JP3941729B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数画素を位置データ及び2値データにより夫々特定した画像データを、取得した変倍率に基づき変倍する画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2値データにより特定される複数画素を、所定の間隔を隔てて主走査方向及び副走査方向に配置することにより構成される画像データについては、各画素間へのデータの挿入、及び各画素のデータの間引きにより、容易に拡大及び縮小することができる。
しかし、ディザ処理等を行うことにより形成される疑似中間調の画像データを、上述の方法により拡大又は縮小した場合、ディザのパターンが崩れ、白又は黒の筋及びモアレ等が発生し、画質の劣化を生じることがある。
【0003】
そこで、画像データの各画素を特定する2値データを、一旦多値データに変換し、各画素を多値データにより特定する画像データにおいて、各画素間に多値データを挿入し、又は各画素のデータを間引いた後、各画素を特定する多値データが所定閾値よりも大きいか否かに基づき、前記多値データを2値データに変換する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように、一旦多値データに変換することにより、各画素間において線形補間が可能となり、挿入処理又は間引処理を施された多値データを再度2値データに変換した場合に、筋及びモアレ等の発生を防止することができ、画質の劣化を軽減させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−287568号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プリンタ等の画像出力装置においては、上述した各処理を、画像データを取得してから、取得した画像データを自身の装置に備える記録部へ入力するまでに行なう必要があるため、このような装置における画像処理装置に、上述した特許文献1に示す装置を適用させる場合、上述した各処理を、取得した画像データを自身に備える記録部へ転送する速度に間に合う速度にて行わなければならない。
従って、上述した処理を行う画像処理装置を、高速動作が可能なLSI(Large Scale Integration circuit) により実現する必要があるが、高速動作を行うLSIは、回路規模が大きく、設計が困難であると共に、製造コストが高いという問題がある。
【0006】
また、上述した装置では、取得した2値データによる画像データを多値データに変換する処理、変換された多値データの画像データに基づき拡大又は縮小する処理、拡大又は縮小された画像データを2値データに変換する2値化処理等を順次行なうため、取得した画像データから記録用のデータを生成するための処理が煩雑となり、また、各処理の実行により生成する各データを一時的に記憶しておくために大容量のメモリが必要となるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、変倍後の画像データの各画素のデータを、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データ、及び前記所定数の画素の位置データと変倍率に基づき算出した位置データとの位置関係に基づきデータテーブルから選択することにより、画質の劣化が少なく、記録用のデータを生成するための処理を簡略化することができると共に、変倍後の画像データの各画素における多値データを選択処理のみにて効率よく算出することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、変倍後の画像データの各画素のデータを、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データ、及び前記各画素の前記所定数の画素夫々との距離に基づきデータテーブルから選択することにより、画質の劣化を軽減した変倍処理を高速に行なうことができる画像処理装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、抽出した位置データが示す位置と、変倍率に基づき算出した位置データが示す位置とを夫々対角線上の2点とする矩形の面積に応じた多値データを、変倍後の画像データの各画素における多値データとしてデータテーブルから選択することにより、画質の劣化を軽減するとともに、変倍処理を高速に行なうことができる画像処理装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、上述したように算出された変倍後の画像データの各画素における多値データを所定閾値と比較し、この比較結果に基づき、前記多値データを2値データに変換することにより、変倍前の2値の画像データから、変倍処理を施された変倍後の2値の画像データを高速に生成することができる画像処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明に係る画像処理装置は、複数画素を位置データ及び2値データにより夫々特定した画像データを、取得した変倍率に基づき変倍する画像処理装置において、前記変倍率に基づき、変倍後の画像データの各画素を特定する位置データを