JP3944612B2 - 組立式圧延用ロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳鋼、鍛鋼又は黒鉛鋳鋼からなる内層の外周に耐摩耗、耐肌荒れ性合金からなる外層を形成した複合スリーブを軸材に嵌合固定してなる、特に胴端部の耐亀裂性に優れた組立式圧延用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧延用ロールには、使用される胴部表面の摩耗が少ないこと、肌荒れが生じにくいこと、圧延材との焼き付きが生じにくいこと、亀裂、欠け、破壊が生じにくいこと等が要求される。これらの要求に対して、従来から胴部に硬質の外層を形成した鋳造複合ロール、焼結複合ロール等があり、用途や目的に応じて種々の特性を持つ材質や製法のロールが用いられている。例えば耐摩耗性に関して、国際公開番号WO88/07594号公報に開示されているような外層がハイス系材質の高耐摩耗性鋳造複合ロールがある。ハイス系材質のロールは耐摩耗性が飛躍的に優れているので、圧延生産性の向上に著しく貢献している。
【0003】
また、使用される胴部のみの取替えを可能にするロールとして、種々の組立式圧延用ロールが開示されている。例えば、実公昭45−7640号公報には熱亀裂の発生及び伝播に対して強い材料からなるスリーブをアーバーに焼嵌めした組立式熱間圧延用作動ロールが、特開昭54−86463号公報には、ネック部径と胴部外径との比、胴部廃却径と胴部外径との比を特定した圧延用ワークロールにおいて、スリーブの内径を軸受部径に略等しくした圧延用組立式ワークロールが、特開平4−344807号公報には外層をハイス系材質、内層を強靱鋳鉄又は黒鉛鋼により形成したH形鋼圧延用複合スリーブロールが、特開昭62−7802号公報には、ハイス材等の高合金鋼、高合金鋳鉄、Ni−Cr基自溶性合金など耐摩耗性材の粉末を熱間静水圧加圧(以下「HIP」と略記する)処理により焼結して外層を形成するとともに、内層材と拡散接合(金属結合)した複合リング(複合スリーブ)が開示されている。これらハイス系等の材質を用いた組立式圧延用ロールは、化学成分或いは製法の点で耐亀裂性向上の配慮はなされているが、その材質が本来有する耐亀裂特性の域を越えるものでない。
【0004】
一般に複合ロールの外層は高耐摩耗性、高耐肌荒れ性になるほど靱性に乏しく、かつ熱処理時の変態に伴う残留応力が大きくなる。このような状態にあるロールを圧延に使用したとき、さらに圧延圧力、熱応力、圧延異常に伴う異常強圧等の外部負荷を受けて、亀裂発生或いはこれに基づくロール破壊が起こりやすい。このため、胴端部に関してもその形状を改善した組立式圧延用ロールが開示されている。
特開平2−80109号公報には、図6のように、ロール軸芯部(軸材)3外周にロール胴部本体(内層)2が形成され、本体2の両端部に外周壁25が突設され、外周壁部の間に圧延特性の優れた高合金材で形成された硬化層(外層)1が接合一体化された複合ロールにおいて、外周壁部外周面には硬化層1の軸方向端面近傍位置に周溝26が設けられ、周溝26によって硬化層1の熱処理に際して発生する変態応力を緩和するための緩衝壁部27が硬化層1の軸方向端面に隣接して形成された複合ロールが開示されている。
また特開平6−182409号公報には、図5に示す軸材3に嵌合された鋼材の内層2の外周に焼結合金の外層1がHIP処理により形成された複合スリーブロールにおいて、外層1と内層2との境界4近傍の外層側胴端に発生する半径方向引張残留応力を抑制するため、図4のように、ロール胴端角部の面取りを外層1と内層2との境界4がその面取り面13内に存在するよう形成した複合スリーブロールが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記図5に示す従来の複合スリーブロールには、上記半径方向残留応力の他に、胴中央部においてロール回転軸方向に圧縮残留応力が存在し、この圧縮残留応力は胴端側に移行するにしたがってその値が徐々に小さくなり、胴端部付近では逆の引張残留応力となって存在している。