JP3945558B2 - 末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドの製造方法。 - Google Patents

末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドの製造方法。 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属成分を含まない触媒とエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させ、直接的に末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドを製造する方法に関する。末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドは、種々のポリマーの改質材として有用なポリマーである。
【0002】
【従来技術】
ポリアルキレンオキシドは、通常、例えば水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物と過剰の例えばアルコールなどの活性水素化合物とから該活性水素化合物のアルカリ塩を得、その存在下にアルキレンオキシドを開環重合させて製造する。その活性水素化合物が例えば1価のアルコールであれば、重合はアルコキシ基から開始するので、ポリアルキレンオキシドの開始側末端はエーテル結合となるが、生長末端は水酸基である。例えばエチレングリコールなどの2価のアルコールであれば、その2価のアルコキシ基から重合は開始し(エーテル結合が生成する)、2個の生長末端は共に水酸基である、いわゆるポリオキシアルキレンジオールが得られる。
【0003】
それらの末端水酸基をエステル化するには、重合反応終了後、改めてカルボン酸ハライドや無水カルボン酸と反応させたり、適宜なエステル化合物とエステル交換したりする有機合成の方法が取られる。この方法は少なくとも重合とエステル化との2個の別個のプロセスが必要となるうえ、未反応のエステル化試薬やその変化物とポリマーとの分離も極めて煩雑になるなど、工業的な方法ではない。
【0004】
一方種々の金属イオンを添加した酸化マグネシウムを触媒とし、脂肪族アルキルエステルとアルキレンオキシドとを反応させて、 R1CO-(-OR2)nOR3 (R1,R3はアルキル基、R2はアルキレンオキシドのアルキレン基)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、即ち、末端にエーテル結合とエステル結合を有するポリアルキレンオキシドを得る方法が特開平04−279552号公報に開示されている。しかしながらこの方法では触媒活性が低く、比較的大量の触媒と高温が要求されている。得られる重合度も低い。また、触媒から溶出する金属成分はこのポリマーの物性や応用面に重大な影響をもたらす場合があり、その除去に煩雑な方法を用いなければならないといった、工業的な問題を抱えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属成分を有しない触媒を用いてアルキレンオキシド化合物を重合させてポリアルキレンオキシドを製造すると同時に、その末端にエーテル結合およびエステル結合を生成させるという、簡便かつ効果的な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を続けたところ、金属成分を有しない、式(1)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物、または式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物とエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させると、驚くべきことに重合は円滑に進行し、かつ末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドが一段で生成することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、非金属触媒とエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させることを特徴とする、末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドの製造方法である。
さらには、非金属触媒が、▲1▼ 式(1)〔化4〕
【0008】
【化4】
Figure 0003945558
(式中、Rは同種または異種の炭素数1ないし10個の炭化水素基である。Z-はハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンまたはカルボキシアニオンである。)で表されるホスファゼニウム化合物、▲2▼式(2)〔化5〕
【0009】
【化5】
Figure 0003945558
(式中、Rは式(1)のRに同じ。xは含まれる水分子の量をモル比で示し、0ないし5.0である。)で表されるホスフィンオキシド化合物または▲3▼式(3)〔化6〕
【0010】
【化6】
Figure 0003945558
(式中、Rは式(1)のRに同じ。)で表されるホスフィンスルフィド化合物であり、これとエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させることを特徴とする、末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の方法における、非金属触媒としては、例えば式(1)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物および式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物等である。
