JP3940278B2 - 形材圧延の寸法制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は形材圧延の寸法制御方法に係り、特に複数の形材圧延ミルを同時かつ最適に制御することが可能な形材圧延の寸法制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ユニバーサルミル及びエッジャーミルにより形材を圧延する際に使用する制御方法として各種の方法が提案されているが、一本の形材の圧延中にミルの制御を行うバー内制御と、先行形材の圧延結果を後続形材の圧延制御に反映するバー間制御に大別される。
【0003】
例えば「塑性と加工」Vol.16,No.168,(1975-1)60-69には、ロール回転数を操作量としてスタンド間の張力を制御することにより、フランジ幅変動を低減するためのH形鋼のバー内制御方法が開示されている。
【0004】
また「計測と制御」Vol.23,No.10,(1984-10)40-47には、圧延反力非干渉制御理論を適用して水平ロールのロール間隔及び圧延荷重、並びに垂直ロールのロール間隔及び圧延荷重を同時に操作して、出側ウェブ厚さ及び出側フランジ厚さを所定値に制御するバー内制御方法が開示されている。
【0005】
さらに特開平8−309416号公報には、エッジャーミルのロール間隔を制御することによりフランジ幅を所定値に制御するバー内制御方法が開示されている。
【0006】
さらに特開平9−164411号公報には、ミルの入側及び出側に寸法計を設置し、寸法計による計測結果に基づいて各ミルの圧下力、ロールスラスト、及びガイドローラ間隔をパス間又はバー間で最適制御するパス間又はバー間制御方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記制御方法にあっては、圧延前のバー内寸法の変化が大きいとき、あるいは圧延前のバー内温度の変化が大きいときは仕上げ精度が悪化することは回避できない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、多段の圧延ミルを同時かつ最適に制御することにより、バー内寸法及び温度の変化が大きい場合にも形材を高精度に圧延することの可能な形材圧延寸法の制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る寸法制御方法は、直列に配置された少なくとも2段のミルにより形材を圧延する際の寸法制御方法であって、各ミルのロール間隔及びロール回転数を状態変数としロール間隔目標値及びロール回転数目標値を入力変数とするミル駆動系モデルを構築するミル駆動系モデル構築段階と、各ミルのロール間隔及びロール回転数並びにミル間の形材に作用する張力を状態変数とし各ミルによる圧延後の形材寸法を出力変数とし各ミルのロール間隔目標値及びロール回転数目標値を入力変数とする圧延系モデルを構築する圧延系モデル構築段階と、ミル駆動系モデル構築段階で構築されたミル駆動系モデルと圧延系モデル構築段階で構築された圧延系モデルを統合して圧延設備系モデルを構築する圧延設備系モデル構築段階と、圧延設備系モデル構築段階で構築された圧延設備系モデルの入力変数にフィードバックするために出力変数に乗算されるゲインを演算するゲイン演算段階と、ゲイン演算段階で演算されたゲインにより少なくとも2段のミルを制御するミル制御段階とを具備し、ゲイン演算段階が外乱ベクトルを入力とし出力変数を出力とする伝達関数のH∞ノルムを予め定めた所定値以下とするゲインを演算する。
【0010】
本発明にあっては、圧延設備全体の動特性を動特性方程式でモデル化し、このモデルを使用してフィードバック制御ゲインを決定し、このゲインによって圧延設備がフィードバック制御される。また、本発明にあっては、外乱ベクトルを入力とし出力変数を出力とする伝達関数のH∞ノルムを所定値以下とするようにゲインが決定される。
【0011】
第2の発明に係る寸法制御方法は、最終段のミルによる圧延後の形材の寸法を計測する寸法計測段階をさらに具備し、圧延系モデル構築段階が寸法計測段階で計測された形材の寸法により補正された各ミルによる圧延後の形材寸法を出力変数とする。
【0012】
