JP3941389B2 - 静電荷像現像用トナー及び製造方法、静電荷像現像用現像剤並びに画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び製造方法、静電荷像現像用現像剤並びに画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成する静電潜像を現像剤で現像する際に用いられ静電荷像現像用黒色トナー及びその製造方法、静電荷像現像用現像剤、並びに、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法など、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法は、帯電工程、露光により感光体上に静電荷像を形成する工程、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、トナー画像を転写体上に転写する工程 トナー画像を定着する工程を経て可視化される。
【0003】
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。トナーは通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕・分級する混練粉砕法で製造される。そして、必要に応じて流動性やクリーニング性を改善するために無機微粒子や有機微粒子をトナー粒子表面に外添する。これらの方法はかなり優れたトナーを提供できるが、次のような問題点を有する。
【0004】
混練粉砕法で製造されたトナーは形状が不定形であり、使用する材料の粉砕性や粉砕工程の条件によりトナーの形状や表面構造が微妙に変化するため、それらを制御することは困難である。また、混練粉砕法は、混練・粉砕に適さない材料を使用することができないため、材料の選択に大きな制約がある。具体的には、樹脂着色剤混練物が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕できる材料でなければ使用することができない。一方、このような要求を満たすために樹脂着色剤混練物を脆くすると、現像機中でトナーに加わる機械的せん断力などにより、微粉を発生したり、トナー形状に変化をきたすことがある。
【0005】
これらの影響は、2成分現像剤においては、前記の微粉がキャリア表面に固着して現像剤の帯電劣化を加速したり、1成分現像剤においては、粒度分布の拡大してトナー飛散を生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下を来たし画質劣化の要因となる。また、ワックスなどの離型剤を多量に内添するトナーは、離型剤と熱可塑性樹脂との組み合せによっては、トナー表面への離型剤の露出が問題になることが多い。特に、高分子量成分により弾性を増加させたやや粉砕されにくい樹脂と、ポリエチレンのように脆いワックスとの組み合せでは、トナー表面にポリエチレンの露出が多く見られる。このようなトナーは、定着時の離型性や感光体表面からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、トナー表面のポリエチレンが現像機中で機械力を受けて、現像ロールや感光体、キャリアに容易に移行して汚染し易くなり、信頼性の低下につながる。
【0006】
さらに、トナー形状が不定形であると、流動性助剤を添加しても流動性を充分に確保することができない。また、現像機中の機械的せん断力でトナー表面の微粒子がトナー凹部分に移動して経時的に流動性を低下したり、流動性助剤がトナー内部に埋没して、現像性、転写性、クリーニング性を悪化する。また、クリーニングにより回収されたトナーを再び現像機に戻して使用するときに、画質の低下を生じやすい。これらを防ぐために、流動性助剤の使用量を増加すると感光体上に黒点が発生したり、助剤粒子が飛散するなどの問題を生ずる。
【0007】
近年、トナー形状及び表面構造を意図的に制御する方法として、乳化重合凝集法でトナーの製造方法が提案されている(特開昭63−282752号公報、特開平6−250439号公報)。これらは、乳化重合により樹脂微粒子分散液を調製し、また着色剤を溶媒に分散した着色剤分散液を調製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱して凝集粒子を融合・合一してトナーを製造する方法である。この方法は、トナー粒径の小径化を容易に可能にし、シャープな粒度分布を有する極めて優れたトナーを得ることができる。
【0008】
また近年は、高画質化への要求の高まり、特にカラー画像の形成に対応して、高精細な画像を実現するために、トナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来の粒度分布のままで単純にトナーの小径化を図っても、微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性を同時に実現することは困難であった。これらの問題を解決するためにはトナーの粒度分布をシャープにし、かつ小粒径化を可能にすることが重要になる。凝集融合合一法は、これらの点に応えるものであり、極めて有利な方法である。
【0009】
他方近年は、デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後にオリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各現像剤を用い、減色混合作用を利用して現像する方法がある。この方法は、従来の白黒機に比して多量の現像剤を転写する必要があり、また、潜像の小さなドット径に対応する必要があるため、トナーの均一帯電性、持続性、トナーの強度、粒度分布のシャープネスがますます重要になっている。
