JP3941986B2 - 冷却床 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延後の条鋼を冷却するのに用いる冷却床に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に模式的に示すように、熱間圧延された条鋼Wを常温近くまで冷却する場合に用いられるレイク式冷却床80は、複数の溝81が並ぶストレートニングポケット82(側面視すると連続した山歯状になっている)に対して、その溝底レベルを中心として下位側と上位側との間で縦方向の円運動(矢符X参照)をする移動レイク83(連続した山歯状のもの)が設けられた構成となっている。
【0003】
従って、ストレートニングポケット82の第1溝81Aへ条鋼Wが送り込まれたときに、この条鋼Wを、移動レイク83が持ち上げ、1ピッチ前進させた後、第2溝81Bへ下降させるという動きを繰り返し、これにより条鋼Wを、各溝81に対してその配置順にしたがって順送りさせつつ、冷却するというものである。
【0004】
この冷却床80に対し、条鋼Wは、回転軸心Pを傾斜させたローラコンベヤ等より成るランイン部84によって溝81の長手方向に平行する方向で、圧延ラインから供給されるようになっているが、このランイン部84から冷却床80へは、ランイン部84上の条鋼Wを所定レベルへ持ち上げるリフタ85と、このリフタ85による持ち上げ位置から条鋼Wをストレートニングポケット82の第1溝81Aへ向けて滑落させるスベリ傾斜部86とを有した材料取込部87が設けられている。
【0005】
ところで、この種、冷却床80には、条鋼Wが山形鋼Wmであるときも平鋼Wfであるときも、兼用できるものがある。そして、このように平鋼Wfの冷却を可能にする場合には、スベリ傾斜部86とストレートニングポケット82の第1溝81Aとの間に、段落ち空間89を形成させることが好適とされている。
これは、平鋼Wfがバネ鋼等である場合に、肉厚が薄いと急冷を原因として金属組織に悪影響を受けることになるために、これを防ぐために複数の平鋼Wfを積み重ねて冷却速度を遅らせる対処法が必要となり、この積み重ね作用を、上記段落ち空間89で生じさせるためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
条鋼Wにおいて、山形鋼Wmの場合は、両フランジの突端を下に向ける姿勢(山状となる姿勢)で載置されているために、リフタ85の上面85aやスベリ傾斜部86の上面86aを滑りやすいが、平鋼Wfは、いわゆるベタ置き状態であるため、リフタ85の上面85aやスベリ傾斜部86の上面86aを滑りにくいという事情がある。
【0007】
そこで、平鋼Wfにおいて滑り易さを得るために、リフタ85の上面85aやスベリ傾斜部86の上面86aに設ける傾斜角度を急にする必要が生じる。
しかし、このようにすると、条鋼Wが山形鋼Wmであるときに、転回(載置姿勢のズレ)を誘発することになる。山形鋼Wmの転回は、冷却中の載置姿勢として、フランジの一方を起立させ他方をベタ置きさせることになるため、断面形状内での不均一冷却になり、結果として山形鋼Wmには、長手方向に曲がるという不具合が生じることがあった。
【0008】
また、この他、山形鋼Wmがストレートニングポケット82の第1溝81Aへ強く衝突して、つんのめり状等となり、その結果、表面傷や変形等が生じるといった不具合もあった。
一方、スベリ傾斜部86とストレートニングポケット82の第1溝81Aとの間に段落ち空間89を設けた場合、条鋼Wが山形鋼Wmであると、この段落ち空間89を原因として転回が生じることがある。
【0009】
そのため、リフタ85の上面85aやスベリ傾斜部86の上面86aに設ける傾斜角度を急にしたときと同じように、山形鋼Wmに曲がりや表面傷、変形等が生じるおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、条鋼として山形鋼や平鋼等に兼用できるものとしつつ、いずれを対象とする場合にも不具合が生じずに良好な冷却が行えるようにした冷却床を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明に係る冷却床では、圧延後の条鋼を、材料取込部から複数の溝が並ぶストレートニングポケットへ移送して各溝間にわたり移動レイクによって順送りさせつつ冷却するものにあって、上記材料取込部は、ランイン部上の条鋼を所定レベルへ持ち上げるリフタと、このリフタに隣接するとともに該リフタによる持ち上げ位置から条鋼をストレートニングポケットの第1溝へ向けて滑落させるスベリ傾斜部とを有したものとする。前記スベリ傾斜部は前記ランイン部に隣接している。
