JP2001305789A - 静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法 - Google Patents

静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法

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JP2001305789A
JP2001305789A JP2000116589A JP2000116589A JP2001305789A JP 2001305789 A JP2001305789 A JP 2001305789A JP 2000116589 A JP2000116589 A JP 2000116589A JP 2000116589 A JP2000116589 A JP 2000116589A JP 2001305789 A JP2001305789 A JP 2001305789A
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Hisae Yoshizawa
久江 吉沢
Yasuo Sumikura
康夫 角倉
Masaaki Suwabe
正明 諏訪部
Shuji Sato
修二 佐藤
Yasuo Matsumura
保雄 松村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電均一性、環境変化に対する帯電安定性に
優れ、いかなる環境下においても適正で安定な画像濃度
を維持でき、かぶり、飛散等もなく、転写性に優れた静
電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像
剤、並びに画像形成方法を提供しようとするものであ
る。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有する
静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子表面に存在
する結着樹脂のカルボキシル基が2価以上の金属と塩を
形成してなり、夏場環境における帯電量と冬場環境にお
ける帯電量の比が0.4以上である静電荷像現像用トナ
ー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法又は静
電記録法等で静電潜像を形成し、現像剤で現像する際に
用いる静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷
像現像剤、並びに画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法など静電荷像を経て画像情報
を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されてい
る。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体
上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像
を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。これら
のトナーは、必要に応じて流動性、クリーニング性、帯
電特性などを改善する目的で、無機微粒子や有機微粒子
をトナー粒子表面に添加することがある。
【0003】帯電性やその環境安定性を改善する目的で
トナー粒子に添加する微粒子の例として、各種金属酸化
物、特定のシランカップリング剤、シリコンオイル、有
機酸などで表面処理した酸化チタン、酸化シリカ、酸化
亜鉛などの無機微粒子を用いることが提案されている
(特開昭64-62667号公報)。また、表面処理酸化チタン
を外添したトナー粒子と、フッ素系樹脂を含有するキャ
リアを組み合わせた現像剤も提案されている(特開平4-
452 号公報)。しかし、これら従来の無機微粒子の外添
トナーは、帯電特性が必ずしも満足できるものでなく、
連続複写時にかぶり等の画像よごれが発生したり、使用
環境条件によっては、安定したコピー濃度が得られず、
更にトナーや遊離した微粒子が機内に飛散して複写機内
部を汚染する問題があった。
【0004】一方、凝集融合合一法により製造したトナ
ー粒子分散液に金属ハロゲン化物又はその塩と、アルカ
リ塩基とサリチル酸の混合物、カテコールなどを混合し
て約25〜80℃で処理することにより、帯電強化物質
であるキレートを生成してトナー粒子表面に結合する方
法が提案されているが(特開平11―311878号公報)、処
理法が煩雑である。
【0005】また、画像の高画質化のために、トナー小
粒径化が進められてきているが、粒径の小さな荷電性微
粒子を摩擦帯電させると帯電のばらつきが大きく、環境
変動に対しても不安定で、かぶりや、飛散の原因ともな
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の問題点を解消し、帯電均一性、環境変化に対する帯
電安定性に優れ、いかなる環境下においても適正で安定
な画像濃度を維持でき、かぶり、飛散等もなく、転写性
に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電
荷像現像剤、並びに画像形成方法を提供しようとするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は下記の構成
を採用することにより上記の課題の解決に成功した。 (1) 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有する静電荷像現
