JP3800955B2 - 静電荷像現像用黒色トナー及び製造方法、並びに画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用黒色トナー及び製造方法、並びに画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成される静電潜像を現像剤で現像する際に用いられる静電荷像現像用黒色トナー及びその製造方法、静電荷像現像用現像剤、並びに、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法は、帯電工程、露光により感光体上に静電荷像を形成する工程、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記トナー画像を定着する工程を経て可視化される。
【0003】
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。トナーは通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕・分級する混練粉砕法で製造される。そして、必要に応じて流動性やクリーニング性を改善するために、無機微粒子や有機微粒子をトナー粒子表面に外添する。これらの方法はかなり優れたトナーを製造できるが、次のような問題点を有する。
【0004】
通常の混練粉砕法で得たトナー形状は不定形となり、使用する材料の粉砕性や粉砕工程の条件によりトナーの形状及び表面構造が微妙に変化するため、これらを意図的に制御することは困難である。また、混練粉砕法は、混練・粉砕に適さない材料を使用することができないため、材料の選択に大きな制約がある。具体的には、樹脂着色剤混練物が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕できる材料でなければ使用することができない。一方、このような要求を満たすために、樹脂着色剤混練物を脆くすると、現像機中でトナーに加わる機械的せん断力などにより、微粉を発生したり、トナー形状に変化をきたすことがある。
【0005】
これらの影響は、2成分現像剤においては、前記微粉がキャリア表面に固着して現像剤の帯電劣化を加速したり、1成分現像剤においては、粒度分布を拡大してトナー飛散を生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下を来し、画質の劣化の要因となる。また、ワックスなどの離型剤を多量に内添するトナーは、離型剤と熱可塑性樹脂との組み合せによっては、トナー表面への離型剤の露出が問題になることが多い。特に、高分子量成分により弾性を増加させたやや粉砕されにくい樹脂と、ポリエチレンのように脆いワックスとの組み合せでは、トナー表面にポリエチレンの露出が多く見られる。このようなトナーは、定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのクリーニング性は有利であるが、トナー表面のポリエチレンが現像機中で機械力を受けて現像ロールや感光体、キャリアに容易に移行して汚染し易くなり、信頼性の低下につながる。
【0006】
さらに、トナー形状が不定形であると、流動性助剤を添加しても流動性を充分に確保することができない。また、現像機中の機械的せん断力でトナー表面の微粒子がトナー凹部分に移動して経時的に流動性を低下させたり、流動性助剤がトナー内部に埋没して、現像性、転写性、クリーニング性を悪化する。また、クリーニングにより回収されたトナーを再び現像機に戻して使用するときに、画質の低下を生じやすい。これらを防ぐために、流動性助剤の使用量を増加すると感光体に黒点が発生したり、助剤粒子が飛散するなどの問題がある。
【0007】
近年、トナー形状及び表面構造を意図的に制御する方法として、乳化重合凝集法でトナーの製造方法が提案されている(特開昭63−282752号公報、特開平6−250439号公報)。これらは、乳化重合などにより樹脂微粒子分散液を調製し、他方、着色剤を溶媒に分散した着色剤分散液を調製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱して凝集粒子を融合・合一してトナーを製造する方法である。この方法によって、トナー粒径の小径化を容易にし、シャープな粒度分布を有する極めて優れたトナーが得ることができる。
【0008】
また近年は、高画質化への要求の高まり、特にカラー画像の形成に対応して、高精細な画像を実現するために、トナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来の粒度分布のままで単純にトナーの小径化を図っても、微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染、トナー飛散などの問題が顕著になり、高画質と高信頼性を同時に実現することは困難であった。これらの問題を解決するためには、トナーの粒度分布をシャープにし、かつ小粒径化を可能にすることが重要になる。凝集融合合一法はこれらの点に応えるものであり、極めて有利な方法である。
【0009】
他方近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、カラー画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後、オリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各現像剤を用い減色混合作用を利用して現像する方法がある。この方法は、従来の白黒機に比して多量の現像剤を転写する必要があり、また、潜像の小さなドット径に対応させる必要があるため、トナーの均一帯電性、持続性、トナーの強度、粒度分布のシャープネスがますます重要になりつつある。
【0010】
さらに、これらの複写機の高速化や省エネルギー化の傾向を視野に入れると、従来法に比べて一層の低温定着性が必要となる。これらの点からも、粒度分布がシャープで小粒子径のトナーの製造に適した凝集融合合一法が注目されるようになった。そして、凝集融合合一法は、その構成材料が、例えば、界面活性剤等を用いて水に容易に分散できればよく、それ以上の制約がないため、構成材料の選択範囲が極めて広いという利点かある。
