JP3936904B2 - ノズル清掃装置およびこのノズル清掃装置を備えた基板処理装置 - Google Patents

ノズル清掃装置およびこのノズル清掃装置を備えた基板処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルを清掃するためのノズル清掃装置およびこのノズル清掃装置を備えた基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板あるいは半導体製造装置用マスク基板等の基板に処理液を供給して処理する基板処理装置として、スリット状の吐出口から処理液を吐出しながら基板に対して相対的に移動することにより、基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルを使用した場合においては、基板の処理に伴って処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口付近に処理液が残存し、これが汚染物質となって処理液供給ノズルの汚染が発生する。処理液としてレジスト、特に、カラーレジスト等と呼称される顔料を含むレジストを使用した場合には、このような汚染が特に生じやすい。このため、処理液供給ノズルをノズル清掃装置により定期的に清掃する必要がある。
【0003】
このようなノズル清掃装置は、従来、処理液供給ノズルにクリーニング用の払拭部材を当接させ、この払拭部材により処理液供給ノズルを清掃する構成となっている。また、このようなノズル清掃装置において、送りロールと巻き取りロールとの間に巻回される長尺の払拭部材を使用しているものもある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−177848号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−192048号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のノズル清掃装置においては、処理液供給ノズルに付着した処理液を完全に除去することが困難であるという問題がある。処理液供給ノズルに処理液による汚染物質が残存した場合には、次の処理液塗布工程において処理液を適正に塗布することが困難となる。
【0007】
また、近年、基板のサイズが大きくなっていることから、処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口の全長も長くなる傾向にある。このため、長尺の払拭部材を巻き取って使用する形式のノズル清掃装置においては、払拭部材の消費量が多くなり、ランニングコストがかさむという問題が生ずる。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、払拭部材の消費量を低減しながら、処理液供給ノズルを確実に清掃することが可能なノズル清掃装置およびこのノズル清掃装置を備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、スリット状の吐出口から処理液を吐出しながら基板に対して相対的に移動することにより、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルを清掃するためのノズル清掃装置であって、柔軟性を有する多孔質材料より構成される払拭部材と、前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接させた状態で、前記吐出口の長手方向に移動させる移動機構と、前記払拭部材と同期して前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口の長手方向に走行し、前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口付近に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルとを備え、前記洗浄液吐出ノズルは、前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口に前記払拭部 材が当接する前、または、後に洗浄液を供給することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を備えている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記洗浄液供給機構は、前記払拭部材に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルを含んでいる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記洗浄液供給機構は洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽を含み、前記払拭部材の下端部が前記洗浄液貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬されている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記払拭部材は、その円周部において前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接する円筒状の外形を有している。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記円筒状の外形を有する払拭部材を、その軸芯を中心として回転させる回転機構を備えている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記回転機構により回転する払拭部材の表面と当接することにより、前記払拭部材の表面を清掃する清掃プレートを有している。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記回転機構により回転する払拭部材の表面と当接することにより、前記払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えている。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の発明において、前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に移動させる移動機構を備えている。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の発明において、前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に押圧することにより、前記払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えている。
【0019】
