ここで、固体検出器への画像情報の記録と、記録された画像情報を読み取るプロセスは、固体検出器の層構成によって異なるものである。例えば、両端の電極と、両電極間に配設された記録用光導電層および読取用光導電層とを有してなるものを使用する場合には、両端電極に記録用電圧が印加された状態で記録光を記録用光導電層に照射して、静電潜像を固体検出器の蓄電部に形成し、その後、固体検出器の両端電極を短絡して同電位にし、さらに、読取光に対して透過性を有する電極(以下読取光側電極という)を介して読取光で読取用光導電層を走査し、読取光側電極と読取用光導電層との界面で発生する電子とホールのペア(電荷対)による光誘起放電によって生じる電流を電圧信号に変換することにより、静電潜像の電気的読取りを行う。この場合、前記静電潜像の読取時、記録光の非照射部では電流が流れず、記録光強度が強い部分ほど大きな電流が流れる。なお、このように、記録後に固体検出器の両端電極を短絡した後に読取りを行う系をショート読出しの系といい、また、像の明部ほど大きな電流が流れる系をポジ型の系という。
【0005】
このようなショート読出しの系かつポジ型の系に使用される固体検出器の具体的な層構成としては、例えば、第1導電体層(記録光側電極層;以下同様)、記録用光導電層、蓄電部としてのトラップ層、読取用光導電層、第2導電体層(読取光側電極層;以下同様)をこの順に積層してなるものがある(特許文献1等)。
【0006】
また、本願出願人は、ポジ型の固体検出器として、記録用の放射線に対して透過性を有する第1導電体層、記録用の放射線の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、第1導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該同極性の電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、読取光に対して透過性を有する第2導電体層をこの順に積層してなり、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に蓄電部が形成されるものを提案している(特許文献2、特許文献3等)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第4535468号明細書
【0008】
【特許文献2】
特開2000−105297号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−284056号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1から3に記載されているような読取用光導電層を備えた固体検出器においては、読取用光導電層に好適な材料として例えばアモルファスセレン等のアモルファス物質が多く用いられるが、このようなアモルファス物質は、結晶材料と比べて電荷の移動速度が非常に遅いため、図4に示すグラフが表すように、読取光の照射に対する電荷検出の応答性が芳しくなく、そのため、読取光の走査速度を速くした場合には、高速に読取を行うことができるが、検出電荷量が少なくなるために良好な画質の画像を得ることができず(高速読取モード)、また、読取光の走査速度を遅くした場合には、検出電荷量が多くなるため良好な画質の画像を得ることができるが、読取に時間が掛かってしまう(高画質モード)という問題があった。
【0011】
そのため、アモルファス物質で形成された読取用光導電層を備えた固体検出器を用いた画像撮像方法および装置においては、必要に応じて上述のような高速読取モードと高画質モードとが選択できることが望ましいが、上述のような高速読取モードと高画質モードとを選択的に使用可能な方法および装置については未だ開示がなされていなかった。
【0012】
本発明は、アモルファス物質で形成された読取用光導電層を備えた固体検出器を用いた画像読取方法および装置において、高速読取モードと高画質モードとを選択的に使用可能とすることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像読取方法は、記録光に対して透過性を有する第1の導電層、記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、記録光が担持する画像情報を静電潜像として蓄積する蓄電部、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する、アモルファス物質で形成された読取用光導電層、多数の線状電極からなるストライプ電極を有する第2の導電層をこの順に積層してなり、読取光で走査されることにより静電潜像に応じた電流を発生する固体検出器を読取光で走査し、この走査により線状電極から出力される電流を、電流検出手段により線状電極毎に検出し、電流検出手段により検出した電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングして画像信号を取得する画像読取方法において、読取光の走査速度およびサンプリング周波数を同じ割合で変化させて静電潜像の読取速度を変更した場合に、読取速度に応じて電流検出手段の周波数帯域を変更することを特徴とするものである。
