JP3935176B2 - エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents

エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、同一のエチレン分圧においてもエチレン含有量が高く、且つ重合安定性、機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性などの安定性に優れ、各種ポリオレフィンへの密着性、無溶剤型接着剤のベース及びポリマーセメント系塗膜防水材における柔軟性に優れたエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョン及びその製造方法に関するものである。
エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンは、水性エマルジョンとポリオレフィン等の非極性物質との親和性を高めるため、或いは皮膜の耐水性や柔軟性を高めるため、水性エマルジョンに含まれるエチレン・ビニルエステル共重合体のエチレン単位含有量を向上せしめることが望まれているが、エマルジョン重合法によっては、耐圧の高い装置を用いることなく、例えば6MPa以下の圧力で30%よりもエチレン単位を多く含有し且つ重合性、機械的、貯蔵、凍結などの各種安定性に優れた該共重合体の水性エマルジョンを製造することは困難であった。
通常の方法で製造されたエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンのエチレン含有量は30重量%以下である。これに対し、エチレン分圧を高く、且つ反応溶液におけるビニルエステルモノマーの含有量を10重量%以下にするといった方法を使用することによりエチレン含有量を高くする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしこの方法では、一般のエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンの製造方法に比べて廃棄エチレン量が多かったり、製造時間が遅延するなど経済性及び工業生産上の問題がある。
さらに、メーカーのノウハウとして、重合操作を変えたりしてエチレン含有量を高くする試みはなされているが、エチレン分圧が6MPa以下のような低分圧反応でエチレン含有量が30重量%以上で、実用性のあるエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする各種安定性に優れた水性エマルジョンの製造方法は報告されていない。
特開2002−322216公報
本発明は、同一エチレン分圧であってもエチレン・ビニルエステル共重合体中のエチレン含量が高く、且つ重合反応安定性、機械的安定性、凍結安定性などにおける安定性に優れたエマルジョン重合体及びその製造方法を提供するものである。特に、エチレン分圧を6MPa未満の雰囲気下においてエマルジョン重合を行って、エチレン含有量が高く、反応エマルジョンの粘度が低く、エマルジョンの各種安定性が良好であり、皮膜強度が高い、エチレン含有量が30重量%以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンを安定して製造する方法を提供するものである。
本発明は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリビニルアルコールの2種類以上及び特定の非イオン性界面活性剤の2種類以上を同時に用いることにより、反応溶液の粘度を低く制御することが可能となり、エチレン単位の含有量が多い、エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンの製造方法を見出し、本発明を完成した。
本発明は、
[1] エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンにおいて、けん化度70モル%以上の重合度400〜1400未満および重合度1400〜3500のポリビニルアルコールをそれぞれ各1種類以上、およびHLBが12〜15未満および15〜19の非イオン性界面活性剤のそれぞれ各1種類以上を同時に併用し、エチレンとビニルモノマーを共重合したことを特徴とする水性エマルジョン、
[2] ポリビニルアルコールとして、重合度400〜1400未満のものと1400〜3500のものとの比が2:1〜30:1であり、使用するビニルエステルモノマー100重量部に対し2〜10重量部使用した上記[1]に記載の水性エマルジョン、
[3] 非イオン性界面活性剤として、HLBが12〜15未満のものとHLB15〜19のものとの比が1:3〜4:1であり、使用するビニルエステルモノマー100重量部に対し0.1〜10重量部を使用した上記[1]または[2]に記載の水性エマルジョン、
[4] ビニルエステルモノマーが、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、イソノナン酸ビニルおよびバーサチック酸ビニルのいずれか1つ以上を用いた上記[1]〜[3]のいずれかに記載の水性エマルジョン、