【0011】
従来、黒色を発現する方法としては、黒色磁性粉を添加する黒色トナーを使用する方法や、フルカラートナーの分野では、溶融混練法で製造したシアン・マゼンタ・イエローの各色のトナーを画像上で重ね合わせ、減色混合作用によってプロセス黒として黒色を発現させる方法が実用化されている。しかし、3色のトナーの帯電性は着色剤の違いにより微妙に変化し、ドット再現性の僅かのずれによっても黒味が変化するという問題があった。
【0012】
また、シアン・マゼンタ・イエローの各色の着色剤を結着樹脂中に溶融混練して黒色トナーを製造する方法もあるが、それぞれの着色剤の分散性の違いにより、トナー中の分散径や分散状態が異なるため、適切な黒色を発現させることが極めて難しく、顔料が表面に露出して帯電性を損なうこともある。
そこで、特開平11−194577号公報では、混練粉砕法でトナーを製造するときに、着色剤に分散助剤を適用し、溶融混練時間や温度を調整して3色の着色剤の分散性を調整することが提案された。しかし、溶融混練法では、3色の着色剤の分散径や分散状態を均一にすることは難しく、着色剤がトナー表面に露出してトナーの帯電を低下させ、かつ、帯電分布がブロード化してかぶりや飛散の要因となり、また、黒色度も十分には得られず、分散助剤の使用や混錬時間の延長等によるコストアップを誘発するばかりでなく、生産性も低下するという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消し、3色の着色剤の分散径や分散状態を均一にし、黒色度及び帯電性に優れた静電荷像現像用黒色トナー、及びその製造方法、現像剤、並びに、画像形成方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の構成を採用することにより、上記課題の解決に成功した。
(1) 青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤を含有してなる静電荷像現像用黒色トナーにおいて、青色着色剤としてフタロシアニン顔料を、赤色着色剤としてキナクリドン系顔料を、黄色着色剤としてアゾ系顔料を用い、前記赤色着色剤を100重量部に対して前記黄色着色剤及び前記青色着色剤をそれぞれ20〜70重量部、前記黄色着色剤と前記青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00、かつ前記着色剤の総添加量を樹脂100重量部に対して5〜15重量部で混合してなり、かつ前記トナーの誘電損率が50以下であることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナー。
【0015】
(2) 前記トナーの体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下で、GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が0.95以上であることを特徴とする前記(1) 記載の静電荷像現像用黒色トナー。
(3) 前記トナーの表面性指標が2以下であることを特徴とする前記(1) 又は (2) 記載の静電荷像現像用黒色トナー。
(4) 前記トナーの形状係数SF1が100〜125の範囲にあることを特徴とする前記(1) 〜(3) のいずれか1つに記載の静電荷像現像用黒色トナー。
【0016】
(5) 少なくとも1μm以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、青色着色剤分散液、赤色着色剤分散液及び黄色着色剤分散液とを混合し、樹脂微粒子と3色の着色剤を凝集して凝集粒子分散液を形成した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合・合一してトナー粒子を形成する静電荷像現像用黒色トナーの製造方法において、前記青色着色剤としてフタロシアニン顔料、前記赤色着色剤分散液としてキナクリドン系顔料、黄色着色剤分散液としてアゾ系顔料を使用し、前記赤色着色剤を100重量部に対して前記黄色着色剤及び前記青色着色剤をそれぞれ20〜70重量部、前記黄色着色剤と前記青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00、かつ、前記着色剤の総添加量が樹脂100重量部に対して5〜15重量部で混合して前記凝集粒子分散液を調製し、前記融合合一工程を経てトナー粒子の損失誘電率が50以下のトナー粒子を得ることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
【0017】
(6) 前記樹脂微粒子分散液及び前記3色の着色剤分散液に離型剤分散液を混合し、樹脂微粒子、3色の着色剤及び離型剤を凝集して凝集粒子分散液を形成することを特徴とする前記(5) 記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
(7) 前記樹脂微粒子分散液及び前記3色の着色剤分散液に、離型剤分散液及び無機化合物微粒子分散液を混合し、樹脂微粒子、3色の着色剤、離型剤及び無機化合物微粒子を凝集して凝集粒子分散液を形成することを特徴とする前記(5) 又は(6) 記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
(8) 前記凝集粒子分散液に樹脂微粒子分散液を加えて前記凝集粒子表面に樹脂微粒子を付着した後,前記付着粒子を前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合・合一してトナー粒子を形成するすることを特徴とする前記(5) 〜(7) のいずれか1つに記載の静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
【0018】
