JP3936923B2 - 老朽埋設管の更新工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に軌道下や道路下等に埋設されて下水や雨水等の流体を流す下水管や排水管等の埋設管(コンクリート管や陶管)が老朽化した際に、老朽化した既設の埋設管を新しい埋設管に取り換える老朽埋設管の更新工法に係り、特に軌道や道路を埋設管の取り換え区間全域に亘って掘削することなく、下水や雨水等を流しながら老朽化した埋設管を新しい埋設管に短期間で経済的に且つ安全に取り換えることができるようにした老朽埋設管の更新工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、軌道下や道路下等には、下水を流す下水管や雨水を流す排水管等の埋設管(ヒューム管等のコンクリート管や陶管)が数多く埋設されている。これらの埋設管は、老朽化によってひび割れを起こしたり、破損したりすることがあった。又、比較的新しい埋設管であっても、鉄道車輌や自動車の走行により発生する振動や荷重等の影響を受けてひび割れを起こしたり、破損したりすることがあった。
【0003】
このように、ひび割れを起こした埋設管や破損した埋設管をそのままの状態で放置して置くと、様々な問題を引き起すことになる。例えば、埋設管内を流れている下水や雨水がひび割れ個所や破損個所から埋設管の周囲に漏れて埋設管の周囲の地盤が緩んだり、環境汚染を引き起したりすると云う問題が発生する。又、埋設管の周囲の土砂が埋設管の破損個所等から埋設管内に入り込んで埋設管を詰まらせたり、埋設管の周囲に空洞ができて地盤が陥没したりすると云う問題が発生する。
そのため、ひび割れを起こした埋設管や破損した埋設管に於いては、環境汚染や陥没事故等を引き起す前に新しい埋設管に取り替える工事が行われている。
【0004】
従来、下水や雨水等の流体を流す埋設管(下水管や排水管等)の取り換え工事に於いては、長期間に亘って下水や排水を止められないため、下水や雨水を流しながらひび割れを起こした埋設管や破損した埋設管を新しい埋設管に取り換えられるようにした工法(アイエムリバース工法)を用いて工事が行われている。
【0005】
即ち、前記工法は、図18に示す如く、取り換え区間の埋設管30の上流側及び下流側の埋設管30内に止水プラグ31を挿着して取り換え区間の埋設管30内に下水や雨水が進入するのを防止すると共に、上流側の埋設管30と下流側の埋設管30との間にバイパス路32を形成し、上流側の埋設管30内の下水や雨水をバイパス路32により下流側の埋設管30内に流しながら、取り換え区間にある埋設管30を先導管33及び推進装置34から成る掘削機35により破砕しつつ埋設管30が取り除かれた空間内に新しい埋設管(図示省略)を推進埋設するようにしたものである。
尚、図18に於いて、36はポンプ、37は自動バイパスユニット、38はエンジン駆動式油圧ユニット、39は油圧バルブユニット、40はコントロールユニットである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した工法は、下水や雨水を流しながら、埋設管30のひび割れした個所や破損した個所を新しい埋設管に取り換えることができるため、下水の量が多い場合や雨季の季節であっても、何ら問題なく埋設管30の取り換え工事を行うことができると云う利点がある。
然し乍ら、従来の工法に於いては、バイパス路32を新たに設けなければならないため、作業工程が増えて手数が掛かると共に、工事期間が長くなると云う問題があった。又、バイパス路32を形成するための設備(自動バイパスユニット37やバイパス管、ポンプ36、止水プラグ31等)が必要になり、コスト高になると云う問題もあった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は軌道や道路を埋設管の取り換え区間全域に亘って掘削することなく、下水や雨水等の流体を流しながら、小口径管推進工法により破損した埋設管を取り除きつつ、新しい埋設管を破損した埋設管と略同じ位置に短期間で経済的に且つ安全に布設することができるようにした老朽埋設管の更新工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、更新を要する埋設管の取り換え区間の両側位置に発進立坑及び到達立坑を構築する工程と、取り換え区間の埋設管内の中心位置に下水等の流体を流す金属製の仮設管を配設する工程と、取り換え区間の埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材を充填して埋設管を補強する工程と、先端に回転可能なカッタヘッドを装着した先導管及びこれを推進させる推進装置から成る掘削機を用いて発進立坑側から少なくとも埋設管及び充填材を破砕しつつその破砕片を発進立坑側へ排出すると共に、カッタヘッド前面の回転中心に取り付けた押圧体によって仮設管の一端部を押して仮設管を到達立坑側へ押し出しつつ仮設管内を流れていた流体を押圧体及び先導管を通して前記破砕片と一緒に発進立坑側へ排出する工程と、先導管の後端に新しい埋設管を接続し、前記掘削機によって埋設管及び充填材の破砕と仮設管の押し出しと流体の排出を行いながら、新しい埋設管を埋設管、充填材及び仮設管が取り除かれた空間に推進埋設する工程とから成ることに特徴がある。
【0009】
本発明の請求項2の発明は、取り換え区間の埋設管内の中心位置に金属製の仮設管を配設する工程に於いて、埋設管内に土砂が詰まっている場合に金属製の仮設管を埋設管内へ圧入し、仮設管内に入り込んだ土砂を水圧により排出するようにしたことに特徴がある。