このような状態にあるとき、胴端部に圧延圧力或いは強圧を受けると、胴端部は既に引張残留応力が存在しているので外層材質の強さに余裕がなくなり、円周方向に亀裂が発生して崖崩れ状に破壊しやすい。このような観点に立って、本発明の目的は耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れると共に胴端部の亀裂発生とそれに基づく破壊発生を防止した新規な構造の組立式圧延用ロールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、ロール表面の回転軸方向引張残留応力の発生を阻止する手段を発見し本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の組立式圧延用ロールは化学成分が重量比でC:0.1〜2.0%を含む鋳鋼又は鍛鋼又は黒鉛鋳鋼からなる内層の外周に硬さがHS:75以上の外層を金属結合した胴部構成用の複合スリーブを軸材に嵌合固定してなり、前記複合スリーブの胴端部は、金属結合境界近傍部を除く内層のみがロール回転軸方向にストレート形状に延びてなりその内層側端面が、外層とこれに続く金属結合境界近傍部を含む内層とからなる外層側端面より、20mm以上突出してなる。
【0008】
次に、本発明の組立式圧延用ロールは前記外層とこれに続く金属結合境界近傍部を含む内層とからなる外層側端面がロール回転軸との直角面に対して傾斜してなる。
【0009】
次に、前記外層は焼結ハイス材にてなり、その化学成分は重量比でC:1〜4%、Si:0.2〜3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:2〜12%、Mo:9%以下、V:3〜15%、W:20%以下、残部Fe及び不可避的不純物を含む粉末を焼結してなる。さらに焼結ハイス材の粉末は重量比でNi:5%以下、Co:10%以下、Nb:5%以下、Ti:5%以下、Zr:5%以下の何れか1種又は2種以上を含むことができ、またNb,Ta,Ti,V,W,Zrの中から選択した金属の炭化物又は窒化物又は炭窒化物の粒子の何れか1種又は2種以上を含むことができる。
【0010】
また、前記外層は鋳造又は肉盛ハイス材にてなり、その化学成分は重量比でC:1〜4%、Si:0.2〜3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:2〜12%、Mo:9%以下、V:3〜15%、W:20%以下、残部Fe及び不可避的不純物を含む。さらに鋳造又は肉盛ハイス材は重量比でNi:5%以下、Co:10%以下、Nb:5%以下、Ti:5%以下、Zr:5%以下の何れか1種又は2種以上を含むことができ、またNb,Ta,Ti,V,W,Zrの中から選択した金属の炭化物又は窒化物又は炭窒化物の粒子の何れか1種又は2種以上を含むことができる。
【0011】
また、前記外層は超硬合金材にてなり、その化学成分は体積比でCo粉末:15〜25%、Ni粉末:5〜15%、Cr−Si化合物粉末:0.5〜10%、WC粉末:50〜79.5%を含む粉末を焼結してなる。そしてCr−Si化合物粉末はCr3 Si,CrSi,CrSi2 の何れか1種又は2種以上である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の組立式圧延用ロールの全体構成は、図1のように、化学成分が重量比でC:0.1〜2.0%を含む鋳鋼又は鍛鋼又は黒鉛鋳鋼からなる内層2の外周に硬さがHS:75以上の外層1を金属結合した胴部構成用の複合スリーブを軸材3に嵌合固定されている。
