JP3941520B2 - 転動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受、ボールネジ、直動案内装置(リニアガイド)等のように、外方部材と内方部材との間に転動体を配設する転動装置に関し、特に連続鋳造設備の転がり軸受のように、高い耐食性及び耐摩耗性が要求される転動装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受をはじめとする転動装置は、その構成部品として外方部材と内方部材と両者に接触しながら転動する転動体とを備えており、当該転動体を含み、外方部材並びに内方部材と転動体とが接触しながら転動している面を転動面という。また、外方部材とは、転がり軸受にあっては外輪、リニアガイドにあってはスライダ又は案内レール、ボールねじにあってはナットを示し、内方部材とは、転がり軸受にあっては内輪又は軸体、リニアガイドにあっては案内レール又はスライダ、ボールねじにあってはねじ軸を示す。従って、外方部材の転動面とは、転がり軸受にあっては外輪の軌道面、リニアガイドにあってはスライダ又は案内レールの軌道溝、ボールねじにあってはナットのねじ溝を示し、内方部材の転動面とは、転がり軸受にあっては内輪の軌道面、リニアガイドにあっては案内レール又はスライダの軌道溝、ボールねじにあってはねじ軸のねじ溝を示す。
【0003】
一般に、転がり軸受をはじめとする転動装置は、軌道輪と転動体との間で転がり運動をして接触圧力を受けるため、これらの材料には、硬くて負荷に耐え、転がり寿命が長く、滑りに対する耐摩耗性が良好であることなどが要求される。そこで、一般的にこれらの材料には、軸受鋼のSUJ2やSUJ3等が使用される。そして、転がり軸受は高面圧下で繰り返し剪断応力を受けて用いられるため、その剪断応力に耐えて転がり疲労寿命を確保すべく、これらの材料に焼入れ及び焼戻しを施し、表面硬度HRC58〜64として用いられている。また、前記軸受鋼では、水混入や潤滑等の腐食環境下での早期の発錆が懸念されるため、耐食性に優れると共に軸受に必要とされる硬度HRC58以上が可能なSUS440Cのようなマルテンサイト系ステンレス鋼も使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような材料の熱処理には、構成部材の芯部まで焼入れ温度に加熱して急冷する、所謂ずぶ焼入れが行われる。しかしながら、近年、転動装置の使用条件に対する要求が厳しくなってきており、従来よりも長寿命の転動装置が求められているが、これに対して、従来のずぶ焼入れのみの熱処理では長寿命化に限界がある。
【0005】
そこで、転動装置の長寿命化を行う手段として高周波焼入れが考えられる。高周波焼入れを行うと、被熱処理物の表面に圧縮残留応力が生じるため、面圧疲労強度や捩り疲労強度が向上する。更に、高周波焼入れは、被熱処理物の表面のみを焼入れるため、ずぶ焼入れよりも被熱処理物の熱処理変形の総量が減少し、研削や仕上加工の取り代を少なくすることができる。更に、芯部の硬さが低い、つまり芯部に靱性部があるので、曲がり直しなどの後加工が容易である。
【0006】
しかしながら、マルテンサイト系ステンレス鋼として多用されるSUS440Cに高周波焼入れを行うと、鋼中に粗大な炭化物が多量に含まれていることが多いため、炭化物の固溶が困難となり、十分な焼入れ硬さを得ることが難しい。また、粗大な共晶炭化物を固溶させるために焼入れ温度を高くすると、残留オーステナイトが過剰となり、転動装置に必要な表面硬さHRC58以上に達しない恐れがあるだけでなく、オーバヒートを起こす恐れがある。粗大な共晶炭化物の生成を抑制するには、母材の炭素量を少なくすれば効果的であり、例えば炭素量が0.26〜0.4%と少ないSUS420J2では、粗大な共晶炭化物は殆ど見られない。そのため、このSUS420J2は高周波焼入れ性が良好であるものの、炭素量が少ないために焼入れ硬さが低く、転動装置に必要なHRC58という硬度に達しないため、転動装置の材料としては不適である。
【0007】