【0010】
本発明の請求項3の発明は、取り換え区間の埋設管内の中心位置に金属製の仮設管を配設する工程に於いて、金属製の仮設管をその外周面に離型剤を塗布してから埋設管内に配設するようにしたことに特徴がある。
【0011】
本発明の請求項4の発明は、取り換え区間の埋設管内の中心位置に金属製の仮設管を配設する工程に於いて、内周縁部に凹状の球面部を形成した金属製の補強管を仮設管の一端部内周面に取り付け固定し、この仮設管を埋設管内に配設するようにしたことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項5の発明は、取り換え区間の埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材を充填する工程に於いて、埋設管の取り換え区間の両側位置から埋設管と仮設管との間に充填材を充填するようにしたことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項6の発明は、取り換え区間の埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材としてモルタル又は浸透性があって強度のでる薬液若しくはモルタルと薬液の両方を充填し、当該充填材を埋設管内で硬化させた後、掘削機によって少なくとも埋設管及び充填材を破砕するようにしたことに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項7の発明は、掘削機によって埋設管及び充填材の破砕と仮設管の押し出しと流体の排出を行う工程に於いて、カッタヘッド前面の回転中心位置に、下水等の流体が通過する複数の通過穴を有し且つ仮設管の外径と同径若しくは仮設管の外径よりも小径に形成された半球状の押圧体を取り付け固定し、この半球状の押圧体で仮設管の一端部を押圧するようにしたことに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項8の発明は、掘削機によって埋設管及び充填材の破砕と仮設管の押し出しと流体の排出を行う工程に於いて、仮設管を押圧体で到達立坑側へ押し出しつつ到達立坑側から埋設管を引き抜くようにしたことに特徴がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る老朽埋設管1の更新工法の各工程を示すブロック図であり、Aは更新を要する埋設管1(老朽化した埋設管1や破損した埋設管1)の取り換え区間の両側位置に発進立坑2及び到達立坑3を構築する工程、Bは取り換え区間の埋設管1内の中心位置(軸心位置)に下水や雨水等の流体を流す金属製の仮設管Pを配設する工程、Cは取り換え区間の埋設管1と仮設管Pとの間及び埋設管1周辺の空隙に充填材4を充填して埋設管1を補強する工程、Dは発進立坑2及び到達立坑3に掘削機5等の各種機械設備等を設置する工程、Eは発進立坑2から掘削機5によって少なくとも埋設管1及び充填材4を破砕しながらその破砕片を発進立坑2側へ排出すると共に、仮設管Pを到達立坑3側へ押し出しながら仮設管P内を流れていた下水等の流体を発進立坑2側へ排出する工程、Fは掘削機5によって埋設管1及び充填材4の破砕と仮設管Pの押し出しと下水等の流体の排出を行いながら埋設管1及び充填材4等が取り除かれた空間に新しい埋設管15を推進埋設する工程、Gは発進立坑2及び到達立坑3から掘削機5等の各種機械設備等を撤去する工程、Hは発進立坑2及び到達立坑3を埋め戻して地盤を元の状態に戻す復旧作業を行う工程である。
【0017】
図2及び図3は本発明の工法を実施するために使用する掘削機5等の各種機械設備を発進立坑2側及び到達立坑3側に設置した状態を示すものであり、図2及び図3に於いて、1は既設の埋設管、Pは仮設管、5は掘削機、6は掘削機5の先導管、7は掘削機5の推進装置、8は充填材充填装置、9は油圧ユニット、10は発電機、11はバルブユニット、12はコントロールユニット、13はトラッククレーン、14はダンプカー、15は新しい埋設管(ヒューム管)、16は工具箱である。
【0018】
前記仮設管Pは、取り換え区間の埋設管1内の中心位置(軸心位置)に一本だけ配設されており、取り換え区間の埋設管1内に充填材4を充填した際に取り換え区間の上流側に位置する埋設管1内の下水や雨水を取り換え区間の下流側に位置する埋設管1内へ流す役目をするものである。
この仮設管Pには、埋設管1の破損によって埋設管1内に多量の土砂が詰まっている場合でも、仮設管Pを油圧ジャッキ(図示省略)等で埋設管1内へ圧入できるように金属製の管(この例では鋼管)が使用されている。
又、仮設管Pの一端部(仮設管Pの発進立坑2側に位置する端部)には、図5及び図6に示す如く、内周縁部に凹状の球面部17aを形成した金属製の短い補強管17(鋼管)が挿着されており、仮設管Pの一端部内周面に溶接により取り付け固定されている。この補強管17は、仮設管Pを押し出す際に仮設管Pの端部の破損を防止するものである。
更に、仮設管Pの外周面には、取り換え区間の埋設管1内に充填材4を充填したときに充填材4と仮設管Pとが固着するのを防止する油性や水性等の離型剤が塗布されている。これによって、仮設管Pを充填材4の中からスムーズに取り出せることになる。
【0019】