【0014】
電流検出手段に用いるアンプのノイズは、周波数帯域の平方根に比例するため、必要以上の帯域はノイズの点で不利である。また、サンプリングが不適切なために起こる折り返しノイズもサンプリング周波数と電流検出手段(アンプ)の周波数帯域で決定されるが、画素サイズを固定した場合には、1画素あたりの読取時間は読取光の走査速度に依存するため、サンプリング周波数が読取光の走査速度の関数となる。従って、読取光の走査速度に対応させて電流検出手段(アンプ)の周波数帯域を変更することにより、検出信号のS/Nを最適化でき、読取光の走査速度毎に最高の画質を得ることができる。
【0015】
本発明による画像読取装置は、記録光に対して透過性を有する第1の導電層、記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、記録光が担持する画像情報を静電潜像として蓄積する蓄電部、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する、アモルファス物質で形成された読取用光導電層、多数の線状電極からなるストライプ電極を有する第2の導電層をこの順に積層してなり、読取光で走査されることにより静電潜像に応じた電流を発生する固体検出器と、読取光で固体検出器を走査する読取光走査手段と、読取光走査手段による走査により線状電極から出力される電流を線状電極毎に検出する電流検出手段と、電流検出手段により検出された電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングして画像信号を取得する画像信号取得手段とを備えた画像読取装置において、読取光走査手段の走査速度およびサンプリング周波数を同じ割合で変化させて、静電潜像の読取速度を変更する読取速度変更手段を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
上記本発明による画像読取装置においては、電流検出手段の周波数帯域を変更する周波数帯域変更手段を備えたものとすることが好ましい。
【0017】
【発明の効果】
本発明による画像読取方法および装置によれば、読取光走査手段の走査速度およびサンプリング周波数を同じ割合で変化させて、静電潜像の読取速度を変更可能とすることにより、高速読取モードと高画質モードとを選択的に使用可能とすることができる。
【0018】
また、読取光の走査速度に対応させて電流検出手段(アンプ)の周波数帯域を変更することにより、検出信号のS/Nを最適化でき、読取光の走査速度毎に最高の画質を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本実施の形態による画像読取装置のブロック図、図2はこの画像読取装置の固体検出器、電流検出手段および画像信号取得手段の概略図である。
【0020】
図1および図2に示すように、この画像読取装置1は、画像検出器としての放射線固体検出器(以下単に検出器とも言う)10と、読取光により固体検出器10を走査する読取光走査手段20と、固体検出器10から出力される電流を検出する電流検出手段30と、電流検出手段30の周波数帯域を変更する周波数帯域変更手段40と、電流検出手段30により検出された電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングして画像信号を取得する画像信号取得手段50と、読取光走査手段20、周波数帯域変更手段40および画像信号取得手段50を制御して固体検出器10からの画像信号の読取速度を変更する読取速度変更手段60とを備えている。
【0021】
固体検出器10は、画像情報を静電潜像として記録し、読取光で走査されることにより、静電潜像に応じた電流を発生するものであり、記録光に対して透過性を有する第1の導電層11、記録光の照射を受けることにより電荷を発生して導電性を呈する記録用光導電層12、第1の導電層11に帯電される潜像極性電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該潜像極性電荷と逆極性の輸送極性電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層13、読取光の照射を受けることにより電荷を発生して導電性を呈する読取用光導電層14、読取光に対して透過性を有する第2の導電層15をこの順に積層してなるものである。