【0010】
また、これらの複写機の高速化や省エネルギー化の傾向を視野にいれると、従来法に比べて一層の低温定着性が必要となる。これらの点からも、粒度分布がシャープで小粒子径のトナーの製造に適した乳化重合凝集法が注目されるようになった。さらにまた、凝集融合合一法は、その構成材料が、例えば、界面活性剤等を用いて水に容易に分散できればよく、それ以上の制約がないので、選択の範囲が極めて広くなった。
【0011】
さらに近年は、化学物質についての安全性への関心の高まりから、その使用について検討されるようになってきた。着色剤の分野もその例外でなく、黒色着色材として一般に使用されているカーボンブラックについても、より安全性の高い黒色着色剤が研究されるようになってきた。従来は、黒色を発現させる方法として黒色の磁性粉を添加した黒色トナーを使用する方法や、フルカラートナー分野では画像上でシアン・マゼンタ・イエローの各色のトナーを重ねあわせ減色混合作用によってプロセス黒として黒色を発現させる方法が実用化されている。
【0012】
例えば、特開平6−118696号公報には、ヘテロ凝集法トナーに磁性粉を添加して1成分磁性黒色トナーを得る方法が提案されている。
しかし、この方法により得たトナーは、黒色性はそれなりに備えているが、高速機や高画質を目的とするときには、帯電性を十分に制御することができず、その維持性にも難点があった。
【0013】
また、減色混合作用を利用する方法は、潜像を形成した上に3色のトナーで規則的に現像し転写することが、黒色を適切に発現させることが前提になる。しかし、トナー中の3色の着色剤の分散径や分散状態が異なるため、3色のトナーの帯電性が微妙に変化し、ドット再現性の僅かなずれによって黒味が変化し、安定した所望の黒色度を発現・維持することが極めて難しい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消し、黒色性、帯電性及び安全性に優れた静電荷像現像用黒色トナー及びその製造方法、現像剤、並びに、その現像剤を用いる画像形成方法を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の構成を採用することにより上記の課題の解決に成功した。
(1) 着色剤を樹脂中に分散してなる静電荷像現像用黒色トナーにおいて、前記着色剤として磁力が30Am2 /kg以下の黒色金属化合物微粒子を用い、前記トナー中の前記着色剤の含有量は、15〜45重量%であり、前記トナーの形状係数SF1が100〜135の範囲であり、前記トナーの表面性指標が2以下であり、前記トナーの誘電損率が50以下であることを特徴とする静電荷現像用黒色トナー。
(2) 前記黒色金属化合物微粒子が黒色水酸化鉄、黒色酸化チタン及びヘマタイトの群から選択される1種以上のものであることを特徴とする前記(1) 記載の静電荷像現像用黒色トナー。
(3) 前記着色剤の中心粒径が40〜500nmの範囲にあることを特徴とする前記(1) 又は(2) 記載の静電荷現像用黒色トナー。
【0016】
() 前記トナーの体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下で、GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が0.95以上であることを特徴とする前記(1) 〜() のいずれか1つに記載の静電荷像現像用黒色トナー。
【0017】
() 少なくとも1μm以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液とを混合し、樹脂微粒子及び着色剤を凝集して凝集粒子分散液を形成した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合・合一してトナー粒子を形成する静電荷像現像用黒色トナーの製造方法において、前記着色剤として磁力が30Am2 /kg以下の黒色金属化合物微粒子を用い、前記着色剤を前記トナー中に15〜45重量%配合し、表面性指標が2以下であり、誘電損率が50以下のトナー粒子を製造することを特徴とする前記(1) 〜() のいずれか1つに記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
【0018】
() 前記樹脂微粒子分散液及び前記着色剤分散液に、離型剤分散液を混合し、樹脂微粒子、着色剤及び離型剤を凝集して凝集粒子分散液を調製することを特徴とする前記() 記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
() 前記凝集粒子分散液に樹脂微粒子分散液を加えて前記凝集粒子表面に樹脂微粒子を付着した後、前記付着粒子を前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合・合一してトナー粒子を形成することを特徴とする前記() 又は(6) 記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
【0019】
() キャリアとトナーとからなる静電荷像現像用現像剤において、前記トナーが前記(1) 〜() のいずれか1つに記載の静電荷像現像用黒色トナーであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
() 前記キャリアが樹脂被覆層を有することを特徴とする前記()記載の静電荷像現像用現像剤。
【0020】