式(1)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物および式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物は、それぞれ式(1)、式(2)および式(3)という、一つの極限構造式で表現されてはいるが、これ以外にもそれぞれ多くの極限構造式が書ける。本発明の方法における、式(1)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物および式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物とは、それぞれの全ての極限構造式を含んだ共鳴混成体として理解されるべきである。
また式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物が水を含む場合に、その水と該ホスフィンオキシド化合物との相互作用は、該ホスフィンオキシド化合物の特性を失わず本発明の方法を阻害しない限り如何なるものでも構わない。
【0012】
式(1)、式(2)および式(3)中のRは、同種または異種の、炭素数1ないし10個の炭化水素基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称、tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基等である。また同一の窒素原子に結合する2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。
これらのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチルまたは1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の炭素数1ないし8個の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0013】
式(1)で表されるホスファゼニウム化合物中のZ-は、例えばフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオンまたはヨウ素アニオン等のハロゲンアニオンであり、ヒドロキシアニオンであり、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、1−デカノールまたはオクタヒドロナフトール等のアルコール類から導かれるアルコキシアニオンであり、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、2−メチル−1−ナフトールまたは9−フェナンスロール等の芳香族ヒドロキシ化合物から導かれるアリールオキシアニオンであり、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、デカンカルボン酸、オレイン酸、安息香酸またはナフトエ酸等のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオン等である。
【0014】
これらのうち好ましくは、フッ素アニオンであり、ヒドロキシアニオンであり、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノールなどの炭素数1ないし4個のアルコール類から導かれるアルコキシアニオンであり、例えばフェノールまたはクレゾールなどの炭素数6ないし8の芳香族ヒドロキシ化合物から導かれるアリールオキシアニオンであり、例えば酢酸、プロピオン酸または酪酸等の炭素数2ないし4個の脂肪族カルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンである。
より好ましくは、フッ素アニオン、ヒドロキシアニオン、メトキシアニオン、フェノキシアニオンまたはアセトキシアニオンであるる。
式(2)中のxは該ホスフィンオキシド化合物に対するモル比で、0ないし5.0であり、好ましくは0ないし2.0である。
本発明の方法における、式(1)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物および式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物は、それぞれ単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
本発明の方法におけるエステル化合物とは有機ヒドロキシ化合物とカルボン酸とから構成される形のエステル化合物である。
該エステル化合物を構成するそのカルボン酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2-ブテン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸シクロヘキサンカルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、フェニル酢酸またはジヒドロ桂皮酸等の1個のカルボキシル基を有する脂肪族または脂環族カルボン酸類であり、例えば安息香酸、パラクロロ安息香酸、パラメチル安息香酸、オルソヘキシル安息香酸または2−カルボキシナフタレン等の1個のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸類であり、例えば蓚酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸または1.2-シクロヘキシルジカルボン酸等の2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族または脂環族多価カルボン酸類であり、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸等の2個以上のカルボキシル基を有する芳香族多価カルボン酸類であり、例えばポリアクリル酸またはポリメタクリル酸等の側鎖に多数のカルボキシル基を有するポリマー類、例えばポリ(ε-カプロラクトン)またはポリ乳酸などの末端にカルボキシル基を有するポリマー類等が挙げられる。またこれらのカルボン酸には、本発明の方法を阻害しない限り、いかなる置換基や官能基が含まれていても構わない。
【0016】