この問題に対し、高周波焼入れに適するマルテンサイト系ステンレス鋼として、特開2000−328204号公報では、母材炭素量を減少させて共晶炭化物の生成を抑制する代わりに、窒素を添加することで焼入れ硬さを確保し、更にCrと(C+N)の比を一定として炭化物の生成を抑制することで、高周波焼入れ性を向上させる方法が提案されている。母材の炭素濃度を少なくする代わりに窒素を添加すれば、焼入れ硬度を確保したまま、共晶炭化物の析出を抑制できるだけでなく、従来のステンレス鋼に比べて著しく耐食性が向上し、微細な窒化物が形成されることにより、高い耐摩耗性が得られるという効果もある。
【0008】
しかしながら、大気圧中で溶鋼中に窒素を添加する製鋼法では、溶鋼の窒素溶解度が小さく、0.2%以上の窒素を添加することが困難であるため、窒素添加による焼入れ硬度や耐摩耗性の向上効果には限界がある。高圧窒素雰囲気で製鋼を行えば0.2%以上の窒素を添加することも可能であるが、特別な生産設備を必要とするため、コストアップは避けられないという問題がある。
【0009】
更に、特開平9−287058号公報には、母材の炭素量を減少する代わりに窒素を添加した母材に窒化又は浸炭窒化した後、窒素の拡散処理を行い、次いで焼入れを施す方法が提案されている。この方法では、表面窒素濃度を高くすることができるため、耐摩耗性や疲労寿命や耐食性が向上するといった特徴があるが、焼入れがずぶ焼入れで行われるため、疲労強度向上には限界があり、更には焼入後に曲がり直しを必要とする部材や、熱処理変形が問題になる大型部材には不適である。
【0010】
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、表面硬度が高く耐摩耗性に優れると共に、表面の残留圧縮応力によって転動寿命も優れた転動装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる諸問題を解決するために、本発明者等は、母材C量を減少することで粗大な共晶炭化物の析出を抑えたステンレス母材に窒化処理を行い、高周波で焼入れを行う方法を検討した。本発明の転動装置は、表面硬度が高く耐摩耗性に優れることや、表面に残留圧縮応力が生じるために転動寿命が向上する。
【0012】
上記問題を解決するため、本発明に係る転動装置は、外方部材と内方部材との間に転動体を配設する転動装置において、前記外方部材及び内方部材及び転動体の少なくとも一つを、Cr:8.0〜18.0量%、C:0.05〜0.7量%、Si:0.1〜2.0質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Mo:0〜3.0量%、V:0〜2.0量%、Ni:0〜3.5量%、Co:0〜10量%、N:0〜0.2量%、を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、且つ下記1式を満たす鋼母材で構成し、それに窒化処理及び高周波焼入れ及び焼戻しを施し、完成品表面の質量%が下記2式及び3式を満たすことを特徴とするものである。
(25C%+21N%+1.2(Co%+Ni%)+6.3Mn%+12) (Cr%+1.5(Si%+Mo%)+4V%) ……… (1)
0.86N%+C 2.05-0.057Cr% ……… (2)
0.45 C%+N% ……… (3)
【0013】
以下に、本発明の臨界的意義について説明する。
[母材のCr:8.0〜18.0量%]
Crは鋼に耐食性を与えるために最も必要な元素であり、含有量が8.0量%未満であると良好な耐食性が得られない。Cr添加量を増加させると、耐食性や高周波焼入れ性が向上するという効果があるが、δフェライトが生成して脆化し易くなるため、上限を18.0量%とした。また、Crを多量に添加するとMs点(マルテンサイト変態開始温度)が下がりすぎてサブゼロオーダとなり、十分な焼入れ硬さが得られなくなる恐れがあるので、好ましくは上限を16.0量%とする。また、耐食性の観点からは、好ましくは下限を10.0量%とする。
【0014】
[母材のC:0〜0.7量%]