請求項11に記載の発明は、基板を保持する基板保持機構と、スリット状の吐出口から処理液を吐出しながら前記保持機構により保持された基板に対して相対的に移動することにより、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルと、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のノズル清掃装置とを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
先ず、この発明に係るノズル清掃装置18を適用する基板処理装置の構成について説明する。図1はこの発明に係るノズル清掃装置18を適用した基板処理装置の概要図である。
【0022】
この基板処理装置は、矩形状をなす液晶パネル用のガラス基板(以下「基板」という)Wにカラーレジストと呼称される顔料を含むレジストを塗布するためのものであり、基板Wを吸着保持した状態でモータ11の駆動により軸12を中心に回転するスピンチャック13と、スピンチャック13に保持された基板Wにレジストを塗布するための処理液供給ノズル14と、この処理液供給ノズル14を移動させるノズル移動機構15と、処理液供給ノズル14に対してレジストを供給するレジスト供給機構16と、スピンチャック13によりレジスト塗布後の基板Wを回転させたときに基板Wの端縁より飛散するレジストを捕獲するためのレジスト捕獲用カップ17と、この発明に係るノズル清掃装置18とを備える。
【0023】
上記スピンチャック13および軸12は、図示しないチャック昇降機構により、図1において実線で示す回転位置と二点鎖線で示す塗布位置との間で昇降可能となっている。ここで、回転位置はレジスト塗布後の基板Wがカップ17に収容されて回転する位置であり、塗布位置は処理液供給ノズル14により基板Wにレジストが塗布される位置である。
【0024】
上記ノズル移動機構15は、水平に延びる移動ガイド21に沿って往復移動する移動フレーム22を備える。処理液供給ノズル14は、この移動フレーム22にノズル支持アーム23を介して水平方向に移動自在に支持されている。なお、上記ノズル移動機構15は上下方向には移動する機構を備えていない。このため、処理液供給ノズル14が移動ガイド21に沿って移動するときに、処理液供給ノズル14と基板Wとの距離が変動することが防止される。従って、処理液供給ノズル14を水平移動させて基板Wにレジストを塗布する際、均一な厚さの塗布膜を形成することが可能となる。
【0025】
上記レジスト供給機構16は、密閉された構成を有する加圧タンク24と、この加圧タンク24内に収納されたレジストタンク25とを有する。加圧タンク24は、加圧配管27により図示しない窒素ガスあるいはエアーの供給源と接続されている。そして、この加圧配管27内には、窒素ガスの給排切り替え用の三方弁28と、レギュレータ29とが配設されている。また、レジストタンク25内には、このレジストタンク25と処理液供給ノズル14とを接続するレジスト供給配管31の一端が挿入されている。このレジスト供給配管31中には、開閉弁33が配設されている。
【0026】
このような構成を有するレジスト供給機構15において、開閉弁33が開放された状態においては、レジストタンク25内のレジストが加圧タンク24内の窒素ガスの圧力によりレジスト供給配管31を介して処理液供給ノズル14に圧送され、また、開閉弁33が閉鎖されることによりレジストの圧送が停止される。
【0027】
図2は、処理液供給ノズル14によるレジストの供給動作を模式的に示す説明図である。この処理液供給ノズル14は、その長手方向(図2において紙面に垂直な方向)に延びるスリット状の吐出口34を有する。この吐出口34の長手方向の長さは、基板Wにおける矩形状の素子形成部分の短辺の長さ以上の長さであるが、ここでは、前記矩形状の素子形成部分の短辺の長さとほぼ等しくしてある。レジスト供給配管31により供給されたレジスト35は、図2に示すように、このスリット状の吐出口34を介して基板Wの表面に供給される。
【0028】
図3は、処理液供給ノズル14の下端部の拡大図である。この図に示すように、この処理液供給ノズル14は、そこに付着するレジスト35の量を最小とするために、傾斜した側面39を備える。この図において、符号38は吐出口34を形成するリップ面である。このリップ面38は、側面39の下端部を構成する。
【0029】
次に、上述した基板処理装置により基板Wにレジストを塗布する塗布動作について説明する。図4は、基板処理装置により基板Wにレジストを塗布する塗布動作を示す説明図である。なお、以下の説明において、処理液供給ノズル14の移動は上述したノズル移動機構15により実行される。
【0030】
レジストの塗布動作を実行する前の状態においては、処理液供給ノズル14は、この発明に係るノズル清掃装置18と対向する位置に配置されている。このときの処理液供給ノズル14等の状態については、後程詳細に説明する。
【0031】
この状態において、レジストの塗布動作を開始するときには、ノズル清掃装置18上方に処理液供給ノズル14を待機させた状態から、矢印1.に示すように処理液供給ノズル14をノズル清掃装置18に関して遠方側の基板Wの一端上方まで水平移動させる。次に、チャック昇降機構によって基板Wを塗布位置に配置する。このとき基板W表面と処理液供給ノズル14の吐出口34との間隔は、レジストの塗布に適した所定の値となっている。
【0032】
この状態において、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34からレジストを吐出させるとともに、処理液供給ノズル14を矢印2.に示すように基板Wの表面に沿って水平移動させる。この状態においては、図2に示すように、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34から吐出されたレジスト35が基板Wの表面に薄膜状に塗布される。
【0033】
処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34が基板Wの他端部と対向する位置まで移動すれば、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34からのレジストの吐出を停止させ、ノズル清掃装置18の上方にまで移動させる。
【0034】
次に、この発明に係るノズル清掃装置18の構成について説明する。図5は、この発明に係るノズル清掃装置18を待機ポット36とともに示す側面図である。
【0035】
このノズル清掃装置18は、上述した処理液供給ノズル14と平行に配設されたレール41に沿って移動可能なブラケット42と、このブラケット42と連結された同期ベルト43を往復回転させることによりブラケット42を処理液供給ノズル14と平行に往復移動させるモータ44と、ブラケット42の上方に配設された払拭部45とを備える。この払拭部45は、後述するように、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34を払拭するためのものである。この払拭部45は、モータ44の駆動により、図5において実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間を往復移動する。
