JP3945615B2 - ロール紙給紙装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリ装置,複写機,プリンタなどの画像記録装置において記録紙としてロール紙を用いるものに適用され、ロール紙から引き出した部分に付いたカール(巻癖)を矯正するカール矯正部材を備えたロール紙給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロール状に巻かれたロール紙を一端側から引き出して所定方向へ給紙するロール紙給紙装置では、所定の長さに引き出したロール紙部分をカットし、そのカット紙を給紙方向下流へと送る構成になっているが、カット紙にはロール状に巻かれていた状態のときの巻き癖によって、通常、カールが付いてしまっているため、そのままの状態で給紙すると途中において、ジャムなどの給紙上のトラブルを発生させる原因となる。
【0003】
そこで、ロール紙から引き出された部分がカール方向とは反対方向へ曲がるように、引き出された部分の上面に当接して、その上面に対して押圧力を与えるデカール部材を設置し、記録紙のカールを矯正するカール矯正機構を備えた構成のロール紙給紙装置がある。
【0004】
しかし、このような構成のロール紙給紙装置では、ロール紙を交換する場合、ユーザによって、所定位置に設置された新たなロール紙における引き出した部分をデカール部材の下側を通して、デカール部材が引き出した部分を押圧してカール矯正動作状態になるようにセットする必要があるが、時として一般ユーザにあっては、ロール紙の引き出した部分をデカール部材の上に載せた誤セット状態で、そのまま給紙動作に入って給紙上のトラブルを発生させてしまうことがあった。
【0005】
このため、ロール紙交換の際にロール紙から引き出した部分を正確に、かつ容易に所定の状態にセットすることができるように、特開平8−59043号公報に記載されている画像記録装置では、デカール部材にソレノイドと復帰ばねとを作用させて、デカール部材を上方の待機位置に移動させてロール紙から引き出した記録紙をセットできるようにし、さらに待機位置とカール矯正動作時の位置との間を自動的に移動させる構成を採用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−59043号公報に記載された構成のロール紙給紙装置では、ユーザ側ではデカール部材の取り扱いが容易になるが、その構成が複雑で、かつコストがかかるものであった。
【0007】
そこで本願発明の目的は、前記従来の課題を解決し、構成が複雑にならずにコスト的に有利であって、ロール紙の引き出した部分のセット、およびその部分のカール矯正が良好に行われるロール紙給紙装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ロール状に巻かれたロール紙を一端側から引き出して給紙部により所定方向へ給紙する給紙部材と、引き出されたロール紙の上面を押下してロール紙に付いたカールを矯正するカール矯正部材とを備えたロール紙給紙装置において、前記カール矯正部材を、前記給紙部材の前記給紙部よりも下方のカール矯正位置から前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待避位置へ移動させる作動部材と、前記カール矯正部材が前記カール矯正位置にあるとき、前記作動部材を前記カール矯正位置よりも下方の位置に保持させる保持部材と、前記作動部材に対する前記保持部材の保持が開放されたときに、前記作動部材に対して前記カール矯正部材を前記カール矯正位置よりも下方の前記位置から前記待避位置へ移動させるための付勢力を与える付勢部材とを備えたことを特徴とし、この構成によって、ロール紙を交換するときにカール矯正部材が、付勢部材の付勢力を受けた作動部材により、前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待位置へ移動させられるため、ロール紙から引き出した部分のセットをカール矯正部材が邪魔にならずに正確かつ容易に行うことができ、さらに作動部材は保持部材によりカール矯正位置においてカール矯正部材に干渉しないカール矯正位置よりも下方の位置に保持されるため、適正なカール矯正と給紙が行われる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ロール状に巻かれたロール紙を一端側から引き出して給紙部により所定方向へ給紙する給紙部材と、引き出されたロール紙の上面を押下してロール紙に付いたカールを矯正するカール矯正部材とを備えたロール紙給紙装置において、前記カール矯正部材として一端にカール矯正部が設けられ、かつ他端が回動可