Cは基地をマルテンサイト化することにより強度を増加させる元素であり、更に芯部靱性を低下させるδフェライトの析出を抑制する作用がある。しかし、含有量が多すぎると、焼入れ時に多量の残留オーステナイトが生成して適正な焼入れ硬さが得られない。また、製鋼時に粗大な共晶炭化物が形成されやすく、粗大な炭化物の周辺では、基地のCr濃度が減少するために十分な耐食性が得られないだけでなく、転動寿命や靱性を低下させる原因ともなる。また、粗大炭化物は固溶しにくいため、加熱・保持が短時間で行われる高周波焼入れ等では焼入れ硬さが不十分となる。また、これらの炭化物を固溶させるために焼入れ温度を高くすると、残留オーステナイトが多くなり、焼入れ硬さが不十分となるだけでなく、オーバヒートを起こす恐れがある。この傾向は、C量が0.7量%を越えると顕著であることから、Cの上限は0.7量%とし、好ましくは0.5%以下とする。また、C量が少ないとδフェライトの抑制効果が減少するため、好ましくは下限を0.1量%とする。
【0015】
[選択的に添加される元素]
Moは焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性を著しく増大させる元素であり、耐孔食性を改善する作用がある。また、窒素が固溶されている場合、熱処理により窒化物を形成して強度を高める作用がある。高温強度を必要とされる場合など、必要に応じて添加させてよいが、過剰に添加すると靱性が低下するため、上限を3.0量%とした。
【0016】
Vは強力な窒化物生成元素であり、Cr窒化物の析出を抑制すると共に強度を高める作用がある。特に高温強度を必要とされる場合など、必要に応じて添加させてよいが、多量に添加すると靱性や加工性が低下するため2.0量%以下とする。
Niは強力なオーステナイト安定化元素であり、δフェライトの生成を抑制し、更に基地に固溶して靱性を向上させ、高温特性を高める作用がある。しかし、必要以上に添加すると多量の残留オーステナイトが生成して十分な焼入れ硬さが得られなくなることがあるので、上限を3.5量%とする。
【0017】
CoもNiと同様にオーステナイト安定化元素であり、δフェライトの生成を抑え、更に基地中に固溶して炭化物の凝集を抑制し、高温硬さを向上させる作用がある。しかし、多量に添加すると加工性が低下し、更にコストが高くなるので上限を10.0量%以下とする。
母材に添加されるNは、C含有量が多い場合には粗大な一次共晶炭化物の形成を抑制し、逆にC含有量が少ない場合にはδフェライトの形成を抑制する作用があり、芯部靱性の向上に寄与する。また、窒素添加によって炭素含有量を低減させることができるので耐食性が著しく改善される。そのため必要に応じて母材に窒素を添加させてもよい。但し、製鋼時の段階で窒素を0.2量%を越えて添加すると、凝固の際に気泡が発生して鋼塊に多数の気孔が導入されることがあるため、母材のN添加量を好ましくは0.2量%以下、更に好ましくは0.15量%以下とする。
【0018】
[製鋼上不可欠な元素について]
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、0.1量%以上添加されることが望ましい。また、焼戻し軟化抵抗性を高めるが、多量に添加すると靱性を低下させるため、上限を2.0量%とする。
Mnは脱酸剤として0.1量%以上必要であるが、多量に添加すると鍛造性、被削性が低下するだけでなく、S、P等の不純物を共存して耐食性を低下させるので上限を1.5量%とする。
【0019】
[不可避不純物について]
鋼中に含まれる不純物のうち、重要なものに酸化物系介在物がある。鋼中の酸素量含有量が多くなると、疲労破壊の起点になる粗大な酸化物系介在物の存在量が多くなり、転動寿命が低下する。また、窒化層に粗大な酸化物系介在物が存在すると、窒化層の早期剥離が発生する恐れがあることから、酸素含有量は可及的に低く抑えられることが望ましい。鋼中の酸素含有量は15ppm以下、更に好ましくは10ppm以下とする。
【0020】
[母材のδフェライトについて]