【0011】
そして、条鋼をストレートニングポケットへ供給する際に、リフタ及びスベリ傾斜部は、条鋼がストレートニングポケットの第1溝へ向けて滑り出すように、条鋼を持ち上げたときのリフタ及びスベリ傾斜部の各々の上面傾斜角度を、条鋼の鋼種に応じて可変となるように構成されている。
すなわち、条鋼が山形鋼等である場合には、リフタ及びスベリ傾斜部の上面傾斜角度を緩くし、また条鋼が平鋼等である場合には、リフタ及びスベリ傾斜部の上面傾斜角度を急にすればよい。このようにして、最良の傾斜角度を使い分けるものである。
【0012】
リフタにおいて、その上面傾斜角度を変更するには、予め、ストレートニングポケット寄りに支点を有する上下揺動アームによってリフタを昇降させる機構にしておき、この上下揺動アームの上側への揺動角度を異ならせることで行うようにするのが、構造的に簡潔であり、また動作の迅速性及び確実性等を得るうえで有利である。
【0013】
スベリ傾斜部についてもその上面傾斜角度を変更可能にしておくのが好適である。このようにすることで、リフタの上面傾斜角度を変更するのに合わせて、スベリ傾斜部を、常に、リフタ上面に対して面一にできることは言うまでもない。なお、この場合、リフタの上面傾斜角度が急角度とされたとき(即ち、リフタは高レベルへ上昇されている)には、スベリ傾斜部とストレートニングポケットの第1溝との間に、ある程度の高低差を生じさせることになる。従って、この高低差により段落ち空間を形成させることになり、その結果、条鋼が平鋼であり、且つばね鋼等であって薄いものであるときにおいて、その積み重ね作用を得ることができる。
【0014】
スベリ傾斜部を昇降可能にする場合、これをリフタの上面傾斜角度の変更(昇降)とは別個独立して行えるものとしておくと、上記のような段落ち空間の高低差として、平鋼の肉厚に応じて好適な寸法へと対応調節できるものとなる。
即ち、条鋼をストレートニングポケットへ供給する際に、スベリ傾斜部は、リフタとは独立に昇降してスベリ傾斜部とこれに隣接するストレートニングポケットの第1溝との間に、条鋼の肉厚を超える段差を生じさせることで、条鋼を積み重ねるための段落ち空間を形成可能になっている。
ところで、このように段落ち空間を必要に応じて形成できるようにする構成は、リフタの上面傾斜角度の調節をするか否かといった事情には関係なく、単独で行えるようにしてもよい。この場合、段落ち空間は、スベリ傾斜部とストレートニングポケットの第1溝との間に設けるだけでなく、ストレートニングポケットにおける第1溝と第2溝との間に設けることも可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図5は、本発明に係る冷却床1の第1実施形態を示している。
図1及び図2に示すように、この冷却床1は、複数の溝2が並ぶストレートニングポケット5に対して、その溝底レベルを中心として下位側と上位側との間で縦方向の円運動(図1中の矢符X参照)をする移動レイク6が設けられた構成となっている。
【0016】
また、ストレートニングポケット5に対しては、回転軸心Pを傾斜させたローラコンベヤ等より成るランイン部8により、圧延後の条鋼Wが搬入されるようになっており、そのためストレートニングポケット5には、このランイン部8から条鋼Wを受け取るための材料取込部10が設けられている。
この第1実施形態の冷却床1は、条鋼Wとして、山形鋼(図4のWm)や平鋼(図5のWf)等の複数種のものに兼用できるようになっている。
【0017】
上記ストレートニングポケット5は、一次冷却部12と二次冷却部13とを有したものとなっており、一次冷却部12に溝2が設けられ、二次冷却部13に溝3が設けられているものである。
従って、一次冷却部12において最も材料取込部10に近い溝2を第1溝2Aとして、以下、順に、第2溝2B、…と続くことになる。
【0018】
これら溝2,3は、いずれも、側面視形状が連続した山歯状になる歯間で設けられたもので、条鋼Wを受載する下り傾斜面2a,3aと、条鋼Wを突き当て状に係止する立上げ傾斜面2b,3bとを有している。