像用トナーにおいて、トナー粒子表面に存在する結着樹
脂のカルボキシル基が2価以上の金属と塩を形成してな
り、夏場環境(28℃、85%)における帯電量と冬場
環境(10℃、15%)における帯電量の比が0.4以
上であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0008】(2) 前記2価以上の金属がアルカリ土金属
であることを特徴とする前記(1) 記載の静電荷像現像用
トナー。 (3) 前記アルカリ土金属がカルシウムであることを特徴
とする前記(2) 記載の静電荷像現像用トナー。 (4) 前記帯電量の絶対値が10〜40μC/gの範囲に
あることを特徴とする前記(1) 〜(3) のいずれか1つに
記載の静電荷像現像用トナー。
【0009】(5) 1μm以下の樹脂微粒子分散液及び着
色剤分散液を混合し、凝集剤を添加して凝集粒子分散液
を調製した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温
度に加熱して融合、合一してトナー粒子を生成すること
を特徴とする前記(1) 〜(4)のいずれか1つに記載の静
電荷像現像用トナーの製造方法。
【0010】(6) 1μm以下の樹脂微粒子分散液、着色
剤分散液及び離型剤分散液を混合し、凝集剤を添加して
凝集粒子分散液を調製し、さらに樹脂微粒子分散液を添
加して凝集粒子表面に樹脂微粒子を付着させた後、前記
樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合、
合一してトナー粒子を生成することを特徴とする前記
(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナ
ーの製造方法。
【0011】(7) 前記加熱融合、合一工程で生成したト
ナー粒子分散液のpHを調整してトナー粒子表面の結着
樹脂のカルボキシル基を解離し、2価以上の金属イオン
を含有する水溶液を添加して塩を形成することを特徴と
する前記(5) 又は(6) 記載の静電荷像現像用トナーの製
造方法。 (8) 前記トナー粒子分散液のpHを4以上の範囲に調整
してカルボキシル基を解離することを特徴とする前記
(7) 記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0012】(9) トナーとキャリアとからなる静電荷像
現像剤において、前記トナーが前記(1) 〜(4) のいずれ
か1つに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴
とする静電荷像現像剤。 (10)静電荷担持体上に静電潜像を形成する工程、現像剤
担持体上の現像剤層により静電潜像を現像してトナー画
像を形成する工程、及び前記トナー画像を転写体上に転
写する工程、前記転写体上のトナー画像を定着する工程
を含む画像形成方法において、前記トナー画像に用いる
トナーが前記(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の静電荷
像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、結着樹脂と着色剤を含
有する静電荷像現像用トナー粒子の分散液に、2価以上
の金属イオンを含有する水溶液を混合処理して、トナー
粒子表面に存在する結着樹脂のカルボキシル基を前記金
属イオンと反応させて塩を形成し、夏場環境(28℃、
85%)における帯電量と冬場環境(10℃、15%)
における帯電量の比を0.4以上にすることにより、帯
電均一性、環境変化に対する帯電安定性に優れ、いかな
る環境下においても適正で安定な画像濃度を維持でき、
かぶり、飛散等もなく、転写性に優れた静電荷像現像用
トナーの提供を可能にし、高品質の画像の形成を可能に
するものである。
【0014】本発明において、樹脂のカルボキシル基と
金属イオンから塩を形成するときに、トナー粒子分散液
のpHを調整してカルボキシル基を解離することが好ま
しい。そのための好ましいpHの範囲は4.0以上であ
る。本発明に用いられる2価以上の金属イオンとして
は、Mg,Ca,Sr、Zn, Cr,Alなどを挙げる
ことができるが、その中でもアルカリ金属土金属、特に
Caが最適である。
【0015】本発明において前記金属の水溶液で処理す
るトナー粒子は、凝集融合合一法などの湿式法で製造す
ることが望ましいが、この処理は、従来の溶融混練粉砕
法で製造したトナー粒子に対しても有効である。溶融混
練粉砕法は、着色剤、結着樹脂及びその他の成分をバン
バリーミキサー、CMミキサー、エクストルーダー等に
よって溶融混練し、ジェット式粉砕機等で粉砕した後、
風力分級機で、分級することによって製造される。溶融
混練粉砕法で製造するときには、粉砕されたトナー粒子
をイオン交換水に濡らしてから、前記金属の水溶液で処
理することが好ましい。その際、極少量のアルキル硫酸
塩等の界面活性剤を用いてもよく、界面活性剤を用いる
ときは、その後にイオン交換水による置換洗浄を2、3
回施すことが好ましい。
【0016】また、水を溶媒とする湿式法でトナー粒子
分散液を調製する方法が、前記金属の水溶液の処理に適
している。湿式法には、1μm以下の樹脂微粒子分散液
及び着色剤分散液、必要に応じて離型剤分散液を混合
し、凝集剤の添加して凝集粒子分散液を調製し、必要に
応じて樹脂微粒子分散液をさらに添加混合して凝集粒子
表面に樹脂微粒子を付着して付着粒子分散液を調製し、
樹脂微粒子のガラス転移点より高温で凝集粒子又は付着
粒子を融合・合一してトナー粒子を製造する方法があ
る。(特開平11−311877号公報)
【0017】本発明で使用する樹脂は、少なくとも1種
類以上のカルボン酸を原料に含む樹脂で、一般にトナー
