JP3936045B2 - ガスバーナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湯沸かし器、調理用の加熱システムのような加熱システム等に用いられるガスバーナであって、燃焼ガスが供給される燃焼装置が設けられており、該燃焼装置が、複数の貫通孔を備えた成形体を有しており、該貫通孔が、燃焼ガス側と燃焼側との間の空間的な接続を形成している形式のものに関する。
【0002】
本明細書において、「燃焼ガス」とは純粋状態の燃焼ガスならびにあらゆる燃焼ガス混合物、たとえば空気との混合物を意味する。
【0003】
【従来の技術】
このような形式のガスバーナは、たとえば米国特許第4657506号明細書に基づき公知である。このようなガスバーナでは、管状の燃焼ガス供給管路が使用される。この燃焼ガス供給管路は端部側に穿孔を備えている。この穿孔の範囲には成形体が被せ嵌められている。この成形体はやはり管状に形成されていて、燃焼ガス供給管路をその全周にわたって取り囲んでいる。燃焼ガスの通過のための多孔性を得るためには、成形体のために高耐熱性の繊維から成る織布マットが使用されている。個々の繊維の間には貫通孔が配置されている。運転時には燃焼ガスが燃焼ガス供給管路を通じて案内される。燃焼ガス供給管路の端部では、燃焼ガスが穿孔を通じて成形体に供給される。この燃焼ガスは成形体に設けられた複数の貫通孔を通って燃焼側へ流入し、この場所で着火される。このようなガスバーナの出力領域は制限されている。出力増大のために、より多くの燃焼ガスが供給される場合、規定の容量流が超えられると、燃焼ガスの流出速度が燃焼速度を上回る。その結果、火炎はコントロールされずに剥離され、これによりガスバーナの出力が低下するか、もしくはガスバーナ自体も完全に消えてしまう。さらに、特に一酸化炭素量に関する排ガスエミッションも比較的高くなる。また、米国特許第516887号明細書にも、比較可能なガスバーナが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のガスバーナを改良して、大きな出力スペクトルによりすぐれ、しかも排ガスエミッションも極めて低くなるようなガスバーナを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、成形体が、開いた中空体として形成されており、該中空体が燃焼室を取り囲んでいるようにした。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼ガスは成形体に導入される。この成形体は中空体として形成されているので、複数の貫通孔から進出する火炎の大部分は互いに向けられている。これにより、燃焼室内での火炎の再循環および渦流形成が生ぜしめられる。このような効果に基づき、燃焼プロセスにおいて生じる排ガスは多段式の後燃焼プロセスでほとんど残滓なしに燃焼される。
【0007】
これにより、排ガスエミッションのかなりの低減を行うことができる。特に一酸化炭素および窒素酸化物の含量が著しく減じられる。さらに本発明によるガスバーナは大きな出力スペクトルによりすぐれている。燃焼ガスの供給が著しく高められても、火炎は成形体の貫通孔から剥離されない。火炎の剥離は再循環もしくは渦流形成に基づき阻止される。これによって大きな出力において、バーナのための小さな構造を選択することができる。このことは、設計者に対して構造的な構成の点で最大限の自由度を付与するコンパクトなガスバーナをもたらす。
【0008】
本発明の有利な構成では、成形体によって取り囲まれた燃焼室が、部分楕円形または部分球形の形状を有しており、該部分楕円形または部分球形の開いた側が排ガス出口として働く。しかし、中空体のあらゆる別のジオメトリも使用可能である。このような成形体は一体に製造され得るので、製造技術的な利点を有している。
【0009】
たとえば、片側で閉じられた管区分を使用することもできる。
【0010】
火炎の逆流を阻止するためには、成形体に設けられた貫通孔の平均開口面積が0.25〜4mmの範囲にあると望ましい。これによって、火炎流出速度を調節することができる。火炎流出速度は燃焼速度よりも常に大きく形成されていなければならない。さらに成形体表面の再加熱も、たとえ小さいながらも火炎の逆流に対する影響を有している。この理由から、低い熱伝導率を有する材料が使用されていると有利である。貫通孔の最小内側開口面積は火炎の剥離効果に基づき制限される。
【0011】
成形体の材料選択のためには、種々の可能性が考えられる。たとえば成形体は孔付の鋼薄板から形成されていてよい。しかし成形体表面の再加熱を小さく保持するために本発明の別の有利な構成では、成形体の、貫通孔を有する部分が、フリース状または織布状に互いに結合された高耐熱性の繊維を有する材料から形成されている。本発明のさらに別の有利な構成では、成形体に、外方に向けられた固定フランジが一体成形されており、該固定フランジによって成形体が前室に固定されていて、該前室に成形体が突入している。この固定フランジは成形体と前室との間の密な結合を容易にする。この場合、前室は、成形体の、複数の貫通孔を有する部分を取り囲んでいる。燃焼ガスは燃焼ガス供給管路から前室に流入し、さらに成形体に流入する。
【0012】
前室内で燃焼ガスを均一に分配するために本発明のさらに別の有利な構成では、燃焼ガス供給管路と前室との間に分配プレートが配置されている。
【0013】