尚、埋設管1内に配設される仮設管Pの径は、取り換え区間の埋設管1の上流側にある下水や雨水を取り換え区間の埋設管1の下流側へ確実且つ良好に流すことができるように設定され、又、仮設管Pの強度は、充填材4の中にある仮設管Pを押し出すときに仮設管Pが変形しないように設定されている。例えば、直径が250mm〜700mmの埋設管1の場合、管径80A(外径89.1mm)〜150A(外径165.2mm)の仮設管P(鋼管)が埋設管1内に配設される。更に、仮設管Pは、発進立坑2内や到達立坑3内から埋設管1内に挿入できる長さに形成されており、埋設管1内に圧入するときに発進立坑2内や到達立坑3内で順次接続されてから埋設管1内に圧入されるようになっている。
【0020】
前記掘削機5は、発進立坑2から少なくとも埋設管1及び充填材4を破砕しながらその破砕片を発進立坑2側へ排出すると共に、仮設管Pを到達立坑3側へ押し出しながら仮設管P内を流れていた下水や雨水を前記破砕片と一緒に発進立坑2側へ排出し、埋設管1、充填材4及び仮設管Pが取り除かれた空間に新しい埋設管15を推進埋設することができるものであり、埋設管1及び充填材4を破砕、掘削しながら仮設管Pを押し出す先導管6と、先導管6や新しい埋設管15を推進させる推進装置7とから構成されている。
この実施の形態に於いては、掘削機5には、コンパクトな占用スペースで充分な推力、掘削力が得られる小口径管推進工法(アイアンモール工法:TP75SCLやTP90S、TP95S)に用いられる掘削機5(特開平5−141185号公報等に開示された掘削機)が使用されている。例えば、掘削機5には、推進力が1960kN、掘削力が19.6kNmの掘削機5が使用されている。
【0021】
尚、小口径管推進工法とは、発進立坑2から先端に先導管6を装備したヒューム管等の管を油圧ジャッキで地中に押し込んで管路を形成する工法であり、従来の開削工法よりも経済性や安全面に優れていると共に、交通を遮断することなく軌道下や道路下に管を布設することができ、然も、低騒音・無振動で現場周辺の住民への影響を最小限に抑えられる等、優れた利点を有する工法である。
【0022】
前記掘削機5の先導管6は、図3及び図13に示す如く、先端にモータ(図示省略)により回転駆動されるカッタヘッド6Aを装着した筒状の揺動部6Bと、揺動部6Bに連結され、止水及び掘削土の排出量を制御するピンチ弁(図示省略)を内蔵した筒状のピンチ弁部6Cと、ピンチ弁部6Cに連結され、発進立坑2内に配設したレーザトランシット(図示省略)からのレーザ光を受けてレーザ光軸に対する位置と姿勢角(方向)を計測するレーザターゲット(図示省略)を内蔵した筒状のレーザターゲット部6Dとから構成されている。
又、先導管6は、その内部に揺動部6B先端からレーザターゲット部6D後端に亘ってスクリューコンベヤ(図示省略)が挿着されており、カッタヘッド6Aにより破砕された掘削土や下水等の流体を後方へ排出できるようになっている。更に、先導管6は、揺動部6Bとピンチ弁部6Cとの間に揺動部6Bをピンチ弁部6Cに対して揺動操作する揺動シリンダ(図示省略)が介設されており、揺動シリンダの伸縮により揺動部6Bをピンチ弁部6Cに対して屈曲させ、先導管6の進行方向を曲げたり、ズレを修正したりすることができるようになっている。
【0023】
そして、先導管6の先端に装着したカッタヘッド6Aは、図4乃至図6に示す如く、埋設管1等を破砕する回転自在な複数のディスクカッタ6aと、埋設管1等の破砕片や下水等を取り込む開口6bと、仮設管Pの一端部を押圧する押圧体6cとを備えており、埋設管1及び充填材4を破砕しながらその破砕片を先導管6内のスクリューコンベヤに取り込めると共に、仮設管Pを押し出しながら仮設管P内を流れて来た下水や雨水を先導管6内のスクリューコンベヤに取り込める構成となっている。
前記押圧体6cは、図5に示す如く、仮設管Pの外径よりも小径で且つ内部が中空の半球状に形成されており、内面側に設けた軸部6c″をカッタヘッド6A前面の中心部(回転中心位置)に溶接することによって凸状の球面が前方を向く姿勢でカッタヘッド6A前面に取り付けられている。この押圧体6cの凸状の球面は、その曲率が仮設管Pに設けた補強管17の凹状の曲面部17aの曲率と同じに形成されており、押圧体6cを補強管17に押し当てたときに押圧体6cが補強管17に対して自由に向きを変えられるようになっている(図6参照)。
又、押圧体6cは、下水や雨水が通過する複数の通過穴6c′を有しており、押圧体6cを仮設管Pに設けた補強管17に押し当てたときに仮設管P内を流れて来た下水や雨水が複数の通過穴6c′を通ってカッタヘッド6Aの開口6bから先導管6内のスクリューコンベヤ内に流れ込むように構成されている。
【0024】
一方、掘削機5の推進装置7は、図10に示す如く、先導管6及び新しい埋設管15を載置して案内する架台18と、架台18に前進及び後退可能に設けられ、先導管6の後端及び新しい埋設管15の後端に当接する押し板19と、架台18に支持され、押し板19を前進及び後退させる油圧シリンダ20と、押し板19に設けられ、先導管6内のスクリューコンベヤを回転駆動させる油圧モータ等の駆動部21等から構成されている。この推進装置7は、全ての部材が発進立坑2の内部で組立及び分解が可能となっており、分解された状態で発進立坑2の内外へ搬入・搬出できるようになっている。
【0025】
前記充填材充填装置8は、更新を要する埋設管1の取り換え区間にある既設の埋設管1を掘削機5で破砕する際に、そのときの衝撃により埋設管1の前方が座屈、粉砕しないよう取り換え区間にある埋設管1内及び埋設管1周辺の空隙に充填材4(この例では、セメントと砂を水で練り合わせたモルタル)を充填して埋設管1とその周辺の地盤を補強するために用いるものである。