鋼中のC量を低減させると粗大な共晶炭化物が減少するため、高周波焼入れ性が向上するが、その一方で芯部靱性に悪影響を及ぼすδフェライトが生成されやすくなる。鋼中に添加される元素の中でCr、Mo、V、Si等のフェライト安定化元素はδフェライト生成を促進させ、Ni、Co、Mn、N、C等のオーステナイト安定化元素はδフェライト生成を抑制する。これらオーステナイト安定化元素とフェライト安定化元素の相互関係によってδフェライトの生成の有無が決まることから、下記1式を満たせばδフェライトの生成を抑制できる。つまり、母材の合金成分が下記1式を満たせばδフェライトの生成は抑制される。
【0021】
【数1】
Figure 0003941520
【0022】
[転動装置の作製方法について]
まず、窒化処理前の粗加工の一例を述べる。外方部材及び内方部材の場合は、棒材又は管材に熱間鍛造又は旋削を行い、転動体の場合は冷間引抜した線材をヘッダで冷間加工後、バリ取りを行って、夫々目的の形状に加工する。なお、この工程は一例であり、生産性を確保できるのであれば如何なる方法も適用可能である。例えば、窒化層のつきまわり性、つまり窒化層厚さの安定性を向上させるために研削工程を加えるなどしてもよい。
【0023】
[窒化処理について]
まず、窒化後の母材表面に形成される窒化層について述べる。窒化処理を行うと、図1に示すように、母材の最表面にはζ−Fe2 N、ε−Fe2-3 N、γ' −Fe4 N、CrN、Cr2 N等の窒化物のみで緻密に構成されている層(以下、化合物層とも記す)が形成され、それよりも深い部分では、基地である窒素拡散相に上記の窒化物が分散した層(以下、窒素拡散層とも記す)が形成される。ここでは、これら化合物層と窒素拡散層とを合わせて窒化層と称する。
【0024】
窒化処理については、ガス窒化及び塩浴窒化又はイオン窒化等の何れの方法を選択してもよい。
窒化後に行う高周波焼入れは、加熱・保持時間が短いため、窒素の拡散は殆ど起こらないものと考えてよく、そのため、高周波焼入れ前には適当な窒化層パターンを得ておくことが必要となる。高周波焼入れ後に仕上加工を行うために、高周波焼入れ前の窒化層深さは少なくとも仕上加工の取り代以上としておく。好ましくは完成品の窒化層厚さが0.2mm以上となるように高周波焼入れ前の窒化層パターンを得ておく。なお、加工の取り代は部材によって異なるため、必要とされる窒化層パターンは各部材毎に決定する。
【0025】
窒化の処理温度や時間は、上記窒化層パターンを満足するものであれば如何なるものでもよい。通常は窒化処理で生じる歪みを極力抑えるために、Ac1変態点未満の温度で窒化処理が行われる。しかし、本発明では窒化処理後に高周波焼入れを行うため、必ずしも窒化による歪みを抑える必要はなく、Ac1変態点以上の温度で窒化処理を行ってもかまわない。但し、1100℃以上のオーステナイト領域でアンモニアや窒素ガスで窒化を行うと、極めて高い純度の窒素ガスが必要とされることから、生産性に劣り、また長時間窒化処理を行うと、オーステナイト粒が成長するために疲労強度が低下する。よって、窒化温度は好ましくは900℃以下とする。また、α相とγ相とでは、同じ温度であれば、α相の方が窒素の拡散係数が大きいため、更に好ましくはAc1変態点以下で窒化処理を行う。
【0026】
窒化処理の更に好ましい形態の一例としては、比較的低温で処理が可能なNv窒化プロセス(エア・ウオーター株式会社の商品名)がある。Nv窒化プロセスは、窒化処理前に行えば、NF3 (三フッ化窒素)などのフッ素系ガスを用いて250〜400℃でフッ化処理を行うプロセスと、NH3 ガスによる窒化処理を行うプロセスとからなる。フッ化処理は窒化反応を阻害するCr窒化物を除去し、表面を活性化するフッ化層を形成するため、処理時間が短くても非常に均一な窒化層を形成することが可能となる。
【0027】
[熱処理について]
焼入れは高周波焼入れで行う。高周波焼入れは、被熱処理物表面に残留圧縮応力を生じさせるために面圧疲労強度が向上する。また、芯部は焼入れされないため、靱性に優れるという特徴もある。更には、高周波焼入れは、被熱処理物の表面にのみ焼入れを行うために、ずぶ焼入れよりも被熱処理物全体としての熱処理変形が減少し、後加工を少なくできるという利点もある。なお、冷却は油冷や水冷などのような方法を用いてもかまわない。
