JP3940406B2 - 鉄筋用スペーサー - Google Patents

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本発明は鉄筋と横筋が配筋された鉄筋用コンクリート施工に使用されコンクリートの被り厚さを設定する鉄筋用スペーサーに関する。
鉄筋コンクリート施工時に縦筋と横筋に係着されて配筋の外面から型枠に内面までの被り厚さを所要に維持する鉄筋用スペーサーの一例に特開2002−339511号がある。この発明の鉄筋用スペーサーは、スペーサーの下部にコンクリートの未充填部が発生しないように、縦筋25に保持される第1保持部22に対して縦筋25の長手方向に沿わせる垂直部24aを一体にしたもので、被り厚さLは常に一定であるから被り厚さに変われば被り厚さに対応したスペーサーをそのつど準備する必要がある。
特開2002−339511号公報(図1参照)
本発明は複数の被り厚さを簡便に設定できる鉄筋用スペーサーを提供しようとするものである。
本発明の請求項1に記載した鉄筋用スペーサーは、平面視円形輪郭形状のフレームと、該フレームの中心部で該フレームからのアームで支持される軸芯部とから成る基盤は、その両端には該フレームの前端より突出させてそれぞれに、水平方向を軸芯とする係着孔の側壁に下方に向けて挿入溝を開口して成る第1横筋係着部を配設し、該各第1横筋係着部の上面に基盤の上向に向けて挿入溝を開口し第1横筋係着部の係着孔より小径の係着孔を有する第2横筋係着部をそれぞれ設け、基盤の前端には垂直方向を軸芯とする係着孔の側壁に前方に向けて挿入溝を開口して成る縦筋係着部を所要高さで横向きに凹設し、基盤の後方周面には先端が第1横筋係着部の軸芯と平行な一対の突起を突設し、前記軸芯部には嵌合軸を立設して成り、縦筋係着部の係着孔の円弧底面から該突起先端までの距離を基準の被り厚さとして成る鉄筋用スペーサーと、
前記フレームと最外輪郭が同一のフレームと該フレームの中心部でフレームにアームで支持された軸芯部とから成る基体は軸芯部には嵌合孔を貫設し基体の周縁三分割点にはそれぞれ前記縦筋係着部の係着孔の内周縁の底面に円弧面を連接する第1縦筋係着部と第2縦筋係着部と第3縦筋係着部とを配設し各縦筋係着部の中心と軸芯部の軸芯を通る軸線上で該各縦筋係着部の反対側周縁にはそれぞれ所要長さの被り設定棒を突設して成る被り厚さ設定盤とから成り前記基盤の嵌合軸に被り厚さ設定盤の嵌合孔を嵌合して使用される鉄筋用スペーサーにおいて
前記第2横筋係着部が第1横筋係着部の上面に着脱自在に配設されて成る。
また、請求項2に記載した鉄筋用スペーサーは、請求項1に記載した鉄筋用スペーサーにおいて、前記各第1横筋係着部が基盤に対して着脱自在に配設されて成る。
本発明によれば、基準となる被り厚さに設定された鉄筋用スペーサーと、鉄筋用スペーサーに重合する複数の被り厚さを有する被り厚さ設定盤とから成るから、コンクリート打設時に広範な自由度で被り厚さに対応できる上配筋作業における横筋への係着が該横筋の弾性変形を要するまでもなく縦筋への係着状態で上か下へスライドするだけで簡易に成されることまた横筋の直径に応じて第1横筋係着部及び第2横筋係着部を着脱自在に選択できるなど横筋の仕様に対し広範な自由度で対応できることなどのほか、製造面では量産時の共通構造部のコストが削減される効果がある。
本発明の鉄筋用スペーサーにおける基盤や被り厚さ設定盤では、縦筋や横筋に係着される係着孔に合成樹脂製の弾性絞り部を設けたり、板バネを組み込むなどでそれぞれ抜け止めが図られる。鉄筋用スペーサーに重合する被り厚さ設定盤は、基盤の嵌合軸に対して被り厚さ設定盤の嵌合孔を緊着嵌合によるものであったり、120°の位相を選択できるセレーションによる嵌合やその他の部材上の雌雄の嵌合による位置決めが提供される。
また、被り厚さ設定盤では、各被り厚さに対応する被り設定棒を色分けなどで各被り厚さを一目瞭然に判別できる。