(11) 静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤で前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記転写体上のトナー画像を定着する工程、及び、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤として前記()又は(10)記載の静電荷像現像用現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上記の問題点を克服するために鋭意検討した結果、着色剤として磁力が30Am2 /kg以下の黒色金属化合物微粒子を用い、前記トナーの誘電損率を50以下にすることにより、黒色性、帯電性及び安全性に優れた黒色トナーを提供できることを見いだし、また、こらの黒色トナーは、凝集融合合一法で製造できることを見いだし、本発明を完成することができた。なお、本発明における磁力とは、測定磁場が796kA/mにおける飽和磁化をいう。
【0022】
本発明の黒色金属化合物微粒子は、磁力が30Am2 /kgを超えると、結着樹脂中への黒色金属化合物微粒子の分散性を妨げ、凝集し易くなり、黒色度の再現性が低下する。また、トナーの磁力が大きくなり、帯電性がブロードになってかぶりが発生し易くなる。なお、帯電性の制御及び維持性を考慮すると、磁力の好ましい範囲は10Am2 /kg以下、より好ましい範囲は5Am2 /kg以下である。
【0023】
本発明で使用する黒色金属化合物微粒子の中心粒径は40〜500nmの範囲が好ましい。中心粒径が40nmを下回ると、凝集されたトナー粒子が硬くなり、融合工程におけるトナーの形状制御性が低下する。中心粒径が500nmを超えると、トナー中の黒色金属化合物の含有量が少なくなるため、十分な黒色度を得ることができない。
【0024】
トナー中の黒色金属化合物微粒子の含有量は6.0〜50重量%の範囲が好ましい。含有量が6.0重量%を下回ると、十分な黒色度を得ることができず、また、50重量%を超えると、トナー中に確実に内包させることができず、一部露出するため、トナーの帯電がブロードになり、その結果、かぶりや飛散の原因となる。
【0025】
なお、黒色金属化合物微粒子の中心粒径の好ましい範囲は、40〜300nmであり、含有量の好ましい範囲は、15〜45重量%であり、また、磁力の好ましい範囲は20emu/g以下である。黒色金属化合物微粒子の中心粒径の測定は、粒度測定器(マイコトラック(Micotruck)、ハネウエル社製)を用いて測定した。
【0026】
本発明で使用する黒色金属化合物微粒子は、上記の磁力を有するものであれば特に種類を問わないが、その中でも、黒色水酸化鉄、黒色酸化チタン、ヘマタイトを単独で、又は混合して使用することが好ましい。なお、従来の黒色顔料であるカーボンブラックは例えば10Ω・cmのように低抵抗であったが、本発明にかかる黒色金属化合物微粒子は1×106 〜1×108 Ω・cmと適度な高い抵抗値を有するため、帯電性の制御及び維持性に優れた黒色トナーの提供が可能となった。
【0027】
本発明で使用する黒色水酸化鉄は、硫酸第一鉄などの鉄(II)塩水溶液を、空気を絶って水酸化ナトリウム等でアルカリ処理し、析出した粉末を回収するなどして製造することができる。本発明で使用する黒色酸化チタンは、トナーの黒色顔料として公知のもであり(シー・エム・シー社1998年11月20日発行 「機能性顔料の技術と応用展開」第25頁「4.チタンブラック」参照)、また、本発明で使用するヘマタイトは、マンガン含有ヘマタイトであることが好ましい。マンガン含有ヘマタイトは、硫酸第一鉄をアルカリ及び熱処理してマグネタイト粒子を生成し、次いで硫酸マンガンを加え、さらにアルカリ及び熱処理することにより、マンガン及び鉄の水酸化物を被覆してなるマグネタイト粒子を生成し、ろ別、水洗、乾燥、粉砕して黒色粉末を得た後、加熱処理してマンガン含有ヘマタイト粒子を製造することができる。
【0028】
本発明の黒色トナーは、黒色金属化合物微粒子を結着樹脂中に均一に分散させることが重要である。黒色金属化合物微粒子の分散性はトナーの誘電損率と相関関係を有する。本発明では、トナーの誘電損率を50以下にすることにより、黒色金属化合物微粒子を均一に分散させ、黒色の発色性の確保を可能にし、かつトナー抵抗の低下を抑制し、転写性を良好に保ち、トナーの注入かぶを防止することができる。なお、トナーの誘電損率の好ましい範囲は30以下である。
【0029】
上記の誘電損率の測定は、トナー粉末を錠剤に成形し、錠剤の含水率を0.5重量%以下に調整し、これを誘電体測定用電極に設置し、100kHzまでの交流電場にかけて測定する。具体的には、トナー5gをペレットに成形し、固体用電極(安藤電気社製、4274A)間にセットし、電気伝導度計(横川ヒューレットパッカード社製)で5Vの電圧を印加して伝導度を測定し、下記式で誘電損率を求めた。
誘電損率=〔14.39/(W×D2 )〕×GX ×TX ×1010
(式中、W=2πf、f:測定周波数100kHz、D:電極直径(cm)、GX :試料の伝導度(s)、TX :試料のペレットの厚さ(cm)を表す)なお、含水率は1gを精確に秤量してこれをW1 とし、110度ーで1時間乾燥した後の乾燥減量をW2 とするときに次式で含水率を求めることができる。
含水率(重量%)=〔(W1 −W2 )/W1 〕×100
【0030】
