JP3937301B2 - 多層体の切断方法および多層体切断成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断と同時に中間層の切断面を表面樹脂層にて被覆する多層体の切断方法および多層体切断成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
多層体から打ち抜いて成形される多層体容器は、容器の切断端面に中間樹脂層が露出し外観が悪くなる。特に、中間樹脂層に酸素吸収層を備えたものでは、鉄系の金属を主成分としているため、鉄粒子の飛散、錆の発生等の問題が生じる。そこで、従来から、打ち抜き時に、多層体の表面樹脂層を切断端面側に回り込むように延伸させ、酸素吸収層等の中間樹脂層の端面を被覆する方法が提案されている(たとえば、特開平7−227259号公報、特開平11−48385号公報など参照)。
これらの成形方法は、打ち抜き手段としてオス刃,メス刃の打ち抜き型を用いたもので、多層体を打ち抜く際に、表面樹脂層を刃先に引っ掛けて引っ張り、中間樹脂層の切断端面を被覆するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の成形方法の場合、オス刃とメス刃のせん断作用によって切断する構成なので、オス刃とメス刃の刃先の噛み合い隙間によって被覆量が大きく変化するものと思量され、金型に高精度が要求される。
隙間が適正であったとしても、環境温度等の環境条件、経時的な型の摩耗等によって被覆量を一定に保つことがきわめて困難で、安定した品質が見込めないという問題があった。
また、従来は抜き型を表面樹脂層の軟化点温度付近まで加熱しており、型の温度制御も必要であった。
【0004】
また、せん断により打ち抜いているので、切断端面の下端にバリが生じ、バリ取りを行う必要がある。バリが大きいと、中間樹脂層の一部が端面の被覆領域から外れて露出してしまう。
さらに、表面樹脂層による端面被覆部は、せん断面となる切断端面のせん断方向に延伸される構成なので、切断端面との密着性が悪い。また、切断端面はせん断による切断されるので、端面被覆部の先端が引っかかってめくれやすい。
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、多層体を切断する際に、中間層の切断端面を安定して被覆することができる多層体の切断方法および多層体切断成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多層体の切断方法は、中間層と表裏一対の表面樹脂層を積層した多層体を切断する際に、切断と同時に中間層の切断端面を表面樹脂層にて被覆する多層体の切断方法において、押切手段によって、多層体の切断箇所を、表面樹脂層を切らないように延伸させながら圧縮し、内部の中間層を切断すると同時に中間層の切断面を表面樹脂層の延伸部によって被覆し、最終的に表裏一対の表面樹脂層を押切手段によって押し切って切断する方法であって、前記中間層を被覆する表面樹脂層の破断伸度は中間層の破断伸度よりも大きく、また、表面樹脂層は熱可塑性樹脂で、押切手段の温度は常温乃至60℃とし、かつ多層体の温度は常温乃至70℃とすることを特徴とする。
押切手段は、押切刃と、押切刃の刃先を受ける受け台とによって構成され、押切刃の刃先を多層体の表面樹脂層から押込み、該表面樹脂層を刃先の傾斜面に沿って延伸させながら中間層を切断し、同時に中間層の切断面を表面樹脂層の延伸部によって被覆し、押切刃の刃先と受け台との間で最終的に表面樹脂層と中間層の下層にある表面樹脂層を押し切ることを特徴とする。
【0007】
押切刃は帯状刃の両端を無端状につないで構成されることが好適である。押切刃は刃先の両側が傾斜面で形成されていることが好ましい。前記中間層を被覆する表面樹脂層の厚みは10μm以上であることが好ましい。多層体はフィルムを含むシートであることを特徴とする。また、多層体がカップもしくはトレーであることを特徴とする。カップもトレーも容器であるが、カップは比較的深いもの、トレーは比較的浅い皿形状のものとする。また、多層体がパウチであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の多層体切断成形品は、中間層と表裏一対の表面樹脂層を積層した多層体が押切手段によって押し切られ、中間層の切断端面は押切時の表面樹脂層の延伸部によって被覆されていることを特徴とする。