本発明の基本発明と成る鉄筋用スペーサーAについて説明すると、図1に示すように平面視で所要半径の円形輪郭のフレーム1と、フレーム1の中心部で前部及び左右の各アーム2で支持された軸芯部3とから成る基盤4は、その両側に張り出した側部アーム5の先端部に、フレーム1の前端より突出して第1横筋係着部8を図2に示すように設けている。すなわち、下向きに弾性絞り部34を形成した挿入溝6を横筋係着に十分な直径の係着孔7に連通して一対の第1横筋係着部8は成っている。基盤4は前端には縦筋係着部11をフレーム1内に設けている。すなわち、フレーム1の一部を欠いて開口し下方に弾性絞り部34を形成した挿入溝9を縦筋係着に十分な直径の係着孔10に連通した縦筋係着部11を所要高さで横向きに凹設している。基盤4は後方周面には先端が第1横筋係着部8の軸芯と平行な一対の突起12を突設し、軸芯部3には嵌合軸13を所要高さに立設している。各第1横筋係着部8の上面には基盤4の上方に向けて挿入溝14を開口した第2横筋係着部16を設けている。すなわち、弾性絞り部34を形成した挿入溝14を開口し、挿入溝14を第1横筋係着部8の係着孔7より小径の係着孔15に連通して第2横筋係着部16が成っている。
なお、この第2横筋係着部16を設けることによって横筋径の大小に対応できるから、一定径の横筋を対象とする場合は第2横筋係着部16のない場合がある。
このようにして成る鉄筋用スペーサーAは、図6に示すように縦筋係着部11の係着孔10が挿入溝9から縦筋17に係着され、その状態で押し下げつつ一対の第1横筋係着部8の係着孔7が挿入溝6から横筋18に係着され、それぞれの弾性絞り部34で縦筋17、横筋18は抜け止めされる。また、第2横筋係着部16を使用する場合は、縦筋係着部11の係着孔10に縦筋17を係着した状態で基盤4を押し上げつつ一対の第2横筋係着部16の係着孔15が挿入溝14から横筋18に係着されるのである。
コンクリート打設時には一対の突起12の先端が型枠19の内面に当設され、縦筋係着部11の係着孔10に挿入された縦筋17から型枠19の内面までの距離が基準の被り厚さL(本実施例では30mm)として設定される。
次に、被り厚さ設定盤Bについて説明すると、図3、図4に示すように平面視で前記フレーム1と同外径の輪郭のフレーム20と、フレーム20に丸棒状のアーム21で支持された軸芯部22とから成る基体23は、その軸芯部22には鉄筋用スペーサーAの嵌合軸13に嵌合する嵌合孔24が貫設され、基体23の周縁三分割点(120°分割点)には、縦筋係着部11の係着孔10と同一半径の円弧面25の底面を係着孔10の内周縁の底面に連接する第1縦筋係着部26と、第2縦筋係着部27と、第3縦筋係着部28とを配設している。縦筋係着部26、27、28相互間においては,軸芯部22に突設した丸棒状の支持軸29にそれぞれ所要長さの被り設定棒30、31、32をフレーム20を貫通して突設し、最長と中間長の各被り設定棒30、31にはフレーム20から張り出したV字状の補強体33の隅角部が一体にされて成る。
この被り厚さ設定盤Bでは、各円弧面25の底面から最長の被り設定棒30の先端までの距離が最長の被り厚さL3(60mm)と成り、中間長の被り設定棒31の先端までの距離が中間長の被り厚さL2(50mm)と成り、最短長の被り設定棒32の先端までの距離が最短長の被り厚さL1(40mm)と成っている。
このようにして成る被り厚さの設定盤Bは、鉄筋用スペーサーAの嵌合軸13に嵌合孔24が嵌合し重合されて図5に示すように鉄筋用スペーサーCとして使用に供される。
この鉄筋用スペーサーCによれば、配筋に対しては鉄筋用スペーサーAがそれぞれの縦筋17及び横筋18に係着され、被り厚さに対しては鉄筋用スペーサーAの縦筋係着部11が係着する縦筋17に対して設定の被り厚さとなる第1乃至第3縦筋係着部30、31、32が選択的に係着され、嵌合孔24が鉄筋用スペーサーAの嵌合軸13に嵌合されて指定の被り厚さL1乃至L3が設定される。
このように嵌合軸13に嵌合孔24を嵌合し、鉄筋用スペーサーAの縦筋係着部11の係着孔10に係着した縦筋17に被り厚さ設定盤Bの第1乃至第3縦筋係着部30、31、32の何れかの円弧面25が係着されるから、被り厚さ設定盤Bは鉄筋用スペーサーAの嵌合軸13に対して位置決めされ、鉄筋用スペーサーCは確実に各被り厚さL1乃至L3を設定できる。
次に、鉄筋用スペーサーAにおいて、第1横筋係着部8及び/又は第2横筋係着部16を基盤4の各側部アーム5に着脱自在に配設したものも提供される。
その一例として図7、図8に示すように鉄筋用スペーサーDは、鉄筋用スペーサーAにおいて、第1横筋係着部8を雌雄係合部35で基盤4の各側部アーム5に着脱自在に係合するとともに、第1横筋係着部8の上面に雌雄係合部36を介して第2横筋係着部16を着脱自在に係合するものである。