本発明にあっては、最終ミルによる圧延後の形材の寸法計測値によって各ミルによる圧延後の寸法が補正される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下の説明で使用する記号を第1表に示すとともに以下のように定義する。
【0020】
ここで、ミル番号を表す添字i,jは、i=1,2,………,n、j=1,2,………,n-1(n:最終スタンドNo.)であるが、添字i,jの使い分けは以下のとおりである。
【0021】
即ち、最終段ミルnで値が0となる変数、例えばロール回転数目標値の偏差、実測値の偏差、及びミル間張力の偏差に対しては添字としてjを用いる。
【0022】
一方最終段ミルnで値が0以外の値にもなる変数、例えばロール間隙目標値の偏差、実測値の偏差に対する添字としてiを用いる。
【0023】
なお以下では、時刻を離散時間系で表示する。
【0024】
【表1】
Figure 0003940278
【0025】
以下各変数について説明する。
1)Δshi *(k),Δsvdi *(k),Δsvwi *(k)
離散時間系の時刻kにおける前記ミルにおける水平、竪DS(ドライブサイド)、及び竪WS(ワークサイド゛)ロール間隙の偏差であり、[数1]で定義される。
【0026】
【数1】
Figure 0003940278
【0027】
2)Δtfj *(k)
離散時間系の時刻kにおける各ミルの前方張力の偏差であり、[数2]で定義される。
【0028】
【数2】
Figure 0003940278
【0029】
3)Δshri *(k),Δsvdri *(k),Δsvwri *(k)
No.iミルにおけるロール間隙目標値の偏差であり、[数3]で定義される。
【0030】
【数3】
Figure 0003940278
【0031】
4)ΔNrj *(k):
No.jミルにおけるロール回転数目標値の偏差であり、[数4]で定義される。
【0032】
【数4】
Figure 0003940278
【0033】
5)Δhwn *(k),Δhn *(k),Δhhn *(k),Δhfn *(k),Δbhn *(k),Δbfn *(k)
最終段ミル(即ち、n番目のミル)の出側における材料ウェブ厚さ、ウェブ高さ、DS頭厚さ、WS足厚さ、DS頭幅、及びWS足幅の偏差であり、[数5]で定義される。
【0034】
【数5】
Figure 0003940278
【0035】
6)ΔTmi *(k),ΔHwi *(k),ΔHi *(k),ΔHhi *(k),ΔHfi *(k),
ΔBhi *(k),Δ*fi(k)
No.iミル入側における材料平均温度、材料ウェブ厚さ、ウェブ高さ、DS頭厚さ、WS足厚さ、DS頭幅、ΔHfi *(k)及びWS足幅の偏差であり、[数6]で定義される。
【0036】
【数6】
Figure 0003940278
【0037】
【数7】
Figure 0003940278
【0038】
【数8】
Figure 0003940278
【0039】
【数9】
Figure 0003940278
【0040】
【数10】
Figure 0003940278
【0041】
図1は本発明に係る形材圧延方法を適用する圧延設備の構成図であって、第1から第5の5つのミル11〜15を具備する。
【0042】
図2は形材圧延装置で圧延されるレールの断面図であって、ウェブ高さ(H)、ウェブ厚さ(Hw)、頭厚さ(Hh)、足厚さ(Hf)、頭幅(Bh)、及び足幅(Bf)を所定の寸法に成形することが必要である。
【0043】
第1ミル11、第3ミル13及び第5ミル15はユニバーサルミルであって、それぞれ一対の水平ロール111、131及び151、ドライブサイド竪ロール112及び132、並びにワークサイド竪ロール113、133及び153を具備する。そして、第5ミルであるユニバーサルミルはドライブサイド竪ロールを具備しない。即ち、ユニバーサルミルではウェブ高さ(H)、ウェブ厚さ(Hw)、頭厚さ(Hh)、及び足厚さ(Hf)が成形される。
【0044】
第2ミル12及び第4ミル14はエッジャーミルであって、それぞれ一対の水平ロール121及び141を具備する。なお第4ミル14であるエッジャーミルはドライブサイド竪ロール142も具備する。即ち、エッジャーミルでは頭幅(Bh)、及び足幅(Bf)が成形される。
【0045】
図3〜7は第1〜5ミルのロール形状及びレール断面図である。
【0046】
