JP3937271B2 - 蝶番 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば公衆トイレ等の扉の取り付けに用いられる所謂中芯吊型グラビティヒンジと称される蝶番に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の蝶番として、扉框の下部に取り付けられる框取付部材及び扉の下部に取り付けられる扉取付部材からなり、框取付部材に下枢軸を立設すると共に框取付部材に下枢軸に挿通してカム受体を固定し、扉取付部材に該下枢軸に回動自在に上方から挿通されると共に下端面をカム当面に形成した軸受筒体を固定し、カム受体と軸受筒体との間に上端面を該カム当面に摺接可能なカム面に形成したカム筒体を該下枢軸に回動及び摺動自在に上方から挿通し、該カム受体とカム筒体との間にカム筒体をカム受体に対して回動位置変更自在に係留可能な係留機構を備えてなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、扉框の上部と扉の上部との間に配設された他の蝶番との協働及び上記軸受筒体のカム当面とカム筒体のカム面との摺接作用により扉体を扉体の自重をもって戻り回動させると共にカム筒体をカム受体に対して相対的に回動位置変更することにより扉の戻り位置を変更して常開用蝶番や常閉用蝶番に変更設定し得るように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来構造の場合、カム筒体は下枢軸に対して現場施工時において挿通して使用され、よって、カム筒体を蝶番の一部品として他の部品とは別途保管され施工現場に携行され、このため、カム筒体の携行忘れや紛失を生じ易く、又、カム受体に対して相対的に回動位置変更するとき、カム筒体を下枢軸から抜き取ってしまうこともあり、よって、再度、下枢軸にカム筒体を上方から挿通しなければならず、それだけ扉取付及び上記変更設定の作業性が低下することがあるという不都合を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、扉框の下部に取り付けられる框取付部材及び扉の下部に取り付けられる扉取付部材からなり、該框取付部材に下枢軸を立設すると共に框取付部材に該下枢軸に挿通してカム受体を固定し、扉取付部材に該下枢軸に回動自在に上方から挿通されると共に下端面をカム当面に形成した軸受筒体を固定し、カム受体と軸受筒体との間に上端面を該カム当面に摺接可能なカム面に形成したカム筒体を該下枢軸に回動及び摺動自在に上方から挿通し、該カム受体とカム筒体との間にカム筒体をカム受体に対して回動位置変更自在に係留可能な係留機構を備えてなり、上記カム筒体と上記下枢軸との間に該カム筒体の下枢軸への挿通を許容すると共に過大な抜取力以下の力によってはカム筒体の下枢軸からの抜脱を阻止可能な抜脱防止機構を配設してなり、上記抜脱防止機構として、上記下枢軸の下部に径小部を形成して係止段面を形成し、上記カム筒体の内周面にカム筒体の下枢軸への上方からの挿通時において下枢軸の外周面による圧接によって凹み動作すると共に径小部到達位置において凸動作して係止段面に係止可能な弾性凸部を形成してなることを特徴とする蝶番にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記係留機構として、上記カム筒体の下面及び上記カム受体の上面を相互に当接可能な当接面に形成し、該各当接面に中心から放射状に延びて並列する略三角形状の複数個の凸部及び凹部からなる相互に咬合可能なラチェット爪面を形成してなることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、1は框取付部材であって、ステンレス製にして側面L形状に形成され、框取付部材1の縦辺部1aを扉框Mの下部側端面に皿ネジ等により取付固定するように構成されている。
【0008】
2は扉取付部材であって、ステンレス製にして平板状に形成され、扉Dの底端面に皿ネジ等により取付固定される。
【0009】
この框取付部材1の横辺部1bに下枢軸3を圧入により立設すると共に框取付部材1の横辺部1bの上面に下枢軸3に挿通して合成樹脂製のカム受体4を回止部5をもって固定し、扉取付部材2に下枢軸3に回動自在に上方から挿通されると共に下端面を底谷部6a及び底頂部6bからなる斜面状のカム当面6に形成した合成樹脂製の軸受筒体7を筒金具8により固定している。
【0010】