すなわち、雌雄係合部35は第1横筋係着部8の上部後方に張り出した二股の両内面に凹設した球面溝37と、側部アーム5の前記二股に嵌入する部位で、球面溝37に係合する球面状の突部38と、前記二股の前端から両内面に渡ってそれぞれ欠設して突部38を案内する案内斜面39とから成り、また雌雄係合部36は第1横筋係着部8の上面に凹設する縦断面逆U状の嵌入溝40と、第2横筋係着部16の下端面に垂下し嵌入溝40に嵌入する嵌入突部41とから成る。
なお前記鉄筋用スペーサーDも被り厚さ設定盤Bと組み合わされて鉄筋用スペーサーCの如き状態で提供される。
前記実施例以外には第1横筋係着部8をその天地を逆にして側部アーム5に雌雄係合部35を介して係合したものや、側部アーム5の前部に広幅部を形成し、該広幅部に第2横筋係着部16を第1横筋係着部8に置き換えて雌雄係合部36を介して係合するものなど提供される。このような鉄筋用スペーサーによれば、基盤4は横筋18の径に拘わりなく量産でき、各横筋径に対応する第1横筋係着部8及び/又は第2横筋係着部16を量産できる。横筋係着部11が各縦筋17に対応する各係着孔10を有するものとして基盤4に着脱自在に配設されるものもある。
本発明の鉄筋用スペーサーは、建設業界ではコンクリート打設の作業能率を向上させ、製造面では量産向きの合成樹脂製とすれば射出成形業界に貢献し、鋳物では鋳物業界を活性化し、また、両者の複合品として両業界に渡って利用される。
本発明に係わる鉄筋用スペーサーAの平面図。 図1の正面図。 被り厚さ設定盤Bの平面図。 図3の正面図。 本発明に係わる鉄筋用スペーサーCの平面図。 鉄筋用スペーサーAの使用状態の説明図。 本発明の他の実施態様における鉄筋用スペーサーDの平面図。 図7の正面図。
符号の説明
1:フレーム
2:アーム
3:軸芯部
4:基盤
5:側部アーム
6:挿入溝
7:係着孔
8:第1横筋係着部
9:挿入溝
10:係着孔
11:縦筋係着部
12:突起
13:嵌合軸
14:挿入溝
15:係着孔
16:第2横筋係着部
17:縦筋
18:横筋
19:型枠
20:フレーム
21:アーム
22:軸芯部
23:基体
24:嵌合孔
25:円弧面
26:第1縦筋係着部
27:第2縦筋係着部
28:第3縦筋係着部
29:支持軸
30:被り設定棒
31:被り設定棒
32:被り設定棒
33:補強体
34:弾性絞り部
35:雌雄係合部
36:雌雄係合部
37:球面溝
38:突部
39:案内斜面
40:嵌入溝
41:嵌入突部
A:鉄筋用スペーサー
B:被り厚さ設定盤
C:鉄筋用スペーサー
D:鉄筋用スペーサー
L1乃至L3:被り厚さ

Claims (2)

  1. 平面視円形輪郭形状のフレームと、該フレームの中心部で該フレームからのアームで支持される軸芯部とから成る基盤は、その両端には該フレームの前端より突出させてそれぞれに、水平方向を軸芯とする係着孔の側壁に下方に向けて挿入溝を開口して成る第1横筋係着部を配設し、該各第1横筋係着部の上面に基盤の上向に向けて挿入溝を開口し第1横筋係着部の係着孔より小径の係着孔を有する第2横筋係着部をそれぞれ設け、基盤の前端には垂直方向を軸芯とする係着孔の側壁に前方に向けて挿入溝を開口して成る縦筋係着部を所要高さで横向きに凹設し、基盤の後方周面には先端が第1横筋係着部の軸芯と平行な一対の突起を突設し、前記軸芯部には嵌合軸を立設して成り、縦筋係着部の係着孔の円弧底面から該突起先端までの距離を基準の被り厚さとして成る鉄筋用スペーサーと、
    前記フレームと最外輪郭が同一のフレームと該フレームの中心部でフレームにアームで支持された軸芯部とから成る基体は軸芯部には嵌合孔を貫設し基体の周縁三分割点にはそれぞれ前記縦筋係着部の係着孔の内周縁の底面に円弧面を連接する第1縦筋係着部と第2縦筋係着部と第3縦筋係着部とを配設し各縦筋係着部の中心と軸芯部の軸芯を通る軸線上で該各縦筋係着部の反対側周縁にはそれぞれ所要長さの被り設定棒を突設して成る被り厚さ設定盤とから成り前記基盤の嵌合軸に被り厚さ設定盤の嵌合孔を嵌合して使用される鉄筋用スペーサーにおいて
    前記第2横筋係着部が第1横筋係着部の上面に着脱自在に配設されて成る鉄筋用スペーサー。
  2. 前記各第1横筋係着部が基盤に対して着脱自在に配設されて成る請求項1記載の鉄筋用スペーサー。
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