JP3944548B2 - サブソイラ作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サブソイラ作業機に関し、さらに詳しくは、土との作業摩擦の減少や、土の付着を抑え、さらには、溝形成後の掘削された土の排出を促進するサブソイラ作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
圃場は、休耕や、永年使用によるトラクタの踏圧や、ロータリ耕耘機の使用による盤の形成、雨水の浸透による土の自然硬化が進行し、表面だけではなく次第に硬化した層が下方にまで成長しがちである。特に牧草地では、牛などの家畜による踏圧により硬い層が次第に成長し牧草の根の張りを阻害してしまう結果となっている。表面が硬化した圃場に対してロータリ耕耘機による表面だけの耕耘では見かけ上作土層は形成されるが、この作土層の下層には盤が形成されており、この盤は透水性が著しく悪く(透水性が劣り)、しかも、通気性も悪いことから、少しの雨でも圃場表面に帯水してしまい作土層の流出や、作物は根を成長させることができず、十分な成育を期待することができないものになってしまうことが多い。
そこで、サブソイラ作業機を用いて耕盤層の破砕はもちろんのこと、その下側に存在する心土層をも破砕して、耕盤層に透水性をもたせ、さらには、心土層内に空気を供給することで土の活性化を図るとともに排水性、透水性を向上させることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この作業機の目的からすると、できるだけ深い位置の心土層を破砕することが目的にかなうのであるが、深い位置での心土破砕作業ではトラクタに加わる負荷は極めて大きく、そのために大馬力のトラクタの使用が余儀なくされる。このサブソイラ作業機は土の中をナイフ状のナイフを抵抗以上の力で牽引するので、土壌環境によりその抵抗は異なるのであるが、表面作業に比較して負荷が大きい作業であることには代わりはない。
【0004】
そこで、できるだけその負荷を減少させるためにナイフの形状の改良などが図られているが、土壌によっては、とくに火山灰土壌ではナイフに対してまるで粘土細工のようにナイフを中心として土が付着し、さらに、この土が土を呼び、ナイフがまるで土の棒状となり抵抗のみが大きくなって作業の継続を不可能にしてしまう問題があった。
とくに、関東ローム層地帯の圃場ではこの現象が顕著であり、サブソイラ作業機の使用が不可能になってしまうことすらあって何らかの対策が要望されているところである。
【0005】
また、サブソイラ作業機の使用が可能であっても、チゼルやナイフにより掘削されて溝形成された後の土が表面に押し上げられて、その土が作業進行に伴い、ナイフの前側に盛り上がり、これが作業機のフレームと圃場表面との間に溜って作業の妨げとなることもあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、サブソイラ作業機のナイフに対して土が付着しにくいものとすると共に、さらには、掘削されて表面に盛り上がった土が作業の妨げになることのないようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述のような目的達成するためになされた本発明にかかるサブソイラ作業機は、作業機フレームにナイフを取り付けて構成した、心土破砕作業を行うサブソイラ作業機であって、前記ナイフに取り付けられた金属製ブラケットと、前記金属製ブラケットに取り付けられることによって、前記ナイフに取り付けられた摩擦減少部材または金属製モールド板とを備え、前記摩擦減少部材または金属製モールド板には、少なくとも、ナイフの下端部に向かうにつれて作業進行方向に向う掘削曲面が形成され、心土に刺し込まれた前記ナイフの作業進行に伴い、この掘削曲面に沿って土を掘削するサブソイラ作業機において、前記摩擦減少部材または金属製モールド板が、前記金属製ブラケットに取替え可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