一次冷却部12は、主として高温で軟化状態にある条鋼Wから曲がりを除去しつつ冷却するための領域とされており、従ってこの一次冷却部12に設けられた溝2は、条鋼Wを面で支持できるように、条鋼Wの長手方向に幅広なブロック片12aの集まりとして形成されている。
【0019】
これに対して二次冷却部13は、一次冷却部12によって形状的に安定化された条鋼Wを、更に所定温度(300℃程度)以下まで冷却するための領域とされており、従ってこの二次冷却部13に設けられた溝3は、条鋼Wを可及的に広い表面積で空気中へ曝すことができるように、条鋼Wの長手方向を横切る板状材13aの集まりとして形成されている。
【0020】
上記した移動レイク6は、一次冷却部12及び二次冷却部13の双方に跨がって設けられている。
この移動レイク6は、条鋼Wの長手方向を横切る板状材6aの集まりとして形成されたものであって、各板状材6aには、ストレートニングポケット5の各溝2,3と略同形で、同ピッチ配列となる複数の溝16が設けられている。
【0021】
そして、この移動レイク6の縦方向の円運動は、モータ等の駆動部17によって偏心回転可能とされる偏心ロータ18から、摺動子19及び支持フレーム20を介して取り出されるものとされている。
従って、移動レイク6では、初めのサイクル動作により、ストレートニングポケット5の第1溝2Aへ送り込まれた条鋼Wを持ち上げ、1ピッチ前進させて第2溝2Bへ下降させ、また次サイクル動作で第2溝2Bの条鋼Wを次溝(第3溝)へ、且つ新たに第1溝2Aへ送り込まれた条鋼Wを第2溝2Bへ、という動きを繰り返し、これにより条鋼Wを、各溝2,3に対してその配置順にしたがって順送りさせるものである。
【0022】
一方、材料取込部10は、リフタ23とスベリ傾斜部24とを有している。
リフタ23は、図3に示すように、ランイン部8の上面より低いレベルと、図4に示すように、ランイン部8の上面を越えた所定レベルと、更に図5等に示すような高レベルとの間を、適宜昇降可能になっている。
従って、ランイン部8によって搬入された条鋼Wを、すくい上げ状にして上記各レベルへ持ち上げ可能になっている。
【0023】
また、このリフタ23の上面23aは、持ち上げた条鋼Wをストレートニングポケット5へ向けて滑落させることができるように傾斜面となっている。
これに対し、スベリ傾斜部24は、図4及び図5に示すように、リフタ23によって持ち上げられた条鋼Wがストレートニングポケット5へ向けて滑落するときに、このスベリ傾斜部24の上面24aをリフタ23の上面23aと面一状にさせて、条鋼Wをストレートニングポケット5の第1溝2Aへ到達し易く支持するようにしたものである。
【0024】
従って、このスベリ傾斜部24についても昇降可能になっており、またその上面24aも、リフタ23と同様に傾斜面となっている。
リフタ23は、ストレートニングポケット5の下部側に設けられた支点25を中心に、その上下方向へ揺動自在となる上下揺動アーム26により保持されており、この上下揺動アーム26の先端側下部に、流体圧シリンダ等の昇降駆動部27(図1参照)が接続された機構になっている。すなわち、昇降駆動部27の伸出動作で上昇し、縮退動作で下降する。
【0025】
なお、この昇降駆動部27には、流体圧シリンダの他、送りネジ機構、リンク機構、カム押上げ機構等の適宜機構を採用可能であるが、本第1実施形態の場合、いずれの機構を採用する場合にも、上下揺動アーム26に対する上側への揺動角度(リフタ23の昇降ストローク)を複数段階に変更できるものを用いることが要求されている。
【0026】
一方、スベリ傾斜部24は、リフタ23の上下揺動アーム26と共通の支点25を中心に、その上下方向へ独自に揺動自在となる上下揺動アーム29により保持されており、この上下揺動アーム29の先端側下部に、流体圧シリンダ等の昇降駆動部30(図1参照)が接続された機構になっている。すなわち、昇降駆動部30の伸出動作で上昇し、縮退動作で下降する。
【0027】
なお、この昇降駆動部30についても、流体圧シリンダの他、送りネジ機構、リンク機構、カム押上げ機構等の適宜機構を採用可能である。また、いずれの機構を採用する場合にも、上下揺動アーム29に対する上側への揺動角度(スベリ傾斜部24の昇降ストローク)を複数段階に変更できるものを用いることが要求されている。
【0028】