即ち、充填材充填装置8は、容器内に投入したセメント、砂及び水を攪拌羽根により練り混ぜて未固化のモルタルを生成するミキサー8aと、ミキサー8aにより生成されたモルタルを圧送するポンプ(図示省略)と、モルタルを移送する移送ホース8b等から構成されており、ミキサー8aにより生成された未固化のモルタルをポンプで圧送して移送ホース8bにより埋設管1内に流し込めるようになっている。
【0026】
次に、老朽化により破損して内部に土砂が詰まっている軌道下の埋設管1(ヒューム管)を上述した仮設管Pや掘削機5、充填材充填装置8等を用いて新しい埋設管15に取り換える場合について説明する。
【0027】
先ず、更新を要する埋設管1の取り換え区間の両側位置(線路の両脇)に発進立坑2及び到達立坑3を夫々構築する(図7参照)。
即ち、線路脇の路盤をショベルカーや人力により掘り下げて立坑を形成しつつ、所定寸法掘り下げる毎に立坑内に平面形状が円弧状の土留め用のライナープレート(図示省略)を環状に組み立てて行く。この作業を埋設管1が完全に露出するまで繰り返すことにより発進立坑2及び到達立坑3が構築される。このとき、発進立坑2は、埋設管1の取り換え区間の下流側位置に構築し、到達立坑3は、埋設管1の取り換え区間の上流側位置に構築する。
又、発進立坑2及び到達立坑3を構築したら、各立坑2,3の底部に露出する埋設管1を取り除くと共に、発進立坑2の下流側に位置する埋設管1の端部と到達立坑3の上流側に位置する埋設管1の端部に鋼管等の筒状の補強部材22を挿入して埋設管1の端部を補強する。
【0028】
尚、発進立坑2及び到達立坑3は、小口径管推進工法(TP75SCL)に用いる掘削機5を使用しているために小さくすることができ、広い用地を確保できないような場所でも構築することができる。例えば、TP75SCLの場合、発進立坑2の内径は2500mmで済み、又、到達立坑3の内径は、埋設管1の直径が350mmのときには1200mm、埋設管1の直径が400mm〜500mmのときには1500mmで夫々済む。更に、発進立坑2側の作業用スペースS1は3m×20mの面積で済み、到達立坑3側の作業用スペースS2は2.5m×12mの面積で済む。
【0029】
又、用地を十分に取れるような場合には、小口径管推進工法のTP90SやTP95Sを使用するようにしても良い。この場合、発進立坑2は、長径が6000mmで短径が2500mmの楕円形となる。又、到達立坑3の内径は、埋設管1の直径が700mmのときには1800mmとなる。
【0030】
線路脇の路盤に発進立坑2及び到達立坑3を構築したら、次に取り換え区間にある埋設管1内の中心位置に金属製の仮設管P(外周面に離型剤が塗布されていると共に、発進立坑2側に位置する端部に金属製の補強管17が取り付け固定された仮設管P)を配設すると共に、仮設管Pを発進立坑2及び到達立坑3内に夫々配置した閉塞板23で位置決めして支持する(図8参照)。
即ち、内部に土砂が詰まっている埋設管1内の中心位置に仮設管Pを油圧ジャッキ(図示省略)等を用いて圧入して行き、埋設管1内に仮設管Pを配設する。このとき、金属製の仮設管P(鋼管)を使用しているため、内部に土砂が詰まっている埋設管1内に仮設管Pを圧入しても、仮設管Pが曲がったり、破損したりすると云うことがない。その結果、仮設管Pは、埋設管1内に確実且つ良好に圧入されて行き、埋設管1内の中心位置に配設されることになる。
そして、埋設管1内の中心位置に仮設管Pを配設したら、発進立坑2及び到達立坑3内に閉塞板23を配置してこの閉塞板23で埋設管1の開口端部を閉塞すると共に、閉塞板23に形成した穴に仮設管Pの端部を挿入して仮設管Pを閉塞板23で位置決めして支持する(図8参照)。
尚、仮設管Pを埋設管1内に圧入したときに仮設管P内に埋設管1内の土砂が入り込むが、この土砂はポンプ及び噴射ノズル(何れも図示省略)を用いて水圧により仮設管P外へ排出する。これによって、仮設管Pは、下水や雨水等を流せる状態となる。
【0031】
取り換え区間にある埋設管1内に仮設管Pを配設したら、埋設管1と仮設管Pとの間及び埋設管1周辺の空隙に充填材4(モルタル)を充填して埋設管1及びその周辺の地盤を補強する。これは老朽化した埋設管1を掘削機5により破砕、掘削する際に埋設管1の前方が座屈、粉砕しないようにするためである。又、充填材4(モルタル)は、埋設管1内に配設された仮設管Pを保持する役目も果たす。
【0032】
埋設管1と仮設管Pとの空間への充填材4(モルタル)の充填は、発進立坑2側及び到達立坑3側に開口している埋設管1の開口端を空気抜き24付きの閉塞板23で夫々閉塞し、この状態で地上に設置している充填材充填装置8のミキサー8a内の未固化の充填材4(モルタル)をポンプ及び埋設管1の両端に配設した移送ホース8bを通じて埋設管1と仮設管Pとの間に圧送(充填材4の注入圧:1〜2kg/cm2)することにより行われる(図9参照)。
このとき、埋設管1の両側位置(発進立坑2側及び到達立坑3側)から埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填するようにしているため、充填材4(モルタル)を埋設管1内に短時間で充填することができると共に、埋設管1内に空隙を形成することなく、埋設管1内及びその周辺の空隙に充填材4(モルタル)を確実に充填することができる。又、埋設管1の両側位置から埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填するようにしているため、埋設管1内に土砂が詰まって埋設管1の途中が閉塞された状態になっていても、埋設管1内及びその周辺の空隙に充填材4(モルタル)を確実に充填することができる。更に、埋設管1内に仮設管Pを配設しているため、埋設管1と仮設管Pとの空間の容積が小さくなり、充填材4の使用量が少なくて済む。その上、埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填しても、埋設管1内に仮設管Pを配設しているため、到達立坑3の上流側の埋設管1内を流れて来た下水や雨水が到達立坑3で溢れると云うことがなく、下水や雨水は仮設管P及び発進立坑2を順次通って発進立坑2の下流側の埋設管1内へ流れて行く。