[5] エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンの製造方法において、けん化度70モル%以上の重合度400〜1400未満および重合度1400〜3500のポリビニルアルコールをそれぞれ各1種類以上、およびHLBが12〜15未満および15〜19の非イオン性界面活性剤のそれぞれ各1種類以上を併用し、エチレン分圧が4〜6MPa、反応中ビニルエステルモノマーを連続的又は断続的に添加して、エチレン含有量が30%以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンを製造することを特徴とする水性エマルジョンの製造方法、および
[6] エチレン・ビニルエステル共重合反応における反応溶液の粘度(23℃でBH型粘度計10rpmにて測定)が2000mPa・s以下である上記[5]に記載の水性エマルジョンの製造方法、を開発することにより上記の課題を解決した。
本発明によれば、ポリビニルアルコール及び非イオン性界面活性剤の種類およびその使用量を限定し、反応溶液の粘度を低く制御すれば、反応溶液および製造されたエマルジョンの粘度が低く、エマルジョンの重合、機械的及び貯蔵安定性が良好、かつ実用上必須である皮膜強度を有する、エチレン含有量が30重量%以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンを得ることができる。そして得られた水性エマルジョンはポリオレフィン等の難接着面に対する親和性に優れ、接着剤、粘着剤、またはこれらの改質やベースエマルジョンとして使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、特定の2種以上のポリビニルアルコール及び特定の2種以上の非イオン性界面活性剤の存在下で、エチレンとビニルエステルモノマーをエマルジョン重合するエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンの製造方法である。
ここで、ビニルエステルモノマーとしては、例えば酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、イソノナン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのアルキル酸ビニルエステルなどが挙げられる。ビニルエステルモノマー単位として、2種類以上のビニルエステルモノマーを用いても良い。ビニルエステルモノマーの中でも、酢酸ビニルが好適である。
本発明の製造方法で用いられる単量体としては、エチレン、ビニルエステルモノマーの他に、これらと共重合可能な単量体を使用しても良く、具体的には、塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩などのビニル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル;メタクリル酸、アクリル酸などの(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;スルホン酸アリル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル化合物;ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多官能アクリレート等が例示される。これらの第3コモノマー類は、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
本発明で使用するポリビニルアルコールは、けん化度70モル%以上の、重合度400〜1400未満のものと、重合度1400〜3500のものであるポリビニルアルコールをそれぞれ各1種類以上併用する。
重合度400〜1400未満のポリビニルアルコールはエチレン含有量を高めるために効果があるが、これ単独では皮膜強度が不十分となるため、重合度1400〜3500のものを併用することが必要である。
ここで、重合度が400以下のポリビニルアルコールを用いると実用上必要な皮膜強度に達しなかったり、逆に3500以上のポリビニルアルコールを用いると、反応溶液の粘度が高くなり、エチレン含有量が30重量%以上のエチレン・ビニルエステル共重合体が得らなかったり、皮膜の柔軟性が劣り、ポリオレフィン等への密着性、低温伸度といったエチレン含有量が高いエチレン・ビニルエステル共重合体としての性能が得られにくいため好ましくない。
ポリビニルアルコールの使用量は、使用したビニルエステルモノマー100重量部当たり0.1〜10重量部であり、好ましくは2〜8重量部である。0.1部以上使用することにより、安定性の良いエマルジョンが得られ、10重量部未満にすることにより、実用性のある粘度及び実用性のある皮膜強度となる。また、2種類以上のポリビニルアルコールの、重合度400〜1400と1400〜3500の比率は2:1〜30:1である。その比率が2:1より低重合度のポリビニルアルコールを多く配合することによりエチレンの含有量が高く、安定性の良いエマルジョンが得られるが、30:1を超えるときはエチレンの含有量を高くすることができるが、皮膜強度が低下するので実用性のある水性エマルジョンが得られない。目的に応じて、重合度400〜1400のポリビニルアルコールを1種類以上、及び重合度1400〜3500のポリビニルアルコールを1種類以上使用しても良い。またポリビニルアルコールの水酸基の一部をカルボン酸、スルホン酸、シロキサン、アルキル基等の化合物で変性されたものでもよい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤のHLBは、12〜15未満および15〜19のそれぞれ各1種類を併用する。