能に支持されたカール矯正用レバーを用い、このカール矯正用レバーを回動させて前記カール矯正部を前記給紙部材の前記給紙部よりも下方のカール矯正位置から前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待避位置へ移動させる作動用レバーと、前記カール矯正部が前記カール矯正位置にあるとき、前記作動用レバーを前記カール矯正位置よりも下方の位置に保持させる保持部材と、前記作動用レバーに対する前記保持部材の保持が開放されたときに、前記作動用レバーに対して前記カール矯正前記カール矯正位置よりも下方の前記位置から前記待避位置へ動させるための付勢力を与える付勢スプリングとを備えたことを特徴とし、この構成によって、ロール紙を交換するときにカール矯正用レバーが、付勢スプリングの付勢力を受けた作動用レバーにより、前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待位置へ移動させられるため、ロール紙から引き出した部分のセットをカール矯正用レバーが邪魔にならずに正確かつ容易に行うことができ、さらに作動用レバーは保持部材によりカール矯正位置においてカール矯正用レバーのカール矯正部に干渉しないカール矯正位置よりも下方の位置に保持されるため、適正なカール矯正と給紙が行われる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のロール紙給紙装置において、保持部材を、カール矯正部材と給紙部材が設置されたフレーム部材の上部を被覆する回動可能なカバー部材の一部に設けたことを特徴とし、この構成によって、ロール紙のセット終了後、ユーザによるカバー部材の閉鎖作業に伴い、保持部材により作動用レバー(作動部材)とカール矯正用レバー(カール矯正部材)とを所定のカール矯正位置に保持することができる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のロール紙給紙装置において、各部がカール矯正位置にあるときにカバー部材の回動を阻止するロック部材と、このロック部材におけるカバー部材の回動阻止を解除する解除部材とを備えたことを特徴とし、この構成によって、ロック部材によりカール矯正位置の状態に各部を確実に保持させておくことができ、またユーザは、カバー部材における解除部材を操作することにより、カール矯正用レバー(カール矯正部材)を上方の待避位置へ移動させることができる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載のロール紙給紙装置において、カバー部材におけるカール矯正部材よりも給紙方向下流側の側面に、給紙部材を設置したことを特徴とし、この構成によって、カバー部材を給紙部材の支持部材あるいは用紙ガイド板として利用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態を説明するためのロール紙給紙装置の要部の構成を示す斜視図であり、1は一側部分にロール紙2を設置する部分が設けられている箱状のフレーム、3は、フレーム1内の給紙経路を横方向に跨ぎ、かつ後述するように上下動可能に設けられたカール矯正部であるデカールローラ、4は、フレーム1の両側に形成された凹部1aから外部に突出したデカールローラ3の両端部をそれぞれ一端部4aで支持し、かつ他端部4bがフレーム1に回動可能に軸支4cされたカール矯正用レバー、5は、ロール紙2の長手方向と平行に、長手方向が延在するようにフレーム1に設置されたピックアップローラ、6は、フレーム1の片側に中央部が回動可能に軸支7され、一端部6aがカール矯正用レバー4から突出したデカールローラ3の下側3aに当接可能に配され、かつ他端部6bに付勢スプリング8の端部が係止される作動用レバーであって、この付勢スプリング8の引張り力によって作動用レバー6の一端部6aがデカールローラ3の下側3aと当接する方向に付勢される。
【0015】
10は、本例ではロール紙2の設置部分を除くフレーム1の上部を覆い、給紙方向a下流側の両端部10aがフレーム1に回動可能に軸支11されるカバーであって、カバー10における給紙方向a上流側(ロール紙2のセット位置側)には、フレーム1に設置されたピックアップローラ5に圧接する加圧ローラ12,12が、回転軸13を板ばね14によって押下された状態で回動可能に支持されており、さらに給紙方向a下流側には、記録紙を給紙する給紙ローラ15が、回転軸16を板ばね17によって押下された状態で回動可能に支持されている。
【0016】