この本発明のサブソイラ作業機によれば、関東ローム層などのようにナイフに付着しやすい土質の場合、この摩擦減少部材を用いることができ、土の付着を然程考慮しなくてもよい場合には、前記摩擦減少部材を金属製のモールド板に置き換えて取り付けることで、土の付着性がなく、または付着性があってもきわめて小さい付着性とすることができる。なお、前記摩擦減少部材または金属製モールド板が金属製ブラケットを介して、ナイフの前縁に取り付けられているため、前記金属製ブラケットをナイフから取り外すことにより、従来のナイフと同様に用いることができる。
また、摩擦減少部材または金属製のモールド板が、摩耗した場合でも、取替ができる。
【0009】
また、上述のような目的達成するためになされた本発明にかかるサブソイラ作業機は、作業機フレームにナイフを取り付けて構成した、心土破砕作業を行うサブソイラ作業機であって、前記ナイフに取り付けられた金属製ブラケットと、前記金属製ブラケットに取り付けられることによって、前記ナイフに取り付けられた摩擦減少部材または金属製モールド板とを備え、前記摩擦減少部材または金属製モールド板には、ナイフの下端部に向かうにつれて作業進行方向に向う掘削曲面が形成されると共に、ナイフの上端部に向かうにつれて作業進行方向の側方に向う排出曲面が形成され、心土に刺し込まれた前記ナイフの作業進行に伴い、この掘削曲面に沿って土を掘削すると共に、作業進行に伴って掘削した土を圃場表面へ押し上げながら、排出曲面に沿って土を側方に移動させるサブソイラ作業機において、前記摩擦減少部材または金属製モールド板が、前記金属製ブラケットに取替え可能に取り付けられていることを特徴としている。
このような構成を採用することにより、前記した作用効果のほか、掘削土、言い換えると溝切り後の土の排出を作業進行方向から側方に逸らして行うことができ作業の妨げを防ぐことができる。
【0010】
また、前記摩擦減少部材または金属製モールド板の排出曲面の上端部に、反転曲面が形成されていることが好ましい。
このように、金属製モールド板の排出曲面の上端部に反転曲面を形成することにより、排出された土の側方への反転を大きくすることができる。
【0011】
更に、前記摩擦減少部材または金属製モールド板が、前記掘削曲面、排出曲面からボルトによって、前記金属製ブラケットに取り付けられることが好ましい。また、前記摩擦減少部材は、樹脂成形品であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし、図6について説明を加える。まず、添付したこれらの図において符号10は2本爪形式のサブソイラ作業機(以下、作業機という)の全体を示し、この作業機10は作業幅方向に沿って延びる中空形のフレーム11をもち、このフレーム11の左右両端部位置には、作業進行方向、いわゆる前後方向に延びていて、前記フレーム11を上下方向から挟んでいる一対のフランジ板12が配置されていて、このフランジ板12の前端部寄りはフレーム11の前後において4本のボルト13により固定されている。そして、これらのフランジ板12の他端部は後側に延びていて、その延長部12Aを形成しており、この延長部12A、12Aにより上下から挟まれる形で、断面形状がコ型をしたスペーサ14が形成され、そのスペーサ14の縦板部分がフランジ板12に対して垂直になるような姿勢で配置され、しかも、ふたつのスペーサ14、14はその縦板部分が互いに向かい合っていて、後で述べるナイフの厚さに対応した間隔Sを保って配置されて固定されている。
【0013】
それらのスペーサ14、14の間隔Sに相当する部分には、前記フランジ板12に透孔12Bが穿けられていて、後述するナイフを装通することができるようになっていて、後に説明するナイフの上端部を収容する、ナイフの装通空間を形成している。スペーサ14はそのフランジ部分が前記フランジ板12の延長部12Aに対してボルト14Bで固定されている。このスペーサ14、14には共通する窓孔14Aが穿けてあってナイフをピン16により固定するためにピンを装通することができるようになっている。
【0014】
そして、図3に示すように、ナイフ20は作業進行方向に沿って幅(長さ)があり、左右方向の幅(長さ)は従来のナイフに比較して、刃縁部分がやや厚くなっていて、この刃縁部分に相当する前縁21に摩擦減少部材22が金属製のブラケット23を介して取り付けられ、適当な間隔でボルト24により固定されている。即ち、この摩擦減少部材22は、図3、図4から明らかなように、後述する掘削曲面22Y及び排出曲面22Xからボルト24によって、前記金属製ブラケット23に取り付けられる。
【0015】
