JP3943362B2 - 取出機付成形機の制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形機本体に成形品を取出す取出機を付設した取出機付成形機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形された成形品を自動で取出すことができる取出機(取出ロボット)を備える射出成形機(取出機付成形機)は、例えば、特開平11−58466号公報等で知られている。
【0003】
ところで、この種の取出機は、通常、成形機本体のオプショナルユニットとして位置付けられるため、後付けされる場合も多いとともに、取出機のメーカと成形機本体のメーカが異なることも少なくない。したがって、取出機を成形機本体に取付けた際には、成形機本体の成形機コントローラと取出機の取出機コントローラを接続ケーブルにより接続し、両者をインターロックすることにより、成形機本体の動作と取出機の動作を連動させている。
【0004】
また、成形機本体には成形機コントローラを備えるとともに、取出機には取出機コントローラを備えるため、成形条件は、成形機コントローラに接続した操作部を用いて、さらに、取出条件は、取出機コントローラに接続した操作部(操作ペンダント等)を用いてそれぞれ設定し、この後、成形条件と取出条件間の整合調整等を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の取出機付成形機では、成形機コントローラと取出機コントローラの双方でそれぞれ個別に設定作業を行うため、密接な関係を有する成形条件と取出条件の整合調整等を容易かつ迅速に行えないとともに、設定ミスも生じやすい。一方、成形機コントローラ側に設定機能の全てを集約し、成形機本体の操作部により全ての設定作業を行うことができれば、このような問題は解消されるとともに、取付機コントローラの簡略化にも寄与できるが、反面、取出機の動作を適正な位置及び角度から確認(観察)しながら微調整を行う修正変更作業においては極めて不便となる。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、密接な関係を有する成形条件と取出条件の双方に対する設定作業の容易化及び迅速化を図れることに加え、特に、取出条件の設定(ティーチング内容)に対する修正変更(微調整)をより容易かつ高精度に行うことができる取出機付成形機の接続装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、成形機本体Moとこの成形機本体Moから成形品を取出す取出機Rを備え、成形機本体Moの成形機コントローラ3と取出機Rの取出機コントローラ4を主接続ラインLmにより接続してなる取出機付成形機Mの制御装置1を構成するに際して、成形機本体Moに備え、かつ当該成形機本体Moの操作部2及び成形機コントローラ3に接続したヒューマンマシンインタフェイス(HMI)5を、補助接続ラインLsにより取出機コントローラ4に接続するとともに、補助接続ラインLsに、取出機Rに備える操作ペンダント6を接続してなることを特徴とする。
【0008】
これにより、オペレータは、成形機本体Moの操作部2を用いて、密接な関係を有する成形条件と取出条件の双方の設定を行うことができるとともに、取出機Rの動作を適正な位置及び角度から確認(観察)しながら微調整を行う修正変更に対しては、操作ペンダント6を用いて行うことができる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
まず、本実施例に係る制御装置1を備える取出機付成形機Mの構成について、図1〜図4を参照して説明する。
【0011】
図2は、後付けした取出機Rを備える取出機付成形機(射出成形機)Mの外観構成を示す。Moは取出機Rを除く成形機本体である。成形機本体Moは、機台20を備え、この機台20の上面における一方側に、ホッパ21及び加熱筒22を有する射出装置Miを備えるとともに、他方側に、金型23を支持する型締装置Mcを備える。金型23の両側方には、開閉式の安全ドア24…を備えるとともに、金型23の固定型を支持する固定盤の近傍には、ハウジング25を設け、このハウジング25の正面パネル部25fに、操作部2を付設する。この場合、操作部2には、ディスプレイ及びキーボードが含まれる。
【0012】
一方、取出機Rは、取付基部30を備え、この取付基部30の上部にアーム機構部31の一端側を支持する。これにより、アーム機構部31は取付基部30を支点に旋回する。また、アーム機構部31は、成形品を把持又は把持解除するチャック部32を支持する。これにより、チャック部32は、アーム機構部31によりX方向,Y方向及びZ方向に移動する。そして、取付基部30は、ハウジング25の上面パネル部25uに取付固定する。さらに、取付基部30の上端には、取付機Rにおける取出機コントローラユニット33を配設する。この取出機コントローラユニット33からは、ペンダントケーブル34が導出し、このペンダントケーブル34の先端に取出機Rを手動で操作するための操作ペンダント6を接続する。操作ペンダント6には、図1に示すように、ディスプレイ6d及びキーボード6kを備えている。
【0013】
また、取出機コントローラユニット33からは、成形機本体Moに接続する接続ケーブルCが導出する。この場合、接続ケーブルCの先端にプラグ部は存在しない。したがって、メーカや機種によってプラグ部が接続されている場合には、切断するなどによりケーブルのみにすればよい。そして、接続ケーブルCの先端側は、例えば、上面パネル部25uに設けた孔部27を通して、機台20の内部へ導き、機台20の内部に配設した取出機接続装置Jを介して成形機コントローラユニット28に接続する(図1参照)。