本設備による形材圧延工程は1〜3の3ウエイ(way)からなり、第1ウエイでは第1ミル11から第2ミル12に向かって形材が移動し、第2ウエイでは第2ミル12からに第1ミル11向かって形材が移動する。そして、第3ウエイでは第1ミル11〜第5ミル15に向かって形材が移動する。
【0047】
各ミル1i(i=1〜5)には、それぞれ圧延荷重センサ1i5、張力センサ1i6、ロール位置センサ1i7、及びロール回転数センサ1i8が設置されている。
【0048】
さらに、第5ミル15の下流側には仕上がり寸法測定ステーション16が設置され、形材の仕上がり寸法が実測される。
【0049】
形材圧延装置は制御部17が設置されるが、制御部には圧延荷重センサ1i5、張力センサ1i6、ロール位置センサ1i7、及びロール回転数センサ1i8の検出結果だけでなく、仕上がり寸法測定ステーション16で計測された形材の仕上がり寸法の実測値も入力される。そして、制御部17は、各スタンド1iに対してロール間隔及びロール回転数に対する操作信号を出力する。
【0050】
本発明では、下記2通りの寸法制御方法を行う。
ケース1
制御量:各ミル間張力
各ミル出側材料高さ偏差(ゲージメータAGC)
操作量:ミルロール回転数
ロール間隙(フィードバック制御のみ)
ケース2
制御量:各ミル間張力
各ミル出側材料高さ偏差(ゲージメータAGC)
操作量:ミルロール回転数
ロール間隙(フィードバック制御+プログラム制御)
図8は本発明に係る制御システムを設計するための制御システム設計ルーチンのフローチャートであって、ステップ81でミル駆動系のモデル化を行う。
【0051】
次にステップ82で圧延現象をモデル化した状態方程式を作成する。そして、ステップ83でステップ81及び82で作成したモデルを合成して圧延設備全体の状態方程式を作成する。さらに、ステップ84でミル間の形材移送遅れをモデル化する。
【0052】
ステップ85で設備全体の状態方程式に基づいて制御系設計用状態方程式を作成し、ステップ86で評価関数の重み係数Q及びRを初期値に設定する。そして、ステップ87で制御系設計計算を実行してフィードバックゲインを決定する。
【0053】
ステップ88でこのフィードバックゲインを使用してシミュレーションを実行して形鋼の仕上がりが良好かを判定し、否定判定されたときはステップ89で重み係数Q及びRを変更して制御系設計計算を再実行する。
【0054】
ステップ88で肯定判定されたときは、決定されたフィードバックゲインを圧延設備の実際の制御装置に設定して、実際の操業を行う。
【0055】
以下各ステップの処理を説明する。
1.ミル駆動系の定式化
圧延機の水平ロール又は竪ロールの間隔目標値を変更してからロール間隔が実際に変化するまでの動特性を一次遅れで表す。
【0056】
即ち、ミルiの水平ロール間隔、ドライブサイド竪ロール間隔、ワークサイド竪ロール間隙について、[数11]が成立するものとする。
【0057】
【数11】
Figure 0003940278
【0058】
[数11]を離散時間系で表すと[数12]を得る。
【0059】
【数12】
Figure 0003940278
【0060】
さらに、ロール回転目標値を変更してからロール回転数が実際に変化するまでの動特性は、[数13]の二次振動系で表されるものとする。
【0061】
【数13】
Figure 0003940278
【0062】
[数13]を離散時間系で表すと[数14]を得る。
【0063】
【数14】
Figure 0003940278
【0064】
2.圧延現象のモデル化
形材の圧延現象は、ロール入側形材寸法及び温度並びにロール圧延荷重及びロール回転数の動的変化により、形材に作用する張力並びにロール出側形材寸法が変化し、この変化が形材移送時間を経て下流スタンドに伝播する複雑な現象である。
【0065】
この現象は非線形微分方程式で記述されるが、基準値回りの微小変化に着目して線形化するとともに基準値で無次元化し、離散時間系に変換することにより、[数15]で表される線形圧延モデルを構築することができる。
【0066】
【数15】
Figure 0003940278
【0067】
3.圧延設備全体の状態方程式の作成
[数12]、[数14]及び[数15]を結合することにより、[数16]で表される圧延設備全体に状態方程式が構築される。
【0068】
【数16】
Figure 0003940278
