JP3935376B2 - 給紙カセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられる給紙カセットに係り、詳しくは、給紙ローラとの協動により積載用紙を分離する分離爪を備える給紙カセットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置等の用紙を取扱う装置に用いられる給紙装置においては、給紙カセット内のシート材積載板上に積載された用紙の上面に接する給紙ローラを回転させることにより1枚ずつ給送を行う。このときの給紙方式としてはリタードローラー方式、摩擦パッド方式等があるが、コストの最も有利なコーナー分離爪方式も多く製品に採用されている。
【0003】
コーナー分離爪方式は、給紙ローラーによる給送時における分離性を確保するために、積載用紙の給送方向先導側の角隅部上面に分離爪を当接して分離爪を設けるものである。
【0004】
図7及び図8は従来の爪分離方式の給紙カセットの構成を示す平面図及び正面図である。
【0005】
図示の給紙カセット20は、シート材Pの幅に応じて幅方向に進退してシート材Pの幅方向端縁を規制する前、奥一対のサイド規制板1,4と、シート材Pの長さ方向に応じてシート材Pの長さ方向端縁を規制する後端規制板9により用紙収納位置を規定している。又、一対のサイド規制板1,4に各々設けた回動軸2,5により一端を上下方向へ回動自在に支持された分離爪3,6と、シート材Pを積載するシート材積載板7と、該シート材積載板7を上方に付勢する加圧バネ8とを有し、画像形成装置側には積載したシート材Pの上面に接して矢印方向に回転することにより最上部のシート材を給送方向Qへ給送する給紙ローラ30が配置されている。
【0006】
分離爪3,6のシート材Pに対するかかり量は、シート材分離給送時のバランスを確保するため、略同等に設定するのが望ましい。又、カセット20は矢印Y方向に着脱可能であり、カセット20に形成された基準ボス13,14により装置本体に正確に位置決めされる。
【0007】
このように、シート材給送方向Qに対してカセット着脱方向Yが垂直関係にある画像形成装置では特にシート材Pの幅方向の画像の書き出し位置(横レジスト精度)が狂い易いため、シート材Pを正確に位置出しして横レジスト精度を上げるために一般的に次のような工夫がなされている。
【0008】
即ち、手前側のサイド規制板1に側圧部材15,16を配設することで、図7に示すように、シート材Pの幅方向の寸法公差の多少に拘らず、常にシート材P側端の対向側の突き当て基準面(この場合、 奥側のサイド規制板4)にシート材Pを付勢可能に構成している。そして、コピー/プリント動作時には装置本体内に備える給紙ローラ30等の給送手段によって、最上位のシート材より順次1枚ずつシート材を送り出して、公知の電子写真方式によって所望の画像データを得るものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような爪分離方式の給紙装置では、シート材Pの幅方向の寸法公差により、手前側の分離爪1のシート材Pに対するかかり量は常に変化する。図9に示すように、シート材Pの幅が小さいときは(a)に示すように側圧部材15,16によりシート材Pが奥のサイド規制板4方向に規制されるために分離爪3のシート材に対するかかり量k1 は小さくなる。反対にシート材Pの幅が大きいと(b)に示すようにかかり量k2は大きくなる。つまり、前側と奥側で分離爪のかかり量にアンバランスが生じる。
【0010】
この分離爪6のかかり量がアンバランスになった状態で給紙を行うと、束重送或はスキューや耳折れを起こす等、給紙性能を著しく損なう事態が発生する。特に、最近は製品のグローバル対応が必須となってきており、海外生産の形状寸法不良の用紙や裁断の悪い用紙に対する性能が要求される状況で爪分離方式の給紙装置の改善が強く求められている。
【0011】
特開平10−120223号公報には、分離爪を複数部品で構成して用紙の幅方向に回動自在に設け、用紙の暴れに追従して用紙が分離爪から外れることを防止したカセットが開示されているが、紙に追従可能な分離爪部材のシート材に対する角度が大きく変化するため、爪抜け時の前奥アンバランスは回避できないで給紙不良を発生する可能性があり、この従来例も不十分であると言える。