前記金属製のブラケット23は前記摩擦減少部材22の形状により定められるもので、摩擦減少部材22の背面と、その側面を囲む形状であり、前記摩擦減少部材22が摩耗して形状の変化が生じたときにできるだけ縁部分が偏摩耗することがないようにしてある。
前記摩擦減少部材22はナイフ20の形状に沿ったもので、上端部から下端部にやや前方に向かって曲線を描いており、ナイフ20の最も下端部、言い換えると、作業進行方向最も先端位置には心土を破砕するチゼル25が固定されていて、その後方には破砕効果を上げるウイング26が連結されている。
【0016】
とくに、前記摩擦減少部材22とそのブラケット23とは上端部近くが作業進行方向の側方に向かって捻られた、言い換えると、排出曲面22Xを形成していて、この排出曲面22Xに沿って上昇移動させられる土は移動に連れて、ナイフ20を含む平面から外れながら、側方に逃げて移動することができる。この排出曲面22Xに沿ってブラケット23もこの摩擦減少部材22を収容すべく,その曲面に沿った形状をしている。この排出曲面22Xの排土の方向は2本爪の場合左右対称形をしていて、互いに排土した土を作業幅の外側に向けて排出することができるようになっている。
したがって、1本爪の形式にあっては、作業進行方向何れの側に捻られていてもよく、土詰まりを防止できる形状であればよい。
【0017】
また、ナイフ20の上端とは反対に下端部に向かうに連れて作業進行方向に向い緩やかな曲面を描いて掘削曲面22Yとなっていて、心土に刺し込まれたナイフ20はこの掘削曲面22Yに沿って土を掘削すると共に、作業進行に伴って掘削した土を圃場表面へ押し上げながら、上端部近くに至って前述のように排出曲面22Xに沿って土を側方に移動させることができるような形状になっている。
【0018】
これにより、実際に作業では、深い位置での土が掘削されて摩擦減少部材22に沿って、まず掘削曲面22Yに沿って押し上げられながら、圃場表面へと押し上げられ、さらに、続いて排出曲面22Xに沿って作業進行方向の側方に排土されるのである。しかも、掘削により土が盛り上がった場合でも、摩擦減少部材22に形成してある排出曲面22Xのガイドにより進行方向側方、さらに詳しくは、作業幅の外側に土を移動させることで、フレームの下面と圃場との空間に土が山のように盛り上がって詰るのを防ぎ、盛り上がり傾向にある土を進行方向側方に排出することができる。したがって、1本爪形式のサブソイラ作業機の場合には、左右いずれの側に排出してもよいので、摩擦減少部材の捻り方向は左右自由である。
【0019】
このことは、従来のサブソイラ作業機と比較しながら説明することで理解を容易にする。この摩擦減少部材22において排出曲面22Xが形成されていない場合には、掘削曲面22Yに沿って掘削された土は上昇させられるのであるが、その土はナイフ20を含む平面内において上昇するので作業機を構成するフレームに当たって、そのフレームと圃場との空間に溜り、土の塊となって成長し、作業進行と共に、これが肥大化して作業進行の妨げになるのであるが、本発明によれば、このような作業上の不都合を解決することができる。
【0020】
この摩擦減少部材22としては、耐摩耗性に富んでいて、しかも関東ローム層などのように鉄製のナイフに付着しやすい土質の場合であっても付着性がなく、または、付着性があってもきわめて小さい付着性であり、成形の自由度にも優れているポリエチレン製などの樹脂成形品が用いられ、摩耗した場合でも、取替ができるようにボルト取り付けによるな構造が採用されている。
【0021】
また、前記摩擦減少部材22の左右方向の幅(長さ)は、図3から明らかなように、ナイフ21の左右方向(前縁)の幅(長さ)よりも大きく形成されており、ナイフ21のみによる溝形成に比べて当然に幅の大きい溝を形成でき、掘削された土の排出を促進でき、土の活性化を図るとともに排水性、透水性をより向上させることができる。
【0022】
また、以上の説明では、ナイフ21の作業進行方向前面に沿って摩擦減少部材22に取り付けてあるものを説明したが、この摩擦減少部材22をナイフ20の左右両側面に固定することもできる。この場合には、側面の摩擦減少部材22はナイフ20の前面にある摩擦減少部材22の幅より小さくしてある。
さらに、摩擦減少部材をブラケットを介して取り付けたものを説明したが、作業対象土壌によっては必要がない場合もある。
【0023】