そして、図2のように、複合スリーブの胴端部は、金属結合境界4近傍部を除く内層側端面21が、外層1とこれに続く金属結合境界4近傍部を含む内層とからなる外層側端面11より、突出している。ここで金属結合境界4近傍部を除く内層側とするのは、材質的にも応力的にも不安定な状態にある金属結合境界とその近傍部を避けるためである。避ける距離は、複合スリーブの材質、製法、適用対象ロールの形状・寸法等により異なるが、実際面ではロール回転軸に鉛直に向かって境界4から3〜5mm以上である。このように、安定になった内層材のみがロール回転軸方向に突出しているので、突出部の外周には図5の従来ロールのような金属結合境界4もなければ、軸方向の引張残留応力が発生する外層1もない。そして、内層側端面21の位置から5mm以上胴中央部に向かった外層側端面11の位置から外層が形成されているので、この外層の領域はもはや引張残留応力でなく、圧縮残留応力に移行した領域である。この結果、胴端部に圧力を受けても円周方向の亀裂発生による崖崩れ状の破壊が起こり難くなる。
【0013】
本発明ロールは、さらに図3のように、外層1とこれに続く金属結合境界4近傍部を含む内層とからなる外層側端面12がロール回転軸との直角面に対して傾斜してなる。図2の外層側端面11の形状にする場合、内層側端面21が突出しているので図5の外層側端面14と内層側端面23を同位置にした場合ほどではないが、図5同様の傾向により外層1と内層2との境界4近傍の外層側胴端に半径方向の引張残留応力が発生し、使用時に外層1の境界4近傍の胴端部に割れが発生しやすい。これを防止するため、図3の外層側端面12のように傾斜させる。この場合、結果的に外層1と内層2との境界4は外層側端面12内に存在するようになる。こうすることにより、ロール胴端部における軸方向引張残留応力或いは半径方向引張残留応力による破壊が防止される。外層側端面12の傾斜角度はロール回転軸との直角面に対して5°以上にするのが望ましい。5°未満のときは実質的に図2の場合と同等となり、その効果が殆んどない。
なお、本発明の実施態様を示す図1、図2、図3において、突出した内層部の外周面24は便宜的にストレート形状に画いたが、適用対象ロールの胴端より外部位置の軸部の形状に応じて、例えばこの部分にフィレットリング部を設けてもよい。
【0014】
本発明複合スリーブの内層2の材質はC:0.1〜2重量%を含む鋳鋼又は鍛鋼又は黒鉛鋳鋼である。これらの材質において、Cが2重量%を越えると炭化物量又は黒鉛量が過剰になるので、内層2として必要な引張強さ、靱性等が確保されない。また、Cが0.1重量%未満のときは軟弱すぎるので、必要な強さが確保されない。
【0015】
本発明複合スリーブは、例えばHIP焼結法、或いは遠心力鋳造法、或いは連続肉盛法等各種の製法によりハイス材或いは超硬合金材の外層1を内層2に金属結合させて製作する。また、本発明複合スリーブの外層1の硬さはHS:75以上が必要であり、これにより外層材質が本来有している耐摩耗性、耐肌荒れ性を確保すると共に、外層1の胴中央部に圧縮残留応力が付与されて耐亀裂性が得られる。このようにして得た本発明の複合スリーブを、例えば焼嵌め法により、軸材3に嵌合固定して本発明の組立式圧延用ロールを完成する。
【0016】
本発明複合スリーブの外層1を形成する焼結ハイス材の粉末或いは鋳造又は肉盛ハイス材の合金元素量は、外層1が必要とする耐摩耗性、耐肌荒れ性、硬さ等を確保する上で、次の通り限定される。
C:1〜4重量%
Cは同時に含まれるCr、V、Mo、Wと結合して硬質の炭化物を生成して耐摩耗性を発揮するのに必要である。Cが1重量%未満では硬質の炭化物量が不足して耐摩耗性が得られず、4重量%を越えると硬質の炭化物が多くなりすぎて靱性が低下する。
【0017】
Si:0.2〜3重量%
Siは脱酸効果を有するが、0.2重量%未満では十分な脱酸効果が得られず、3重量%を越えると材質を脆化する。
Mn:0.1〜1.5重量%
Mnも脱酸効果を有し、さらに焼入性を高める。このため0.1重量%以上必要であるが、1.5重量%を越えると材質が脆化するので好ましくない。
【0018】
Cr:2〜12重量%
Crは基地組織をベイナイト及び/又はマルテンサイトにして硬化すると共に、M7 3 系、M236 系炭化物を形成するので、耐摩耗性の向上に有効である。しかし、2重量%未満では効果が十分でなく、12重量%を越えると基地組織の靱性が低下するばかりでなく、VによるVCのようなさらに硬質のMC系炭化物の生成を少なくするので、耐摩耗性向上効果が飽和する。
Mo:9重量%以下