一方、該エステルを構成する有機ヒドロキシ化合物としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノールまたはシンナミルアルコール等の一価のアルコール類であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール等の2個以上の水酸基を有する多価アルコール類であり、例えばグルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトースまたはシュクロース等の多価の水酸基を有する糖類またはその誘導体であり、例えばフェノール、メタクレゾールまたは2−ナフトール等の一価のフェノール類、例えばカテコール、2,6−ジヒドロキシナフタレンまたはビスフェノールA等の2個以上の水酸基を有する多価の芳香族ヒドロキシ化合物類であり、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらのコポリマー等であって2ないし8個の末端を有しその末端に1ないし8個の水酸基を有する数平均分子量200ないし50,000のポリアルキレンオキシド類等であり、さらには例えばポリビニルアルコール等の側鎖に多数の水酸基を有するポリマー類等が挙げられる。またこれらの有機ヒドロキシ化合物には、本発明の方法を阻害しない限り、いかなる置換基や官能基が含まれていても構わない。
【0017】
本発明の方法におけるエステル化合物はこれらのカルボン酸と有機ヒドロキシ化合物とから構成される形のエステル化合物であるが、その両者の組合せとしては、1個のカルボキシル基を有するカルボン酸類と一価の有機ヒドロキシ化合物、1個のカルボキシル基を有するカルボン酸類と二価以上の有機ヒドロキシ化合物および2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類と一価の有機ヒドロキシ化合物の組合せに限定される。2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類と二価以上の有機ヒドロキシ化合物の組合せによるエステル化合物はそれ自体が複雑なポリマーとなるためである。
【0018】
また本発明の方法におけるエステル化合物は、上述の如くこれらのカルボン酸と有機ヒドロキシ化合物とから構成される形のエステル化合物である。このことは、例えば酢酸エチルエステルを、酢酸とエチルアルコールから構成される形のエステルと表現しているのみで、そのエステル化合物の製造方法を限定しているものではない。例えば、これらのカルボン酸と有機ヒドロキシ化合物から脱水反応で製造する方法、カルボン酸無水物を使用する方法、他のエステルからアルコール交換で製造する方法またはカルボン酸のアルカリ金属塩とハロゲン化合物から脱塩反応で製造する方法など、いかなる方法で製造されたエステル化合物でも構わない。
【0019】
これらのカルボン酸のうち、好ましくは、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2-ブテン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸またはシクロヘキサンカルボン酸等の炭素数2ないし20個の飽和の脂肪族または脂環族カルボン酸類であり、例えば安息香酸、パラクロロ安息香酸、パラメチル安息香酸またはオルソヘキシル安息香酸等の炭素数7ないし20個の安息香酸類であり、例えば蓚酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸または1.2-シクロヘキシルジカルボン酸等の2個以上のカルボキシル基を有する炭素数4ないし20個の脂肪族または脂環族多価カルボン酸類であり、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸等の2個以上のカルボキシル基を有する炭素数8ないし20個の芳香族多価カルボン酸類である。
【0020】
これらの有機ヒドロキシ化合物のうち、好ましくは、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数1ないし20個の脂肪族または脂環族の一価のアルコール類であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール等の炭素数2ないし20個の2ないし8個の水酸基を有する多価アルコール類であり、例えばフェノール、メタクレゾールまたは2−ナフトール等の炭素数6ないし20個の一価のフェノール類、例えばカテコール、2,6−ジヒドロキシナフタレンまたはビスフェノールA等の炭素数6ないし20個の2個以上の水酸基を有する多価の芳香族ヒドロキシ化合物類であり、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらのコポリマー等であって2ないし8個の末端を有しその末端に1ないし8個の水酸基を有する数平均分子量600ないし20,000のポリアルキレンオキシド類等である。
【0021】
本発明の方法におけるアルキレンオキシド化合物とは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物である。これらは2種以上を併用してもよい。併用する場合には、複数のアルキレンオキシド化合物を同時に併用する方法、順次に併用する方法または順次を繰り返して行なう方法などがとり得る。
【0022】
これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよびスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドがより好ましい。プロピレンオキシドが更に好ましい。
【0023】
本発明の方法において、非金属触媒の使用量としては、特に制限はないが、アルキレンオキシド化合物1モルに対して、通常は1×10-15ないし5×10-1モルであり、好ましくは1×10-7ないし1×10-1モルの範囲である。
【0024】
本発明の方法において、エステル化合物の使用量としては、特に制限はないが、非金属触媒の1モルに対して、通常1ないし1×105モル、好ましくは5ないし1×104モル、より好ましくは10ないし1×103モルの範囲である。
【0025】
本発明の方法における重合反応の形式は特に制限されものではない。通常、非金属触媒およびエステル化合物を、また溶媒を使用するならその溶媒などと共に仕込んだ反応器に、アルキレンオキシド化合物を一括して供給する方法または間欠的もしくは連続的に供給する方法が用いられる。