記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面に蓄電部17が形成される。第1の導電層11としては0.1μm厚のAuを用い、記録用光導電層12としては500μm厚のa−Seを用い、電荷輸送層13としては0.1μm厚のAs2Se3を用い、読取用光導電層14としては10μm厚のa−Seを用いた。読取用電極層としての第2の導電層15は、多数のIZO(Indium Zinc Oxide)製の0.2μm厚、50μm幅の線状電極(図中の斜線部)が100μmピッチでストライプ状に配列されて成るものを用いた。以下第2の導電層15の電極をストライプ電極16といい、各線状電極をエレメント16aという。上記固体検出器10の検出可能領域のサイズは430mm×430mmとし、1画素のサイズは、主走査方向(エレメント16a配列方向)、副走査方向(エレメント16a長手方向)ともに100μm、すなわち4300画素×4300画素となるように構成されている。この固体検出器10はガラス基板18上に形成されている。
【0022】
読取速度変更手段60は、クロック信号を出力するクロックと、このクロックおよび周波数帯域変更手段40を制御するドライバとから構成されている。クロックは、読取光走査手段20および画像信号取得手段50に接続されており、読取光走査手段20による読取光の走査速度と、画像信号取得手段50のサンプリング周波数とを併せて制御するものであって、ドライバからの指示に基づいて内部の水晶振動子の分周比を変更することにより、複数種類の周波数のクロック信号を出力可能なように構成されている。以後、クロックから読取光走査手段20に出力されるクロック信号をドライブパルス、クロックから画像信号取得手段50に出力されるクロック信号をラインクロックと記載する。本実施の形態では、1画素あたりの読取時間を0.5ms、1ms、2msとすべく、クロックは2kHz、1kHz、0.5kHzの3つの周波数のクロック信号を出力可能となっており、これにより、固体検出器10全体から画像を読み取る時間を、高速読取モードとして2.15s、通常モードとして4.3s、高画質モードとして8.6sの3パターンの読取モードに変更することが可能である。
【0023】
読取光走査手段20は、LEDチップが一列に複数並べられて構成されたライン光源および該光源から出力された光を固体検出器10上で線状に照射させる光学系からなる光源部と、この光源部を固体検出器10と必要な距離を保ったまま平行移動させるリニアモータとから構成されており、主走査方向に対応した線状光を照射する光源部を、リニアモータによって副走査方向に平行移動させることにより固体検出器10の全面の走査を行うように構成されている。リニアモータはドライブパルスに同期して駆動するものであり、ドライブパルスを1パルス受信する毎に光源部を副走査方向に1画素分移動させる。
【0024】
電流検出手段30は、各エレメント16a毎に接続された複数のI−V変換アンプ31と、画像記録時に固体検出器10に電圧を印加する高電圧電源37と、スイッチ38とから構成されている。このI−V変換アンプ31は、オペアンプ32に、抵抗33と、それぞれ異なる静電容量の高速読取モード用コンデンサ34、通常モード用コンデンサ35および高画質モード用コンデンサ36とが並列に接続されて構成されたものである。
【0025】
周波数帯域変更手段40は、高速読取モード用コンデンサ34、通常モード用コンデンサ35および高画質モード用コンデンサ36にそれぞれ直列に接続された高速読取モード用スイッチ41、通常モード用スイッチ42および高画質モード用スイッチ43からなる。この高速読取モード用スイッチ41、通常モード用スイッチ42および高画質モード用スイッチ43は、読取速度変更手段60のドライバからの指示に基づいて開閉される。
【0026】
I−V変換アンプ31の周波数帯域は、抵抗33と、高速読取モード用コンデンサ34、通常モード用コンデンサ35または高画質モード用コンデンサ36のいずれかとで構成されるローパスフィルタの遮断周波数により決定される。
【0027】
高速読取モード用コンデンサ34、通常モード用コンデンサ35および高画質モード用コンデンサ36のそれぞれの静電容量は、抵抗32と組合せてローパスフィルタを構成した際に、このローパスフィルタの遮断周波数が、高速読取モード、通常モードおよび高画質モードのそれぞれのサンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)となるように設定する。
【0028】
画像信号取得手段50は、各I−V変換アンプ31の出力を複合するアナログマルチプレクサ51と、アナログマルチプレクサ51の出力信号をA/D変換するA/D変換器52とから構成されている。画像信号取得手段50は、ラインクロックを1パルス受信する毎に副走査方向の1画素分の画像信号をサンプリングする。