また、関東ローム層とは違ってナイフに付着し易くない土質の場合には、摩擦減少部材22のもつ意味合いは薄く、この場合には、プラスティックス製のものに代えて金属製のモールド板に置き換えて掘削された土の排出を確実化することを図ることができる。この場合、形状は前記摩擦減少部材22と同様のものを用い、掘削曲面22Y、排出曲面22Xとを形成するのであるが、図4における仮想線図示のように排出曲面22Xの上端部に反転曲面22Zを形成して、この反転曲面の捩り部分により排出された土の側方への反転を大きくし、モールド板としての効果的な機能が期待できる。
【0024】
以上の説明から明らかなように、このサブソイラ作業機によれば、作業中掘削される土がナイフに付着するのを極力少なくすることができるとともに、土との摩擦を極力小さくすることができるのでトラクタに余裕をもたせることができ、とくに、摩擦減少部材には掘削された土の排出方向をナイフを含む平面から側方に逃がすようにしてあるので、排出土が作業進行を妨げることがなく、能率的に作業をすることができる。また、圃場の土の付着を然程考慮しなくてもよい場合には、前記摩擦減少部材を金属製のモールド板に置き換えて取り付けることで、掘削土、言い換えると溝切り後の土の排出を作業進行方向から側方に逸らして行うことができ作業の妨げを防ぐことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のサブソイラ作業機によれば、関東ローム層などのようにナイフに付着しやすい土質の場合、この摩擦減少部材を用いることができ、土の付着を然程考慮しなくてもよい場合には、前記摩擦減少部材を金属製のモールド板に置き換えて取り付けることで、土の付着性がなく、または付着性があってもきわめて小さい付着性とすることができる。なお、前記摩擦減少部材または金属製モールド板が金属製ブラケットを介して、ナイフに取り付けられているため、前記金属製ブラケットをナイフから取り外すことにより、従来のナイフと同様に用いることができる。
また、摩擦減少部材または金属製のモールド板が、摩耗した場合でも、取替ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサブソイラ作業機の側面図である。
【図2】本発明のサブソイラ作業機の平面図である。
【図3】本発明のサブソイラ作業機のナイフ部分の斜面図である。
【図4】本発明のサブソイラ作業機の摩擦減少部材の詳細斜面図である。
【図5】図1における符号5部分の部分拡大斜面図である。
【図6】図1における符号6部分の部分拡大斜面図である。
【符号の説明】
10 サブソイラ作業機
11 フレーム
12 フランジ板
13 ボルト
14 スペーサ
20 ナイフ
21 前縁
22 摩擦減少部材
22X 排出曲面
22Y 掘削曲面
22Z 反転曲面
23 ブラケット
24 ボルト
25 チゼル
Claims (2)
- 作業機フレームにナイフを取り付けると共に、前記ナイフの最も下端部の作業進行方向最先端位置には心土を破砕するチゼルが固定され、前記ナイフ下端部に向うにつれて作業進行方向に向い緩やかな曲面を描いて前記ナイフの前縁幅よりも幅広に形成され、かつ前記ナイフの前縁に沿って取り付けられた掘削曲面となっていて、前記ナイフ上端部近くが作業進行方向の側方に向って捻られた前記ナイフの前縁幅よりも幅広に形成され、かつ前記ナイフの前縁に沿って取り付けられた排出曲面を形成し、心土に差し込まれた前記ナイフは、掘削曲面に沿って土を掘削すると共に、作業進行に伴って掘削した土を圃場表面へ押し上げながら、上端部近くに至って前記排出曲面に沿って土を側方に移動させることができるサブソイラ作業機において、
前記ナイフの前縁に、摩擦減少部材が金属製のブラケットを介して取り付けられ、適当な間隔でボルトにより固定された、前記掘削曲面と前記排出曲面を形成し、
前記金属製ブラケットは前記摩擦減少部材の背面と、その側面を囲む形状であり、前記摩擦減少部材の縁部分が偏摩耗することが無いように構成した
ことを特徴とするサブソイラ作業機。 - 前記摩擦減少部材は、耐磨耗性に富み成形の自由度にも優れているポリエチレン製などの樹脂整形品が用いられ、摩耗した場合に取替えができるようにボルト取り付けによる構造となっていることを特徴とする請求項 1 記載のサブソイラ作業機。
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