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、爪分離方式の給紙装置において、シート材の幅方向寸法に拘らず、常に分離爪のシート材とのかかり量と角度とをキープすることにより、給紙を良好に行うことができる給紙カセットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、シートを収納支持するシート収納手段と、シートの幅方向側端をガイドするサイド規制板と、前記サイド規制板の片側に配設され、対向側のサイド規制板に対してシート側端を押圧付勢するシート規制手段と、前記シート収納手段に積層収納された最上位のシートよりシート幅方向と直交する方向にシートを1枚ずつ順次送り出す給紙ローラと、前記シートの送り出し方向先導側の角隅部に当接して送り出し時のシートの分離を行う分離爪とを有して成る給紙カセットにおいて、前記シート規制手段を、収納されるシートの側端位置によってシートの幅方向に平行移動可能な可撓性部材で形成し、且つ、前記分離爪のシート幅方向の位置を規制する分離爪保持手段を、前記可撓部と共に前記シートの幅方向に平行に移動可能に配設したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る分離爪の構成を示す斜視図、図2は分離爪が取り付けられる前側のサイド規制板の正面図、図3は前側のサイド規制板の平面図である。
【0016】
本実施の形態においては、積載するシート材Pの幅方向を規制する移動自在な手前側のサイド規制板41に取り付く分離爪3を図1のように分離爪/側圧一体ユニット40として構成したことを特徴とする。
【0017】
即ち、分離爪3の回動軸2を有し、且つ、回動軸2の対向側面をシート材規制面とする内側分離爪保持板44と、両側にSUS等の板バネ材から成る側圧部材42a,42bを備える外側分離爪保持板45とをビス等の締結部材46により分離爪3を挟んで結合する。側圧部材42a,42bは同材質、同寸法の対称形状であり、同等の板バネ性能を有する。なお、内側分離爪保持板44と、側圧部材42a,42bを備える外側分離爪保持板45とで、本発明のシート規制手段を構成し、且つ、内側分離爪保持板44と、外側分離爪保持板45と、締結部材46とで本発明の分離爪保持手段を構成する。
【0018】
又、外側分離爪保持板45と側圧部材42a,42bとはビス締結、或は圧入、溶着等で結合する。ここで、内側分離爪保持板44には分離爪3の板厚tよりも僅か大きい高さt+αを有する段差44a,44bが両端に形成されているため、外側分離爪保持板45と結合したときに分離爪3が回動軸2を中心に軽快に回動可能となる。内側分離爪保持板44及び外側分離爪保持板45の材質はPOM若しくはABS等の樹脂が適している。又、α=0.1程度が望ましい。上記分離爪/側圧一体ユニット40を図2及び図3に示すようにビス等の締結部材47により前側サイド規制板41に結合する。
【0019】
次に、図3を用いて本実施の形態における動作について説明する。
【0020】
図3に示すように、シート材Pの前側端の位置に応じて側圧部材42a,42bが作用し、内側分離爪保持板44を介して不図示の奥側基準面に対してシート材Pを付勢する。このため、シート材Pは正確な位置決めがなされ、横レジストの良い画像を得ることができる。
【0021】
又、このとき分離爪3は、上記のように側圧部材42a,42bと一体ユニットとして構成されており、更には対称な側圧部材42a,42bは左右同等の撓みと押圧力を生じるためにシート材Pの幅方向に対して略平行に移動可能である。即ち、シート材の幅方向寸法が小さい場合(図3(a))、幅方向寸法が大きい場合(図3(b))に拘らず、内側分離爪保持板44の位置に応じて常にシート材Pへのかかり量kを一定に保ち、シート材Pと分離爪3の相対角度も一定にすることができる。従って、シート材Pの幅方向寸法公差によらず一定の安定した爪分離給紙条件で給紙を行うことが可能となり、ジャムや耳折れ等の給紙不良を起こさないばかりか、画像精度の良い爪分離給紙装置を安価で提供することが可能となる。
【0022】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。尚、図面の符号については、前記従来例及び実施の形態1と同じ要素には同一符号を付し、それらについての説明は省略する。
【0023】
図4は本実施の形態に係る分離爪の構成を示す斜視図、図5は分離爪が取り付けられる前側のサイド規制板の正面図、図6は前側のサイド規制板の平面図である。
【0024】
本実施の形態では、図4に示すように、側圧部材52を1枚の両端にZ曲げを施した板バネ材とし、分離爪3と組み合わせることで分離爪/側圧一体ユニット50を構成したことを特徴とする。側圧部材52は両端の曲げ面にそれぞれ分離爪3を規制するスリット52a,52bを備え、又、Z曲げと対向する平面部はシート材規制面52cを形成している。なお、側圧部材52が本発明のシート規制手段を構成する。