【0069】
4.スタンド間移送遅れモデルの作成
第i番目のミルからその下流側の第i+1番目のミルへの形材の移送時間tdiの近似ステップ数をLi(Liはtdi≒Li・Δtとなる0又は正整数、Δtは制御周期)とすると、形材移送遅れは[数17]で表される。
【0070】
【数17】
Figure 0003940278
【0071】
5.制御系設計用状態方程式の作成
[数16]で表される圧延設備全体の状態方程式から、ミル形式及び制御方法に応じて状態変数、出力変数及び入力変数を選択して[数18]で表される制御系設計用状態方程式を作成する。なお、制御系設計用状態方程式では、ロックオン時からの偏差を状態変数、出力変数及び入力変数としている。
【0072】
【数18】
Figure 0003940278
【0073】
5.1 ケース1の場合
状態変数ベクトル、出力変数ベクトル、及び入力変数ベクトルは[数19]で表される。
【0074】
【数19】
Figure 0003940278
【0075】
即ち、ケース1における出力変数は、ユニバーサルミル出側のウェブ厚さ、ウェブ高さ、DS頭厚さ、及びWS足厚さ、エッジャーミル出側のウェブ厚さ、DS頭幅、及びWS足幅、並びにスタンド前方張力である。
5.2 ケース2の場合
状態変数ベクトル、出力変数ベクトル、及び入力変数ベクトルは[数20]で表される。
【0076】
【数20】
Figure 0003940278
【0077】
即ち、ケース2における出力変数は、ユニバーサルミル出側のウェブ高さ、DS頭厚さ、及びWS足厚さ、並びにスタンド前方張力である。
【0078】
なお、外乱ベクトルはケース1及び2に共通であり、[数21]で表される。
【0079】
【数21】
Figure 0003940278
【0080】
6.制御系の設計
6.1 最適レギュレータ理論を適用した制御系の設計
[数18]の状態方程式で表される系に対して[数22]で表される評価関数Jを最小とする最適制御則を設計する。
【0081】
【数22】
Figure 0003940278
【0082】
なお、Q及びRは重み行列である。
【0083】
【数23】
Figure 0003940278
【0084】
すると、最適制御入力ベクトルは[数24]で表される。
【0085】
【数24】
Figure 0003940278
【0086】
ここで、部分状態変数は[数25]で定義される。
【0087】
【数25】
Figure 0003940278
【0088】
このとき、最適ゲインF1、F2、及びF3は、[数26]で与えられる。
【0089】
【数26】
Figure 0003940278
【0090】
ここで、Φ、Γ、及びHは、[数18]で表される状態方程式のエラーシステムの係数行列であり、[数27]で定義される。
【0091】
【数27】
Figure 0003940278
【0092】
なお、圧延設備のオンライン制御時には、出力変数の各要素、即ち、ミル出側のウェブ厚さ、ウェブ高さ、DS頭厚さ、WS足厚さ、頭幅、及び足幅は、直接計測することができないのでロール荷重センサで検出されるロール荷重及びロール圧下位置センサで検出されるロール間隙を使用して[数28]で表されるゲージメータ式によって算出される。
【0093】
【数28】
Figure 0003940278
【0094】
そして、モニタAGC補償無しの場合は[数28]の右辺第1項及び第2項を使用し、モニタAGC補償有りの場合は[数28]の右辺第1項、第2項及び第3項を使用する。
【0095】
ここで、[数28]の右辺第3項は、圧延機出側の寸法の実測値の目標値からの偏差を、No.k、No.lスタンドミル出側材料高さが圧延機出側の材料寸法の偏差に及ぼす影響係数を用いてNo.k、No.lスタンドミル出側材料高さの偏差に換算し、ゲインをかけて、積分して得られるモニタAGC補償項であり、以下の手順で算出される。
【0096】
即ち、寸法計16の最終段ミル出側ウェブ厚さΔhwn *、出側DS頭厚さ偏差Δhhn *、出側WS足厚さ偏差Δhfn *、出側DS頭幅偏差Δbhn *、出側WS足幅偏差Δbfn *のサンプル値から、 No.L エッジャーミル出側DS頭幅モニタ修正量Δbhl *、及びWS足幅モニタ修正量Δbfl *、並びにNo.kユニバーサルミル出側材料DS頭厚さモニタ修正量Δhhk *、WS足厚さモニタ修正量Δhfk *、及びウェブ厚さモニタ修正量Δhwk *を[数29]で表される連立方程式を解いて求める。