Moは基地組織中に固溶して基地組織を強化すると共に、Cと結合してM2 C系、M6C系炭化物を生成するので耐摩耗性の向上に有効である。しかし、9重量%を越えるとVCのようなさらに硬質のMC系炭化物の生成が少なくなるので、耐摩耗性向上効果が飽和する。
【0019】
V:3〜15重量%
VはCと結合してVC、即ちMC系炭化物を生成する。VCの硬さはHV2500〜3000であり、炭化物の中で最も硬い。このため、Vは耐摩耗性の向上に最も有効な必須元素である。Vの量が3重量%未満ではVCの量が不足し、15重量%を越えると材質を脆化する。
W:20重量%以下
Moと同様に、Wも基地組織中にも固溶して基地組織を強化すると共にCと結合してM2 C系、M6 C系炭化物を生成するので、耐摩耗性向上に有効である。しかし、20重量%を越えると、VCにようなさらに硬質のMC系炭化物の生成が少なくなるので、耐摩耗性向上効果が飽和する。
【0020】
本発明複合スリーブの外層1を形成する焼結ハイス材の粉末或いは鋳造又は肉盛ハイス材は、上記の合金元素以外に、さらに次の合金元素及び/又は粒子をそれぞれ単独又は複合して含むことができる。
Ni:5重量%以下
Niは基地組織の焼入れ性向上のため、特に大型複合スリーブのときに添加すると有効である。しかし、5重量%を越えるとオーステナイトが安定化して、硬い基地組織であるベイナイト及び/又はマルテンサイトへ変態し難くなるので、耐摩耗性が得られなくなる。
Co:10重量%以下
Coは高温状態における基地を強化するので、特に熱間圧延に用いたとき、耐摩耗性、耐肌荒れ性の向上に有効である。しかし、その効果は10重量%を越えると飽和する。
【0021】
Nb:5重量%以下、Ti:5重量%以下、Zr:5重量%以下
これらの元素は何れもVと同様にMC系の硬質炭化物を生成するので、それぞれ5重量%以下を単独又は複合添加することにより耐摩耗性の向上を図ることができる。
Nb、Ta、Ti、V、W、Zrの炭化物又は窒化物又は炭窒化物の粒子
これらの粒子は何れも硬質であり、それぞれの粒子を単独又は複合含有することにより耐摩耗性の向上を図ることができる。
残部
上記以外の残部は、不純物を除いて、実質的にFeである。不純物として主な元素はPとSである。Pは靱性低下防止のため0.05重量%以下、Sも同様理由により0.03重量%以下にするのが望ましい。
【0022】
さらに、本発明複合スリーブの外層1を形成する超硬合金材の合金元素配合組成は外層1が必要とする耐摩耗性、耐肌荒れ性、硬さ、靱性等を確保する上で次の通り限定される。
Co粉末:15〜25体積%
CoはNiと共に固溶体の結合相を形成し、合金を強化すると共に耐酸化性を向上する。Co粉末の配合量は、15体積%未満では効果が十分に得られず、25体積%を越えると極端に硬さが低下して耐摩耗性が劣化するので、15〜25体積%とする。
Ni粉末:5〜15体積%
NiはCoと共に固溶体の結合相を形成し、合金の強さ及び耐酸化性を向上させる。Ni粉末は配合量は、5体積%未満では効果が得られず、15体積%を越えると硬さが低下するので、5〜15体積%とする。
【0023】
Cr−Si化合物粉末:0.5〜10体積%
Cr−Si化合物粉末の配合は本発明超硬合金材の最も特徴とするところである。ここで用いるCr−Si化合物はCr3 Si,CrSi,CrSi2 等であり、これらの化合物は何れも同様の作用効果を示し、合金の破壊靱性及び耐酸化性を向上させる。これらCr−Si化合物の中の1種又は2種以上の配合量が、0.5体積%未満では効果が十分に得られず、10体積%を越えるとM6 C相(Co33C)を析出して靱性が低下するので、0.5〜10体積%とする。
【0024】
WC粉末:50〜79.5体積%
WC粉末は本発明超硬合金の基質となり、耐摩耗性向上に寄与する。WC粉末の配合量が、50体積%未満では耐摩耗性、耐肌荒れ性が不足し、逆に過剰になると破壊靱性が低下する。本発明超硬合金においては耐摩耗性、耐肌荒れ性、強さ、破壊靱性、耐酸化性等を確保する上で必要な上述の他の組成物の配合量とも関連して、50〜79.5体積%とする。
【0025】
【実施例】