【0028】
また、母相中にCやN、更にはCr等の合金元素が多いほど、Ms点が低下するが、Ms点が室温以下まで低下するような合金系の場合はサブゼロ処理を行う。通常のサブゼロ処理は−80℃近辺で行われることが多いが、−80℃の処理で十分に焼きが入らない場合は−190℃程度で処理を行ってもよい。
焼戻しは通常の方法、つまり160〜200℃程度で行えばよい。寸法安定性が特に必要とされる場合や二次硬化を起こさせる場合には400℃以上の高温焼戻しを施してもよい。
【0029】
[仕上加工について]
熱処理を施した転動部材は、研削や研磨、超仕上げ等を行って目的の形状寸法にする。仕上加工後の窒化層厚さをより深く得るためには、仕上加工取り代は極力少なくすることが望ましい。例えば、熱処理変形が少ない小型の部材などでは、要求される寸法精度を満たすことができるのであれば研削工程を省いてもよい。また、リニアガイドなどの棒状の製品では、必要に応じて曲げ加工を行ってもよい。
【0030】
また、後段に詳述するように、完成品表面のC及びN及びCr含有量の関係が量%で、下記2式及び3式を満足するように取り代を設定する。なお、仕上加工を行う前に、必要な部位に圧縮残留応力を付与する目的でショットピーニング等の表面加工処理を施してもよい。
【0031】
【数2】
Figure 0003941520
【0032】
[完成品品質について]
完成品表面層の硬さについて述べる。本発明の表面層とは、完成品表面から0.2mmまでの深さか、転動体であれば直径の2%までの深さの何れか深い方とし、その硬さは転動装置に必要な硬さHRC58以上、好ましくはHRC60以上、更に好ましくはHRC62以上とする。
【0033】
次に、完成品表面層のC+N濃度について述べる。窒化により添加されるNはCと同様にマルテンサイトを強化し、耐食性や耐摩耗性を向上させる。マルテンサイト強化及び二次硬化により表面硬さを転動装置に必要な硬さHRC58以上とするためには、表面のC+Nを0.45%以上とすることが望ましい。しかし、表面のC+N濃度が高すぎると、Ms点が低下するために焼入後の表面にオーステナイトが多量に残留する。残留オーステナイトは、高い靱性と加工硬化特性とを有し、亀裂の発生や進展を抑える働きをするが、多量に含まれると硬さの低下を招き、寿命低下を引き起こす。本発明者等の詳細な調査の結果、表面層が上記の窒素拡散層である場合、完成品表面の焼入れ硬さを十分に得るためには、仕上加工を完了した完成品表面のN及びC及びCrの含有量の関係が前記2式を満足すればよい。
【0034】
また、熱処理を行うと、部材内には残留応力が発生する。転動装置の表面に残留圧縮応力が生じている場合、荷重が付加されたときに部材内に発生する剪断応力を減少させるため、疲労強度が向上する。転動寿命を向上させるためには、残留圧縮応力が150MPa以上であることが望ましい。
また、Hv500以上の硬さとなる有効硬化層深さは、前述のように転動部材の転動体直径の2%深さの位置、つまり最大剪断応力発生部位まで形成されるのが望ましい。
【0035】
なお、外方部材、内方部材、転動体の何れか一つが上記の材料で構成されていればよく、それ以外の部材に上記以外の材料を使用する場合は、前記SUJ2の他、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS440Cや肌焼鋼のSCR420やSCM420など、そのような軸受用鋼を用いてもよい。但し、完成品の表面硬さはHv580以上であり、更に含有される炭化物の長径が5μm以下、鋼中酸素量は15ppm以下、好ましくは10ppm以下とすることが望ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図2は本実施形態の転がり軸受の断面図である。この転がり軸受は単列スラスト玉軸受であり、外方部材に相当する外輪(固定輪)1、内方部材に相当する内輪(回転輪)2、転動体3、及び保持器4から構成される。
【0037】
この転がり軸受の特性を調べるために、まず下記表1に示す実施例A〜K、比較例L〜Qの材料を用意した。
【0038】
