JP3938374B2 - エチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Description
従来EVA系エマルジョン製造時に使用された還元剤(通称ロンガリット)に由来する環境上の問題物質であるホルムアルデヒドは概ね対策が図られて来ているが(特許文献1参照)、もう一方の酢酸ビニルモノマーの分解に由来するアセトアルデヒドについては改善の余地が残っているのが現状である。このアセトアルデヒドの低減対策として、特定の酸化剤と還元剤によるレドックス開始剤で得られたEVA系エマルジョンに無機系還元剤を添加する技術(特許文献2参照)が開示されている。しかし、無機系還元剤は特有の硫黄臭があり、添加量によってはエマルジョンに不快な臭いが発生するという課題がある。
その他共重合可能な単量体としては、例えば塩化ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドがあるが、これらの成分を一種類以上含有させることができる。
また、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを併用することもできる。
尚、一般的にはPVA単独、若しくはPVA主体の併用系が好ましい。
上記PVAにおいて、共重合可能な他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和モノカルボン酸類又は不飽和ジカルボン酸類のエステル類、又はその塩類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の重合性酸アミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリシジル基を有する単量体、アルキルビニルエーテル類、スルホン基を有する単量体等が挙げられる。
また、PVAの変性としては例えばアセトアセチル変性やメルカプト変性が挙げられる。 PVAの平均重合度は200〜4500、ケン化度についても特に制限はなく、完全ケン化PVAやケン化度65〜95%の部分ケン化PVAが用いられる。
これら還元剤の使用量が0.01質量部よりも少ないと、重合途中で反応が進まず残存モノマーが増加する傾向がある。一方1.0質量部より多いと重合性は良好であるが、コストが高くなり経済性の点で好ましくない。
また、還元剤は酸化剤を添加する前に系内に添加しても良いし、酸化剤と共に系内に添加しても良い。
また、酸化還元反応であるレドックス重合を円滑に進めるためには、鉄、銅、コバルト、ニッケルなどの水溶性金属化合物、ピロリン酸ナトリウム又はエチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩などのキレート形成化合物を併用することが望ましい。
これらの誘導体の1種以上を、ホルムアミジンスルフィン酸及び/又は二酸化チオ尿素と併用することも可能である。
重合温度は使用するラジカル開始剤の種類により異なるが、一般的には40〜80℃である。
重合は、EVA系エマルジョンに含有される未反応モノマーが3質量%以下になるまで行うことが好ましい。
尚、本願の目的であるアセトアルデヒドの低減は酢酸ビニルモノマーの分解に由来するため、重合温度を低く、且つ未反応の酢酸ビニルモノマー濃度を低くコントロールすることが望ましい。
また、公知の乳化重合法が用いられ、例えば、モノマー逐次添加法、一括仕込法、二段重合法等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
この添加量が0.8質量部より多いとホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは低減出来るが、同時に亜硫酸塩特有の硫黄臭気が発生し作業衛生上好ましくない。そのため添加量は0.8質量部以下が望ましい。
また亜硫酸塩の添加量が0.01質量部よりも少ないと、重合途中で反応が進まず残存モノマーが増加する傾向がある。
亜硫酸塩の添加は重合後のエマルジョンに添加することが好ましいが、重合末期であれば重合中に添加しても良い。
エマルジョン中のアセトアルデヒド濃度が検知管法で1ppm、及びHPLC法で3ppmを超えては対策が図れているとはいえず、本発明の目的を達成していない。
各種の添加剤としては例えば、消泡剤や防腐剤、防黴剤、防錆剤、浸透性調整剤、粘度粘性調整剤、増粘剤、難燃剤、分散剤、無機フィラー、珪砂等の骨材、顔料等が挙げられる。 他のエマルジョン又はラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−アクリル共重合体エマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。さらに必要に応じてヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又はカルボキシメチルセルロールといった水溶性高分子、従来既知のアニオン性、カチオン性またはノニオン性界面活性剤を使用しても良い。
温度を55℃とした後、5%の過硫酸アンモニウム水溶液2部を連続添加し重合を行った。重合途中に酢酸ビニルモノマー30部を添加し、重合末期に10%のt−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.6部を添加し、未反応の酢酸ビニルモノマー量が2%未満になるまで重合を継続した。重合後に残存するエチレンをパージし、生成したEVAエマルジョン中の未反応の酢酸ビニルモノマーを減圧除去した結果、未反応の酢酸ビニルモノマーが0.5質量%以下のEVAエマルジョンを得た。
次いで、このEVAエマルジョン100質量部に10%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を1部添加して実施例1のエマルジョンを得た。
結果を表1に示す。
[アセトアルデヒド濃度/検知管法]
10mlのガラス製バイアル瓶にエマルジョンを0.1g採取し、40℃で1時間養生した後、ガス検知管(92L(株)ガステック製)で測定した。
(ホルムアルデヒド濃度/ガス検知管法)
10mlのガラス製バイアル瓶にエマルジョンを0.1g採取し、40℃で1時間養生した後、ガス検知管(91L(株)ガステック製)で測定した。
[アセトアルデヒド/HPLC法]
ASTM D5910に準じ、エマルジョンをリン酸2ナトリウム水溶液で希釈し、混合後、遠心分離機を用いて上澄み液を得る。得られた上澄み液を濾過後、2,4−DNPHで誘導化してHPLCで測定した。尚、検出限界は3ppmである。
[ホルムアルデヒド/HPLC]
アセトアルデヒド/HPLCと同様に測定した。尚、検出限界は1ppmである。
[臭気]
エマルジョンの不快な硫黄臭の程度を官能試験により調査し、下記の基準で判断した。
○:不快臭は無い
△:僅かに不快臭が感じられる
×:不快臭が感じられる
[比較例1]
[比較例2]
[比較例3]
Claims (4)
- エチレンと酢酸ビニルを必須成分とする単量体混合物の重合に於いて、ホルミアミジンスルフィン酸、二酸化チオ尿素及びこれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を還元剤として用いて重合したエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンに、亜硫酸塩を添加することを特徴とし、かつ高速液体クロマトグラフ(HPLC)法によって測定されるアセトアルデヒド濃度が3ppm以下であることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンの製造方法。
- 請求項1に記載された亜硫酸塩が亜硫酸水素ナトリウムであることを特徴するエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載された亜硫酸塩の添加量がエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョン100質量部当たり、0.01〜0.5質量部であることを特徴するエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンの製造方法。
- 有機ラジカル開始剤及び/または無機ラジカル開始剤を使用して重合することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたエチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョンの製造方法。
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