【0026】
本発明の方法における重合反応の反応温度は、使用する非金属触媒、エステル化合物およびアルキレンオキシド化合物の種類や量などにより一様ではないが、通常200℃以下であり、好ましくは10ないし150℃、より好ましくは50ないし120℃の範囲である。反応時の圧力は、使用するアルキレンオキシド化合物の種類もしくは量または重合温度などに依存して一様ではないが、通常、重合反応時の圧力として3.0MPa(メガパスカルで表す絶対圧、以下同様)以下であり、好ましくは0.01ないし1.5MPa、より好ましくは0.1ないし1.0MPaの範囲である。反応時間は、用いる物質の種類もしくは量または重合温度や圧力などに依存して一様ではないが、通常70時間以下であり、好ましくは0.1ないし30時間、より好ましくは0.5ないし24時間である。
【0027】
本発明の方法では、エステル化合物のエステル結合間にアルキレンオキシド化合物が開環し挿入する形で重合が開始し、その結果生成した新たなエステルにアルキレンオキシド化合物が順次開環挿入してポリマーが生長し、開始末端はエーテル結合、生長末端はエステル結合を有するポリアルキレンオキシドが得られる。 エステル化合物が1個のカルボキシル基を有するカルボン酸類と一価の有機ヒドロキシ化合物から導かれる形のエステル化合物である場合には、例えば式(4)〔化7〕
【0028】
【化7】
Figure 0003945558
のようになる。
一方エステル化合物が1個のカルボキシル基を有するカルボン酸類と二価以上の有機ヒドロキシ化合物から導かれる形のエステル化合物である場合には、例えば式(5)〔化8〕
【0029】
【化8】
Figure 0003945558
のようになり、また2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類と一価の有機ヒドロキシ化合物から導かれる形のエステル化合物である場合には、例えば式(6)〔化9〕
【0030】
【化9】
Figure 0003945558
のようになる。後者の二つの場合では、いずれもポリアルキレンオキシドの複数のブロックのそれぞれが両末端にエーテル結合およびエステル結合を有している。これらのポリアルキレンオキシドも、本発明でいう末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドに含まれ、本発明の概念に含まれている。
【0031】
本発明の方法では、2種以上のアルキレンオキシド化合物を併用することもできる。複数のアルキレンオキシド化合物を同時に併用して重合させると、それらの化合物の反応性の差にもよるが、比較的ランダム性の高い共重合体が得られ、2種以上のアルキレンオキシド化合物を順次に重合させると、2種以上のポリアルキレンオキシド化合物のブロックを含むブロック共重合体が得られる。例えば第1種のアルキレンオキシド化合物の重合反応の終了後にそのまま第2種のアルキレンオキシド化合物を重合させると2種類のブロックを含むブロック共重合体が得れる。またこの第2種のアルキレンオキシド化合物の重合反応終了後、再び元の第1種のアルキレンオキシド化合物を重合させたり、これを繰り返すことにより交互性のブロック共重合体が得られる。3種以上のアルキレンオキシド化合物をこのように併用すれば、さらに複雑なブロック共重合体が得られる。これらの共重合体も末端にはエーテル結合とエステル結合を有している。これらの共重合体のうち、アルキレンオキシド化合物としてプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを順次に重合させて得られる、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックを含むブロック共重合体が好ましい。
【0032】
本発明の重合反応に際しては、必要ならば溶媒を使用することもできる。使用する場合の溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼンもしくはトルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサンもしくはアニソール等のエーテル類またはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミドおよびN,N’−ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン性極性溶媒等である。この他本発明の方法の重合反応を阻害しなければ、いかなる溶媒でも用いられる。本発明の方法における重合反応は、必要であれば窒素またはアルゴン等の不活性ガスの存在下に実施することもできる。
【0033】
本発明の方法で得られる末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドは、重合反応に溶媒を用いた場合にはそれを除去するだけで、そのまま次の目的に使用し得る場合もあるが、通常吸着剤やイオン交換樹脂等で処理した後に用いることもできる。更に適宜な有機溶媒で洗浄するなどの常用の精製を行うこともできる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本実施例は本発明を具体的に説明したものであり、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
温度測定管、圧力計および攪拌装置を装備した320mlの筒型加圧反応器に、
式(1)で表されるホスファゼニウム化合物であって、そのRがメチル基でZ-がOH-であるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド:[(Me2N)3P=N]4+,OH-(Meはメチル基を示す。以下同様)を0.530g(0.700mmol)および酢酸フェニルエステル23.8g(175mmol)を仕込んだ。系内を窒素で置換した後、150g(2.59mol)のプロピレンオキシドを装入した。100℃に昇温し、この温度で12時間重合させた。圧力は初期最高で0.58MP(メガパスカルで表す絶対圧、以降同様)であり、最終時には0.11MPまで低下した。反応器の気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を窒素雰囲気下に別容器に移し、5mmHgに減圧して30分間80℃に保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し常温まで冷却した。透明で無臭の液状のポリプロピレンオキシド172gが得られた。消費されたプロピレンオキシドは149gであり、プロピレンオキシドの転化率は、99.0%であった。ポリエチレンオキシドを標準としたゲル パーミエーション クロマトグラフィー(GPCと略称、以降同様)によると、重量平均分子量(Mwと略称、以降同様)は984、数平均分子量(Mnと略称、以降同様)は833であり、分子量分布(Mw/Mn、以降同様)は1.18であった。