またカバー10における給紙方向a上流側には、フレーム1の側壁に設けられた係止ピン20と、この係止ピン20に爪部21aが係脱するフック部材21とからなるロック部材が設置され、フック部材21の上部はカバー10に回動可能に軸支された支軸22に固定され、この支軸22の中央部には、支軸22と共にフック部材21を回動させる解除用レバー23の端部が固定されている。さらにフック部材21に隣接するカバー10の端部分から腕部24を一体に延出して、腕部24の垂下部24aが、後述するように作動用レバー6の一端部6aに当接し、付勢スプリング8の付勢力に抗して作動用レバー6の一端部6aを押下するようになっている。
【0017】
図2は本実施形態における給紙動作の説明図であり、給紙時には、ロール紙2から引き出された部分2aは、実線で示すようにデカールローラ3の下を通り、ピックアップローラ5と加圧ローラ12のニップで挟持されながら、ピックアップローラ5,加圧ローラ12の回転によって給紙方向aへ送られる。給紙時、引き出された部分2aは、ロール紙2とピックアップローラ5,加圧ローラ12間のニップとによって張力が加えられつつ、デカールローラ3により押下されるため、ロール紙2における巻癖によるカールと逆方向への押圧力が加えられ、カールが除去されるように矯正作用を受ける。
【0018】
ロール紙2を交換するときには、2点鎖線に示すように、デカールローラ3を上方の待機位置に移動させ、引き出した部分2aをデカールローラ3の下を通して、ピックアップローラ5と加圧ローラ12のニップで挟持される位置に引き出した部分2aの先端をセットする。その後、デカールローラ3を引き出した部分2aを押下するように待位置から下降させる。このようにすることによって、引き出した部分2aがデカールローラ3の上に位置するような誤セットを防止することができる。
【0019】
図3は本実施形態における給紙動作時の要部の関係を示す説明図であり、図示していないが、既述したロール紙2から引き出された部分2aは、デカールローラ3の下を通りカール矯正作用を受けながら給紙される。このとき、図1に示すカバー10が閉鎖状態にあってカバー10の腕部24における垂下部24aが、付勢スプリング8の付勢力に抗して作動用レバー6の一端部6aを押下して、デカールローラ3の下位の位置、すなわち、カール矯正位置よりも下(図3では間隔s下方の位置)に作動用レバー6の一端部6aを保持しており、作動用レバー6がデカールローラ3の動作に干渉せず、カール矯正作用に影響を与えないようにしている。
【0020】
さらに、給紙時には、図1に示すカバー10のフック部材21の爪部21aがフレーム1の係止ピン20に係合して、カバー10は開放状態になることを阻止されたロック状態にあるため、カール矯正用レバー4のデカールローラ3と、作動用レバー6と、保持部材である腕部24の垂下部24aとの位置関係は図3に示す状態に維持される。
【0021】
図4は本実施形態におけるロール紙交換時の要部の関係を示す説明図、図5〜図8は交換作業手順を説明するための斜視図であり、交換時に、図5に示すように、セットに必要な部材が装着されたロール紙2をフレーム1の所定位置に設置する。その後、図6に示すように解除用レバー23を操作してカバー10を開く。すなわち、図1を参照すれば、解除用レバー23を反時計方向へ回動させながら引き上げると、フック部材21の爪部21aがフレーム1の係止ピン20から外れ、カバー10に対するロック状態が解除され、カバー10をフレーム1の軸支11部分を中心として上方へ回動させることができる。
【0022】
この状態でカバー10の腕部24が上昇するため、その垂下部24aによる作動用レバー6の一端部6aに対する押下力がなくなり、このため作動用レバー6が、付勢スプリング8の付勢力によって軸支7部分を中心として、図4に示すように、反時計方向へ回動付勢される。作動用レバー6の回動により、作動用レバー6の一端部6aがカール矯正用レバー4のデカールローラ3に当接して、デカールローラ3を待位置まで上昇させ、カール矯正用レバー4が軸支4c部分を中心に時計方向へ回動する。この各部の回動は作動用レバー6がフレーム1に設けられたストッパ25に当接することによって停止し、図4に示す停止状態が付勢スプリング8の引張り力を受けて維持される。
【0023】
