JP3786256B2

JP3786256B2 - 高真直サスペンションワイヤおよびその製造方法

Info

Publication number: JP3786256B2
Application number: JP2001288385A
Authority: JP
Inventors: 洋一岡田; 秀則原田
Original assignee: Totoku Electric Co Ltd
Current assignee: Totoku Electric Co Ltd
Priority date: 2001-09-21
Filing date: 2001-09-21
Publication date: 2006-06-14
Anticipated expiration: 2021-09-21
Also published as: JP2003094111A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サスペンションワイヤおよびその製造方法に関する。更に詳しくは、主にワイヤ懸架方式光ピックアップに使用される光ピックアップ懸架用サスペンションワイヤに関するもので、断面形状が丸の金属ばね線を真直矯正することにより得られる高真直サスペンションワイヤおよびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、光ピックアップ用高真直サスペンションワイヤ（以下、高真直サスペンションワイヤと略記する）としては、断面形状が丸の金属ばね線を回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスを使用して真直矯正することにより、曲率半径が4000mm以上の高真直サスペンションワイヤが製造されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来の高真直サスペンションワイヤは、矯正加工時に回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイス（以下、矯正ブレード或いは矯正ダイスともいう）によって2mm未満の狭いピッチで螺旋状に深い矯正キズが付き、そのキズが原因で繰り返し曲げ応力を加えた時にクラックおよび破断事故が起こるといった問題があった。また、矯正ブレード或いは矯正ダイスによる狭ピッチでワイヤ表面を深く削る螺旋状の矯正キズは外観上好ましくなかった。また、矯正ブレード或いは矯正ダイスを使用せず、テンションアニーリングによって真直性を持たせる製造方法があるが、曲率半径は1000mmにとどまるため真直度が足りず、近年の高密度および高速化を求める光ディスクに使用される高精度な光ピックアップに使用すると光ピックアップレンズの傾きが生じ使用できないといった問題があった。このような理由から、矯正ブレード或いは矯正ダイスなどによる狭ピッチでワイヤ表面を深く削る螺旋状の矯正キズを持たず、なおかつ曲率半径が4000mm以上の高真直性を有した高真直サスペンションワイヤが要求されている。
【０００４】
本発明は、上記従来技術が有する各種問題点を解決するためになされたものであり、矯正ブレード或いは矯正ダイスなどによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを持たず、なおかつ曲率半径が4000mm以上の高真直性を有した高真直サスペンションワイヤおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
第１の観点では、本発明は、断面形状が丸の金属ばね線を真直矯正することにより得られたサスペンションワイヤであって、前記サスペンションワイヤは、曲率半径が4000mm以上の高真直性を有し、かつ回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスによるピッチが２mm未満の螺旋状の矯正キズを持たない構造および表面性状であり、更に、前記金属ばね線の伸線加工時に該線の長手方向と平行に発生する不可避的な浅いキズ（伸線ダイスマーク）が２ mm 〜 40mm ピッチで螺旋状に変形したキズ（螺旋ダイスマーク）となっている構造および表面性状を有することを特徴とする高真直サスペンションワイヤを提供する。
上記第１の観点によるサスペンションワイヤでは、繰り返し曲げ応力を加えた時にクラックおよび破断事故が起こる可能性がある矯正ブレードおよび矯正ダイスなどによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを持たず、かつ曲率半径が4000ｍｍ以上の高真直性を有するため、高精度高信頼性な光ピックアップに使用できる。また上記第１の観点によるサスペンションワイヤでは、伸線ダイスマークがワイヤ長手方向と平行な状態から、螺旋状態となっているが、そのピッチは、矯正ブレード或いは矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズのピッチよりも広く、また、キズの程度もかなり浅いため、繰り返し曲げ応力を加えてもクラックおよび破断事故の原因となることは無い。
【０００６】
第２の観点では、本発明は、前記断面形状が丸の金属ばね線を真直矯正することにより得られたサスペンションワイヤで、該サスペンションワイヤは、曲率半径が 4000mm 以上の高真直性を有し、かつ回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスによるピッチが２ mm 未満の螺旋状の矯正キズを持たない構造および表面性状である高真直サスペンションワイヤの製造方法であって、断面形状が丸の金属ばね線を矯正ブレード或いは矯正ダイスを使用せず、 300 ℃〜 1000 ℃の高温雰囲気下で 10g 〜 1000g の張力を加えながら金属ばね線の長手方向２ mm 〜 40mm ごとに 1 回転捻ることによって真直矯正することを特徴とする高真直サスペンションワイヤの製造方法を提供する。
上記第２の観点によるサスペンションワイヤの製造方法では、上記高真直サスペンションワイヤを効率良く製造することが出来る。特に、本製造方法の製造条件の温度と張力と捻りピッチを制御することで安定して高真直サスペンションワイヤを製造できるという利点がある。
【０００７】
第３の観点では、本発明は、前記第１観点の高真直サスペンションワイヤの製造方法であって、断面形状が丸の金属ばね線を回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスを使用せず、300℃〜1000℃の高温雰囲気下で10g〜1000gの張力を加えながら金属ばね線の長手方向２mm〜40mmごとに1回転捻ることによって真直矯正し、前記金属ばね線の伸線加工時に該線の長手方向と平行に発生する不可避的な浅いキズ（伸線ダイスマーク）を、真直矯正後には２ mm 〜 40mm ピッチで螺旋状に変形したキズ（螺旋ダイスマーク）とすることを特徴とする高真直サスペンションワイヤの製造方法を提供する。
上記第３観点の製造方法では、上記第１観点の高真直サスペンションワイヤを効率良く製造することが出来る。また前記金属ばね線の表面に伸線加工時に付いた伸線ダイスマークを、真直矯正後にはワイヤ表面を２ｍｍ〜 40 ｍｍピッチで螺旋状に変形している矯正ダイスマークとすることが出来るので、上記第２観点の製造方法の作用・効果に加え、本観点の製造方法により得られた高真直サスペンションワイヤでは、ワイヤ表面の螺旋ダイスマークを確認することにより、本観点による製造方法により製造したことが分かるので好ましい。
【０００８】
第４の観点では、本発明は、前記 300 ℃〜 1000 ℃の高温雰囲気が非酸化性ガス雰囲気であることを特徴とする高真直サスペンションワイヤの製造方法を提供する。
前記非酸化性ガスとしては、例えば水素ガス、窒素ガス等を用いることができる。