9はカム筒体であって、この場合、合成樹脂製にして、カム受体4と軸受筒体7との間にして下枢軸3に回動及び摺動自在に上方から挿通され、カム筒体9の上端面を上記斜面状のカム当面6に摺接する頂部10a及び谷部10bをもつ斜面状のカム面10に形成し、かつ、谷部10bを指標とする15度刻みの角度目盛Kをカム受体4の上面に形成している。
【0011】
11は係留機構であって、この場合、上記カム筒体9の下面及び上記カム受体4の上面を相互に当接可能な当接面12・13に形成し、各当接面12・13に中心から放射状に延びて並列する略三角形状の複数個の凸部14a・15a及び凹部14b・15bからなる相互に咬合可能なラチェット爪面14・15を形成し、しかして、カム筒体9を下枢軸3上に摺動して持ち上げ、ラチェット爪面14をカム受体4のラチェット爪面15から離反させ、この状態でカム筒体9を下枢軸3上で回動させ、任意の回動位置において、カム筒体9を下方に摺動してラチェット爪面14をラチェット爪面15に係合し、これによりカム筒体9をカム受体4に対して回動位置変更自在に構成している。
【0012】
16は抜脱防止機構であって、この場合、図12の如く、上記下枢軸3の下部に径小部3aを形成して上部の径大部3bとの境に係止段面17を形成し、径小部3aの軸方向長さは少なくともカム筒体9を下枢軸3上で摺動して持ち上げてラチェット爪面14をカム受体4のラチェット爪面15から離反させるに必要な長さに設定され、カム筒体9の内周面にカム筒体9の下枢軸3への上方からの挿通時において下枢軸3の径大部3bの外周面による圧接によって凹み動作すると共に径小部3a到達位置において凸動作して係止段面17に係止可能な弾性凸部18を形成し、この弾性凸部18の弾性作用は合成樹脂からなるカム筒体9の自己弾性によりもたらされ、しかして、弾性凸部18の凹み動作によりカム筒体9の下枢軸3への挿通を許容すると共に弾性凸部18と係止段面17との当接により過大な抜取力以下の力によってはカム筒体9の下枢軸3からの抜脱を阻止するように構成している。
【0013】
21・22はエッジ部材であって、ステンレス製にして、対向面は相互に湾曲して沿った形状の弧状面に形成され、扉框M及び扉Dの対向側面に取り付けられている。
【0014】
23は他の蝶番であって、この場合、扉框Mの上部に取り付けられるステンレス製の框取付部材24及び扉Dの上部に取り付けられるステンレス製の扉取付部材25からなり、框取付部材24は側面L形状に形成され、框取付部材24の縦辺部24aを扉框Mの上部側端面に皿ネジ等により取付固定し、扉取付部材25は平板状に形成され、扉Dの上端面に皿ネジ等により取付固定され、框取付部材24の横辺部24bに上枢軸26を圧入により垂設すると共に扉取付部材25に上枢軸26に回動及び上下摺動自在に下方から挿通される軸受筒27を取付け、扉Dに上枢軸26が遊挿通される逃げ穴D1を形成して構成している。
【0015】
この実施の形態例の蝶番Lは上記構成であるから、図8の如く、常閉用蝶番に設定する場合は、図7の如く、カム筒体のカム面10の谷部10bをカム受体4の角度目盛Kの0度位置に合致させ、又、図10の如く、常開用蝶番に設定する場合には、図9の如く、カム筒体のカム面10の谷部10bをカム受体4の角度目盛Kの105度位置に合致させることになり、しかして、常閉用蝶番に設定した場合、常態においては、扉Dは閉じ状態となり、扉Dを開き回動させると扉Dは下枢軸3及び上枢軸26に沿って上昇し、扉Dの開き回動ののち釈放すると、斜面状のカム当面6と斜面状のカム面10との摺接作用及び扉Dの自重により扉Dは自動的に閉じ復帰回動し、又、常開用蝶番に設定した場合、常態においては扉Dは開き状態となり、扉Dを閉じ回動回動させると扉Dは下枢軸3及び上枢軸26に沿って上昇し、扉Dの閉じ回動ののち釈放すると、斜面状のカム当面6と斜面状のカム面10との摺接作用及び扉Dの自重により扉Dは自動的に開き復帰回動することになる。
【0016】