【0035】
このポリマーは通常のジイソシアネートとの反応性を全く示さずウレタンは生成しなかった。ポリマー末端が保護されていることが判る。また加水分解すると酢酸がほぼ定量的に回収された。このポリマーの1H−NMRからは、フェニル基とアセチル基の存在が判る。FDマススペクトルは、m/z=58の等間隔にならんでいる。そして各スペクトルのm/zの値は、開始剤である酢酸フェニルの分子量136とプロピレンオキシドの分子量58の整数倍との和となっている。これらのことからこのポリマーは酢酸フェニルのエステル結合間にプロピレンオキシドが開環挿入したポリプロピレンオキシドであり、一末端にフェニルエーテル結合と他末端に酢酸エステル結合を有するポリプロピレンオキシドであることが判る。即ち酢酸ポリオキシプロピレンフェニルエーテルである。
【0036】
比較例1
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-を用いなかった以外は、実施例1と同様にした。反応中圧力の減少は全く認められず、プロピレンオキシドをほぼ全量回収したのみであった。
【0037】
比較例2
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに同モル量の水酸化カリウムを用いた以外は、実施例1と同様にした。反応中圧力の減少は全く観測されず、ほぼ全量のプロピレンオキシドを回収した。
【0038】
実施例2ないし6
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、カチオンは同じホスフォニウムであるがアニオンZ-が異なる、表1に示す触媒を同モル量用いた以外は、実施例1と全く同様にした。結果を実施例1の結果および比較例1および2の結果とともに表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003945558
【0040】
実施例7
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物であって、そのRがメチル基である、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド含水物{[(Me2N)3P=N]3P=O・0.29(H2O)}を同モル量用いた以外は、実施例1と全く同様にした。結果を表1に示す。
【0041】
実施例8
実施例7で使用したトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド含水物{[(Me2N)3P=N]3P=O・0.29(H2O)}と同一物を、五酸化りんを乾燥剤とした減圧デシケーター中で充分に乾燥させた実質的に水を含まないトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N]3P=O}を得た。このホスフィンオキシドを同モル量用いた以外は、実施例7ひいては実施例1と全く同様にした。結果を表1に示す。
【0042】
実施例9
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、式(3)で表されるホスフィンスルフィド化合物であって、そのRがメチル基である、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンスルフィド{[(Me2N)3P=N]3P=S}を同モル量用いた以外は、実施例1と全く同様にした。結果を表1に示す。
【0043】
実施例10
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、式(1)で表されるホスファゼニウム化合物であって、1部のRがn-オクチル基であるトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ][トリス(n−オクチルメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]3[(n-Oct(Me)N)3P=N]P+,OH-}(ここでn−Octはn−オクチル基を示す。)を同モル量使用した以外は、実施例1と全く同様にした。結果を表1に示す。
【0044】
実施例11および12
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物であって、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して形成される炭化水素基がテトラメチレン基であるトリス(トリピロリジノホスフォラニリデンアミノ)ホスフィンオキシド{[Q3P=N]3P=O、ただしQはピロリジノ基を示す。}を同モル量用い(実施例11)、また同じく2個のRが互いに結合して形成される炭化水素基がペンタメチレン基であるトリス(トリピぺリジノホスフォラニリデンアミノ)ホスフィンオキシドを{[Q3P=N]3P=O、ただしQはピペリジノ基を示す。}を同モル量用い(実施例12)、それ以外は実施例1と全く同様にした。それぞれの結果を表1に示す。
【0045】
実施例13
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに、式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物であって、その一部のRがn−オクチル基であるビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ][トリス(n−オクチルメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N]2[(n−Oct(Me)N)3P=N]P=O}を同モル量用いた以外は、実施例1と全く同様にした。結果を表1に示す。