中間層は鉄系の脱酸素剤を含む酸素吸収層であってもよいし、酸素等の気体を遮断する気体遮断層であってもよいし、酸素吸収層と気体遮断層の2層構成であってもよい。
成形品はカップもしくはトレーであってもよいし、パウチであってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る多層体切断成形品としての多層体容器を示している。
この容器1は多層体10を所定形状に切断して成形される容器であって、カップ形状の円筒状の容器本体2と、この容器本体2の上端開口縁から外方に向かって張り出すフランジ部3を備えた構成となっている。
多層体10は、酸素吸収層11と気体遮断層12の2層の中間層としての中間樹脂層と、表裏一対の表面樹脂層としての内層13と外層14との4層構成のシートやフィルム等によって構成されている。各樹脂層間には、各層を接着する不図示の接着剤層が適宜設けられている。
【0010】
酸素吸収層11としては、鉄系脱酸素剤配合の熱可塑性樹脂、その他酸素吸収ポリマー(オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系など)等が用いられる。
酸素吸収ポリマーの例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、その他ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、メタキシリレンアジパミドなどのポリアミド類のガスバリア性樹脂に酸化性樹脂および遷移金属系触媒をブレンドしたものがある。
酸化性樹脂としては、▲1▼炭素側鎖を含み、且つ主鎖または側鎖にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基およびカルボニル基からなる群より選択された少なくとも1個の官能基を含む樹脂、▲2▼メタキシリレンアジパミド等のポリアミド樹脂、▲3▼エチレン系不飽和基含有重合体等が挙げられる。
遷移金属系触媒は、酸化性樹脂の酸化反応の触媒となるものであり、遷移金属の有機酸塩あるいは有機錯塩等である。遷移金属系触媒の例として、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン等を挙げることができる。
気体遮断層12としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、その他、ナイロン6,ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、メタキシリレンアジパミドなどのポリアミド類、樹脂コーティング剤、無機蒸着層等が用いられる。
外層13と内層14には、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。この表裏一対の表面樹脂層を構成する内層13と外層14は、表裏異なる樹脂材料が使用される場合もある。
【0011】
フランジ部3の切断端面4は、後述する押切手段としての押切刃と受け台によって押し切られる構成で、中間樹脂層としての酸素吸収層11と気体遮断層12の切断端面は押切時の内層13の延伸部によって構成される端面被覆部15によって被覆されている。
切断端面4は、打ち抜き方向(図示例では上から下)に進むにしたがって外側に拡がる傾斜面となっており、酸素吸収層11および気体遮断層12の端面は同一の傾斜面上に位置し、外層14の端面は酸素吸収層11および気体遮断層12の端面よりも端面被覆部15の厚み分若干突出している。この突出する外層14の突出端部14aと端面被覆部15の先端15aが接触あるいは近接する構成となっている。
中間層としては、酸素吸収層11単独でもよいし、気体遮断層12単独であってもよいし、他の樹脂であってもよいし、樹脂に限られず、場合によってば、アルミ箔などの金属層であってもよい。中間層にアルミ箔などの金属層を備えた多層体としては、たとえばパウチ用のフィルムに好適である。
【0012】
次に、図1及び図2に基づいて、上記多層体の切断方法、およびこの切断方法を用いた容器の成形方法について説明する。