【0014】
取出機接続装置Jの構成を図3に示す。取出機接続装置Jは、機台20の内部に配設した端子台13を備え、この端子台13には、複数の端子13p…,13a,13b,13c,13d…,13x…を有する。そして、接続ケーブルCの各線は、対応する端子13p…,13a,13b,13c,13d…,13x…に接続する。一方、15pは、成形機本体Moから取出機Rへ給電する給電ラインであり、成形機本体Moに内蔵する電源部16と端子13p…間を接続するとともに、給電ライン15pの中途には、この給電ライン15pを開閉する第一スイッチ部17を接続する。第一スイッチ部17は、開閉スイッチを使用し、例えば、図2に示すように、正面パネル部25fに配設することができる。これにより、オペレータは、マニュアル操作により第一スイッチ部17を開閉できる。なお、給電ライン15pは、図面上一本の線で示したが、通常、三本又は二本である。
【0015】
また、15a,15b,15c,15d…は、インタロック用信号ラインであり、成形機コントローラ本体3a及びHMI5の対応する入出力ポートと端子13a,13b,13c,13d…間を接続するとともに、インタロック用信号ライン15a,15c…の中途には、第一スイッチ部17を開側に切換えた際に、成形機本体Moと取出機R間のインタロックを解除するリレー12a,12c…を接続する。これらのリレー12a,12c…は第二スイッチ部18を構成する。インタロック用信号ライン15a(15b),15c(15d)…は、図面上二系統のみを示したが、通常、図4に示すように、「型締インタロック用ライン」,「型開インタロック用ライン」,「サイクルスタートライン」,「エジェクタ前進開始ライン」,「他のインタロックライン」等、四系統以上のインタロック用信号ライン15a…が存在する。なお、インタロックに係わらない非インタロック信号ライン15x…は、リレー(第二スイッチ部18)を介することなく、成形機コントローラ本体3a及びHMI5における対応する入出力ポートに直接接続する。
【0016】
この取出機接続装置Jは、次のように機能する。まず、第一スイッチ部17を閉(ON)側に切換えれば、給電ライン15pが接続状態になるため、成形機本体Moの電源部16から、給電ライン15p,端子13p,接続ケーブルCを介して取出機Rに給電される。また、この給電に基づいてリレー12a,12c…が励磁され、各リレー12a,12c…のスイッチ部は開、即ち、インタロック信号ライン15a,15c…が開となり、成形機本体Moと取出機Rはインタロック回路により接続される。
【0017】
他方、第一スイッチ部17を開(OFF)側に切換えれば、給電ライン15pが遮断状態になるため、取出機Rへの給電が停止するとともに、リレー12a,12c…に対する励磁が解除される。この結果、各リレー12a,12c…のスイッチ部は閉、即ち、インタロック信号ライン15a,15c…が閉となり、成形機本体Moと取出機Rのインタロックが解除される回路に切換えられる。第一スイッチ部17の開閉(ON−OFF)状態とインタロック信号ライン15a,15c…の開閉状態の関係は、図4に示すとおりである。
【0018】
よって、このような取出機接続装置Jを用いれば、取出機Rに対する給電又は給電解除を第一スイッチ部17の操作により切換えることができるとともに、これに連動して成形機本体Moと取出機Rのインタロック又はその解除を行うことができるため、無用な電力消費を排除できる。また、コネクタ部やプラグ部付の接続ケーブル、さらにはダミープラグ等が不要になるため、煩わしい着脱作業を排除できるとともに、部品点数の削減によりコストダウンを図ることができる。しかも、成形機本体Moの外面上には突出部が存在しなくなるため、外観性(商品性)の向上にも寄与できる。
【0019】
次に、本実施例に係る制御装置1の構成について、図1を参照して説明する。同図は、制御装置1のブロック系統図を示す。
【0020】
図1中、28は成形機本体Moの基台20内に備える成形機コントローラユニットである。この成形機コントローラユニット28は、成形機コントローラ本体3a,ヒューマンマシンインタフェイス(HMI)5,成形機メモリ3bを備え、これらはコンピュータ処理部として機能する。なお、成形機コントローラ本体3aと成形機メモリ3bは、成形機コントローラ3を構成する。また、HMI5には、正面パネル部25fに付設した操作部2を接続する。この場合、成形機コントローラ本体3aは、主にシーケンス制御を行うプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として機能するとともに、CPU,通信インタフェース,電源部16等を備えている。
【0021】
一方、取出機Rの取出機コントローラユニット33は、取出機コントローラ本体4a,取出機メモリ4bを備え、これらはコンピュータ処理部として機能する。なお、取出機コントローラ本体4aと取出機メモリ4bは、取出機コントローラ4を構成する。また、前述した操作ペンダント6のペンダントケーブル34は、コネクタ47を介して取出機コントローラ本体4aに接続する。そして、取出機コントローラユニット33から導出する接続ケーブルCは、成形機本体Moに備える取出機接続装置Jを介して成形機コントローラユニット28に接続する。この場合、接続ケーブルCは、取出機コントローラ本体4aと成形機コントローラ本体3aを接続する主接続ラインLmと、コネクタ47とHMI5を接続する補助ラインLsを備える。
【0022】