成形体の内部に存在する最大内径が、最大火炎長さの2倍に相当する寸法を上回らないことが望ましいという認識を利用すると、燃焼室は火炎で完全に満たされるようになる。
【0014】
この場合、成形体の最大内径を110mmに設定し、かつ約55mmの火炎長さが生じるように貫通孔の寸法を設定することが有利である。別の出力およびガス圧の場合には、別のジオメトリが必要となり得る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0016】
図1にはケーシング形の前室21を有するガスバーナが示されている。前室21は上側の開口と下側の開口とを有している。下側の開口はフランジ結合部22によって取り囲まれており、このフランジ結合部22には、燃焼ガス供給管路23をフランジ締結することができる。燃焼ガス供給管路23と前室21との間では、フランジ結合部22に分配プレート24がクランプされて保持されている。
【0017】
上側の開口の範囲では、前室21からフランジ14が直角に内方に向かって折り曲げられている。このフランジ14にはシール部材12を載設することができる。このシール部材12は成形体10に設けられた固定フランジ15を支持している。この固定フランジ15には別のシール部材13が載設されている。このシール部材13は固定プレート16によってカバーされている。この固定プレート16はフランジ14とねじ締結されているので、固定フランジ15は両シール部材12,13の間にクランプされて保持されている。固定プレート16にはさらに点火システム17を取り付けることができる。
【0018】
成形体10は中空体として形成されている。この成形体10は横断面で見て半楕円形のジオメトリを有している。この半楕円形は主としてシェル19によって形成されている。このシェル19は固定フランジ15に接続されている。シェル19は複数の貫通孔11を備えている。図面から判るように、成形体10は前室21内に突入している。
【0019】
ガスバーナの運転時では、ガス/空気混合装置のブロワ(図示しない)を介して燃焼ガス供給管路23に燃焼ガスが導入される。分配プレート24の働きにより、燃焼ガスは前室21内に均一に分配される。燃焼ガスは前室21から成形体10に設けられた貫通孔11を通じて燃焼室18内に流入する。このときに燃焼ガスは着火される。図1には幾つかの火炎が概略的に示されている。図1から判るように、燃焼室18全体が火炎で満たされている。これにより、火炎の渦流形成および再循環が生じる。火炎のこのような渦流形成および再循環に基づき、燃焼プロセス時に生じる排ガスは多段式に後燃焼されるようになる。これにより、未燃焼の残滓生成物として生じる一酸化炭素の量は著しく減じられる。同じく、窒素酸化物の量を低減することも可能になる。
【0020】
図2の(a)には固定フランジ15を備えた中空体として形成された成形体10の斜視図が示されている。本発明は成形体10のこのようなジオメトリだけに限定されるものではない。それどころか、部分球形ジオメトリを使用することも考えられる。図2の(b)には半球形の形状が例示されている。成形体10を選択する際には、互いに向かい合って位置する2つの側の最大内径が最大火炎長さの2倍よりも大きくならないように配慮することが望ましい。これにより、火炎は常時確実に互いに接触するようになる。これによって燃焼室18全体が火炎で満たされるので、最適の再循環を行うことができる。
【0021】
成形体10の材料選択のためには、種々の可能性が考えられる。すなわち、たとえば図3の(a)に示したような孔付の鋼薄板を使用することができる。
【0022】
図3の(b)には、高耐熱性の繊維から成る編状体が示されている。個々の繊維の間には貫通孔11が形成される。図3の(c)には高耐熱性の繊維から成るフリース状の孔付編状体が示されている。図3の(b)および(c)に示した実施例のためには、金属性またはセラミック性の繊維を使用することができる。しかし、あとから炭化ケイ素で被覆されるセラミック性の繊維が使用されると有利である。炭化ケイ素から成る被覆体により、編状体またはフリースは硬化させられる。これによって成形体10は形状安定的に形成されているので、この成形体10は構造的な補助手段を必要としない。さらに、成形体10の取扱い時には、貫通孔11のジオメトリに影響を与える歪みも生じ得ない。
【0023】
図4の(a)、(b)、(c)、(d)および(e)には貫通孔11を形成するための種々の実施例が示されている。貫通孔11を形成する際には、内側の開口面積が2.6mmよりも大きくならないように配慮することが望ましい。また、0.6mmの開口面積が下回られないことが望ましい。たとえば図4の(d)または(e)に示した貫通孔11が選択されると、これらの貫通孔11を互いに比較的密接させて配置することができる。これにより、それぞれ隣接した貫通孔11から流出する燃焼ガスの着火が確実に可能となる。
【0024】
図5には、本発明によるガスバーナの、調理器具における使用例が示されている。この調理器具はハウジング20を備えた組込み式の調理器具である。このハウジング20は全周にわたって延びかつ外方に向かって突出したフレーム32に結合されている。このフレーム32を用いて、厨房用プレートに設けられた切欠き内にハウジング20を掛け込むことができる。ハウジング20には4つのガスバーナが収納されており、図5ではこれらのガスバーナの成形体10が見えている。フレーム32にはガスバーナの上に調理面26が嵌め込まれている。調理面26はガラスセラミック製の調理面である。この調理面26は側方に4つの貫通孔を備えており、これらの貫通孔には操作エレメント31を挿入することができる。成形体10の上方の範囲には別の貫通孔が設けられている。これらの貫通孔はカバー27によってカバーされている。カバー27は調理鍋30を載置するための載置部を形成していて、しかもオーバフローガードとして形成されていてもよい。