(9) キャリア及びトナーを含有する静電荷像現像用現像剤において、前記トナーが前記(1) 〜(4) のいずれか1つに記載のトナーであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
(10)前記キャリアが樹脂被覆層を有することを特徴とする前記(9) 記載の静電荷像現像用現像剤。
【0019】
(11)静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤で前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記転写体上のトナー画像を定着する工程、及び、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤として前記(9) 又は(10)記載の静電荷像現像用現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上記問題点を克服するために鋭意検討した結果、特定の3色の着色剤を特定の配合比で組み合わせ、特定濃度で添加し、かつ、トナーの誘電損率を50以下、トナーの含水率を0.5重量%以下にすることにより、黒色度及び帯電性に優れた静電荷像現像用黒色トナーの提供を可能にした。
【0021】
本発明で使用する着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、トナー中の分散性を考慮し、青色顔料としてフタロシアニン顔料を、赤色顔料としてキナクリドン系顔料を、黄色顔料としてアゾ系顔料を選択して組み合わせた。本発明で使用するフタロシアニン顔料を例示すると(B15:3)、キナクリドン系顔料を例示するとPR122、PR202などを、また、アゾ系顔料を例示するとPY74、PY93などを挙げることができる。上記の顔料の組み合わせは、本発明のトナーの湿式製造方法への適用性に優れ、かつトナー中の顔料の分散径によって着色力の制御が容易であることから、黒色再現性が高い。
【0022】
本発明における3色の顔料の配合比は、赤色着色剤100重量部に対して黄色着色剤及び青色着色剤を20〜70重量部で、黄色着色剤と青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00の範囲、これらの着色剤の総添加量が樹脂100重量部に対して5〜15重量部添加することにより、黒色度及び帯電性に優れた静電荷像現像用黒色トナーの提供を可能にした。ここで、黄色着色剤と青色着色剤の重量混合比とは、(黄色着色剤配合量)/(青色着色剤配合量)で表される。なお、赤色着色剤100重量部に対する黄色着色剤及び青色着色剤の好ましい配合量は25〜70重量部であり、黄色着色剤と青色着色剤の好ましい重量混合比は0.75〜1.00の範囲であり、かつ、着色剤の総添加量の好ましい範囲は5〜15重量部である。
【0023】
赤色着色剤100重量部に対する黄色着色剤及び青色着色剤の配合比が、20重量部を下回ると、十分な黒色度が得られず、70重量部を超えると、黒色度が得らないばかりでなく、着色剤が露出して帯電性を低下させる要因となる。
また、黄色着色剤と青色着色剤の重量混合比が0.75を下回ると、色調が赤味を帯びて十分な黒色度を得ることができない。また、1.00を超えると、線方向に色調がずれ、十分な黒色度が得られない。
さらに、着色剤の総添加量が5重量部を下回ると十分な黒色度を得ることができず、15重量部を超えるとトナー形状の制御性が低下し、着色剤がトナー表面近傍に偏析して帯電性に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0024】
これらの着色剤は、公知の方法で分散することができるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
また、これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用い、前記ホモジナイザーによって水系に分散することが好ましい。
【0025】
本発明の黒色トナーは、上記の3色の着色剤を結着樹脂中に均一に分散させることが重要である。着色剤の分散性はトナーの誘電損率と相関関係を有する。本発明では、トナーの誘電損率を50以下にすることにより、着色剤の均一分散性を確認することができ、かつ、上記の3色着色剤の配合比及び着色剤の総添加量を満たすことにより黒色の発現を可能にし、トナーの抵抗の低下を抑制し、転写性を良好に保ち、トナーの注入かぶりを防止することができる。なお、トナーの誘電損率の好ましい範囲は30以下である。
【0026】
上記の誘電損率の測定は、トナー粉体を錠剤に成形し、錠剤の含水率を0.5重量%以下に調整し、これを誘電体測定用電極に設置し、100kHzまでの交流電場にかけて測定する。具体的には、トナー5gをペレットに成形し、固体用電極(安藤電気社製、4274A)間にセットし、電気伝導度計(横川ヒューレットパッカード社製)で5Vの電圧を印加して伝導度を測定し、下記式で誘電損率を求めた。
誘電損率=〔14.39/(W×D2 )〕×Gx ×Tx ×1010
(式中、W=2πf、f:測定周波数100kHz、D:電極直径(cm)、Gx :試料の伝導度(s)、Tx :試料のペレットの厚さ(cm)を表す)なお、含水率は1gを精確に秤量してこれをW1 とし、110℃で1時間乾燥した後の乾燥減量をW2 とするときに次式で含水率を求めることができる。
含水率(重量%)=〔(W1 −W2 )/W1 〕×100
【0027】
本発明の黒色トナーは、体積平均粒径D50v を3〜9μm、体積平均粒度分布指標GSDvを1.30以下に制御し、かつ、GSDvと個数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)を0.95以上とし、形状係数SF1を100〜125の範囲に制御することにより、黒色性、帯電性、安全性に優れた静電荷像現像用黒色トナーを容易に得ることができる。
【0028】