【0029】
次いで、このように構成される画像読取装置1の動作について説明する。
【0030】
固体検出器10に静電潜像を記録させる際は、スイッチ38を高電圧電源37側に接続して第1の導電層11と各エレメント16aとの間に直流電圧を印加し第1の導電層11と各エレメント16aとを帯電させる。これにより固体検出器10内の第1の導電層11と各エレメント16aとの間に、エレメント16aをU字の凹部とするU字状の電界が形成される。
【0031】
外部から画像情報を担持する記録光が固体検出器10に照射されると、固体検出器10の記録用光導電層12内で正負の電荷対が発生し、その内の負電荷が上述の電界分布に沿ってエレメント16aに集中せしめられ、記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面に形成された蓄電部17に負電荷が蓄積される。この蓄積された負電荷すなわち潜像極性電荷の量は被写体を透過した放射線量に略比例するので、この潜像極性電荷が静電潜像を担持することとなる。このようにして静電潜像が固体検出器10に記録される。一方、記録用光導電層12内で発生する正電荷は第1の導電層11に引き寄せられて、高電圧電源37から注入された負電荷と電荷再結合し消滅する。
【0032】
次に、固体検出器10から静電潜像を読み取る際の動作について説明する。
【0033】
ドライバに読取モードの種類の情報を含む読取開始信号が入力されると、ドライバはスイッチ38を切り換えて固体検出器10の第1の導電層11と各エレメント16aとの間を短絡するとともに、各I−V変換アンプ31が備える高速読取モード用スイッチ41、通常モード用スイッチ42または高画質モード用スイッチ43のいずれかの読取モードに対応したスイッチを閉じて、各I−V変換アンプ31の周波数帯域を最適な帯域に変更する。その後、入力された読取モードに対応するクロック信号をクロックから出力させる。
【0034】
本実施の形態の説明では高画質モードによる読取りが指示されたものとする。そのため、ドライバは、各I−V変換アンプ31が備える高画質モード用スイッチ43を閉じ、また、クロックからクロック周波数が0.5kHzのクロック信号を出力させる。
【0035】
リニアモータは、ドライブパルスを1パルス受信する毎に光源部を副走査方向に1画素分移動させ、8.6sで固体検出器10の全面(4300画素分)を走査する。
【0036】
上記の走査を行うと、読取用光導電層14内に正負の電荷対が発生し、その内の正電荷が蓄電部17に蓄積された負電荷(潜像極性電荷)に引きつけられるように電荷輸送層13内を急速に移動し、蓄電部17で潜像極性電荷と電荷再結合し消滅する。一方、読取用光導電層14に生じた負電荷は第2の導電層15に注入される正電荷と電荷再結合し消滅する。このようにして、固体検出器10に蓄積されていた負電荷が電荷再結合により消滅し、この電荷再結合の際の電荷の移動による電流が固体検出器10内に生じる。
【0037】
各エレメント16a毎に接続されたI−V変換アンプ31により、この電流が各エレメント16a毎に並列的(同時)に検出され、アナログマルチプレクサ51に出力される。
【0038】
アナログマルチプレクサ51は、ラインクロックを1パルス受信する毎に、各エレメント16a毎に接続された各I−V変換アンプ31から入力された信号を各エレメント16aの配列順に切り替わるように順次出力し、A/D変換器52によりこの信号をサンプリングしてデジタル信号に変換することによって、副走査方向の1画素分の画像信号を取得し、8.6sで固体検出器10の全面(4300画素)分の画像信号を取得する。
【0039】
読取光の走査に伴い固体検出器10内を流れる電流は潜像極性電荷すなわち静電潜像に応じたものであり、この電流を検出して得た画像信号は静電潜像を表すので静電潜像を読取ることができる。
【0040】
上記のように構成された本実施の形態の画像読取装置によれば、高速読取モード、通常モードまたは高画質モードのいずれかのモードを選択的に使用可能であるとともに、各モードにおいて検出信号のS/Nを最適化できるため最高の画質を得ることができる。
【0041】
次に、本発明による画像読取装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は上記第1の実施の形態と比較して、主に固体検出器、読取光走査手段および電流検出手段を変更したものである。図3はこの画像読取装置の固体検出器、電流検出手段および画像信号取得手段の概略図である。なお、本実施の形態による画像読取装置のブロック図は第1の実施の形態と同等であるため省略する。また、ブロック図を構成する各要素の部品番号は、第1の実施の形態の各要素の部品番号の100を加算したものとする。