の結着樹脂として用いられるものであればその種類を問
わない。カルボン酸の具体例としてはアクリル酸、メタ
クリル酸、フマール酸、マレイン酸、ケイ皮酸等を挙げ
ることができる。結着樹脂の具体例としてば、アクリル
酸やメタクリル酸類などのカルボキシル基を有する単量
体の単独重合体、必要に応じて他の単量体と共重合した
共重合体、又は、それらの混合物などを使用することが
でき、具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテル系樹脂等、非
ビニル縮合系樹脂などを使用することができる。
【0018】前記融合・合一工程を終了した後、任意の
洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー
粒子を得るが、洗浄工程は、トナーの帯電特性を考慮し
て十分にイオン交換水で置換洗浄することが好ましい。
また、固液分離工程は特に制限はないが、生産性の点か
ら吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。本発明
では、この洗浄を終了してトナー粒子が水に分散してい
る状態のときに前記の金属の水溶液(金属イオン)を添
加してトナー表面のカルボキシル基と金属イオンとの塩
を形成することができる。
【0019】本発明のトナー粒子は、金属の水溶液処理
後濾過して乾燥する。この乾燥も特に制限はないが、生
産性を上げるために凍結乾燥、フラッシュジェット乾
燥、流動乾燥、振動型流動乾燥などが好ましく用いられ
る。
【0020】本発明の静電荷像現像用トナーは定着性能
を向上させるために、離型剤を含有させることが好まし
くい。本発明に使用できる離型剤としては、ASTMD
3418−8に準拠して測定された主体極大ピークが5
0〜140℃にある物質が好ましい。50℃未満である
と定着時にオフセットを生じやすくなる。また140℃
を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性
が得られず、光沢性を損なう。
【0021】離型剤の具体例としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィ
ン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ス
テアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナ
ウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワック
ス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツ
ロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾ
ケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス
等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物
が使用できる。
【0022】本発明のトナーに使用できる着色剤は特に
限定されないが、例えば、黒色顔料としては、カーボン
ブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラッ
ク、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等があげ
られる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄
色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハン
ザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエロ
ーG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノ
リンイエロー、パーメネントイエローNCG等があげら
れる。
【0023】橙色顔料としては赤色黄鉛、モリブデンオ
レンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレ
ンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、イン
ダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリ
リアントオレンジGK等があげられる。赤色顔料として
は、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウ
オッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソー
ルレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミ
ン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ロ
ーダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、
エオキシンレッド、アリザリンレーキ等があげられる。
【0024】青色顔料としては、紺青、コバルトブル
ー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニ
リンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブル
ー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオク
サレレートなどがあげられる。紫色顔料としては、マン
ガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレット
レーキ等があげられる。
【0025】緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグ
リーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレー
キ、ファイナルイエローグリーンG等があげられる。白
色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、
硫化亜鉛等があげられる。体質顔料としては、バライト
粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボ
ン、タルク、アルミナホワイト等があげられる。また、
染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種
染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベ
ンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が
あげられる。
【0026】これらの着色剤は単独、若しくは混合し、
また固溶体の状態でも使用できる。本発明の着色剤は、
色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中
での分散性の観点から選択される。着色剤の添加量は、
樹脂100重量部に対して1〜20重量部添加される。
黒色着色剤に磁性体を用いた場合は、他の着色剤と異な
り30〜100重量部添加される。
【0027】また、流動性付与やクリーニング性向上の
目的で通常のトナーと同様にトナー粒子を乾燥した後、
シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無
機粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンな
どの樹脂微粒子を乾式でせん断力をかけながら混合して
トナー粒子表面に添加し、流動性助剤やクリーニング助
剤として用いることもできる。
【0028】本発明のトナーの平均体積粒径D50は、2
〜9μmの範囲が好ましく、3〜8μmの範囲がより好
ましい。前記粒径が2μm未満だと帯電性が不十分にな
り、現像性が低下することがあり、9μmを超えると画
像の解像性が低下する。
【0029】本発明のトナーはキャリアと混合して二成
分現像剤としても使用される。トナーとキャリアの混合
には、ターブラミキサーやV型ブレンダー等を用いるこ
とができる。キャリアは通常のキャリアを使用すること
ができ、特に制限されるものではない。具体的には鉄粉
系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェラ
イトキャリア等が使用される。
【0030】トナーとキャリアの混合比は、トナー濃度
が一般に1〜15%の範囲が適当であり、現像性及び搬
送性を考慮すると2〜13%の範囲がより望ましい。ト
ナー濃度が1%未満になると、トナー搬送量の低下によ
るソリッド部のガサつき、文字部のカスレ、中間調濃度
の再現性の悪化等、画質への悪影響が生じる。また、ト
ナー濃度が15%を超えると、トナー搬送量の増大によ
り、トナーの吹き出し、ボタ落ち及びコボレ等の搬送不
良が生じる。また、帯電分布の広がり、トナー同士の摩
擦帯電による逆極帯電トナーの発生などの帯電不良が生
じる。
【0031】本発明の静電荷像現像用トナーの帯電量
は、絶対値で10〜40μC/gの範囲が好ましく、1
5〜35μC/gの範囲がより好ましい。前記帯電量が
10μC/g未満であると、背景汚れ(カブリ)が発生
しやすくなり、40μC/gを超えると画像濃度が低下
し易くなる。また、本発明の静電荷像現像用トナーの夏
場環境(28℃、85%)における帯電量と冬場環境
(10℃、15%)における帯電量の比率は、0.4以
上にする必要があり、0.7〜1.3の範囲がより好ま
しい。前記比率が0.4未満では帯電性の環境依存性が
強くなり、帯電の安定性に欠けるので実用上好ましくな
い。
【0032】本発明の画像形成方法は、静電荷担持体上
に静電潜像を形成する工程、現像剤担持体上の現像剤層
により静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、
及び前記トナー画像を転写体上に転写する工程、前記転
写体上のトナー画像を定着する工程を含み、現像剤層に
用いる現像剤として、前記の静電荷像現像剤を使用する
ことを特徴とする。従来、トナーの帯電は、夏場環境の
帯電が低く、冬場環境の帯電が高くなる。
【0033】本発明においては、容易に帯電制御と、
(夏場環境下の帯電量)/(冬場環境下の帯電量)の比
の向上が同時に達成される。従来のトナーでは、夏場環
境の帯電を高くすると、冬場環境の帯電が高くなりす
ぎ、その比が小さくなる傾向にあった。同様に冬場環境
の帯電を下げると、夏場環境の帯電が低くなりすぎてし
まう。本発明では、冬場環境の帯電を夏場環境の帯電よ
りも大きく下げることができるため、その比を大きくす
ることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、これらの記載が本発明を何ら限定するもので