【0036】
一方、待機ポット36は、レジストを塗布しない状態において、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34付近のレジストが乾燥して変質することを防止するためのものである。この待機ポット36の内部には、例えば、レジストを溶解する溶剤等が貯留されている。この待機ポット36は、エアシリンダ37の駆動により、図5において二点鎖線で示すその上端の開口部が処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と対向する上昇位置と、実線で示す下降位置との間を昇降可能な構成となっている。このため、処理液供給ノズル14をノズル清掃装置18の上方に待機させた状態で待機ポット36が上昇位置をとると、処理液供給ノズル14の吐出口34は待機ポット36によって閉じられた空間に露出することになる。このとき、該空間は溶剤の蒸気が含まれる雰囲気で満たされているので、吐出口34付近のレジストが乾燥することが防止される。
【0037】
次に、上述した払拭部45の構成について説明する。図6はこの発明の第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図であり、図7はその正面図である。
【0038】
この払拭部45は、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽51と、この洗浄液貯留槽51内において支軸55に支持された払拭部材52と、この払拭部材52に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル57と、払拭部材52に当接する清掃プレート53および絞りローラ54と、支軸55を回転させるモータ56とを備える。
【0039】
洗浄液貯留槽51は、図5に示すレール41に沿って移動可能なブラケット42と連結されている。この洗浄液貯留槽51には、オーバフロー管61と、排液排出管62とが配設されている。この洗浄液貯留槽51は、洗浄液供給ノズル57から吐出された洗浄液を貯留する構成となっている。
【0040】
払拭部材52は、柔軟性を有する多孔質材料より構成される。この払拭部材52の材質としては、例えば、スポンジゴムを使用することができる。この払拭部材52は、その円周部において処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と当接する円筒状の外形を有する。この払拭部材52の下端部は、洗浄液貯留槽51に貯留された洗浄液中に浸漬されている。また、この払拭部材52を支持する支軸は、モータ56の回転軸63と接続されており、払拭部材52は、モータ56の駆動によりその軸芯を中心として回転する。
【0041】
清掃プレート53は、モータ56の駆動により回転する払拭部材52の表面に当接することにより、払拭部材52の表面に付着するレジスト等を除去して払拭部材52を清掃するためのものである。この清掃プレート53の基端部は、洗浄液貯留槽51に固定されている。また、絞りローラ54は、モータ56の駆動により回転する払拭部材52の表面に当接することにより、払拭部材52に浸透した過剰な洗浄液を絞るためのものである。この絞りローラ54は、ばね64を介して洗浄液貯留槽51に連結されている。
【0042】
以上のような構成を有するノズル清掃装置18により処理液供給ノズル14を清掃する際には、モータ56の駆動により払拭部材52をその軸芯を中心として低速で回転させる。また、洗浄液供給ノズル57から払拭部材52に向けて洗浄液を供給する。この状態において、図5に示すモータ44の駆動により、払拭部52を処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と平行な方向に走行させる。これにより、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34は、低速で回転する外形が円筒状の払拭部材52の外周面によりその全域が清掃される。
【0043】
このとき、このノズル清掃装置18によれば、払拭部材52が柔軟性を有する多孔質材料より構成されており、また、この払拭部材52には、洗浄液貯留槽51および洗浄液供給ノズル57により洗浄液が供給されているため、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34を確実に清掃することが可能となる。
【0044】
なお、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34の清掃に供された払拭部材52の外周面は、洗浄液貯留槽51内の洗浄液中に浸漬された後、洗浄液供給ノズル57からさらに洗浄液を供給される。そして、この払拭部材52は、清掃プレート54の作用でその表面に付着するレジスト等を除去された後、絞りローラ54によりそこに浸透した過剰な洗浄液を絞り取られ、再度、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34の清掃に供される。
【0045】
なお、上述した実施形態においては、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34の清掃時に、払拭部材52をその軸芯を中心として低速で回転させている。しかしながら、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34の長さが比較的短い場合等においては、吐出口34の清掃時に払拭部材52の回転を停止させておいてもよい。この場合においては、払拭部材52の外周面が処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34から離隔した状態において払拭部材52を回転させ、清掃プレート54によるレジスト等の除去と、絞りローラ54による過剰な洗浄液の絞り取りとを実行する。
【0046】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図8は、この発明の第2実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
上述した第1実施形態に係るノズル清掃装置18においては、洗浄液貯留槽51内に単一の払拭部材52を配設しているが、この第2実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、洗浄液貯留槽51内に一対の払拭部材52を配設するとともに、これらの払拭部材52に対応させて洗浄液供給ノズル57、清掃プレート53および絞りローラ54等を配設している。
【0048】