本発明のトナーの体積平均粒径D50v は、2〜9μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。体積平均粒径D50v が2μmを下回ると、帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、9μmを超えると画像の解像性が低下する。また、本発明のトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下が好ましく、かつ、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が0.95以上であることが好ましい。体積平均粒度分布指標GSDvが1.30を超えると解像性が低下し、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比が0.95を下回ると、帯電性が低下して、飛散・カブリ等の画像欠陥の原因ともなる。
【0031】
本発明のトナーの粒径及び粒度分布指標の測定は、例えばコールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器を用いて測定される粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、個数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる体積平均粒径D16V 、個数平均粒径D16p 、累積50%となる体積平均粒径D50V 、個数平均粒径D50p 、累積84%となる体積平均粒径D84V 、個数平均粒径D84p と定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84V /D16V 0.5 より求められ、個数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p /D16p 0.5 より算出される。
【0032】
本発明のトナーの形状係数SF1は100〜135の範囲が好ましい。SF1が135を超えると、転写性が低下するといった不都合が生ずる。なお、SF1のより好ましい範囲は100〜125である。
トナーの形状係数SF1は次のようにして求める。まず、スライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを介してルーゼック画像解析装置に取り込み、100個以上のトナーについて最大長(ML)及び投影面積(A)を測定し、(25π×ML2 /A)の平均値を求めて、トナーの形状係数SF1とした。
【0033】
本発明のトナーの表面性指標は2以下であることが好ましい。表面性指標が2を超えると、トナー表面の平滑性が損なわれ、外添に際して外添剤の埋没等が発生し、帯電性が低下することがある。表面性指標のより好ましい範囲は1.8以下である。
表面性指標は次のようして求める。コールターカウンターの各チャンネルの粒径とその粒径の粒子数を測定し、各粒子を球換算して比表面積計算値を求め、粒度分布をかみした比表面積計算値で比表面積実測値を割った次式の表面性指標値を用いた。
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2 )/〔ρ×Σ(n×R3 )〕
(式中、nはコールターカウンターにおけるチャンネル内の粒子数、
Rはコールターカウンターにおけるチャンネル粒径、
ρはトナー密度を表す。)
次いで、比表面積実測値は吸着法により求め次式から表面性指標値を求めた。(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値)
【0034】
本発明のトナーの帯電量は、20〜40μC/gの範囲が好ましい。帯電量が20μC/gを下回ると、背景汚れ(かぶり)が発生しやすくなり、40μC/gを超えると、画像濃度が低下しやすくなる。なお、帯電量のより好ましい範囲は15〜35μC/gである。また、本発明のトナーの夏場(高温高湿)における帯電量と、冬場(低温低湿)における帯電量との比率は、0.5〜1.5の範囲が好ましい。この範囲を外れると、帯電量の環境依存性が強くなり、帯電の安定性が欠けるため実用上好ましくない。なお、上記の帯電量の比率のより好ましい範囲は0.7〜1.3である。
【0035】
上記の特性を備えた黒色トナーは、次の方法で容易に製造することができる。この方法は、少なくとも1μm以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液、必要に応じて離形剤分散液を混合し、樹脂微粒子と着色剤を凝集させて凝集粒子分散液を調製した後、上記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合・合一してトナーを得るものである。ここで使用する着色剤は、上記のように、磁力が30Am2 /kg以下の黒色金属化合物微粒子を使用し、上記の凝集融合合一法で黒色金属化合物微粒子を結着樹脂中に均一に分散させることができ、トナーの誘電損率が50以下の黒色度、帯電性に優れた黒色トナーを容易に製造することができる。
【0036】
上記の樹脂微粒子分散液は一般に乳化重合などにより製造される。イオン性界面活性剤により分散させた樹脂微粒子分散液を用い、これと反対極性のイオン性界面活性剤で分散された黒色金属化合物微粒子分散液を調製し、両者を混合してヘテロ凝集を生じさせてトナー径に相当する凝集粒子を形成し、その後樹脂微粒子のガラス転移点以上に加熱することにより凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥して球形のトナー粒子を得る。
【0037】
