JP3940474B2 - フィラメント用タングステン線、タングステン線の製造方法、フィラメントおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタングステン線およびその製造方法と、このタングステン線を用いたフィラメントおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高融点金属であるタングステンは白熱電球のフィラメントの材料として多く利用されている。
一般にタングステン線は次に述べる方法により製造されている。まず、タングステン粉末を加圧して成形体を成形し、この成形体を焼結して焼結バーを製造して、次いでこの焼結バーにスウエージング加工を施して丸棒とする。さらに、前記スウエージング加工により得られたタングステン丸棒を加熱しながらダイスに通して引抜く線引き加工を行う。そして、この線引き加工を所定回数繰り返して所定の線径を有するタングステン線を製造する。この線引き加工ではタングステン線を円滑に線引きできるよう潤滑剤を塗布している。この場合、高融点金属であるタングステン線は1200℃程度の高温で加熱して線引きを行うために、潤滑剤としては耐熱性に優れた炭素系の潤滑剤を用いている。この炭素系の潤滑剤は黒鉛粉末を水で溶き、増粘剤を加えたものである。製造したタングステンのうち電球フィラメント用は、後工程であるフィラメント製造工程に送られる。
【0003】
フィラメント製造工程では、タングステン線をマンドレルにコイル状に巻き付けてコイリングした後、この形態でタングステン線に熱処理を施してタングステン線のコイル形状を固めてフィラメントを製造している。このタングステン線に対する熱処理はタングステン線に対して形をつけるために行うもので、1200℃程度の高温で熱処理を施している。そして、このように製造したフィラメントをガラス製のバルブの内部に組込み、このバルブを金属製の封止具で封止して電球を製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来では前述したようにタングステン線を高温で熱処理を施してコイル状に形成したフィラメントをガラス製のバルブの内部に組込む作業を行う場合にフィラメントを形成するタングステン線が破損しフィラメントが使用できなくなるという事故が発生している。このように従来におけるフィラメントを形成するタングステン線には耐衝撃性が低く、衝撃力を受けると破損するものがあるという問題がある。
【0005】
本発明は前記事情に基づいてなされたもので、耐衝撃性に優れた高い品質のフィラメント用タングステン線およびタングステン線の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は耐衝撃性に優れたタングステン線からなる高い品質のフィラメントおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、従来のフィラメントを形成するタングステン線が衝撃性に弱くフィラメントに衝撃力が加わるとフィラメントを形成するタングステン線が破損することがあるという事態に対して、その原因と解決方法について種々研究を重ねてきた。その結果、以下に述べる知見を得た。
【0007】
まず、フィラメントを持ってガラス製のバルブの内部に組込む作業を行う時に破損が生じた各フィラメントを形成するタングステン線の特性について種々分析した。この結果、破損が生じた各フィラメントを形成するタングステン線は、表面に存在する炭素の量が破損が生じなかったフィラメントを形成するタングステン線の表面に存在する炭素の量より多いことが分かった。すなわち、前述したようにタングステン線の製造における線引き加工では、タングステン線を高温で加熱することから耐熱性に優れた炭素系の潤滑剤を用いている。このため、線引き加工後にはタングステン線の表面には炭素系の潤滑剤が付着しており、このタングステン線の表面に存在する炭素の量がタングステン線の破損事故に関係があることが分かった。
【0008】
そこで、発明者らはタングステン線の表面に存在する炭素が、どのような理由によりタングステン線の耐衝撃性を低下させて破損事故の原因となるかという点について研究を行った。まず、タングステン線の表面における組成について着目した。線引き加工上がりのタングステン線の表面には加熱によりタングステン酸化物(WO2 など)の層が形成され、さらにその外部には前述した炭素が付着して存在している。
【0009】