この常閉用蝶番又は常開用蝶番の変更設定にあっては、カム筒体4を下枢軸3上で摺動して持ち上げ、この場合、カム筒体9のラチェット爪面14をカム受体4のラチェット爪面15から離反させて係留機構11を解除し、この状態でカム筒体9を下枢軸3上で回動させ、所定の回動位置において、カム筒体9を下方に摺動してラチェット爪面14をラチェット爪面15に係合し、この係留機構11によりカム筒体9をカム受体4に対して回動位置変更することになり、この際、上記カム筒体9と上記下枢軸3との間に該カム筒体9の下枢軸3への挿通を許容すると共に過大な抜取力以下の力によってはカム筒体9の下枢軸3からの抜脱を阻止可能な抜脱防止機構16を配設しているから、過大な抜取力以下の力によっては抜け外れることがなく、よって、カム筒体9を下枢軸3に対して予め挿通して置き、カム筒体9を下枢軸3と一体に組み付けて置くことができ、このため、カム筒体9の施工現場への搬入時の携行忘れや紛失を未然に回避することができ、カム筒体9を框取付部材1と一体の部品として保管することができ、又、カム受体に対して相対的に回動位置変更するとき、カム筒体9を下枢軸3から抜き取ってしまうことも防ぐことができ、それだけ扉取付及び上記変更設定の作業性を向上することができる。
【0017】
又、この場合、上記抜脱防止機構16として、図12の如く、上記下枢軸3の下部に径小部3aを形成して上部の径大部3bとの境に係止段面17を形成し、カム筒体9の内周面にカム筒体9の下枢軸3への上方からの挿通時において下枢軸3の外周面による圧接によって凹み動作すると共に径小部3a到達位置において凸動作して係止段面17に係止可能な弾性凸部18を形成して構成しているから、弾性凸部18の凹み動作によりカム筒体9を下枢軸3に挿通することができ、挿通後の径小部3a到達位置において弾性凸部18は凸動作して係止段面17に係止可能となり、この弾性凸部18と係止段面17との当接により過大な抜取力以下の力、すなわち、弾性凸部18が凹み動作する力以下の力においては、カム筒体9の下枢軸3からの抜脱を阻止することができ、よって、抜脱防止機構16の構造を簡素化することができると共に製作コストの低減を図ることができ、又、この場合、上記係留機構11として、上記カム筒体9の下面及び上記カム受体4の上面を相互に当接可能な当接面12・13に形成し、各当接面12・13に中心から放射状に延びて並列する略三角形状の複数個の凸部14a・15a及び凹部14b・15bからなる相互に咬合可能なラチェット爪面14・15を形成しているから、上記変更設定の際において、ラチェット爪面14とラチェット爪面15との離反に必要な摺動持ち上げ量を少なくでき、又、回動調節後はこの少ない分を摺動させるだけで、ラチェット爪面14・15を互いに咬合係止でき、それだけ位置決め変更設定の操作を容易に行うことができ、作業性を向上することができると共にコスト低減を図ることができ、略三角形状の複数個の凸部14a・15a及び凹部14b・15bにより各当接面12・13の係止がなされ、カム筒体9とカム請受体4との固定を確実にすることができる。
【0018】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、係留機構11、抜脱防止機構16等の構造は適宜変更して設計される。
【0019】
【発明の効果】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、カム筒体と下枢軸との間にカム筒体の下枢軸への挿通を許容すると共に過大な抜取力以下の力によってはカム筒体の下枢軸からの抜脱を阻止可能な抜脱防止機構を配設しているから、過大な抜取力以下の力によっては抜け外れることがなく、よって、カム筒体を下枢軸に対して予め挿通して置き、カム筒体を下枢軸と一体に組み付けて置くことができ、このため、カム筒体の施工現場への搬入時の携行忘れや紛失を未然に回避することができ、カム筒体を框取付部材と一体の部品として保管することができ、又、カム受体に対して相対的に回動位置変更するとき、カム筒体を下枢軸から抜き取ってしまうことも防ぐことができ、それだけ扉や扉框への取付け及び常閉用蝶番や常開用蝶番への変更設定の作業性を向上することができ、かつ、上記抜脱防止機構として、上記下枢軸の下部に径小部を形成して係止段面を形成し、カム筒体の内周面にカム筒体の下枢軸への上方からの挿通時において下枢軸の外周面による圧接によって凹み動作すると共に径小部到達位置において凸動作して係止段面に係止可能な弾性凸部を形成して構成しているから、弾性凸部の凹み動作によりカム筒体を下枢軸に挿通することができ、挿通後の径小部到達位置において弾性凸部は凸動作して係止段面に係止可能となり、この弾性凸部と係止段面との当接により過大な抜取力以下の力、すなわち、弾性凸部が凹み動作する過大な力以下の力においては、カム筒体の下枢軸からの抜脱を阻止することができ、よって、抜脱防止機構の構造を簡素化することができると共に製作コストの低減を図ることができる。