【表1】
Figure 0003941520
【0039】
また、熱処理は下記に示す5つのパターンの何れかを採用する。
熱処理A ガス窒化〜高周波焼入れ〜サブゼロ処理〜焼戻し
高周波焼入れ:950〜1100℃(表面温度)×5秒
サブゼロ処理:−60〜−190℃×20分
焼戻し:180℃×2時間
熱処理B ガス窒化〜高周波焼入れ〜サブゼロ処理〜焼戻し
高周波焼入れ:950〜1100℃(表面温度)×5秒
サブゼロ処理:−60〜−190℃×20分
焼戻し:400〜550℃×2時間
熱処理C 高周波焼入れ〜サブゼロ処理〜焼戻し
高周波焼入れ:950〜1100℃(表面温度)×5秒
サブゼロ処理:−60〜−190℃×20分
焼戻し:180℃×2時間
熱処理D ガス窒化〜ずぶ焼入れ〜サブゼロ処理〜焼戻し
ずぶ焼入れ:950〜1100℃×30分
サブゼロ処理:−60〜−190℃×20分
焼戻し:180℃×2時間
熱処理E ずぶ焼入れ〜サブゼロ処理〜焼戻し
ずぶ焼入れ:1050℃×30分
サブゼロ処理:−80℃×1時間
焼戻し:180℃×2時間
前述した表1の各材料と前記各熱処理の組合せで試験片を作製し、以下の試験を行って特性を調べた。
[摩耗試験]
摩耗試験は、図3に示す二円筒摩耗試験機を用いた。この二円筒摩耗試験機は、上下に対向する一対の円筒に、上方から荷重を負荷しながら互いに接触常置で低速回転させるものであり、上下の円筒試験片の摩耗量を求める。試験条件は、荷重50kgf、回転数100rpm、すべり率10%、潤滑油は鉱油、試験温度は室温にて行った。試験片は、表面粗さが0.1μmRa以下となるように仕上加工を施した。上下の試験片は同一の材料、同一の熱処理とした。表面硬さはロックウエル硬さ試験機で測定した。窒素濃度及び炭素濃度は表面をEPMA(Electron Probe Micro Analyser )で分析した測定値とした。摩耗量は上下の円筒の平均値を求め、試験結果は、SUS440Cずぶ焼きの結果(比較例26)との比で示す。
[寿命試験]
寿命試験にはスラスト転がり試験機を用いて、面圧4GPa、回転数1000rpm、潤滑油は鉱油、試験温度は室温の条件で試験を行った。試験結果は、SUS440Cずぶ焼き(比較例26)との比で示す。
[耐食性試験]
耐食性は塩水噴霧試験で評価を行った。塩水噴霧試験はJISZ2371に準ずる方法で、35℃、5%塩化ナトリウム水溶液を用いて試験時間50時間後の供試片で外観を判定した。全く発錆が認められなかったものをA、僅かに発錆が認められたものをB、ほぼ全面に発錆が認められたものをC、著しく発錆したものをDとした。
【0040】
各試験片の材料(鋼種)、熱処理、表面層の窒素濃度、表面層の炭素濃度、表面層の硬さ、摩耗量の比、転動寿命の比、耐食性について下記表2に示す。なお、比較例の鋼種N(比較例16)は、焼入れ組織にδフェライトが認められたため、その後の評価は行わなかった。また、比較例の鋼種O〜Q(比較例17〜19)は粗大共晶炭化物が多く、高周波焼入れが困難であったため、その後の評価は行わなかった。
【0041】
【表2】
Figure 0003941520
【0042】
試験を行った結果、本発明の実施例1〜13は、SUS440Cずぶ焼きの比較例26と比較して、表面硬さがHRC58以上と良好な硬さを示し、耐摩耗性や転動寿命、耐食性の何れも良好であった。特に高温焼戻しを行った実施例12、実施例13は、微細な窒化物が析出したため、表面硬度や耐摩耗性が向上し、良好な寿命が得られている。また、母材のC量も低く抑えられているため、粗大な共晶炭化物は認められず、高周波焼入れ性も良好であった。なお、何れの試料もδフェライトは認められなかった。
【0043】
これに対し、比較例14は、表面硬度や耐摩耗性は各実施例と同様に良好であるが、Cr量が8.0量%未満であるため、耐食性は不十分であった。また、比較例15及び比較例24及び比較例25は、N含有量、C含有量、Cr含有量が、前記2式の関係を満足していないため、表面硬さが転動部材に必要とされる硬さHRC58を満たさず、耐摩耗性や寿命も低下している。また、比較例20及び比較例21は、表面C+N濃度が0.45%に満たなかった、つまり前記3式を満足していないため、耐摩耗性や寿命が低下している。また、比較例22及び比較例23は、窒化後の焼入れをずぶ焼入れで行った例で、耐摩耗性や寿命は比較例26と比較して良好な結果を得ているが、同一の材料で高周波焼入れを行った実施例3及び実施例5ほどの耐摩耗性や寿命は得られていない。