発明者らはフィラメントを製造する時にタングステン線を高温熱処理する際に、炭素とタングステンとが反応してタングステン線の脆化が生じるのではないかという観点に立って種々研究、実験を重ねたが、タングステンの脆化組織を発見することができなかった。
【0010】
次に発明者らは、フィラメントがタングステン線を高温熱処理(1200℃)してコイルの形を作るものであるためにタングステン線の高温熱処理について着目した。この結果、高温熱処理によりタングステンの延性脆性遷移温度(DBTT)が上昇することを見出した。金属は延性脆性遷移温度(DBTT)を超える温度では延性を示し、延性脆性遷移温度(DBTT)以下であれば脆性を示す。従って、タングステン線のフィラメントは延性脆性遷移温度(DBTT)を常温以下に設定し、常温において延性を利用して加工をフィラメントの組み込み作業を行えるようにしている。
【0011】
ところが、タングステン線の表面における炭素が多いと、前記のタングステン線に対して高温熱処理を行うと、この高温熱処理においてタングステン線の表面における炭素がタングステンの中に不純物として多く入り込み、タングステン線の延性脆性遷移温度(DBTT)が上昇する。このため、タングステン線を高温熱処理してコイル状に形成したフィラメントは常温において脆性が増大して耐衝撃性が低下する。従って、フィラメントを白熱電球のバルブの内部に組込む場合などにフィラメントに外部から衝撃力が加わるとフィラメントを形成するタングステン線が破損することがある。
【0012】
このように発明者らは、タングステン線の表面に多量の炭素が存在することがフィラメントを形成するタングステン線が破損する原因であるとが分かった。
そこで、発明者らはフィラメントを形成するタングステン線が破損する事態に対処するために、タングステン線の表面から炭素を取り除くことに着目し、そのために炭素を効率良く取り除くことができる方法として電気分解法に着目した。すなわち、電気分解法によりタングステン線の表面に形成されている層を取り除いて裸にする方法である。しかし、この方法では設備が大掛かりで設備費が高く実際的でない。
【0013】
このことから発明者らはタングステン線の表面における炭素の量を低減することに着目し、またこのための適切な方法を見出すために種々実験と研究を重ねた。その過程で発明者らはフィラメントを製造するためにタングステン線を高温熱処理する際の雰囲気に着目した。まず、発明者らは還元雰囲気のなかで高温熱処理を行った。その結果、タングステン線の脆性は全く改善されず、相変わらず破損事故が生じていた。次に発明者らは水蒸気雰囲気でのなかで高温熱処理を行った。そうするとタングステン線の脆性は改善されて破損事故が発生しなかった。
【0014】
これは次に述べる理由によるものと考えられる。すなわち、水蒸気雰囲気は水H2 Oを含んでおり酸化雰囲気である。そして、水H2 Oの酸素Oがタングステン線の表面にある炭素Cと反応して炭素CをCO2 の形で取り出している。これによりタングステン線の表面における炭素の量を低減することができる。
【0015】
このことから酸素を利用することによりタングステン線の表面における炭素を取り出してその量を低減することができ、そのためにタングステン線の表面における酸素の量を増大させることが良いことがわかった。さらに、発明者らは実験を重ねてタングステン線の表面における酸素の量を炭素の量に対してある値より多く存在させることにより確実に炭素を取り除くことができることを見出した。しかしながら、高温熱処理を行う炉に蒸気雰囲気を作り出すには設備に費用がかさむという問題がある。
【0016】
そこで、発明者らは、タングステン線を製造する工程においてこの工程を利用してタングステン線の表面における酸素の量を増大させることにより、特別に大掛かりな設備を用いることなく経済的に耐衝撃性に優れたタングステン線を得ることができることを見出した。すなわち、タングステン線を製造する工程において線の表面において確実に炭素を取り除くことができる量の酸素が存在するタングステン線を得ることを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
【0017】
また、タングステン線の完成サイズだけでなく加工途中のサイズにおいても酸素量の増大はタングステンの脆化防止に有効であり、伸線中の切れなどのトラブルを減少させるという知見も得ている。
【0018】