このように、リフタ23に設けられた昇降駆動部27及びスベリ傾斜部24に設けられた昇降駆動部30が、それぞれ、上下揺動アーム26,29に対する上側への揺動角度を変更可能になっていることから、リフタ23及びスベリ傾斜部24によって条鋼Wを持ち上げ状態にしたときの上面傾斜角度の変更に対応できるものである。
【0029】
すなわち、昇降駆動部27,30の動作を組み合わせれば、リフタ23の上面23a及びスベリ傾斜部24の上面24aと、ストレートニングポケット5の第1溝2Aとを面一な状態にしたり(図4)、リフタ23とスベリ傾斜部24の各上面23a,24aは面一にするがこれらとストレートニングポケット5の第1溝2Aとの間には高低差を生じさせる状態にしたり(図5)、更にはこの高低差を可変調節したりできるものである。
【0030】
次に、このような構成の冷却床1について、その動作状況を説明する。
まず、条鋼Wが山形鋼Wmであるとする。
図3に示すように、当初、リフタ23は、その上面23aがランイン部8の上面より低レベルとされ、スベリ傾斜部24は、その上面24aがストレートニングポケット5の第1溝2Aと面一とされている状態で待機している。
【0031】
山形鋼Wmがランイン部8によって材料取込部10の所定位置へ搬入されると、リフタ23が昇降駆動部27の動作に伴って上昇し、山形鋼Wmをすくい上げる。そして、図4に示すように、リフタ23の上面23aがスベリ傾斜部24の上面24aと面一になったときに、リフタ23の上昇は停止される。
従って、リフタ23によって持ち上げられた山形鋼Wmは、滑落を開始し、スベリ傾斜部24の上面24aを介してストレートニングポケット5の第1溝2Aへと送り込まれる。
【0032】
このときの滑落時のスピードは、山形鋼Wmにとって転回の原因になるような過剰振動を伴わず、またストレートニングポケット5の第1溝2Aとの係止による停止時に、山形鋼Wmに対して曲がり、表面傷、変形等の原因となる過剰衝突が生じない程度に抑えられたものとされる。
具体例を挙げると、山形鋼Wmの静摩擦計数μが0.3〜0.4相当であるとき、リフタ23の上面傾斜角(摩擦角)αは16.7°〜21.8°とするのが好適であった。
【0033】
そして、その後、山形鋼Wmは、移動レイク6の作動により、ストレートニングポケット5の各溝2,3に対して、その配置順にしたがって1ピッチずつ順送りされる。
条鋼Wが平鋼Wfであって、且つ肉厚的に十分な厚さを有したものであるときには、次のようになる。
【0034】
すなわち、図3に示した待機状態から、平鋼Wfがランイン部8によって材料取込部10の所定位置へ搬入されると、リフタ23が昇降駆動部27の動作に伴って上昇する。また、予め、又はリフタ23の上昇と同調して、スベリ傾斜部24が昇降駆動部30の動作に伴って上昇し、このうちリフタ23によって平鋼Wfをすくい上げる。
【0035】
そして、図5に示すように、リフタ23の上面23aとスベリ傾斜部24の上面24aとが面一に保たれたまま、スベリ傾斜部24の上面24aが、ストレートニングポケット5の第1溝2Aよりも高くなる所定レベルとなったときに、リフタ23及びスベリ傾斜部24の上昇は停止される。
すなわち、リフタ23の上面23aは、山形鋼Wmを対象としたときよりも、その上面傾斜角度が急になっているので、リフタ23によって持ち上げられた平鋼Wfは、確実に滑落を開始し、スベリ傾斜部24の上面24aを介してストレートニングポケット5の第1溝2Aへと送り込まれる。
【0036】
このときのリフタ23及びスベリ傾斜部24の上昇度合は、平鋼Wfの滑落を確実化できる程度とすることは勿論であるが、この滑落時のスピードをある程度、抑えられること(平鋼Wfがストレートニングポケット5の第1溝2Aと係止して停止するときに、曲がりや表面傷、変形等を招来させるほどの過剰な衝突を伴わないこと)を上限として決定される。
【0037】
具体例を挙げると、平鋼Wfの静摩擦計数μが0.4〜0.5相当であるとき、リフタ23の上面傾斜角(摩擦角)βは21.8°〜26.6°とするのが好適であった。
そして、その後、平鋼Wfは、移動レイク6の作動により、ストレートニングポケット5の各溝2,3に対して、その配置順にしたがって1ピッチずつ順送りされる。
【0038】
条鋼Wがばね鋼より成る平鋼Wfであって、且つ肉厚的に薄いものであるとき(以下、説明の便宜上、この平鋼Wfを「薄い平鋼Wf」と言い、上記した十分厚さの平鋼Wfを「厚い平鋼Wf」と言う)にも、図5に示した状態にリフタ23及びスベリ傾斜部24が上昇するようになされる。