【0044】
次に、加工性の評価を変形矯正性で評価した。試料は10mm角の長さ300mmの棒材を使用した。変形矯正処理は、図4に示すように長手方向に所定量ずつ送りながら三点支持で加圧による矯正を繰り返し、変形量を測定する。変形量sの測定は、図5に示すように、一定の力をかけた状態で、基台に対する試料上面の高さHを測定し、その高さHと基準値との差分値から求めた。変形矯正性は、下記4式で表される変形矯正率が80%以上のものを○とし、80%未満のものを△で表した。
【0045】
【数3】
Figure 0003941520
【0046】
加工性の結果を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003941520
【0048】
表から明らかなように、比較例A及び比較例Bは芯部までマルテンサイト変形しているため、変形矯正が困難であることが分かる。これに対し、高周波焼入れによって表面層のみ焼入れした実施例A及び実施例Bは、変形矯正性に優れている。以上から、本発明の転動装置は、芯部靱性や曲げ矯正性にも優れていることが分かる。
【0049】
なお、補実施形態では、窒化処理後に高周波焼入れを行ったが、窒化処理後に窒素を芯部方向に拡散させるための拡散処理を行ってもよい。例えば、1200℃以下の任意の温度に加熱し、数時間〜数十時間保持を行う。但し、高周波焼入後の芯部靱性を確保するために、拡散処理後の冷却は、部材心部が焼入れされないような冷却速度とする。
【0050】
また、本発明の転動装置では、先に高周波焼入れを行い、次いで窒化処理をするようにしてもよい。
また、本発明の転動装置は、前記転がり軸受に限らず、ボールネジやリニアガイド等の各構成部材に広く適用可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転動装置によれば、高い耐摩耗性及び耐食性を有する長寿命な転動装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転動装置の窒化層の説明図である。
【図2】本発明の転動倒置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図3】二円筒摩耗試験の説明図である。
【図4】変形矯正試験の説明図である。
【図5】試料の変形量の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1は外輪(外方部材)
2は内輪(内方部材)
3は転動体
4は保持器

Claims (1)

  1. 外方部材と内方部材との間に転動体を配設する転動装置において、前記外方部材及び内方部材及び転動体の少なくとも一つを、Cr:8.0〜18.0量%、C:0.05〜0.7量%、Si:0.1〜2.0質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Mo:0〜3.0量%、V:0〜2.0量%、Ni:0〜3.5量%、Co:0〜10量%、N:0〜0.2量%、を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、且つ下記1式を満たす鋼母材で構成し、それに窒化処理及び高周波焼入れ及び焼戻しを施し、完成品表面の質量%が下記2式及び3式を満たすことを特徴とする転動装置。
    (25C%+21N%+1.2(Co%+Ni%)+6.3Mn%+12) (Cr%+1.5(Si%+Mo%)+4V%) ……… (1)
    0.86N%+C 2.05-0.057Cr% ……… (2)
    0.45 C%+N% ……… (3)
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