好ましくはHLBが13〜15および15.5〜18.5である。HLBが12〜15未満の非イオン性界面活性剤を使用することにより、エチレンの含有量が高く、重合安定性の良いエマルジョンが得られ、HLBが15〜19の非イオン性界面活性剤を使用することにより、機械的安定性、皮膜強度の高い水性エマルジョンとなる。この非イオン性界面活性剤は、HLB12〜15未満:15〜19の配合比として1:3〜4:1の範囲内で混合して使用する。使用量は、ビニルエステルモノマー100重量部に対し、混合物として0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2〜6重量部である。0.1重量部以上使用することにより、エチレンの含有量が高く、安定性の良いエマルジョンが得られ、10.0重量部未満で、エチレンの含有量が高く、実用性のある粘度のエマルジョンが得られる。
本発明の製造方法において使用される重合触媒としては、酸化剤と還元剤からなる通常のレドックス系重合触媒が好ましく、酸化剤としては過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。還元剤としては、アスコルビン酸、酒石酸、酒石酸ソーダ、第一鉄塩、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウム(又は亜鉛)ホルムアルデヒドスルホキシレート、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の製造方法は、安定した重合反応を行うことができ、同一のエチレン分圧下で反応したときであっても生成したエチレン・ビニルエステル共重合体中のエチレン含有量が高く、且つエマルジョンとしての粘度が低く、貯蔵安定性、凍結安定性、機械的安定性(輸送、配合、塗装などの機械的操作による分破壊作用に対するラテックス(エマルジョン)の抵抗力であり、マロン法による機械的摩擦試験(機械的せん断力を受ける試験)によって評価・試験を行った。各種用途に対する応用上非常に重要な測定である。)に優れており、また該エマルジョンから強度が高い皮膜が得られるというエチレン・ビニルエステル共重合体水性エマルジョンを製造するために、乳化剤、界面活性剤の組成を選択したものであり、その他の反応条件、例えば反応系におけるビニルエステルモノマー濃度、その他の反応条件を特に限定するものではない。
エチレン・ビニルエステル共重合体中のエチレン含有量はエチレン分圧を高めることによりより高いエチレン含有量のエチレン・ビニルエステル共重合体を製造することは当然であるが、経済的な見地から4〜6MPaのような低圧力の反応装置を用いる場合であっても、本発明によればエチレン・ビニルエステル共重合体中のエチレン含有量を30重量%以上を安定して確保できる特徴がある。
本発明のエチレン・ビニルエステル共重合体の水性エマルジョンの製造方法における反応温度としては、通常40〜85℃程度であり、好ましくは50〜70℃程度である。反応温度が40℃を下回ると反応速度が遅延する傾向にあり、85℃を上回ると、反応溶液におけるエチレンの溶解量が低下し、共重合体中のエチレン単位の含有量が低下する傾向にあることから好ましくない。
また本発明の製造方法におけるエチレンの分圧は上記のように使用する反応装置に応じてエチレン分圧を選択できる。通常エチレン含有量を30〜40重量%程度のエチレン・ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造をする場合には、エチレン分圧として4〜6MPaで充分に安定して製造できる。エチレンの分圧が4MPa未満では、エチレン単位の含有量が30重量%より低下したり、反応時間が遅延することから好ましくない。なお40重量%以上のエチレン含有量を必要とするのでなければ、エチレン分圧は6MPaで充分である。エチレン分圧を6MPa以上とするときは容易にエチレン含有量の高いものの製造が可能であるが、耐圧性のある高価な反応装置を必要とするだけでなく、廃棄エチレン量が多かったり、重合性が低下したり、設備の補強あるいは交換が必要な場合があるため、経済性及び生産上好ましくない。
本発明により得られた水性エマルジョンは、上記のポリビニルアルコール、ビニルエステルモノマーの濃度から製造されたときは、通常不揮発分が30〜70重量%であり、好ましくは45〜60重量%である。不揮発分が30重量%未満の場合は、エマルジョンの使用量が増えたり、乾燥効率が悪くなるなど実用上問題があり、不揮発分が70重量以上の場合は、反応溶液の粘度が2000mPa・s以上となり、反応熱の除熱が不十分となるため大きな問題となる。
以上の条件でポリビニルアルコール及び非イオン性界面活性剤を使用し製造する時は、反応溶液中におけるビニルエステルモノマーの濃度は重合速度に影響し、濃度が高いほど重合速度は速いが、濃度が低いほどエチレン含有量の高いエマルジョンが得られるので、ビニルエステルモノマーは、共重合反応の進行が許せる範囲の低濃度範囲内で、重合反応で消費されただけ連続的又は断続的に添加する。