前記停止状態(デカールローラ3が待位置にある状態)において、図7に示すように、交換したロール紙2から引き出した部分2aをデカールローラ3の下を通して、引き出した部分2aの先端をピックアップローラ5と加圧ローラ12のニップにより挟持される位置にセットする。その後、図8に示すように、カバー10を閉鎖する方向へ回動させることによって、図3に示す状態に各部が回転する。すなわち、デカールローラ3がロール紙2から引き出した部分2aの上を押下するように移動し、再びカバー10のロック状態になり、ロール紙2のセットが完了する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロール紙を交換するときに、カール矯正部材を、付勢部材の付勢力を受けた作動部材により、前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待位置へ移動させることができるため、ロール紙の引き出し部分のセットをカール矯正部材が邪魔にならずに正確かつ容易に行うことができ、さらに作動部材は保持部材によりカール矯正位置においてカール矯正部材に干渉しないカール矯正位置よりも下方の位置に保持されるため、適正なカール矯正と給紙が行われる等、構成が複雑にならずにコスト的に有利であって、ロール紙のカール矯正が良好に行われるロール紙給紙装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのロール紙給紙装置の要部の構成を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態における給紙動作の説明図
【図3】本発明の実施形態における給紙動作時の要部の関係を示す説明図
【図4】本発明の実施形態におけるロール紙交換時の要部の関係を示す説明図
【図5】本発明の実施形態における交換作業手順(ロール紙の設置)を説明するための斜視図
【図6】本発明の実施形態における交換作業手順(カバーの開放)を説明するための斜視図
【図7】本発明の実施形態における交換作業手順(引き出した記録紙のセット)を説明するための斜視図
【図8】本発明の実施形態における交換作業手順(カバーの閉鎖)を説明するための斜視図
【符号の説明】
1 フレーム
2 ロール紙
2a ロール紙から引き出した部分
3 デカールロール
4 カール矯正用レバー
5 ピックアップローラ
6 作動用レバー
8 付勢スプリング
10 カバー
12 加圧ローラ
21 フック部材
23 解除用レバー
24 腕部

Claims (5)

  1. ロール状に巻かれたロール紙を一端側から引き出して給紙部により所定方向へ給紙する給紙部材と、引き出されたロール紙の上面を押下してロール紙に付いたカールを矯正するカール矯正部材とを備えたロール紙給紙装置において、
    前記カール矯正部材を、前記給紙部材の前記給紙部よりも下方のカール矯正位置から前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待避位置へ移動させる作動部材と、前記カール矯正部材が前記カール矯正位置にあるとき、前記作動部材を前記カール矯正位置よりも下方の位置に保持させる保持部材と、前記作動部材に対する前記保持部材の保持が開放されたときに、前記作動部材に対して前記カール矯正部材を前記カール矯正位置よりも下方の前記位置から前記待避位置へ移動させるための付勢力を与える付勢部材とを備えたことを特徴とするロール紙給紙装置。
  2. ロール状に巻かれたロール紙を一端側から引き出して給紙部により所定方向へ給紙する給紙部材と、引き出されたロール紙の上面を押下してロール紙に付いたカールを矯正するカール矯正部材とを備えたロール紙給紙装置において、
    前記カール矯正部材として一端にカール矯正部が設けられ、かつ他端が回動可能に支持されたカール矯正用レバーを用い、このカール矯正用レバーを回動させて前記カール矯正部を前記給紙部材の前記給紙部よりも下方のカール矯正位置から前記給紙部材の前記給紙部よりも上方の待避位置へ移動させる作動用レバーと、前記カール矯正部が前記カール矯正位置にあるとき、前記作動用レバーを前記カール矯正位置よりも下方の位置に保持させる保持部材と、前記作動用レバーに対する前記保持部材の保持が開放されたときに、前記作動用レバーに対して前記カール矯正前記カール矯正位置よりも下方の前記位置から前記待避位置へ動させるための付勢力を与える付勢スプリングとを備えたことを特徴とするロール紙給紙装置。
  3. 前記保持部材を、前記カール矯正部材と前記給紙部材が設置されたフレーム部材の上部を被覆する回動可能なカバー部材の一部に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のロール紙給紙装置。
  4. 各部が前記カール矯正位置にあるときに前記カバー部材の回動を阻止するロック部材と、このロック部材における前記カバー部材の回動阻止を解除する解除部材とを備えたことを特徴とする請求項3記載のロール紙給紙装置。
  5. 前記カバー部材における前記カール矯正部材よりも給紙方向下流側の側面に、前記給紙部材を設置したことを特徴とする請求項3または4記載のロール紙給紙装置。
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