この容器1の成形は、上記した平面的な多層体10から真空成形等によって容器本体2の立体形状を成形しておき、その後、容器の外縁であるフランジ部3の外縁形状に沿って丸く打ち抜いて切断する。
【0013】
この打ち抜きには、図2に示すように、一対の押切手段としての押切刃23と押切台26による切断方法が用いられる。
押切刃23は、両側に傾斜面21,22を有する断面V字状の刃先27を有する(通称トムソン刃)。この押切刃23は、自由状態では直線状の可撓性の帯状刃で、両端を無端状につないで使用される(図2(B),(C)参照)。押切刃23は、ホルダ板24に形成された溝25にはめ込まれ、所定形状に保持される。図示例では容器の形状に倣って円形状となっている、ホルダ板24の溝25の形状を、容器の外周縁形状に倣った形状としておくことにより、押切刃23を四角形状,楕円形状等、任意の形状とすることができる。
受け台26は上面が平坦な環状部材で、押切刃23と上下に対向して配置され、多層体10の容器本体2の周縁を下方から支持する。
【0014】
この状態で、押切刃23の刃先27を多層体10の切断箇所に当てて押込み、受け台26との間で多層体10の表面樹脂層である内層13を切らないように延伸させながら圧縮し、中間の酸素吸収層11および気体遮断層12を切断すると同時に酸素吸収層11および気体遮断層12の切断面を内層13の延伸部13aによって被覆する。内層13の延伸部13aは刃先27の傾斜面21,22に沿って延伸する。そして、最終的に刃先27と刃先受け台26との間で最終的に内層13と中間の酸素吸収層11及び気体遮断層12の下層にある外層14を押し切って容器を打ち抜く(図1(A)乃至(C)参照)。
最終的に押し切られる時点は、内層13の延伸部13aが外層14に当接して外層14と2層重なった状態で押し切られる場合と、内層13の延伸部13aが外層14に近接し、当接しない間に切断されてしまう場合がある。
いずれの場合にも、酸素吸収層11および気体遮断層12の端面は内層13の延伸部13aの厚みを隔てて押切刃23の傾斜面21に押圧され、この傾斜面21に倣った傾斜面上に位置し、外層14の端面は、延伸部13aが無い分だけ酸素吸収層11および気体遮断層12の端面よりも端面被覆部15の厚み分若干突出する構成となる。そして、延伸部13aが外層14に当接した場合には、外層14の突出端部と端面被覆部15の先端が接触し、延伸部13aが外層14に当接しないで切れた場合には、外層14の突出端部と端面被覆部15の先端が僅かな隙間を介して近接する。
押切刃23の刃先27の先端は、研いで鋭くなっていると内層13が切れてしまうので、研がないで鈍な形状のままとしておくことが好ましい。先端は使用により摩耗するが、内層13の樹脂を延伸させる機能については、むしろ摩耗して丸くなっていた方がよい。したがって、押切刃23を長期にわたって使用することができ、きわめて経済的である。切断機能については、最終的に刃先受け台26との間で押し切る構成なので、刃先27の先端形状には影響されない。刃先27の傾斜面21,22間の角度については、特に限定されないが、40°程度に設定される。
また、刃先27の傾斜面21,22によって延伸された内層13の樹脂による端面被覆部15が、刃先27のくさび作用によって酸素吸収層11および気体遮断層12に対して強く押しつけられるので、酸素吸収層11および気体遮断層12に対して隙間無く密着する。
押切刃20の刃先27の形状としては、一対の傾斜面21,22を有する両刃だけでなく、片刃、角度が非対称の両刃としてもよい。
端面被覆部15を構成する内層13の厚みは、延伸した場合に端面被覆部15を形成するに十分な厚みが必要である。実験の結果、10μm以上の厚みがあれば十分で、50μm程度に設定することが好適ある。
また、中間樹脂層11,12を被覆する内層13の樹脂材料の破断伸度は被覆する中間樹脂層の酸素吸収層11および気体遮断層12の樹脂材料の破断伸度よりも大きく、伸びやすい材質を選択することが好ましい。このようにすれば、中間の酸素吸収層11および気体遮断層12よりも内層13が良く伸びて酸素吸収層11および気体遮断層12を覆うことができる。
この内層13の樹脂材料の破断伸度としては、600%程度以上、酸素吸収層11および気体遮断層12の破断伸度としては、400%程度以下に設定することが好適である。