すなわち、請求項1の発明のフィラメント用タングステン線は、表面における酸素と炭素の重量比が4以上であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のフィラメント用タングステン線において、前記酸素と炭素の重量比が5以上であることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1に記載のフィラメント用タングステン線において、酸素はタングステン酸化物として存在することを特徴とする。
請求項1ないし請求項3の発明の構成によれば、タングステン線の表面の酸素が炭素と結び付いて炭素を除去するとともに、炭素のタングステン線への侵入を防ぎ、タングステン線の炭素による脆化を防止して耐衝撃性を高めることができる。
【0020】
請求項4の発明のタングステン線の製造方法は、タングステン焼結体を加熱した後ダイスを通して引き抜く線引き工程を備え、前記線引き工程後、表面における酸素と炭素の重量比が4以上となるように酸素量と炭素量を調整する処理を行うことを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4に記載のタングステン線の製造方法において、前記線引き工程では潤滑剤を用いることを特徴とする。
請求項4および請求項5の発明の構成によれば、タングステン線を製造する工程においてこの工程を利用してタングステン線の表面における酸素の量を増大させることにより、特別に大掛かりな設備を用いることなく経済的に耐衝撃性に優れたタングステン線を得ることができる。
【0022】
請求項6の発明のフィラメントは、表面における酸素と炭素の重量比が4以上であるタングステン線をコイル状に形成したことを特徴とする。
この発明の構成によれば、フィラメントを製造する過程でタングステン線が脆化することを防止し、耐衝撃性に優れて高品質のフィラメントを得ることができる。
【0023】
請求項7の発明のフィラメントの製造方法は、表面に酸化物層を有する金属からマンドレルにタングステン線を巻き付けてコイル状に形成することを特徴とする。
【0024】
この発明の構成によれば、線引き上がりのタングステン線の表面における酸素の量が少ない場合に、フィラメントを製造する工程においてタングステン線の表面における酸素の量を増大させて高温熱処理によるタングステン線の脆化を抑制して耐衝撃性に優れたフィラメントを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、まずタングステン線を製造する工場において製造されたタングステン線を対象にしている。
【0026】
そして、本発明のタングステン線は、タングステン線の表面に酸素と炭素が存在し、熱処理前におけるタングステン線の表面に存在する酸素と炭素の重量比が4以上であることを特徴とする。
【0027】
このようにタングステン線の表面に酸素が炭素に対して4以上の割合で存在すると、タングステン線を高温熱処理(例えば1200℃)を施すと、酸素Oがタングステン線の表面にある炭素Cと反応して炭素CをCO2の形で除去する。このため、高温熱処理において炭素がタングステンの中に不純物として入り込み、タングステン線の延性脆性遷移温度(DBTT)を上昇させるという事態の発生を大幅に抑制できる。従って、高温熱処理によりタングステン線が脆化することを大幅に抑制できる。
【0028】
これにより本発明のタングステン線は、タングステン線を高温熱処理して製品を製造する場合に、脆化を生じることがない高品質の材料として供することができる。
【0029】
特にタングステン線の表面に存在する酸素と炭素の重量比が5以上であると、炭素が酸素と結び付いて取り除かれる度合いが一層高くなってタングステン線の脆化を全く防止することができる。すなわち、タングステン線における脆化の発生を抑える効果が大きい。
【0030】
本発明のタングステン線からなる部品は基本的に次に述べる方法により製造する。タングステン粉末を加圧して成形体を成形し、この成形体を焼結して焼結バーを製造して、次いでこの焼結バーにスウエージング加工を施して丸棒とする。さらに、前記スウエージング加工により得られたタングステン丸棒を加熱しながらダイスに通して引抜く線引き加工を行う。そして、この線引き加工を所定回数繰り返して所定の線径を有するタングステン線を製品として製造する。この線引き加工ではタングステン線を円滑に線引きできるよう潤滑剤を塗布する。この場合、高融点金属であるタングステン線は1200℃程度の高温で加熱して線引きを行うために、潤滑剤としては耐熱性に優れた炭素系の潤滑剤を用いる。この炭素系の潤滑剤は黒鉛粉末を水で溶き、増粘剤を加えたものである。
【0031】