そして、埋設管1内への充填材4(モルタル)の充填により埋設管1と仮設管Pとの空間及び埋設管1周辺の空隙が完全に埋められたら、ポンプによる充填材4(モルタル)の圧送を停止する。
【0033】
取り換え区間にある埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填したら、その次に発進立坑2及び到達立坑3の周囲にトラッククレーン13やダンプカー14を配置すると共に、発進立坑2内及び発進立坑2の周囲に掘削機5やこれを駆動制御する油圧ユニット9及びコントロールユニット12等の各種機械設備を設置し、埋設管1内の充填材4(モルタル)が固化するのを待つ。
【0034】
埋設管1内の充填材4(モルタル)が完全に硬化したら、小口径管推進工法に用いる掘削機5により埋設管1及び充填材4を破砕しつつその破砕片を発進立坑2側へ排出すると共、カッタヘッド6A前面に取り付けた押圧体6cによって仮設管Pの一端部を押して仮設管Pを到達立坑3側へ押し出しつつ仮設管P内を流れていた下水や雨水を押圧体6c及び先導管6を通して発進立坑2側へ排出する。
【0035】
前記工程を行う場合には、先ず先導管6をカッタヘッド6A及び揺動部6Bとピンチ弁部6Cとレーザターゲット部6Dとに3分割して発進させる。
具体的には、カッタヘッド6A前面に取り付けた押圧体6cを仮設管Pの一端部に取り付け固定した補強管17に押し当て、この状態でカッタヘッド6A及び揺動部6Bをカッタヘッド6Aを回転させながら推進装置7により推進させる。そうすると、カッタヘッド6A及び揺動部6Bは、回転駆動しているカッタヘッド6Aにより埋設管1及び固化した充填材4(モルタル)を破砕しながら推進される。又、カッタヘッド6Aに取り付けた押圧体6cは、カッタヘッド6A及び揺動部6Bの推進に伴って仮設管Pの一端部を押圧して仮設管Pを到達立坑3側へ押し出して行く(図10及び図11参照)。
次に、揺動部6Bにピンチ弁部6Cを接続し、カッタヘッド6Aを回転させて埋設管1及び充填材4(モルタル)を破砕しながらカッタヘッド6A及び揺動部6Bとピンチ弁部6Cとを推進装置7により推進させると共に、押圧体6cにより仮設管Pの一端部を押圧して仮設管Pを到達立坑3側へ押し出して行く(図12参照)。
その後、ピンチ弁部6Cにレーザターゲット部6Dを接続し、カッタヘッド6Aを回転させて埋設管1及び充填材4(モルタル)を破砕しながらカッタヘッド6A及び揺動部6Bとピンチ弁部6Cとレーザターゲット部6Dとを推進装置7により推進させると共に、押圧体6cにより仮設管Pの一端部を押圧して仮設管Pを到達立坑3側へ押し出して行く(図13参照)。
【0036】
そして、カッタヘッド6Aにより破砕された埋設管1及び充填材4(モルタル)は、先導管6内に内蔵されたスクリューコンベヤにより発進立坑2側へ順次排出されて行き、発進立坑2の下流側の埋設管1が詰まらないように発進立坑2から地上へ回収される。
一方、先導管6の推進に伴って押圧体6cにより到達立坑3側へ順次押し出された仮設管Pは、発進立坑2内で適当な長さに切断されてから地上へ回収される。又、仮設管P内を流れていた下水や雨水は、押圧体6cの通過穴6c′及びカッタヘッド6Aの開口6bを経て先導管6内に内蔵されたスクリューコンベヤに流れ込み、スクリューコンベヤにより発進立坑2側へ排出されて行き、発進立坑2からその下流側にある埋設管1内へ順次流れて行く。
【0037】
尚、押圧体6cは、仮設管Pの外径よりも小径に形成されているため、埋設管1内の硬化した充填材4に引っ掛かることなく、仮設管Pのみを押圧することができる。その結果、仮設管Pは、その外周面に離型剤が塗布されていることとも相俟って、押圧体6cによって到達立坑3側へ確実且つ良好に押し出されることになる。
又、押圧体6cは、その凸状の球面を仮設管Pの端部に設けた補強管17の凹状の曲面部17aに押し当て、この状態で仮設管Pの一端部を押圧するようにしているため、先導管6の進行方向が曲げられたり、先導管6のズレが修正されたりした場合でも、仮設管Pに設けた補強管17に確実且つ良好に押し当てられることになる。その結果、押圧体6cは、先導管6の向きやズレが修正された場合でも、仮設管Pを確実且つ良好に押し出すことができる。
更に、押圧体6cは、カッタヘッド6A前面の回転中心位置に取り付け固定されているため、カッタヘッド6Aが回転しても仮設管Pに対して位置が変わることがなく、仮設管Pを確実に押圧することができる。
【0038】
そして、先導管6が一定距離だけ推進されると、先導管6の後端に新しい埋設管15を接続すると共に、埋設管15に内蔵されているスクリューコンベヤ25を先導管6内のスクリューコンベヤ(図示省略)に接続した後、カッタヘッド6Aを回転させて埋設管1及び充填材4(モルタル)を破砕しながら新しい埋設管15を推進装置7により推進させて埋設して行く(図14参照)。このとき、埋設管1等の破砕変と仮設管P内の下水や雨水は、先導管6内のスクリューコンベヤと新しい埋設管15内のスクリューコンベヤ25により発進立坑2側へ排出される。又、仮設管Pは、先導管6及び新しい埋設管15の推進に伴って押圧体6cにより到達立坑3側へ押し出される。