この第2実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を使用した場合においては、払拭部45が処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34方向に移動する際に、一対の払拭部材52によりスリット状の吐出口34を二度清掃することになるため、スリット状の吐出口34をより確実に清掃することが可能となる。
【0049】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図9はこの発明の第3実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図であり、図10はその正面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
この第3実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45に対して、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口付近34に向けて洗浄液を吐出する一対の洗浄液吐出ノズル74を付設してある。この洗浄液吐出ノズル74は、払拭部材52と同じ移動経路上を払拭部材52と所定距離をおいて共に移動するように払拭部45に取り付けられている。そして、払拭部45が処理液供給ノズル14に対して一方向(図9における右方向)に移動する際には、洗浄液吐出ノズル74が払拭部材52よりも先に処理液供給ノズル14に対して作用する。すなわち、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口付近34のある位置が払拭部材52によって払拭されるのに先立って洗浄液吐出ノズル74が当該位置に対して洗浄液を吐出する。また、払拭部45が処理液供給ノズル14に対して他の方向(図9における左方向)に移動する際には、洗浄液吐出ノズル74が払拭部材52よりも後に処理液供給ノズル14に対して作用する。すなわち、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口付近34のある位置が払拭部材52によって払拭された後に、洗浄液吐出ノズル74が当該位置に対して洗浄液を吐出する。これら一対の洗浄液吐出ノズル74は、洗浄液貯留槽51と同期して処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と平行に走行する一対の支持部材73に支持されている。
【0051】
この第3実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45によれば、払拭部45が前記一方向に移動する際には、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34付近に付着したレジストを洗浄液により予め膨潤させておくことができ、また、払拭部45が前記他の方向に移動する際には、払拭部材52によって拭き取られた後に処理液供給ノズル14にわずかに残ったレジストを洗い流すことができる。したがって、払拭部45を前記一方向、ついで前記他の方向に往復移動させてその両方向移動の間に処理液供給ノズル14に作用させることで、スリット状の吐出口34をより確実に清掃することが可能となる。なお、払拭部45をどちらかひとつの方向のみに移動させて作用させる場合であっても有効に清掃することができる。
【0052】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図11は、この発明の第4実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
この第4実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、円筒状の払拭部材52の軸芯方向の寸法(その外形を形成する円筒の高さ方向の寸法)を、第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45における払拭部材52より大きくしている。そして、この第4実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45に対して、払拭部材52をモータ56を支持するブラケット72等とともに払拭部材52の軸芯方向(すなわち、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と交差する方向)に移動させるための図示しない移動機構に連結されたモータ71を付設している。
【0054】
この第4実施形態におけるノズル清掃装置18の払拭部45によれば、一定期間処理液供給ノズル14を清掃して払拭部材52が汚染されたときに、払拭部材52をその軸芯方向に移動させることにより、払拭部材52における新しい領域を使用して処理液供給ノズル14を清掃することが可能となる。このため、払拭部材52の寿命を延ばして、長期間、処理液供給ノズル14を清掃することが可能となる。
【0055】
なお、この実施形態においては、払拭部材52をその軸芯方向に移動させているが、払拭部材52を移動させる代わりに、処理液供給ノズル14を払拭部材52の軸芯方向に移動させるようにしてもよい。
【0056】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図12および図13は、この発明の第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
この第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、円筒状の払拭部材82の両端に一対の支持板86を配設し、一対の支軸85によりこれらの支持板86を支持する構成を有する。そして、この第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45に対して、モータ56を支持するブラケット83を払拭部材52の軸芯方向(すなわち、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34と交差する方向)に移動させるためのモータ81と、このモータ56の移動に伴って、図13に示すように、一方の支持板86を他方の支持板86に近接する方向に移動させる図示しない移動機構とを付設している。
【0058】
この第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45によれば、モータ81の駆動により払拭部材52を図12に示す状態から図13に示す状態に変化させることにより、払拭部材82に浸透した過剰な洗浄液を絞ることができ、また、ノズル清掃装置18の使用を停止する際に払拭部材52に浸透した洗浄液を除去することが可能となる。
【0059】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図14は、この発明の第6実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す正面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