前述したように線引き加工に炭素系の潤滑剤を使用することにより、線引き加工上りのタングステン線の表面には炭素が存在する。そこで、前述したタングステン線を製造する工程のなかで、タングステン線の表面に炭素に対して酸素が重量比で4以上、できれば5以上存在するようにする処理を行う。このようなタングステン線の表面における酸素と炭素の重量比を4以上にする処理としては、タングステン線の製造において焼結体にスウエージングおよび線引きを施す過程で焼結体に対して酸化物を形成する方法、線引き加工後にタングステン線を大気中で加熱処理する方法などが挙げられる。すなわち、タングステン焼結体をスウエージングおよび線引き加工する時にタングステン焼結体を加熱することを利用することができる。また、タングステン線の表面における酸素と炭素の重量比の調整は、タングステン線の線引きの条件を種々調整することでも可能である。例えば、線引き時の温度や潤滑剤の塗布量を調整する。
【0032】
なお、タングステン線における酸素と炭素の量を測定するには従来から採用されている公知の方法を採用する。
図1は製造されたタングステン線の断面を示している。図中1はタングステン線、2は前記スウエージングや線引きの加工の際の加熱によりタングステン線1の表面に形成されたWO2 やWO3 などのタングステン酸化物、3はタングステン酸化物層2の表面側にある炭素である。タングステン線1の表面における酸素はタングステン酸化物として存在する。炭素3は線引き加工に使用された炭素系の潤滑剤である。そして、この線引き上りのタングステン線1の表面における酸素と炭素の重量比が4以上である。
【0033】
このようにタングステン線を製造する工程においてこの工程を利用してタングステン線の表面における酸素と炭素との重量比を調整することにより、特別に大掛かりな設備を用いることなく経済的に耐衝撃性に優れたタングステン線を得ることができる。
【0034】
また、本発明では、前述したタングステン線からなる部品のひとつとして白色電球に用いるフィラメントを対象にしている。この白熱電球のフィラメントは前述した表面における酸素と炭素の重量比が4以上であるタングステン線をコイル状に形成したものである。このため、この白熱電球のフィラメントは、フィラメントを製造する過程でタングステン線が脆化することを防止し、耐衝撃性に優れて高品質のフィラメントを得ることができる。
【0035】
白色電球のフィラメントを製造する方法について説明する。まず、前述したタングステン線の製造方法により表面における酸素と炭素の重量比が4以上であるタングステン線を製造する。
【0036】
次にこのタングステン線を用いて図2に示すようにフィラメントを製造する。すなわち、図2(a)に示すようにタングステン線1をマンドレル11に巻き付けてコイリングを行い、タングステン線1を部品形状であるコイル状に形成する。その後、図2(b)に示すようにコイル状をなすタングステン線1を例えば1200℃に保持された水素炉12で5分間保持する熱処理を施し、タングステン線をコイルの形状に固めて、図2(c)に示すようにタングステン線からなる部品であるコイル状をなす電極用フィラメント13を形成する。
【0037】
次に本発明の具体的な一実施例について説明する。この実施例は、白色電球フィラメントを対象にしている。
まず、フィラメントを形成するためのタングステン線をサンプルA〜Eとして用意した。いずれのタングステン線も直径は0.2mmである。サンプルA、Bはいずれも線材の製造工程において酸素と炭素の重量比を調整する処理は行っておらず、線引き加工上りのままである。サンプルA、Bのタングステン線の表面における酸素と炭素との重量比は4未満である。サンプルCは線材の製造工程において線引き加工後に大気中で800℃で2秒間加熱したもので、表面における酸素と炭素との重量比は4以上である。サンプルD、Eは線材の製造工程において線引き加工後に大気中で1000℃で2秒間加熱したもので、表面における酸素と炭素との重量比は5以上である。
【0038】
そして、各サンプルのタングステン線をマンドレルである直径1.0mmのモリブデン線に巻き付けてコイル形状に形成した。このコイルは直径1mm、長さ300mmであった。マンドレルには電解により表面を金属光沢が得られるまで研磨したモリブデン線を用いた。その後、形成したコイル状の各タングステン線を1200℃に保持された水素炉に入れて5分間保持することによりサンプルのコイルを夫々製造した。
【0039】