本発明によるときは、製造された水性エマルジョンの不揮発分濃度は30〜70重量%、好ましくは45〜60重量%で、反応溶液の粘度(23℃でBH型粘度計10rpmにて測定)が2000mPa・s以下、、好ましくは500mPa・s以下の条件で反応をすることができる。反応中の溶液粘度が2000mPa・sを上回ると、反応温度の制御が困難となるだけでなく反応溶液中へのエチレンの供給効率が悪くなり、共重合体中のエチレン単位の含有量が低下する傾向にあることから好ましくない。
製造されたエチレン・ビニルエステル共重合の粘度(23℃でBH型粘度計10rpmにて測定)が2000mPa・s以下の水性エマルジョンが製造することができ、該エマルジョンの安定性が良好なエチレン含有量が30重量%以上40重量%未満であるエチレン・ビニルエステル共重合体水性エマルジョンが得られる。
以下に、本発明を実施例につき詳説する。
[性能評価法]
(1)重合安定性
エマルジョンを200メッシュのステンレス製金網で濾過し、水洗後105℃で1時間乾燥後、凝集物の重量を測定した。使用したモノマーの総量に対する凝集物の重量%が0.1%以下の場合に良好であると判断した。
(2)機械的安定性
〔機械的操作(輸送、配合、塗装等)による分散破壊作用に対するエマルジョンの安定性(抵抗力)を評価する試験〕
エマルジョン50gをマロン安定試験器にて10kgf、1000rpm/min.の条件で10分間回転させ、生成した凝集物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、濾過残さを水洗後に105℃で約30分乾燥した後、デシケーター中で放冷し、その後質量を測定した。機械的安定性はJIS K 6828に記載の計算式を用いて凝固率を算出し、0.1%以下の場合に良好であると判断した。
(3)貯蔵安定性
エマルジョン300mlをガラス瓶に採り、密封して、60℃に保った恒温器に7日間及び常温で1ヶ月間放置し、層の分離、粗粒の発生及びエマルジョン性状の変化を観察及び測定した。
(4)凍結安定性
エマルジョンを−10℃で凍結させた後、室温に静置することを繰り返して、エマルジョンの状態を観察した。
(5)皮膜強度
樹脂皮膜を約0.3mm厚になるように23℃雰囲気下で5日間放置し製膜させ、その後真空乾燥機内で76cmHg、2時間乾燥する。作製した皮膜を幅10mm、長さ約50mmに切り出し、引張試験機で引張速度100mm/minで測定を行った。
(実施例1)
いかり型攪拌機を備えた内容量1.5リットルのステンレス型オートクレーブに、蒸留水、酢酸ビニル8重量部、ポリビニルアルコール「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)2.2重量部、「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)0.4重量部、非イオン性界面活性剤「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)0.3重量部、「DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.6重量部、アスコルビン酸0.2重量部を仕込んだ。続いてオートクレーブ内の空気をエチレンで十分置換した。
攪拌下、重合温度を60℃に、エチレン圧を5.0MPaに昇圧した。続いて、過酸化水素0.1重量部を8時間で均一に添加した。また、同時に6時間かけて酢酸ビニル32重量部を均一に添加した。エチレン圧は酢酸ビニル添加後5.7 MPaまで昇圧し、酢酸ビニル添加終了後まで5.7MPaを保った。触媒添加終了後冷却して、消泡剤、ヌレ剤、増粘剤、防腐剤、防カビ剤及びpH調整剤を添加し、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンを得た。反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量36wt%、不揮発分52%、粘度360mPa・s、乾燥皮膜の強度は100 N/cmであった。
(実施例2)
ポリビニルアルコール「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)2.8重量部、「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)0.5重量部、非イオン性界面活性剤「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)0.1重量部、DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.2重量部を用い、添加に用いる酢酸ビニルを36重量部にした以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は1000mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量31wt%、不揮発分56%、粘度800mPa・s、乾燥皮膜の強度は140 N/cmであった。
(実施例3)
非イオン性界面活性剤「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)0.6重量部、DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量35wt%、不揮発分52%、粘度400mPa・s、乾燥皮膜の強度は140 N/cmであった。
(実施例4)