はない。 〔実施例1〕トナー粒子の調製 樹脂微粒子分散液〔スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体 (共重合体比82:18:2)、Mw=35000、Tg=58°C、 固形分含量40%〕 234g 顔料分散液(モーガルL、キャボット社製、固形分含量15%) 30g 離型剤分散液 20g (ポリワックス725、東洋ペトロライト社製、固形分含量30%) ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製) 0.5g
【0035】以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中
でウルトラタラックスT50(IKA社製)で混合分散
した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら5
0℃まで加熱し、50℃で30分保持した。得られた凝
集粒子の一部を採取して、コールターカウンター(コー
ルター社製マルチサイザー2)で体積平均粒径を測定し
たところ約4.5μmの凝集粒子が生成していることが
確認された。さらに加熱用オイルバスの温度を上げて5
6℃で1時間保持した。体積平均粒径を測定すると約
5.3μmの凝集粒子が生成していることが確認され
た。その後、この凝集体粒子を含む分散液に前記の樹脂
微粒子分散液26gを追加混合して付着粒子分散液を調
製した。付着粒子の体積平均粒径を測定すると5.8μ
mであった。この付着粒子分散液に0.1N硝酸を追加
して、系のpHを6に調製した後ステンレス製フラスコ
を密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら97
℃まで加熱し、4時間保持して付着粒子を融合・合一し
てトナー粒子を生成し、濾別してトナー粒子を得た。ト
ナー粒子分散液を冷却した後、コールターカウンターで
体積平均粒径を測定したところ5.9μmであった。得
られたトナー粒子は、イオン交換水で4回洗浄した後、
イオン交換水に分散して処理前のトナースラリー(固形
分10%)を得た。
【0036】金属イオン処理 上記トナースラリー(固形分10%) 100g CaCl2 水溶液(0.01M) 3g 上記トナースラリーをビーカーに入れ、攪拌しながら塩
化カルシウム水溶液を添加し、常温で30分間攪拌した
後トナー粒子を濾別し、凍結乾燥6時間後、真空乾燥2
4時間を実施した後篩分して体積平均粒径5.9μmで
形状係数SF1が121の実施例1のトナーを得た。
【0037】実施例1のトナーを未外添の状態で帯電量
をブローオフトライボ測定装置(東芝ケミカル社製)で
測定したところ、28℃、85%RHの夏場環境におい
て−24μC/gであり、また、10℃、15%RHの
冬場環境において−26μC/gであり、夏場環境と冬
場環境における帯電量比は0.92となり、環境差がほ
とんど認められなかった。
【0038】 〔実施例2〕金属イオン処理 実施例1で得たトナースラリー(固形分10%) 100g MgCl2 水溶液(0.01M) 1g 上記トナースラリーをビーカーに入れ、攪拌しながら塩
化マグネシウム水溶液を添加し、常温で30分間攪拌し
た後トナー粒子を濾別し、凍結乾燥6時間後、真空乾燥
24時間を実施した後篩分して体積平均粒径5.9μm
で形状係数SF1が121の実施例2のトナーを得た。
【0039】実施例2のトナーを未外添の状態で帯電量
を測定したところ、28℃、85%RHの夏場環境にお
いて−22μC/gであり、また、10℃、15%RH
の冬場環境において−28μC/gであり、夏場環境と
冬場環境における帯電量比は0.79となり、環境差は
非常に少なかった。
【0040】 〔実施例3〕トナー粒子の調製 線状ポリエステル 870g (テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物 /シクロヘキサンジメタノールから選られた線状ポリエステル :Tg=62℃、Mn=4000、Mw=35000、酸価= 12、水酸価=25) 顔料(モーガルL、キャボット社製) 30g 離型剤分散液 50g (ポリワックス725、東洋ペトロライト社製、固形分含量30%) 上記成分を予備混合した後、エクストルーダーで溶融混
練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した後、風力式分級
機で細粒、粗粒を分級し体積平均粒径7.5μmのトナ
ー粒子を得た。
【0041】金属イオン処理 前記のトナーを極微量のラウリル硫酸ナトリウムを添加したイオン交換水に 分散させたスラリー(固形分含量10%) 100g Ca(OH)2 水溶液(0.01M) 4g 上記トナースラリーをビーカーに入れ、攪拌しながら水
酸化カルシウム水溶液を添加し、常温で30分間攪拌し
た後トナー粒子を濾別し、イオン交換水で2回洗浄した
後、凍結乾燥6時間後、真空乾燥24時間を実施した後
篩分して体積平均粒径7.5μmで形状係数SF1が1
35の実施例3のトナーを得た。
【0042】実施例3のトナーを未外添の状態で帯電量
を測定したところ、28℃、85%RHの夏場環境にお
いて−26μC/gであり、また、10℃、15%RH
の冬場環境において−28μC/gであり、夏場環境と
冬場環境における帯電量比は0.93となり、環境差は
ほとんど認められなかった。
【0043】 〔比較例1〕 金属イオン処理 実施例1で得たトナースラリー(固形分10%) 100g NaOH水溶液(0.01M) 1g 上記トナースラリーをビーカーに入れ、攪拌しながら水
酸化ナトリウム水溶液を添加し、常温で30分間攪拌し
た後トナー粒子を濾別し、凍結乾燥6時間後、真空乾燥
24時間を実施した後篩分して体積平均粒径5.9μm
で形状係数SF1が121の比較例1のトナーを得た。
【0044】比較例1のトナーを未外添の状態で帯電量
を測定したところ、28℃、85%RHの夏場環境にお
いて−10μC/gであり、また、10℃、15%RH