【0046】
実施例14ないし22
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに同モル量の表2に示す触媒を用い、酢酸フェニルの代わりに同モル量の表2に示すエステル化合物を用い、表2に示す重合反応の温度と時間にした以外は、実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0003945558
【0048】
実施例23ないし27
実施例1におけるテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OH-の代わりに表3に示す触媒とその量を用い、酢酸フェニルの代わりに同モル量の表3に示すエステル化合物を用い、表3に示す重合反応温度と反応時間とした以外は、実施例1と同様にした。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0003945558
【0050】
実施例28
温度測定管、圧力計攪、拌装置およびアルキレンオキシド導入管を装備した320mlの加圧反応器に、式(1)で表されるホスファゼニウム化合物である、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド即ち[(Me2N)3P=N]4+,OMe- を0.462g(0.60mmol)と酢酸n-プロピルを17.9g(175mmol)を仕込んだ。系内を窒素で置換した後、80℃に昇温し、プロピレンオキシド150g(2.58mol)を反応時圧力が0.4MPaを超えることのないよう調節しながら連続的に6時間かけて供給した。次いで80℃で8時間反応させた。圧は0.12MPaまで下がった。気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を別容器に移し、10mmHgに減圧して30分間80℃を保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し室温まで冷却した。透明で無臭の液状の酢酸ポリオキシプロピレンn-プロピルエーテルが166g得られた。プロピレンオキシドの転化率は98.9%であり、Mw961、Mn843、Mw/Mn1.14であった。
【0051】
実施例29
実施例28で用いたプロピレンオキシドの代わりにエチレンオキシド114g(2.58mol)を4時間かけて連続的に供給し、その後6時間反応させた以外は実施例28と同様にした。透明で無臭の酢酸ポリオキシエチレンプロピルエーテルが128g得られた。エチレンオキシドの転化率は97.3%であり、Mw742、Mn645、Mw/Mn1.15であった。
【0052】
実施例30
実施例28で用いたプロピレンオキシドの代わりに1,2−ブチレンオキシド186g(2.58mol)を0.3MPa以下に保ちながら6時間かけて連続的に供給し、その後10時間反応させた以外は実施例28と同様にした。透明で無臭の酢酸ポリ1,2−オキシブチレンプロピルエーテルが202g得られた。1,2−ブチレンオキシドの転化率は99.4%であり、Mw1188、Mn990、Mw/Mn1.20であった。
【0053】
実施例31
実施例28で用いたプロピレンオキシドの代わりにスチレンオキシド200gg(1.67mol)を0.15MPa以下に保ちながら6時間かけて連続的に供給し、その後10時間反応させた以外は実施例28と同様にした。透明で無臭の酢酸ポリオキシスチレンプロピルエーテルが210g得られた。スチレンオキシドの転化率は96.5%であり、Mw1223、Mn1082、Mw/Mn1.13であった。
【0054】
実施例32
実施例28と同様の加圧反応器に、実施例14で得られた触媒を含んだままのポリマー30.0gを仕込んだ。系内を窒素で置換した後、80℃に昇温し、プロピレンオキシド100g(1.72mol)を反応時圧力が0.4MPaを超えることのないよう調節して連続的に8時間かけて供給した。次いで80℃で10時間反応させた。圧は0.12MPaまで下がった。気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を別容器に移し、10mmHgに減圧して30分間80℃を保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し室温まで冷却した。透明で無臭の液状のプロピオン酸ポリオキシプロピレンエチルエーテルが124g得られた。プロピレンオキシドの転化率は95.2%であり、Mw4012、Mn3550、Mw/Mn1.13であった。
【0055】
実施例33
水酸化カリウム触媒でグリセリンを開始剤とし工業生産されている、水酸基価(ポリマー1g中に存在する水酸基のミリモルに相当するKOHミリグラム)168でMn1002であるポリオキシプロピレントリオール(三井化学株式会社製MN−1000)を過剰の無水酢酸でエステル化し、減圧下加熱して低沸物を除いた。エステル化率は≧99%であった。このポリオキシプロピレントリオールのトリ酢酸エステル30.0gおよび式(1)で表されるホスファゼニウム化合物である、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、即ち[(Me2N)3P=N]4+,OMe- 0.246g(0.319mmol)を実施例28と同様の反応器に仕込んだ。系内を窒素で置換した後、80℃に昇温し、プロピレンオキシド150g(2.58mol)を反応時圧力が0.4MPaを超えることのないよう調節して連続的に8時間かけて供給した。次いで80℃で10時間反応させた。圧は0.11MPaまで下がった。気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を別容器に移し、10mmHgに減圧して30分間80℃を保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し室温まで冷却した。透明で無臭の液状のポリオキシプロピレントリオールのトリ酢酸エステルが176g得られた。プロピレンオキシドの転化率は98.0%であり、Mw6690、Mn6083、Mw/Mn1.13であった。
