JP3943906B2 - パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パレットにおける滑り止めの技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から高い滑り止め性能を有するパレットとして、上面と下面に柔弾性を有するゴム、合成樹脂等の帯状をした滑り止め部を設けたものが特公昭56ー41505号公報により知られている。この従来例にあっては、図9に示すように、前後に前後方向にのみフォーク挿入口6を形成した二方差し構造のパレット本体1の上面にフォーク抜き差し方向(図9において矢印Aで示す)と直交する帯状の滑り止め部2を上方に突出するように設け、下面にフォーク抜き差し方向と平行な帯状の滑り止め部2を下方に突出するように設けてパレット3を構成してある。
【0003】
上記のような構成の二方差しのパレット3はフォークリフトを用いて上下に積み重ねる場合、上下のパレット3の前後のフォーク挿入口6がそれぞれ積み重ね状態で前後面に位置するように積み重ねられるものであり、このため、下段のパレット3の上面のフォーク抜き差し方向と直交する帯状の滑り止め部2の上に上段のパレット3の下面のフォーク抜き差し方向と平行な帯状の滑り止め部2が交差する形で載置されることになる。つまり、上下の滑り止め部2が交差部分でのみ点接触状態で載置されることになる。したがって、上下の滑り止め部2同士の接触面積が小さいので上段のパレット3に横方向の外力が作用した場合、滑り止め効果が十分でないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、パレットを上下に重ねた状態で上段のパレットが横方向に滑り落ちるのを確実に防止できるパレットを提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のパレットは、上面のみが使用される片面使用のパレット本体1に帯状をした滑り止め部2を設けて構成したパレット3であって、フォーク抜き差し方向と直交する帯状の滑り止め部2をパレット本体の上面4及び下面5のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着して上方に突出して設けると共に、パレット3同士を上下に重ねた状態で下段のパレット3の上面4に上方に突出して設けた帯状の滑り止め部2と上段の下面5に下方に突出して設けた帯状の滑り止め部2とが隣合うように構成したものにおいて、下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2を上面4のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2よりも外側にずらして成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、パレット3同士を上下に重ねた状態で上段のパレット3同士の上下重ね合わせ部分において下段のパレット3の上面4に設けた帯状の滑り止め部2が上段のパレット3の下面に接触し、上段のパレット3の下面5に設けた帯状の滑り止め部2が下段のパレット3の上面に接触して上段のパレット3側からの荷重を下段のパレット3に伝えることになる。そして、上段のパレット3に滑り止め部2と交差する横方向から外力が作用した場合、まず、下段のパレット3の上面4に設けた帯状の滑り止め部2が上段のパレット3の下面に接触していることによる滑り止めと、上段のパレット3の下面5に設けた帯状の滑り止め部2が下段のパレット3の上面4に接触していることによる滑り止めがなされるが、上記滑り止め防止以上の外力が作用した場合、帯状をした滑り止め部2と隣合う帯状をした滑り止め部2とが当接して滑り止めがなされるものである。しかも、仮に、帯状をした滑り止め部2が隣合う帯状をした滑り止め部2に乗り越上げても、下段の帯状をした滑り止め部の上面4に上段の帯状をした滑り止め部の下面5が面接触して滑り止めを行うことになり、多段階で滑り止めがなされるものである。更に、片面使用のパレット本体1において、下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2を上面4のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2よりも外側にずらしてあるので、フォーク挿入口6にフォークを挿入する際に、フォークの先端がフォーク挿入口6の下縁部に衝突してもパレット本体1に溶着又は接着した帯状の滑り止め部2により衝突した部分がもぎ取られるのが防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を以下添付図面に示す実施形態に基づいて詳述する。