上述した第1実施形態に係るノズル清掃装置18においては、払拭部材52としてその外形が円筒状のものを使用しているが、この第6実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、その外周面に処理液供給ノズル14の側面39(図3参照)の形状と対応する形状の凹部91が形成された払拭部材92を使用している。この第6実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45によれば、処理液供給ノズル14におけるスリット状の吐出口34付近のみならず、その側面39をも広く清掃することが可能となる。
【0061】
また、払拭部材として、図7(第1実施形態)に示したような円筒状の払拭部材52と、図14に示した払拭部材92とのを両方備える構成として、円筒状の払拭部材52で処理液供給ノズル14の主として先端部を、払拭部材92で主として側面39を、それぞれ払拭するよう構成してもよい。また、図11に示したような大寸法の払拭部材52を用い、その一部に図14の払拭部材92のような凹部91を形成して処理液供給ノズル14との相対位置を変化させることで、図7円筒状の払拭部材52と、図14に示した払拭部材92との両方の機能を備えた構成としてもよい。
【0062】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図15は、この発明の第7実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45の要部を模式的に示す正面図である。なお、上述した第1実施例に係るノズル清掃装置18と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
上述した第1実施形態に係るノズル清掃装置18においては、払拭部材52としてその外形が円筒状のものを使用しているが、この第7実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45においては、その外形が略四角柱である払拭部材93を使用している。なお、この払拭部材93を使用する場合においては、一定回数処理液供給ノズル14を清掃するたびに、払拭部材93を90度だけ回転させるようにする。
【0064】
なお、上述した実施形態においては、いずれも、各払拭部材52、82、92、93に洗浄液を供給する洗浄液供給機構として、洗浄液供給ノズル57と洗浄液貯留槽51との両方を使用しているが、これらのうちいずれか一方のみを使用して、各払拭部材52、82、92、93に洗浄液を供給する構成としてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態においては、いずれも、この発明に係るノズル清掃装置18を、処理液供給ノズル14により基板Wにレジストを塗布した後、この基板Wをスピンチャック13により回転させる構成の基板処理装置に適用した場合について説明したが、この発明に係るノズル清掃装置18を、処理液供給ノズル14により基板Wに処理液を供給した後、基板Wを回転させないタイプの基板処理装置に適用してもよい。
【0066】
【発明の効果】
請求項1および請求項11に記載の発明によれば、柔軟性を有する多孔質材料より構成される払拭部材と、払拭部材を処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接させた状態で吐出口の長手方向に移動させる移動機構とを備えたことから、払拭部材の消費量を低減しながら、処理液供給ノズルを確実に清掃することが可能となる。
【0067】
また、払拭部材と同期して処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口の長手方向に走行し、処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口付近に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルを備えることから、処理液供給ノズルに付着した汚染物を洗浄液により予め膨潤させ、あるいは、処理液供給ノズルに残存する汚染物を洗い流すことにより、処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口をより確実に清掃することが可能となる。
【0068】
請求項2乃至請求項4に記載の発明によれば、払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を備えることから、洗浄液を含有した払拭部材により処理液供給ノズルを確実に清掃することが可能となる。
【0069】
請求項5に記載の発明によれば、その円周部において処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接する円筒状の外形を有する払拭部材により、処理液供給ノズルを確実に清掃することが可能となる。
【0070】
請求項6に記載の発明によれば、円筒状の外形を有する払拭部材をその軸芯を中心として回転させることから、処理液供給ノズルをより確実に清掃することが可能となる。
【0071】
請求項7に記載の発明によれば、払拭部材の表面を清掃する清掃プレートを有することから、払拭部材の表面に付着する汚染物を除去することが可能となる。
【0072】
請求項8に記載の発明によれば、回転機構により回転する払拭部材の表面と当接することにより払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えることから、払拭部材に浸透した過剰な洗浄液を絞ることが可能となる。
【0073】
請求項に記載の発明によれば、払拭部材を処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に移動させる移動機構を備えることから、払拭部材を移動させることにより、払拭部材における新しい領域を使用して処理液供給ノズルを清掃することが可能となる。
【0074】
請求項10に記載の発明によれば、払拭部材を処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に押圧することにより払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えることから、払拭部材に浸透した過剰な洗浄液を絞ることができ、また、ノズル清掃装置の使用を停止する際に払拭部材に浸透した洗浄液を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るノズル清掃装置18を適用した基板処理装置の概要図である。
【図2】 処理液供給ノズル14によるレジストの供給動作を模式的に示す説明図である。
【図3】 処理液供給ノズル14の下端部の拡大図である。
【図4】 基板処理装置により基板Wにレジストを塗布する塗布動作を示す説明図である。