【0039】
以下、この作業を繰り返し行うことによって必要本数の新しい埋設管15を順次埋設して行き、取り換え区間にある既設の埋設管1を全て新しい埋設管15に取り換える。このとき、到達立坑3の上流側の埋設管1内を流れて来た下水や雨水が到達立坑3、仮設管P及び発進立坑2を順次通って発進立坑2の下流側の埋設管1内へ流れて行くため、取り換え区間にある埋設管1を新しい埋設管15に取り換える際に下水や雨水を流しながら埋設管1の取り換えを行える。
【0040】
尚、先導管6及び埋設管15の推進中は、発進立坑2側よりレーザトランシットから測量用レーザビームを飛ばし、先導管6内にあるレーザターゲットに読み取らせ、コントロールユニット12に映るデータから先導管6の姿勢を確認し、推進力・掘削力を充分に把握した上で添加剤、活材の注入量の決定し、更に、掘削残土をピンチ弁により制御してスクリューコンベヤにより排出するようになっている。今回の場合、老朽埋設管1及び充填材4を破砕、掘削する場合、掘削条件が一定であるため、ピンチ弁の機能は不必要になると思われる。
又、埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填して固化させているため、掘削機5による埋設管1の破砕、掘削時に路盤が陥没すると云うことがなく、掘削作業を良好且つ確実に行える。
更に、埋設管1が充填材4(モルタル)の充填によって中実状になっているため、埋設管1をカッタヘッド6Aで破砕しても大きな破砕片となることがなく、破砕片を先導管6内に確実に取り込むことができ、破砕片の排出処理が確実となる。
そのうえ、埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填しているため、掘削条件が一定になって一定のスピードで既設の埋設管1及び充填材4(モルタル)を破砕することができ、日進量も大きくスムーズな施工を行える。
【0041】
先導管6及び新しい埋設管15の推進によって先導管6が到達立坑3に到達したら、到達立坑3から先導管6を複数に分割してトラッククレーン13で回収する(図15参照)。又、図16に示すように既設の埋設管1を全て新しい埋設管15に取り換えたら、埋設管1内に残っているスクリューコンベヤ25を発進立坑2又は到達立坑3から順次回収し、その後掘削機5等の各種機械設備を撤去すると共に、発進立坑2及び到達立坑3内で新しい埋設管15と既設の埋設管1を継ぎ管(図示省略)で接続し、最後に発進立坑2及び到達立坑3を埋め戻して線路脇の路盤を元の状態にする。
【0042】
尚、上記実施の形態に於いては、ライナープレートを用いて平面形状が円形の発進立坑2及び到達立坑3を形成するようにしたが、他の実施の形態に於いては、鋼板製の矢板を用いて平面形状が矩形の発進立坑2及び到達立坑3を形成するようにしても良い。
【0043】
上記実施の形態に於いては、仮設管Pの一端部に金属製の補強管17を取り付け固定し、仮設管Pの一端部を補強管17で補強するようにしたが、仮設管Pの肉厚が厚くて仮設管Pの一端部を押圧体6cで押圧しても、仮設管Pが変形したり、破損したりしない場合には、補強管17を省略しても良い。この場合、仮設管Pの一端部内周縁部に押圧体6cの凸状の球面と同じ曲率の凹状の球面部を形成することが好ましい。
【0044】
上記実施の形態に於いては、埋設管1内に仮設管Pを油圧ジャッキ等を用いて圧入するようにしたが、埋設管1内に土砂が詰まっていない場合には、仮設管Pを手作業により埋設管1内に挿入するようにしても良い。
【0045】
上記実施の形態に於いては、充填材4にモルタルを使用するようにしたが、充填材4はモルタルに限定されるものではなく、掘削時に埋設管1の前方が座屈、粉砕しないように埋設管1を補強できるものであれば良い。例えば、モルタルの替わりに充填材4として浸透性があって強度のでる薬液(例えば、LWや電化ES(何れも商品名)等)を使用するようにしても良い。又、充填材4としてモルタルと薬液の両方を使用するようにしても良い。更に、充填材4としてセメントと砂と砂利を混合して水で練った生コンクリートを使用するようにしても良い。
【0046】
上記実施の形態に於いては、埋設管1の取り換え区間の両側位置(発進立坑2側及び到達立坑3側)から埋設管1内へ充填材4(モルタル)を充填するようにしたが、他の実施の形態に於いては、埋設管1の取り換え区間の片側位置(発進立坑2側又は到達立坑3側)から埋設管1内へ充填材4(モルタル)を充填するようにしても良い。
【0047】
上記実施の形態に於いては、埋設管1の取り換え区間の両側位置に発進立坑2及び到達立坑3を構築した後、埋設管1内に充填材4(モルタル)を充填するようにしたが、更新を要する埋設管1の両端が予め開放されているような場合には、埋設管1内に仮設管Pを配設して充填材4(モルタル)を充填し、その後埋設管1の取り換え区間の両側位置に発進立坑2及び到達立坑3を構築するようにしても良い。
【0048】
上記実施の形態に於いては、押圧体6cを中空の半球状に形成し、押圧体6cの外殻部分に複数の通過穴6c′を形成するようにしたが、他の実施の形態に於いては、図17に示す如く、押圧体6cを中実の半球状に形成すると共に、押圧体6cの平面部分にカッタヘッド6A前面の中心位置に溶接により固着される軸部6c″を形成し、押圧体6cの軸部6c″を外れた位置に複数の通過穴6c′を形成するようにしても良い。又、上記実施の形態に於いては、押圧体6cの外径を仮設管1の外径よりも小径に形成したが、押圧体6cの外径を仮設管1の外径と同径に形成するようにしても良い。