しかし、この場合には、特に、スベリ傾斜部24の上面24aとストレートニングポケット5の第1溝2Aとの間に生じる高低差として、少なくとも薄い平鋼Wfの肉厚を越える寸法(必要に応じて、肉厚の数倍以上)が得られるように設定されている。すなわち、この高低差を生じさせることで、スベリ傾斜部24とストレートニングポケット5の第1溝2Aとの間に、段落ち空間35を形成させることになる。
【0039】
このように段落ち空間35を形成させておけば、リフタ23によって持ち上げられた薄い平鋼Wfが滑落を開始して、スベリ傾斜部24の上面24aからストレートニングポケット5の第1溝2Aへ送り込まれる状態として、結果的に、この段落ち空間35へと薄い平鋼Wfが供給されることを意味する。
このとき、厚い平鋼Wfの場合なら、上記のように直ちに移動レイク6が作動を開始するが、この薄い平鋼Wfの場合、移動レイク6は作動せず、リフタ23の次サイクル動作によってランイン部8から次の薄い平鋼Wfが、再び段落ち空間35へ供給されるのを待つ。
【0040】
すなわち、このようにすることで、段落ち空間35内では薄い平鋼Wfが積み重ねられることになる。
薄い平鋼Wfの厚さによっては、これを何度か繰り返して、積み重ねられる薄い平鋼Wfの枚数を3枚以上とすることも可能である。この場合には、リフタ23及びスベリ傾斜部24が上昇度合を異ならせて、スベリ傾斜部24の上面24aとストレートニングポケット5の第1溝2Aとの間に生じる高低差を調節すればよい。
【0041】
そして、この後、積み重ね状態とされた薄い平鋼Wfが、移動レイク6の作動により、ストレートニングポケット5の各溝2,3に対して、その配置順にしたがって1ピッチずつ順送りされるものである。
これにより、薄い平鋼Wfであっても、急冷されることがなくなるため、金属組織に悪影響が出るということも防止される。
【0042】
図6は、本発明に係る冷却床1の第2実施形態を示している。
この第2実施形態では、リフタ23及びスベリ傾斜部24が、それぞれ、上下方向に直線的に昇降するものとされている(その具体的構造については図示を省略したが、例えば流体圧シリンダや送りネジ機構を垂直に設ける等の機構で、十分に実現できる)。
【0043】
このような構成であるため、リフタ23及びスベリ傾斜部24の上昇度合を変化させることが当然に可能となっており、第1実施形態の場合と同様に、スベリ傾斜部24とストレートニングポケット5の第1溝2Aとの間に段落ち空間35を形成させたり、この段落ち空間35の高低差を調節したり、又は段落ち空間35を形成させなくしたり、できるものである。
【0044】
ただ、第1実施形態とは異なり、リフタ23及びスベリ傾斜部24の上昇度合を変化させても、それらの傾斜角度を変更させることはできない。
また図7は、本発明に係る冷却床1の第3実施形態を示している。
この第3実施形態では、スベリ傾斜部24は昇降せず、固定されたものとなっている。そして、その代わりに、ストレートニングポケット5の第1溝2Aを形成する溝形成ブロック37が独立形成されており、この溝形成ブロック37が、必要に応じて昇降可能なものとされている。
【0045】
また、この溝形成ブロック37の昇降は、リフタ23と同様に、上下方向に直線的に行われるものとされている。
このような構成であっても、溝形成ブロック37を下降させることにより、その上面部(ストレートニングポケット5の第1溝2A)と、その下流方向隣側の第2溝2Bとの間に段落ち空間35を形成させることができるために、上記した第2実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、細部にわたる構成、適用機構、部材形状、部材数等は、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
また、本発明に係る冷却床1では、条鋼として、山形鋼や平鋼を対象とすることが限定されるものではなく、その他の断面形状を有する条鋼をも対象とし得るものである。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明に係る冷却床では、ストレートニングポケットに対して圧延後の条鋼を送り込むためのリフタは、条鋼を持ち上げたときの上面傾斜角度を変更できるようにしてある。