押切刃23の温度としては、軟化点温度に近い高温にすると、かえって端面被覆部15の形成が安定せず、比較的低温領域、常温でも十分な被覆性能が得られることが分かった。温度条件としては、内層13がポリプロピレン系樹脂の場合で、60℃以下に設定することが好適であり、常温領域で十分であることから、常温から60℃に設定することが好ましい。
また、多層体10自体の温度についても同様の傾向があり、70℃以下が好ましく、常温領域で十分であることから、常温乃至70℃に設定することが好ましい。
【0015】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、多層体切断成形品として、多層体に形成された立体的なカップやトレー等の容器の周囲を切断することにより成形される多層体容器を例にとって説明したが、多層体は袋体を構成するパウチであってもよい。
の外縁形状に切断してパウチ製袋用成形シートを成形する場合にも適用できる。
【0016】
【実施例】
実施例1
多層体10として、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂(PP))の内層13、気体遮断層(ガスバリアー性樹脂)12、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂(PP))の外層14からなる、厚み0.8mmの多層体を用いた。内層13の樹脂材料(PP)の破断点伸度は600%(測定方法ASTM D638)、気体遮断層12の樹脂材料の破断点伸度は230%(測定方法ASTM D638)である。この多層体10を常温(28℃)にて、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温28℃)を用いて押切した。その結果、表1に示すように、容器側およびスケルトン側共に、押し切れらた切断面は、内層13が延伸した端面被覆部15にて覆われており、中間樹脂層の気体遮断層12は露出していなかった。
【0017】
実施例2
多層体10として、熱可塑性樹脂(ポリプレン系樹脂(PP))の内層13、酸素吸収層(鉄系)11、気体遮断層(ガスバリアー性樹脂)12、熱可塑性樹脂(ポリプロプレン系樹脂(PP))の外層からなる、厚み0.5mmの多層体を用いた。内層13の樹脂材料(PP)の破断点伸度は600%(測定方法ASTM D638)、気体遮断層12の樹脂材料の破断点伸度は230%(測定方法ASTM D638)である。酸素吸収層11の樹脂材料の破断点伸度は400%(測定方法ASTM D638)である。この多層体10を常温(28℃)にて、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温28℃)を用いて押切した。その結果、表1に示すように、容器側およびスケルトン側共に、押し切れらた切断面は、内層13が延伸された端面被覆部15にて100%覆われており、中間樹脂層の酸素吸収層11,気体遮断層12は露出していなかった。
【0018】
実施例3
多層体10として、実施例2と同様の4層構成のものを用いた。
多層体10を常温(28℃)にて、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温50℃)を用いて押し切りした。
その結果、表1に示すように、容器側及びスケルトン側共に、押し切れらた切断面は、内層13が延伸された端面被覆部15にて覆われており、中間樹脂層の酸素吸収層11,気体遮断層12は露出していなかった。
【0019】
実施例4
多層体10として、実施例2と同様の4層構成のものを用いた。
多層体10を70℃まで加熱し、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温50℃)を用いて押切りした。
その結果、表1に示すように、容器側及びスケルトン側共に、押し切れらた切断端面は、内層13が延伸された端面被覆部15にて覆われており、中間樹脂層の酸素吸収層11,気体遮断層12は露出していなかった。
【0020】
比較例1
多層体として、実施例1と同じ3層構成のものを用いた。
多層体を28℃にて、直径90mmのオス、メス刃(刃温28℃)によるせん断方式で切断した。