夫々算出する位置算出手段と、変倍前の画像データから、前記位置算出手段が算出した位置データが示す位置の近傍の所定数の画素を特定する位置データ及び2値データを抽出する抽出手段と、前記所定数の画素夫々を特定する2値データ及び前記所定数の画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブルを記憶する記憶手段と、前記抽出手段が抽出した2値データ、及び該2値データに夫々対応する位置データと前記位置算出手段が算出した位置データとの位置関係に基づき、前記位置算出手段が算出した位置データに対応する多値データを前記データテーブルから選択するデータ算出手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
発明による場合は、所定数の画素夫々を特定する2値データ及び前記所定数の画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブルを記憶しておく。そして、取得した変倍率に基づき、変倍後の画像データの各画素を特定する位置データを夫々算出し、算出した位置データが示す位置の近傍の所定数の画素における位置データ及び2値データを、変倍前の画像データから抽出する。また、抽出した2値データ、及び該2値データ夫々に対応する位置データと、変倍率に基づき算出した位置データとの位置関係に基づき、変倍後の画像データの各画素における多値データをデータテーブルから選択する。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の画素の2値データから算出されるので、画質の劣化を軽減する。また、変倍後の画像データの各画素のデータをデータテーブルからの選択処理のみにて効率よく算出するので、上述の各処理を実現するLSIの回路規模の増大を防止することができる。
更に、各画素の2値データから多値データへの変換処理とともに、画像データの変倍(解像度変換)処理を行なうため、取得した画像データから記録用のデータを生成するための処理が簡略化されるとともに、解像度変換処理を高速に行なうことができる。また、各処理の実行により生成するデータを一時的に記憶しておくための大容量のメモリが必要とならない。
【0014】
発明に係る画像処理装置は、前記データ算出手段、前記位置算出手段算出した位置データが示す位置から、前記抽出手段抽出した位置データが示す位置夫々までの距離に基づき、前記位置算出手段が算出した位置データに対応する多値データを前記データテーブルから選択するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
発明による場合は、変倍率に基づき算出した位置データが示す位置から、抽出した位置データが示す位置夫々までの距離に基づき、変倍後の画像データの各画素における多値データをデータテーブルから選択する。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データから算出され、また、前記各画素の前記所定数の画素夫々との距離に基づき算出され、画質の劣化を軽減するとともに、変倍処理を高速に行なうことができる。
【0018】
また、変倍前の画像データの各画素の主走査方向及び副走査方向における各画素間距離が、例えば128(7ビット)で特定されている場合、前記データテーブルにおいて、多値データを割り当てる前記所定数の画素夫々からの距離による各位置を、128×128区分に分割して、128×128通りにて多値データを割り当てることにより、1%刻みの変倍処理を実現することができる。更に、前記各位置を、8×8区分等、128×128区分よりも少ない数にて分割し、8×8通り等にて多値データを割り当てることにより、前記データテーブルを記憶するメモリ容量を削減することもできる。
【0019】
発明に係る画像処理装置は、前記データテーブルには、前記所定数の画素夫々の位置と前記所定数の画素から各距離を隔てた位置とを対角線上の2点とする矩形の面積に応じた多値データが割り当てられていることを特徴とする。
【0020】
発明による場合は、変倍前の画像データから抽出した2値データ、及び該2値データ夫々に対応する位置データが示す位置から変倍率に基づき算出した位置データが示す位置までの距離に基づく多値データをデータテーブルから選択することにより、抽出した位置データが示す位置と、変倍率に基づき算出した位置データが示す位置とを夫々対角線上の2点とする矩形の面積に応じた多値データを変倍後の画像データの各画素における多値データとすることができる。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データから算出され、また、前記各画素の前記所定数の画素夫々との位置関係に基づき算出され、画質の劣化を軽減するとともに、変倍処理を高速に行なうことができる。
【0021】
発明に係る画像処理装置は、前記データ算出手段が算出した多値データを所定閾値と比較する比較手段と、該比較手段の比較結果に基づき、前記多値データを2値データに変換する変換手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