【0097】
【数29】
Figure 0003940278
【0098】
ただし、k11〜k55は影響係数(計算値又は実測値)を用いて[数30]により定義される。
【0099】
【数30】
Figure 0003940278
【0100】
従って、モニタAGC補償項
ΔhhMk *(k)、ΔhfMk *(k)、ΔhwM,k *(k)、ΔbhMl *(k),ΔbfMl *(k)
は、
Δhhk *(k),Δhfk *(k),Δhwk *(k),Δbhl *(k),Δbfl *(k)
を[数31]に基づいて積分することにより求めることができる。
【0101】
【数31】
Figure 0003940278
【0102】
6.2 H∞理論を適用した制御系の設計
H∞制御の出力フィードバック制御問題は、
u=K(s)・y
なる制御器によって閉ループ系を内部安定とし、外乱wから制御量yまでの閉ループ伝達関数Pywが与えられたγに対して、
yw(s)のH∞ノルム‖Pyw(s)‖∞が、
‖Pyw(s)‖∞<γ
を満たすような制御ゲインK(s)を決定する問題である。
【0103】
ここで、Pyw(s)のH∞ノルムとは、Pyw(s)でs=jωとおき、ω=0〜∞まで変化させたときのベクトル軌跡の原点から最も遠い点の距離を表す。また、K(s)は二つのリカッチ方程式を解くことにより求められる。
【0104】
H∞制御理論の特長は、つぎの二つが容易に達成できることである。
【0105】
1)ロバスト安定化…数値モデルと実際の制御対象の間に誤差があっても、実際の制御対象を安定化する制御対象を設計できる。
【0106】
2)周波数領域で制御仕様設計可能…閉ループ系の周波数応答を指定できる。
7.最適ゲインの決定
最適レギュレータ理論又はH∞理論を適用することにより最適ゲインを求めることが可能であるが、このゲインにより圧延の挙動をシミュレーションし、応答が満足するものであることを確認する。
【0107】
このシミュレーションの際には[数18]で表されるスタンド間の形材の移送遅れモデルを使用する。
【0108】
応答が満足すべきものでないときには、評価関数の重み行列Q及びR、並びにモニタ補償積分ゲインKhML、KfML、KwMk、KhMk 及びKfMk を変更し、再度最適ゲインの演算を実行する。上記手順を満足すべき応答が得られるまで繰り返す。
【0109】
この場合、制御量の偏差に乗算される重み行列Qは、多変数の制御量の中で高応答で小偏差の要求される制御量ほどそれに乗算されるQの要素の大きさを大きくする。また、操作量の偏差に乗算される重み行列Rは、多変数の操作量の中でその操作量で制御される制御量の要求される応答速度が大きいほどその操作量に乗算されるRの要素の大きさを小さくする。
【0110】
ただし、重みQ、Rの大きさについて、同一の物理量に乗算される要素間では要素の大小関係はそれに対応する制御量の応答速度あるいは操作量の変化速度の大小関係に対応するが、異なる物理量間では対応しない。
8.オンライン制御
最適ゲインが決定されると、最適入力uopt(k)は[数25]により決定される。
【0111】
そして[数25]のF1,F2,F3は、オンライン処理時にプロセスコンピュータに組み込んで記憶しておく。
【0112】
そしてオンライン処理は、プロセスコンピュータにより実行される。オフライン処理で求められプロセスコンピュータに記憶された最適フィードバックゲイン及びオンラインで実測される状態ベクトルと出力ベクトルを用いて最適制御入力を演算し、その値を操作量として制御装置に出力してフィードバック多変数制御のオンライン制御を実行する。
【0113】
【実施例】
レールの圧延条件で、No.1ミル入側材料後端部平均温度が材料先端部平均温度に対しΔTm1 *=−80℃だけランプ状(直線状)に変化し、入側材料寸法の後半部が、WS足幅がΔBf1 *=0.015、DS頭厚がΔHh1 *=0.048、WS足厚がΔHf1 *=0.040だけステップ状に変化する場合について検討した。
ケース1
ミル形式
No.1ミル:ユニバーサルミル
No.2ミル:エッジャーミル
No.3ミル:ユニバーサルミル
No.4ミル:エッジャーミル
No.5ミル:ユニバーサルミル
圧延方法
No.1way:No.1ミル→No.2ミル