50v が3μmを下回ると、帯電性が不十分となり、現像性が低下することがある。また、9μmを超えると、画像の解像性が低下する。GSDvが1.30を超えると、解像性が低下し、(GSDv/GSDp)が0.95を下回ると、帯電性が低下してトナー飛散・かぶり等の画像欠陥の原因となる。また、SF1が125を超えると、転写性が低下する。なお、体積平均粒径D50の好ましい範囲は3〜8μmであり、GSDvの好ましい範囲は1.30以下、(GSDv/GSDp)の好ましい範囲は0.96以上であり、形状係数SF1の好ましい範囲は115〜120である。
【0029】
本発明の粒径、粒度分布指標は、例えば、コールターカウンター(日科機社製、TAII)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器を用いて測定される粒度分布を分割された粒径範囲(チャネル)に対し、体積、個数をそれぞれ小径側からの累積分布を描き、累積16%となる体積平均粒径をD16v 、個数平均粒径をD16p 、累積50%となる体積平均粒径をD50v 、個数平均粒径をD50p 、累積84%となる体積平均粒径をD84v 、個数平均粒径をD84p と定義し、体積平均粒度分布指標GSDvは(D84v /D16v 0.5 、体積平均粒度分布指標GSDpは(D84p /D16p 0.5 より算出される。
【0030】
また、トナーの形状係数SF1は次のようにして求める。まず、スライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを介してルーゼック画像解析装置に取り込み、100個以上のトナーについて最大長(ML)及び投影面積(A)を測定し(25π×ML2 /A)の平均値を求めてトナーの形状係数SF1とした。
【0031】
本発明のトナーの表面性指標は2以下であることが好ましい。表面性指標が2を超えると、トナー表面の平滑性が損なわれ、外添に際して外添剤の埋没等が発生し、帯電性が低下することがある。表面性指標の好ましい範囲は1.8以下である。なお、表面性指標は次のようにして求める。即ち、コールターカウンターの各チャンネルの粒径とその粒径の粒子数を測定し、各粒子を球換算して比表面積計算値を求め、粒度分布をかみした比表面積計算値で比表面積実測値を割った次式の表面性指標値を用いた。
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2 ) /{ρ×Σ(n×R3 ) }
(式中、nはコールターカウンターにおけるチャンネル内の粒子数、
Rはコールターカウンターにおけるチャンネル粒径、ρはトナー密度を表す)
次いで、比表面積実測値は吸着法により求め次式から表面性指標値を求めた。
(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値)
【0032】
本発明のトナーの帯電量は、20〜40μC/gの範囲が好ましい。帯電量が20μC/gを下回ると、背景汚れ(かぶり)が発生しやすくなり、40μC/gを超えると、画像濃度が低下しやすくなる。なお、帯電量の好ましい範囲は、15〜35μC/gである。また、本発明のトナーの夏場(高温高湿)における帯電量と、冬場(低温低湿)における帯電量との比率は、0.5〜1.5の範囲が好ましい。この範囲を外れると、帯電性の環境依存性が強くなり、帯電の安定性に欠け実用上好ましくない。
【0033】
本発明の静電荷像現像用黒色トナーは次のようにして製造することができる。少なくとも1ミクロン以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液、及び、フタロシアニン顔料(B15:3)、キナクリドン系顔料及びアゾ系顔料からなる3色それぞれの着色剤分散液、必要に応じて離形剤分散液を加えて混合し、樹脂微粒子と着色剤、又は樹脂微粒子と着色剤と離型剤を凝集して凝集粒子分散液を形成した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱せしめ融合・合一してトナー粒子を得るか、凝集粒子分散液にさらに樹脂微粒子分散液を添加して凝集粒子表面に樹脂微粒子を付着した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱せしめ融合・合一してトナー粒子を得る。これらの方法により、前記3色の着色剤をトナー粒子中に均一に分散させることができるので、前記の物性を備え、黒色度及び帯電性に優れた静電荷像現像用黒色トナーを確実に製造することができる。
【0034】
前記樹脂微粒子は、一般に乳化重合などにより製造される。製造された樹脂微粒子はイオン性界面活性剤で予め樹脂微粒子分散液を調製し、これとは反対極性のイオン性界面活性剤に分散した前記の青色、赤色、黄色の着色剤をそれぞれ分散した3つの着色剤分散液を調製し、これらを混合してヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径に相当する凝集粒子を形成し、その後、樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱することにより凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥してトナー粒子を得る。
【0035】
また、製造プロセスは一括で混合し凝集してもよいし、凝集工程の初期において、各極性のイオン性分散剤量のバランスを予めずらしておき、例えば硝酸カルシウム等の無機金属塩、若しくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、ガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集を形成し安定化させた後、第2段階としてバランスのずれを補填するような極性及び量の分散剤で処理した粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて母体又は追加粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下の温度で僅かに加熱して、より高温で安定化させた後、ガラス転移点以上に加熱することにより、凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま融合合一させてもよい。さらに、この凝集を段階的操作で複数回くり返し実施してもよい。