次に、このような本実施例に係る制御装置1を用いた設定処理方法について、各図を参照しつつ図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0023】
まず、成形機本体Moの操作部2を用いて、成形機本体Moの成形条件及び取出機Rの取出条件を設定する(ステップS1)。この場合、HMI5と取出機コントローラ本体4aは、補助ラインLsにより接続されるため、HMI5は成形機コントローラ本体3aにアクセスできるのみならず、取出機コントローラ本体4aに対してもアクセスが可能になる。したがって、成形機本体Moの操作部2を用いて、成形機本体Moの成形条件と取出機Rの取出条件の双方を設定(変更,追加,削除)処理することができる。成形機本体Moの成形条件と取出機Rの取出条件は、密接な関係を有するため、このような操作部2による双方の条件設定が実現されることにより、成形条件と取出条件の整合調整等を容易かつ迅速に行うことができるとともに、設定ミスも解消できる。
【0024】
操作部2による設定が終了したなら操作ペンダント6を用いて、取出機Rに対する補助設定を行う(ステップS2,S3)。この場合、補助設定は、主に、取出機Rに対するティーチング(教示)内容の修正変更(微調整)となる。上述のように、操作部2による成形条件及び取出条件の双方の設定処理が実現されることにより、設定作業の容易化及び迅速化を図れるが、反面、設定に係る処理を取出機R側(操作ペンダント6)で全くできないとすれば、取出機Rの動作を適正な位置及び角度から確認(観察)しながら微調整を行う修正変更作業においては極めて不便となる。そこで、図5に示すティーチング内容の修正変更については、操作ペンダント6により行えるようにした。これにより、オペレータは、操作部2により成形条件及び取出条件(ティーチング内容)の各設定を行った後、操作ペンダント6を手で持ち、適正な位置及び角度から取出機Rの動作を確認(観察)しながら、図5に示す位置,速度及びタイマに係わる修正変更(微調整)をより容易かつ高精度に行うことができる。
【0025】
そして、修正変更(補助設定)処理が終了したなら、取出機コントローラユニット33における本来の制御に基づき、設定及び修正変更された取出条件データを取出機メモリ4bに登録する(ステップS4,S5)。これにより、成形時には、この取出条件データに基づいて取出機Rが駆動制御される。また、成形機コントローラユニット28からはデータ転送指令が出力し、この転送指令に基づいて、取出条件データが取出機Rから成形機コントローラ本体3aに転送される(ステップS6)。これにより、成形機コントローラ本体3aでは、既設定の成形条件データと対応する取出条件データを関連付けることにより成形機メモリ4bに登録する。即ち、成形条件データと取出条件データをセットにして登録を行う。このような登録方法により、成形条件データを成形機メモリ3bに、また、取出条件データを取出機メモリ4bにそれぞれ登録することに伴う不具合、例えば、データ再使用時に、その都度対応するデータを検索したり、別々に変更処理等の処理を行う煩わしさ、さらには、これらに伴う作業能率の低下や処理上のミスが解消される(ステップS7)。
【0026】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,回路構成,例示項目,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、成形機本体Mo及び取出機Rは例示に限定されるものではなく、同様の効果が得られる任意タイプの成形機本体及び取出機に適用できる。
【0027】
【発明の効果】
このように、本発明に係る取出機付成形機の制御装置は、成形機本体に備え、かつ当該成形機本体の操作部及び成形機コントローラに接続したHMIを、補助接続ラインにより取出機コントローラに接続するとともに、補助接続ラインに、取出機に備える操作ペンダントを接続してなるため、密接な関係を有する成形条件と取出条件の双方に対する設定作業の容易化及び迅速化を図れることに加え、特に、取出条件の設定(ティーチング内容)に対する修正変更(微調整)をより容易かつ高精度に行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施例に係る取出機付成形機の制御装置のブロック系統図、
【図2】 同取出機付成形機の外観斜視図、
【図3】 同取出機付成形機に備える取出機接続装置の電気回路図、
【図4】 同取出機接続装置における第一スイッチ部の開閉状態とインタロック用信号ラインの開閉状態の関係を示す表、
【図5】 同取出機付成形機に備える取出機のティーチング内容の修正変更の項目を示す表、
【図6】 同取出機付成形機により実施する設定処理方法を説明するためのフローチャート、
【符号の説明】
1 制御装置
2 操作部
3 成形機コントローラ
4 取出機コントローラ
5 ヒューマンマシンインタフェイス(HMI)
6 操作ペンダント
M 取出機付成形機
Mo 成形機本体
R 取出機
Lm 主接続ライン
Ls 補助接続ライン

Claims (1)

  1. 成形機本体とこの成形機本体から成形品を取出す取出機を備え、前記成形機本体の成形機コントローラと前記取出機の取出機コントローラを主接続ラインにより接続してなる取出機付成形機の制御装置において、前記成形機本体に備え、かつ当該成形機本体の操作部及び前記成形機コントローラに接続したヒューマンマシンインタフェイス(HMI)を、補助接続ラインにより前記取出機コントローラに接続するとともに、前記補助接続ラインに、前記取出機に備える操作ペンダントを接続してなることを特徴とする取出機付成形機の制御装置。
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