その結果、表1に示すように、容器側及びスケルトン側共に、切断面に中間樹脂層の気体遮断層が露出し、内層13の熱可塑性樹脂には覆われていなかった。また、切断面には打ち抜き時に発生した抜き屑が付着していた。
【0021】
比較例2
多層体として、実施例2と同じ4層構成のものを用いた。
多層体を常温28℃とし、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温100℃)を用いて押し切りした。
その結果、表1に示すように、容器側及びスケルトン側共に、押し切れらた切断面は中間樹脂層の気体遮断層および酸素吸収層が露出し、内層13の熱可塑性樹脂には覆われていなかった。
【0022】
比較例3
多層体として、実施例2と同じ4層構成のものを用いた。
多層体を70℃まで加熱し、直径50mmの円形に配置した帯状の押切刃23(刃温100℃)を用いて押し切りした。
その結果、表1に示すように、容器側及びスケルトン側共に、押し切れらた切断面に中間樹脂層の気体遮断層及び酸素吸収層が露出し、内層13の熱可塑性樹脂には覆われていなかった。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本請求項1に係る多層体の切断方法によれば、押切手段によって、多層体の切断箇所を、表面樹脂層を切らないように延伸させながら圧縮し、内部の中間層を切断すると同時に中間層の切断面を表面樹脂層の延伸部によって被覆し、最終的に表裏一対の表面樹脂層を押切手段によって押し切って切断するようになっているので、従来のようなオス刃とメス刃でせん断により打ち抜くような高価な抜き型が不要となり、簡単な構成で安定した端面被覆量を実現できる。また、多層体を一対の押切手段で最終的に押し切る構成なので、せん断方式のように切断面の下端にバリが生じることはなく、バリ取り工程も不要である。
特に、中間層を被覆する表面樹脂層の破断伸度を中間層の破断伸度よりも大きくしたので、中間層の端面に安定して端面被覆部を形成することができる。また、表面樹脂層を熱可塑性樹脂で、押切手段の温度を常温乃至60℃とすることにより、安定した端面被覆を実現できた。温度が軟化点に近い高温の場合には端面被覆部がかえって安定せず、常温を含む低温領域で安定した端面被覆部を形成できた。さらに、多層体の温度を常温乃至70℃に設定したことにより、安定した端面被覆を実現できた。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、押切手段を押切刃と受け台とによって構成し、表面樹脂層を刃先の傾斜面に沿って延伸させながら押込むようになっているので、押し切り時に、刃先の傾斜面によって表面樹脂層の延伸部が中間層の切断端面に強く押し付けられるので、端面被覆部と中間層端面との密着性がよい。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、押切刃を可撓性の帯状刃の両端を無端状につないだ構成としたので、一つの帯状刃によって種々の形状の容器に対応でき、設備の簡素化が可能となり、大幅なコスト削減を図ることができる。請求項4に記載の発明によれば、押切刃の刃先の両側が傾斜する構成となっているので、表面樹脂層を両傾斜面に沿って十分に延伸することができる。請求項5に係る発明によれば、中間層を被覆する表面樹脂層の厚みを10μm以上に設定することにより、中間層端面を覆うだけの端面被覆部を形成することができた。請求項6に係る発明は、多層体がシート状であるので成形しやすい。請求項7に係る発明によれば、本発明の切断方法を用いてカップもしくはトレイのような多層体容器を成形することにより、中間層の露出の無いカップやトレイを実現できる。請求項8に係る発明によれば、本発明の切断方法を用いてパウチを成形することにより、中間層の露出の無いパウチを実現できる。特に、気体遮断性が要求されるような場合、端面からのガス漏れを防止できる。
【0026】
請求項9,13,14に係る発明によれば、多層体をせん断方式ではなく、押切手段によって押し切る構成で、中間層の切断端面は押切時の表面樹脂層の延伸部によって被覆されているので、従来のせん断方式で打ち抜く場合のような高価な抜き型が不要で、安定した端面被覆量のカップやトレー、パウチ等の多様な多層体成形品を実現できる。
【0027】