【0013】
パレット本体1は合成樹脂製であって、図1に示すように合成樹脂製のパレット本体1の上面4及び下面5にそれぞれゴムや合成樹脂製の柔弾性を有する帯状をした滑り止め部2を溶着又は接着してパレット3を形成してある。
【0014】
パレット本体1の前後方向又は前後左右方向にフォーク挿入口6が形成してあり、このフォーク挿入口6はパレット本体1の側面に開口している。添付図面に示す実施形態においてはパレット本体1の前後面にそれぞれフォーク挿入口6が形成してある二方向差しのパレットの例が示してある(図1、図2において矢印Aがフォーク抜き差し方向である)が、パレット本体1の前後左右面にそれぞれフォーク挿入口6が形成してある四方向差しのパレット3であってもよい。また、添付図面に示す実施形態においては上面4が荷物の載置面、下面5が接地面となった片面使用のパレット3の例を示しているが、上下逆にしても使用できる(つまり下面が荷物の載置面となり上面が接地面となった)両面使用のパレット3であってもよい。また、添付図面に示す実施形態においては、パレット本体1は合成樹脂により形成した上半体1aと下半体1bとを溶着一体化して構成してあるが、必ずしもこれにのみ限定されるものではない。
【0015】
パレット本体1の上面4及び下面5にはゴムや合成樹脂製の柔弾性を有する帯状の滑り止め部2を設けるに当たっては、パレット本体1の上面4及び下面5に帯状をした細長い溝8を形成し、この溝8に帯状をした細長い滑り止め部2の下半部を嵌め込んで熱溶着により溶着したり、あるいは接着剤により接着したりするものであり、滑り止め部2の上半部はパレット本体1の上面4又は下面5から上方又は下方に突出するものである。
【0016】
ここで、パレット本体1の上面4、下面5にそれぞれ帯状の滑り止め部2を設けるに当たって、パレット3同士を上下に重ねた状態で下段のパレット3の上面4に上方に突出して設けた帯状の滑り止め部2と上段の下面5に下方に突出して設けた帯状の滑り止め部2とが長手方向の端縁同士が隣合うようにパレット本体1の上面4及び下面5にそれぞれ帯状をした滑り止め部2を配設するものである。
【0017】
添付図面にはパレット本体1の上面4、下面5にそれぞれ帯状の滑り止め部2を配設する一実施形態が示してある。本実施形態においては、平面視四角形状をしたパレット本体1の上面4及び下面5にパレット本体1の前後左右の四辺付近に四辺に沿って平行にそれぞれ帯状をした細長い滑り止め部2を設けてある。帯状をした細長い滑り止め部2は前後左右の各辺のほぼ全長にわたってそれぞれ1本ずつ設けてあるが、辺に沿って帯状をした滑り止め部2を設けるに当たり辺に沿った帯状の細長い滑り止め部2を複数に分割して複数に分割した帯状の滑り止め部2を間隔を介して一列に辺に沿って並べてもよいものである。
【0018】
対向する対となった辺である左右の辺に沿って設けた帯状をした上面4の滑り止め部2と左右の辺に沿って設けた帯状をした下面に設けた滑り止め部2との位置関係は、上面4又は下面5のいずれか一方の左右の対の滑り止め部2がいずれも上面又は下面のいずれか他方の左右の対の滑り止め部2よりも外側に位置して隣接するように配設してある。また、対向する対となった辺である前後の辺に沿って設けた帯状をした上面4の滑り止め部2と前後の辺に沿って設けた帯状をした下面に設けた滑り止め部2との位置関係は、上面4又は下面5のいずれか一方の前後の対の滑り止め部2がいずれも上面4又は下面5のいずれか他方の前後の対の滑り止め部2よりも外側に位置して隣接するように配設してある。
【0019】
ここで、パレット本体1が上面4のみが使用される片面使用のものの場合、図6に示すように下面5のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2を上面4のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部2よりも外側にずらすようにするのが好ましい。ここで、フォーク挿入口6の開口端部付近においては開口端の下内面(パレット本体1の下面5を構成する部位のフォーク挿入口6の開口端に面した部位)が傾斜部1aとなっており、このフォーク挿入口6の開口端の下内面の傾斜部1aの開口側の略半分に対応したパレット本体1の下面5が板状部1bとなっていてこの板状部1bに滑り止め部2が形成してある。このような構成とすることで、下面5側においてフォーク挿入口6を設けた側の辺に沿って滑り止め部2を設けるに当たり、下面5側において該滑り止め部2をフォーク挿入口6を設けた側の辺側により近づけることが可能で、これによりフォーク挿入口6にフォークを挿入する際に、フォークの先端がフォーク挿入口6の下縁部に衝突してもパレット本体1の傾斜部1aに対向する下面5の板状部1bに溶着又は接着した帯状の滑り止め部2により衝突した部分がもぎ取られるのが防止できるようになっている。