【0036】
本発明に用いる樹脂微粒子に使用される重合体には、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などの重合体又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、それらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいは、これらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0037】
ビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂微粒子分散液を調製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子を分散させ、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を調製することができる。
得られた樹脂微粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定される。
【0038】
本発明のトナーにおいては、トナー粒子中に離型剤を5〜25重量%含有させることができる。離型剤分散液は、樹脂微粒子分散液及び着色剤分散液とともに混合して凝集粒子中に離型剤を分散させる。また、凝集粒子分散液に離型剤分散液を添加して凝集粒子表面に離型剤を付着させる場合は、その後に追加粒子分散液を添加して離型剤がトナー粒子表面に露出しないようにすることが、帯電性、耐久性を確保するために好適である。
【0039】
本発明に使用できる離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークが50〜140℃にある物質が好ましい。50℃未満であると定着時にオフセットを生じやすくなる。140℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性がえられず光沢性を損なうので好ましくない。
本発明の主体極大ピークの測定には、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0040】
本発明に使用する離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。
【0041】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を作製することができる。
また、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定される。
【0042】
本発明のトナーは、帯電性を一層向上安定化させるために、帯電制御剤を配合することができる。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染の減少を図るために、水に溶解しにくい材料を使用することが好適である。
【0043】
本発明のトナーは、帯電性を安定化するためにトナー粒子表面に湿式で無機微粒子を付着させることができる。添加する無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使されるすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することができる。
【0044】
また、本発明のトナーは、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様にトナー粒子乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断力を加えてトナー粒子表面に外添することも可能である。
【0045】
本発明のトナーの製造において、乳化重合、顔料分散、樹脂微粒子分散、離型剤分散、それらの凝集、又はその安定化などの目的で用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、また、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤などを使用することができ、さらに、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーや、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用することができる。
【0046】
凝集・融合終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は、帯電性の点からイオン交換水による十分な置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程に特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明するが、これらにより本発明が限定されるものではない。
(樹脂微粒子分散液の調製)
スチレン(和光純薬製) 325重量部
nブチルアクリレート(和光純薬製) 75重量部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 9重量部
1'-10-デカンジオールジアクリレート(新中村化学製) 1.5重量部
ドデカンチオール(和光純薬製) 2.7重量部
以上の成分を混合溶解して原料溶液413.2重量部用意し、アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ローディア社製)4重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、前記原料溶液を加えてフラスコ中で分散・乳化し、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続してアニオン性の樹脂微粒子分散液を得た。