また、製造プロセスは一括で混合し凝集してもよいし、凝集工程の初期において、各極性のイオン性分散剤の量のバランスを予めずらしておき、例えば硝酸カルシウム等の無機金属塩、若しくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、樹脂のガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集を形成して安定化させた後、第2段階としてバランスのずれを補填するような極性及び量の分散剤で処理された粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて母体又は追加粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させた後、樹脂のガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま融合合一させても良い。さらに、この凝集の段階的操作は複数回くり返して実施してもよい。
【0038】
本発明のトナーの製造に用いる樹脂微粒子の重合体には、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のポリオレフィン類などの単量体からなる重合体又はそれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、さらにはそれらの混合物を使用することができる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を使用することができる。
【0039】
ビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂微粒子分散液を調製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を調製することができる。
得られた樹脂微粒子の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)で測定することができる。
【0040】
本発明のトナーにおいては、トナー粒子中に離型剤を5〜25重量%含有させることができる。離型剤分散液は、樹脂微粒子分散液及び着色剤分散液とともに混合して凝集粒子中に離型剤を含有させてもよい。また、凝集粒子分散液に離型剤分散液を添加して凝集粒子表面に離型剤を付着させる場合は、その後に追加粒子分散液を添加して離型剤がトナー表面に露出しないようにすることが、帯電性、耐久性を確保するために好適である。
【0041】
本発明に使用できる離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークが50〜140℃にある物質が好ましい。50℃未満であると定着時にオフセットを生じやすくなる。また140℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性がえられず光沢性を損なうので好ましくない。本発明の主体極大ピークの測定には、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0042】
本発明に使用する離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。
【0043】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を作製することができる。
また、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)で測定される。
【0044】
本発明のトナーは、帯電性を一層向上安定化させるために、帯電制御剤を配合することができる。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や融合合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少を図るために、水に溶解しにくい材料を使用することが好適である。
【0045】
本発明のトナーは、帯電性を安定化するめに湿式法で無機微粒子を付着することができる。添加する無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することができる。
【0046】
また、本発明のトナーは、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様にトナー粒子乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断力を加えてトナー粒子表面に外添することも可能である。
【0047】
本発明のトナーの製造において、乳化重合、顔料分散、樹脂微粒子分散、離型剤分散、それらの凝集、又はその安定化などの目的で用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、また、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤を使用することができ、さらに、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、一般的なものを使用することができく
【0048】
凝集・融合終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は、帯電性の点からイオン交換水による十分な置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程に特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明を何ら限定するものではない。
(樹脂微粒子の調製)
スチレン(和光純薬社製) 325重量部
nブチルアクリレート(和光純薬社製) 75重量部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華社製) 9重量部
1’10デカンジオールジアクリレート(新中村化学社製) 1.5重量部