【0020】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記係留機構として、上記カム筒体の下面及び上記カム受体の上面を相互に当接可能な当接面に形成し、各当接面に中心から放射状に延びて並列する略三角形状の複数個の凸部及び凹部からなる相互に咬合可能なラチェット爪面を形成しているから、上記変更設定の際において、ラチェット爪面相互の離反に必要な持ち上げ量を少なくでき、又、回動調節後はこの少ない分を摺動させるだけで、ラチェット爪面を互いに咬合係止でき、それだけ位置決め変更設定の操作を容易に行うことができ、作業性を向上することができると共にコスト低減を図ることができ、略三角形状の複数個の凸部及び凹部により各当接面の係止がなされ、カム筒体とカム請受体との固定を確実にすることができる。
【0021】
以上、初期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態例の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態例の分解斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態例の分解斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態例の平断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態例の扉上部側の他の蝶番の側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態例の扉上部側の他の蝶番の分解斜視図である。
【図7】 本発明の実施の形態例の常閉状態の平断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態例の常閉状態の平断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態例の常開状態の平断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態例の常開状態の平断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図12】 本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
D 扉
M 扉框
1 框取付部材
2 扉取付部材
3 下枢軸
4 カム受体
6 カム当面
7 軸受筒体
9 カム筒体
10 カム面
11 係留機構
12 当接面
13 当接面
14 ラチェット爪面
14a 凸部
14b 凹部
15 ラチェット爪面
15a 凸部
15b 凹部
16 抜脱防止機構
17 係止段面
18 弾性凸部
Claims (2)
- 扉框の下部に取り付けられる框取付部材及び扉の下部に取り付けられる扉取付部材からなり、該框取付部材に下枢軸を立設すると共に框取付部材に該下枢軸に挿通してカム受体を固定し、扉取付部材に該下枢軸に回動自在に上方から挿通されると共に下端面をカム当面に形成した軸受筒体を固定し、カム受体と軸受筒体との間に上端面を該カム当面に摺接可能なカム面に形成したカム筒体を該下枢軸に回動及び摺動自在に上方から挿通し、該カム受体とカム筒体との間にカム筒体をカム受体に対して回動位置変更自在に係留可能な係留機構を備えてなり、上記カム筒体と上記下枢軸との間に該カム筒体の下枢軸への挿通を許容すると共に過大な抜取力以下の力によってはカム筒体の下枢軸からの抜脱を阻止可能な抜脱防止機構を配設してなり、上記抜脱防止機構として、上記下枢軸の下部に径小部を形成して係止段面を形成し、上記カム筒体の内周面にカム筒体の下枢軸への上方からの挿通時において下枢軸の外周面による圧接によって凹み動作すると共に径小部到達位置において凸動作して係止段面に係止可能な弾性凸部を形成してなることを特徴とする蝶番。
- 上記係留機構として、上記カム筒体の下面及び上記カム受体の上面を相互に当接可能な当接面に形成し、該各当接面に中心から放射状に延びて並列する略三角形状の複数個の凸部及び凹部からなる相互に咬合可能なラチェット爪面を形成してなることを特徴とする請求項1記載の蝶番。
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- 1998-09-07 JP JP25257498A patent/JP3937271B2/ja not_active Expired - Fee Related
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