【0020】
しかして、上記のような構成のパレット3は上面4に載置物を載置した状態で、フォーク挿入口6にフォークリフトのフォークを挿入して持ち上げて移動するものであるが、この場合、平面視四角形状をしたパレット本体1の上面4の四辺付近に四辺に沿ってそれぞれ滑り止め部2を設けてあるので、パレット3の四辺の端辺付近において帯状の滑り止め部2により荷物の滑り止めを行うことができて荷物が前後左右の各方向に滑り落ちるのを確実に防止することができるものである。また、上記パレット3は下面を接地面に接地するのであるが、この場合、平面視四角形状をしたパレット本体1の下面5の四辺付近に四辺に沿ってそれぞれ滑り止め部2を設けてあるので、パレット3が接地面に対して前後左右方向に滑るのが防止されるものである。
【0021】
ところで、パレット3同士を上下に複数積み重ねて保管したり、搬送したりすることがあるが、この場合、図7のようにパレット3同士を上下に重ねた状態で下段のパレット3の上面4に上方に突出して設けた帯状の滑り止め部2の長手方向の端縁と上段の下面5に下方に突出して設けた帯状の滑り止め部2の長手方向の端縁とが小間隔を介して互いに隣合うように積み重ねられる。ここで、パレット3同士を上下に重ねた状態で上段のパレット3同士の上下重ね合わせ部分において下段のパレット3の上面に設けた帯状の滑り止め部2が上段のパレット3の下面に接触し、上段のパレット3の下面に設けた帯状の滑り止め部2が下段のパレット3の上面に接触するものであり、上段のパレット3側からの荷重を下段のパレット3に伝えられることになる。したがって上段のパレット3側からの荷重は、下段のパレット3の上面4の帯状の滑り止め部2の全長及び上段のパレット3の下面の帯状の滑り止め部2の全長にわたって下段のパレット3に伝えられ、これにより柔弾性のゴムや合成樹脂等の滑り止め部2の局部的な損傷を防止することができるものである。
【0022】
そして、図7のようにパレット3を上下に複数段積み重ねた状態で上段のパレット3に横方向からの外力が作用した場合、まず、下段のパレット3の上面4に設けた帯状の滑り止め部2が上段のパレット3の下面5に接触していることによる滑り止めと、上段のパレット3の下面5に設けた帯状の滑り止め部2が下段のパレット3の上面4に接触していることによる滑り止めがなされる。しかしながら、上記滑り止め防止以上の外力が図8の矢印Bで示すように作用した場合、上段のパレット3が下段のパレット3に対して横方向に移動するが、図8のように帯状をした滑り止め部2の側縁部と隣合う帯状をした滑り止め部2の側縁部とが長手方向にわたって当接することで、上段のパレット3がそれ以上横方向に移動するのが防止される。更に、仮に、それ以上の外力が作用して帯状をした滑り止め部2の側縁部が隣合う帯状をした滑り止め部2の側縁部から乗り越上げるような事態が生じても、下段の帯状をした柔弾性の滑り止め部2の上面に上段の帯状をした柔弾性をした滑り止め部の下面が滑り止め部2の長手方向にわたって面接触して滑り止めを行うことになり、多段階で滑り止めがなされるものである。
【0023】
そして、本実施形態においては、前後左右方向に滑り止めが上記のように他段階になされるものである。
【0024】
ところで、添付図面に示す実施形態においては、片面使用で且つ二方差し構造のパレット3において、図1に示すように、パレット本体1の上面4にフォーク抜き差し方向の両端辺付近に設けた滑り止め部2間の部分に上記フォーク抜き差し方向Aと直交する別の帯状をした中間滑り止め部7を設けてある。これにより上面4に載置した荷物はフォーク抜き差し方向において中間部分においてもフォーク抜き差し方向と直交する別の帯状をした中間滑り止め部7により滑り止めがなされることになり、パレット3のフォーク挿入口6にフォークリフトのフォークを挿入して上下したり、あるいは持ち上げて移動する際、フォーク抜き差し方向にパレット3が傾むくことがあるが、フォーク抜き差し方向と直交する別の帯状をした中間滑り止め部7により荷物が滑り落ちるのを防止することができるものである。