【0025】
スリット52a,52bのスリット幅はt+αで、分離爪3が良好に回動可能なように分離爪3を規制可能としている。この分離爪/側圧一体ユニット50を図5に示すように手前側サイド規制板51に対してビス等の締結手段53により結合する。側圧部材52のZ曲げ形状及び締結位置は左右対称に設けられるため、シート材規制面52cがシート材Pの側端に接するとき、側圧部材52の左右両端の板バネは均等に作用する。なお、スリット52a,52bが本発明の分離爪保持手段を構成する。
【0026】
次に、図6を用いて本実施の形態における動作について説明する。
【0027】
図6に示すように、シート材Pの前側端の位置に応じて側圧部材52のシート材規制面52cが作用し、不図示の奥側基準面に対してシート材Pを付勢する。このため、シート材Pは正確な位置決めがなされる。
【0028】
このとき、分離爪3は、上記のように側圧部材52と一体ユニットとして構成されており、更には対称な側圧部材52の両端のZ曲げ部は同等の撓みと押圧力を生じるのでシート材Pの幅方向に対して略平行に移動可能である。即ち、シート材の幅方向寸法が小さい場合(図6(a))、幅方向寸法が大きい場合(図6(b))に拘らず、常にシート材Pへのかかり量kと相対角度を一定に保つことができる。これにより爪分離挙動を安定化させ、良好で安価な爪分離給紙装置の提供が可能となる。
【0029】
本実施の形態では、1枚の側圧部材52にシート材規制と分離爪3の保持規制の機能を持たせることにより、更なるコストメリットが得られる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、シート材の幅方向寸法の大小に拘らず、シート材側端の位置に応じて分離爪をシート規制手段と共にシート材幅方向に対して平行に移動可能に構成したため、シート材に対する分離爪のかかり量と相対角度を常に一定に保持することが可能となる。従って、シート材の幅方向寸法公差によらず常に一定の安定した爪抜けの条件で給紙を行うことが可能となり、ジャムや耳折れ等の給紙不良を起こさないばかりか、画像精度の良い爪分離給紙装置を安価で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る分離爪の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る分離爪が取り付けられる前側のサイド規制板の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る前側のサイド規制板の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る分離爪の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る分離爪が取り付けられる前側のサイド規制板の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る前側のサイド規制板の平面図である。
【図7】従来の爪分離カセットの平面図である。
【図8】従来の爪分離カセットの主断面図である。
【図9】従来の前側のサイド規制板の平面図である。
【符号の説明】
3 分離爪
41,51 前側サイド規制板
42a,42b,52 側圧部材
44 内側分離爪保持板
45 外側分離爪保持板
Claims (2)
- シートを収納支持するシート収納手段と、シートの幅方向側端をガイドするサイド規制板と、前記サイド規制板の片側に配設され、対向側のサイド規制板に対してシート側端を押圧付勢するシート規制手段と、前記シート収納手段に積層収納された最上位のシートよりシート幅方向と直交する方向にシートを1枚ずつ順次送り出す給紙ローラと、前記シートの送り出し方向先導側の角隅部に当接して送り出し時のシートの分離を行う分離爪とを有して成る給紙カセットにおいて、
前記シート規制手段を、収納されるシートの側端位置によってシートの幅方向に平行移動可能な可撓性部材で形成し、且つ、前記分離爪のシート幅方向の位置を規制する分離爪保持手段を、前記可撓部と共に前記シートの幅方向に平行に移動可能に配設したことを特徴とする給紙カセット。 - 前記シート規制手段の前記可撓性部材と前記分離爪保持手段とを一体的に構成したことを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
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