請求項10に係る発明のように、中間層は鉄系の脱酸素剤を含む酸素吸収層の場合、脱酸素剤のこぼれや錆の発生を防止することができる。請求項11に係る発明のように、酸素等の気体を遮断する気体遮断層の場合には、気体遮断層からの化学成分の溶出を防止できる。請求項12に係る発明のように、中間層を酸素吸収層と気体遮断層の2層構成の場合でも、2層まとめて被覆することができる。
【0028】
【表1】
切断面外観は、抜き屑付着の有無、ひげ状の樹脂延びの有無で評価した。なお、両条件とも無しの場合は○、1条件のみ有りの場合は△、両条件とも有りの場合は×と表記した。
切断面被覆率は、切断面長の樹脂に覆われている面積の比率で評価した。なお、被覆率90%以上を◎、80%以上を○、60%以上を△、60%未満を×と表記した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)乃至(C)は本発明の多層体の切断方法の押切工程を模式的に示す図である。
【図2】 図2(A)は図1の押切装置の装置構成を模式的に示す図、図2(B)は図2(A)の押切刃の自然状態の斜視図、図2(C)は同図(B)の帯状押切刃を円形状に丸めた状態を示す斜視図である。
【図3】 図3(A)は図1の押切工程によって打ち抜いた容器の断面構成を誇張して示す半断面正面図、同図(B)は同図(A)のフランジ部端面の拡大断面図、同図(C)は容器を構成する多層体の層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器、2 容器本体、3 フランジ部
10 多層体、11 酸素吸収層、12 気体遮断層
13 内層、14 外層 15 端面被覆部
21,22 傾斜面
23 押切刃(押切手段)、
24 ホルダ板
25 溝、
26 受け台(押切手段)
27 刃先
Claims (14)
- 中間層と表裏一対の表面樹脂層を積層した多層体を切断する際に、切断と同時に中間層の切断端面を表面樹脂層にて被覆する多層体の切断方法において、
押切手段によって、多層体の切断箇所を、表面樹脂層を切らないように延伸させながら圧縮し、内部の中間層を切断すると同時に中間層の切断面を表面樹脂層の延伸部によって被覆し、最終的に表裏一対の表面樹脂層を押切手段によって押し切って切断する方法であって、
前記中間層を被覆する表面樹脂層の破断伸度は中間層の破断伸度よりも大きく、また、表面樹脂層は熱可塑性樹脂で、押切手段の温度は常温乃至60℃とし、かつ多層体の温度は常温乃至70℃とすることを特徴とする多層体の切断方法。 - 押切手段は、押切刃と、押切刃の刃先を受ける受け台とによって構成され、押切刃の刃先を多層体の表面樹脂層から押込み、該表面樹脂層を刃先の傾斜面に沿って延伸させながら中間層を切断し、同時に中間層の切断面を表面樹脂層の延伸部によって被覆し、押切刃の刃先と受け台との間で最終的に表面樹脂層と中間層の下層にある表面樹脂層を押し切る請求項1に記載の多層体の切断方法。
- 押切刃は帯状刃の両端を無端状につないで構成される請求項2に記載の多層体の切断方法。
- 押切刃は刃先の両側が傾斜面で形成されている請求項2または3に記載の多層体の切断方法。
- 前記中間層を被覆する表面樹脂層の厚みは10μm以上である請求項1乃至4のいずれかの項に記載の多層体の切断方法。
- 多層体がシートである請求項1乃至5のいずれかの項に記載の多層体の切断方法。
- 多層体がカップもしくはトレーである請求項1乃至5のいずれかの項に記載の多層体の切断方法。
- 多層体がパウチである請求項1乃至5のいずれかの項に記載の多層体の切断方法。
- 中間層と表裏一対の表面樹脂層を積層した多層体が押切手段によって押し切られ、中間層の切断端面は押切時の表面樹脂層の延伸部によって被覆されていることを特徴とする多層体切断成形品。
- 中間層は少なくとも鉄系の脱酸素剤を含む酸素吸収層である請求項9に記載の多層体切断成形品。
- 中間層は少なくとも気体を遮断する気体遮断層を含む請求項9に記載の多層体切断成形品。
- 中間層は酸素吸収層と気体遮断層の2層構成である請求項9に記載の多層体切断成形品。
- 成形品はカップもしくはトレーである請求項9乃至12のいずれかの項に記載の多層体切断成形品。
- 成形品はパウチである請求項9乃至12のいずれかの項に記載の多層体切断成形品。
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