【0049】
上記実施の形態に於いては、先導管6を推進させるときに仮設管Pをカッタヘッド6Aに設けた押圧体6cで到達立坑3側へ押し出すようにしているが、他の実施の形態に於いては、仮設管Pを押圧体6cで到達立坑3側へ押し出しつつ到達立坑3側に配設した油圧ジャッキ(図示省略)等で仮設管Pを到達立坑3側へ引き抜くようにしても良い。
【0050】
上記実施の形態に於いては、既設の埋設管1と新しい埋設管15の径が同じであり、埋設管1と同じ位置に新しい埋設管15を布設するようにしたが、他の実施の形態に於いては、既設の埋設管1と同じ位置に既設の埋設管1よりも大きい径の新しい埋設管15を布設するようにしても良い。
【0051】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の請求項1の発明は、埋設管の取り換え区間の両側位置に発進立坑及び到達立坑を構築すると共に、取り換え区間の埋設管内に下水や雨水が流れる金属製の仮設管を配設し、埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材を充填して既設の埋設管を補強した後、発進立坑から掘削機によって埋設管及び充填材を破砕しながらその破砕片を発進立坑側へ排出すると共に、仮設管を到達立坑側へ押し出しながら仮設管内を流れていた下水や雨水を発進立坑側へ排出し、埋設管、充填材及び仮設管が取り除かれた空間に新しい埋設管を推進埋設するようにしているため、軌道や道路を埋設管の取り換え区間全域に亘って掘削したり、或いは交通を遮断したりすることなく、下水や雨水を流しながら新しい埋設管を破損した埋設管と略同じ位置に短期間で経済的に且つ安全に布設することができる。
本発明の請求項2の発明は、金属製の仮設管を埋設管内に圧入するようにしているため、埋設管内に土砂が多量に詰まっている場合でも、仮設管を埋設管内に確実に配設することができる。又、仮設管内に入り込んだ土砂を水圧により排出するようにしているため、仮設管は上流側から流れて来た下水や雨水を下流側へ確実且つ良好に流すことができる。
本発明の請求項3の発明は、金属製の仮設管をその外周面に離型剤を塗布してから埋設管内に配設するようにしているため、埋設管と仮設管との間に充填材が充填されても、仮設管を充填材の中から簡単且つ容易に押し出すことができる。本発明の請求項4の発明は、仮設管の端部に金属製の補強管を取り付け固定し、この仮設管を埋設管内に配設するようにしているため、仮設管を破損させることなく、押圧体によって押し出すことができる。
本発明の請求項5の発明は、埋設管の取り換え区間の両側位置から埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材を充填するようにしているため、充填材を埋設管内に短時間で充填することができると共に、埋設管内及びその周辺に空隙を形成することなく、埋設管内及びその周辺の空隙に充填材を確実に充填することができる。又、埋設管の両側位置から埋設管内に充填材を充填するようにしているため、埋設管内に土砂が詰まって埋設管の途中が閉塞された状態になっていても、埋設管内及びその周辺の空隙に充填材を確実に充填することができる。
本発明の請求項6の発明は、取り換え区間の埋設管と仮設管との間及び埋設管周辺の空隙に充填材としてモルタル又は薬液若しくはモルタルと薬液の両方を充填し、当該充填材を硬化させた後、掘削機によって埋設管、充填材及び仮設管を破砕するようにしているため、既設の埋設管の破砕作業をより一層安全に良好且つ確実に行える。
本発明の請求項7の発明は、カッタヘッド前面の回転中心位置に、下水や雨水が通過する通過穴を有し且つ仮設管の外径と同径若しくは仮設管の外径よりも小径に形成された押圧体を取り付け、この押圧体で仮設管の一端部を押圧するようにしているため、押圧体が埋設管内の硬化した充填材に引っ掛かることなく、仮設管のみを押圧することができる。その結果、仮設管は、押圧体によって到達立坑側へ確実且つ良好に押し出されることになる。
又、押圧体が半球状に形成され、この半球状の押圧体で仮設管の一端部を押圧するようにしているため、先導管の進行方向が曲げられたり、先導管のズレが修正されたりした場合でも、押圧体は仮設管の一端部に確実且つ良好に押し当てられることになる。その結果、押圧体は、先導管の向きやズレが修正された場合でも、仮設管を到達立坑側へ確実且つ良好に押し出すことができる。
本発明の請求項8の発明は、仮設管を押圧体で到達立坑側へ押し出しつつ到達立坑側から仮設管を引き抜くようにしているため、仮設管を充填材の中から到達立坑側へ簡単且つ容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る老朽埋設管の更新工法の各工程を示すブロック図である。
【図2】本発明の工法を実施するために使用する各種機械設備を発進立坑側に設置した状態を示し、(A)は発進立坑周囲の平面図、(B)は発進立坑周囲の縦断面図である。
【図3】本発明の工法を実施するために使用する各種機械設備を到達立坑側に設置した状態を示し、(A)は到達立坑周囲の平面図、(B)は到達立坑周囲の縦断面図である。
【図4】先導管のカッタヘッドの正面図である。
【図5】カッタヘッド前面に設けた押圧体と仮設管の要部の拡大縦断面図である。
【図6】カッタヘッド前面に設けた押圧体を埋設管内に配設した仮設管の端部に押し当てた状態の一部を破断した部分側面図である。
【図7】更新を要する埋設管の取り換え区間の両側位置に発進立坑及び到達立坑を構築した状態を示す説明図である。