発明による場合は、上述したように算出された変倍後の画像データの各画素における多値データを所定閾値と比較し、この比較結果に基づき、前記多値データを2値データに変換することにより、変倍前の2値の画像データから、変倍処理を施された変倍後の2値の画像データを高速に生成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る画像処理装置を、該画像処理装置を備えるプリンタによる実施の形態に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る画像処理装置を備えたプリンタの構成を示すブロック図であり、図中1はプリンタを示しており、このプリンタ1は、制御部10,画像処理装置11,画像メモリ12,表示部13,ROM14,RAM15,記録部16,操作部17,外部と通信を行うための通信インタフェース18等を備えている。
【0024】
制御部10は、具体的にはMPU(Micro Processor Unit)等で構成されており、バスを介してプリンタ1の上述したようなハードウェア各部と接続されており、それらを制御すると共に、ROM14に格納されたコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実現する。
【0025】
ROM14は、本発明のプリンタ1の動作に必要な種々のソフトウェアのプログラム、及び画像処理装置11による変倍処理の実行時に参照するデータテーブル14aを予め格納している。
RAM15は、SRAM又はフラッシュメモリ等で構成され、前記プログラムの実行時に発生するデータ及び各画像データを出力する際の変倍率Rを一時的に記憶する。尚、RAM15にフラッシュメモリを使用した場合には、停電,プリンタ1の移動等のために電源が遮断された場合であっても、記憶内容が失われることはない。
【0026】
画像メモリ12は、DRAM等で構成され、記録紙又はOHP(Over Head Projector) シート等に出力すべく、通信インタフェース18を介して取得した画像データを格納する。
尚、本実施の形態において、取得する画像データは、各画素を2値データにより特定された2値の画像データであり、主走査方向及び副走査方向における各画素間の距離を示す距離データを7ビットにて表している。また変倍率Rは、ユーザにより指定されるだけでなく、ユーザにより指定された出力すべき記録紙等のサイズに基づき算出することもできる。
【0027】
表示部13は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置であり、プリンタ1の動作状況、ユーザへ報知すべきデータ、及び画像データを出力する際の変倍率R等の表示を行う。
操作部17は、プリンタ1を操作するために必要な各種のファンクションキーを備えている。尚、表示部13をタッチパネル方式のものとすることにより、操作部17の各種のキーのうちの一部又は全部を代用することも可能である。
【0028】
画像処理装置11は、画像メモリ12から画像データを取得し、取得した画像データに、RAM15に記憶してある変倍率Rに基づく変倍処理を行って記録部16に入力する。
記録部16は、電子写真方式のプリンタ装置であって、出力すべく画像処理装置11により変倍処理を施された画像データを、ハードコピーとしてA3縦,B4縦,A4縦,B5横及びA5横等の各サイズの記録紙又はOHPシートから最適なサイズのものを選択して記録する。
【0029】
図2は実施の形態1に係る画像処理装置11の構成を示すブロック図である。画像処理装置11は、画像メモリ12から画像データを取得し、該画像データを画像データ取込部20に入力する。
一方、本実施の形態のプリンタ1において、制御部10は、RAM15から変倍率Rを取得し、後述するように変倍後の主走査方向及び副走査方向夫々の画素間距離に変換して、これらの画素間距離を画像処理装置11に入力しており、画像処理装置11は、取得した画素間距離を位置算出部(位置算出手段)21に入力する。
【0030】
画像データ取込部20は、主走査方向に配置される各画素を順次取得し、主走査方向の1ライン分の画素を取得した後、次のラインの2画素を取得する毎に、該2画素と、該2画素に相隣る直前のラインの2画素との4画素からなるブロックに区分して、画素抽出部(抽出手段)24に入力する。尚、本実施の形態では、画像データ取込部20は、主走査方向及び副走査方向に隣合う4つの画素を取り込み、画素抽出部24に入力しているが、4つの画素には限られない。
【0031】
図3は位置算出部21の構成を示すブロック図であり、この位置算出部21は、変倍後の画像データの各画素の主走査方向の位置データを算出するための画素間距離設定部22a及び加算器23aと、変倍後の画像データの各画素の副走査方向の位置データを算出するための画素間距離設定部22b及び加算器23bとを備えている。
位置算出部21は、制御部10から取得した、変倍後の主走査方向の画素間距離及び副走査方向の画素間距離を夫々、画素間距離設定部22a,22bに与えている。尚、本実施の形態では、変倍前の画像データの各画素間の距離データは、7ビットで表されており、制御部10は、以下の(1)式に基づき、夫々変倍後の主走査方向及び副走査方向の各画素間距離を算出し、画素間距離設定部22a,22bに設定する。また、ユーザにより指定された出力すべき記録紙等のサイズに基づき、変倍率Rを算出する構成を備えてもよい。
【0032】
N=128/R …(1)