【0056】
実施例34
実施例32で得られた触媒を含んだままのポリマー(プロピオン酸ポリオキシプロピレンエチルエーテル)90.1gを実施例28と同様の加圧反応器に仕込んだ。系内を窒素で置換した後、80℃に昇温し、プロピレンオキシドに代えてエチレンオキシド20.0g(0.455mol)を、反応時圧力が0.5MPaを超えることのないよう調節しながら連続的に2時間かけて供給した。次いで80℃で3時間反応させた。圧は0.10MPaまで下がった。気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を別容器に移し、10mmHgに減圧して30分間80℃を保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し室温まで冷却した。109gの透明で無臭の液状のプロピオン酸ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチルエーテルのブロック共重合体が得られた。エチレンンオキシドの転化率は99.8%であり、Mw4984、Mn4297、Mw/Mn1.16であった。
【0057】
実施例35
実施例29で得られた触媒を含んだままのポリマー(酢酸ポリオキシエチレンn-プロピルエーテル)30.0gを実施例28と同様の加圧反応器に仕込んだ。系内を窒素で置換した後、80℃に昇温し、エチレンオキシドに代えて、プロピレンオキシド100g(1.72mol)を反応時圧力が0.4MPaを超えることのないよう調節しながら連続的に8時間かけて供給した。次いで80℃で10時間反応させた。圧は0.12MPaまで下がった。気相部に窒素を送りながら残圧をパージした後、内容物を別容器に移し、10mmHgに減圧して30分間80℃を保ち低沸分を除いた。その後窒素で常圧に戻し室温まで冷却した。125.6gの透明で無臭の液状の酢酸ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンn-プロピルエーテルのブロック共重合体が得られた。プロピレンオキシドの転化率は96.3%であり、Mw3208、Mn2651、Mw/Mn1.21であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の方法によると、金属成分を有しない触媒とエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させると、重合は円滑に進行し、かつ末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドを一段で簡便かつ効果的に生成させることができる。

Claims (8)

  1. 式(1)〔化1〕
    Figure 0003945558
    (式中、Rは同種または異種の炭素数1ないし10個の炭化水素基である。Z - はハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンまたはカルボキシアニオンである。)で表されるホスファゼニウム化合物、式(2)〔化2〕
    Figure 0003945558
    (式中、Rは式(1)のRに同じ。xは含まれる水分子の量をモル比で示し、0ないし5.0である。)で表されるホスフィンオキシド化合物、または式(3)〔化3〕
    Figure 0003945558
    (式中、Rは式(1)のRに同じ。)で表されるホスフィンスルフィド化合物、である非金属触媒とエステル化合物の存在下に、アルキレンオキシド化合物を重合させることを特徴とする、末端にエーテル結合およびエステル結合を有するポリアルキレンオキシドの製造方法。
  2. Rが同種または異種の、炭素数1ないし8個の脂肪族炭化水素基である請求項1記載の方法。
  3. Rがメチル基である請求項1記載の方法。
  4. 式(1)で表されるホスファゼニウム化合物中のZ-が、フッ素アニオン、ヒドロキシアニオン、炭素数1ないし4個のアルコール類から導かれるアルコキシアニオン、炭素数6ないし8個の芳香族ヒドロキシ化合物から導かれるアリールオキシアニオンまたは炭素数2ないし4個の脂肪族カルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 式(2)で表されるホスフィンオキシドのxが0ないし2.0である請求項1記載の方法。
  6. エステル化合物が、炭素数2ないし20個の飽和の脂肪族または脂環族カルボン酸類、炭素数7ないし20個の安息香酸類、2個以上のカルボキシル基を有する炭素数4ないし20個の脂肪族または脂環族多価カルボン酸類または2個以上のカルボキシル基を有する炭素数8ないし20個の芳香族多価カルボン酸類であるカルボン酸から構成される形のエステル化合物である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. エステル化合物が、炭素数1ないし20個の脂肪族または脂環族の一価のアルコール類、炭素数2ないし20個の2ないし8個の水酸基を有する多価アルコール類、炭素数6ないし20個の一価のフェノール類、炭素数6ないし20個の2個以上の水酸基を有する多価の芳香族ヒドロキシ化合物類またはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドもしくはそれらのコポリマーでであって2ないし8個の末端を有しその末端に1ないし8個の水酸基を有する数平均分子量600ないし20,000のポリアルキレンオキシド類である有機ヒドロキシ化合物から構成される形のエステル化合物である請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. アルキレンオキシド化合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよびスチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド化合物である請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
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