No.2way:No.2ミル→No.1ミル
No.3way:No.1ミル→No.2ミル→No.3ミル→No.4ミル→No.5ミルの連続圧延
制御条件
No.1way
No.1ミル竪ロールゲージメータAGC
+No.2ミル水平ロールゲージメータAGC
+No.1〜No.2ミル間張力制御
No.2way
No.2ミル水平ロールゲージメータAGC
+No.1ミル竪ロールゲージメータAGC
+No.2〜No.1ミル間張力制御
No.3way
No.1ミル竪ロールゲージメータAGC
+No.2ミル水平ロールゲージメータAGC
+No.4ミル水平ロールゲージメータAGC
+No.5ミル竪ロールゲージメータAGC
+No.1〜No.2〜No.3〜No.4〜No.5ミル間張力制御
図9は最終段ミル出側材料ウェブ高さhnの測定結果であって、○は最適レギュレータを使用しない場合を、●は最適レギュレータを使用した場合を示す。
即ち、仕上げウェブ高さの長手方向変動は、制御なしの場合は0.5mmであるが、制御ありの場合は0.3mmに低減される。
【0114】
ここで、最終段ミル出側材料ウェブ高さの絶対値が制御なしとありの場合で約1mm異なるのは、本実施例の素材ウェブ高さがそれ以上異なることに起因する。
【0115】
図10は最終段ミル出側足幅bfnの測定結果であって、○は最適レギュレータを使用しない場合を、●は最適レギュレータを使用した場合を示す。
【0116】
即ち最終段ミル出側WS足幅の長手方向変動は、制御なしの場合は1.5mmであるが、制御ありの場合は1.3mmに低減される。
【0117】
ここで、制御ありの場合のWS足幅変動低減効果が小さいのは、本実施例のエッジャーミルのミルパワーの制約で圧下率を大きく取れないことに起因する。
ケース2
ミル形式
No.1ミル:ユニバーサルミル
No.2ミル:エッジャーミル
No.3ミル:ユニバーサルミル
No.4ミル:エッジャーミル
No.5ミル:ユニバーサルミル
圧延方法
No.1way:No.1ミル→No.2ミル
No.2way:No.2ミル→No.1ミル
No.3way:No.1ミル→No.2ミル→No.3ミル→No.4ミル→No.5ミルの連続圧延
制御条件
No.1way
No.1ミル竪ロールゲージメータAGC
+パターン圧下+No.1〜No.2ミル間張力制御
No.2way:
No.1ミル竪ロールゲージメータAGC+パターン圧下
+No.2〜No.1ミル間張力制御、
No.3way:
No.1ミル竪ロールゲージメータAGC+パターン圧下
+No.1〜No.2〜No.3〜No.4〜No.5ミル間張力制御
図11は、最終段ミル出側ウェブ高さhnの測定結果であって、○は最適レギュレータを使用しない場合を、●は最適レギュレータを使用した場合を示す。
【0118】
仕上げウェブ高さの長手方向変動は、制御なしの場合は1.3mmであるが、制御ありの場合は0.7mmに低減された。
【0119】
図12は、最終段ミル出側ウェブ足幅bfnの測定結果であって、○は最適レギュレータを使用しない場合を、●は最適レギュレータを使用した場合を示す。
【0120】
最終段ミル出側WS足幅の長手方向変動は、制御なしの場合は1.0mmであるが、制御ありの場合は0.8mmに低減された。
【0121】
ここで、制御ありの場合のWS足幅変動低減効果が小さいのは、本実施例の制御条件では最終段ミル出側WS足幅寸法の制御効果の大きいエッジャーミルの水平ロール圧下率を操作量としていないことに起因する。
【0122】
なお、本実施例では、
No.1ミル:ユニバーサルミル(4ロール)、
No.2ミル:エッジャーミル(2ロール)、
No.3ミル:ユニバーサルミル(4ロール)
No.4ミル:エッジャーミル(3ロール)、
No.5ミル:ユニバーサルミル(3ロール)
における形材の寸法制御方法を示したが、各ミルがユニバーサルミル(4ロール又は3ロール)、エッジャーミル(2ロール又は3ロール)のいずれかでミル台数n、way数m(リバース圧延がある場合は、way数m≧2)が設置された形材ミルにおける寸法制御も状態方程式の係数行列A〜Fの値をそのミルの値に置換することにより、本発明の方法で高応答かつ高精度で目標値に制御可能である。
【0123】
また、棒線材又は管圧延の場合の寸法制御も状態方程式の係数行列A〜Fの値をそのミルの値に置換することにより、本発明の方法で高応答かつ高精度で目標値に制御可能である。