こうして製造した各コイルに、衝撃試験(50mmの高さから50mgの重りを落下させてその衝撃でコイルが破断するか、否かを調べる試験。)を行った。表面を酸化させていないマンドレルを使用したコイルの試験結果を図3の線図に示す。この線図は、タングステン線の表面における酸素と炭素との重量比と、タングステン線の破断回数を組合せたものである。
【0040】
この線図によれば、サンプルA、Bのタングステン線を用いたコイルは破断回数が多く信頼性が乏しく実用に供し得ないことがわかる。サンプルCのタングステン線を用いたコイルは破断回数が少なく実用に供し得ることがわかる。特にサンプルD、Eタングステン線を用いたコイルは破断がなく充分な信頼性を有する高品質なものであることがわかる。
【0041】
製造されたタングステン線の表面における酸素と炭素の重量比が4未満である場合には、タングステン線をコイリングする時に用いる金属線からなるマンドレルを予め大気中で加熱して、マンドレルの表面に酸化物層を形成し、このマンドレルにタングステン線を巻き付けることによりタングステン線の表面に酸化物を付着させて、タングステン線の表面における炭素の除去を促進させる方法がある。
【0042】
この方法によれば、製造されたタングステン線の表面における酸素の量が少ない場合に、フィラメントを製造する工程においてタングステン線の表面における炭素の除去を促進させて温熱処理によるタングステン線の脆化を抑制して耐衝撃性に優れたフィラメントを得ることができる。
【0043】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されずに、種々変形して実施することができる。本発明のタングステン線はフィラメントに限定されず、タングステン線を材料とする製品に広く供給することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本願の発明によれば、表面の酸素が炭素と結び付き除去させることにより、炭素による脆化を防止して耐衝撃性を高めた高品質のフィラメント用タングステン線を得ることができる。
【0045】
また、本願の発明によれば、タングステン線を製造する工程を利用してタングステン線の表面における酸素と炭素の重量比を調整することにより、特別に大掛かりな設備を用いることなく経済的に耐衝撃性に優れたタングステン線を得ることができる。
【0046】
また、本願の発明によれば、フィラメントを製造する過程でタングステン線が脆化することを防止し、耐衝撃性に優れて高品質のフィラメントを得ることができる。
【0047】
また、本願の発明によれば、製造されたタングステン線の表面における酸素の量が少ない場合に、フィラメントを製造する工程においてタングステン線の表面における酸素と炭素の重量比を調整して高温熱処理によるタングステン線の脆化を抑制して耐衝撃性に優れたフィラメントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部品に用いるタングステン線を示す断面図。
【図2】電球フィラメントコイルを製造する工程を示す図。
【図3】タングステン線の表面における酸素と炭素の重量比と破断回数との関係を示す線図。
【符号の説明】
1…タングステン線、
2…タングステン酸化物、
3…炭素、
11…マンドレル、
12…炉、
13…フィラメント。
Claims (7)
- 表面における酸素と炭素の重量比が4以上であることを特徴とするフィラメント用タングステン線。
- 前記酸素と炭素の重量比が5以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメント用タングステン線。
- 酸素はタングステン酸化物として存在することを特徴とする請求項1に記載のフィラメント用タングステン線。
- タングステン焼結体を加熱した後ダイスを通して引き抜く線引き工程を備え、前記線引き工程後、表面における酸素と炭素の重量比が4以上となるように酸素量と炭素量を調整する処理を行うことを特徴とするタングステン線の製造方法。
- 前記線引き工程では潤滑剤を用いることを特徴とする請求項4に記載のタングステン線の製造方法。
- 表面における酸素と炭素の重量比が4以上であるタングステン線をコイル状に形成したものであることを特徴とするフィラメント。
- 表面に酸化物層を有する金属からなるマンドレルにタングステン線を巻き付けてコイル状に形成することにより前記タングステン線の表面における酸素と炭素の重量比を4以上にすることを特徴とするフィラメントの製造方法。
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