ドデカンチオール(和光純薬社製) 2.7重量部
以上の成分を混合溶解して原料溶液413.2重量部を用意し、アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ローディア社製)4重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、前記原料溶液を加えてフラスコ中で分散・乳化し、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して、アニオン性の樹脂微粒子分散液を得た。
得られた樹脂微粒子の中心粒径は196nm、固形分量は42%、ガラス転移点は51.5℃、重量平均分子量Mw32400であった。
【0050】
(マンガン含有ヘマタイトの調製)
濃度が1.30モル/リットルの硫酸第一鉄300リットルを予め攪拌機付反応器中に準備された水200リットル及び15.5Nの水酸化ナトリウム水溶液60リットルに加え、pH値が13以上、温度85℃において水酸化第一鉄を含む第一鉄塩水溶液を生成した。
上記の水酸化第一鉄を含む第一鉄塩水溶液に対し、温度90℃で毎分270リットルの空気を90分間通気してマグネタイト粒子を生成した。次いで、上記マグネタイト粒子29.6kgを含む水懸濁液500リットルに、濃度1.3モル/リットルの硫酸第一鉄水溶液100リットルと、濃度1.3モル/リットルを含む硫酸マンガン水溶液100リットル(Mn量はFe及びMnに対し20原子%に該当する)と、11.2Nの水酸化ナトリウム水溶液46リットル(添加Mn量と添加Fe2+量を中和する量に該当する)とを加え、pH値が13以上、温度90℃で毎分700リットルの空気を180分間通気してマンガン及び鉄の水酸化物で被覆してなるマグネタイト粒子を生成した。生成した粒子は、常法により、ろ別、水洗、乾燥、粉砕して黒色粉末を得た。この黒色粉末をセラミック製の炉心管を有する連続電気炉に通し、空気中で900℃、60分間の平均滞留時間を与えてマンガン含有ヘマタイトを得た。
得られたマンガン含有ヘマタイトは平均粒子径が0.25μm、蛍光X線分析の結果、マンガン含有量は14.8重量%であり、また、X線回折の結果、ヘマタイトのピークが認められた。
【0051】
(着色剤分散液(1) の調製)
上記のマンガン含有ヘマタイト(磁力0Am2 /g) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5重量部
イオン交換水 50重量部
以上の成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)で10分予備分散した後に、対向衝突型湿式粉砕機(アルティマイザー、杉野マシン社製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行って着色剤分散液(1) を得た。
得られた着色剤分散液(1) 中の着色剤の中心粒径は354nmであった。
【0052】
(着色剤分散液(2) の調製)
黒色水酸化鉄(オリエント化学社製、磁力0Am2 /g) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上の成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)で10分予備分散した後に、対向衝突型湿式粉砕機(アルティマイザー、杉野マシン社製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行って着色剤分散液(3) を得た。
得られた着色剤分散液(1) 中の着色剤の中心粒径は122nmであった。
【0053】
(着色剤分散液(3) の調製)
黒色酸化チタン(チタン工業社製、磁力0Am2 /g) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5重量部
イオン交換水 50重量部
以上の成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)で10分予備分散した後に、対向衝突型湿式粉砕機(アルティマイザー、杉野マシン社製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行って着色剤分散液(4) を得た。
得られた着色剤分散液(1) 中の着色剤の中心粒径は89nmであった。
【0054】
(着色剤分散液(4) の調製)
フェライト(三井金属社製、磁力78Am2 /g) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5重量部
イオン交換水 50重量部
以上の成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)で10分予備分散した後に、対向衝突型湿式粉砕機(アルティマイザー、杉野マシン社製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行って着色剤分散液(2) を得た。
得られた着色剤分散液(1) 中の着色剤の中心粒径は257nmであった。
【0055】
(離型剤分散液の調製)
ポリエチレン系ワックス(PW850 、東洋ペトロリウム社製) 200重量部
イオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製) 10重量部
イオン交換水 630重量部
以上の成分を130℃に加熱した後、ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社製)を用いて560kg/cm2 の圧力の下で30分間分散処理を行った。その後、50℃まで冷却して離型剤分散液を得た。