(N:変倍後の画素間距離,R:変倍率)
【0033】
画素間距離設定部22aにより設定された変倍後の画像データの各画素の主走査方向における画素間距離を、加算器23aにより順次加算することにより、変倍後の画像データの各画素の主走査方向における位置を示す位置データを算出することができる。
また、同様に、画素間距離設定部22bにより設定された変倍後の画像データの各画素の副走査方向における画素間距離を、加算器23bにより順次加算することにより、変倍後の画像データの各画素の副走査方向における位置を示す位置データを算出することができ、このように算出された主走査方向及び副走査方向において、変倍後の画像データの各画素を特定する位置データは、画素抽出部24,データ算出部(データ算出手段)25,画像データ生成部28に夫々入力される。
【0034】
画素抽出部24は、画像データ取込部20から入力された4画素からなる各ブロックから、位置算出部21により算出された変倍後の画像データの各画素を特定する位置データが示す位置を含むブロックを夫々選択し、該ブロックを構成する4画素を特定する位置データ及び2値データを抽出し、データ算出部25に入力する。
データ算出部25は、画素抽出部24が抽出した各ブロックを構成する4画素夫々を特定する位置データ及び2値データと、位置算出部21が算出した位置データとを取得し、画素抽出部24から取得した2値データから、位置算出部21から取得した位置データが示す位置から、画素抽出部24から取得した位置データが示す位置夫々までの距離に基づき、位置算出部21が算出した位置データにより特定される変倍後の画像データの画素における多値データを算出して、誤差拡散部26に入力する。
【0035】
尚、本実施の形態におけるROM14に記憶してある、各ブロックを構成する4画素夫々における2値データ及び該4画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブル14aは、画像処理装置11の実行時にRAM25aにロードされる。
データ算出部25は、画素抽出部24が抽出したブロックを構成する4画素夫々を特定する2値データと、該4画素夫々を特定する位置データが示す位置から、位置算出部21が算出した位置データが示す位置までの距離とに基づき、位置算出部21が算出した位置データにより特定される変倍後の画像データの画素に対応する多値データを、前記RAM25aにロードされたデータテーブル14aから選択し、誤差拡散部26に与える。
【0036】
図4はデータテーブル14aの構成を説明するための図、図5はデータテーブルを示す図であり、図4中に矢符Xで示す方向は主走査方向を,矢符Yで示す方向は副走査方向を夫々示している。
図4(a)は画素抽出部24により抽出されるブロックを構成する4画素の一例を示す図であり、図においては、各画素における2値データが{(x,y),(x+1,y),(x,y+1),(x+1,y+1)}={1(黒),0(白),0(白),0(白)}であるブロックを示している。また、各画素の中心は、図4(b)に示すマトリックスの4隅に対応しており、このマトリックスは、主走査方向及び副走査方向に夫々8区分され、4画素夫々からの距離に応じて8×8区分に分割された各区分毎に、多値データ(図においては6ビット)が割り当てられている。
【0037】
このような多値データの割り当ては、ブロックを構成する4画素夫々を特定する2値データのパターン毎に設けてあり、これにより、図5に示すような、各ブロックを構成する4画素夫々を特定する2値データ,該4画素により形成されるマトリックス内の、位置算出部21が算出した位置データが示す主走査方向における位置,副走査方向における位置に、多値データを対応させるデータテーブル14aが構成されている。
誤差拡散部26は、上述したように、データ算出部25により、位置算出部21が算出した変倍後の画像データの各画素を特定する位置データに対応して算出された多値データを取得し、各多値データに、該多値データに対応する位置データに基づき、副走査方向の直前のライン上の所定の画素における誤差を加算する誤差拡散処理を行い、比較部(比較手段、変換手段)27に入力する。
【0038】
比較部27は、誤差拡散部26により所定の処理が施された各画素における多値データを、所定閾値と比較し、前記多値データが所定閾値よりも大きい場合、該多値データを1に、前記多値データが所定閾値よりも小さい場合、前記多値データを0に変換することにより、誤差拡散部26から取得した多値データを2値データに変換し、画像データ生成部28に入力する。
画像データ生成部28は、位置算出部21により算出された位置データと、比較部27により変換された2値データとにより、変倍後の画像データを生成し、画像処理装置11は、生成された画像データを記録部16に与え、該画像データは、記録部16にて所望のサイズの記録紙等に記録される。
【0039】
上述したように、4画素夫々を特定する2値データ及び該4画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブル14aから、位置算出部21が算出した位置データが特定する変倍後の画像データの各画素における多値データを選択することにより、変倍前の画像データの各画素における2値データに基づく変倍後の画像データの各画素における多値データを、選択処理のみにて効率よく算出することができ、また、2値データの画像データから多値データの画像データを生成する多値変換処理とともに、解像度変換処理を実行することができる。尚、上述した実施の形態における変倍処理には、縮小処理及び拡大処理を含むことができる。