上記第４観点の製造方法では、高真直サスペンションワイヤの製造時、非酸化性ガス雰囲気によりワイヤ表面の酸化を防止することが出来るので好ましい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を、図に示す実施の形態により更に詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真である（ダイスマーク部強調）。図2は、本発明の高真直サスペンションワイヤの曲率半径を示した図である。図3は、本発明の高真直サスペンションワイヤの製造時、ワイヤ表面に付いているダイスマークを説明するための略図であり、同図（ａ）は、伸線加工後の金属ばね線の表面に伸線ダイスマークが付いている状態である。また同図（ｂ）は、矯正加工後の高真直サスペンションワイヤの表面に螺旋ダイスマークが付いている状態である。また図4は、矯正ブレードを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真であり、矯正ブレードによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを示した図である（矯正キズ部強調）。また図5は、矯正ダイスを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真であり、矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを示した図である（矯正キズ部強調）。更に図6は、本発明の高真直サスペンションワイヤの製造工程の一例を示す略図である。
【００１１】
これらの図において、１は高真直サスペンションワイヤ、１ａは伸線後の金属ばね線、６は矯正加工によって螺旋状に変形したダイスマーク（螺旋ダイスマーク）、６ａは伸線加工時に付いたダイスマーク（伸線ダイスマーク）、21は矯正ブレードを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤ、27は矯正ブレードによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ、31は矯正ダイスを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤ、37は矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ、110は供線ボビン、111はモーター、112はリング、113は炉（電熱炉）、114は巻き取りボビン、115は窒素ガスまたは水素ガス導入路、ｐは螺旋ダイスマークの回転ピッチ、またｒは曲率半径である。
【００１２】
−第１の実施の形態−（高真直サスペンションワイヤ）
本発明の高真直サスペンションワイヤの一実施形態について、図１〜５を用いて説明する。
図1に示す高真直サスペンションワイヤ1は、図２に示すように曲率半径ｒが4000ｍｍ以上で、例えば図４に示すような矯正ブレードによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ２７、或いは図５に示すような矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ３７を持っていない。また、図３（ａ）に示す伸線後の金属ばね線１ａ表面の伸線ダイスマーク6ａが、本発明の製造方法（矯正加工）により、高真直サスペンションワイヤ1表面に2mm〜40mmの回転ピッチｐで螺旋状に変形した螺旋ダイスマーク６となっているものである。
前記金属ばね線１ａ（高真直サスペンションワイヤ1）の材料は、りん青銅、ベリリウム銅、銀−銅合金、洋白、ステンレス、タングステン、モリブデンである。また前記高真直サスペンションワイヤ1の直径φは、例えば50〜300μmである。また高真直サスペンションワイヤ1の曲率半径ｒは、例えば4000 mm〜100000 mmである。また螺旋ダイスマーク６の回転ピッチｐは、例えば2 mm〜40 mmである。
【００１３】
−第２の実施の形態−（高真直サスペンションワイヤの製造方法）
高真直サスペンションワイヤの製造方法について図6を用いて説明する。
先ず、供線ボビン110に巻かれた伸線後の金属ばね線１ａを、供線ボビン110をモーター111で横に回転させながら10g〜1000gの供線張力を加えて繰り出し、リング112中を通過させ、金属ばね線１ａの酸化防止のために水素ガスまたは窒素ガスの導入路115から注入した水素または窒素雰囲気下で300℃〜1000℃の電熱炉113中を通過させることにより、金属ばね線１ａを高温雰囲気中で連続して捻るという真直矯正加工を行い、引き取りボビン114にて連続して引き取ることによりワイヤ表面に2 mm〜40 mmピッチで螺旋状に変形している螺旋ダイスマーク６を有する高真直サスペンションワイヤ1を製造した。
前記金属ばね線１ａ（高真直サスペンションワイヤ１）の直径は例えば100μmである。またモーター111による供線ボビン110の回転数は例えば2000回転/分である。また供線張力は例えば100gである。また炉113の長さは例えば3mである。また炉113の温度は例えば470℃である。また引き取り速度は例えば15m/分である。
【００１４】
【発明の効果】
本発明の高真直サスペンションワイヤおよびその製造方法によれば、曲率半径が4000ｍｍ以上となり真直性が向上できる。また、矯正ブレードによるピッチ2 ｍｍ未満の螺旋状の矯正キズ或いは矯正ダイスによるピッチ2ｍｍ未満の螺旋状の矯正キズを持たず、繰り返し曲げ応力を加えた時にクラックおよび破断事故が起こる不都合を防止できる。また、本発明の製造方法において、製造条件の温度と張力と捻りピッチを制御することで安定して高真直サスペンションワイヤを製造できるという利点がある。従って、本発明は産業上に寄与する効果が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真である（ダイスマーク部強調）。
【図２】本発明の高真直サスペンションワイヤの曲率半径を示した図である。
【図３】本発明の高真直サスペンションワイヤの製造時、ワイヤ表面に付いているダイスマークを説明するための略図である。（ａ）は、伸線加工後の金属ばね線の表面に伸線ダイスマークが付いている状態である。（ｂ）は、矯正加工後の高真直サスペンションワイヤの表面に螺旋ダイスマークが付いている状態である。
【図４】矯正ブレードを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真であり、矯正ブレードによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを示した図である（矯正キズ部強調）。
【図５】矯正ダイスを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤの外観電子顕微鏡写真であり、矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズを示した図である（矯正キズ部強調）。
【図６】本発明の高真直サスペンションワイヤの製造工程の一例を示す略図である。
【符号の説明】
１高真直サスペンションワイヤ
１ａ伸線後の金属ばね線
６矯正加工によって螺旋状に変形した螺旋ダイスマーク
６ａ伸線加工時に付いた伸線ダイスマーク
21 矯正ブレードを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤ
27 矯正ブレードによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ
31 矯正ダイスを使用した直線矯正方法により製造した高真直サスペンションワイヤ
37 矯正ダイスによる狭ピッチで深い螺旋状の矯正キズ
110 供線ボビン
111 モーター
112 リング
113 炉（電熱炉）
114 巻き取りボビン
115 窒素ガスまたは水素ガス導入路
ｐ螺旋ダイスマークの回転ピッチ
ｒ曲率半径