【図5】 この発明に係るノズル清掃装置18を待機ポット36とともに示す側面図である。
【図6】 この発明の第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。
【図7】 この発明の第1実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す正面図である。
【図8】 この発明の第2実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。
【図9】 この発明の第3実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。
【図10】 この発明の第3実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す正面図である。
【図11】 この発明の第4実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す側面図である。
【図12】 この発明の第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を模式的に示す側面図である。
【図13】 この発明の第5実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を模式的に示す側面図である。
【図14】 この発明の第6実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45を処理液供給ノズル14とともに模式的に示す正面図である。
【図15】 この発明の第7実施形態に係るノズル清掃装置18の払拭部45の要部を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
13 スピンチャック
14 処理液供給ノズル
18 ノズル清掃装置
34 吐出口
36 待機ポット
38 リップ面
39 側面
41 レール
42 ブラケット
43 同期ベルト
44 モータ
45 払拭部
51 洗浄液貯留槽
52 払拭部材
53 清掃プレート
54 絞りローラ
55 支軸
56 モータ
57 洗浄液供給ノズル
61 オーバフロー管
62 排液排出管
63 回転軸
64 ばね
71 モータ
72 ブラケット
73 支持部材
74 洗浄液吐出ノズル
81 モータ
82 払拭部材
83 ブラケット
85 支軸
86 支持板
91 凹部
92 払拭部材
93 払拭部材
W 基板

Claims (11)

  1. スリット状の吐出口から処理液を吐出しながら基板に対して相対的に移動することにより、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルを清掃するためのノズル清掃装置であって、
    柔軟性を有する多孔質材料より構成される払拭部材と、
    前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接させた状態で、前記吐出口の長手方向に移動させる移動機構と、
    前記払拭部材と同期して前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口の長手方向に走行し、前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口付近に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルとを備え、
    前記洗浄液吐出ノズルは、前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口に前記払拭部材が当接する前、または、後に洗浄液を供給する、
    ことを特徴とするノズル清掃装置。
  2. 請求項1に記載のノズル清掃装置において、
    前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を備えたノズル清掃装置。
  3. 請求項2に記載のノズル清掃装置において、
    前記洗浄液供給機構は、前記払拭部材に向けて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルを含むノズル清掃装置。
  4. 請求項2に記載のノズル清掃装置において、
    前記洗浄液供給機構は洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽を含み、前記払拭部材の下端部が前記洗浄液貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬されるノズル清掃装置。
  5. 請求項2に記載のノズル清掃装置において、
    前記払拭部材は、その円周部において前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と当接する円筒状の外形を有するノズル清掃装置。
  6. 請求項5に記載のノズル清掃装置において、
    前記円筒状の外形を有する払拭部材を、その軸芯を中心として回転させる回転機構を備えたノズル清掃装置。
  7. 請求項6に記載のノズル清掃装置において、
    前記回転機構により回転する払拭部材の表面と当接することにより、前記払拭部材の表面を清掃する清掃プレートを有するノズル清掃装置。
  8. 請求項6に記載のノズル清掃装置において、
    前記回転機構により回転する払拭部材の表面と当接することにより、前記払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えたノズル清掃装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のノズル清掃装置において、
    前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に移動させる移動機構を備えたノズル清掃装置。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のノズル清掃装置において、
    前記払拭部材を前記処理液供給ノズルにおけるスリット状の吐出口と交差する方向に押圧することにより、前記払拭部材に浸透した洗浄液を絞る絞り機構を備えたノズル清掃装置。
  11. 基板を保持する基板保持機構と、
    スリット状の吐出口から処理液を吐出しながら前記保持機構により保持された基板に対して相対的に移動することにより、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給ノズルと、
    請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のノズル清掃装置と、
    を備えたことを特徴とする基板処理装置。
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