得られた樹脂微粒子の中心粒径は196nm、固形分量は42%、ガラス転移点は51.5℃、重量分子量Mwは32400であった。
【0048】
(赤色着色剤分散液の調製)
赤色顔料(ブリリアントレッドR122:クラリアント社製) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上の成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス)により10分間分散して中心粒径121nmの赤色着色剤分散液を得た。
【0049】
(青色着色剤分散液の調製)
青色顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化社製) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上の成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス)により10分間分散して中心粒径172nmの青色着色剤分散液を得た。
【0050】
(黄色着色剤分散液の調製)
黄色顔料(ハンザイエローY74:クラリアント社製) 45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上の成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス)により10分間分散して中心粒径112nmの黄色着色剤分散液を得た。
【0051】
(離型剤分散液の調製)
ポリエチレン系ワックス(PW725、東洋ペトロライト社製)45重量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上の成分を混合し、130℃に加熱した後、ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社製)で圧力150kg/cm2 の下で15分間分散して常温まで冷却し、中心粒径180nmの離型剤分散液を得た。
【0052】
〔実施例1〕
樹脂微粒子分散液 80重量部
赤色着色剤分散液 22.4重量部
青色着色剤分散液 6.4重量部
黄色着色剤分散液 6.4重量部
離型剤分散液 40重量部
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックス(IKA社製、T50)で十分に混合・分散した。
【0053】
次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.4重量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、さらに樹脂微粒子分散液を緩やかに31重量部を追加した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.4に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。
【0054】
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3リットルに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続して実施例1の黒色トナー粒子を得た。
【0055】
トナー粒子の粒径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50v は6.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21、GSDv/GSDpは0.98、表面性指標は1.57であった。ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は118.3で球形であることが観察された。また、トナー粒子の着色剤濃度は10.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量はいずれも29重量部であり、トナー粒子の誘電損率は24.2であった。
【0056】
〔実施例2〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を13.4重量部に、青色着色剤分散液の配合量を3.4重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を3.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の黒色トナー粒子を得た。
得られたは黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21、GSDv/GSDpは0.97、表面性指標は 1.53であり、形状係数SF1は118.3で球形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は6.8重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量はいずれも25重量部であり、トナー粒子の誘電損率は 14.7であった。
【0057】
〔実施例3〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を33.6重量部に、青色着色剤分散液の配合量を8.6重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を8.6重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の黒色トナー粒子を得た。
