JP3942570B2 - 長期間滞空機とその飛行制御システムならびにその通信および観測システム - Google Patents
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三浦 龍、鈴木 幹雄、西 祐一郎;「成層圏滞空無人ソーラプレーンを使った通信・放送実験」、独立行政法人通信総合研究所第103回研究発表会講演予稿集、2002年12月 江口 邦久、横幕 良生、森 幹彦;" Overview of Stratospheric Platform Airship R&D Program of Japan", 14th AIAA Lighter-than-Air Technical Committee Convention & Exhibition, 2002年7月
また、本発明の異なる長期間滞空機は、上記構成に加え、風力発電手段の回転翼は推力用のプロペラを使用するものであって、余裕を持って滞空状態を維持できる条件であると判断したときに前記推力用のプロペラを前記風力発電手段の回転翼に切り換えて風力発電手段を稼働させるようにした。
また、本発明の他の飛行制御システムは、上記構成に加え、気流あるいは風速分布を遠隔計測する計測手段が光波、電波あるいは音波のいずれか1つ以上を大気中に放射し、大気中からのその散乱成分を受信することにより気流あるいは風速分布を遠隔計測する方式のものとした。
本発明の異なる長期間滞空機編隊飛行システムは、複数の航空機の内少なくとも1機は請求項1乃至5のいずれかに記載の飛行システムを搭載したものである。
また、本発明の長期間滞空機における飛行制御システムは、気流あるいは風速分布を遠隔計測する計測手段として光波、電波あるいは音波のいずれか1つ以上を大気中に放射し、大気中からのその散乱成分を受信することにより気流あるいは風速分布を遠隔計測する方式を採用することにより、正確に手軽に気流あるいは風速分布を遠隔計測することができる。
また、本発明の長期間滞空機は、風力発電手段の回転翼は推力用のプロペラを使用するものであって、余裕を持って滞空状態を維持できる条件であると判断したときに前記推力用のプロペラを前記風力発電手段の回転翼に切り換えて風力発電手段を稼働させるものであるから、風力発電手段の回転翼として特別のものを搭載する必要が無く、休止状態の推力用のプロペラを利用することによって風力発電を稼働させることができる。
また、本発明の長期間滞空機編隊飛行システムは、複数の航空機の内少なくとも1機は請求項1乃至5のいずれかに記載の飛行システムを搭載したものとすることにより、個々の航空機だけでなく編隊全体としてエネルギーをより多く消費する下降気流や乱気流領域中を避けることができると共に、浮遊力を得ることができる上昇気流を効果的に利用して、滞空するために費やすエネルギー量を総合的に小さくして長期間上空に滞空させることができる。
上昇気流がない場合、水平定常飛行に必要な推力(T)は、
T= (1/2)ρV2・CD・S ‥‥‥‥‥‥ (1)
上昇気流(W)がある場合、重力の進行方向成分(G・W/V')が生ずるため、
T'+G・W/V' = (1/2)ρV'2・CD・S ‥‥‥‥‥‥ (2)
水平定常飛行に必要な揚力(L')得るための対気速度(V')は、
V' = (2L'cosγ/ρCLS)1/2 ‥‥‥‥‥‥ (3)
であるから、水平定常飛行に必要な推力(T')は、
T' = (CD /CL)・Lcosγ−G・W/V' ‥‥‥‥‥‥ (4)
となり、常に一定の揚抗比で飛行すると考えると、
T' = T・cosγ−G・W/V' ‥‥‥‥‥‥ (5)
である。ただし、
G:機体重量, ρ:空気密度, CD:抗力係数, CL:揚力係数, S:代表面積
V:上昇気流がない場合の対気速度, T:上昇気流がない場合の推力, W:上昇気流
γ:気流角, V':上昇気流がある場合の対気速度, T':上昇気流がある場合の推力
したがって、上昇気流(W)がある場合には推力(T)からcosγ分およびG・W/V'を差し引くことができ、その推力に応じたエネルギーの消費量を節約することができる。また、下降気流中を飛行する場合はWの値が負になることから、必要な推力が大きくなり、エネルギーの消費量が増大することは明白である。
なお、本実施例においては、推力発生用の電動モータとプロペラを風力発電時の発電機と風を受けて回転するプロペラとして使用した例を示しているが、発電機と風を受けて回転するプロペラは各々別個に独立して持つことも可能であり、効果も同等に得ることができる。本実施例で示した例においては推力発生用の電動モータとプロペラと共用することにより、小型化と軽量化が図れるという更なる効果が得られている。