【0042】
本実施の形態の固体検出器110は、画像情報を静電潜像として記録し、読取光で走査されることにより、静電潜像に応じた電流を発生するものであり、照射された放射線を波長が550nmの可視光、すなわち記録光に変換するシンチレータ111、保護層112、記録光に対して透過性を有する第1の導電層113、記録光の照射を受けることにより電荷を発生して導電性を呈する記録用光導電層114、蓄電層115、読取光の照射を受けることにより電荷を発生して導電性を呈する読取用光導電層116、読取光に対して透過性を有する第2の導電層117をこの順に積層してなるものである。シンチレータ111としては220μm厚のGd2O2Sを用い、第1の導電層113としては0.1μm厚のIZOを用い、記録用光導電層114としては電荷発生層(CGL)114aおよび電荷輸送層(CTL)114bから構成される3μm厚の有機光導電層(OPC)を用い、蓄電層115は0.1μm厚のAlパッチ115aを画素毎に対応させて複数配列して構成し、読取用光導電層116としては3μm厚のa−Siを用いた。読取用電極層としての第2の導電層117は、多数のIZO製の0.2μm厚、50μm幅の線状電極(図中の斜線部)が100μmピッチでストライプ状に配列されて成るものを用いた。以下第2の導電層117の電極をストライプ電極117といい、各線状電極をエレメント117aという。上記固体検出器110の検出可能領域のサイズは430mm×430mmとし、1画素のサイズは、主走査方向(エレメント117a配列方向)、副走査方向(エレメント117a長手方向)ともに100μm、すなわち4300画素×4300画素となるように構成されている。
【0043】
読取光走査手段120は、面状光源121と、この面状光源121を駆動するドライバとから構成されている。
【0044】
面状光源121は、導電層122、EL層123、導電層124、から成るEL発光体である。EL層123は、有機ELおよび無機ELのいずれであってもよい。検出器110のストライプ電極117と導電層122との間には絶縁層125が設けられている。導電層122は、多数のエレメント(図中の斜線部)122aが100μmピッチでストライプ状に配列されて成るものであり、各エレメント122aは、検出器110のストライプ電極117の各エレメント117aと交差するように配列されており、これにより、エレメント122aによるライン状の光源が面状に多数配列するように構成される。各エレメント122aはドライバに接続されている。
【0045】
ドライバは、エレメント122aとそれに対向する導電層124との間に所定の電圧を印加するものであり、読取時にはエレメント122aに個別に電圧を印加するものである。例えば、エレメント122aを順次切り替えながら、夫々のエレメント122aと導電層124との間に所定の直流電圧を印加すると、エレメント122aと導電層124とに挟まれたEL層123からEL光が発せられ、エレメント122aを透過したEL光はライン状の読取光(以下ライン光という)として利用される。すなわち、面状光源121は、ライン状の微小光源を面状に多数配列したものと等価となり、ストライプ電極117の長手方向の一方の端から他方の端までの全部についてエレメント122aをストライプ電極117の長手方向に順次切り替えてEL発光させることにより、ライン光でストライプ電極117の全面を電気的に走査することになる。なお、エレメント117aの長手方向が副走査方向に対応し、ライン光の延びる方向が主走査方向に対応する。
【0046】
ドライバはドライブパルスに同期して駆動するものであり、ドライブパルスを1パルス受信する毎にエレメント122aを1ライン切り換える。
【0047】
上記固体検出器110と面状光源121は、ガラス基板118上に、この順に積層されて形成される。
【0048】
電流検出手段130は、各エレメント117a毎に接続された複数の電流検出アンプ131と、画像記録時に固体検出器10に電圧を印加する高電圧電源135と、スイッチ136とから構成されている。電流検出アンプ131は、チャージアンプ132と、2チャネルのサンプルホールド回路133と、差動アンプ134とからなり、相関2重サンプリング処理を行うように構成されている。
【0049】
相関2重サンプリング処理とは、チャージアンプ132が蓄積モードに切り替わった直後に出力される電気信号とリセットモードに切り替わる直前に出力される電気信号とを2チャネルのサンプルホールド回路133により検出して、差動アンプ134により2チャネルのサンプルホールド回路133の出力の差を信号成分とすることにより、チャージアンプ132で生じるチャージフィールドスルーと呼ばれるオフセットの影響を回避することができる処理である。
【0050】