Claims

断面形状が丸の金属ばね線を真直矯正することにより得られたサスペンションワイヤであって、前記サスペンションワイヤは、曲率半径が4000mm以上の高真直性を有し、かつ回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスによるピッチが２mm未満の螺旋状の矯正キズを持たない構造および表面性状であり、更に、前記金属ばね線の伸線加工時に該線の長手方向と平行に発生する不可避的な浅いキズ（伸線ダイスマーク）が２ mm 〜 40mm ピッチで螺旋状に変形したキズ（螺旋ダイスマーク）となっている構造および表面性状を有することを特徴とする高真直サスペンションワイヤ。
断面形状が丸の金属ばね線を真直矯正することにより得られたサスペンションワイヤであって、前記サスペンションワイヤは、曲率半径が4000mm以上の高真直性を有し、かつ回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスによるピッチが２mm未満の螺旋状の矯正キズを持たない構造および表面性状である高真直サスペンションワイヤの製造方法であって、
断面形状が丸の金属ばね線を回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスを使用せず、 300 ℃〜 1000 ℃の高温雰囲気下で 10g 〜 1000g の張力を加えながら金属ばね線の長手方向２ mm 〜 40mm ごとに 1 回転捻ることによって真直矯正することを特徴とする高真直サスペンションワイヤの製造方法。
請求項１記載の高真直サスペンションワイヤの製造方法であって、
断面形状が丸の金属ばね線を回転式矯正ブレード或いは回転式矯正ダイスを使用せず、300℃〜1000℃の高温雰囲気下で10g〜1000gの張力を加えながら金属ばね線の長手方向２mm〜40mmごとに1回転捻ることによって真直矯正し、前記金属ばね線の伸線加工時に該線の長手方向と平行に発生する不可避的な浅いキズ（伸線ダイスマーク）を、真直矯正後には２ mm 〜 40mm ピッチで螺旋状に変形したキズ（螺旋ダイスマーク）とすることを特徴とする高真直サスペンションワイヤの製造方法。
前記 300 ℃〜 1000 ℃の高温雰囲気が非酸化性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項２または３記載の高真直サスペンションワイヤの製造方法。