気流計測リモートセンサや通信、観測機器を単独の機体に全て搭載した場合、重量が大きくなるために機体自体を非常に大きくしなければならない。しかし機体を大型にすると地上での取り回しが困難になり、離着陸時の条件も制限される。各機器を分散させて複数の機体に搭載すると、1機当たりの重量を小さくできるため、機体の大型化を防止することができる。これにより、地上での取り回し、離着陸時の条件を緩和することができる。複数の機体は編隊飛行することにより、一つのシステムとして機能する。また、編隊飛行することにより誘導抵抗を低減させることができるため、飛行に必要なエネルギー消費量はそれぞれが単独で飛行する時に比べて少なくて済む。
なお、図7及び図9に示した編隊数は3機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、システムの規模により適宜の数の編隊で構成することができる。
2 気流あるいは風速分布を遠隔計測する気流計測手段
3 飛行空域の気流状態を推定する気流推定手段
4 航空機の飛行を制御する制御手段
5 光アンテナ
6 レーザ送受信機
7 信号処理装置
8 気流推定装置
9 最適航路算出装置
10 飛行制御装置
11 推力を発生させるための電動モータ
12 電動モータ11の動作を制御する電力制御部
13 蓄電池
14a、14b プロペラのピッチ角度調整機構
15 編隊を形成する第1の無人無尾翼機
16 第2の無人無尾翼機
17 第3の無神武尾翼機
18 編隊飛行制御装置
19 編隊の僚機間で情報のやり取りを行う僚機間通信装置
G 機体重量
ρ 空気密度
CD 抗力係数
CL 揚力係数
S 代表面積
V 上昇気流がない場合の対気速度
T 上昇気流がない場合の推力
W 上昇気流
γ 気流角
V' 上昇気流がある場合の対気速度
T' 上昇気流がある場合の推力
Claims (7)
- 推力用のプロペラの駆動源である電気モータと、電源充電用の風力発電手段と、滞空状態を維持できる条件を判断する手段を備えると共に、前記推力用のプロペラにはピッチ角調整機能を有したものであって、余裕を持って滞空状態を維持できる条件であると判断したときに前記風力発電手段を稼働させることを特徴とする長期間滞空機。
- 風力発電手段の回転翼は推力用のプロペラを使用するものであって、余裕を持って滞空状態を維持できる条件であると判断したときに前記推力用のプロペラを前記風力発電手段の回転翼に切り換えて風力発電手段を稼働させることを特徴とする請求項1に記載の長期間滞空機。
- 気流あるいは風速分布を遠隔計測する計測手段と、当該遠隔計測手段の計測結果から上昇気流や下降気流や乱気流の位置を推定する気流推定手段と、当該気流推定手段によって検出した上昇気流や下降気流や乱気流情報を総合し、下降気流や乱気流領域中を避けると共に上昇気流領域中を飛行するように航空機を運行制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の長期間滞空機に搭載した飛行制御システム。
- 気流あるいは風速分布を遠隔計測する計測手段が光波、電波あるいは音波のいずれか1つ以上を大気中に放射し、大気中からのその散乱成分を受信することにより気流あるいは風速分布を遠隔計測する方式のものであることを特徴とする請求項3に記載の飛行制御システム。
- 請求項1又は2に記載の航空機と、当該複数の航空機の全てが統制された編隊飛行を行うように各航空機の飛行状態を総合して制御する編隊飛行制御手段と、編隊中の各航空機間で情報を共有する通信手段と、当該通信手段からの各航空機間の残存エネルギー量の情報をもとに各航空機の編隊における位置を入れ替えるように制御する位置制御手段とを備えたことを特徴とする長期間滞空機編隊飛行システム。
- 複数の航空機の内少なくとも1機は請求項3又は4に記載の飛行システムを搭載したものである請求項5に記載の長期間滞空機編隊飛行システム。
- 長期間滞空機編隊を構成する請求項1又は2に記載された複数の航空機に、通信中継機能あるいは観測機能を分散して搭載し、長期間滞空機編隊が上空に滞在するときに前記通信中継機能あるいは観測機能を備えた各航空機が通信中継局や観測局として使用されるものである通信あるいは観測システム。
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