【0040】
上述した実施の形態では、変倍前の画像データの各画素において、画素間距離が7ビット(128)にて特定されており、データテーブル14aで割り当てる各4画素からの距離を8×8区分に分割しているが、これらの値には限られない。尚、前記4画素夫々からの距離を、変倍前の画像データの各画素間距離を特定する値よりも少ない数にて分割することにより、前記データテーブルを記憶するメモリ容量を削減することができる。
【0041】
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2における画像処理装置11の構成について説明する。尚、本実施の形態において、画像処理装置11の構成、及びこの画像処理装置11を有するプリンタ1の全体構成については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
本実施の形態においては、ROM14に記憶されるデータテーブルの内容のみが、上述した実施の形態1と異なるため、データテーブルの構成について説明する。
【0042】
図6は実施の形態2におけるデータテーブルの構成を説明するための図であり、図6(a)は、図4(a)と同様に、画素抽出部24により抽出されるブロックを構成する4画素の一例を示している。また、同様に、図6(a)中の各画素の中心は、図6(b)に示すマトリックスの4隅に対応しており、このマトリックスは、主走査方向及び副走査方向に夫々8区分されている。
本実施の形態では、図6(b)に示すマトリックスは、ブロックを構成する4画素(4隅)夫々と、各区分の中央部分とを対角線上の2隅とする矩形の面積に応じて、各区分毎に、多値データ(図においては6ビット)が割り当てられている。
【0043】
例えば、図6(b)中に60で示す位置にある変倍後の画素60のデータについては、位置(x,y)の画素と画素60とを対角線上の2隅とした矩形61の面積、位置(x+1,y)の画素と画素60とを対角線上の2隅とした矩形62の面積、位置(x,y+1)の画素と画素60とを対角線上の2隅とした矩形63の面積、及び位置(x+1,y+1)の画素と画素60とを対角線上の2隅とした矩形64の面積に基づき設定してある。
具体的には、矩形61,62,63,64の面積の大小に基づく、変倍後の画素60の、各画素(x,y)、(x+1,y)、(x,y+1)、(x+1,y+1)との位置関係により各画素にかかる重みが設定され、この重みに基づき画素60の多値データが設定してある。尚、上述したように設定された図6(b)における画素60の多値データは19である。
【0044】
このような多値データの割り当ては、ブロックを構成する4画素夫々を特定する2値データのパターン毎に設けてあり、これにより、図5に示すデータテーブル14aと同様の構成のデータテーブルが構成され、ROM14に記憶されている。
上述したようなデータテーブルを用いることにより、変倍前の画像データの各画素における2値データに基づく変倍後の画像データの各画素における多値データを、選択処理のみにて効率よく算出することができ、また、2値データの画像データから多値データの画像データを生成する多値変換処理とともに、解像度変換処理を実行することができる。
【0045】
(実施の形態3)
以下に、実施の形態3における画像処理装置11の構成について説明する。尚、本実施の形態におけるプリンタ1の全体構成については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、画像処理装置11についても、同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図7は実施の形態3に係る画像処理装置11の構成を示すブロック図であり、本実施の形態におけるプリンタ1は、ROM14にデータテーブル14aを記憶しておらず、従って、画像処理装置11は、このデータテーブル14aをロードするRAM25aを備えていない。
【0047】
本実施の形態の画像処理装置11のデータ算出部25は、画素抽出部24が抽出した各ブロックを構成する4画素夫々を特定する位置データ及び2値データと、位置算出部21が算出した位置データとを取得しており、抽出したブロックの4画素夫々と、算出した位置データが示す位置とを対角線上の2隅とする矩形の面積を算出し、算出した夫々の面積に応じて、変倍後の各画素における多値データを算出し、誤差拡散部26に入力するように構成されている。
尚、本実施の形態においても、画像データ取込部20は、主走査方向及び副走査方向に隣合う4つの画素を取り込む構成をなしているが、4つの画素には限られない。
【0048】
以下に、本実施の形態に係る画像処理装置11のデータ算出部25が、画素抽出部24から取得した各ブロックを構成する4画素夫々を特定する位置データ及び2値データと、位置算出部21から取得した位置データとに基づき、変倍後の画像データの各画素における多値データを算出する算出処理について説明する。図8は本実施の形態に係るデータ算出部25によるデータ算出処理手順を示すフローチャートであり、図9はデータ算出部25によるデータ算出処理を説明するための図である。