外層1を何れもHIP焼結法による焼結ハイス材とした図1の実施例組立式圧延用ロールと比較例組立式圧延用ロールを製作した。実施例ロールは何れも胴端要部が図3に示す態様であり、比較例ロールは何れも胴端要部が図5に示す態様である。これら実施例ロール1及び2と比較例ロール1及び2の概要を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003944612
【0027】
各例複合スリーブの化学成分を表2に示す。何れも外層1は本発明焼結ハイス材粉末の成分系であり、内層2はJIS−G−4105 SCM−440相当の中空円筒状に形成した鍛鋼である。軸材は何れも上記同様JIS−G−4105
SCM−440相当の鍛鋼である。
【0028】
【表2】
Figure 0003944612
【0029】
各例の複合スリーブは中空円筒状に形成した上記鍛鋼製内層2の外周に上記ハイス材の合金粉末をHIP処理により焼結して外層1を形成した。この場合、外層1と内層2との境界は拡散接合して金属結合となっている。この素材に所定の熱処理と表3に示す寸法に機械加工を施した。各例の複合スリーブの外層の硬さを表2に併記する。このようにして得た各例複合スリーブを軸材3に焼嵌めにより嵌合して組立式圧延用ロールを完成した。焼嵌め率は組立式圧延用ロールに一般的に採用されている値として0.75/1000を用いた。
【0030】
各例の組立式圧延用ロールについて、外層の胴部表面に発生しているロール回転軸方向残留応力と外層側端面に発生している半径方向残留応力の測定結果を表3に併記する。残留応力の測定は、ロール表面端部及び外層側端面に歪ゲージを貼付後その部分から20mm×20mm×20mmのブロックを切断して、開放法により測定した。
【0031】
【表3】
Figure 0003944612
【0032】
表3より、本発明の実施例ロールは何れも胴端表面において圧縮残留応力を有し、耐亀裂性を備えている。また、外層側端面においても0か又は僅かな圧縮残留応力を有している。これに対して、比較例ロールは何れも胴体表面及び外層側端面において引張残留応力を有しており、外力が加わった場合の亀裂発生を助長する傾向にある。
【0033】
【発明の効果】
本発明の組立式圧延用ロールは、胴部構成用の複合スリーブの外層にハイス系材或いは超硬合金材を採用することにより耐摩耗性、耐肌荒れ性を有する。さらに、外層の胴端部に引張残留応力が存在せず、むしろ圧縮残留応力が付与された状態にある。このため、胴端部に亀裂が発生するような外力が作用しても、亀裂の発生やそれに基づく胴端部の破壊が阻止され、圧延機の停止やロールの損害が防止される。そして、優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性を発揮することにより圧延生産性の向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例組立式圧延用ロールの全体構成を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【図2】本発明の実施例組立式圧延用ロールの胴端要部の態様を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【図3】本発明の実施例組立式圧延用ロールの胴端要部の他の態様を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【図4】従来の組立式圧延用ロールの胴端要部の態様を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【図5】従来の組立式圧延用ロールの胴端要部の他の態様を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【図6】従来の組立式圧延用ロールの胴端要部のさらに他の態様を説明するロール回転軸方向の断面図である。
【符号の説明】
1 外層
2 内層
3 軸材
4 外層と内層の結合境界
5 胴部表面
11 外層側端面
12 外層側端面
13 面取り面(外層側端面)