得られたは黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20、GSDv/GSDpは0.99、表面性指標は 1.93であり、形状係数SF1は116.3で球形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は14.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量はいずれも26重量部であり、トナー粒子の誘電損率は42.6であった。
【0058】
〔実施例4〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を10.7重量部に、青色着色剤分散液の配合量を7.1重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を5.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の黒色トナー粒子を得た。
得られたは黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.23、GSDv/GSDpは0.96、表面性指標は 1.65であり、形状係数SF1は116.3で球形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は7.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量は66重量部及び51重量部であり、トナー粒子の誘電損率は19.2であった。
【0059】
〔実施例5〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を7.3重量部に、青色着色剤分散液の配合量を5.1重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を4.7重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の黒色トナー粒子を得た。
得られたは黒色トナー粒子の体積平均粒径D50v は6.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21、GSDv/GSDpは0.98、表面性指標は1.76であり、形状係数SF1は115.7で球形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は7.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量は70重量部及び64重量部であり、トナー粒子の誘電損率は18.2であった。
【0060】
〔比較例1〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を18.5重量部に、青色着色剤分散液の配合量を15.5重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を13.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナー粒子を得た。
得られたはトナー粒子の体積平均粒径D50v は6.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.31、GSDv/GSDpは0.94、表面性指標は2.34であり、形状係数SF1は137.2の不定形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は15.5重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量は84重量部及び73重量部であり、トナー粒子の誘電損率は54.2であった。
【0061】
〔比較例2〕
実施例1において、赤色着色剤分散液の配合量を3.2重量部に、青色着色剤分散液の配合量を6.2重量部に、黄色着色剤分散液の配合量を1.6重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナー粒子を得た。
得られたはトナー粒子の体積平均粒径D50v は6.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21、GSDv/GSDpは0.96、表面性指標は1.66であり、形状係数SF1は117.2の球形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は3.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量は194重量部及び50重量部であり、トナー粒子の誘電損率は13.9であった。
【0062】
〔比較例3〕
実施例1において、黄色着色剤をY74からPY180に変更した以外は実施例1と同様にして比較例3のトナー粒子を得た。
得られたはトナー粒子の体積平均粒径D50v は6.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.23、GSDv/GSDpは0.97、表面性指標は1.71であり、形状係数SF1は120.0であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は10.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量はともに29重量部であり、トナー粒子の誘電損率は25.9であった。
【0063】
〔比較例4〕
実施例1で得た樹脂固形分 400重量部
赤色顔料(ブリリアントレッドR122:クラリアント社製)224重量部
青色顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化社製) 64重量部
黄色顔料(ハンザイエローY74:クラリアント社製) 64重量部
離型剤固形分(ワックスPW850:東洋ペトロライト社製) 40重量部
上記成分を200℃でバンバリーミキサーを用いて溶融混練し、常温まで冷却した後、粉砕機(100AFG:ホソカワミクロン社製)で粉砕して比較例4のトナー粒子を得た。