【0049】
ここで、図9においては、破線で示す格子は変倍前の画像データの各画素を示しており、1A,1B,1C…は、変倍前の画像データの各画素の中央位置を夫々示している。また、実線で示す格子は変倍後の画像データの各画素を示しており、2A,2B,2C…は、変倍後の画像データの各画素の中央位置を夫々示している。
また、説明の便宜上、画素抽出部24からデータ算出部25に入力される4画素を図中の画素1E,1F,1H,1Iとし、位置算出部21からデータ算出部25に入力される位置データが示す画素を画素2Eとする。
【0050】
データ算出部25は、画素抽出部24から4画素1E,1F,1H,1Iの位置データと、位置算出部21から画素2Eの位置データとを取得した場合、4画素1E,1F,1H,1Iの位置データが示す位置の夫々と、画素2Eの位置データが示す位置とを、対角線上の2隅とする矩形の面積を夫々算出する(S1)。
具体的には、図9中にハッチングで示す、画素1Eと画素2Eとからなる矩形Iの面積i、画素1Fと画素2Eとからなる矩形Hの面積h、画素1Hと画素2Eとからなる矩形Fの面積f、画素1Iと画素2Eとからなる矩形Eの面積eを夫々算出する。
【0051】
データ算出部25は、上述のように算出した各矩形I,H,F,Eの面積i,h,f,eに基づき、各面積i,h,f,eに応じた重みを算出する(S2)。本実施の形態においては、面積eに応じた重みW(1E)を、以下の(2)式に基づき算出し、面積fに応じた重みW(1F)を、以下の(3)式に基づき算出し、面積hに応じた重みW(1H)を、以下の(4)式に基づき算出し、面積iに応じた重みW(1I)を、以下の(5)式に基づき算出する。
【0052】
W(1E)=e/(e+f+h+i) …(2)
W(1F)=f/(e+f+h+i) …(3)
W(1H)=h/(e+f+h+i) …(4)
W(1I)=i/(e+f+h+i) …(5)
【0053】
次にデータ算出部25は、各画素1E,1F,1H,1Iにおける2値データに、上述のように算出した重みW(1E),W(1F),W(1H),W(1I)を乗算し(S3)、夫々算出された乗算値を全て加算する(S4)。
ここで、この加算処理により算出された値は、変倍後の画像データの各画素における多値データであり、データ算出部25は、この加算値を誤差拡散部26へ出力し(S5)、誤差拡散部26にて所定の処理が行なわれる。
【0054】
上述したように、変倍後の画像データの各画素と、該画素の近傍の変倍前の画像データの4画素とからなる矩形の面積に基づき、前記4画素夫々の画素データに重みを付けることにより、前記4画素夫々との位置関係に従い、変倍前の画像データの各画素の画素データを反映させることができる。また、2値データの画像データから多値データの画像データを生成する多値変換処理とともに、解像度変換処理を実行することができる。
また、上述した実施の形態における変倍処理には、縮小処理及び拡大処理を含むことができる。
【0055】
尚、上述した実施の形態1においては、変倍後の画像データの各画素における多値データを、ROM14に記憶してあるデータテーブル14aから選択することにより決定しているが、実施の形態3に示した算出処理と同様に、変倍前の画像データから抽出した4画素夫々から、変倍後の画像データの画素までの距離に応じて、前記4画素にかかる重みを算出し、算出した重みを、前記4画素夫々に乗算することにより、変倍後の画像データの各画素の多値データを算出する構成とすることもできる。
【0056】
【発明の効果】
発明による場合は、所定数の画素夫々を特定する2値データ及び前記所定数の画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブルを記憶しておく。そして、取得した変倍率に基づき、変倍後の画像データの各画素を特定する位置データを夫々算出し、算出した位置データが示す位置の近傍の所定数の画素における位置データ及び2値データを、変倍前の画像データから抽出する。また、抽出した2値データ、及び該2値データ夫々に対応する位置データと、変倍率に基づき算出した位置データとの位置関係に基づき、変倍後の画像データの各画素における多値データをデータテーブルから選択する。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の画素の2値データから算出されるので、画質の劣化を軽減する。また、変倍後の画像データの各画素のデータをデータテーブルからの選択処理のみにて効率よく算出するので、上述の各処理を実現するLSIの回路規模の増大を防止することができる。更に、各画素の2値データから多値データへの変換処理とともに、画像データの変倍(解像度変換)処理を行なうため、取得した画像データから記録用のデータを生成するための処理が簡略化されるとともに、解像度変換処理を高速に行なうことができる。また、各処理の実行により生成するデータを一時的に記憶しておくための大容量のメモリが必要とならない。
【0057】
発明による場合は、変倍率に基づき算出した位置データが示す位置から、抽出した位置データが示す位置夫々までの距離に基づき、変倍後の画像データの各画素における多値データをデータテーブルから選択する。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データから算出され、また、前記各画素の前記所定数の画素夫々との距離に基づき算出され、画質の劣化を軽減するとともに、変倍処理を高速に行なうことができる。