【0124】
また、熱間帯板ミル又は冷間帯板ミルの寸法制御も同様に状態方程式の係数行列A〜Fの値をそのミルの値に置換することにより、本発明の方法で高応答かつ高精度で目標値に制御可能である。
【0125】
なお、本実施例では制御系設計時に使用する評価関数の形式として2次形式を用いたが、他の形式の関数で定義した評価関数、又はH∞制御のようなロバスト制御の制御則等を用いてフィードバック制御の多変数制御系を構成し、制御ゲインを算出すれば本実施例と同様にオンラインの寸法制御が可能である。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多変数制御理論に基づく制御は、形材圧延において以下のように高精度に寸法制御することが可能となった。
(1) 最終段ミル出側材料ウェブ高さの変動は、最適制御有りの場合は最適制御無しの場合の60%に低減する。
(2) 最終段ミル出側材料WS足幅の変動は、最適制御有りの場合は最適制御無しの場合の80%に低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る寸法制御方法を適用する圧延設備の構成図である。
【図2】レールの断面図である。
【図3】第1ミルのロール形状及びレール断面図である。
【図4】第2ミルのロール形状及びレール断面図である。
【図5】第3ミルのロール形状及びレール断面図である。
【図6】第4ミルのロール形状及びレール断面図である。
【図7】第5ミルのロール形状及びレール断面図である。
【図8】制御システム設計ルーチンのフローチャートである。
【図9】ケース1のウェブ高さ測定結果である。
【図10】ケース1の足幅の測定結果である。
【図11】ケース2のウェブ高さ測定結果である。
【図12】ケース2の足幅の測定結果である。
【符号の説明】
11…第1ミル
111…第1ミル水平ロール
112…第1ミルドライブサイド竪ロール
113…第1ミルワークサイド竪ロール
12…第2ミル
121…第2ミル水平ロール
13…第3ミル
131…第3ミル水平ロール
132…第3ミルドライブサイド竪ロール
133…第3ミルワークサイド竪ロール
14…第4ミル
141…第4ミル水平ロール
142…第4ミルドライブサイド竪ロール
15…第5ミル
151…第5ミル水平ロール
153…第5ミルワークサイド竪ロール
115、125、135、145、155…圧延荷重センサ
116,126,136,146,156…張力センサ
117,127,137,147,157…ロール圧下位置センサ
118,128,138,148,158…ロール回転数センサ
16…仕上げ寸法計測スタンド
17…制御部

Claims (2)

  1. 直列に配置された少なくとも2段のミルにより形材を圧延する際の寸法制御方法であって、各ミルのロール間隔及びロール回転数を状態変数とし、ロール間隔目標値及びロール回転数目標値を入力変数とするミル駆動系モデルを構築するミル駆動系モデル構築段階と、各ミルのロール間隔及びロール回転数、並びにミル間の形材に作用する張力を状態変数とし、各ミルによる圧延後の形材寸法を出力変数とし、各ミルのロール間隔目標値及びロール回転数目標値を入力変数とする圧延系モデルを構築する圧延系モデル構築段階と、前記ミル駆動系モデル構築段階で構築されたミル駆動系モデルと前記圧延系モデル構築段階で構築された圧延系モデルを統合して圧延設備系モデルを構築する圧延設備系モデル構築段階と、前記圧延設備系モデル構築段階で構築された圧延設備系モデルの入力変数にフィードバックするために出力変数に乗算されるゲインを演算するゲイン演算段階と、前記ゲイン演算段階で演算されたゲインにより前記少なくとも2段のミルを制御するミル制御段階とを具備し、前記ゲイン演算段階が、外乱ベクトルを入力とし出力変数を出力とする伝達関数のH∞ノルムを予め定めた所定値以下とするゲインを演算する寸法制御方法。
  2. 最終段のミルによる圧延後の形材の寸法を計測する寸法計測段階をさらに具備し、前記圧延系モデル構築段階が、前記寸法計測段階で計測された形材の寸法により補正された各ミルによる圧延後の形材寸法を出力変数とする請求項1に記載の寸法制御方法。
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