非イオン性界面活性剤「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)0.2重量部、DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.8重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量35wt%、不揮発分52%、粘度340mPa・s、乾燥皮膜の強度は100 N/cmであった。
(実施例5)
ポリビニルアルコール「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)3.0重量部、「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)0.2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量34wt%、不揮発分51%、粘度300mPa・s、乾燥皮膜の強度は120 N/cmであった。
(実施例6)
ポリビニルアルコール「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)1.6重量部、「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)0.8重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は1000mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量30wt%、不揮発分50%、粘度800mPa・s、乾燥皮膜の強度は150 N/cmであった。
(実施例7)
ポリビニルアルコール「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)1.5重量部、「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)1.5重量部、非イオン性界面活性剤「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)0.1重量部、DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.2重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は4200mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量28wt%、不揮発分48%、粘度3800mPa・s、乾燥皮膜の強度は200N/cmであった。
(比較例1)
非イオン性界面活性剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンは、重合安定性が不良でエチレン含有量31wt%、不揮発分50%、粘度400mPa・s、乾燥皮膜の強度は200 N/cmであった。
(比較例2)
ポリビニルアルコールは「ポバール217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)のみを2.0重量部用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は6000mPa・s以上であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量25 wt%、不揮発分46%、粘度5500mPa・s、乾燥皮膜の強度は300 N/cmであった。
(比較例3)
ポリビニルアルコールは「ポバール205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)のみを2.2重量部用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は300mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量38 wt%、不揮発分53%、粘度200mPa・s、乾燥皮膜の強度は50 N/cmであった。
(比較例4)
非イオン性界面活性剤は「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)のみを0.3重量部を用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量33wt%、不揮発分51%、粘度350mPa・s、乾燥皮膜の強度は110 N/cmであった。
(比較例5)
非イオン性界面活性剤は「DKS NL−450」(第一工業製薬株式会社製、HLB18.2)0.6重量部を用いる以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は500mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量35wt%、不揮発分52%、粘度320mPa・s、乾燥皮膜の強度は100 N/cmであった。
(比較例6)
非イオン性界面活性剤は用いず、アニオン性界面活性剤「 ハイテノール LA−12」(第一工業製薬株式会社製)0.6重量部を用いる以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は1000mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量30wt%、不揮発分49%、粘度820mPa・s、乾燥皮膜の強度は50 N/cmであった。