【0059】
また、変倍前の画像データの各画素の主走査方向及び副走査方向における各画素間距離が、例えば128(7ビット)で特定されている場合、前記データテーブルにおいて、多値データを割り当てる前記所定数の画素夫々からの距離による各位置を、128×128区分に分割して、128×128通りにて多値データを割り当てることにより、1%刻みの変倍処理を実現することができる。更に、前記各位置を、8×8区分等、128×128区分よりも少ない数にて分割し、8×8通り等にて多値データを割り当てることにより、前記データテーブルを記憶するメモリ容量を削減することもできる。
【0060】
発明による場合は、変倍前の画像データから抽出した2値データ、及び該2値データ夫々に対応する位置データが示す位置から変倍率に基づき算出した位置データが示す位置までの距離に基づく多値データをデータテーブルから選択することにより、抽出した位置データが示す位置と、変倍率に基づき算出した位置データが示す位置とを夫々対角線上の2点とする矩形の面積に応じた多値データを変倍後の画像データの各画素における多値データとすることができる。よって、変倍後の画像データの各画素のデータが、変倍前の画像データにおける、前記各画素の近傍の所定数の画素の2値データから算出され、また、前記各画素の前記所定数の画素夫々との位置関係に基づき算出され、画質の劣化を軽減するとともに、変倍処理を高速に行なうことができる。
【0061】
発明による場合は、上述したように算出された変倍後の画像データの各画素における多値データを所定閾値と比較し、この比較結果に基づき、前記多値データを2値データに変換することにより、変倍前の2値の画像データから、変倍処理を施された変倍後の2値の画像データを高速に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置を備えたプリンタの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】位置算出部の構成を示すブロック図である。
【図4】データテーブルの構成を説明するための図である。
【図5】データテーブルを示す図である。
【図6】実施の形態2におけるデータテーブルの構成を説明するための図である。
【図7】実施の形態3に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態に係るデータ算出部によるデータ算出処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係るデータ算出部によるデータ算出処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 プリンタ
10 制御部
11 画像処理装置
14 ROM
14a データテーブル
21 位置算出部(位置算出手段)
24 画素抽出部(抽出手段)
25 データ算出部(データ算出手段)
27 比較部(比較手段、変換手段)

Claims (4)

  1. 複数画素を位置データ及び2値データにより夫々特定した画像データを、取得した変倍率に基づき変倍する画像処理装置において、
    前記変倍率に基づき、変倍後の画像データの各画素を特定する位置データを夫々算出する位置算出手段と、
    変倍前の画像データから、前記位置算出手段が算出した位置データが示す位置の近傍の所定数の画素を特定する位置データ及び2値データを抽出する抽出手段と、
    前記所定数の画素夫々を特定する2値データ及び前記所定数の画素夫々からの距離に、多値データを割り当てるデータテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記抽出手段が抽出した2値データ、及び該2値データに夫々対応する位置データと前記位置算出手段が算出した位置データとの位置関係に基づき、前記位置算出手段が算出した位置データに対応する多値データを前記データテーブルから選択するデータ算出手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記データ算出手段は、
    前記位置算出手段が算出した位置データが示す位置から、前記抽出手段が抽出した位置データが示す位置夫々までの距離に基づき、前記位置算出手段が算出した位置データに対応する多値データを前記データテーブルから選択するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記データテーブルには、前記所定数の画素夫々の位置と前記所定数の画素から各距離を隔てた位置とを対角線上の2点とする矩形の面積に応じた多値データが割り当てられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記データ算出手段が算出した多値データを所定閾値と比較する比較手段と、該比較手段の比較結果に基づき、前記多値データを2値データに変換する変換手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像処理装置。
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