14 外層側端面
21 内層側端面
22 内層側端面
23 内層側端面
24 内層の外周面
25 外周壁
26 周溝
27 緩衝壁部

Claims (13)

  1. 化学成分が重量比でC:0.1〜2.0%を含む鋳鋼又は鍛鋼又は黒鉛鋳鋼からなる内層の外周に硬さがHS:75以上の外層を金属結合した胴部構成用の複合スリーブを軸材に嵌合固定してなり、前記複合スリーブの胴端部は、金属結合境界近傍部を除く内層のみがロール回転軸方向にストレート形状に延びてなりその内層側端面が、外層とこれに続く金属結合境界近傍部を含む内層とからなる外層側端面より、20mm以上突出してなることを特徴とする組立式圧延用ロール。
  2. 前記外層とこれに続く金属結合境界近傍部を含む内層とからなる外層側端面がロール回転軸との直角面に対して傾斜してなることを特徴とする請求項1記載の組立式圧延用ロール。
  3. 前記外層が焼結ハイス材にてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立式圧延用ロール。
  4. 前記焼結ハイス材は化学成分が重量比でC:1〜4%、Si:0.2〜3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:2〜12%、Mo:9%以下、V:3〜15%、W:20%以下、残部Fe及び不可避的不純物を含む粉末を焼結してなることを特徴とする請求項3記載の組立式圧延用ロール。
  5. 前記焼結ハイス材の粉末はさらに化学成分が重量比でNi:5%以下、Co:10%以下、Nb:5%以下、Ti:5%以下、Zr:5%以下の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項4記載の組立式圧延用ロール。
  6. 前記焼結ハイス材の粉末はさらにNb、Ta、Ti、V、W、Zrの中から選択した金属の炭化物又は窒化物又は炭窒化物の粒子の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の組立式圧延用ロール。
  7. 前記外層が鋳造又は肉盛ハイス材にてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立式圧延用ロール。
  8. 前記鋳造又は肉盛ハイス材は化学成分が重量比でC:1〜4%、Si:0.2〜3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:2〜12%、Mo:9%以下、V:3〜15%、W:20%以下、残部Fe及び不可避的不純物を含むことを特徴とする請求項7記載の組立式圧延用ロール。
  9. 前記鋳造又は肉盛ハイス材はさらに重量比でNi:5%以下、Co:10%以下、Nb:5%以下、Ti:5%以下、Zr:5%以下の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項8記載の組立式圧延用ロール。
  10. 前記鋳造又は肉盛ハイス材はさらにNb、Ta、Ti、V、W、Zrの中から選択した金属の炭化物又は窒化物又は炭窒化物の粒子の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の組立式圧延用ロール。
  11. 前記外層が超硬合金材にてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立式圧延用ロール。
  12. 前記超硬合金材は化学成分が体積比でCo粉末:15〜25%、Ni粉末:5〜15%、Cr−Si化合物粉末:0.5〜10%、WC粉末:50〜79.5%を含む粉末を焼結してなることを特徴とする請求項11記載の組立式圧延用ロール。
  13. 前記Cr−Si化合物粉末はCr3Si,CrSi,CrSi2の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項12記載の組立式圧延用ロール。
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