(比較例7)
非イオン性界面活性剤は「DKS NL−100」(第一工業製薬株式会社製、HLB13.8)のみを0.3重量部を用い、アニオン性界面活性剤「 ハイテノール LA−12」(第一工業製薬株式会社製)0.3重量部を用いる以外は、実施例1と同様の反応を行い、反応中の溶液粘度は1000mPa・s以下であり、得られたエマルジョンはエチレン含有量30wt%、不揮発分49%、粘度820mPa・s、乾燥皮膜の強度は50 N/cmであった。
Figure 0003935176
Figure 0003935176
表1に示したように、実施例1〜6は、いずれも反応溶液の粘度が1000mPa・s以下で、重合安定性、機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性及び皮膜強度のいずれも優れており、エチレン含有量が30重量%以上40重量%未満である。
実施例7は、反応溶液の粘度が4200mPa・sと高く、エチレン含有量が30重量%以下となるが、2種類の重合度の異なるポリビニルアルコール及び2種類のHLBの異なる非イオン性界面活性剤を併用することにより、重合安定性がやや劣るものの、機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性及び皮膜強度はいずれも優れている。
一方、比較例1〜5のように、2種類の重合度の異なるポリビニルアルコール及び2種類のHLBの異なる非イオン性界面活性剤のうち、1つでも欠けると機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性及び皮膜強度のいずれかが損なう結果となったり、エチレン含有量が30重量%以下となる。
比較例6,7のように、アニオン性界面活性剤を使用すると重合安定性が悪く、機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性も悪くなる。
本発明は、同一のエチレン分圧においてもエチレン含有量が高く、且つ重合安定性、機械的安定性、貯蔵安定性、凍結安定性、安定性に優れ、乾燥したときは柔軟性に優れ、皮膜強度が高く、ポリオレフィンなどの難接着面に対する親和性に優れた水性エマルジョンを製造できる。
該水性エマルジョンは、6MPa以下であってもエチレン含有量が30重量%以上のエチレン・ビニルエステル水性エマルジョンを製造することができる。そして得られた水性エマルジョンは、無溶剤型接着剤のベース及びポリマーセメント系塗膜防水材におけるエチレン・ビニルエステル共重合体として、また各種ポリオレフィン等の難接着面に対する親和性に優れた接着剤、粘着剤またはこれらの改質やベースエマルジョンとして使用することができる。

Claims (6)

  1. エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンにおいて、けん化度70モル%以上の重合度400〜1400未満および重合度1400〜3500のポリビニルアルコールをそれぞれ各1種類以上、およびHLBが12〜15未満および15〜19の非イオン性界面活性剤のそれぞれ各1種類以上を同時に併用し、エチレンとビニルエステルモノマーを共重合したことを特徴とする水性エマルジョン。
  2. ポリビニルアルコールとして、重合度400〜1400未満のものと1400〜3500のものとの比が2:1〜30:1であり、使用するビニルエステルモノマー100重量部に対し2〜10重量部使用した請求項1の水性エマルジョン。
  3. 非イオン性界面活性剤として、HLBが12〜15未満のものとHLB15〜19のものとの比が1:3〜4:1であり、使用するビニルエステルモノマー100重量部に対し0.1〜10重量部を使用した請求項1または2に記載の水性エマルジョン。
  4. ビニルエステルモノマーが、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、イソノナン酸ビニルおよびバーサチック酸ビニルのいずれか1つ以上を用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性エマルジョン。
  5. エチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンの製造方法において、けん化度70モル%以上の重合度400〜1400未満および重合度1400〜3500のポリビニルアルコールをそれぞれ各1種類以上、およびHLBが12〜15未満および15〜19の非イオン性界面活性剤のそれぞれ各1種類以上を併用し、エチレン分圧が4〜6MPa、反応中ビニルエステルモノマーを連続的又は断続的に添加して、エチレン含有量が30%以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を主成分とする水性エマルジョンを製造することを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
  6. エチレン・ビニルエステル共重合反応における反応溶液の粘度(23℃でBH型粘度計10rpmにて測定)が2000mPa・s以下である請求項5に記載の水性エマルジョンの製造方法。
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