【0064】
得られたはトナー粒子の体積平均粒径D50v は7.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.37、GSDv/GSDpは0.89、表面性指標は2.64であり、形状係数SF1は145.3の不定形であった。また、トナー粒子の着色剤濃度は10.9重量%、赤色着色剤100重量部に対する青色着色剤及び黄色着色剤の配合量はいずれも29重量部であり、トナー粒子の誘電損率は92.0であった。
【0065】
(現像剤の調製)
実施例1〜5及び比較例1〜4のトナー粒子50gに対し、疎水性シリカ(TS720、キャボット社製)2.5gを添加し、サンプルミルで混合して外添した。この外添トナーを、ポリメチルメタアクリレート(重量平均分子量50000、総研化学社製)を1%コートした平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合して実施例1〜5及び比較例1〜4の現像剤を調製した。
【0066】
(定着性試験)
実施例1〜5及び比較例1〜4の現像剤を富士ゼロックス社製のAカラー改造機に適用し、トナー載り量を4.5g/m2 に調整し、定着速度180mm/secで画出して定着画像の黒色度を目視で確認し、また、トナーのかぶり・飛散を調べて、結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
Figure 0003800955
【0068】
(評価)
表1から明らかなように、実施例1〜5の現像剤は、いずれも定着画像の黒色度は十分であり、トナーのかぶり・飛散も認められなかった。
一方、比較例1の現像剤のトナーは青色顔料と黄色顔料の配合割合が多いため、定着画像は青味が強く、また、着色剤の総添加量も15.5重量%と多いため、形状係数SF1も137.2と不定形となり、トナーのかぶり・飛散が認められ、満足な画像を得ることができなかった。比較例2の現像剤のトナーは青色顔料が193重量部と非常に多いため、定着画像の黒色度が低く青灰色の画像となった。比較例3の現像剤のトナーの3色の配合割合は、本発明の範囲であったが、黄色着色剤をY74からPY180に変更したため発色性が低下し、定着画像の黒色度は低く赤味かかった灰色の画像であった。また、比較例4の現像剤のトナーの3色の配合割合は、本発明の範囲であったため、定着画像は黒色であったが、注意深く観察すると3色の顔料の分散状態が不均一であるため、黒色の中に赤、青、黄色などのさまざまな色が観察され、かつ、トナー表面への顔料の露出が見られ、帯電性の分布が広がったため、トナーのかぶり・飛散が認められた。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、3色の着色剤を均一に分散させることができ、黒色度及び帯電性に優れた静電荷像現像用黒色トナーを提供することができ、良好な黒色定着画像の形成を可能にした。

Claims (4)

  1. 青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤を含有してなる静電荷像現像用黒色トナーにおいて、青色着色剤としてフタロシアニン顔料を、赤色着色剤としてキナクリドン系顔料を、黄色着色剤としてアゾ系顔料を用い、前記赤色着色剤100重量部に対して前記黄色着色剤及び前記青色着色剤をそれぞれ20〜70重量部、前記黄色着色剤と前記青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00、かつ前記着色剤の総添加量を樹脂100重量部に対して5〜15重量部で混合してなり、かつ前記トナーの誘電損率が50以下であることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナー。
  2. 少なくとも1μm以下の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、青色着色剤分散液、赤色着色剤分散液及び黄色着色剤分散液とを混合し、樹脂微粒子と3色の着色剤を凝集して凝集粒子分散液を形成した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し融合・合一してトナー粒子を形成する静電荷像現像用黒色トナーの製造方法において、前記青色着色剤としてフタロシアニン顔料、前記赤色着色剤分散液としてキナクリドン系顔料、黄色着色剤分散液としてアゾ系顔料を使用し、前記赤色着色剤を100重量部に対して前記黄色着色剤及び前記青色着色剤をそれぞれ20〜70重量部、前記黄色着色剤と前記青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00、かつ、前記着色剤の総添加量が樹脂100重量部に対して5〜15重量部で混合して前記凝集粒子分散液を調製し、前記融合合一工程を経てトナー粒子の損失誘電率が50以下のトナー粒子を得ることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナーの製造方法。
  3. キャリア及びトナーを含有する静電荷像現像用現像剤において、前記トナーが請求項1記載のトナーであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  4. 静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤で前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記転写体上のトナー画像を定着する工程、及び、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程を含む画像形成方法において、前記現像剤として請求項3記載の静電荷像現像用現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
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