そのため、条鋼が山形鋼等である場合にはリフタの上面傾斜角度を緩くして、条鋼に転回や衝突による不均一冷却、曲がり、表面傷、変形等の不具合が生じないようにし、また条鋼が平鋼等である場合にはリフタの上面傾斜角度を急にして、条鋼の確実な滑落を実現できるようにするものである。すなわち、条鋼の形状に拘わらず、良好な冷却が行えるものである。
【0048】
リフタの上面傾斜角度変更は、上下揺動アームを利用した機構とすることで、構造的な簡潔化、動作の迅速性及び確実性等を得ることができる。
スベリ傾斜部についてもその上面傾斜角度を変更可能にしておくのが好適である。この場合、スベリ傾斜部とストレートニングポケットの第1溝との間に段落ち空間とさせるための高低差を生じさせて、条鋼が平鋼であるときの積み重ね作用を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷却床の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に対応する平面図である。
【図3】図1中の主要部を拡大し且つ一部破砕して示す側面図である。
【図4】条鋼が山形鋼である場合における図3からの動作状況を示す側面図である。
【図5】条鋼が平鋼である場合における図3からの動作状況を示す側面図である。
【図6】本発明に係る冷却床の第2実施形態における主要部を拡大して示す側面図である。
【図7】本発明に係る冷却床の第3実施形態における主要部を拡大して示す側面図である。
【図8】従来の冷却床を模式的に示した側面図である。
【符号の説明】
1 冷却床
2 溝
5 ストレートニングポケット
6 移動レイク
8 ランイン部
10 材料取込部
23 リフタ
24 スベリ傾斜部
25 支点
26 上下揺動アーム
35 段落ち空間
W 条鋼

Claims (3)

  1. 圧延後の条鋼(W)を、材料取込部(10)から複数の溝(2)が並ぶストレートニングポケット(5)へ移送して各溝(2)間にわたり移動レイク(6)によって順送りさせつつ冷却する冷却床において、
    上記材料取込部(10)は、ランイン部(8)上の条鋼(W)を所定レベルへ持ち上げるリフタ(23)と、このリフタ(23)に隣接するとともに該リフタ(23)による持ち上げ位置から条鋼(W)をストレートニングポケット(5)の第1溝(2A)へ向けて滑落させるスベリ傾斜部(24)とを有し、さらに、前記スベリ傾斜部(24)は前記ランイン部(8)に隣接されており、
    前記条鋼(W)をストレートニングポケット(5)へ供給する際に、前記リフタ(23)及びスベリ傾斜部(24)は、条鋼(W)がストレートニングポケット(5)の第1溝(2A)へ向けて滑り出すように、条鋼(W)を持ち上げたときの前記リフタ(23)及びスベリ傾斜部(24)の各々の上面傾斜角度を、条鋼(W)の鋼種に応じて可変となるように構成されていることを特徴とする冷却床。
  2. 前記スベリ傾斜部(24)は、リフタ(23)の昇降に応じて該リフタ(23)とは別個独立して昇降可能とされ、該スベリ傾斜部(24)とストレートニングポケット(5)の第1溝(2A)との高低差を任意に調節可能になっていることを特徴とする請求項1記載の冷却床。
  3. 圧延後の条鋼(W)を、材料取込部(10)から複数の溝(2)が並ぶストレートニングポケット(5)へ移送して各溝(2)間にわたり移動レイク(6)によって順送りさせつつ冷却する冷却床において、
    上記材料取込部(10)は、ランイン部(8)上の条鋼(W)を所定レベルへ持ち上げるリフタ(23)と、このリフタ(23)に隣接するとともに該リフタ(23)による持ち上げ位置から条鋼(W)をストレートニングポケット(5)の第1溝(2A)へ向けて滑落させるスベリ傾斜部(24)とを有し、さらに、前記スベリ傾斜部(24)は前記ランイン部(8)に隣接されており、
    前記条鋼(W)をストレートニングポケット(5)へ供給する際に、前記スベリ傾斜部(24)は、前記リフタ(23)とは独立に昇降してスベリ傾斜部(24)とこれに隣接するストレートニングポケット(5)の第1溝(2A)との間に、条鋼(W)の肉厚を超える段差を生じさせることで、条鋼(W)を積み重ねるための段落ち空間(35)を形成可能になるように構成されていることを特徴とする冷却床。
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