得られた離型剤分散液中の離型剤の中心粒径は200nmであり、固形分濃度は25重量%であった。
【0056】
〔実施例1〕
樹脂微粒子分散液 80重量部
着色剤分散液(1) 45重量部
離型剤分散液 36重量部
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックス(T50、IKA社製)を用いて十分に混合・分散した。
次いで、この分散液にポリ塩化アルミニウム0.4重量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続し、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら49℃まで加熱した。49℃で60分保持した後、さらに樹脂微粒子分散液を緩やかに31重量部を追加した。
その後、0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.4に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。
【0057】
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3リットルに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続して実施例1の黒色トナー粒子を得た。
【0058】
得られた黒色トナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50v は6.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.98であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は115.9で球状であることが観察された。また、トナーの着色剤濃度は28.4%、表面性指標は1.58、トナーの誘電損率は25であった。
【0059】
〔実施例2〕
実施例1において、着色剤分散液(1) の配合を45重量部から80.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の黒色トナー粒子を得た。
得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.96、SF1は129.7でポテト状であった。トナーの着色剤濃度は41.5%、表面性指標は1.78、トナーの誘電損率は48であった。
【0060】
〔実施例3〕
実施例1において、着色剤分散液(1) を着色剤分散液(2) に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の黒色トナー粒子を得た。
得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.97、SF1は118.3で球状であった。トナーの着色剤濃度は28.4%、表面性指標は1.71、トナーの誘電損率は26であった。
【0061】
〔実施例4〕
実施例1において、着色剤分散液(1) を着色剤分散液(3) に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の黒色トナー粒子を得た。
得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.98、SF1は118.3で球状であった。トナーの着色剤濃度は28.4%、表面性指標は1.70、トナーの誘電損率は38であった。
【0063】
〔比較例1〕
実施例1において、着色剤分散液(1) を着色剤分散液(4) に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の黒色トナー粒子を得た。
得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.33、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.91、SF1は145.3であった。トナーの着色剤濃度は51.2%、表面性指標は2.23、トナーの誘電損率は234であった。
【0065】
〔比較例
実施例1において、着色剤分散液(1) の配合を45重量部から118重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例の黒色トナー粒子を得た。得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.93、SF1は118.3で球状であった。トナーの着色剤濃度は51.0%、表面性指標は1.83、トナーの誘電損率は79であった。
【0066】
〔比較例
樹脂微粒子分散液の調製で得た樹脂固形分 477重量部
マンガン含有ヘマタイト 225重量部
(磁力0Am2 /g、中心粒径200nm)
ポリエチレン系ワックス(PW850 、東洋ペトロリウム社製) 90重量部
上記成分を200℃に加熱してバンバリーミキサーで溶融混練した後、常温まで冷却し、粉砕機(100AFG、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕し比較例の黒色トナー粒子を得た。
得られた黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は7.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.37、体積平均粒度分布指標GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比は0.92、SF1は143.7で不定形であった。トナーの着色剤濃度は28.4%、表面性指標は2.29、トナーの誘電損率は92であった。