また、電流検出手段130は、図示しない周波数帯域変更手段140を内部に備える。この周波数帯域変更手段140は、高速読取モード用ローパスフィルタ、通常モード用ローパスフィルタおよび高画質モード用ローパスフィルタの3つのローパスフィルタから構成される。なお、各ローパスフィルタの遮断周波数は、高速読取モード、通常モードおよび高画質モードのそれぞれのサンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)となるように設定する。
【0051】
上記のように構成された本実施の形態の画像読取装置においても、第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明による画像読取装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明に使用される固体検出器は、上記実施の形態で説明したものに限定されるものではなく、例えば上記特許文献2や特許文献3等に記載のように、第1の導電層、記録用光導電層、読取用光導電層および第2の導電層をこの順に有すると共に、第1の導電層と2電極層との間に蓄電部が形成されて成る光読出方式のもので、かつポジ型のものにおいて、蓄電部を形成するために、さらに他の層(トラップ層、絶縁層等)や微小導電部材(マイクロプレート)を積層して成るものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による画像読取装置のブロック図
【図2】第1の実施の形態による画像読取装置の固体検出器、電流検出手段および画像信号取得手段の概略図
【図3】第2の実施の形態による画像読取装置の固体検出器、電流検出手段および画像信号取得手段の概略図
【図4】1画素あたりの読取時間と検出電荷量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
1 画像読取装置
10、110 放射線固体検出器
20、120 読取光走査手段
30、130 電流検出手段
40、140 周波数帯域変更手段
50、150 画像信号取得手段
60、160 読取速度変更手段
Claims (3)
- 記録光に対して透過性を有する第1の導電層、前記記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記記録光が担持する画像情報を静電潜像として蓄積する蓄電部、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する、アモルファス物質で形成された読取用光導電層、多数の線状電極からなるストライプ電極を有する第2の導電層をこの順に積層してなり、前記読取光で走査されることにより前記静電潜像に応じた電流を発生する固体検出器を前記読取光で走査し、
該走査により前記線状電極から出力される電流を、電流検出手段により前記線状電極毎に検出し、
前記電流検出手段により検出した電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングして画像信号を取得する画像読取方法において、
前記読取光の走査速度および前記サンプリング周波数を同じ割合で変化させて静電潜像の読取速度を変更した場合に、前記読取速度に応じて前記電流検出手段の周波数帯域を変更することを特徴とする画像読取方法。 - 記録光に対して透過性を有する第1の導電層、前記記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記記録光が担持する画像情報を静電潜像として蓄積する蓄電部、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する、アモルファス物質で形成された読取用光導電層、多数の線状電極からなるストライプ電極を有する第2の導電層をこの順に積層してなり、前記読取光で走査されることにより前記静電潜像に応じた電流を発生する固体検出器と、
前記読取光で前記固体検出器を走査する読取光走査手段と、
該読取光走査手段による走査により前記線状電極から出力される電流を、前記線状電極毎に検出する電流検出手段と、
該電流検出手段により検出された電流を所定のサンプリング周波数でサンプリングして画像信号を取得する画像信号取得手段とを備えた画像読取装置において、
前記読取光走査手段の走査速度および前記サンプリング周波数を同じ割合で変化させて、静電潜像の読取速度を変更する読取速度変更手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。 - 前記電流検出手段の周波数帯域を変更する周波数帯域変更手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
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