の冬場環境において−30μC/gであり、夏場環境と
冬場環境における帯電量比は0.33となり、環境差が
非常に大きな値を示した。
【0045】〔比較例2〕金属イオン未処理 実施例3において調製したトナー粒子(体積平均粒径
7.5μm)を比較例2のトナーとして用い、未外添の
状態で帯電量を測定したところ、28℃、85%RHの
夏場環境において−8μC/gであり、また、10℃、
15%RHの冬場環境において−25μC/gであり、
夏場環境と冬場環境における帯電量比は、0.32とな
り、環境差が非常に大きな値を示した。
【0046】<画像形成及びその評価>前記の実施例1
〜3及び比較例1〜2のトナーを用いて次のように静電
荷像現像剤を調製し、各特性の評価を行った。即ち、ポ
リメタアクリレート(総研化学社製)を1%被覆した平
均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、前記トナ
ーをトナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミル
で5分間攪拌・混合して現像剤を調製した。この静電荷
像現像剤を複写機(Able1302α改造MC、富士
ゼロックス社製)に入れ、低温低湿(10℃、15%R
H)、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下で初期
帯電量、現像性を評価した後、1万枚のランニングテス
トを行い、結果を表1に示した。
【0047】<帯電性>帯電性はブローオフトライボ測
定装置(東芝ケミカル社製)により、磁気ロール上の現
像剤について常温常湿(20℃、50%RH)下で初期
及び1万枚複写後の帯電量を測定し、その低下の度合い
により判定した。 ○・・・低下が5μc/g以下(画像に変化なし) △・・・5μc/gを超え10μc/g以下(濃度の低
下がやや見られる) ×・・・10μc/gを超える(濃度低下が著しく、か
ぶりが発生する)
【0048】<現像性>現像性はチャート上のソリッド
サンプルについて常温常湿(20℃、50%RH)下で
初期画像及び1万枚目の画像の反射濃度を反射濃度計
(X−rite、X−rite社製)で測定し、その低
下の度合いにより判定した。 ○・・・低下が0.15以下(画像に変化なし) △・・・0.15を超え0.3以下(画像がやや乱れか
ぶりもやや見られた) ×・・・0.3を超える(濃度低下が著しく、かぶりが
発生する)
【0049】
【表1】
【0050】(結果)表1から明らかなように、実施例
の静電荷像現像剤は、帯電性、現像性に優れ、特に長期
の使用(10000枚)後においてこれらの特性が維持
され、かぶりや飛散のない良好な画像が得られた。他
方、本発明の2価金属イオン処理を施していない比較例
の静電荷像現像剤は、夏場環境と冬場環境における帯電
量比が低い値を示し、長期の使用により画像の反射濃度
の低下が大きく、かぶりやトナー飛散も認められた。
【0051】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、帯電均一性、耐環境安定性に優れ、転写性に優れ
た静電荷像現像用トナーの提供を可能にし、いかなる環
境下においても適正で安定な画像濃度を有し、かぶりや
トナー飛散のない良好な画像の形成を可能にした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諏訪部 正明 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 修二 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 松村 保雄 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB03 BA06 CA03 CA06 CA08 EA01 EA03 FA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有する
    静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子表面に存在
    する結着樹脂のカルボキシル基が2価以上の金属と塩を
    形成してなり、夏場環境(28℃、85%)における帯
    電量と冬場環境(10℃、15%)における帯電量の比
    が0.4以上であることを特徴とする静電荷像現像用ト
    ナー。
  2. 【請求項2】 1μm以下の樹脂微粒子分散液及び着色
    剤分散液を混合し、凝集剤を添加して凝集粒子分散液を
    調製した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度
    に加熱して融合、合一してトナー粒子を生成することを
    特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 トナーとキャリアとからなる静電荷像現
    像剤において、前記トナーが請求項1又は2記載静電荷
    像現像用トナーであることを特徴とする静電荷像現像
    剤。
  4. 【請求項4】 静電荷担持体上に静電潜像を形成する工
    程、現像剤担持体上の現像剤層により静電潜像を現像し
    てトナー画像を形成する工程、及び前記トナー画像を転
    写体上に転写する工程、前記転写体上のトナー画像を定
    着する工程を含む画像形成方法において、前記トナー画
    像に用いるトナーが請求項1記載の静電荷像現像剤であ
    ることを特徴とする画像形成方法。
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