【0067】
(現像剤の調製)
実施例1〜及び比較例1〜3のトナー粒子50gに対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)1.5gを添加し、サンプルミルを用いて混合して外添した。これらの外添トナーをポリメチルメタアクリレート(分子量50000、総研化学社製)を1%コートした平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合して実施例1〜及び比較例1〜3の現像剤を調整した。
【0068】
(定着性試験)
実施例1〜及び比較例1〜3の現像剤を富士ゼロックス社製のVivace555改造機に適用し、トナー載り量を4.5g/m2 に調整し、定着速度を180mm/secに設定して画出して定着画像の黒色度を目視で確認し、また、トナーのかぶり・飛散を調べて、結果を表1に記載した。
【0069】
【表1】
Figure 0003941389
【0070】
(評価)
実施例1〜の現像剤は、いずれも定着画像の黒色度は十分で、トナーのかぶり・飛散も認められず、良好な画像が形成されていた。
【0071】
一方、比較例1の現像剤のトナーは、着色剤として磁力が78emu/gのフェライトを使用したため、磁力の影響で帯電性がブロードとなってかぶりの発生要因となった。なお、着色剤濃度が51.2重量%と高いため、定着画像の黒色度は十分であった。しかし、体積平均粒度分布指標GSDvが1.33と高くなり、また、形状係数SF1も145.3と不定形を示し、表面性指標が2.23、誘電損率が234と極めて大きな値を示し、着色剤の分散性が低下していたため、かぶり・飛散が顕著に認められ、満足な画像を得ることはできなかった。
【0073】
比較例の現像剤のトナーは、実施例1と同じヘマタイトを着色剤として使用したが、着色剤濃度が51.0重量%と高いため、定着画像の黒色度は十分であった。しかし、着色剤の露出がみられ、帯電制御が不十分となったために、定着画像には、かぶり・飛散が顕著であり、満足な画像を形成することができなかった。
【0074】
比較例の現像剤のトナーは、実施例1と同じヘマタイトを着色剤として使用し、着色剤濃度も28.4重量%と本発明の範囲であったが、溶融混練法でトナーを製造したため、定着画像の黒色度は十分であったが、体積平均粒度分布指標GSDvが1.37と高くなり、また、形状係数SF1も143.7と不定形を示し、表面性指標が2.23、誘電損率が92と大きな値を示し、着色剤の分散性が低下しており、かつ着色剤の露出がみられ、帯電制御が不十分となったために、定着画像にはかぶり・飛散が顕著であり、満足な画像を形成することができなかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、黒色度、帯電性及び安全性に優れた静電荷像現像用黒色トナーを提供することができ、良好な黒色定着画像の形成を可能にした。

Claims (5)

  1. 着色剤を樹脂中に分散してなる静電荷像現像用黒色トナーにおいて、前記着色剤として磁力が30Am/kg以下の黒色金属化合物微粒子を用い、前記トナー中の前記着色剤の含有量は、15〜45重量%であり、前記トナーの形状係数SF1が100〜135の範囲であり、前記トナーの表面性指標が2以下であり、前記トナーの誘電損率が50以下であることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナー。
  2. 前記黒色金属化合物微粒子が黒色水酸化鉄、黒色酸化チタン及びヘマタイトの群から選択される1種以上のものであることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用黒色トナー。
  3. 少なくとも1μm以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液とを混合し、樹脂微粒子及び着色剤を凝集して凝集粒子分散液を形成した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合・合一してトナー粒子を形成する静電荷像現像用黒色トナーの製造方法において、前記着色剤として磁力が30Am2 /kg以下の黒色金属化合物微粒子を用い、前記着色剤を前記トナー中に15〜45重量%配合し、表面性指標が2以下であり、誘電損率が50以下のトナー粒子を製造することを特徴とする静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
  4. キャリアとトナーとからなる静電荷像現像用現像剤において、前記トナーが請求項1又は2記載の静電荷像現像用黒色トナーであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  5. 静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤で前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記転写体上のトナー画像を定着する工程、及び、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤として請求項4記載の静電荷像現像用現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
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