【図8】取り換え区間の埋設管内の中心位置に仮設管を配設する工程を示す説明図である。
【図9】取り換え区間の埋設管と仮設管との間に充填材を充填する工程を示す説明図である。
【図10】先導管(カッタヘッド及び揺動部)の推進工程を示す説明図である。
【図11】先導管(カッタヘッド及び揺動部)の推進工程を示す要部の拡大縦断面図である。
【図12】先導管(カッタヘッド、揺動部及びピンチ弁部)の推進工程を示す説明図である。
【図13】先導管(カッタヘッド、揺動部、ピンチ弁部及びレーザターゲット部)の推進工程を示す説明図である。
【図14】先導管及び新しい埋設管の推進工程を示す説明図である。
【図15】先導管を分割して回収する状態を示す説明図である。
【図16】埋設管の取り換え区間に新しい埋設管を布設した状態を示す縦断面図である。
【図17】カッタヘッド前面に設けた押圧体の他の例を示す拡大縦断面図である。
【図18】従来の老朽埋設管の更新工法を示す説明図である。
【符号の説明】
1は既設の埋設管、2は発進立坑、3は到達立坑、4は充填材(モルタル)、5は掘削機、6は先導管、6Aはカッタヘッド、6cは押圧体、6c′は押圧体の通過穴、7は推進装置、15は新しい埋設管、17は補強管、17aは補強管の凹状の球面部、Pは仮設管。
Claims (8)
- 更新を要する埋設管(1)の取り換え区間の両側位置に発進立坑(2)及び到達立坑(3)を構築する工程と、取り換え区間の埋設管(1)内の中心位置に下水等の流体を流す金属製の仮設管(P)を配設する工程と、取り換え区間の埋設管(1)と仮設管(P)との間及び埋設管(1)周辺の空隙に充填材(4)を充填して埋設管(1)を補強する工程と、先端に回転可能なカッタヘッド(6A)を装着した先導管(6)及びこれを推進させる推進装置(7)から成る掘削機(5)を用いて発進立坑(2)側から少なくとも埋設管(1)及び充填材(4)を破砕しつつその破砕片を発進立坑(2)側へ排出すると共に、カッタヘッド(6A)前面の回転中心に取り付けた押圧体(6c)によって仮設管(P)の一端部を押して仮設管(P)を到達立坑(3)側へ押し出しつつ仮設管(P)内を流れていた流体を押圧体(6c)及び先導管(6)を通して前記破砕片と一緒に発進立坑(2)側へ排出する工程と、先導管(6)の後端に新しい埋設管(15)を接続し、前記掘削機(5)によって埋設管(1)及び充填材(4)の破砕と仮設管(P)の押し出しと流体の排出を行いながら、新しい埋設管(15)を埋設管(1)、充填材(4)及び仮設管(P)が取り除かれた空間に推進埋設する工程とから成ることを特徴とする老朽埋設管の更新工法。
- 取り換え区間の埋設管(1)内の中心位置に金属製の仮設管(P)を配設する工程に於いて、埋設管(1)内に土砂が詰まっている場合に金属製の仮設管(P)を埋設管(1)内へ圧入し、仮設管(P)内に入り込んだ土砂を水圧により排出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 取り換え区間の埋設管(1)内の中心位置に金属製の仮設管(P)を配設する工程に於いて、金属製の仮設管(P)をその外周面に離型剤を塗布してから埋設管(1)内に配設するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 取り換え区間の埋設管(1)内の中心位置に金属製の仮設管(P)を配設する工程に於いて、内周縁部に凹状の球面部(17a)を形成した金属製の補強管(17)を仮設管(P)の一端部内周面に取り付け固定し、この仮設管(P)を埋設管(1)内に配設するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 取り換え区間の埋設管(1)と仮設管(P)との間及び埋設管(1)周辺の空隙に充填材(4)を充填する工程に於いて、埋設管(1)の取り換え区間の両側位置から埋設管(1)と仮設管(P)との間に充填材(4)を充填するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 取り換え区間の埋設管(1)と仮設管(P)との間及び埋設管(1)周辺の空隙に充填材(4)としてモルタル又は浸透性があって強度のでる薬液若しくはモルタルと薬液の両方を充填し、当該充填材(4)を埋設管(1)内で硬化させた後、掘削機(5)によって少なくとも埋設管(1)及び充填材(4)を破砕するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 掘削機(5)によって埋設管(1)及び充填材(4)の破砕と仮設管(P)の押し出しと流体の排出を行う工程に於いて、カッタヘッド(6A)前面の回転中心位置に、下水等の流体が通過する複数の通過穴(6c′)を有し且つ仮設管(P)の外径と同径若しくは仮設管(P)の外径よりも小径に形成された半球状の押圧体(6c)を取り付け固定し、この半球状の押圧体(6c)で仮設管(P)の一端部を押圧するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の老朽埋設管の更新工法。
- 掘削機(5)によって埋設管(1)及び充填材(4)の破砕と仮設管(P)の押し出しと流体の排出を行う工程に於いて、仮設管(P)を押圧体(6c)で到達立坑(3)側へ押し出しつつ到達立坑(3)側から埋設管(1)を引き抜くようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項7に記載の老朽埋設管の更新工法。
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