【0025】
図6には、図5に示したガスバーナの1つが部分的に断面されて側面図で示されている。図6から判るように、調理面26の上面には貫通孔を取り囲む範囲でスペーサエレメント29が載設されている。このスペーサエレメント29は個々のピン、ウェブ等として形成されていてよい。個々のスペーサエレメント29の間には排ガス通路27.2が形成されている。また、対応するパーフォレーションもしくは目打ち部と共に排ガス搬送を可能にする環状のリングを使用することも考えられる。
【0026】
スペーサエレメント29には、カバー27が載設されている。このカバー27は平坦なプレートとして形成されており、このプレートの縁部は調理面26の方向に折り曲げられた環状の斜面27.1を備えている。カバー27自体はスペーサエレメント29に結合されていると有利である。調理面26の下方には、シール部材28を挟んでフランジ体25が配置されている。このシール部材28は弾性的な材料から形成されていて、スペーサエレメント29の真下で調理面26の下面に接触している。フランジ体25には固定プレート16を介して固有のガスバーナが取り付けられている。このガスバーナの構成は図1に示したガスバーナに相当している。図6から判るように、フランジ体25はその内部に点火システム17を収容している。
【0027】
燃焼時に発生する排ガスは成形体10からカバー27の方向へ案内される。この場合、排ガスは各スペーサエレメント29の間に形成された排ガス通路27.2を通じて逃出する。斜面27.1は流れの案内および流れの変向を行うので、排ガスの渦流形成が生じる。この熱い排ガスはこれによって調理鍋30の周囲を均一に流れて、調理鍋30の加熱を助成する。
【0028】
沸騰した調理鍋30から調理物が成形体10に流入することを阻止するためには、調理面26の、貫通孔を取り囲む縁部に、高められた壁を備えた縁部を設けることができる。この壁は調理面26に一体成形されていてもよい。また、前記貫通孔に挿入される挿入リングを使用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスバーナを側方から見た断面図である。
【図2】図1に示したガスバーナに用いられる成形体の2つの実施例を(a)および(b)で示す斜視図である。
【図3】図2の(a)に示した成形体の3つの変化実施例(a)、(b)および(c)を示す斜視図である。
【図4】成形体を形成するための薄板の5つの変化実施例(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を示す概略図である。
【図5】4つの本発明によるガスバーナを備えた調理器具の斜視図である。
【図6】図5に示したガスバーナの断面図である。
【符号の説明】
10 成形体、 11 貫通孔、 12,13 シール部材、 14 フランジ、 15 固定フランジ、 16 固定プレート、 17 点火システム、 18 燃焼室、 19 シェル、 20 ハウジング、 21 前室、 22 フランジ結合部、 23 燃焼ガス供給管路、 24 分配プレート、 25 フランジ体、 26 調理面、 27 カバー、 27.1 斜面、 27.2排ガス通路、 28 シール部材、 29 スペーサエレメント、 30 調理鍋、 31 操作エレメント、 32 フレーム

Claims (4)

  1. 湯沸かし器、加熱システム等に用いられるガスバーナであって、燃焼ガスが供給される燃焼装置が設けられており、該燃焼装置が、複数の貫通孔を備えた成形体を有しており、該貫通孔が、燃焼ガス側と燃焼側との間の空間的な接続を形成している形式のものにおいて、成形体(10)が、開いた中空体として形成されており、該中空体が燃焼室(18)を取り囲んでおり、成形体(10)に設けられた貫通孔(11)が、0.6〜2.6mm の平均開口面積を有しており、成形体(10)によって取り囲まれた燃焼室(18)が、部分楕円形または部分球形の形状を有しており、該部分楕円形または部分球形の開いた側が排ガス出口として働き、成形体(10)の、少なくとも前記貫通孔(11)を有する部分が、炭化ケイ素から成る被覆体を備えた、高耐熱性のセラミック性の繊維を有する材料から形成されていることを特徴とするガスバーナ。
  2. 高耐熱性の繊維が、フリース状または織布状に互いに結合されている、請求項1記載のガスバーナ。
  3. 成形体(10)に、外方に向けられた固定フランジ(15)が一体成形されており、該固定フランジ(15)によって成形体(10)が前室(21)に固定されていて、該前室(21)に成形体(10)が突入しており、前記前室(21)に燃焼ガス供給管路(23)が接続されている、請求項1または2記載のガスバーナ。
  4. 前記燃焼ガス供給管路(23)と前記前室(21)との間に分配プレート(24)が配置されている、請求項3記載のガスバーナ
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