【0025】
なお、添付図面に示す実施形態においては、片面使用で且つ二方差し構造のパレット3の例で示したが、片面使用で且つ四方差し構造のパレット3であってもよいものである。
【0026】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、パレット同士を上下に重ねた状態で下段のパレットの上面に上方に突出して設けた帯状の滑り止め部と上段の下面に下方に突出して設けた帯状の滑り止め部とが隣合うようにパレット本体の上面及び下面にそれぞれ帯状をした滑り止め部を配設してあるので、パレット同士を上下に重ねた状態で重ね合わせ部分において上下段のパレットの帯状の滑り止め部同士が接触せず、上段のパレットからの荷重が上下段のパレットの各滑り止め部の全長にわたって伝達されることになり、帯状の滑り止め部同士が点接触状態で上下に接触してこの部分に荷重が集中して帯状の滑り止め部に局部的に損傷が発生するというおそれがなく、また、上段のパレットに横方向から外力が作用した場合、まず、下段のパレットの上面に設けた帯状の滑り止め部が上段のパレットの下面に接触していることによる滑り止めと、上段のパレットの下面に設けた帯状の滑り止め部が下段のパレットの上面に接触していることによる滑り止めがなされ、更に、上記滑り止め防止以上の外力が作用したとしても、帯状をした滑り止め部と隣合う帯状をした滑り止め部とが当接して確実に滑り止めがなされるものであり、しかも、仮に、帯状をした滑り止め部が隣合う帯状をした滑り止め部に乗り越上げても、下段の帯状をした滑り止め部の上面に上段の帯状をした滑り止め部の下面が滑り止め部に面接触して滑り止めを行うことになり、多段階で確実な滑り止めがなされ、簡単な構造で確実な滑り止め効果が期待できるものである。また、パレット本体が上面のみが使用される片面使用のものであり、フォーク抜き差し方向と直交する滑り止め部をパレット本体の上面及び下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着すると共に、下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部を上面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部よりも外側にずらしてあるので、フォーク挿入口にフォークを挿入する際に、フォークの先端がフォーク挿入口の下縁部に衝突してもパレット本体に溶着又は接着した帯状の滑り止め部により衝突した部分がもぎ取られるのが防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパレットの平面図である。
【図2】同上のパレットの底面図である。
【図3】(a)は同上のパレットの正面図であり、(b)は側面図である。
【図4】同上の上面の帯状の滑り止め部を実線で下面の帯状の滑り止め部を破線で記載したパレットの平面図である。
【図5】図1のX−X線の断面図である。
【図6】同上のパレットを上下に積み重ねる直前の要部分解断面図である。
【図7】同上のパレットを上下に積み重ねた状態の要部断面図である。
【図8】同上の上段のパレットに方向に外力が作用して隣合う帯状の滑り止め部同士が端縁部で当接した状態の断面図である。
【図9】従来例のパレットの斜視図である。
【符号の説明】
1 パレット本体
2 滑り止め部
3 パレット
4 上面
5 下面
6 フォーク挿入口
Claims (1)
- 上面のみが使用される片面使用のパレット本体に帯状をした滑り止め部を設けて構成したパレットであって、フォーク抜き差し方向と直交する帯状の柔弾性を有する滑り止め部をパレット本体の上面及び下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着して上方に突出して設けると共に、パレット同士を上下に重ねた状態で下段のパレットの上面に上方に突出して設けた帯状の滑り止め部と上段の下面に下方に突出して設けた帯状の滑り止め部とが隣合うように構成したものにおいて、下面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部を上面のフォーク抜き差し方向の両端辺付近に両端辺に沿って溶着又は接着した滑り止め部よりも外側にずらして成ることを特徴とするパレット。
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